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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076271
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】車両のドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20230525BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230525BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60J5/04 P
B60J1/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189596
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】駒路 知博
(72)【発明者】
【氏名】八木 航
(72)【発明者】
【氏名】参鍋 政義
(72)【発明者】
【氏名】古賀 好宏
(72)【発明者】
【氏名】池本 峻
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF04
3D127DF09
3D127DF15
3D127DF26
(57)【要約】
【課題】ドアウインドガラスを全閉にする際、ウインドレギュレータ上部の支持部近傍のドアインナパネルの変形およびドアトリムの変形を抑制することができる車両のドア構造の提供を目的とする。
【解決手段】ドア10上部でドアトリムが固定されるトリム固定部38,39を有するドアインナパネル15と、ドアガラス13の昇降を行なうウインドレギュレータ31と、トリム固定部38,39の近接位置でドアインナパネル15に固定され、ウインドレギュレータ31の上部を支持する支持部40cを有する取付け部材40と、を備え、取付け部材40のドアインナパネル15へのパネル固定部SW1~SW5は、支持部40cよりも下方に位置すると共に、支持部40cの下方において、支持部40cに下方向の荷重が入力された際、支持部40cがパネル固定部SW1~SW5に対して変位するよう構成される変形起点部X1を有することを特徴とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア上部でドアトリムが固定されるトリム固定部を有するドアインナパネルと、
ドアウインドガラスの昇降を行なうウインドレギュレータと、
上記トリム固定部の近接位置で上記ドアインナパネルに固定され、上記ウインドレギュレータの上部を支持する支持部を有する取付け部材と、を備える車両のドア構造であって、
上記取付け部材の上記ドアインナパネルへのパネル固定部は、上記支持部よりも下方に位置すると共に、
上記支持部の下方において、上記支持部に下方向の荷重が入力された際、該支持部が上記パネル固定部に対して変位するよう構成される変形起点部を有することを特徴とする
車両のドア構造。
【請求項2】
上記ドアインナパネルは、上壁と側壁と下壁とを有して車室側へ突出して車両の前後方向に延びる開断面部を有し、
上記開断面部の上記側壁に上記トリム固定部および上記パネル固定部が配置された
請求項1に記載の車両のドア構造。
【請求項3】
上記パネル固定部は、上記取付け部材上部と取付け部材下部とにそれぞれ位置しており、
取付け部材下部のパネル固定部は、上記開断面部の下方に配置された
請求項2に記載の車両のドア構造。
【請求項4】
上記取付け部材は、車両前後方向に間隔を隔てて設けられた前後のトリム固定部間に位置する
請求項1~3の何れか一項に記載の車両のドア構造。
【請求項5】
上記変形起点部は上記取付け部材における上記支持部の下方にて車両前後方向に延びる稜線である
請求項1~4の何れか一項に記載の車両のドア構造。
【請求項6】
上記取付け部材は、上記支持部下端から下方かつ車幅方向内方に延びる連結壁部と、該連結壁部の下端から下方に延びて上記ドアインナパネルに連結されるフランジ部とを有し、
上記連結壁部の下端と、上記フランジ部の上端との間に上記稜線が形成された
請求項5に記載の車両のドア構造。
【請求項7】
上記連結壁部は、上記支持部下端から下方かつ車幅方向内方に延びる上側傾斜部と、
上記上側傾斜部の下端から下方に延びる縦壁部と、
上記縦壁部の下端から下方かつ車幅方向内方に延びて上記フランジ部に連結される下側傾斜部と、を備えており、
上記上側傾斜部と上記縦壁部との間、並びに、上記縦壁部と上記下側傾斜部との間に、第2の稜線がそれぞれ形成された
請求項6に記載の車両のドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のドア構造に関し、詳しくは、ドア上部でドアトリムが固定されるトリム固定部を有するドアインナパネルと、ドアウインドガラスの昇降を行なうウインドレギュレータと、上記トリム固定部の近接位置で上記ドアインナパネルに固定され、上記ウインドレギュレータの上部を支持する支持部を有する取付け部材と、を備えたような車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドアウインドガラスを昇降させるウインドレギュレータは、駆動モータと、アクチュエータと、ワイヤを案内する複数のプーリと、プーリにより案内されて移動するワイヤと、ガイドレールと、ワイヤの移動によりガイドレールに沿って上下動するキャリアプレートと、を備えており、ドアウインドガラスはキャリアプレートに固定され、キャリアプレートと共に上下動する構造になっている。
【0003】
従来、ウインドレギュレータは、ドアに対して樹脂パーツであるドアモジュールを介して取付けられていたが、コストや設計工数の観点で、特許文献1に開示されているように、ドアモジュールを廃止し、ウインドレギュレータをドアインナパネルに固定し、ウインドレギュレータの上部固定部の近接位置にドアトリム固定部が設けられる構造を採用する場合がある。
【0004】
この場合には、次のような問題点が発生する。
すなわち、ドアウインドガラスの全閉時に、ウインドレギュレータの上部固定部が、ワイヤによって車幅方向外側かつ下側に引き込まれる荷重が発生し、ウインドレギュレータに固定されるドアインナパネルの上部が車幅方向外側かつ下方に引き込まれるように変形する。
【0005】
ドアインナパネルの車室側にはトリム固定部を介してドアトリムが取付けられているので、上記ドアインナパネルの変形に伴い、ドアトリムが変形して、商品性が低下するという不具合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-29220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、ドアウインドガラスを全閉にする際、ウインドレギュレータ上部の支持部近傍のドアインナパネルの変形およびドアトリムの変形を抑制することができる車両のドア構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ドア上部でドアトリムが固定されるトリム固定部を有するドアインナパネルと、ドアウインドガラスの昇降を行なうウインドレギュレータと、上記トリム固定部の近接位置で上記ドアインナパネルに固定され、上記ウインドレギュレータの上部を支持する支持部を有する取付け部材と、を備える車両のドア構造であって、上記取付け部材の上記ドアインナパネルへのパネル固定部は、上記支持部よりも下方に位置すると共に、上記支持部の下方において、上記支持部に下方向の荷重が入力された際、該支持部が上記パネル固定部に対して変位するよう構成される変形起点部を有することを特徴とする車両のドア構造である。
【0009】
この発明により、ドアウインドガラスの全閉時に、上記取付け部材の支持部に下方向荷重が入力される際、支持部よりも下方にパネル固定部と変形起点部とを有するので、取付け部材の上端が車幅方向外側かつ下方に変位する。
【0010】
そのため、ドアインナパネルへの荷重伝達が抑制される。つまり、ドアインナパネルの上部に対しては当該ドアインナパネルの上部を車幅方向外側かつ下方に引き込む力が低減されるので、トリム固定部に荷重が伝達されることを抑制することができる。
要するに、ドアウインドガラスの全閉時に、ウインドレギュレータ上部の支持部近傍のドアインナパネルの変形、および、ドアトリムの変形を抑制することができるものである。
【0011】
この発明の態様として、上記ドアインナパネルは、上壁と側壁と下壁とを有して車室側へ突出して車両の前後方向に延びる開断面部を有し、上記開断面部の上記側壁に上記トリム固定部および上記パネル固定部が配置されてもよい。
この発明により、トリム固定部とパネル固定部とを剛性が高い開断面部の側壁に配置したので、トリムの支持剛性と、取付け部材の支持剛性と、を確保することができる。
【0012】
この発明の態様として、上記パネル固定部は、上記取付け部材上部と取付け部材下部とにそれぞれ位置しており、取付け部材下部のパネル固定部は、上記開断面部の下方に配置されてもよい。
この発明により、上記支持部に下方向の荷重が入った時、複数のパネル固定部に荷重を分散させて、取付け部材の耐久性向上を図ると共に、上記開断面部への荷重入力の低減を図ることができる。
【0013】
この発明の態様として、上記取付け部材は、車両前後方向に間隔を隔てて設けられた前後のトリム固定部間に位置してもよい。
この発明により、前後のトリム固定部間に取付け部材が挟まれるので、トリム固定部に対して荷重入力が入りやすい構造となる。この構造においても、支持部よりも下方の変形起点部を起点として取付け部材の上端が車幅方向外側かつ下方に変位するので、ドアインナパネルへの荷重伝達が抑制され、トリム固定部への荷重伝達が抑制でき、ドアインナパネルおよびドアトリムの変形を抑制することができる。
【0014】
この発明の態様として、上記変形起点部は上記取付け部材における上記支持部の下方にて車両前後方向に延びる稜線であってもよい。
この発明により、変形起点部を稜線と成したので、ドアウインドガラス全閉時において取付け部材の支持部に下方向荷重が入力される際、上記稜線が変形の切っ掛けとなる。
【0015】
この発明の態様として、上記取付け部材は、上記支持部下端から下方かつ車幅方向内方に延びる連結壁部と、該連結壁部の下端から下方に延びて上記ドアインナパネルに連結されるフランジ部とを有し、上記連結壁部の下端と、上記フランジ部の上端との間に上記稜線が形成されてもよい。
【0016】
この発明により、上記稜線をフランジ部の上端に設定することにより、モーメント量をかせぐことができ、支持部に入力される下方向の荷重を、取付け部材上端の変形により吸収させることができる。
【0017】
この発明の態様として、上記連結壁部は、上記支持部下端から下方かつ車幅方向内方に延びる上側傾斜部と、上記上側傾斜部の下端から下方に延びる縦壁部と、上記縦壁部の下端から下方かつ車幅方向内方に延びて上記フランジ部に連結される下側傾斜部と、を備えており、上記上側傾斜部と上記縦壁部との間、並びに、上記縦壁部と上記下側傾斜部との間に、第2の稜線がそれぞれ形成されてもよい。
【0018】
この発明により、フランジ部上端の上記稜線に加えて、上述の第2の稜線が形成されるので、取付け部材の変形の切っ掛けを複数設けることができ、エネルギ吸収ポイントが複数となる。これにより、ドアウインドガラス全閉時に取付け部材の支持部に下方向荷重が入力される際、複数の稜線が変形の切っ掛けとなって、取付け部材上端を安定して変形させることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ドアウインドガラスを全閉にする際、ウインドレギュレータ上部の支持部近傍のドアインナパネルの変形およびドアトリムの変形を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】車両のドア構造を示す側面図。
図2図1からドアアウタパネルを取外した状態で示す車両のドア構造の側面図。
図3図2からインパクトバーおよびベルトラインレインフォースメントを取外した状態で示す車両のドア構造の要部側面図。
図4図3の要部拡大図。
図5】ウインドレギュレータおよび取付け部材を車幅方向外方かつ車両前方から見た状態で示す要部斜視図。
図6】取付け部材の斜視図。
図7】取付け部材を図6とは異なる方向から見た状態で示す斜視図。
図8図4のA-A線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ドアウインドガラスを全閉にする際、ウインドレギュレータ上部の支持部近傍のドアインナパネルの変形およびドアトリムの変形を抑制するという目的を、ドア上部でドアトリムが固定されるトリム固定部を有するドアインナパネルと、ドアウインドガラスの昇降を行なうウインドレギュレータと、上記トリム固定部の近接位置で上記ドアインナパネルに固定され、上記ウインドレギュレータの上部を支持する支持部を有する取付け部材と、を備える車両のドア構造であって、上記取付け部材の上記ドアインナパネルへのパネル固定部は、上記支持部よりも下方に位置すると共に、上記支持部の下方において、上記支持部に下方向の荷重が入力された際、該支持部が上記パネル固定部に対して変位するよう構成される変形起点部を有するという構造にて実現した。
【実施例0022】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のドア構造を示し、図1は当該車両のドア構造を示す側面図、図2図1からドアアウタパネルを取外した状態で示す車両のドア構造の側面図、図3は、図2からインパクトバーおよびベルトラインレインフォースメントを取外した状態で示す車両のドア構造の要部側面図である。
【0023】
また、図4図3の要部拡大図、図5はウインドレギュレータおよび取付け部材を車幅方向外方かつ車両前方から見た状態で示す要部斜視図である。さらに、図6は取付け部材の斜視図、図7は取付け部材を図6とは異なる方向から見た状態で示す斜視図、図8図4のA-A線矢視断面図である。
本発明は、車両の左右のフロントドア、左右のリヤドアの何れにも適用できるが、以下の実施例においては、車両右側のリヤドアに適用した実施例について説明する。
【0024】
図1に示すように、後席乗員の乗降口としてのドア開口部を開閉するドア10(リヤドア)を設けている。
上述のドア10は、ドアアウタハンドル11を備えたドア本体12と、ドアウインドガラス(以下、単にドアガラスと略記する)13(図8参照)と、ドアサッシュ部14と、を備えている。
【0025】
図8に示すように、上述のドア本体12は、ドアインナパネル15と、ドアアウタパネル16とをヘミング加工等により一体的に連結して構成されている。また、上述のドア本体12はセンタピラーに沿う前辺部12Aと、サイドシルに沿う下辺部12Bと、リヤピラーおよびリヤホイールハウスに沿う後辺部12Cと、ベルトラインBLを形成する上辺部12Dと、を備えている。
【0026】
上述の前辺部12Aには、上下一対のドアヒンジブラケット17,18が取付けられている。ドアヒンジブラケット17,18はドア側ヒンジブラケットとボディ側ヒンジブラケットとヒンジピンとを備えており、ドア10は上記ヒンジピンを回動支点として開閉すべく構成されている。
【0027】
上述のドアサッシュ部14は、センタピラーの上部に沿うサッシュ前辺部14Aと、ルーフサイドレールの前後方向の後部に沿うサッシュ上辺部14Bと、リヤピラーに沿うサッシュ後辺部14Cとを枠状に組合せたものである。
【0028】
図2に示すように、上述の前辺部12Aにおけるドアインナパネル15のドア内部空間19(図8参照)側の上下には、上下のドアヒンジブラケット17,18に対応して、ヒンジレインフォースメント20,21を接合固定している。このヒンジレインフォースメント20,21はドアヒンジブラケット17,18の支持剛性向上を図るものである。
【0029】
ドア本体12の後辺部12Cの上部におけるドアインナパネル15のドア内部空間19側には、ラッチレインフォースメント22を接合固定している。このラッチレインフォースメント22はドアラッチの支持剛性向上を図るものである。
【0030】
また、ドア本体12の上辺部12Dには、ベルトラインBLに沿って車両前後方向に延びるベルトラインレインフォースメント23を設けている。図8に示すように、このベルトラインレインフォースメント23はドアアウタパネル16のドア内部空間19側に設けられており、当該ベルトラインレインフォースメント23はドアガラス13の出入口24の縁部を補強するものである。
【0031】
図8に示すドアガラス13の前辺部は、図2に示すように、ドア本体12の前辺部12Aと、ドアサッシュ部14のサッシュ前辺部14Aとに連続して上下方向に延びるガイドレール25で、その昇降が案内されるように構成している。
【0032】
図2に示すように、上述のドア本体12の前辺部12A上部と後辺部12C上部との間には、上部インパクトバー26がスラント状に設けられている。この上部インパクトバー26は剛性部材で形成され、当該上部インパクトバー26の前端部は上側のヒンジレインフォースメント20に接合固定されており、該上部インパクトバー26はその後端が前端に対して下方に位置するように後傾状に配置されている。
【0033】
図2に示すように、上述のドア本体12の前辺部12A下部と後辺部12C下部との間には、下部インパクトバー27がスラント状に設けられている。この下部インパクトバー27も剛性部材で形成され、当該下部インパクトバー27の前端部は下側のヒンジレインフォースメント21に接合固定されており、該下部インパクトバー27はその後端が前端に対して下方に位置するように後傾状に配置されている。
そして、上下方向に離間して配置された後傾構造の2本のインパクトバー26,27により、ドア本体12の広い範囲で側突荷重を受け止めるように構成している。
【0034】
図2に示すように、ドアインナパネル15の前上部には前上開口部28が形成されている。また、ドアインナパネル15の後上部には後上開口部29が形成されている。さらに、ドアインナパネル15の後下部には後下開口部30が形成されている。
【0035】
一方、図3図8に示すように、ドアインナパネル15の主体部15aにおける上辺部12D直下には、当該主体部15aから車幅方向内側に延びる上壁15bが一体形成されている。この上壁15bに対して下方へ離間した位置の主体部15aから車幅方向内側に延びる下壁15cが一体形成されている。そして、上壁15bの車幅方向内側端部と下壁15cの車幅方向内側端部とを上下方向に延びて連結する側壁15dを設けている。
上述の上壁15b、側壁15d、下壁15cとにより、ドアインナパネル15には、車室側へ突出して車両の前後方向に延びる開断面部15Sが形成されている。
【0036】
ところで、上述のドア内部空間19には、図2図3に示すように、ドアガラス13の昇降を行なうウインドレギュレータ31が設けられている。
このウインドレギュレータ31は、図3に示すように、ドアインナパネル15に取付けられたガイドレール32と、ガイドレール32の上下両端部に設けられたプーリ33(但し、図面では上側のプーリ33のみを示す)と、上下のプーリ33間に張架されたワイヤ34と、ワイヤ34を駆動するモータ35およびアクチュエータ36と、キャリアプレート37と、を備えている。
【0037】
上述のワイヤ34は上下のプーリ33に巻回されると共に、ガイドレール32に沿って張設されている。またワイヤ34の一箇所にはキャリアプレート37が固定されている。
上述のガイドレール32はドアガラス13の昇降方向である上下方向に延びており、当該ガイドレール32は図示しない案内部材を介してキャリアプレート37を移動可能に支持している。
【0038】
また、上述のワイヤ34はアクチュエータ36を介してモータ35に接続されており、正逆両方向に回転可能なモータ35の作動により、ワイヤ34が上下何れかの方向に牽引され、ワイヤ34の一部に固定されたキャリアプレート37が、ガイドレール32に沿って上下方向に移動する。これにより、ドアガラス13が全閉位置と全開位置との間を昇降するように構成している。
【0039】
キャリアプレート37にはドアガラス13の下部が取付けられている。このドアガラス13は、図8に示すようにドアインナパネル15とドアアウタパネル16との間に介装され、ドア内部空間19内に収容可能に構成されている。
【0040】
ウインドレギュレータ31を作動させることにより、キャリアプレート37を介して、ドアガラス13が上下動して、当該ドアガラス13はベルトラインBL位置の出入口24から出入り可能に構成されている。
【0041】
図3図4に示すように、ドアインナパネル15には、ドア本体12上部で車両内装部材としてのドアトリムが固定されるトリム固定部38,39を有している。
同図に示すように、上述のトリム固定部38,39は、ウインドレギュレータ31のガイドレール32上部を隔てた車両前方側と車両後方側とにおいて、上述の開断面部15Sの側壁15dに配置されている。
【0042】
そして、図4に示すように、上述のトリム固定部38,39の近接位置にはガイドレール32の上部を支持する取付け部材としてのブラケット40がドアインナパネル15に固定されている。すなわち、上述のブラケット40はトリム固定部38,39に対して離間距離が小さい位置におけるドアインナパネル15に固定されている。図4図8に示すように、このブラケット40の前後方向中央上部には、ウインドレギュレータ31の上部を支持する支持部、すなわち、プーリ33の回転支軸であるプーリ軸41が支持される取付け座40cを備えている。
【0043】
図8に示すように、上記プーリ軸41は車幅方向外端にプーリ33を保持する鍔部41aを有すると共に、車幅方向内端部にはネジ部41bを有しており、ブラケット40のプーリ軸挿通孔からブラケット40の車幅方向内方へ突出させた上記ネジ部41bにナット42を締付けることで、該プーリ軸41をブラケット40の取付け座40cに取付けている。
【0044】
図4に示すように、上述のブラケット40の前端部における上下方向中間で、かつ、プーリ軸41および取付け座40cよりも下方の位置には、取付け脚部40aが一体形成されている。同様に、図4に示すように、上述のブラケット40の後端部における上下方向中間で、かつ、プーリ軸41および取付け座40cよりも下方の位置には、取付け脚部40bが一体形成されている。
【0045】
図6に示すように、前側の取付け脚部40aはブラケット40の前端部から車幅方向内方に延びた後に、車両前方に延びるように車両平面視でL字状に形成されている。同様に、図7に示すように、後側の取付け脚部40bはブラケット40の後端部から車幅方向内方に延びた後に、車両後方に延びるように車両平面視でL字状に形成されている。
【0046】
図4に示すように、前後の各取付け脚部40a,40bと対向する位置には、ドアインナパネル15における開断面部15Sの側壁15dから車幅方向外方に隆起した取付け座15e,15fが一体形成されている。
【0047】
上記前側の取付け脚部40aが取付け座15eに当接する部位は、スポット溶接手段によるパネル固定部SW1にてドアインナパネル15の取付け座15eに固定されている。
同様に、後側の取付け脚部40bが取付け座15fに当接する部位は、スポット溶接手段によるパネル固定部SW2にてドアインナパネル15の取付け座15fに固定されている。
【0048】
図4に示すように、プーリ軸41および取付け座40cよりも下方で、かつブラケット40の下端部における前後方向の前端部と、前後方向の中間部と、前後方向の後端部との複数箇所は、スポット溶接手段によるパネル固定部SW3,SW4,SW5にてドアインナパネル15の主体部15aに固定されている。
上述のブラケット40のドアインナパネル15へのパネル固定部SW1~SW5は何れもがプーリ軸41および取付け座40cよりも下方に位置するものである。
【0049】
図8に示すように、ドアガラス13の全閉時にはウインドレギュレータ31の上部を支持する取付け座40cがワイヤ34によって車幅方向外側かつ下側に引込まれる荷重が発生する。このため、取付け座40cの下方において、取付け座40cに下方向の荷重が入力された際、該プーリ軸41の取付け座40cがパネル固定部SW1~SW5に対して、図8に仮想線で示すように変位すべく構成される変形起点部としての稜線X1をブラケット40に形成している。上述の稜線X1は上述の下向き荷重の入力時に、ブラケット40を変形させる切っ掛けとなる。
【0050】
これにより、ドアガラス13の全閉時に、上記ブラケット40の上記取付け座40cに下方向荷重が入力される際、取付け座40cよりも下方にパネル固定部SW1~SW5と稜線X1とを有するので、ブラケット40の上端が車幅方向外側かつ下方に変位する。
【0051】
そのため、ドアインナパネル15への荷重伝達が抑制される。つまり、ドアインナパネル15の上部に対しては当該ドアインナパネル15の上部を車幅方向外側かつ下方に引き込む力が低減されるので、トリム固定部38,39に荷重が伝達されることを抑制するように構成している。
要するに、ドアガラス13の全閉時に、ウインドレギュレータ31上部の取付け座40c近傍のドアインナパネル15の変形、およびドアトリムの変形を抑制するように構成したものである。
【0052】
図4に示すように、複数のパネル固定部SW1~SW5のうち、上側に位置する2つのパネル固定部SW1,SW2はブラケット40上部に設けられており、下側に位置する3つのパネル固定部SW3,SW4,SW5はブラケット40下部に設けられている。
【0053】
ドアインナパネル15は、上述したように上壁15bと、側壁15dと下壁15cとを有して車室側(つまり車幅方向内側)へ突出して車両の前後方向に延びる開断面部15Sを有しており、この開断面部15Sの上記側壁15dに上述のトリム固定部38,39およびブラケット40上部のパネル固定部SW1,SW2が配置されている。
【0054】
このように、トリム固定部38,39とブラケット40上部のパネル固定部SW1,SW2とを、剛性が高い上記開断面部15Sの側壁15dに配置することで、トリムの支持剛性と、ブラケット40の支持剛性と、の両立を確保するように構成している。
【0055】
一方で、ブラケット40下部に設けられたパネル固定部SW3,SW4,SW5のうち前後方向中間部に設けられたパネル固定部SW4はプーリ軸41および取付け座40cの略真下に位置しており、他の2つのパネル固定部SW3,SW5は前後方向中間部のパネル固定部SW4に対して車両前方および車両後方に離間した部位に位置している。
【0056】
そして、ブラケット40下部のこれらの各パネル固定部SW3,SW4,SW5は、上述の開断面部15Sの直下方におけるドアインナパネル15の主体部15aに配置されている。
これにより、取付け座40cに下方向の荷重が入った時、複数のパネル固定部SW3,SW4,SW5に荷重を分散させることができる。特に、プーリ軸41の略真下に位置するパネル固定部SW4に荷重が集中しようとするが、この荷重を前後のパネル固定部SW3,SW5に分散させる。この結果、ブラケット40の耐久性向上を図ると共に、開断面部15Sへの荷重入力の低減を図るように構成している。
【0057】
図4に示すように、上述のブラケット40は、車両前後方向に間隔を隔てて設けられた前後のトリム固定部38,39間に位置している。
これにより、前後のトリム固定部38,39間にブラケット40が挟まれる構造となり、トリム固定部38,39に対して上述の荷重入力が入りやすい構成となる。この構造においても、取付け座40cよりも下方の変形起点部である稜線X1を起点としてブラケット40の上端が車幅方向外側かつ下方に変位するので(図8の仮想線参照)、ドアインナパネル15への荷重伝達が低減される。この結果、トリム固定部38,39への荷重伝達が抑制され、ドアインナパネル15およびドアトリムの変形を抑制するように構成したものである。
【0058】
図6図8に示すように、上述の変形起点部は、ブラケット40におけるプーリ軸41および取付け座40cの下方にて車両前後方向に延びる稜線X1で形成されている。
このように、変形起点部を上記稜線X1と成すことで、ドアガラス13の全閉時においてブラケット40のプーリ軸41および取付け座40cに下方向荷重が入力される際、上記稜線X1がブラケット40の変形の切っ掛けとなるように構成している。
【0059】
図6図8に示すように、上述のブラケット40は取付け座40cの下端から下方かつ車幅方向内方に延びる連結壁部43と、この連結壁部43の下端から下方に延びてドアインナパネル15の主体部15aに連結されるフランジ部44と、を有している。そして、上記連結壁部43の下端と、フランジ部44の上端との間に上述の稜線X1が形成されている。
【0060】
この実施例では、上述のフランジ部44がブラケット40下部の複数のパネル固定部SW3,SW4,SW5により、ドアインナパネル15の主体部15aに接合固定されている。
このように、上述の稜線X1をフランジ部44の上端に設定することにより、モーメント量をかせぐことができ、取付け座40cに入力される下方向の荷重を、ブラケット40上端の変形により吸収させるように構成している。
【0061】
さらに詳しくは、図6図8に示すように、上述の連結壁部43は、取付け座40cの下端から下方かつ車幅方向内方に延びる上側傾斜部43aと、この上側傾斜部43aの下端から下方に延びる縦壁部43bと、該縦壁部43bの下端から下方かつ車幅方向内方に延びてフランジ部44に連結される下側傾斜部43cと、を備えている。
上述の上側傾斜部43aと縦壁部43bとの間、並びに、縦壁部43bと下側傾斜部43cとの間には、それぞれ第2の稜線X2,X3が形成されている。
【0062】
図6図7に示すように、上側傾斜部43aと縦壁部43bとの間の第2の稜線X2は、上側傾斜部43aの下部形状に対応して円弧状に形成されている。
また、図6図7に示すように、縦壁部43bと下側傾斜部43cとの間の第2の稜線X3は、ブラケット40の前後方向の全長にわたって車両前後方向に延びている。
【0063】
このように、フランジ部44上端の稜線X1に加えて、上述の第2の稜線X2,X3が形成されることで、ブラケット40の変形の切っ掛けを複数設けることができ、エネルギ吸収ポイントが複数となる。これにより、ドアガラス13の全閉時にブラケット40の取付け座40cに下方向荷重が入力される際、複数の稜線X1,X2,X3が変形の切っ掛けとなって、ブラケット40上端を安定して変形させるように構成している。
【0064】
次に、図8を参照してブラケット40に下方向荷重が入力される場合の作用について説明する。
ドアガラス13を全閉にすると、ウインドレギュレータ31の上部固定部であるブラケット40の取付け座40cに対して、ワイヤ34により車幅方向外側かつ下側に引き込む荷重が発生する。この場合、取付け座40cよりも下方にはパネル固定部SW3,SW4,SW5に対して変位するように構成された稜線X1と、第2の稜線X2,X3とが形成されているので、各稜線X1~X3が変形の切っ掛けとなって、ブラケット40の上端が図8に仮想線で示すように、車幅方向外側かつ下方に安定して変位する。
【0065】
これにより、ドアインナパネル15に対して上述の荷重を伝達しなくなる。つまり、ドアインナパネル15の上部には当該ドアインナパネル15の上部を車幅方向外側かつ下方に引込む力が作用しなくなる。この結果、トリム固定部38,39に荷重が伝達されることを抑制できるので、ドアガラス13の全閉時に、ドアインナパネル15およびドアトリムの変形を抑制することができるものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0066】
以上のように、本実施例に係る車両のドア構造は、ドア10上部でドアトリムが固定されるトリム固定部38,39を有するドアインナパネル15と、ドアガラス13の昇降を行なうウインドレギュレータ31と、上記トリム固定部38,39の近接位置で上記ドアインナパネル15に固定され、上記ウインドレギュレータ31の上部を支持する支持部(取付け座40c)を有する取付け部材(ブラケット40)と、を備える車両のドア構造であって、上記取付け部材(ブラケット40)の上記ドアインナパネル15へのパネル固定部SW1~SW5は、上記支持部(取付け座40c)よりも下方に位置すると共に、上記支持部(取付け座40c)の下方において、上記支持部(取付け座40c)に下方向の荷重が入力された際、該支持部(取付け座40c)が上記パネル固定部SW1~SW5に対して変位するよう構成される変形起点部(稜線X1)を有することを特徴としている(図4図8参照)。
【0067】
このような車両のドア構造によれば、ドアガラス13の全閉時に、上記取付け部材(ブラケット40)の支持部(取付け座40c)に下方向荷重が入力される際、支持部(取付け座40c)よりも下方にパネル固定部SW1~SW5と変形起点部(稜線X1)とを有するので、取付け部材(ブラケット40)の上端が車幅方向外側かつ下方に変位する。
【0068】
そのため、ドアインナパネル15への荷重伝達が抑制される。つまり、ドアインナパネル15の上部に対しては当該ドアインナパネル15の上部を車幅方向外側かつ下方に引き込む力が低減されるので、トリム固定部38,39に荷重が伝達されることを抑制することができる。
【0069】
要するに、ドアガラス13の全閉時に、ウインドレギュレータ31上部の支持部(取付け座40c)近傍のドアインナパネル15の変形、および、ドアトリムの変形を抑制することができるものである。
【0070】
また、かかる車両のドア構造においては、上記ドアインナパネル15は、上壁15bと側壁15dと下壁15cとを有して車室側へ突出して車両の前後方向に延びる開断面部15Sを有し、上記開断面部15Sの上記側壁15dに上記トリム固定部38,39および上記パネル固定部SW1,SW2が配置されている(図4参照)。
【0071】
このような車両のドア構造によれば、トリム固定部38,39とパネル固定部SW1,SW2とを剛性が高い開断面部15Sの側壁15dに配置したので、トリムの支持剛性と、取付け部材(ブラケット40)の支持剛性と、を確保することができる。
【0072】
さらに、かかる車両のドア構造においては、上記パネル固定部SW1~SW5は、上記取付け部材(ブラケット40)上部と取付け部材(ブラケット40)下部とにそれぞれ位置しており、取付け部材(ブラケット40)下部のパネル固定部SW3,SW4,SW5は、上記開断面部15Sの下方に配置されている(図4参照)。
【0073】
このような車両のドア構造によれば、上記支持部(取付け座40c)に下方向の荷重が入った時、複数のパネル固定部SW3~SW5に荷重を分散させて、取付け部材(ブラケット40)の耐久性向上を図ると共に、上記開断面部15Sへの荷重入力の低減を図ることができる。
【0074】
さらにまた、かかる車両のドア構造においては、上記取付け部材(ブラケット40)は、車両前後方向に間隔を隔てて設けられた前後のトリム固定部38,39間に位置している(図4参照)。
【0075】
このような車両のドア構造によれば、前後のトリム固定部38,39間に取付け部材(ブラケット40)が挟まれるので、トリム固定部38,39に対して荷重入力が入りやすい構造となる。この構造においても、支持部(取付け座40c)よりも下方の変形起点部(稜線X1)を起点として取付け部材(ブラケット40)の上端が車幅方向外側かつ下方に変位するので、ドアインナパネル15への荷重伝達が抑制され、トリム固定部38,39への荷重伝達が抑制でき、ドアインナパネル15およびドアトリムの変形を抑制することができる。
【0076】
加えて、かかる車両のドア構造においては、上記変形起点部は上記取付け部材(ブラケット40)における上記支持部(取付け座40c)の下方にて車両前後方向に延びる稜線X1である(図6図7図8参照)。
【0077】
このような車両のドア構造によれば、変形起点部を稜線X1と成したので、ドアガラス13全閉時において取付け部材(ブラケット40)の支持部(取付け座40c)に下方向荷重が入力される際、上記稜線X1が変形の切っ掛けとなる。そして、当該稜線X1が変形の切っ掛けとなることで、ブラケット40の上端を積極的に車幅方向外側かつ下方に変形させて、トリム固定部38,39への荷重伝達を抑制することができる。
【0078】
また、かかる車両のドア構造においては、上記取付け部材(ブラケット40)は、上記支持部(取付け座40c)下端から下方かつ車幅方向内方に延びる連結壁部43と、該連結壁部43の下端から下方に延びて上記ドアインナパネル15に連結されるフランジ部44とを有し、上記連結壁部43の下端と、上記フランジ部44の上端との間に上記稜線X1が形成されている(図6図8参照)。
【0079】
このような車両のドア構造によれば、上記稜線X1をフランジ部44の上端に設定することにより、モーメント量をかせぐことができ、支持部(取付け座40c)に入力される下方向の荷重を、取付け部材(ブラケット40)上端の変形により吸収させることができる。
【0080】
さらに、かかる車両のドア構造においては、上記連結壁部43は、上記支持部(取付け座40c)下端から下方かつ車幅方向内方に延びる上側傾斜部43aと、上記上側傾斜部43aの下端から下方に延びる縦壁部43bと、上記縦壁部43bの下端から下方かつ車幅方向内方に延びて上記フランジ部44に連結される下側傾斜部43cと、を備えており、上記上側傾斜部43aと上記縦壁部43bとの間、並びに、上記縦壁部43bと上記下側傾斜部43cとの間に、第2の稜線X2,X3がそれぞれ形成されている(図6図8参照)。
【0081】
このような車両のドア構造によれば、フランジ部44上端の上記稜線X1に加えて、上述の第2の稜線X2,X3が形成されるので、取付け部材(ブラケット40)の変形の切っ掛けを複数設けることができ、エネルギ吸収ポイントが複数となる。これにより、ドアガラス13全閉時に取付け部材(ブラケット40)の支持部(取付け座40c)に下方向荷重が入力される際、複数の稜線X1,X2,X3が変形の切っ掛けとなって、取付け部材(ブラケット40)上端を安定して変形させることができる。
【0082】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のドアウインドガラスは、実施例のドアガラス13に対応し、
以下同様に、
取付け部材は、ブラケット40に対応し、
支持部は、取付け座40cに対応し、
変形起点部は、稜線X1に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0083】
例えば、上記実施例においては車両のドア構造を車両右側のリヤドアに適用した構造を例示したが、本発明の車両のドア構造はフロントドアや観音開きのドア(double door)にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、ドア上部でドアトリムが固定されるトリム固定部を有するドアインナパネルと、ドアウインドガラスの昇降を行なうウインドレギュレータと、上記トリム固定部の近接位置で上記ドアインナパネルに固定され、上記ウインドレギュレータの上部を支持する支持部を有する取付け部材と、を備える車両のドア構造について有用である。
【符号の説明】
【0085】
10…ドア
13…ドアガラス(ドアウインドガラス)
15…ドアインナパネル
15b…上壁
15c…下壁
15d…側壁
15S…開断面部
31…ウインドレギュレータ
38,39…トリム固定部
40…ブラケット(取付け部材)
40c…取付け座(支持部)
43…連結壁部
43a…上側傾斜部
43b…縦壁部
43c…下側傾斜部
44…フランジ部
SW1~SW5…パネル固定部
X1…稜線
X2,X3…第2の稜線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8