(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076267
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】山岳地歩行ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230525BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20230525BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/36
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189591
(22)【出願日】2021-11-22
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】八尾 健一朗
(72)【発明者】
【氏名】牛本 卓二
(72)【発明者】
【氏名】中司 賢一
(72)【発明者】
【氏名】田邉 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 泳樹
(72)【発明者】
【氏名】坂下 尚久
(72)【発明者】
【氏名】山下 義男
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2F129AA02
2F129BB02
2F129BB03
2F129BB04
2F129BB21
2F129HH15
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】山岳地歩行を良好に行うことができる山岳地歩行ナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】システム10は、使用者の現在位置を取得する現在位置取得部22と、使用者が向く方向を進行方向にして検出するセンサ41と、出発地点、目的地点、及び、経由地点がプロットされたルートファイルを記録する記憶部40を有する。システム10は、ルートファイルに基づいて、現在位置を基準にして、進行方向に向けて延出するガイドルートオブジェクトを作成する作成部38、及び測位衛星の受信信号数及び測位衛星の配置に基づいて測位精度低下率を演算してルート信頼度を判定する判定部23を有する。提示制御部39は、半透明モニタ36によりガイドルートオブジェクト及びルート信頼度を提示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星からの受信信号に基づいて使用者の現在位置を取得する現在位置取得部と、前記使用者が向く方向を進行方向にして検出する検出部と、出発地点、目的地点、及び、経由地点がプロットされたルートファイルを記録する記録部と、前記ルートファイルに基づいて、前記現在位置を基準にして、前記進行方向に向けて延出するガイドルートオブジェクトを作成する作成部と、前記使用者の頭部に装着されるウェアラブル型の提示部と、前記提示部を制御して、前記使用者の視野に前記ガイドルートオブジェクトを提示させる提示制御部を備えた山岳地歩行ナビゲーションシステムであって、
前記現在位置取得部が受信した前記測位衛星の受信信号数及び前記測位衛星の配置に基づいて演算した測位精度低下率に基づいて、ルート信頼度を判定する判定部を備え、
前記提示制御部は、前記ルート信頼度を前記提示部に提示させる山岳地歩行ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記提示制御部は、前記ルート信頼度を前記提示部に提示させる態様として、前記ルート信頼度の高いものと低いものとでは前記ガイドルートオブジェクトの表示形態が異なるように提示させる請求項1に記載の山岳地歩行ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ガイドルートオブジェクトは、前記提示部によりシースルーで表示される請求項1または請求項2に記載の山岳地歩行ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記現在位置取得部は、前記使用者が歩行中の時々において、継続的に前記現在位置を取得する請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の山岳地歩行ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記提示制御部は、前記ルートファイルに基づいて、前記使用者が歩行する予定ルートであって、前記現在位置が示された平面視の前記予定ルートを、前記ガイドルートオブジェクトとともに、前記提示部に提示させる請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の山岳地歩行ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記提示制御部は、前記現在位置取得部で取得した前記現在位置の履歴を前記予定ルート上に前記提示部により提示させる請求項5に記載の山岳地歩行ナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までルート案内をする山岳地歩行ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
出発地から目的地までルート案内するナビゲーションシステムは、特許文献1、特許文献2が公知である。
特許文献1のナビゲーションシステムは、携帯端末であって、携帯端末の使用者にルート案内を行うようにしている。
【0003】
特許文献2のナビゲーションシステムでは、眼鏡型ウェアラブルデバイスをナビゲーションシステムとして使用することが示唆されている。眼鏡型ウェアラブルデバイスでは、使用者の視野内の風景中にルート案内が実行される。このため、特許文献1とは異なり、使用者がルート確認のために、立ち止まる必要はなくなる。特許文献2は、車や道路が整備されている市街地を主にすると活用度が高いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-99664号公報
【特許文献2】特開2019-184439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような一般的なナビゲーションシステムでは、山岳地の情報を保有しておらず、しかも、特許文献1では、歩行している使用者がルート確認のために、時々立ち止まる必要がある。なお、仮に、特許文献1のナビゲーションシステム(携帯端末)を使用者が手にもって該携帯端末の表示部を見ながら山岳地歩行するのは、不安全行為であって望ましくない。
【0006】
また、特許文献2のようなナビゲーションシステムにおいても、山岳地の情報を保有していない。山岳地では、特徴点がない箇所での活用となるため、特許文献2が開示する単に進路方向を示す、矢印案内、例えば左右方向の矢印案内では、道迷いが生ずる虞があり、山岳地歩行の案内としては有効なものとはいえない。
【0007】
本発明の目的は、山岳地歩行を良好に行うことができる山岳地歩行ナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、本発明の山岳地歩行ナビゲーションシステムは、測位衛星からの受信信号に基づいて使用者の現在位置を取得する現在位置取得部と、前記使用者が向く方向を進行方向にして検出する検出部と、出発地点、目的地点、及び、経由地点がプロットされたルートファイルを記録する記録部と、前記ルートファイルに基づいて、前記現在位置を基準にして、前記進行方向に向けて延出する前記ガイドルートオブジェクトを作成する作成部と、前記使用者の頭部に装着されるウェアラブル型の提示部と、前記提示部を制御して、前記使用者の視野に前記ガイドルートオブジェクトを提示させる提示制御部を備えた山岳地歩行ナビゲーションシステムであって、前記現在位置取得部が受信した前記測位衛星の受信信号数及び前記測位衛星の配置に基づいて演算した測位精度低下率に基づいて、ルート信頼度を判定する判定部を備え、前記提示制御部は、前記ルート信頼度を前記提示部に提示させるものである。
【0009】
上記構成によれば、現在位置取得部が使用者の現在位置を取得する。検出部は使用者が向く方向を進行方向にして検出する。そして、作成部が記録部に記録したルートファイルに基づいて、現在位置を基準にして、進行方向に向けて延出するガイドルートオブジェクトを作成する。
【0010】
また、判定部は、現在位置取得部が受信した前記測位衛星の受信信号数及び測位衛星の配置に基づいて演算した測位精度低下率に基づいて、ルート信頼度を判定する。そして、提示制御部は、ガイドルートオブジェクトとルート信頼度を提示部に提示させる。
【0011】
これにより、使用者は、現在提示されているガイドルートオブジェクトが、信頼の高いものか、低いものかをルート信頼度の情報により知ることができる。現在提示されているガイドルートオブジェクトについてルート信頼度が高いものであれば、このガイドルートオブジェクトに従って安心して歩行の継続が可能となる。また、現在提示されているガイドルートオブジェクトのルート信頼度が低いとされている場合には、他のルートの選択の機会を付与することも可能となる。
【0012】
前記提示制御部は、前記ルート信頼度を前記提示部に提示させる態様として、前記ルート信頼度の高いものと低いものとでは前記ガイドルートオブジェクトの表示形態が異なるように提示させてもよい。
【0013】
仮にルート信頼度が低いガイドルートオブジェクトが提示部に提示されているが、ガイドルートオブジェクトの信頼度が低いことを気付かせるものがない場合、使用者の現在位置と、正しいルートの把握ができない場合が生ずる。
【0014】
例えば、測位衛星からの受信信号の数が少ない場合、現在位置測定誤差が大きくなる場合がある。或いは、使用者が急な首振りをした場合、使用者が向く方向を進行方向にして検出する検出部が誤差のある方向を検出することがある。このような場合、ルート信頼度が低いガイドルートオブジェクトが提示され、使用者は、現在位置と、正しいルートの把握ができないとともに、正しいルートから外れたことにも気付かないことになる。
【0015】
上記構成によれば、ガイドルートオブジェクトの表示形態をルート信頼度の高いものと低いものとでは異なるように提示する。この結果、使用者は、表示形態が異なることにより、ルート信頼度が高いものから低いものに変更されたのか、或いは逆にルート信頼度が低いものから高いものに変更されたのかを知ることができる。
【0016】
また、前記ガイドルートオブジェクトは、前記提示部によりシースルーで表示されることが好ましい。
これにより、使用者の視野内に進行方向の山岳地の風景と、その山岳地の風景に重畳したシースルーのガイドルートオブジェクトの視認ができやすくなる。この結果、使用者は、足元の確認を損なうこともなしに、シースルーのガイドルートオブジェクトでガイドされて進行方向の山岳地を歩行することが可能となる。
【0017】
すなわち、仮に特許文献1のように携帯端末にルート案内が行われた場合、手に携帯端末を持って前を見ずに手元の携帯端末で提示されたルートを確認しながら、歩行をすることになる。このような歩行は不安全行為となる。また、足場が悪く、木々が生い茂る山岳地では、手に携帯端末を持つことは手が塞がれることになり、危険な行為である。
【0018】
また、従来のナビゲーションシステムは、一般的な道路上をターゲットとしているため、ナビゲーションの仕方は、次の変化点(例えば交差点)までの矢印のみを表示するようにしている。本発明では、これとは異なり、変化点があれば変化点以降においても方向性を示すためにガイドルートオブジェクトを連続的に延出して表示する。
【0019】
また、前記現在位置取得部は、使用者が歩行中の時々において、継続的に前記現在位置を取得することが好ましい。
これにより、山岳地を歩行する使用者の現在位置を継続的に取得できる。
【0020】
また、前記提示制御部は、前記ルートファイルに基づいて、前記使用者が歩行する予定ルートであって、前記現在位置が示された平面視の前記予定ルートを、前記ガイドルートオブジェクトとともに、前記提示部に提示させてもよい。
【0021】
この結果、使用者は視野内にガイドルートオブジェクトとともに、現在位置が示された平面視の予定ルートを視認することができる。これにより、使用者は、予定ルート中の自身の現在位置を知ることができる。
【0022】
また、前記提示制御部は、前記現在位置取得部で取得した前記現在位置の履歴を前記予定ルート上に前記提示部により提示させてもよい。
上記構成によれば、使用者は、現在位置の履歴、すなわち、歩行履歴が提示部により提示される。このため、使用者は、ルート上における歩行履歴を確認することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、使用者は、現在提示されているガイドルートオブジェクトについてルート信頼度が高い場合、このガイドルートオブジェクトに従って安心して歩行の継続が可能となる。また、現在提示されているガイドルートオブジェクトのルート信頼度が低い場合は、他のルートの選択の機会を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態の山岳地歩行ナビゲーションシステムの全体概略図。
【
図2】山岳地歩行ナビゲーションシステムのAR装置と携帯端末のハード構成の概略構成図。
【
図4】ルートファイルを使用者のウェアラブル型の提示部を基準に平面的に見た場合の説明図。
【
図5】ウェアラブル型の提示部により使用者が見る場合のガイドルートオブジェクトの説明図。
【
図6】ウェアラブル型の提示部によって見ることが可能な想定投影範囲内に投影されるガイドルートオブジェクトと、ルートファイルとの相関関係を示す説明図。
【
図7】(a)はメガネの向く方向がルートファイルの延出方向とは異なる方向に向いたときの説明図、(b)は(a)の場合にメガネで使用者が見るガイドルートオブジェクトの画面の説明図。
【
図8】ウェアラブル型の提示部で使用者が見ることができる現実の風景とルート信頼度が高いガイドルートオブジェクトの画面の説明図。
【
図9】ウェアラブル型の提示部で使用者が見ることができる現実の風景とルート信頼度が低いガイドルートオブジェクトの画面の説明図。
【
図10】第2実施形態の山岳地歩行ナビゲーションシステム10の全体概略図。
【
図11】第3実施形態の山岳地歩行ナビゲーションシステム10の全体概略図。
【
図12】第4実施形態の山岳地歩行ナビゲーションシステム10の全体概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の山岳地歩行ナビゲーションシステム10を
図1~
図9を参照して説明する。なお、山岳地歩行ナビゲーションシステム10を以下、単にシステム10という。
図1に示すように本実施形態のシステム10は、使用者が装備する携帯端末20及び前記使用者の頭部に装着するスマートグラス30を備えている。
【0026】
<携帯端末20>
図2に示すように、携帯端末20は、制御部21、記憶部24、操作部25、表示部26、及び通信部27等を備えている。
【0027】
制御部21は、図示しないCPU、ROM及びRAM等を備える。制御部21は、前記CPUが、記憶部24に記憶されたプログラムを前記RAMに展開して実行することにより、携帯端末20が備える各構成要素の動作を制御するとともに、各種情報処理の実行を制御する。前記プログラムとして、例えば、後述する現在位置取得部22の処理プログラム、及び判定部23の処理プログラム等がある。
【0028】
記憶部24は、不揮発性の記憶装置であって、半導体メモリ等により構成されている。記憶部24は、制御部21における情報処理の実行に必要な各種プログラムや各種のデータを記憶する。
【0029】
また、記憶部24は、
図3に示すように、使用者が歩行する山岳地の予定ルートRのルートファイルFが記憶されている。前記ルートファイルFは、その予定ルートRの出発地点ST、目的地点E、並びに、出発地点STと目的地点E間の経由地点Kn(n=1,2,……)を含む。前記ルートファイルFは、歩行する予定ルートRを含む地図上において、表示部26に表示された状態で、使用者が操作部25にて、出発地点ST、目的地点E、並びに、出発地点STと目的地点Eの経由地点Knをプロットして入力することにより作成される。
図3に示すように前記ルートファイルFは、北方位を基準として地図データが記述されている。
【0030】
操作部25は、携帯端末20の使用者の指示を受け付け、制御部21へ該指示を出力するためのユーザインタフェースである。操作部25は、例えば、タッチパネルや操作キーなどにより構成されている。また、操作部25は、後述するスマートグラス30のコントロールユニット32に操作指示(コマンド)を出力するためのユーザインターフェースともなっている。
【0031】
表示部26は、携帯端末20による情報処理結果を表示するためのユーザインタフェースであって、液晶、またはLED等を用いた表示装置により構成されている。
通信部27は、図示しない送受信用のアンテナ及び
図1に示す測位衛星Sからの信号を受信する測位衛星用アンテナを備えている。また、通信部27は、送受信用のアンテナを介して、コントロールユニット32を含む外部装置と通信するための通信インタフェースとなっている。測位衛星用アンテナは、測位衛星Sからの測位情報を含む信号を受信する。なお、測位衛星Sは、全球測位衛星システム(GNSS)の衛星であって、米国の全地球測位システム(GPS)、欧州連合(EU)の「ガリレオ」、ロシアの「グロナス」、中国の「北斗」、日本の「準天頂衛星」等を含む。
【0032】
(制御部21について)
前記制御部21の現在位置取得部22は、使用者が歩行中の時々において、前記測位衛星用アンテナが受信した信号に基づいて、携帯端末20が位置する緯度、経度、高度を演算して携帯端末20の現在位置を取得する。すなわち、携帯端末20を装備する使用者の現在位置は使用者が歩行中の時々に取得される。
【0033】
前記制御部21の判定部23は、前記測位衛星用アンテナが受信した信号数(すなわち、受信信号数)をカウントするとともに、測位衛星Sの配置に基づく公知の方法で測位精度低下率を演算する。そして、判定部23は受信信号数、及び測位精度低下率に基づいて、現在位置取得部22が取得した現在位置を含むルート信頼度を判定する。
【0034】
ここで、ルート信頼度の判定に当たって、受信信号数が必要である理由は、下記の通りである。現在位置(自己位置)の座標を計算するために、最低4つの測位衛星Sからの受信信号が必要である。なお、現在、打ち上げられている測位衛星Sからの受信信号に基づいて、山岳地で予定ルートR(正規ルート)と現在位置との誤差を5m以内に納めるためには、10基以上の測位衛星Sからの受信信号を受信できることが最も好ましい。このため、判定部23は、受信信号数が多い程、「信号数に関する信頼度」を高く評価判定する。また、判定部23は、受信信号数が3以下の場合には、「信号数に関する信頼度」は、最低の信頼度として評価判定する。
【0035】
なお、測位精度低下率は、例えば幾何学的精度低下率(GDOP)、水平精度低下率(HDOP)、位置精度低下率(PDOP)がある。これらは、全て数値が大きくなるほど精度が低くなる。これらの値のうち、「測位精度低下率に関する信頼度」の判定に採用する値としては、幾何学的精度低下率(GDOP)の値が好ましいが、この値に限定するものではなく、残りの他の値を採用してもよい。なお、これらの値は、測位衛星Sからの距離測定誤差の2次元(HDOP)、または、3次元(PDOP)の測位における誤差拡大の倍数を示す係数である。これらの値は、測位衛星Sと使用者の位置関係のみにより、決定される共分散行列のトレースから求めることができる。
【0036】
現在、打ち上げられている測位衛星Sからの受信信号に基づいて、山岳地で正規ルートと現在位置との誤差を5m以内に納めるためには、測位精度低下率は1.5以下であることが好ましい。測位精度低下率は、1の時が最も精度が高い。このため、判定部23は、測位精度低下率が、1.5以下の場合を、「測位精度低下率に関する信頼度」を最も高く評価判定する。また、判定部23は、受信信号数が「1.5を超える」場合には、値が大きくなるほど「測位精度低下率に関する信頼度」をより低い信頼度であるとして評価判定する。
【0037】
さらに、判定部23は、「信号数に関する信頼度」と「測位精度低下率に関する信頼度」のそれぞれの判定結果の組合せにより、ルート信頼度の判定を行う。下記は、前記それぞれの判定結果の組合せによる判定部23が判定したルート信頼度の一例であり、限定するものではない。
【0038】
<ルート信頼度が高程度>
例えば、ルート信頼度の判定は、3段階あるものとするが、3段階に限定するものではなく、3段階以外の複数段階でもよい。3段階の場合、「信号数に関する信頼度」と「測位精度低下率に関する信頼度」が高いもの同士の組み合わせでは、ルート信頼度を高程度と判定する。「信号数に関する信頼度」で高いものとは、例えば、前述した10基以上の測位衛星Sからの受信信号を受信した場合である。また、「測位精度低下率に関する信頼度」が高いものとは、前述した測位精度低下率が、1.5以下の場合である。
【0039】
<ルート信頼度が中程度>
次に、「信号数に関する信頼度」と「測位精度低下率に関する信頼度」のいずれか一方が中程度の判定で、他方が高い判定の場合、或いは両判定が中程度同士の場合には、ルート信頼度を中程度と判定する。ここで、「信号数に関する信頼度」で中程度とは、例えば、受信信号数が4以上で10未満の場合である。また、「測位精度低下率に関する信頼度」が中程度とは、前述した測位精度低下率が、1.5を超えていて、例えば所定値として3未満の場合である。ここで、所定値とは、精度劣化が認められる場合であるが、3に限定するものではない。
【0040】
<ルート信頼度が低程度>
次に、「信号数に関する信頼度」と「測位精度低下率に関する信頼度」の少なくとも一方が、最も低い評価判定の場合には、ルート信頼度を低程度と判定する。ここで、「信号数に関する信頼度」で低程度とは、例えば、受信信号数が4未満の場合である。また、「測位精度低下率に関する信頼度」が低程度とは、前述した測位精度低下率が、例えば所定値として3を超えている場合である。
【0041】
システム10が作動中は、その時々に前記使用者の現在位置、並びに、判定部23が判定したルート信頼度は、通信部27を介して、スマートグラス30のコントロールユニット32に送信される。
【0042】
<スマートグラス30>
図1、
図2に示すスマートグラス30は、メガネ31及びコントロールユニット32を有する。
【0043】
メガネ31は、左右のリム33と、左右のリム33にそれぞれ連結された左右のテンプル34と、リム33の光通過部35に設けられた半透明モニタ36を有する。メガネ31は、左右のテンプル34を使用者の左右の耳に掛けることにより、使用者の頭部に装着することが可能である。また、メガネ31が上記のようにウェアラブル型となっていて、半透明モニタ36が、使用者の左右の両目にそれぞれ相対することにより、使用者が目視確認できる画像を透過画像として表示可能となっている。
【0044】
なお、光通過部35としては、遠視、近視、遠近両用、乱視用の視覚矯正レンズ、或いは、伊達メガネ、花粉症用のガラスであってもよい。半透明モニタ36を備えるメガネ31は、提示部に相当する。
【0045】
図2に示すようにコントロールユニット32は、一方のテンプル34に装着されている。コントロールユニット32は、制御部37、記憶部40、センサ41、通信部42及び操作部43を備える。
【0046】
制御部37は、図示しないCPU、ROM及びRAM等を備える。制御部37は、携帯端末20からの操作指示(コマンド)の入力に応じて前記CPUが、記憶部40に記憶されたプログラムを前記RAMに展開して実行することにより、コントロールユニット32が備える各構成要素の動作を制御する。合わせて、制御部37は、各種情報処理の実行を制御する。前記プログラムとして、例えば、制御部37を後述する作成部38及び提示制御部39として機能させるナビゲーションソフト等がある。
【0047】
記憶部40は、不揮発性の記憶装置であって、半導体メモリ等により構成されている。記憶部40は、制御部21における情報処理の実行に必要な各種プログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部40は、携帯端末20から伝送された前記ルートファイルFを記憶する。記憶部40は記録部に相当する。
【0048】
センサ41は、地磁気センサを含む。センサ41は検出部に相当する。地磁気センサにより、コントロールユニット32の向き(すなわち、メガネ31の向き)を検出する。また、地磁気センサにより、磁北を検出する。地磁気センサは、例えば、MRセンサ、MIセンサがある。
【0049】
通信部42は、図示しない送受信用のアンテナを備えている。また、通信部42は、送受信用のアンテナを介して、携帯端末20と通信するための通信インタフェースとなっている。本実施形態では、通信部42と、携帯端末20の通信部27とは、ブルートゥース(登録商標)規格の無線通信で行うようにしている。なお、無線通信の場合、ブルートゥースに限定するものではなく、他の通信方法であってもよい。また、通信部42、27間を伝送ケーブルにて通信を行うようにしてもよい。
【0050】
操作部43は、切替操作ボタン等からなる。操作部43の切替操作により、表示領域36aに表示される予定ルートR上に、現在時刻における現在位置のみを表示する第1表示状態と、現在位置の履歴を表示する第2表示状態との表示状態の選択が可能となっている。
【0051】
(制御部37について)
前記制御部37の作成部38は、携帯端末20からその時々に送信されてきた使用者の現在位置、及び記憶部40に格納されているルートファイルFに基づいて、ガイドルートオブジェクトGRを作成する。また、制御部37は、携帯端末20からその時々に送信されてきた使用者の現在位置の履歴を、記憶部40に記憶する。
【0052】
図4~
図6を参照して、作成部38が行うガイドルートオブジェクトGRの作成方法について説明する。
図4はルートファイルFを使用者のウェアラブル型の提示部を基準に平面的に見た場合の説明図である。
図4に示すように、ルートファイルF上の点A(経由地点K1)を半透明モニタ36(グラス)へ描画するために、作成部38は、地磁気センサで検出した磁北に基づいて方位角を取得する。ここで、方位角は、
図4では、真北で示されている。地磁気センサが検出した磁北(方位角)と真北とは、場所により異なる偏角が存在するため、作成部38は、記憶部40に記憶した偏角テーブルに基づいて、「真北=磁北+偏角テーブル値」により修正する。
【0053】
なお、
図4に示す、点A(Xa,Ya)、点B(Xb,Yb)及び点C(Xc,Yc)は、ルートファイルF上の経由地点Kn、または目的地点Eを示している。現在位置は、点M(X.Y)である。
【0054】
図4において、メガネ31の向きは、使用者の進行方向であり、この向きは、地磁気センサの検出に基づいて取得される。
図6は、ウェアラブル型の提示部によって見ることが可能な想定投影範囲内に投影されるガイドルートオブジェクトGRと、ルートファイルFとの相関関係を示し、使用者Hを横方向から見た説明図である。
【0055】
図6に示すように、メガネ31の半透明モニタ36は、大きさを幅W×高さhとし、使用者Hの網膜から想定投影距離dに離間した位置にあるとする。
作成部38は、
図6に示す、点A、点B等の各点と網膜上の基点を結ぶ線L1、L2が想定投影距離d離間した半透明モニタ36に交わる点を投影映像上の点Ag(xag,yag)、点Bg(xbg,ybg)点等となるように座標変換する。また、半透明モニタ36上の基準点Mg(xg,yg)は、現在位置(点M)の半透明モニタ36上の位置としている。ここで、基準点Mg(xg,yg)は、半透明モニタ36の下辺の左右方向の中点が好ましい。特に、人の視野は、目を動かさないで一点を見る固視点を中心として、約30度以内の視野が「中心視野」であるため、この「中心視野」内に基準点Mg(xg,yg)が配置されることが望ましい。
【0056】
そして、作成部38は、基準点Mg(xg,yg)、点Ag(xag,yag)、点Bg(xbg,ybg)点等の各点間を補完して直線で繋ぐ。
また、作成部38は、
図5に示すように、各点間を繋いだ線において、基準点Mgに近くなるほど幅広くし、基準点Mgから遠位となるほど幅狭くしたシースルーのガイドルートオブジェクトGRを作成する。
【0057】
本実施形態では、基準点Mg(xg,yg)、点A、点B等が直線状に並んで配置されるときには、ガイドルートオブジェクトGRは直線状に作成され、直線状に並んで配置されていないとき、折れ線状に繋いで作成される。また、基準点Mg(xg,yg)、点A、点B等が直線状に並んで配置されていないときは、折れ線状の代わりにそれらの点を繋ぐようにしてガイドルートオブジェクトGRが曲線状に作成されていてもよい。
【0058】
このシースルーのガイドルートオブジェクトGRは、携帯端末20から現在位置とともに送信されてきたルート信頼度に応じて作成される。本実施形態では、ルート信頼度の高中低の段階に応じてガイドルートオブジェクトGRの色が設定されている。
【0059】
例えば、ルート信頼度が高程度では、青表示であり、中程度では、黄色表示であり、低程度では赤表示するように設定されている。ルート信頼度の程度における色の設定及びその組合せは、上記例に限定するものではなく、他の色の設定及び組合せであってもよい。
【0060】
また、色表示の代わりにルート信頼度の程度に応じて、その外形を相互に異なる形状に変形してもよい。例えば、ルートの外形を高中低に合わせて直線、サインカーブ、パルス形状するようにしてもよい。
【0061】
シースルーの態様の例としては、ワイヤーフレームでガイドルートオブジェクトGRを形成してもよく、或いは、格子状、網目状、ハッチング状等のように部分的にシースルーとしてもよく、また他の態様であってもよい。
【0062】
システム10を装着した使用者が山岳地を歩行中は、作成部38は、所定の周期でガイドルートオブジェクトGRの作成を行う。
提示制御部39は、作成部38が作成した、ガイドルートオブジェクトGRを、半透明モニタ36に映像表示する。
【0063】
なお、作成部38は、メガネ31の向き、すなわち、使用者の進行方向と、現在位置の点Mと点Aを結ぶ線が延びる方向とが、所定角度以上の差があるか否かを判定し、前記所定角度以上ある場合は、使用者が誤った方向を向いていると判定する。この場合、作成部38は、ガイドルートオブジェクトGRのガイドする方向を指向する、進行方向誘導ガイドオブジェクトSGを作成する。
【0064】
提示制御部39は、作成部38が作成した、ガイドルートオブジェクトGR及び進行方向誘導ガイドオブジェクトSGを、半透明モニタ36に映像表示することにより、使用者の視野に提示する。
【0065】
図7(a)は、メガネ31の向く方向(進行方向)がルートファイルFの延出方向とは異なる方向に向いたときを示している。
図7(b)は、この場合にメガネ31の半透明モニタ36で使用者が見ることができるガイドルートオブジェクトGRである。
図7(b)に示すように、進行方向誘導ガイドオブジェクトSGは、ガイドルートオブジェクトGRが延びる方向へ向くように使用者Hを誘導する。
図7(a)は、
図7(b)の進行方向誘導ガイドオブジェクトSGが、ガイドルートオブジェクトGRの案内する予定ルートRへ向くようにしていることが分かる。
【0066】
また、作成部38は、ルートファイルFに記述された予定ルートR及び予定ルートR上の現在位置を、携帯端末20からその時々に送信されてきた使用者の現在位置、及び記憶部40に格納されているルートファイルFに基づいて作成する。
図8、
図9に示すように、提示制御部39は、作成部38が作成した、予定ルートR及び予定ルートR上の現在位置RMを半透明モニタ36の表示領域36aに映像表示する。表示領域36aの半透明モニタ36における位置は、ガイドルートオブジェクトGRの表示と干渉しない位置が望ましい。特に、ガイドルートオブジェクトGRにおける基準点Mgの近傍領域は、使用者の足元に近い領域となるので、避けた方が望ましい。
【0067】
このため、表示領域36aは、半透明モニタ36の左側または右側に偏位させたり、或いは上側に偏位させたりすることが望ましい。本実施形態では、表示領域36aは、使用者の視野の左上隅側に偏位するようにしている。
【0068】
また、制御部37は、操作部43の切替操作に応じて、予定ルートR上に、現在時刻における現在位置のみを表示させる第1表示、または、現在位置の履歴を表示させる第2表示のいずれかを、提示制御部39に行わせる。
【0069】
(実施形態の作用)
上記のように構成されたシステム10の作用を
図8及び
図9を参照して説明する。
使用者Hは、
図1に示すスマートグラス30を頭部に装着するとともに、携帯端末20を服のポケット等に装備する。そして、山岳地を歩行する際には、使用者Hは、システム10を起動して記憶部24に予め記憶したルートファイルFを、通信部27を介してスマートグラス30に送信し、スマートグラス30の記憶部40に格納しておく。
【0070】
この状態で、使用者が山岳地を歩行すると、使用者Hは、スマートグラス30の半透明モニタ36に映し出されたガイドルートオブジェクトGRと、山岳地を含む風景が見られる(
図8、
図9参照)。また、半透明モニタ36には、予定ルートRと現在位置RMが映し出される。なお、
図8、及び
図9では、表示領域36aには予定ルートR上に、現在時刻における現在位置のみが表示された第1表示状態である。図示はしないが、仮に第2表示状態の場合には、予定ルートR上に現在位置の履歴を示す点が相互に離間した列状態でプロット表示される。
【0071】
図8の例は、ルート信頼度が高程度の場合であって、メガネ31の光通過部35の半透明モニタ36には、風景中の山岳地上に青色のシースルーのガイドルートオブジェクトGRが映像表示されている。
【0072】
図9の例は、ルート信頼度が、中程度または、低程度の場合であって、メガネ31の光通過部35の半透明モニタ36には、高低度の場合の色表示とは異なる色で表示されたシースルーのガイドルートオブジェクトGRが映像表示される。なお、説明の便宜上、
図8と
図9では、色の表示が異なることをハッチングの方向の向きの変更により表現をしている。
【0073】
図8の例では、ガイドルートオブジェクトGRはルート信頼度が高信頼度である色表示がされている。このため、使用者は、ガイドルートオブジェクトGRがガイドする山岳地を安心して、歩行することができる。
【0074】
図9の例では、ガイドルートオブジェクトGRはルート信頼度が中信頼度または低信頼度である色表示がされている。このため、使用者は、ガイドルートオブジェクトGRが正確ではないことを知ることができる。従って、使用者は、ガイドルートオブジェクトGRのみのガイドでは、周囲の状況をも参考にして山岳地の慎重な歩行を提起することが可能となる。
【0075】
また、メガネ31の向きと現在位置とガイドルートオブジェクトGRが延びる方向とが、所定角度以上の差があると、作成部38は、進行方向誘導ガイドオブジェクトSGが表示される(
図7(b)参照)。この進行方向誘導ガイドオブジェクトSGにより、ガイドルートオブジェクトGRが延びる方向へ向くように使用者Hを誘導する。
【0076】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態のシステム10は、現在位置取得部22が受信した測位衛星Sの受信信号数及び測位衛星Sの配置に基づいて演算した測位精度低下率に基づいて、ルート信頼度を判定する判定部23を備える。提示制御部39は、ガイドルートオブジェクトGRとこのガイドルートオブジェクトGRのルート信頼度を半透明モニタ36(提示部)に提示させる。
【0077】
この結果、使用者は、現在提示されているガイドルートオブジェクトが、信頼の高いものか、低いものかをルート信頼度の情報により知ることができる。現在提示されているガイドルートオブジェクトについてルート信頼度が高いものであれば、このガイドルートオブジェクトに従って安心して歩行の継続が可能となる。また、現在提示されているガイドルートオブジェクトのルート信頼度が低いとされている場合には、他のルートの選択の機会を付与することも可能となる。
【0078】
(2)本システム10の提示制御部39は、ルート信頼度を半透明モニタ36に提示させる態様として、ルート信頼度の高いものと低いものとではガイドルートオブジェクトGRの表示形態が異なるように提示させる。この結果、使用者は、表示形態が異なることにより、ルート信頼度が高いものから低いものに変更されたのか、或いは逆にルート信頼度が低いものから高いものに変更されたのかを知ることができる。
【0079】
(3)本システム10の提示制御部39は、ガイドルートオブジェクトを、半透明モニタ36(提示部)によりシースルーで表示する。これにより、使用者による、その視野内に進行方向の山岳地の風景と、その山岳地の風景に重畳したシースルーのガイドルートオブジェクトGRの視認ができやすくなる。この結果、使用者は、足元の確認を損なうこともなしに、シースルーのガイドルートオブジェクトでガイドされて進行方向の山岳地を歩行することが可能となる。
【0080】
(4)本実施形態のシステム10の現在位置取得部22は、使用者が歩行中の時々において、継続的に現在位置を取得する。これにより、山岳地を歩行する使用者の現在位置を継続的に取得できる。
【0081】
(5)本実施形態のシステム10の提示制御部39は、ルートファイルFに基づいて、使用者が歩行する予定ルートRであって、現在位置が示された平面視の予定ルートRを、ガイドルートオブジェクトGRとともに、半透明モニタ36に提示させる。
【0082】
この結果、使用者は視野内にガイドルートオブジェクトGRとともに、現在位置が示された平面視の予定ルートを視認することができる。これにより、使用者は、予定ルート中の自身の現在位置を知ることができる。
【0083】
(6)本実施形態のシステム10の提示制御部39は、現在位置取得部22で取得した現在位置の履歴を予定ルート上に半透明モニタ36に提示させる。このため、使用者は、ルート上における歩行履歴を確認することができる。
【0084】
(第2実施形態)
次に
図10を参照して他の実施形態のシステム10について説明する。本実施形態を含めて、以下の実施形態では、既に説明した実施形態と異なる構成について説明し、既に説明した実施形態と同一または相当する構成については、その実施形態で付した符号をつけてその詳細な説明を省略する。
【0085】
本実施形態のシステム10は、携帯端末20が省略されていて、スマートグラス30自体で山岳地歩行ナビゲーションシステム10が構成されている。すなわち、
図10に示すように、スマートグラス30のコントロールユニット32は、第1実施形態の携帯端末20と同様の通信部27を有している。通信部27は、図示しない送受信用のアンテナ及び測位衛星Sからの信号を受信する測位衛星用アンテナを備えている。また、通信部27は、送受信用のアンテナを介して、外部装置と通信するための通信インタフェースとなっている。また、制御部37は、現在位置取得部22、判定部23、作成部38及び提示制御部39を備えている。また、コントロールユニット32は、操作部25を備える。操作部25は操作部43の機能も備えている。コントロールユニット32は、センサ41を備えている。
【0086】
記憶部40は、他の外部装置により作成されたルートファイルFが通信部27を介して入力されて記憶されている。
このようにシステム10が構成されていることにより、スマートグラス30単体で第1実施形態と同様の作用効果を実現することができる。
【0087】
(第3実施形態)
第3実施形態のシステム10は、
図11に示すように第1実施形態のシステムの構成中、携帯端末20が省略されていて、スマートグラス30と受信機50とにより構成されている。
【0088】
図11に示すように、受信機50は、現在位置取得部52、判定部53及び通信部54を備えている。通信部54は、第1実施形態の通信部27と同様に図示しない送受信用のアンテナ及び全球測位衛星システム(GNSS)の測位衛星Sからの信号を受信する測位衛星用アンテナを備えている。また、通信部54は、送受信用のアンテナを介して、外部装置と通信するための通信インタフェースとなっていて、スマートグラス30の通信部42と通信可能となっている。
【0089】
受信機50の現在位置取得部52は、第1実施形態の携帯端末20の現在位置取得部22と同様の機能を有している。判定部53は、第1実施形態の携帯端末20の判定部23と同様の機能を有している。通信部54は、現在位置取得部52が取得した現在位置、及び判定部53が判定したルート信頼度を通信部54にて、コントロールユニット32の通信部42に送信するようにしている。
【0090】
このようにシステム10が構成されていることにより、スマートグラス30と、受信機50で第1実施形態と同様の作用効果を実現することができる。
(第4実施形態)
図12に示すように、第4実施形態のシステム10は、第1実施形態の構成中、携帯端末20、スマートグラス30の他に、第3実施形態で説明した受信機50の構成が付加されている。
【0091】
ただし、本実施形態の携帯端末20の制御部21は、第1実施形態と異なり、現在位置取得部22、判定部23の機能を有していない。その代わりに、受信機50には、第3実施形態と同様に現在位置取得部52、判定部53及び通信部54を備えている。
【0092】
本実施形態のシステム10では、受信機50の現在位置取得部52が取得した現在位置及び判定部53が判定したルート信頼度は、通信部54、27を介して携帯端末20に送信される。そして、携帯端末20が受信した現在位置及び前記ルート信頼度は、通信部27、42を介して、スマートグラス30に送信される。なお、ルートファイルFの作成は、携帯端末20で作成されるとともに、記憶部40へのルートファイルFの記憶は第1実施形態と同様である。
【0093】
このようにシステム10が構成されていることにより、携帯端末20、スマートグラス30及び受信機50で第1実施形態と同様の作用効果を実現することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
【0094】
本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・前記実施形態では、スマートグラス30は、半透明モニタ36を提示部としているが、半透明モニタ36に代えて、メガネ31に装着した網膜投射型のディスプレイを提示部としてもよい。網膜投射型のディスプレイは、使用者の眼球に対してガイドルートオブジェクトGRを直接照射する。これにより、使用者の眼球には、光通過部35を通して見える山岳地の風景に、網膜投射型のディスプレイが照射したガイドルートオブジェクトGRが重畳される。
【0095】
・前記実施形態では、地図上を出発地点ST、経由地点Kn、及び目的地点Eをそれぞれプロットして、携帯端末20の操作部25にて入力することにより、ルートファイルFを作成するようにした。これに代えて、一度、歩行者が実際に山岳地を歩行して、その歩行中における測位衛星Sからの現在位置ログを取得して、該ログを基準としてルートファイルFを作成するようにしてもよい。
【0096】
・前記実施形態では、地磁気センサにより、コントロールユニット32の向き(すなわち、メガネ31の向き)を検出したが、コントロールユニット32の向き(すなわち、メガネ31の向き)の検出は、ジャイロセンサまたは加速度センサでおこなってもよい。
【0097】
・前記実施形態では、ウェアラブル型は、メガネ31としたが、ヘッドマウント型としてもよい。
・前記実施形態では、スマートグラス30のメガネ31は、左右一対の光通過部35を有するようにしたが、左右一対に限定するものではなく、一方を省略してもよい。
【0098】
・前記実施形態では、ルート信頼度の高いものと低いものとではガイドルートオブジェクトGRの表示形態が異なるように提示させたが、これに代えて、ルート信頼度を数値で提示してもよい。或いは、ルート信頼度の最も高いものを最大レベル値にし、ルート信頼度の最も低いものを最小レベル値とするようにルート信頼度の大きさに応じた棒グラフ等でレベル表示してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…山岳地歩行ナビゲーションシステム
20…携帯端末
21…制御部
22…現在位置取得部
23…判定部
24…記憶部
25…操作部
26…表示部
27…通信部
30…スマートグラス
31…メガネ
32…コントロールユニット
35…光通過部
36…半透明モニタ
36a…表示領域
37…制御部
38…作成部
39…提示制御部
40…記憶部
41…センサ
42…通信部
43…操作部
50…受信機
52…現在位置取得部
53…判定部
54…通信部
H…使用者
F…ルートファイル
Kn…経由地点
R…予定ルート
SG…進行方向誘導ガイドオブジェクト
GR…ガイドルートオブジェクト
ST…出発地点
E…目的地点
S…測位衛星