(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076248
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】高圧洗浄装置、高圧洗浄システム
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20230525BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20230525BHJP
B28D 1/00 20060101ALI20230525BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B26F3/00 P
B26F3/00 S
B28D1/00
B28D7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189560
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】512064354
【氏名又は名称】日本パーミル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508324112
【氏名又は名称】株式会社ユーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】安西 英男
【テーマコード(参考)】
3B201
3C060
3C069
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AB52
3B201BB21
3B201BB62
3B201BB92
3B201CD22
3C060AA20
3C060CE03
3C060CE23
3C069AA06
3C069BA07
3C069CA10
3C069CA12
3C069DA05
3C069DA06
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】アスベスト含有部材の表層を研磨することが可能でありながら、研磨の際に発生する粉塵の飛散を抑制することができる高圧洗浄装置を提供する。
【解決手段】高圧洗浄装置11は、加圧された洗浄液を噴射することにより新生瓦3の表層を研磨することが可能な高圧洗浄装置であって、新生瓦3の表面に対して高圧の洗浄液を噴射するノズル部22と、ノズル部22の周囲を囲うように設けられるカバー24とを備える。カバー24は、所定の軸線m10を中心に筒状に形成される。カバー24の裾部241の底面243は段付き状に形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された洗浄液を噴射することによりアスベスト含有部材の表層を研磨することが可能な高圧洗浄装置であって、
前記アスベスト含有部材の表面に対して高圧の洗浄液を噴射するノズル部と、
前記ノズル部の周囲を囲うように設けられ、所定の軸線を中心に筒状に形成されるカバーと、を備え、
前記カバーの裾部の底面は段付き状又は波状に形成されている
高圧洗浄装置。
【請求項2】
前記アスベスト含有部材は新生瓦であり、
前記カバーの裾部の底面は段付き状に形成されている
請求項1に記載の高圧洗浄装置。
【請求項3】
前記アスベスト含有部材はスレートであり、
前記カバーの裾部の底面は波状に形成されている
請求項1に記載の高圧洗浄装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記所定の軸線を中心に斜円錐台筒状に形成されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の高圧洗浄装置。
【請求項5】
前記カバーは、透明な部材により形成されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の高圧洗浄装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の高圧洗浄装置と、
前記カバーの内部から外部に排出される排水を回収する回収装置と、を備える
高圧洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベスト含有部材の表層を研磨することが可能な高圧洗浄装置及び高圧洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント及びアスベスト(石綿)を主材料とするスレートがある。スレートは、粘土瓦と比較して非常に軽く且つ安価であるため、外装材や屋根材として多く使用されている。しかしながら、アスベストの粉塵が発生する環境下で人が長時間滞在する等してアスベストを大量に吸い込むと、肺癌の発生率が上昇するおそれがあることが指摘されている。そのため、スレートを使用している建築物の解体工事や改装工事には非常に厳しい規制が課せられている。このようなスレートを除去することが可能な装置としては、下記の特許文献1に記載のスレート除去装置がある。
【0003】
特許文献1に記載のスレート除去装置は、吸塵機と、フードとを備えている。吸塵機は、建築物の外装材や屋根に固定されたスレートを取り外す際に発生する粉塵を、フィルタを介して吸引する。フードは、吸塵機から延設される吸引ホースの先端部に取り付けられており、スレートの表面に当接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、屋根にスレートを使用している建築物が老朽化してきている場合には、屋根を張り替えることが望ましいが、その建築物が例えば工場の建屋である場合、屋根の張り替えを行うことが困難な場合がある。具体的には、工場の建屋の屋根を張り替えるとなると、屋根の張り替えを行っている期間、長期間に亘ってその建屋で製品を製造することができなくなるおそれがある。また、屋根を張り替えには多額の資金が必要である。このような事情から、老朽化してきている屋根の張り替えに踏み切れない事業者が多く存在する。
【0006】
そこで、発明者は、スレートの表面に所定の補強剤を塗布することにより屋根を補強して、屋根を延命化する方法を検討している。このような方法でスレートを補強する場合、スレートの表面に補強剤を適切に塗布するためには、スレートの表層を研磨する等して、スレートの表面に堆積している異物等を除去する必要がある。この点、特許文献1に記載のスレート除去装置は、屋根に固定されたスレートを取り外す際に発生する粉塵を吸引することはできるものの、スレートの表層を研磨する機能を有していない。そのため、スレートの表層を研磨することが可能な新たな装置が望まれている。また、スレートの表層を実際に研磨するとなると、研磨の際に発生するスレートの粉塵が周囲に飛散する可能性があるため、それを抑制する対策が必要である。
【0007】
なお、このような課題は、スレートを屋根材として用いる建築物に限らず、新生瓦を屋根材として用いる建築物等、アスベスト含有部材を用いる建築物に共通する課題である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アスベスト含有部材の表層を研磨することが可能でありながら、研磨の際に発生する粉塵の飛散を抑制することができる高圧洗浄装置及び高圧洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する高圧洗浄装置は、加圧された洗浄液を噴射することによりアスベスト含有部材の表層を研磨することが可能な高圧洗浄装置であって、アスベスト含有部材の表面に対して高圧の洗浄液を噴射するノズル部と、ノズル部の周囲を囲うように設けられ、所定の軸線を中心に筒状に形成されるカバーと、を備える。カバーの裾部の底面は段付き状又は波状に形成されている。
【0009】
この構成によれば、ノズル部からアスベスト含有部材の表面に噴射される高圧の洗浄液により、アスベスト含有部材の表層を研磨することができる。また、カバーの裾部の底面が段付き状又は波状に形成されているため、例えばアスベスト含有部材の表面に段差部が形成されている場合、又はアスベスト含有部材の表面が波状に形成されている場合であっても、アスベスト含有部材の表面にカバーの底面を密着させることができる。よって、アスベスト含有部材の表層を研磨することにより発生する粉塵がカバーの内部から外部に飛び散り難くなるため、粉塵の飛散を抑制することも可能である。
【0010】
上記の高圧洗浄装置において、アスベスト含有部材は新生瓦であり、カバーの裾部の底面は段付き状に形成されていることが好ましい。
上記の高圧洗浄装置において、アスベスト含有部材はスレートであり、カバーの裾部の底面は波状に形成されていることが好ましい。
【0011】
上記の高圧洗浄装置において、カバーは、所定の軸線を中心に斜円錐台筒状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、カバーの頂部から裾部に向かうほどカバーの内部空間を大きくすることができるため、ノズル部をより広い空間で囲うことができる。結果的に、カバーの内部から外部への粉塵の飛散をより的確に抑制することができる。
【0012】
上記の高圧洗浄装置において、カバーは、透明な部材により形成されていることが好ましい。
この構成によれば、アスベスト含有部材の表層がどの程度削られたかをカバーの外側から視認することができるため、より効率的に研磨作業を行うことができる。
【0013】
上記課題を解決する高圧洗浄システムは、上記の高圧洗浄装置と、カバーの内部から外部に排出される排水を回収する回収装置と、を備える
この構成によれば、アスベスト含有部材の表層を研磨することにより発生する粉塵を含む排水をより確実に回収することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の高圧洗浄装置及び高圧洗浄システムによれば、アスベスト含有部材の表層を研磨することが可能でありながら、研磨の際に発生する粉塵の飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の高圧洗浄システムの概略構成を模式的に示す図。
【
図2】第1実施形態の新生瓦の斜視構造を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態の新生瓦の断面構造を示す断面図。
【
図4】第1実施形態の噴射部本体の正面構造を示す正面図。
【
図5】第1実施形態の噴射部本体の側面構造を示す側面図。
【
図6】第1実施形態の高圧洗浄装置の動作例を示す側面図。
【
図7】第2実施形態のスレートの斜視構造を示す斜視図。
【
図8】第2実施形態の噴射部本体の正面構造を示す正面図。
【
図9】第2実施形態の噴射部本体の側面構造を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、高圧洗浄装置及び高圧洗浄システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
図1に示されるように、本実施形態の高圧洗浄システム10は、建築物2の屋根材として用いられている新生瓦3の表層を研磨するためのものである。新生瓦3は、セメント及びアスベスト(石綿)を主材料とするものであり、
図2に示されるように板状に形成されている。本実施形態では、新生瓦3がアスベスト含有部材に相当する。
図3に示されるように、建築物2の屋根材は、複数の新生瓦3を交互に複数重ね合わせることにより構成されている。重ね合わせられた新生瓦3の間には段差3aが形成されている。以下では、この段差3aを「入隅3a」と称する。以下では、
図2に矢印Xで示される方向、すなわち入隅3aが延びる方向を「横方向X」と称する。また、
図3に矢印Yで示される方向、すなわち横方向Xに直交する方向であって、且つ屋根材の上面に並行な方向を「前後方向Y」と称する。
【0017】
図1に示されるように、高圧洗浄システム10は、高圧洗浄装置11と、回収装置12とを備えている。
高圧洗浄装置11は新生瓦3の表層を実際に研磨する装置である。高圧洗浄装置11は、噴射部本体20と、ポンプ装置30とを備えている。
【0018】
ポンプ装置30には、水道等の給水源40から耐圧ホース41を介して水等の洗浄液が供給される。ポンプ装置30は、洗浄液を加圧して、高圧ホース31を介して噴射部本体20に高圧の洗浄液を供給する。
噴射部本体20は作業者により操作される。噴射部本体20は、ポンプ装置30から供給される高圧の洗浄液を新生瓦3の表面に噴射することにより、新生瓦3の表面から所定の深さまでの領域に存在する表層を研磨する。
【0019】
図4は、噴射部本体20を正面から見たときの構造を示したものである。
図5は、噴射部本体20を側面から見たときの構造を示したものである。
図4及び
図5に示されるように、噴射部本体20は、管状部材21と、ノズル部22と、ハンドル部23と、カバー24とを備えている。
【0020】
管状部材21は、所定の軸線m10に沿って延びるように形成される円筒状の部材からなる。管状部材21の下端部にはノズル部22が形成されている。管状部材21の上端部には連結部210が形成されている。連結部210の外周には、ねじ山が形成されている。連結部210には、
図1に示される高圧ホース31の先端部がねじ込まれて連結される。管状部材21の連結部210には、ポンプ装置30から高圧ホース31を介して高圧の洗浄液が供給される。この高圧の洗浄液は管状部材21の内部流路を通じてノズル部22まで流れた後、ノズル部22の先端部220から矢印Wで示される方向に噴射される。本実施形態では、洗浄液が液体に相当する。
【0021】
ハンドル部23は管状部材21の外周面から突出するように形成されている。作業者が手でハンドル部23を把持することにより、噴射部本体20を、例えば
図1に示されるような姿勢で保持することが可能である。
カバー24は、透明な樹脂等の部材により形成されている。カバー24は、軸線m10を中心に円錐状をなし、且つ中心軸m10が底面243に対して斜めに交わる、いわゆる斜円錐状に形成されている。カバー24は、その頂部240から裾部241に向かうほど内径が大きくなるように形成されている。カバー24の頂部240は、管状部材21の下端部の外周に固定されている。カバー24の裾部241は、ノズル部22の先端部220よりも下方に位置している。
図5に示されるように、噴射部本体20を側面から見たとき、カバー24の裾部241の底面243には段差部242が形成されている。
【0022】
図1に示されるように、回収装置12は、回収部121と、回収缶122とを備えている。回収部121は屋根材の下端部に設けられている。回収部121は、屋根材の下端部に設けられる樋等であり、断面凹状に形成されている。回収缶122はホース123を介して回収部121に接続されている。回収缶122は、回収部121を流れる液体を所定の吸引力でホース123を通じて吸引するとともに、吸引された液体を貯蔵する。
【0023】
次に、本実施形態の高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11の動作例について説明する。
新生瓦3の表層を研磨する際には、まず、新生瓦3の上面に、
図6に示されるように噴射部本体20を配置する。すなわち、新生瓦3の入隅3aにカバー24の段差部242を接触させるようにして、カバー24の裾部241の底面243を新生瓦3に密着させる。この状態で、ポンプ装置30から噴射部本体20に高圧の洗浄液が供給されると、噴射部本体20のノズル部22の先端部220から洗浄液が新生瓦3の表面及び入隅3aに向かって噴射される。新生瓦3の表面及び入隅3aに堆積する異物に高圧の洗浄液が当たることにより、新生瓦3の表面から所定の深さまでの領域に存在する表層が除去される。このときに発生する粉塵には、新生瓦3に付着している異物だけでなく、新生瓦3の表層の一部、すなわちアスベストが含まれている。
図6に示されるように、ノズル部22の周囲はカバー24により囲われているため、カバー24の内部から外部へ粉塵が飛散し難くなっている。
【0024】
作業者はハンドル部23を把持しつつ噴射部本体20を新生瓦3の入隅3aに沿って横方向Xにスライド移動させることにより、カバー24の裾部241の底面243が新生瓦3に密着した状態を維持したまま、新生瓦3の表層を連続的に研磨することができる。
洗浄液が新生瓦3の表層を研磨することにより発生する粉塵は、洗浄液と共にカバー24の外部に排出される。この排水は新生瓦3の上面を下方に流れて回収部121において回収される。回収部121において回収された排水はホース123を通じて回収缶122により回収される。
【0025】
以上説明した本実施形態の高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11によれば、以下の(1)~(4)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)高圧洗浄装置11は、新生瓦3の表層に対して高圧の洗浄液を噴射するノズル部22と、ノズル部22の周囲を囲うように設けられるカバー24とを備えている。カバー24は、軸線m10を中心に筒状に形成されている。カバー24の裾部241の底面243は段付き状に形成されている。この構成によれば、ノズル部22から新生瓦3の表面に噴射される高圧の洗浄液により新生瓦3の表層を研磨することができる。また、カバー24の裾部241の底面243が段付き状に形成されているため、新生瓦3の表面にカバー24の底面243を密着させることができる。よって、新生瓦3の表層を研磨することにより発生する粉塵がカバー24の内部から外部に飛び散り難くなるため、粉塵の飛散を抑制することも可能である。
【0026】
(2)カバー24は、軸線m10を中心に斜円錐台筒状に形成されている。この構成によれば、カバー24の頂部240から裾部241に向かうほどカバー24の内部空間を大きくすることができるため、ノズル部22をより広い空間で囲うことができる。結果的に、カバー24の内部から外部への粉塵の飛散をより的確に抑制することができる。
【0027】
(3)カバー24は、透明な部材により形成されている。この構成によれば、新生瓦3の表層がどの程度削られたかをカバー24の外側から視認することができるため、より効率的に研磨作業を行うことができる。
(4)高圧洗浄システム10は、カバー24の内部から外部に排出される排水を回収する回収装置12を備えている。この構成によれば、新生瓦3の表層を研磨することにより発生する粉塵を含む排水をより確実に回収することが可能である。
【0028】
<第2実施形態>
次に、高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態の高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11との相違点を中心に説明する。
【0029】
本実施形態の高圧洗浄システム10は、建築物2の屋根材として用いられるスレート4の表層を研磨するためのものである。スレート4は、セメント及びアスベスト(石綿)を主材料とするものであり、
図7に示されるように横方向Xに山部4aと谷部4bとを交互に有して波状に形成されている。スレート4の山部4a及び谷部4bは前後方向Yに延びるように形成されている。
【0030】
図8は、本実施形態の噴射部本体20を正面から見たときの構造を示したものである。
図9は、本実施形態の噴射部本体20を側面から見たときの構造を示したものである。
図8に示されるように、本実施形態の噴射部本体20を正面から見たとき、カバー24の裾部241の底面243は山部244及び谷部245を有しており、波状に形成されている。
【0031】
次に、本実施形態の高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11の動作例について説明する。
スレート4の表層を研磨する際には、まず、カバー24の裾部241の底面243に形成される山部244及び谷部245をスレート4の谷部4b及び山部4aにそれぞれ接触させるようにしてカバー24の底面243をスレート4の上面に密着させる。この状態で、ポンプ装置30から噴射部本体20に高圧の洗浄液が供給されると、噴射部本体20のノズル部22の先端部220からスレート4の表面に向かって洗浄液が噴射される。スレート4の表面に高圧の洗浄液が当たることにより、スレート4の表面から所定の深さまでの領域に存在する表層が削り取られる。
【0032】
以上説明した本実施形態の高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11によれば、上記の(1)の作用及び効果に代えて、以下の(5)に示される作用及び効果を得ることができる。
(5)高圧洗浄装置11は、スレート4の表面に対して高圧の洗浄液を噴射するノズル部22と、ノズル部22の周囲を囲うように設けられるカバー24とを備えている。カバー24は、軸線m10を中心に筒状に形成されている。カバー24の裾部241の底面243は波状に形成されている。この構成によれば、ノズル部22からスレート4の表面に噴射される高圧の洗浄液によりスレート4の表層を研磨することができる。また、カバー24の裾部241の底面243が波状に形成されているため、スレート4の表面にカバー24の底面243を密着させることができる。よって、スレート4の表層を研磨することにより発生する粉塵がカバー24の内部から外部に飛び散り難くなるため、粉塵の飛散を抑制することも可能である。
【0033】
<他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・上記の実施形態の高圧洗浄システム10及び高圧洗浄装置11は、建築物2の屋根材を研磨する場合に限らず、建築物2の外壁材を研磨する際に用いることも可能である。
【0034】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0035】
3…新生瓦(アスベスト含有部材)、4…スレート(アスベスト含有部材)、10…高圧洗浄システム、11…高圧洗浄装置、12…回収装置、22…ノズル部、24…カバー、243…底面。