(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076174
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】部品の誤使用防止システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189418
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】北原 章雄
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】金田 陽助
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA36
3C100AA38
3C100AA62
3C100BB05
3C100BB13
3C100CC02
3C100DD05
3C100DD15
3C100DD22
3C100DD32
(57)【要約】
【課題】部品が設備に誤投入された場合に、その誤投入された部品の誤使用を適切に防止する。
【解決手段】部品の誤使用防止システムは、投入単位の部品毎に設けられている当該部品を識別するための部品識別情報を取得する部品識別情報取得部と、複数の設備の投入箇所毎に設けられている当該投入箇所を識別するための投入箇所識別情報を取得する投入箇所識別情報取得部と、前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とを照合する情報照合部と、前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブルに書き込む部品投入エラー履歴書き込み部と、前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブルに書き込む部品投入エラー書き込み部と、部品投入エラーが前記部品ポカヨケテーブルに書き込まれると、前記設備の次サイクルの運転を不許可とする運転制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入単位の部品毎に設けられている当該部品を識別するための部品識別情報を取得する部品識別情報取得部と、
複数の設備の投入箇所毎に設けられている当該投入箇所を識別するための投入箇所識別情報を取得する投入箇所識別情報取得部と、
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とを照合する情報照合部と、
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブルに書き込む部品投入エラー履歴書き込み部と、
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブルに書き込む部品投入エラー書き込み部と、
部品投入エラーが前記部品ポカヨケテーブルに書き込まれると、前記設備の次サイクルの運転を不許可とする運転制御部と、を備える部品の誤使用防止システム。
【請求項2】
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しなかった場合に前記投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であるか否かを判定する不一致時ポカヨケ対象判定部を備え、
前記部品投入エラー履歴書き込み部は、前記投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると前記不一致時ポカヨケ対象判定部により判定された場合に、前記部品投入エラー履歴を前記部品投入エラー履歴テーブルに書き込み、
前記部品投入エラー書き込み部は、前記投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると前記不一致時ポカヨケ対象判定部により判定された場合に、前記部品投入エラーを部品ポカヨケテーブルに書き込む請求項1に記載した部品の誤使用防止システム。
【請求項3】
前記部品投入エラー履歴の対象とする部品であるか否かを判定するエラー履歴対象判定部と、
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致すると、前記部品投入エラー履歴の対象とする部品でないと前記エラー履歴対象判定部により判定された場合に、部品使用履歴を部品使用履歴テーブルに書き込む部品使用履歴書き込み部と、を備える請求項1又は2に記載した部品の誤使用防止システム。
【請求項4】
前記部品投入エラー履歴の対象とする部品であるか否かを判定するエラー履歴対象判定部と、
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致すると、前記部品投入エラー履歴の対象とする部品であると前記エラー履歴対象判定部により判定された場合に、前記部品ポカヨケテーブルの前記部品投入エラーをリセットする部品投入エラーリセット部と、を備える請求項1又は2に記載した部品の誤使用防止システム。
【請求項5】
前記部品ポカヨケテーブルの前記部品投入エラーを前記部品投入エラーリセット部がリセットした後に、部品使用履歴を部品使用履歴テーブルに書き込む部品使用履歴書き込み部を備える請求項4に記載した部品の誤使用防止システム。
【請求項6】
前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致した場合に前記投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であるか否かを判定する一致時ポカヨケ対象判定部と、
前記投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると前記一致時ポカヨケ対象判定部により判定された場合に、部品投入正常を部品ポカヨケテーブルに書き込む部品投入正常書き込み部と、を備える請求項1から5の何れか一項に記載した部品の誤使用防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、部品の誤使用防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば製造ライン等において、設備に投入される部品毎に設けられている当該部品を識別するための部品識別情報を読み取り、その読み取った部品識別情報を、予め登録されている登録情報と照合して当該投入される部品が正しいか否かを判定し、投入される部品が正しくないと判定すると、警告を出力するシステムが供されている(例えば特許文献1から3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-254537号公報
【特許文献2】特開2003-76412号公報
【特許文献3】特開2007-199751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1から3に開示されている構成では、単に投入される部品が正しくないと判定した場合に警告を出力するだけであり、部品が設備に誤投入された場合に、その誤投入された部品の誤使用を完全に防止することができなかった。
【0005】
実施形態は、上記した事情に鑑みたものであり、その目的は、部品が設備に誤投入された場合に、その誤投入された部品の誤使用を適切に防止することができる部品の誤使用防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る部品の誤使用防止システムは、投入単位の部品毎に設けられている当該部品を識別するための部品識別情報を取得する部品識別情報取得部と、複数の設備の投入箇所毎に設けられている当該投入箇所を識別するための投入箇所識別情報を取得する投入箇所識別情報取得部と、前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とを照合する情報照合部と、前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブルに書き込む部品投入エラー履歴書き込み部と、前記部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブルに書き込む部品投入エラー書き込み部と、部品投入エラーが前記部品ポカヨケテーブルに書き込まれると、前記設備の次サイクルの運転を不許可とする運転制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る部品の誤使用防止システムの全体構成図
【
図13】運転再開時の部品ポカヨケテーブルを示す図
【
図14】運転再開時の部品ポカヨケテーブルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、部品の誤使用防止システム1において、サーバ2は、基幹ネットワーク3を介して第1製造ライン4、第2製造ライン5及び第3製造ライン6とデータ通信可能に接続されている。基幹ネットワーク3は、例えばイーサーネット等のデータ通信線により構成されている。本実施形態では3本の製造ライン4~6を例示しているが、製造ラインは2本以下でも良いし4本以上でも良い。製造ライン4~6は、設備数等の規模が異なるが、基本的に同等の構成である。以下、第1製造ライン4について説明する。
【0009】
第1製造ライン4は、第1パーソナルコンピュータ(以下、PC(Personal Computer)と称する)端末7と、第2PC端末8とを備える。第1PC端末7及び第2PC端末8は、それぞれ上記した基幹ネットワーク3を介してサーバ2とデータ通信可能に接続されており、基幹ネットワーク3を介してサーバ2にアクセス可能となっている。第1PC端末7は、スキャナネットワーク9を介して複数のスキャナ10とデータ通信可能に接続されている。スキャナネットワーク9は、例えばイーサーネット等のデータ通信線により構成されている。スキャナ10は、作業者により扱われる機器であり、画像を光学的に読み取り、その読み取った画像の画像データをデジタル信号に変換する。本実施形態では2個のスキャナ10がスキャナネットワーク9に接続されている構成を例示しているが、スキャナ10は1個でも良いし3個以上でも良い。
【0010】
第2PC端末8は、設備ネットワーク11を介してライン管理プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLC(Programmable Logic Controller)と称する)12とデータ通信可能に接続されている。設備ネットワーク10は、例えばイーサーネット等のデータ通信線により構成されている。第1製造ライン4には設備A~Cの3個の設備が配置されており、設備毎にPLCが配置されている。即ち、設備Aには設備AのPLC13が配置され、設備Bには設備BのPLC14が配置され、設備Cには設備CのPLC15が配置されている。ライン管理PLC12は、設備ネットワーク11を介して設備AのPLC13、設備BのPLC14、設備CのPLC15とデータ通信可能に接続されている。各設備のPLC13~15は運転制御部に相当する。本実施形態では3台の設備のPLC13~15が設備ネットワーク11に接続されている構成を例示しているが、設備のPLCは2台以下でも良いし4台以上でも良い。
【0011】
設備A~Cに投入される部品には部品ラベルが貼付されている。部品ラベルには例えばバーコートやQRコード(登録商標)等のコード情報の画像により64桁の数字が部品識別情報として記録されている。部品識別情報は部品毎にユニークな情報である。64桁の数字の内訳は、例えば部品名称10桁、図面番号12桁、ロット番号16桁、数量5桁、製造日6桁、サプライヤコード11桁、連番4桁である。作業者がスキャナ10によりコード情報の画像を読み取る操作を行うことで部品識別情報が読み取られる。スキャナ10は、コード情報の画像を読み取ると、その読み取った画像の画像データに記録されている部品識別情報と、そのコード情報の画像を読み取ったスキャナ10を特定可能なスキャナIDとを含む部品識別信号をデジタル信号によりスキャナネットワーク9を介して第1PC端末7へ送信する。
【0012】
設備A~Cには部品の投入箇所毎にカンバンラベル16~19が貼付されている。本実施形態では、設備Aには1箇所の投入箇所に対して1枚のカンバンラベル16(カンバンラベルa)が貼付され、設備Bには2箇所の投入箇所に対して別々の2枚のカンバンラベル17,18(カンバンラベルb,b´)が貼付され、設備Cには1箇所の投入箇所に対して1枚のカンバンラベル19(カンバンラベルc)が貼付されている場合を例示している。投入箇所が増えるほどカンバンラベルの枚数が増えることになる。カンバンラベル16~19には例えばバーコートやQRコード等のコード情報により14桁の数字が投入箇所識別情報として記録されている。投入箇所識別情報は投入箇所毎にユニークな情報であり、14桁の数字の内訳は、例えば図面番号12桁、装置コード2桁である。作業者がスキャナ10によりコード情報の画像を読み取る操作を行うことで投入箇所識別情報が読み取られる。スキャナ10は、コード情報の画像を読み取ると、その読み取った画像の画像データに記録されている投入箇所識別情報と、そのコード情報の画像を読み取ったスキャナ10を特定可能なスキャナIDとを含む投入箇所識別信号をデジタル信号によりスキャナネットワーク9を介して第1PC端末7へ送信する。
【0013】
カンバンラベル16~19の図面番号12桁は、そのカンバンラベル16~19が貼付されている設備に投入されるべき部品の図面番号12桁である。即ち、部品ラベルの図面番号12桁とカンバンラベル16~19の図面番号12桁とが一致した場合は、その部品ラベルが貼付されている部品と、その部品が投入されるべき設備との対応付けが正しく、部品が設備に正常に投入されたことを意味する。一方、部品ラベルの図面番号12桁とカンバンラベル16~19の図面番号12桁とが一致しなかった場合は、その部品ラベルが貼付されている部品と、その部品が投入されるべき設備との対応付けが正しくなく、部品が設備に正常に投入されずに誤投入されたことを意味する。
【0014】
次に、サーバ2が管理するデータベース20と、第1PC端末7とについて
図2を参照して説明する。第1PC端末7は、基幹ネットワーク3を介してサーバ2のデータベース20にアクセス可能となっている。データベース20は、装置名称マスタテーブル21と、部品使用履歴テーブル22と、部品マスタテーブル23と、部品投入エラー履歴テーブル24と、部品ポカヨケテーブル25とを格納している。
【0015】
装置名称マスタテーブル21は、
図3に示すように、装置名称ID、製造ラインID、装置コード及び装置名称を一単位とするレコードを記録し、システム側で登録されるテーブルである。装置名称IDは、設備毎のユニークなIDである。製造ラインIDは、設備が配置されている製造ラインを特定可能なIDである。装置コードは、設備に付与されているコードである。装置名称は、設備に付与されている名称である。製造ラインに設備が追加されると、その追加された設備のレコードが追加され、製造ラインから設備が削除されると、その削除された設備のレコードが削除される。
【0016】
部品使用履歴テーブル22は、
図4に示すように、部品使用ID、バーコード、部品名称、図面番号、ロット番号、使用日時、スキャナID及び製造ラインIDを一単位とするレコードを記録し、部品が設備に正常に投入される毎にレコードが追加されるテーブルである。部品使用IDは、正常に投入された部品を特定可能なIDであり、使用日時が古いいほど小さい値である。即ち、部品使用IDが最大値のレコードは、直近で正常に投入された部品のレコードである。バーコード、部品名称、図面番号、ロット番号、使用日時は、それぞれ正常に投入された部品に貼付されているバーコードに記録されているデータ、部品の名称、図面の番号、ロットの番号、正常に投入された日時である。スキャナIDは、その部品に貼付されているバーコードの画像を読み取ったスキャナ10を特定可能なIDである。製造ラインIDは、部品の投入先の設備が配置されている製造ラインを特定可能なIDである。
【0017】
部品マスタテーブル23は、
図5に示すように、部品ID、部品名称及び図面番号を一単位とするレコードを記録し、システム側で登録されるテーブルである。部品IDは、部品毎のユニークなIDである。部品名称は、部品に付与されている名称である。図面番号、投入される部品に貼付されているバーコードに記録されている図面の番号である。製造ラインに投入されるべき部品が追加されると、その追加された部品のレコードが追加され、製造ラインに投入されるべき部品が削除されると、その削除された部品のレコードが削除される。
【0018】
部品投入エラー履歴テーブル24は、
図6に示すように、エラー履歴ID、カンバン、バーコード、部品名称、図面番号、ロット番号、使用日時、製造ラインID及びスキャナIDを一単位とするレコードを記録し、部品が設備に誤投入される毎にレコードが追加されるテーブルである。部品使用IDは、誤投入された部品を特定可能なIDであり、使用日時が古いほど小さい値である。即ち、エラー履歴IDが最大値のレコードは、直近で誤投入された部品のレコードである。カンバンは、部品が誤投入された設備のカンバンラベルに貼付されているバーコードに記録されているデータである。バーコード、部品名称、図面番号、ロット番号、使用日時は、それぞれ誤投入された部品に貼付されているバーコードに記録されているデータ、部品の名称、図面の番号、ロットの番号、誤投入された日時である。製造ラインIDは、部品の投入先の設備が配置されている製造ラインを特定可能なIDである。スキャナIDは、その部品に貼付されているバーコードの画像を読み取ったスキャナ10を特定可能なIDである。
【0019】
部品ポカヨケテーブル25は、
図7に示すように、製造ラインID、部品ID、装置コード、ポカヨケ対象フラグ、ポカヨケ結果及びエラー履歴IDを一単位とするレコードを記録し、ポカヨケの発生状況を管理するテーブルである。ポカヨケ対象フラグは、システム側で登録される情報であり、ポカヨケ対象とする場合には「1」が書き込まれ、ポカヨケ対象としない場合には「0」が書き込まれる。ポカヨケ結果は、部品が投入される毎の正常に投入されたか否かを示す情報であり、正常に投入された場合には「1」が書き込まれ、正常に投入されずに誤投入された場合には「2」が書き込まれる。エラー履歴IDは、前述した部品投入エラー履歴テーブル24のエラー履歴IDと対応する。尚、部品ID「2」の部品を装置コード「01」の装置と「02」の装置で使用するように同じ部品を複数の装置で使用することがあり得るので、その場合は、それぞれにレコードを用意する。
【0020】
図7では、製造ラインID「1」の製造ラインにおいて、部品ID「4」の部品が、装置コード「01」の設備に投入されることが正常であるのに対し、部品の誤投入が発生したことを記録している。この場合、エラー履歴ID「1」を辿ることで、部品投入エラー履歴テーブル24により、部品名称「BUHIN_A001」の部品が設備に誤投入されたことを認識可能となる。又、製造ラインID「1」の製造ラインにおいて、部品ID「7」の部品が、装置コード「03」の設備に投入されることが正常であるのに対し、部品の誤投入が発生したことを記録している。この場合、エラー履歴ID「2」を辿ることで、部品投入エラー履歴テーブル24により、部品名称「BUHIN_B001」の部品が設備に誤投入されたことを認識可能となる。
【0021】
第1PC端末7は、制御部26を有する。制御部26は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/O(Input/Output)等を有するマイコンを主体として構成されている。ROMには第1PC端末7を制御する制御プログラムが格納されており、制御部26は、CPUにより制御プログラムを読み込んで実行することで第1PC端末7の動作を制御する。
【0022】
制御部26は、部品履歴管理アプリ27の機能として、部品識別情報取得部26aと、投入箇所識別情報取得部26bと、情報照合部26cと、エラー履歴対象判定部26dと、部品使用履歴書き込み部26eと、部品投入エラーリセット部26fと、一致時ポカヨケ対象判定部26gと、部品投入正常書き込み部26hと、不一致時ポカヨケ対象判定部26iと、部品投入エラー履歴書き込み部26jと、部品投入エラー書き込み部26kとを備える。
【0023】
部品識別情報取得部26aは、スキャナ10から送信された部品識別信号が受信されると、その受信された部品識別信号に含まれる部品識別情報をスキャナIDと共に取得する。投入箇所識別情報取得部26bは、スキャナ10から送信された投入箇所識別信号が受信されると、その受信された投入箇所識別信号に含まれる投入箇所識別情報をスキャナIDと共に取得する。
【0024】
情報照合部26cは、部品識別情報取得部26aにより取得された部品識別情報と、投入箇所識別情報取得部26bにより取得された投入箇所識別情報とを照合し、両者が一致するか否かを判定する。具体的には、情報照合部26cは、64桁の部品識別情報の中の12桁の図面番号と、14桁の投入箇所識別情報の中の12桁の図面番号とを照合し、両者が一致するか否かを判定する。
【0025】
エラー履歴対象判定部26dは、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致した、即ち、部品が設備に正常に投入されたと判定されると、その投入された部品が部品投入エラー履歴の対象とする部品であるか否かを判定する。
【0026】
部品使用履歴書き込み部26eは、投入された部品が部品投入エラー履歴の対象とする部品でないと判定されると、部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込む。部品投入エラーリセット部26fは、投入された部品が部品投入エラー履歴の対象とする部品であると判定されると、部品ポカヨケテーブル25の部品投入エラーをリセットする。部品使用履歴書き込み部26eは、部品ポカヨケテーブル25の部品投入エラーがリセットされると、この場合も、部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込む。
【0027】
一致時ポカヨケ対象判定部26gは、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致したと判定された場合に、ポカヨケ対象フラグが「1」であるか否かを判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であるか否か否かを判定する。
【0028】
部品投入正常書き込み部26hは、ポカヨケ対象フラグが「1」であると判定され、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると判定されると、ポカヨケ結果に「1」を書き込み、部品投入正常を部品ポカヨケテーブル26に書き込む。
【0029】
不一致時ポカヨケ対象判定部26iは、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致しなかったと判定された場合に、ポカヨケ対象フラグが「1」であるか否かを判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であるか否か否かを判定する。
【0030】
部品投入エラー履歴書き込み部26jは、ポカヨケ対象フラグが「1」であると判定され、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると判定されると、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブル24に書き込む。
【0031】
部品投入エラー書き込み部26kは、ポカヨケ対象フラグが「1」であると判定され、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると判定されると、ポカヨケ結果に「2」を書き込み、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブル26に書き込む。
【0032】
次に、第2PC端末8について
図8を参照して説明する。第2PC端末8は、基幹ネットワーク3を介してサーバ2のデータベース20にアクセス可能となっている。
【0033】
第2PC端末8は、制御部28を有する。制御部28は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンを主体として構成されている。ROMには第2PC端末8を制御する制御プログラムが格納されており、制御部28は、CPUにより制御プログラムを読み込んで実行することで第2PC端末8の動作を制御する。
【0034】
制御部28は、部品使用ポカヨケアプリ29の機能として、自己と設備ネットワーク11を介して接続されている全ての設備のポカヨケ情報を、サーバ2から基幹ネットワーク3を介して取得する。ポカヨケ情報とは、部品ポカヨケテーブル25における装置コードとポカヨケ結果との対応付けを示す情報であり、部品が設備に誤投入されたか否かを示す情報である。この場合、サーバ2は、例えば部品ポカヨケテーブル25を更新する毎、即ち、レコードを追加する毎にポカヨケ情報を基幹ネットワーク3を介して第2PC端末8へ送信する。サーバ2は、部品ポカヨケテーブル25を更新する毎に限らず、ポカヨケ情報を基幹ネットワーク3を介して第2PC端末8へ定期的に送信しても良い。
【0035】
第2PC端末8は、サーバ2から送信されたポカヨケ情報が受信されることでポカヨケ情報を取得する。制御部28は、ポカヨケ情報を取得すると、その取得したポカヨケ情報に次サイクルの運転を許可するか禁止するかを示す運転許可禁止情報を付与し、その運転許可禁止情報を付与したポカヨケ情報を設備ネットワーク11を介してライン管理PLC12へ送信する。
【0036】
具体的には、ライン管理PLC12は、
図9に示すように、自己と設備ネットワーク11を介して接続されている設備の台数分のメモリアドレスを確保しており、第2PC端末8から送信されたポカヨケ情報が受信されることでポカヨケ情報を取得すると、そのポカヨケ情報にしたがって次サイクル運転を許可する禁止するかを示す値を所定のメモリアドレスに書き込む。即ち、ライン管理PLC12は、取得したポカヨケ情報のポカヨケ結果の全てに「1」が書き込まれている場合には、その装置に対応するメモリアドレスに次サイクル運転を許可すべく次サイクル運転許可に「0」を書き込む。一方、ライン管理PLC12は、取得したポカヨケ情報のポカヨケ結果の少なくとも何れか一つに「2」が書き込まれている場合には、その装置に対応するメモリアドレスに次サイクル運転を禁止すべく次サイクル運転許可に「1」を書き込む。
図9では、装置コード「03」の装置3について、取得したポカヨケ情報のポカヨケ結果の全てに「1」が書き込まれていることにより、その装置3に対応するメモリアドレスに次サイクル運転を許可すべく次サイクル運転許可に「0」を書き込んだ場合を例示している。又、
図9では、装置コード「01」の装置1及び装置コード「02」の装置2について、取得したポカヨケ情報のポカヨケ結果の少なくとも何れか一つに「2」が書き込まれていることにより、その装置1及び装置2に対応するメモリアドレスに次サイクル運転を禁止すべく次サイクル運転許可に「1」を書き込んだ場合を例示している。ライン管理PLC12は、次サイクル運転許可に値を書き込むと、その書き込み情報を設備ネットワーク11を介して該当する設備のPLC13~15へ送信する。
【0037】
各設備のPLC13~15は、
図10に示すように、ライン管理PLC12から送信された書き込み情報が受信されることで書き込み情報を取得すると、その値を所定のメモリアドレスに書き込む。即ち、各設備のPLC13~15は、取得した書き込み情報が「0」であれば、次サイクル運転を許可すべく次サイクル運転許可に「0」を書き込み、次サイクルの運転を許可する制御を行う。一方、各設備のPLC13~15は、取得した書き込み情報が「1」であれば、次サイクル運転を許可すべく次サイクル運転許可に「1」を書き込み、次サイクルの運転を禁止する制御を行う。
【0038】
次に、上記した構成の作用について
図11から
図14を参照して説明する。
(1)第1PC端末7の処理(
図11参照)
第1PC端末7において、制御部26は、処理を開始すると、作業者がスキャナ10により部品ラベルのコード情報の画像を読み取る操作を行ったことでスキャナ10から送信された部品識別信号が受信されると、その受信された部品識別信号に含まれる部品識別情報を取得する(A1)。制御部26は、作業者がスキャナ10によりカンバンラベル16~19のコード情報の画像を読み取る操作を行ったことでスキャナ10から送信された投入箇所識別信号が受信されると、その受信された投入箇所識別信号に含まれる投入箇所識別情報を取得する(A2)。
【0039】
制御部26は、64桁の部品識別情報の中の12桁の図面番号と、14桁の投入箇所識別情報の中の12桁の図面番号とを照合し、両者が一致するか否かを判定する(A3)。制御部26は、両者が一致し、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致したと判定し、即ち、部品が設備に正常に投入されたと判定すると(A3:YES)、投入された部品が部品投入エラー履歴の対象とする部品であるか否かを判定する(A4)。
【0040】
制御部26は、投入された部品が部品投入エラー履歴の対象とする部品でないと判定すると(A4:NO)、部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込む(A5)。一方、制御部26は、投入された部品が部品投入エラー履歴の対象とする部品であると判定すると(A4:YES)、部品ポカヨケテーブル25の部品投入エラーをリセットした後に(A6)、部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込む(A5)。
【0041】
制御部26は、ポカヨケ対象フラグが「1」であるか否かを判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であるか否か否かを判定する(A7)。制御部26は、ポカヨケ対象フラグが「1」であると判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると判定すると(A7:YES)、ポカヨケ結果に「1」を書き込み、部品投入正常を部品ポカヨケテーブル26に書き込み(A8)、処理を終了する。一方、制御部26は、ポカヨケ対象フラグが「0」であると判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品でないと判定すると(A7:NO)、処理を終了する。
【0042】
これに対し、制御部26は、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致しなかったと判定し、即ち、部品が設備に正常に投入されずに誤投入されたと判定すると(A3:NO)、ポカヨケ対象フラグが「1」であるか否かを判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であるか否か否かを判定する(A9)。制御部26は、ポカヨケ対象フラグが「1」であると判定し、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であると判定すると(A9:YES)、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブル24に書き込み(A10)、ポカヨケ結果に「2」を書き込み、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブル26に書き込み(A11)、処理を終了する。
【0043】
(2)第2PC端末8の処理
第2PC端末8において、制御部28は、処理を開始すると、サーバ2から送信されたポカヨケ情報が受信されることでポカヨケ情報を取得する(B1)。制御部28は、ポカヨケ情報を取得すると、その取得したポカヨケ情報に次サイクルの運転を許可するか禁止するかを示す運転許可禁止情報を付与し(B2)、その運転許可禁止情報を付与したポカヨケ情報を設備ネットワーク11を介してライン管理PLC12へ送信し(B3)、処理を終了する。このとき、ライン管理PLC12が次サイクル運転を許可すべく次サイクル運転許可に「0」を書き込むと、その次サイクル運転許可に「0」が書き込まれたメモリアドレスに該当する設備のPLCは、次サイクルの運転を許可する制御を行い、設備の運転を継続させる。一方、ライン管理PLC12が次サイクル運転を禁止すべく次サイクル運転許可に「1」を書き込むと、その次サイクル運転許可に「1」が書き込まれたメモリアドレスに該当する設備のPLCは、次サイクルの運転を禁止する制御を行い、設備の運転を停止させる。
【0044】
上記したステップA6は、運転が停止された装置に部品が投入されずに運転を再開させるパターンである。部品aの投入時に当該部品aの部品ラベルを読み取り、正しくはカンバンラベルAを読み取るべきところを誤って別のカンバンラベルBを読み取ってしまったことで、そのカンバンラベルBと対応付けられている装置コード「01」の装置1が運転を停止し、改めて部品aの部品ラベルを読み取り、正しいカンバンラベルAを読み取り、部品aを正しい装置コード「02」の装置2へ投入したことで、装置コード「01」の装置1の運転を再開させる場合、制御部26は、
図13に示すように、以下の(1)から(3)の処理を行う。
(1)部品投入エラー履歴テーブル24で、部品aの最新のエラー履歴IDを検索する。
(2)部品ポカヨケテーブル25で、エラー履歴ID「1」のレコードを検索する。
(3)該当するレコードのポカヨケ結果を「2」から「1」へ変更し、エラー履歴IDを「1」から「0」へ変更する。
【0045】
上記したステップA8は、運転が停止された装置に部品が投入されて運転を再開させるパターンである。正しくは部品bの部品ラベルを読み取るべきところを誤って別の部品aの部品ラベルを読み取ってしまい、カンバンラベルBを読み取ったことで、そのカンバンラベルBと対応付けられている装置コード「01」の装置1が運転を停止し、改めて正しい部品bの部品ラベルを読み取り、カンバンラベルBを読み取り、部品bを正しい装置コード「01」の装置1へ投入したことで、装置コード「01」の装置1の運転を再開させる場合、制御部26は、
図14に示すように、以下の(1)から(2)の処理を行う。
(1)部品ポカヨケテーブル25で、カンバンラベルBに対応付けられているレコードを検索する。
(2)該当するレコードのポカヨケ結果を「2」から「1」へ変更し、エラー履歴IDを「1」から「0」へ変更する。
【0046】
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。
部品の誤使用防止システム1において、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致しないと、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブル24に書き込み、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブル25に書き込み、設備の次サイクルの運転を不許可とするようにした。部品が設備に誤投入された場合に、その誤投入された部品の誤使用を適切に防止することができる。
【0047】
部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致しないと、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であることを条件として、部品投入エラー履歴を部品投入エラー履歴テーブル24に書き込み、部品投入エラーを部品ポカヨケテーブル25に書き込み、設備の次サイクルの運転を不許可とするようにした。ポカヨケ対象とするか否かを任意に設定することができ、設備の運転を任意に制御することができる。ポカヨケ対象外を設定しておくことで、部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致しなくても、設備の次サイクルの運転を停止させずに継続させることができる。
【0048】
部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致すると、部品投入エラー履歴の対象とする部品でなければ、部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込むようにした。部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込むことで、部品が設備に正常に投入された履歴を部品使用履歴テーブル22で適切に管理することができる。
【0049】
部品識別情報と前記投入箇所識別情報とが一致すると、部品投入エラー履歴の対象とする部品であれば、部品ポカヨケテーブル25の部品投入エラーをリセットすると共に、部品使用履歴を部品使用履歴テーブル22に書き込むようにした。部品投入エラーをリセットして部品投入エラーの発生前に適切に戻すことができ、部品が設備に正常に投入された履歴を部品使用履歴テーブル22に適切に管理することができる。
【0050】
部品識別情報と投入箇所識別情報とが一致すると、投入箇所識別情報の部品がポカヨケ対象の部品であることを条件として、部品投入正常を部品ポカヨケテーブル25に書き込み、設備の次サイクルの運転を許可とするようにした。ポカヨケ対象とするか否かを任意に設定することができ、設備の運転を任意に制御することができる。
【0051】
以上のように実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0052】
第1PC端末7が行う処理と第2PC端末8が行う処理とを纏めて1台のPC端末で行う構成としても良い。
第1PC端末7と第2PC端末8が製造ライン4~6毎に配置されている構成を例示したが、1台の第1PC端末7や1台の第2PC端末8が複数の製造ライン4~6で共有されていても良く、1台の第1PC端末7や1台の第2PC端末8が複数の製造ライン4~6の構成装置であるラインPLCや各設備のPLCを管理対象とする構成でも良い。
【符号の説明】
【0053】
図面中、1は部品の誤使用防止システム、7は第1PC端末、8は第2PC端末、13~15は設備のPLC(運転制御部)、26は制御部、26aは部品識別情報取得部、26bは投入箇所識別情報取得部、26cは情報照合部、26dはエラー履歴対象判定部、26eは部品使用履歴書き込み部、26fは部品投入エラーリセット部、26gは一致時ポカヨケ対象判定部、26hは部品投入正常書き込み部、26iは不一致時ポカヨケ対象判定部、26jは部品投入エラー履歴書き込み部、26kは部品投入エラー書き込み部である。