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特開2023-76217照明装置、照明装置の駆動方法、車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076217
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】照明装置、照明装置の駆動方法、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20230525BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20230525BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20230525BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20230525BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230525BHJP
   H05B 45/48 20200101ALI20230525BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20230525BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/325
H05B45/375
H05B45/38
H05B45/345
H05B45/48
H05B45/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189505
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】新岡 秀将
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA02
3K273CA01
3K273CA02
3K273CA13
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA27
3K273GA14
3K273GA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光素子を用いた照明装置における放出光の色味の変化を抑えること。
【解決手段】少なくとも1つの第1発光素子と、前記第1発光素子とは発光色の異なる少なくとも1つの第2発光素子と、前記第1発光素子及び前記第2発光素子と接続されており、当該第1発光素子及び第2発光素子へ駆動電圧を供給する電源回路と、前記駆動電圧により生じる電流の前記第1発光素子及び前記第2発光素子の各々への流れを制御する制御回路と、を含み、前記制御回路は、第1期間において前記第1発光素子に第1電流が流れて前記第2発光素子は非導通状態となるように前記電流の流れを制御し、前記第1期間に次ぐ第2期間において前記第1発光素子に前記第1電流よりも相対的に小さい第2電流が流れるとともに前記第2発光素子に第3電流が流れるように前記電流の流れを制御する、照明装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1発光素子と、
前記第1発光素子とは発光色の異なる少なくとも1つの第2発光素子と、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子と接続されており、当該第1発光素子及び第2発光素子へ駆動電圧を供給する電源回路と、
前記駆動電圧により生じる電流の前記第1発光素子及び前記第2発光素子の各々への流れを制御する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、第1期間において前記第1発光素子に第1電流が流れて前記第2発光素子は非導通状態となるように前記電流の流れを制御し、前記第1期間に次ぐ第2期間において前記第1発光素子に前記第1電流よりも相対的に小さい第2電流が流れるとともに前記第2発光素子に第3電流が流れるように前記電流の流れを制御する、
照明装置。
【請求項2】
前記第1期間と前記第2期間からなる周期が繰り返し到来し、
前記制御回路は、各周期において前記電流の流れの制御を行う、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1発光素子は、前記第1期間における発光色の色味が前記第2期間において特定色に近づくようにシフトするものであり、
前記第2発光素子は、発光色の色味が前記特定色との間で補色の関係にある、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、並列接続されており、
前記制御回路は、
前記第2発光素子に対して並列接続された第1定電流源と、
前記第2発光素子に対して直列接続された第2定電流源と、
前記第1定電流源及び前記第2定電流源の各々のオンオフ動作を切り替えるためのパルス信号を生成して前記第1定電流源及び前記第2定電流源の各々に供給するパルス信号供給回路と、
を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記パルス信号供給回路は、
前記第1定電流源に対して前記パルス信号を供給する第1パルス生成回路と、
前記第2定電流源に対して前記パルス信号を供給する第2パルス生成回路と、
を含む、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
少なくとも1つの第1発光素子と、前記第1発光素子とは発光色の異なる少なくとも1つの第2発光素子を含んで構成される照明装置の駆動方法であって、
第1期間において前記第1発光素子に第1電流が流れて前記第2発光素子は非導通状態となるように前記電流の流れを制御し、
前記第1期間に次ぐ第2期間において前記第1発光素子に前記第1電流よりも相対的に小さい第2電流が流れるとともに前記第2発光素子に第3電流が流れるように前記電流の流れを制御する、
照明装置の駆動方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の照明装置を用いて構成される車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置、照明装置の駆動方法、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6151523号公報(特許文献1)には、複数の半導体発光素子が直列接続された発光部に直流電圧を印加するDC-DCコンバータと、複数の半導体発光素子のうち少なくとも1つの半導体発光素子に対して並列に接続された定電流源を含み、定電流源をオンにしている期間においてこの定電流源と並列接続された半導体発光素子に対して相対的に低いアイドル電流を流すように構成された駆動回路が記載されている。
【0003】
しかし、複数の半導体発光素子のうち一部(少なくとも1つ)の半導体発光素子にアイドル電流を流している期間においては、この半導体発光素子の発光色が変動してしまい、発光部全体としても放出光の色味が変わってしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6151523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示に係る具体的態様は、発光素子を用いた照明装置等における放出光の色味の変化を抑えることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本開示に係る一態様の照明装置は、(a)少なくとも1つの第1発光素子と、(b)前記第1発光素子とは発光色の異なる少なくとも1つの第2発光素子と、(c)前記第1発光素子及び前記第2発光素子と接続されており、当該第1発光素子及び第2発光素子へ駆動電圧を供給する電源回路と、(d)前記駆動電圧により生じる電流の前記第1発光素子及び前記第2発光素子の各々への流れを制御する制御回路と、を含み、(e)前記制御回路は、第1期間において前記第1発光素子に第1電流が流れて前記第2発光素子は非導通状態となるように前記電流の流れを制御し、前記第1期間に次ぐ第2期間において前記第1発光素子に前記第1電流よりも相対的に小さい第2電流が流れるとともに前記第2発光素子に第3電流が流れるように前記電流の流れを制御する、照明装置である。
[2]本開示に係る一態様の照明装置の駆動方法は、(a)少なくとも1つの第1発光素子と、前記第1発光素子とは発光色の異なる少なくとも1つの第2発光素子とを含んで構成される照明装置の駆動方法であって、(b)第1期間において前記第1発光素子に第1電流が流れ、前記第2発光素子は非導通状態となるように前記電流の流れを制御し、(c)前記第1期間に次ぐ第2期間において前記第1発光素子に前記第1電流よりも相対的に小さい第2電流が流れるとともに前記第2発光素子に第3電流が流れるように前記電流の流れを制御する、照明装置の駆動方法である。
[3]本開示に係る一態様の車両用灯具は、前記[1]の照明装置を用いて構成される車両用灯具である。
【0007】
上記構成によれば、発光素子を用いた照明装置等における放出光の色味の変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の車両用灯具の構成を示すブロック図である。
図2図2は、各定電流回路の構成例を示す回路図である。
図3図3は、各発光素子を含んで構成される発光体の構成例を示す模式的な斜視図である。
図4図4は、各発光素子に流れる電流を説明するための波形図である。
図5図5(A)は、期間T1における回路動作について説明するための図である。図5(B)は、期間T2における回路動作について説明するための図である。
図6図6は、各発光素子に流れる電流を説明するための波形図である。
図7図7は、補正用の複数の発光素子を並列に接続する場合の回路構成例である。
図8図8は、補正用の複数の発光素子を直列に接続する場合の回路構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態の車両用灯具の構成を示すブロック図である。図示の車両用灯具は、照明装置の一種であり、例えば車幅灯、デイライト(昼間走行灯)などとして車両に搭載して用いられる。この車両用灯具は、車両のバッテリ等の電源2から電力供給を受けて駆動電圧を生成する駆動回路1と、駆動回路1によって生成される駆動電圧によって動作する発光素子3、4を含んで構成されている。
【0010】
駆動回路1は、電源回路10、コントローラ11、2つのPWM回路12、13、2つの定電流回路14、15を含んで構成されている。なお、各PWM回路12、13が第1パルス生成回路、第2パルス生成回路に対応し、これらとコントローラ11を含んでパルス信号供給回路が構成されている。
【0011】
電源回路10は、各発光素子3、4を接続されており、電源2から供給される直流電圧を用いて各発光素子3、4の駆動電圧を生成して各発光素子3、4へ供給する。この電源回路10としては、例えば昇圧型、降圧型ないし昇降圧型のDC-DCコンバータを用いることができる。
【0012】
コントローラ11は、電源回路10、PWM回路12、13と接続されており、電源回路10によって生成される電圧を受けて動作し、PWM回路12、13の動作を制御する。このコントローラ11は、例えばプロセッサを含んで構成されるマイクロコンピュータやFPGAを用いて構成することができる。
【0013】
PWM回路12は、電源回路10、コントローラ11、定電流回路14と接続されており、定電流回路14による定電流生成動作のオンオフを切り替えるためのパルス信号を生成する。
【0014】
PWM回路13は、電源回路10、コントローラ11、定電流回路15と接続されており、定電流回路15による定電流生成動作のオンオフを切り替えるためのパルス信号を生成する。
【0015】
定電流回路14は、PWM回路12と接続され、かつ発光素子4と並列に接続されており、PWM回路12から供給されるパルス信号に応じて定電流生成動作のオン(生成)とオフ(非生成)が切り替わるように動作する。
【0016】
定電流回路15は、PWM回路13と接続され、かつ発光素子4と直列接続されており、PWM回路13から供給されるパルス信号に応じて定電流生成動作のオン(生成)とオフ(非生成)が切り替わるように動作する。より詳細には、定電流回路15は、発光素子4の一方端(カソード)と接続されている。そして、この発光素子4と定電流回路15からなる直列回路は、発光素子3に対して並列に接続されている。
【0017】
発光素子3は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子であり、電源回路10と接続されており、この電源回路10から供給される駆動電圧によって動作して光を放出する。本実施形態では、この発光素子3は、白色光を放出する白色LEDであり、青色LEDとこの青色LEDからの発光を部分的に黄色発光へ変換する蛍光体を含んで構成され、青色LEDからの発光と蛍光体からの発光を混色して擬似的に白色光を作り出すものである。
【0018】
発光素子4は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子であり、電源回路10と接続されており、この電源回路10から供給される駆動電圧によって動作して光を放出する。本実施形態では、この発光素子4は、発光素子3とは異なる発光色の光を放出するものであり、例えば青色光を放出する青色LEDである。
【0019】
図示のように、発光素子3と発光素子4は互いに並列に接続されており、各々の一方端(アノード)が電源回路10の高電位端に接続されている。そして、発光素子3の他方端(カソード)は基準電位端(低電位端)に接続されており、発光素子4の他方端(カソード)は定電流回路15を介して基準電位端に接続されている。
【0020】
図2は、各定電流回路の構成例を示す回路図である。図示の例の定電流回路14は、発光素子4に対して並列接続された電界効果型トランジスタ20と、この電界効果型トランジスタ20の電流入出力端(ソース/ドレイン)の1つと制御端(ゲート)との間に接続された抵抗素子21と、電界効果型トランジスタ20の制御端とPWM回路12との間に接続された抵抗素子22を含んで構成されている。この定電流回路14では、PWM回路12からのパルス信号(PWM信号)を受けて電界効果型トランジスタのオン(導通)とオフ(非導通)が制御され、オン時には定電流が流れ、オフ時には電流が流れない状態となる。
【0021】
また、定電流回路15は、発光素子4に対して直列接続された電界効果型トランジスタ23と、この電界効果型トランジスタ23の電流入出力端(ソース/ドレイン)の1つと制御端(ゲート)との間に接続された抵抗素子24と、電界効果型トランジスタ23の制御端とPWM回路13との間に接続された抵抗素子25を含んで構成されている。この定電流回路15では、PWM回路13からのパルス信号(PWM信号)を受けて電界効果型トランジスタのオン(導通)とオフ(非導通)が制御され、オン時には定電流が流れ、オフ時には電流が流れない状態となる。
【0022】
図3は、各発光素子を含んで構成される発光体の構成例を示す模式的な斜視図である。図示の発光体は、アクリル板(導光板)30と、このアクリル板30の一面側に配置された反射板31と、アクリル板30の他面側に配置された拡散板32を含んで構成されている。各発光素子3、4は、アクリル板30の側面の1つに配置されており、アクリル板30の内部へ光を放射できるように各々の光出射面が配置されている。なお、図示の都合上、省略しているが、アクリル板30の各側面には反射膜が設けられているものとする。各発光素子3、4から放出される光は、アクリル板30の内部で反射を繰り返し、最終的には拡散板32を通してアクリル板30の他面側から出射する。その際、反射板31による反射と拡散板32による拡散を通して各発光素子3、4から放出される光が混合し、アクリル板30の他面側から放出される光の色味はそれぞれの光の色味の混合色となる。つまり、各発光素子3、4からの発光は、適宜な反射面や光拡散面により混色されて同一の出射面から放出することができる。
【0023】
詳細を後述するように、発光素子3に流れる電流の低下によって発光素子3から放射される光の色味が本来の白色から黄色に近づくようにシフトした場合に、発光素子4から放射される青色の光と混合されることで、混合色を白色に近づけるように補正することができる。このような観点からは、発光素子4の発光色は、発光素子3の発光色が電流の低下によってシフトした際に近づく色に対して補色の関係にある色であることが望ましい。本実施形態では、発光素子4として、発光素子3の発光色がシフトした際に近づく色である黄色に対して補色の関係にある青色の光を放出する発光素子が用いられている。
【0024】
図4は、各発光素子に流れる電流を説明するための波形図である。図中、上段の波形図は発光素子3に流れる電流Iの波形図であり、下段の波形図は発光素子4に流れる電流Iの波形図である。図示のように、本実施形態では、発光素子3は、相対的に大きな電流が流れる期間T1と相対的に小さな電流が流れる期間T2を含む周期Tが繰り返し到来するようにして駆動される。周期Tは、例えば数十ヘルツ~数百ヘルツに相当する長さに設定されており、発光素子3から放出される光は人間の目には実質的に連続的に点灯した光と認識される。図示の例では、期間T1と期間T2の長さが等しい場合(デューティ比50%の場合)が示されている。このように、期間T1と期間T2の長さを可変に設定した駆動(すなわちPWM駆動)を行うことで、発光素子3の実効的な明るさを制御することができる。しかし、期間T2においては電流Iが小さくなることから、上記したように発光素子3の発光色が白色から黄色へ近づくようにシフトする現象が生じる。
【0025】
これに対して、本実施形態では、発光素子3の電流Iが相対的に小さくなる期間T2において、これを補うように発光素子4に電流Iが流れる。それにより、発光素子4から青色の光が放出される。そして、この発光素子4からの青色光が発光素子3からの白色光(黄色側へシフトした白色光)に混合されることで、合成光の混合色が白色に近づくように補正することができる。
【0026】
なお、図4に示した例では期間T1における電流Iが0であるが、期間T1における電流Iを0より大きくしてもよい。ただし、期間T2よりは電流Iの大きさが相対的に小さく設定されるものとする。
【0027】
図5(A)は、期間T1における回路動作について説明するための図である。期間T1では、少なくとも定電流回路15がオフとなるようにPWM回路13からのパルス信号によって定電流回路15が制御される。本実施形態ではさらに定電流回路14もオフとなるようにPWM回路12によって定電流回路14が制御される。それにより、発光素子4を含む電流経路には電流が流れず発光素子4は非導通状態となるので、電源回路10の駆動電圧によって生じる全電流Iはすべて発光素子3に流れる。それにより、発光素子3は白色光を放出する。
【0028】
図5(B)は、期間T2における回路動作について説明するための図である。期間T2では、各定電流回路14、15がともにオンとなるようにPWM回路12、13からのパルス信号によって各定電流回路14、15が制御される。定電流回路15に流れる電流(一定電流)に応じて、全電流Iは所定比で電流Iと電流Iに分けられる。発光素子3は、全電流Iよりも相対的に小さい電流Iが与えられ、その大きさに応じて光を放出する。このとき、電流の低下により発光素子3の発光色がシフトする。
【0029】
また、発光素子4を含む電流経路に流入した電流Iは、定電流回路14に流れる電流(一定電流)に応じて電流I2-1と電流I2-2に分けられる。発光素子4には電流I2-1が流れ、その大きさに応じて発光素子4から青色光が放出される。これにより、発光素子3のシフトした発光色に発光素子4の発光色が混合され、全体的な光が白色に近づくように補正される。色味の補正度合いについては、電流I2-1の大きさによって発光素子4の光の輝度を適宜設定することで調整することができる。また、定電流回路14には電流I2-2が流れる。発光素子4に流れる電流I2-1と定電流回路14に流れる電流I2-2が再び合流して得られる電流Iは、発光素子3に流れる電流Iと合流して全電流Iとなり、基準電位端へ流れる。
【0030】
なお、図4に示した波形図の一例では期間T1と期間T2が同じ長さ(デューティ比50%)であったが、図6に例示するように、両期間の長さは異なっていてもよい。その場合でも、発光素子3の電流Iが相対的に低下する期間T2においてこれと相補的に発光素子4へ電流Iを流すようにすることで、1周期T内において色味(色度)の変化が少ない状態での調光が実現される。
【0031】
ところで、従前、発光素子をPWM制御している場合、その点滅周期によっては、カメラによる撮影タイミング(露光タイミング)と発光素子の消灯時期とが重なることで、発光素子が発光した状態を撮影できない場合が生じ得る。近年では種々の制御において車両周辺をカメラにより撮影した画像が用いられるため、発光素子の発光した状態を撮影できないことが不都合となる場合もある。これについて、本実施形態の車両用灯具では、期間T2においても定電流値で点灯し、カメラにより常時点灯した状態で撮影されるため、上記不都合が解消されるという副次的効果を得ることもできる。
【0032】
以上のような実施形態によれば、発光素子を用いた車両用灯具(照明装置)における放出光の色味の変化を抑えることが可能となる。
【0033】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態の回路構成は一例であってこれに限定されない。例えば、発光素子4に対して並列にスイッチング素子を接続し、このスイッチング素子のオン(導通)とオフ(非導通)を切り替える構成としてもよい。また、上記した実施形態では発光素子3の色味を補正するために用いられる発光素子は1つであったが、補正用の発光素子を複数設けてもよい。
【0034】
図7は、補正用の複数の発光素子を並列に接続する場合の回路構成例である。図示の例では、補正用の各発光素子4a、4b、4cが並列に接続されており、それぞれに対して各定電流回路14a、14b、14cが並列に接続されている。発光素子4aには定電流回路15が直列接続されている。また、図示を省略するが各定電流回路14a、14b、14cを制御するためのPWM回路も備わっており、各定電流回路14a等にはそれぞれパルス信号が与えられる。この構成例において、各発光素子4a、4b、4cは、互いに異なる発光色(例えば、赤色、緑色、青色など)であってもよいし、同じ発光色であってもよい。また、各発光素子4a等の発光タイミングは同じでもよいし異なってもよい。
【0035】
図8は、補正用の複数の発光素子を直列に接続する場合の回路構成例である。図示の例では、補正用の各発光素子4a、4b、4cが直列に接続されており、それぞれに対して各定電流回路14a、14b、14cが並列に接続されている。発光素子4cには定電流回路15が直列接続されている。また、図示を省略するが各定電流回路14a、14b、14cを制御するためのPWM回路も備わっており、各定電流回路14a等にはそれぞれパルス信号が与えられる。この構成例においても、各発光素子4a、4b、4cは、互いに異なる発光色(例えば、赤色、緑色、青色など)であってもよいし、同じ発光色であってもよい。また、各発光素子4a等の発光タイミングは同じでもよいし異なってもよい。
【0036】
また、上記した実施形態では、発光素子3、発光素子4をそれぞれ1つだけ示していたが、発光素子3、発光素子4のそれぞれを複数の発光素子からなる発光素子群と置き換えてもよい。この場合の各発光素子群における各発光素子相互の接続状態は直列接続でもよいし並列接続でもよい。
【0037】
また、上記した実施形態では発光素子の一例としてLEDを挙げていたが、発光素子はこれに限定されず、例えばレーザーダイオードであってもよい。
【0038】
また、上記した実施形態では照明装置の一例として車両用灯具を挙げていたが、本開示の内容は照明装置一般に対して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1:駆動回路、2:電源、3、4:発光素子、10:電源回路、11:コントローラ、12、13:PWM回路、14、15:定電流回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8