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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076168
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20230525BHJP
   A61J 1/16 20230101ALI20230525BHJP
   A61G 5/10 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
A61M5/14 532
A61J1/16 D
A61G5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189407
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】507062347
【氏名又は名称】株式会社豊國
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】山路 惠司
(72)【発明者】
【氏名】田野 雅己
(72)【発明者】
【氏名】印平 学
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047EE04
4C066GG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車椅子等の牽引側の構造に関わらずに、医療用機器を吊下げた点滴台等の牽引される側の重心に近い高さで牽引できる連結装置を提供する。
【解決手段】移動体と移動体に追従させる小型医療機器設置台とを連結する連結装置であって、移動体に取付ける牽引側取付部4と、小型医療機器設置台に取付ける追従側取付部5と、牽引側取付部と追従側取付部を連結する略棒状体の連結部6と、を備え、牽引側取付部が、挿入側筒状体が被挿入側筒状体の上端側から内側に挿入されて長手方向に伸縮自在の長尺状の固定支持部9aと、連結部を、固定支持部の軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整でき、調整後の状態で挿入側筒状体に固定することが可能な高さ・角度調整部10と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と前記移動体に追従させる小型医療機器設置台とを連結する連結装置であって、
前記移動体に取付ける牽引側取付部と、前記小型医療機器設置台に取付ける追従側取付部と、前記牽引側取付部と前記追従側取付部を連結する略棒状体の連結部と、を備え、
前記牽引側取付部が、長尺状の固定支持部と、
前記連結部を、前記固定支持部の軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能で、前記固定支持部に固定可能な高さ・角度調整部と、を有し、
前記高さ・角度調整部が、
前記固定支持部を挟み込むように、2つの断面半円状体を対構成にて対向配置して形成した貫通穴に挿入させた前記固定支持部の外周面に沿って、前記軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能なスライド・旋回部と、
前記固定支持部の外周面を囲繞するように周方向に所定の間隔を設けて装着された、断面が前記固定支持部の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片と、前記複数の分割片の外周面を囲繞するように装着され、前記複数の分割片を前記固定支持部の外周面に押圧により固定するレバー締付式リングクランプとを有する、前記スライド・旋回部と一体的に連結させた高さ・角度固定部と、を備え、
前記スライド・旋回部が、軸方向の位置及び前記軸に直角な方向の回転角度を調整後に、前記高さ・角度固定部により前記スライド・旋回部を前記固定支持部に固定することを特徴とする連結装置。
【請求項2】
前記固定支持部の形態が、前記高さ・角度調整部が取り付けられた長尺状の挿入側筒状体が、長尺状の被挿入側筒状体の上端側から内側に挿入されて長手方向に伸縮自在のA形態、又は、前記高さ・角度調整部が取り付けられた一本の長尺状の筒状体のB形態であることを特徴とする請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記固定支持部の上端から長手方向に突設された軸受部の貫通孔に挿通された軸に、及び/又は、前記固定支持部の下端から長手方向に突設された軸受部の貫通孔に挿通された軸に、レバー操作で開閉可能なレバー締付式クランプの基部を回転自在に軸支し、該レバー締付式クランプを前記移動体に対し任意の角度で固定できるように首振り可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の連結装置。
【請求項4】
略棒状体の前記連結部の形態が、周方向の捻じれ変形せずに半径方向で横方向のみに屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第一形態、周方向の捻じれ変形せずに360°半径方向に屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第二形態、又は、剛性を有する棒状体の部材を備えた第三形態であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が押す車椅子、ベッド、歩行器具等の移動体で、点滴台、酸素ボンベ移動台、胃瘻治療用移動台、腸瘻治療用移動台等の小型医療機器設置台をけん引するために連結する連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に取り付け可能な補助部材と、この補助部材に着脱自在に取り付けられる第1取付部材と、点滴台の支柱に係合可能の第2取付部材と、前記第1取付部材と前記第2取付部材とを連結する連結部材と、を有し、前記連結部材は、柔軟性を有し、前記第2取付部材は、前記支柱の出入を可能にする開口部を備えて前記支柱に係合する枠状の本体部と、前記開口部の一端部側にて前記本体部に回転可能に設けられ、その先端が前記開口部の他端部側にて前記本体部の内面に係止される開閉部材と、を有する連結治具が開示され、前記第1取付部材は、頭部及びネジ部を有するボルトと、前記ネジ部に嵌合される筒状の弾力性を有する膨出部材と、前記ボルトに螺合し、前記頭部との間で前記膨出部材を長手方向に押し込んで、前記膨出部材の外径を増減するナットと、を有し、ベッド、ストレッチャ又は車椅子に設けられたパイプ内に前記膨出部材が挿入されて、前記頭部と前記ナットとの間の間隔を調整することにより、前記膨出部材を膨出させて、前記パイプに前記膨出部材を摩擦係合させることで固定化させている。
【0003】
特許文献2には、輸液や医療機器を装備できる車輪付きスタンドを車椅子に取付固定するための連結装置であって、本体部と、本体部の後方に連結された連結腕部と、この連結腕部の後方に連結された前 記車輪付きスタンドの支柱部を固定するスタンド固定部とから成り、前記本体部の前方部で前記車椅子の背面側の一フレームと連結固定され、前記連結腕部 は前後方向に伸縮し、及び/又は、その中間部で屈曲することができ、この連結腕部の後方部に連結された前記スタンド固定部が点滴スタンドの支柱部と連結し固定できる車椅子用の車輪付きスタンドの連結装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、点滴スタンドに着脱自由に接続される第1クランプと、移動用器具に着脱自由に接続可能な第2クランプと、第1連結棒と、第2連結棒と、前記第1連結棒の一端と前記第2連結棒の一端を1軸回転可能に軸支する1軸回転部と、前記第1連結棒の他端に取り付けられて自由回転する第1自由回転部と、前記第2連結棒の他端に取り付けられて自由回転する第2自由回転部と、前記1軸回転部と前記第1自由回転部と前記第2自由回転部のロックのON/OFFを同時に行うワンロック機構と、を備え、前記第1クランプが前記第1自由回転部に接続され、前記第2クランプが前記第2自由回転部に接続されている点滴スタンド用連結具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6186034号公報
【特許文献2】特開2017-94043号公報
【特許文献3】特開2021-29581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
点滴台は、キャスター3~5脚の台車の中心に垂設した1本の長尺状の棒状体の上端部に吊下げ用フックを有し、前記吊下げ用フックには、輸血ポンプ、尿パック、ドレーンバック、低圧持続吸引器、胸腔ドローン、シリンジポンプ、酸素ボンベ等を吊下げて使用する。前記吊下げフックに重いものを吊り上げると重心が高くなりかつ前記重いものを吊下げた方向に重心が前記棒状体の軸心から離隔するので、重いものを吊下げた点滴台は不安定になり、けん引時に倒れやすくなる。
【0007】
特許文献1の連結治具の移動体への固定手段は、ベッド、ストレッチャ又は車椅子のフレームに追加で取り付けた縦方向のパイプなる補助部材の上端の開口部から挿入して膨出部材を膨出させて摩擦係合させて固定化される構造である。前記補助部材の前記フレームへの固定手段が、特許文献1の図8に示すように車椅子のパイプ状のフレームの外周面に平面視略コ字状の帯状体を接触させて前記略コ字状部の開口部側から前記フレームに嵌合して螺子により螺着固定する形態であるので締付力が弱く、例えば点滴台が病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突するとその衝突力が螺着力を上回ると、前記補助部材が回転し前記パイプ状のフレームからずれ下がる可能性がある。すると、連結治具の取付け高さは、前記補助部材が車椅子等のパイプ状の垂直方向のフレームの下端近傍に落下するので、連結治具の高さが重い物を吊下げ重心が高くなった点滴台の重心の高さより大きく下方に離隔し、前記重心における停止状態を維持しようとする慣性力又は進もうとする慣性力と、点滴台の重心よりかなり低い高さでのけん引力によって、転倒しやすくなるという問題があった。
【0008】
また、連結部材は柔軟性の材料からなるので、けん引中に点滴台が左右に揺動しやすく、例えば車椅子で点滴台をけん引中に点滴台が左右方向で外方に拡がって病院の廊下では他の通行者に衝突したり、点滴台が左右方向で車椅子側に寄ってきて車椅子に衝突したり車椅子を押す人に衝突する危険があるという問題があった。
【0009】
特許文献2の連結装置は、車椅子の縦方向のパイプ状のフレームに、連結装置を平面視略コ字状のもので、その開口部側から前記フレームに嵌合して螺子により螺着固定する形態であるので締付力が弱く、例えば点滴台が病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突するとその衝突力が締付力を上回ると、連結装置が前記フレームからずれ下がったり、左右方向に回転しやすくなる。すると、車椅子の後側の縦方向のフレームに取り付けられ上下方向に変形して前後方向に伸縮する4節リンク機構の伸縮腕部は前記車椅子の左右のハンドル内で後方に延出されているので、車椅子を押す人に衝突する可能性が高いという問題があった。
【0010】
特許文献3の点滴スタンド用連結具は、第1自由回転部のロックは前記第1自由回転部の球体の一部を第1押圧シャフトの狭い棒体の端面で押す形態であるので押圧力が弱く、例えば点滴台が病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突するとその衝突力が押圧力を上回ると、球体と棒体との間で滑りが発生し、前記第1自由回転部から点滴台側の点滴スタンド用連結具が下方に回転したり、左右方向に回転しやすくなって、車椅子を押す人に衝突するという問題があった。
【0011】
また、フレームへの固定手段は、パイプ状のフレームを挟む当接部の形状がV字状であり、V字状を形成する4つの片の平面状の表面にギザギザ面がある樹脂製の第1握手と第2握手を掴み螺子で締め付ける構造であるので、接触面積が線状であることから押圧力が弱く、例えば上下方向のフレームに第1クランプで把持した場合は、点滴台が病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突するとその衝突力が押圧力を上回るとフレームに対して左右方向に当接部が滑り、点滴スタンド用連結具がフレームに対して左右方向に回転して、車椅子を押す人に衝突する可能性が生ずるという問題があった。
【0012】
一方、前後方向のフレームに第1クランプで把持した場合は、ハンドル又はティピングレバーに取り付けることになるので、点滴スタンド用連結具の取付け高さは、高いハンドルの高さ又は、低いティピングレバーの高さに限定されるので、点滴スタンド用連結具の高さを吊りかけた小型医療機器の重量に合わせて点滴台の重心の高さ近傍に調整することは難しいという問題があった。そのため、重い小型医療機器を吊下げた点滴台の高くなった重心から大きく離隔した部位に点滴スタンド用連結具を取り付けてけん引させたときに、点滴台の慣性力が働いて、けん引スタート時や、けん引時の病院の廊下の段差で点滴台が転倒しやすいという問題があった。
【0013】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、車椅子、ベッド、歩行器具等のけん引側の移動体の構造に関わらずに、小型医療機器を吊下げた点滴台等の小型医療機器設置台側の重心に近い高さに取付け高さを調整することができ、けん引側の移動体への強固な固定を実現できる連結装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の連結装置は、移動体と前記移動体に追従させる小型医療機器設置台とを連結する連結装置であって、前記移動体に取付ける牽引側取付部と、前記小型医療機器設置台に取付ける追従側取付部と、前記牽引側取付部と前記追従側取付部を連結する略棒状体の連結部と、を備え、前記牽引側取付部が、長尺状の固定支持部と、前記連結部を、前記固定支持部の軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能で、前記固定支持部に固定可能な高さ・角度調整部と、を有し、前記高さ・角度調整部が、前記固定支持部を挟み込むように、2つの断面半円状体を対構成にて対向配置して形成した貫通穴に挿入させた前記固定支持部の外周面に沿って、前記軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能なスライド・旋回部と、前記固定支持部の外周面を囲繞するように周方向に所定の間隔を設けて装着された、断面が前記固定支持部の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片と、前記複数の分割片の外周面を囲繞するように装着され、前記複数の分割片を前記固定支持部の外周面に押圧により固定するレバー締付式リングクランプとを有する、前記スライド・旋回部と一体的に連結させた高さ・角度固定部と、を備え、前記スライド・旋回部が、軸方向の位置及び前記軸に直角な方向の回転角度を調整後に、前記高さ・角度固定部により前記スライド・旋回部を前記固定支持部に固定することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の連結装置は、請求項1において、前記固定支持部の形態が、前記高さ・角度調整部が取り付けられた長尺状の挿入側筒状体が、長尺状の被挿入側筒状体の上端側から内側に挿入されて長手方向に伸縮自在のA形態、又は、前記高さ・角度調整部が取り付けられた一本の長尺状の筒状体のB形態であることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の連結装置は、請求項1又は2において、前記固定支持部の上端から長手方向に突設された軸受部の貫通孔に挿通された軸に、及び/又は、前記固定支持部の下端から長手方向に突設された軸受部の貫通孔に挿通された軸に、レバー操作で開閉可能なレバー締付式クランプの基部を回転自在に軸支し、該レバー締付式クランプを前記移動体に対し任意の角度で固定できるように首振り可能としたことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の連結装置は、請求項1~3のいずれかにおいて、略棒状体の前記連結部の形態が、周方向の捻じれ変形せずに半径方向で横方向のみに屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第一形態、周方向の捻じれ変形せずに360°半径方向に屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第二形態、又は、剛性を有する棒状体の部材を備えた第三形態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の連結装置は、車椅子、ベッド、歩行器具等の人が押す移動体の構造にかかわらず、点滴台、酸素ボンベ移動台、胃瘻治療用移動台、腸瘻治療用移動台等の小型医療機器設置台の重心近辺の高さに連結部を取り付けることができることから、前記小型医療機器設置台をけん引開始時及びけん引中において点滴台等の小型医療機器設置台が倒れる危険がなくなるという効果を奏する。
【0019】
前記連結部の高さを小型医療機器設置台の重心の高さ近傍にもっていく調整と、前記連結部を押す人の邪魔にならないように向きを変えるための水平方向の角度の調整とを、1つの前記スライド・旋回部を手で握って容易に調整することができ、前記レバー締付式リングクランプを閉方向に押すのみで前記スライド・旋回部を容易に固定することができるという効果を奏する。
【0020】
前記連結部を水平方向で360°旋回可能であるので、移動体例えば車椅子の右側又は左側のどちらにも取り付けることができ、車椅子を押す人の邪魔にならないように水平方向の角度で連結部の向きを変えて前記移動体に固定することができる。
【0021】
前記スライド・旋回部の固定支持部への固定に、前記固定支持部の外周面を囲繞するように周方向に所定の間隔を設けて装着された、断面が前記固定支持部の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片に押圧をかけて固定させることにより、前記分割片の広い面積が前記固定支持部の外周面に接触した状態で押圧するので極めて高い押圧力が得られ強固に固定できるので、病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突したときに前記固定支持部に対して前記スライド・旋回部がずれないという効果を奏する。また、車椅子への固定支持部の取付は、上端を略前後方向のハンドルで、下端を略前後方向のティピングレバーにそれぞれレバー締付式リングクランプである連結クランプで把持させているので、前記車椅子に対する前記固定支持部は、病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突したときに上下方向はずれず、左右方向もずれない。
【0022】
また、前記連結部は不使用時には、略水平方向の状態から略垂直方向に方向転換でき、平面視でハンドルの下方にコンパクトに納めることができるので、例えば車椅子を不使用時に左右側から折り畳むときに、本発明の連結装置を車椅子から取り外さなくても車椅子を左右から折り畳むことが容易にできるという効果を奏する。
【0023】
請求項2に記載の連結装置は、伸縮可能な固定支持部のA形態は、把持可能な部位の上下方向の間隔が長い部位、例えば車椅子のハンドルとティピングレバーとの両方への同時取付、又はベッドの脚部と柵との両方への同時取付等に適し、伸縮しない固定支持部のB形態は、把持可能な部位の上下方向の間隔が短い、例えばベッドの柵への取付等に適する。
【0024】
請求項3に記載の連結装置は、例えば、車椅子の上部のハンドル部位は三次元で曲線状の変化しているが、そのような三次元変化部位であっても、レバー式クランプを回転させて車椅子のハンドル部位の屈曲部に、その屈曲部の斜めに対して直角方向でしっかりと把持することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項4に記載の連結装置は、前記連結部の形態が3形態あり、いずれの形態の連結部でも装着することができ、例えば病院内の通路が広く、エレベーター室内が広く、看護師・医者・入院患者の通行が少ないところでは剛性を有する棒状体の部材を備えた第三形態の連結部を使用でき、病院内の通路が狭く、エレベーター室内が狭く、看護師・医者・入院患者の通行が多いところでは、車椅子、ベッド又は歩行器具に小型医療機器設置台を容易に近づけることができる、周方向の捻じれ変形せずに半径方向で一方向のみに屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第一形態、あるいは、周方向の捻じれ変形せずに360°半径方向に屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備え、かつ安価にできる第二形態を使用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の連結装置の右側面視の概要部である。
図2】本発明の連結装置の左側面視の概要部である。
図3図2におけるA部拡大図で、高さ・角度調整部の拡大図である。
図4図3におけるB―B断面図で、高さ・角度固定部の断面図である。但し、レバー締付式リングクランプは断面にせず、分割片と挿入側筒状体を断面表示している。
図5図3におけるC―C断面図で、スライド・旋回部の断面図である。但し、連結部は断面にせず、スライド・旋回部を断面表示している。
図6図2にけるE部拡大図で、被挿入側筒状体に挿入側筒状体を挿入した状態でレバー式クランプを省略した説明図であり、(a)は外観図で、(b)は(a)のD―D断面図である。
図7】被挿入側筒状体に対して挿入側筒状体を移動させて伸縮する固定支持部の伸縮状況説明図である。
図8】高さ・角度調整部を被挿入側筒状体に対して上下方向にスライドさせる状況の説明図である。
図9】高さ・角度調整部を被挿入側筒状体に対して左右方向に回転させる状況の説明図で、(a)は回転方向で後方にまっすぐの角度にした状態を示す図で、(b)は回転方向で(a)の角度から回転させた状態の説明図である。
図10】レバー式クランプの回転の説明図で、(a)は挿入側筒状体の上端のレバー式クランプのみが回転可能な形態の説明図で、(b)は挿入側筒状体の上端と被挿入側筒状体の下端の両方のレバー式クランプが回転可能な形態の説明図である。
図11】固定支持部を長手方向に伸縮させる構成の説明図で、挿入側筒状体を被挿入側筒状体の中に挿入させる方向に付勢力を有するバネ部と、該付勢力による挿入を止めるレバー締付式リングクランプ部との説明図である。
図12】本発明の連結装置で車椅子と点滴台を連結した状態の説明図である。
図13】比較例の連結具の取付け高さが、車椅子の縦方向のパイプ状のフレームの下端近傍になった場合の説明図である。
図14】連結部が、周方向の捻じれ変形せずに360°半径方向に屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第二形態の一例を示す説明図で、(a)が外観図で、(b)は長手方向断面図である。
図15】連結部が、周方向の捻じれ変形せずに半径方向で横方向のみに屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第一形態の一例を示す説明図で、(a)は横方向のみに屈曲可能なチェーンを内蔵した説明図で、(b)は直線状に復元可能な付勢力を有するコイルスプリングをチェーンの外側に設けた説明図である。
図16】連結部が、剛性を有する棒状体の部材を備えた第三形態の一例を示す説明図である。
図17】レバー式クランプの首振り機構の説明図で、(a)は図1におけるT1部拡大図で、(b)は図2におけるT2部拡大図である。
図18】連結部収納の説明図で、(a)は固定支持部に連結部用の係止具を設けた説明図であり、(b)は連結部を下方に回転させて固定支持部に平行状態で係止具に係止させた状態の説明図である。
図19】車椅子に取り付けてから図18(b)の状態にした状態の説明図である。
図20】連結装置を車椅子の右側に取付けたときの平面視の説明図で、(a)は連結部を後方にまっすぐにした状態の説明図で、(b)は連結部を押す人の邪魔にならないように外側に回転させた状態の説明図である。
図21】連結装置を車椅子の左側に取付けたときの平面視の説明図で、(a)は連結部を押す人の邪魔にならないように外側に回転させた状態の説明図で、(b)は連結部を後方にまっすぐにした状態の説明図である。
図22】固定支持部の形態がB形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の連結装置1は、図12に示すように、車椅子、ベッド、歩行器具等の移動体2を移動させるときに、被移動体である、点滴台、酸素ボンベ移動台、胃瘻治療用移動台、腸瘻治療用移動台等の小型医療機器設置台3を人が手で掴んで一緒に移動させることがあり、このときに人が手で小型医療機器設置台3を掴まなくてもよいように、前記小型医療機器設置台3を前記移動体2に連結させてけん引可能にする連結装置1である。
【0028】
本発明の連結装置は、図1図2図12又は図22に示すように、移動体2と前記移動体2に追従させる小型医療機器設置台3とを連結する連結装置1であって、前記移動体2に取付ける牽引側取付部4と、前記小型医療機器設置台3に取付ける追従側取付部5と、前記牽引側取付部4と前記追従側取付部5を連結する略棒状体の連結部6と、を備え、前記牽引側取付部4が、長尺状の固定支持部9と、前記連結部6を、前記固定支持部9の軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能で、前記固定支持部9に固定可能な高さ・角度調整部10と、を有し、前記高さ・角度調整部10が、図3図5に示すように、前記固定支持部9を挟み込むように、2つの断面半円状体21を対構成にて対向配置して形成した貫通穴に挿入させた前記固定支持部9の外周面に沿って、前記軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能なスライド・旋回部20と、前記固定支持部9の外周面を囲繞するように周方向に所定の間隔を設けて装着された、断面が前記固定支持部の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片31と、前記複数の分割片31の外周面を囲繞するように装着され、前記複数の分割片31を前記固定支持部9の外周面に押圧により固定するレバー締付式リングクランプ32とを有する、前記スライド・旋回部20と一体的に連結させた高さ・角度固定部30と、を備え、前記スライド・旋回部20が、軸方向の位置及び前記軸に直角な方向の回転角度を調整後に、前記高さ・角度固定部30により前記スライド・旋回部20を前記固定支持部9に固定する。
【0029】
前記移動体2は、車椅子2a、ベッド、歩行器具などの患者や要介護者が使用する機器を意味し、小型医療機器設置台3は、点滴台3a、酸素ボンベ移動台、胃瘻治療用移動台、腸瘻治療用移動台等の患者や要介護者が移動の際にも治療中等により一緒に移動させなければならない小型医療機器52を吊下げ等した車輪付きの運搬手段を意味する。
【0030】
前記連結装置1は、前記移動体2に取付ける牽引側取付部4と、前記小型医療機器設置台3に取付ける追従側取付部5と、前記牽引側取付部4と前記追従側取付部5を連結する略棒状体の連結部6と、を備える。
【0031】
まず、前記牽引側取付部4について説明する。前記牽引側取付部4は前記移動体2に取付ける部位である。前記牽引側取付部4は、前記固定支持部9と前記高さ・角度調整部10とを有する。
【0032】
前記固定支持部9は、車椅子2a等の移動体2に連結部6を固定する手段であり、前記高さ・角度調整部10は前記連結部6の高さを点滴台3a等の小型医療機器設置台3の重心の高さ近傍の高さに調整し、かつ移動体2を押す人の邪魔にならないように前記連結部6の水平方向の向きを変える手段である。
【0033】
前記固定支持部9の形態は、図1に示すように、前記高さ・角度調整部10が取り付けられた長尺状の挿入側筒状体7が、長尺状の被挿入側筒状体8の上端側から内側に挿入されて長手方向に伸縮自在のA形態の固定支持部9a、又は、図22に示すように、前記高さ・角度調整部10が取り付けられた一本の長尺状の筒状体のB形態の固定支持部9bがある。
【0034】
まず、A形態の前記固定支持部9aについて説明する。前記固定支持部9aは、図1に示すように、上側に上端に連結クランプ12aを有する挿入側筒状体7と、下側に下端に連結クランプ12bを有する被挿入側筒状体8を備え、前記挿入側筒状体7が前記被挿入側筒状体8の内側の空洞に上端側から挿入される。そして、図6に示すように、前記挿入側筒状体7が前記被挿入側筒状体8の内部で左右方向に回転しないようにかつ上下方向でスライド可能に前記被挿入側筒状体8の内周壁の形状を形成させている。前記挿入側筒状体7の外周面の形状、及び前記被挿入側筒状体8の内周面の形状は、前記被挿入側筒状体8の短手方向で軸心から内周面までの距離を前記挿入側筒状体7の短手方向の外周面の円弧状部23の半径より小さい長さにした部位を設ける等により前記挿入側筒状体7を水平方向に回転しないようにすることができ、図6に示す形状に限らず、前記挿入側筒状体7が前記被挿入側筒状体8の内部で左右方向に回転しないようにかつ上下方向でスライド可能な形状であればいずれの形状でもよい。また、円状の内周面を有する高さ・角度調整部10は、前記挿入側筒状体7の外周面の円弧状部23に沿ってスムースに左右方向に回転することができる。
【0035】
そして、図11及び図17に示すように、前記挿入側筒状体7の上端部と連結クランプ12aの基部とを連結する軸14aと、前記被挿入側筒状体8の下端部と連結クランプ12bの基部とを連結する軸14bとにそれぞれ、収縮方向に付勢力を有するバネ16の上下方向の両端にそれぞれ結び付けた紐体17の両端のそれぞれを結び付け、前記挿入側筒状体7の上端と前記被挿入側筒状体8の下端との間隔を常時短縮させる力が働くようにしている。そのため、前記挿入側筒状体7の挿入を止めるために、前記挿入側筒状体7の外周面にレバー締付式リングクランプ15を設けて、レバー閉になった前記レバー締付式リングクランプ15が前記被挿入側筒状体8に挿入されるのを阻止するようにしている。前記固定支持部9を常時短縮させる方向に付勢させているので、前記連結装置1を単体で持ち運び等をするときに前記挿入側筒状体7が前記被挿入側筒状体8から飛び出すことはない。
【0036】
よって、前記固定支持部9aを伸長させるときは、手で前記挿入側筒状体7をつかんで伸長させて、前記レバー締付式クランプ15の下端を前記被挿入側筒状体8の上端に接した状態にしてレバーを閉にすると、前記挿入側筒状体7の挿入は阻止され、前記固定支持部9aの上端と下端との間の長さが固定される。一方、前記固定支持部9aを短縮させるときは、手で挿入側筒状体7をつかんで前記挿入側筒状体7を挿入させていき、前記固定支持部9aの上端と下端との間の長さを所定の長さに短縮して、前記レバー締付式クランプ15の下端を前記被挿入側筒状体8の上端に接した状態にしてレバーを閉にすると、前記挿入側筒状体7の挿入は止められ、前記固定支持部9aの上端と下端との間の長さが固定される。このようにして、車椅子2a等の大きさに応じて連結装置1の固定支持部9aの上端と下端との間の長さを調整することができる。
【0037】
そして、図7の左図に示すように、前記挿入側筒状体7も最も挿入させて前記固定支持部9aを最も短縮した状態にでき、図7の右図に示すように、前記挿入側筒状体7も最も引き出して前記固定支持部9aを最も伸長した状態にすることができ、前記固定支持部9aの長さを長さMの範囲で調整することができる。このように、前記固定支持部9aの上下方向の長さを可変できるので、車椅子2a、ベッド、歩行器具などの移動体2の構造やパイプ間の上下方向の間隔が異なっていても、容易に前記固定支持部9aを前記移動体2に固定することができる。
【0038】
また、図10図17に示すように、前記挿入側筒状体7の上端から長手方向に突設された軸受部13aの貫通孔に挿通された軸18aに、及び/又は、前記被挿入側筒状体8の下端から長手方向に突設された軸受部13bの貫通孔に挿通された軸18bに、レバー操作で開閉可能なレバー締付式の連結クランプ12a、12bの基部を回転自在に軸支し、該連結クランプ12a、12bを前記移動体2に対し任意の角度で固定できるように首振り可能としている。
【0039】
図10(a)に示すように、前記挿入側筒状体7の上端側の連結クランプ12aのみを首振り可能にした形態、図10(b)に示すように、前記挿入側筒状体7の上端側、及び前記被挿入側筒状体8の下端側の両方の連結クランプ12a、12bを首振り可能にした形態がある。例えば、車椅子2aのハンドルの三次元の屈曲部には上端側のレバー締付式の連結クランプ12aを首振りさせて前記ハンドルのパイプに対して直角方向でしっかりと把持させることが容易にでき、車椅子2aの下方にあるティピングレバーに三次元の屈曲部がある場合には下端側のレバー締付式の連結クランプ12bを首振りさせて前記ティピングレバーのパイプに対して直角方向でしっかりと把持させることが容易にできる。
【0040】
次に、連結装置1の構成部材であるB形態の固定支持部9bについて説明する。前記固定支持部9bは、図22に示すように一本の長尺状の伸縮しない筒状体であり、前記形態Aの固定支持部9aの前記挿入側筒状体7と同じ形状を有する。上端に連結クランプ12aを有し下端に連結クランプ12bを有し、円状の内周面を有する高さ・角度調整部10は、前記固定支持部9bの外周面の円弧状部23に沿ってスムースに回転することができる。
【0041】
そして、図22に示すように、前記固定支持部9bの上端から長手方向に突設された軸受部13aの貫通孔に挿通された軸18aに、レバー操作で開閉可能なレバー締付式の連結クランプ12aの基部を回転自在に軸支し、該連結クランプ12aを前記移動体2に対し任意の角度で固定できるように首振り可能とし、及び、前記固定支持部9bの下端から長手方向に突設された軸受部13bの貫通孔に挿通された軸18bに、レバー操作で開閉可能なレバー締付式の連結クランプ12bの基部を回転自在に軸支し、該連結クランプ12bを前記移動体2に対し任意の角度で固定できるように首振り可能としている。前記固定支持部9bの全長は前記固定支持部9aより短くできるので、ベッドの柵に取付けることができる。
【0042】
次に、前記高さ・角度調整部10について説明する。前記高さ・角度調整部10は、前記連結部6を、前記固定支持部9a、9bの軸方向に移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整でき、前記調整後の状態で前記挿入側筒状体7に固定することを可能にする。前記高さ・角度調整部10が、点滴台3a等の小型医療機器設置台3の重心近傍の高さに前記連結部6の高さを合わせるように移動させて固定させる機能を有する。前記高さ・角度調整部10の構成は、固定支持部9aの場合も、固定支持部9bの場合も同じであるので、前記固定支持部9aに取付けた場合で前記高さ・角度調整部10について以下に説明する。固定支持部9bは前記固定支持部9aの前記挿入側筒状体7と略同じ構成である。
【0043】
前記高さ・角度調整部10は、図3図5に示すように、前記固定支持部9(固定支持部9aの場合は前記挿入側筒状体7が該当し、固定支持部9bの場合も前記挿入支持体7と略同じ形態が該当する。)を挟み込むように、2つの断面半円状体21を対構成にて対向配置して形成した貫通穴に挿入させた前記挿入側筒状体7(固定支持部9)の外周面に沿って、前記軸方向にスライド移動自在にかつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に調整可能なスライド・旋回部20と、前記挿入側筒状体7(固定支持部9)の外周面を囲繞するように周方向に所定の間隔を設けて装着された、断面が前記挿入側筒状体7(固定支持部9)の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片31と、前記複数の分割片31の外周面を囲繞するように装着され、前記複数の分割片31を前記挿入側筒状体7(固定支持部9)の外周面に押圧により固定するレバー締付式リングクランプ32とを有する、前記スライド・旋回部20と一体的に連結させた高さ・角度固定部30と、を備え、前記スライド・旋回部20が、前記連結部6の高さ方向となる軸方向の位置及び、前記連結部6の水平方向の向きとなる、前記軸に直角な方向の回転角度を調整後に、前記高さ・角度固定部30により前記スライド・旋回部20を前記挿入側筒状体7に固定する。
【0044】
前記スライド・旋回部20と、前記高さ・角度固定部30とは一体化されており、一体的に左右方向に旋回し、一体的に上下方向にスライドする。前記一体化の構造としては、図3に示すように、前記スライド・旋回部20の一部と前記高さ・角度固定部30の一部とを連結させ一体化する手段があるが、一体化できる構成であればいずれの構造でもよい。例えば、前記スライド・旋回部20の断面半円状体21に突起部11を設け該突起部11に前記高さ・角度固定部30のレバー締付式リングクランプ32を装着させる構成等がある。
【0045】
そして、前記スライド・旋回部20は、図3及び図5に示すように、前記挿入側筒状体7を挟み込むように断面半円状体21を対構成にて対向配置して貫通穴を形成し、該貫通穴に、前記挿入側筒状体7を挿入させて、前記挿入側筒状体7の外周面に沿って、前記軸方向に移動自在に、すなわち上下方向にスライド自在に、かつ前記軸方向に直角な方向に回転自在に、すなわち左右方向に旋回自在に調整することができる。
【0046】
前記スライド・旋回部20により、例えば車椅子2aに前記固定支持部9aを固定させた後に、図8左図に示すように、尿パックなどの小型医療用器具52が軽く、点滴台の重心Gの高さが低めの場合にはその低めの重心Gの近傍に連結部6の高さを調整して取り付けることができ、図8右図に示すように、輸血ポンプ等のように小型医療用器具52が重く、点滴台の重心Gの高さが高めの場合にはその高めの重心の近傍に連結部6の高さを調整して取り付けることができる。図8に示すように、前記スライド・旋回部20により、前記連結部6の取付高さを上下方向で長さNの範囲で調整することができる。前記重心Gの高さは、手でつかんで牽引させてみて転倒しにくい高さを重心近傍として把握する。
【0047】
また、図9(a)及び(b)に示すように、前記挿入側筒状体7の外周面に沿って、対構成にて対向配置して円状の内周面を有する2つの断面半円状体21を左右方向に旋回させて、前記連結部6の向きである左右方向の角度を調整することができる。
【0048】
したがって、前記連結部6を水平方向で360°旋回可能であるので、例えば図20(a)又は図21(b)に示すように、ハンドル65と同じ向きである前後方向で後方にまっすぐな向きでき、図20(b)又は図21(a)に示すように、移動体2を押す人の邪魔にならない外方の向きに連結部6を旋回させて固定させることができるので、例えば車椅子2aの右側又は左側にどちらに取り付けても、車椅子2aを押す人の邪魔にならない向きに連結部6を取り付けて固定することができる。
【0049】
次に、前記高さ・角度固定部30は、図3及び図4に示すように、前記挿入側筒状体7の周方向に沿って、所定の間隔33を設けて装着された、断面が前記固定支持部9(固定支持部9aの場合は前記挿入側筒状体7が該当し、固定支持部9bの場合も前記挿入支持体7と略同じ形態が該当する。)の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片31、例えば4つに分割された分割片31で構成され、前記複数の分割片31は前記挿入側筒状体7(前記固定支持部9)の外周面に、レバー締付式リングクランプ32で固定することができる。
【0050】
例えば図4に示すように、4分割された分割片31の場合には、4つの分割片31を前記挿入側筒状体7(前記固定支持部9)の外周面に、前記分割片31の間に隙間33を形成させながら、前記挿入側筒状体7(前記固定支持部9)の外周面を囲繞するように、4つの前記分割片31それぞれの内面を前記挿入側筒状体7(前記固定支持部9)の外周面に接触させて、前記分割片31の外周面を囲繞したレバー締付式リングクランプ32で押圧をかけると前記隙間33が狭くなって前記分割片31の内周面が前記挿入側筒状体7の外周面に広い面積の全面当りで接触するので、高い押圧力を得ることができた。
【0051】
発明者は、ボルト螺入による固定手段、あるいはスリットを有する断面円弧状片の押圧による固定手段等をトライした結果、前記挿入側支持体7(固定支持部9)の外周面の半径と略同じ半径の円弧状を形成する複数の分割片31によって最も高い押圧力が得られ、例えば牽引中の点滴台3aが病院の廊下の角やエレベーターのドア等に衝突したときに前記挿入側支持体7(固定支持部9)に対して前記スライド・旋回部がずれないという効果が得られた。
【0052】
前記スライド・旋回部20が、軸方向の位置及び前記軸に直角な方向の回転角度を調整後に、前記高さ・角度固定部30により前記スライド・旋回部20を前記挿入側筒状体7に固定する。これにより、図12に示すように、連結部6を、車椅子2a側の構造による所定の高さで取り付けるのではなく、小型医療機器設置台3側の、例えば点滴台3a側の重心Gの高さ近傍の高さに取り付けることができる。これにより、点滴台3aが牽引により転倒する危険性がなくなった。
【0053】
図12に示すように、本発明の連結装置1と、比較例として図13に示すように、車椅子2a側の構造による所定の高さで取り付ける連結器具とを比較する。点滴台3aに吊下げた小型医療用機器52は重いものであり、重心Gは点滴台3aの上方でかつ点滴台3aの軸心より後方Rに離隔した位置にある。この場合、重心Gを床面における位置gは4脚のキャスター51で形成された範囲H内にある。前記位置gは前記範囲H外に移動すると点滴台3aは転倒する。
【0054】
本発明の連結装置1は、車椅子2a側の構造にかかわらず、点滴台3aの重心G近傍の高さに取付けられるので、車椅子2aで点滴台3aを牽引しても重心Gの位置gはキャスター51で形成された範囲H内にあるので転倒しない。
【0055】
一方、比較例の場合は、車椅子2aの下部のティピングレバー近傍の高さに連結部70が取り付けられた状態になった場合は、車椅子2aで点滴台3aを牽引すると、重心Gより低い高さで点滴台3aを牽引するので、前方Fに向けて車椅子2aを牽引すると、牽引する高さよりも高い位置にある重心Gは相対的に後方Rにずれ、重心Gの位置gはキャスター51で形成された範囲H外にはみ出るので転倒する。
【0056】
このように、本発明の連結装置1を、車椅子2a側の構造に左右されずに点滴台3aの重心の高さ近傍で取り付けができるので、牽引される側の重心G近傍の高さで牽引することにより、牽引される例えば点滴台3aの転倒を防止することができる。
【0057】
次に、連結部6について説明する。前記連結部6は、略棒状体の前記連結部7の形態であり、図15(a)及び(b)に示すように、周方向の捻じれ変形せずに半径方向で横方向のみに屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第一形態41、図14(a)及び(b)に示すように、周方向の捻じれ変形せずに360°半径方向に屈曲可能で、直線状に復元可能な付勢力を有する部材を備えた第二形態42、又は、図16に示すように、剛性を有する棒状体の部材を備えた第三形態43がある。
【0058】
前記第一の形態41の連結部6は、図15(a)に示すように、周方向の捻じれ変形せずに半径方向で横方向のみに屈曲可能なものとして例えばチェーン55を使用し、図15(b)に示すように、直線状に復元可能な付勢力を有する部材として例えばコイルスプリング56を使用する。
【0059】
前記第二の形態42の連結部6は、図14(a)及び(b)に示すように、周方向の捻じれ変形せずに360°半径方向に屈曲可能部材57は、例えば、長手方向中心線に対して対称となる方向で細材を交差させて編み込んだ略筒状の補強層を備えた筒状体、撚り線の方向が長手方向中心線に対して対称となるように撚った2つの撚り材の一方の筒状の撚り材の貫通穴に他方の棒状又は筒状の撚り材を挿入した撚り材積層構造部を備えた棒状体、複数の撚り線の方向が長手方向中心線に対して対称となるようにかつ複数の撚り線が交差状態となるように撚られた交差構造撚り体を備えた筒状体がある。
【0060】
また、直線状に復元可能な付勢力を有する付勢部材58は、例えば、前記屈曲可能部材の全体を挿入可能な、前記屈曲可能部材の全長に亘り直線方向に付勢力を有するコイルスプリング、前記屈曲可能部材の全体に亘って添設され、前記屈曲可能部材の全長に亘り直線方向に付勢力を有する棒状や板状のバネ材、ゴム材、グラスファイバー又はカーボンファイバー、筒状の前記屈曲可能部材の貫通穴に挿入可能な、前記屈曲可能部材の全長に亘り直線方向に付勢力を有する棒状や板状のバネ材又はゴム材、あるいは、屈曲可能な関節部に設けるトーションバネがある。
【0061】
前記第一の形態41及び前記第二の形態42の場合は、例えば病院内の狭い廊下で行き交う人との衝突防止のために小型医療機器設置台3の点滴台を、移動体2の車椅子側に引き寄せるときや、エレベーターに乗る時に点滴台を車椅子側に寄せたいときに、容易に点滴台を車椅子に引き寄せることができる。
【0062】
また、直線状に復元可能な付勢力を有する部材によって、牽引時に屈曲可能部材を有していても自律的に直線状に復元するので、押す人に接触することがなく安全に牽引することができる。
【0063】
前記第三の形態43の連結部6は、図16に示すように、剛性体59としては、直線状の筒状体、又は直線状の棒状体があるが、軽量化には例えばアルミニウム製パイプが好ましい。前記第三の形態43の場合は、例えば病院内の廊下が広い場合や、エレベーターの中がベッドも入れる広い大型エレベーターの場合に、点滴台を車椅子側に引き寄せることはしなくてよいので適する。
【0064】
次に、前記連結部6を不使用時の収納について説明する。前記連結部6は使用状態の図18(a)に示すように連結部6が後方に略水平方向にして使用された後に、不使用時には図18(b)に示すように、軸61を回転中心として、水平方向の状態から垂直方向の状態に変え固定支持部9aに近接させて、図19に示すように、平面視でハンドル65の下方にコンパクトにすることができるので、例えば車椅子2aを不使用時に左右側から折り畳むときに、本発明の連結装置1を車椅子2aから取り外さなくてもよいという効果を奏する。
【0065】
次に、追従側取付部5について説明する。前記追従側取付部5は、前記連結部6の自由端側であって前記小型医療機器設置台3に取付ける側に取付けた、例えばレバー締付式の連結クランプ12cがある。前記追従側取付部5は、点滴台3a、酸素ボンベ移動台、胃瘻治療用移動台、又は、腸瘻治療用移動台等の小型医療機器設置台3を構成するパイプ材や棒材を把持可能なクランプであればいずれでもよい。
【0066】
本発明の連結装置1では、例えば車椅子2aのパイプや点滴台3aのパイプに取付ける固定手段は、すべて指でレバーを閉にするとリング状のクランプがリング状の輪の直径を小さくして押圧による固定させる手段であるので、手で容易に締め付け押圧をかけて固定させることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 連結器具
2 移動体
3 小型医療機器設置台
4 牽引側取付部
5 追従側取付部
6 連結部
7 挿入側筒状体
8 被挿入側筒状体
9 固定支持部
10 高さ・角度調整部
11 突起部
12 連結クランプ
13 軸受部
14 軸
15 レバー締付式クランプ
16 バネ
17 紐体
18 軸
20 スライド・旋回部
21 断面半円状体
23 円弧状部
30 高さ・角度固定部
31 分割片
32 レバー締付式リングクランプ
33 間隔
41 第一の形態
42 第二の形態
43 第三の形態
51 キャスター
52 小型医療機器
55 チェーン
56 コイルスプリング
57 屈曲可能部材
58 付勢部材
59 剛性体
60 係止具
61 軸
65 ハンドル
70 連結部
G 重心
H 範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22