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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076294
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/505 20060101AFI20230525BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20230525BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A61F13/505 100
A61F13/496
A61F13/49 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189638
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】永安 良多
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200CA03
3B200DB22
3B200DB26
3B200DE01
(57)【要約】
【課題】補助的に用いられる尿パッドを肌面側に設けられたポケットに容易に挿入することができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間の股部Rとを有し、パンツ形状に形成された使い捨ておむつ1であって、股部Rにトップシート8とバックシート9とこれらの間に配された吸収性コア10を有する吸収性本体7が設けられ、吸収性本体7の外面側に外装部材2が設けられ、外装部材2の前側胴部Pの肌面側および/または後側胴部Qの肌面側に、吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bを覆うように前後方向の中央側に開口したポケット21,22が設けられ、前端部7Aおよび/または後端部7Bにおける吸収性コア10の最大幅が、吸収性本体7のポケット21,22に覆われない部分における吸収性コア10の最大幅よりも狭く形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有し、パンツ形状に形成された使い捨ておむつであって、
少なくとも前記股部には、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性本体が設けられ、
前記吸収性本体の外面側には外装部材が設けられ、前記外装部材は少なくとも前側胴部と後側胴部に配置され、前記外装部材の前側胴部と後側胴部が幅方向の両側部で互いに接合されており、
前記外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側には、前記吸収性本体の前端部および/または後端部を覆うように、使い捨ておむつの前後方向の中央側に開口したポケットが設けられ、
前記ポケットに覆われた前記吸収性本体の前端部および/または後端部における前記吸収性コアの最大幅は、前記吸収性本体の前記ポケットに覆われない部分における前記吸収性コアの最大幅よりも狭いことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記吸収性本体には、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられ、前記立ち上がりフラップに前後方向に延びるフラップ用弾性部材が設けられ、
前記フラップ用弾性部材は、前記ポケットと重ならない位置から前記ポケットと重なる位置まで延びている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記ポケット内で、前記立ち上がりフラップの起立基部の少なくとも一部は、前記吸収性コアの幅方向の外縁よりも外方に位置する請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記立ち上がりフラップは、前端部が前側エンド固定部で前記トップシートに接合され、後端部が後側エンド固定部で前記トップシートに接合され、
前記吸収性コアの前側端は、前記前側エンド固定部の後側端より前方に位置し、前記吸収性コアの後側端は、前記後側エンド固定部の前側端より後方に位置する請求項2または3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記ポケットには、前記ポケットの開口縁に沿ってポケット用弾性部材が設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記ポケットの開口幅は、前記吸収性コアの最大幅以上である請求項1~5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にカバーシートが設けられ、
前記カバーシートは、前記外装部材および/または前記吸収性本体に接合された接合領域と、前記外装部材と前記吸収性本体のいずれにも接合されない非接合領域を有し、当該非接合領域が前記カバーシートの前後方向の中央側縁から前後方向の外方に延在することにより、前記カバーシートの中央側縁を開口縁とする前記ポケットが形成される請求項1~6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものであり、特に、補助的な尿パッドであるインナーパッドを併用して好適に用いることができる使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつの肌面側に補助的な尿パッドを載置して使用する方法が知られている。このような使用方法によれば、着用者から排泄された尿等を尿パッドがまず受けることとなるため、尿パッドのみを適宜交換して、その外側に装着される使い捨ておむつを使用し続けることにより、吸収性物品にかかるトータルの使用コストを低減することが可能となる。また、尿パッドのみを交換することで、尿パッドの外側に装着される使い捨ておむつを交換する場合と比べて、介護者等が交換作業を簡単に行えるようになる。
【0003】
補助的な尿パッドを併用するのに適した使い捨ておむつとして、例えば特許文献1には、トップシートとバックシートとこれら両シートの間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、吸収性本体が少なくとも一部で固定され、吸収性本体を着用者に当てて保持する外装部材とを有し、吸収性本体の長手方向両端部領域に、伸縮性を有する帯状シートがおむつのウェスト周り方向に配置され、帯状シートは、少なくとも吸収性本体の両側縁部の外側領域に位置する部分が外装部材に接着固定されているパンツ型使い捨ておむつが開示されている。特許文献2には、液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、およびこれらの間に介在された吸収体を有する内装体と、この内装体の外面に固定され、かつ当該内装体の前方および後方まで延在する外装体とが、前身頃から後身頃にかけて備えられ、前身頃および後身頃の内面それぞれに、前後方向中央側に開口するポケットが複数設けられた使い捨ておむつが開示されている。特許文献3には、前身頃および後身頃を有する外装シートと、外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体と、表面シートとを有し、後身頃端部において、股下側の側部が表面シートと非固定の漏れ防止シートが設けられ、漏れ防止シートの股下側の側部に幅方向に延びる弾性伸縮部材が設けられ、漏れ防止シートが立体ギャザーと交差し、この交差領域において立体ギャザーと漏れ防止シートが止着された使い捨ておむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-29609号公報
【特許文献2】特開2011-206218号公報
【特許文献3】特開2014-68848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来、補助的に用いられる尿パッドを併用するのに適した使い捨ておむつとして、おむつの肌面側にポケット等が設けられた使い捨ておむつが知られているが、補助的な尿パッドをおむつの肌面側のポケットに容易に挿入できることが望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補助的に用いられる尿パッドの前端部および/または後端部を使い捨ておむつの肌面側に設けられたポケットに容易に挿入することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有し、パンツ形状に形成されたものであり;少なくとも股部には、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性本体が設けられ;吸収性本体の外面側には外装部材が設けられ、外装部材は少なくとも前側胴部と後側胴部に配置され、外装部材の前側胴部と後側胴部が幅方向の両側部で互いに接合されており;外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側には、吸収性本体の前端部および/または後端部を覆うように、使い捨ておむつの前後方向の中央側に開口したポケットが設けられ;ポケットに覆われた吸収性本体の前端部および/または後端部における吸収性コアの最大幅は、吸収性本体のポケットに覆われない部分における吸収性コアの最大幅よりも狭いところに特徴を有する。
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、吸収性コアが、ポケットと重なる部分で幅方向に対して狭く形成されているため、ポケットの開口縁を持ち上げた際に、ポケットを厚み方向に大きく開くことが容易になる。そのため、補助的に用いられる尿パッドであるインナーパッドの前後端部をポケットに挿入しやすくなる。なお、インナーパッドの前後端部とは、インナーパッドの前端部および/または後端部を意味する。
【0008】
吸収性本体には、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられ、立ち上がりフラップに前後方向に延びるフラップ用弾性部材が設けられ、フラップ用弾性部材は、ポケットと重ならない位置からポケットと重なる位置まで延びていることが好ましい。このように立ち上がりフラップが設けられることにより、立ち上がりフラップがポケットの開口縁を持ち上げるように作用し、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入しやすくなる。
【0009】
ポケット内で、立ち上がりフラップの起立基部の少なくとも一部は、吸収性コアの幅方向の外縁よりも外方に位置することが好ましい。これにより、ポケット内で立ち上がりフラップが起立した際に、立ち上がりフラップが吸収性コアの幅方向の外縁より外方の部分を持ち上げるように作用し、ポケットを厚み方向に大きく開くことができる。
【0010】
立ち上がりフラップは、前端部が前側エンド固定部でトップシートに接合され、後端部が後側エンド固定部でトップシートに接合され、吸収性コアの前側端は、前側エンド固定部の後側端より前方に位置し、吸収性コアの後側端は、後側エンド固定部の前側端より後方に位置することが好ましい。このように吸収性コアが設けられていれば、インナーパッドを起立状態の立ち上がりフラップの間に配置した際、インナーパッドの前後端部よりも前後方向の外方に延在するように吸収性コアが存在することとなる。そのため、着用者から排泄された尿等がインナーパッドの前後端部から漏れても、その下側の吸収性コアによって尿等が好適に吸収され、腹側や背側からの尿等の漏れを防ぐことができる。
【0011】
ポケットには、ポケットの開口縁に沿ってポケット用弾性部材が設けられていることが好ましい。ポケット用弾性部材を設けることにより、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入した際、ポケット用弾性部材によってインナーパッドの前後端部が押さえられる。そのため、使い捨ておむつの肌面側にインナーパッドを設置して着用する際、インナーパッドの前後端部がポケットから抜けにくくなり、インナーパッドが安定して使い捨ておむつの肌面側に設置されるようになる。
【0012】
ポケットの開口幅は、吸収性コアの最大幅以上であることが好ましい。これにより、ポケットの開口幅が広く形成され、ポケットを厚み方向に大きく開くことが容易になる。
【0013】
ポケットは、外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にカバーシートを設けることにより形成されることが好ましい。具体的には、外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にカバーシートが設けられ、カバーシートは、外装部材および/または吸収性本体に接合された接合領域と、外装部材と吸収性本体のいずれにも接合されない非接合領域を有し、当該非接合領域がカバーシートの前後方向の中央側縁から前後方向の外方に延在することにより、カバーシートの中央側縁を開口縁とするポケットが形成されることが好ましい。このようにカバーシートを設けることにより、使い捨ておむつにポケットを簡便に形成することができる。また、ポケットを形成するために使用するシート部材の量を減らすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の使い捨ておむつは、吸収性コアが、ポケットと重なる部分で幅方向に対して狭く形成されているため、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入する際にポケットの開口縁を持ち上げると、ポケットが厚み方向に大きく開きやすくなる。そのため、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつの斜視図を表す。
図2図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて展開した状態を肌面側から見た平面図の一例を表す。
図3図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表す。
図4図2に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表す。
図5図2に示した使い捨ておむつの前側胴部から股部にかけての部分平面図を表す。
図6図2に示した使い捨ておむつの後側胴部から股部にかけての部分平面図を表す。
図7図2に示した使い捨ておむつに設けられた吸収性本体の平面図を表す。
図8図2に示した使い捨ておむつの平面図において、カバーシートの外装部材への接合領域の形成例を表す。
図9図2に示した使い捨ておむつの肌面側に補助的に用いられる尿パッド(インナーパッド)を配置した例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1図7には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図1は使い捨ておむつの斜視図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面状に展開した状態を肌面側から見た平面図を表し、図3は、図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表し、図4は、図2に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表し、図5は、図2に示した使い捨ておむつの前側胴部から股部にかけての部分平面図を表し、図6は、図2に示した使い捨ておむつの後側胴部から股部にかけての部分平面図を表し、図7は、図2に示した使い捨ておむつに設けられた吸収性本体の平面図を表す。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。また、図2図5図7では、立ち上がりフラップは倒伏した状態が示されており、図7では、ポケットの開口縁が位置する部分が一点鎖線で示されている。
【0017】
使い捨ておむつ1は、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとを有し、ウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有するパンツ形状に形成されている。詳細には、使い捨ておむつ1は、前後方向yと幅方向xを有し、前後方向yに対して前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとを有し、前側胴部Pと後側胴部Qが幅方向xの両側部のサイドシール部15で接合されることにより、ウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有するパンツ形状に形成されている。
【0018】
使い捨ておむつ1において、前後方向yは、おむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。前後方向yは、使い捨ておむつ1がパンツ形状に形成されている状態の上下方向に相当する。幅方向xは、使い捨ておむつ1と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつ1はまた、厚み方向zに対して、肌面側と外面側を有する。肌面側とは、おむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、外面側とは、おむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。これら、前後方向y、幅方向x、厚み方向zは、使い捨ておむつ1を構成する各部材に対しても同様の方向として規定される。
【0019】
使い捨ておむつ1において、ウェスト開口部3は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部4は着用者の脚を通すための開口である。前側胴部Pは、おむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側胴部Qは、おむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。パンツ形状の使い捨ておむつ1において、前側胴部Pと後側胴部Qはウェスト開口部3と脚開口部4の間に位置する部分に相当する。股部Rは、前側胴部Pと後側胴部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部Rは一対の脚開口部4の間に位置し、幅方向xの両側で互いに接合されない。
【0020】
使い捨ておむつ1には、股部Rに、トップシート8とバックシート9の間に吸収性コア10が配された吸収性本体7が設けられる(図2図4図7を参照)。吸収性本体7は、少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延在していることが好ましい。より好ましくは、吸収性本体7は、股部Rから前側胴部Pおよび後側胴部Qにかけて延在している。図面に示した使い捨ておむつ1では、パンツ形状に形成された外装部材2の肌面側に、トップシート8とバックシート9の間に吸収性コア10が配された吸収性本体7が設けられている。トップシート8は吸収性コア10の肌面側に配され、バックシート9は吸収性コア10の外面側に配される。
【0021】
トップシート8は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート8として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0022】
バックシート9は液不透過性であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0023】
トップシート8やバックシート9が不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0024】
吸収性コア10は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア10としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア10は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コア10に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0025】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コア10は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0026】
吸収性コア10は、少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延在していることが好ましい。吸収性コア10の形状(平面形状)は特に限定されないが、後述するように、吸収性コア10は前端部と後端部の幅が狭く形成される。
【0027】
吸収性本体7の肌面側には、幅方向xの両側に立ち上がりフラップ11が設けられることが好ましい。立ち上がりフラップ11により、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ11はフラップ形成シートから形成することができ、例えば、フラップ形成シートをトップシート8の幅方向xの両側に接合し、吸収性本体7の肌面側に立ち上がるようにすることにより、立ち上がりフラップ11を形成したり、バックシート9の幅方向xの両側に接合したフラップ形成シートを吸収性本体7の側縁に沿って折り返し、吸収性本体7の肌面側に立ち上がるようにすることにより、立ち上がりフラップ11を形成することができる。立ち上がりフラップ11は、液不透過性であることが好ましい。
【0028】
立ち上がりフラップ11には、前後方向yに延びるフラップ用弾性部材12が設けられることが好ましい。フラップ用弾性部材12は伸張状態で立ち上がりフラップ11に固定されることが好ましく、フラップ用弾性部材12の収縮力により立ち上がりフラップ11の起立が促される。
【0029】
立ち上がりフラップ11は、前後端部がトップシート8に接合されることが好ましい。具体的には立ち上がりフラップ11は、前端部が前側エンド固定部13でトップシート8に接合され、後端部が後側エンド固定部14でトップシート8に接合されることが好ましい。これにより、フラップ用弾性部材12が設けられることと相まって、使い捨ておむつ1の着用の際、立ち上がりフラップ11の前端部と後端部の間の部分が着用者の肌に向かって起立しやすくなる。
【0030】
吸収性本体7の外面側には外装部材2が設けられ、外装部材2は少なくとも前側胴部Pと後側胴部Qに配置される。外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qが幅方向xの両側部のサイドシール部15で互いに接合され、使い捨ておむつ1の着用時、外装部材2が着用者の胴周りを覆う。サイドシール部15は、例えば、前側胴部Pと後側胴部Qの幅方向xの両側を溶着により互いに接合することにより形成される。
【0031】
外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qのみに配置されてもよい。この場合、吸収性本体7は外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qとを繋ぐように設けられ、吸収性本体7は股部Rから前側胴部Pおよび後側胴部Qに延在し、吸収性本体7の一部は股部Rで使い捨ておむつ1の外面側に露出する。外装部材2は、前側胴部Pと股部Rと後側胴部Qに配置されてもよい。外装部材2は、例えば、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとが連続して形成されてもよい。この場合、外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qとをサイドシール部15で互いに接合することによりパンツ形状に形成することができ、吸収性本体7は、パンツ形状に形成された外装部材2の少なくとも股部Rの肌面側に設けられる。あるいは、外装部材2は、股部Rにおいて前後方向yに分離し、前側胴部Pから股部Rにかけて延在する部分と、後側胴部Qから股部Rにかけて延在する部分とから構成され、吸収性本体7が両部分を繋ぐように設けられてもよい。図面に示した使い捨ておむつ1では、外装部材2はパンツ形状に形成されている。
【0032】
外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qにおいて、吸収性本体7よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。外装部材2は、股部Rにおいても、吸収性本体7よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。外装部材2はまた、吸収性本体7よりも前後方向yの外方すなわち前方および後方に延在するように設けられることが好ましい。
【0033】
外装部材2は、内側シート5と、内側シート5の外面側に配された外側シート6を有することが好ましい。吸収性本体7は内側シート5の肌面側に設けられることが好ましい。内側シート5と外側シート6は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシート8やバックシート9に使用可能なシート材料を用いることができる。図面では、内側シート5と外側シート6はそれぞれパンツ形状を有するように形成されているが、外装部材2がパンツ形状に形成される場合は、内側シート5と外側シート6の少なくとも一方がパンツ形状に形成されていればよい。例えば、内側シート5と外側シート6の一方が股部Rにおいて前後方向yに分離して設けられてもよい。
【0034】
外装部材2には、脚開口部4の縁に沿って脚部弾性部材16が設けられることが好ましい。脚部弾性部材16は、例えば、股部Rを横断し、脚開口部4の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材16Aと、股部Rを横断し、脚開口部4の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材16Bとから構成される。前側脚部弾性部材16Aと後側脚部弾性部材16Bとにより、脚開口部4の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられ、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の漏れが防止される。図面では、前側脚部弾性部材16Aと後側脚部弾性部材16Bが互いに離間して設けられているが、前側脚部弾性部材16Aと後側脚部弾性部材16Bの一部は互いに接していたり交差していてもよい。外装部材2が内側シート5と外側シート6から構成される場合、脚部弾性部材16は内側シート5と外側シート6の間に配されることが好ましく、また、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。
【0035】
外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qには、幅方向xに延びる胴部弾性部材17が複数本設けられることが好ましい。胴部弾性部材17は、ウェスト開口部3と脚開口部4の間に設けられる。胴部弾性部材17により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。なお、胴部弾性部材17のうち、ウェスト開口部3の縁に沿って前後方向yに狭い間隔で設けられる弾性部材を腰部弾性部材18として設けてもよく、これにより着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。図面では、腰部弾性部材18は胴部弾性部材17よりも前後方向yに狭い間隔で設けられている。
【0036】
胴部弾性部材17は、内側シート5と外側シート6の間に設けられることが好ましい。この場合、胴部弾性部材17は、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。腰部弾性部材18は、内側シート5と外側シート6の間に設けられてもよく、外側シート6が外装部材2のウェスト開口部3の縁で内側シート5側に折り返されて、折り返された外側シート6の間に腰部弾性部材18が設けられてもよい(図4を参照)。この場合、腰部弾性部材18は外側シート6に接着されることが好ましい。
【0037】
使い捨ておむつ1に設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0038】
図2および図4に示すように、使い捨ておむつ1には、前側胴部Pの肌面側および/または後側胴部Qの肌面側に、使い捨ておむつ1の前後方向yの中央側に開口したポケット21,22が設けられる。使い捨ておむつ1は、このようにポケット21,22が設けられることにより、使い捨ておむつ1の肌面側に、補助的に用いられる尿パッド(以下、「インナーパッド」と称する)を安定して配置することができる。図9には、図2に示した使い捨ておむつ1の肌面側にインナーパッド31を配置した例を示したが、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入することで、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に安定して配置することができる。なお、前側胴部Pの肌面側に設けられるポケット21を「前側ポケット21」と称し、後側胴部Qの肌面側に設けられるポケット22を「後側ポケット22」と称する。また、本明細書において、「ポケット21,22」とは、前側ポケット21および/または後側ポケット22を意味する。使い捨ておむつ1には、前側ポケット21と後側ポケット22のどちらか一方のみ設けられてもよく、両方設けられてもよいが、前側ポケット21と後側ポケット22の両方設けられることが好ましい。
【0039】
ポケット21,22は、外装部材2の前側胴部Pの肌面側および/または後側胴部Qの肌面側にカバーシート19,20を設けることにより形成することができる。具体的には、前側ポケット21は、外装部材2の前側胴部Pの肌面側に前側カバーシート19を設けることにより形成することができ、後側ポケット22は、外装部材2の後側胴部Qの肌面側に後側カバーシート20を設けることにより形成することができる。なお、本明細書において、「カバーシート19,20」とは、前側カバーシート19および/または後側カバーシート20を意味する。カバーシート19,20からポケット21,22を形成する方法について、図8を参照して詳しく説明する。
【0040】
図8には、図2に示した使い捨ておむつ1について、カバーシート19,20を外装部材2に接合した接合領域の形成例が示されている。図8では、カバーシート19,20の外装部材2への接合領域がクロスハッチングで示されており、ポケット21,22の外縁が二点鎖線で示されている。また、理解を容易にするために、脚部弾性部材、胴部弾性部材、腰部弾性部材、および後述するポケット用弾性部材は省略して示されている。
【0041】
カバーシート19,20は、使い捨ておむつ1の前後方向yの中央側の中央側縁19E,20Eを有する。前側カバーシート19において、中央側縁19Eとは前側カバーシート19の後側縁を意味する。後側カバーシート20において、中央側縁20Eとは後側カバーシート20の前側縁を意味する。以下の説明において、参照符号「19E」は、前側カバーシート19の「中央側縁」と「後側縁」の両方に対して使用され、参照符号「20E」は、後側カバーシート20の「中央側縁」と「前側縁」の両方に対して使用される。
【0042】
カバーシート19,20は、外装部材2に接合された接合領域19A,20Aと、外装部材2と吸収性本体7のいずれにも接合されない非接合領域19B,20Bを有し、非接合領域19B,20Bがカバーシート19,20の中央側縁19E,20Eから使い捨ておむつ1の前後方向yの外方に延在することにより、カバーシート19,20の中央側縁19E,20Eを開口縁21E,22Eとするポケット21,22が形成される。具体的には、前側カバーシート19は、外装部材2に接合された接合領域19Aと、外装部材2と吸収性本体7のいずれにも接合されない非接合領域19Bを有し、非接合領域19Bが前側カバーシート19の後側縁19Eから前方に延在することにより、前側カバーシート19の後側縁19Eを開口縁21Eとする前側ポケット21が形成される。後側カバーシート20は、外装部材2に接合された接合領域20Aと、外装部材2と吸収性本体7のいずれにも接合されない非接合領域20Bを有し、非接合領域20Bが後側カバーシート20の前側縁20Eから後方に延在することにより、後側カバーシート20の前側縁20Eを開口縁22Eとする後側ポケット22が形成される。このようにカバーシート19,20を設けることにより、ポケット21,22を簡便に形成することができる。また、ポケット21,22を形成するために使用するシート部材の量を減らすこともできる。なお図面には示されていないが、カバーシート19,20の接合領域19A,20Aは、外装部材2とともに、または外装部材2の代わりに、吸収性本体7と接合するように形成されてもよい。
【0043】
カバーシート19,20の接合領域19A,20Aにおいて、カバーシート19,20と外装部材2および/または吸収性本体7との接合手段は特に限定されず、溶着(例えば、ヒートシールや超音波溶着)や接着剤等の公知の接合手段を採用することができる。簡便には、カバーシート19,20は接着剤により外装部材2および/または吸収性本体7に接合される。
【0044】
前側ポケット21は、前側カバーシート19の非接合領域19Bが、前側カバーシート19の後側縁19Eから所定以上の幅(例えば、50mm以上や80mm以上の幅)で前方に延在することにより形成される。前側ポケット21の開口部では前側カバーシート19の非接合領域19Bの幅方向xの両側に接合領域19Aが存在し、この両側の接合領域19Aの間に位置する非接合領域19Bの最も後側の部分が前側ポケット21の開口部となり、当該部分の幅方向xの長さが前側ポケット21の開口幅W1となる。前側ポケット21の前側端21Hには接合領域19Aが存在し、前側ポケット21の開口縁21Eから、前側ポケット21の前側端21Hに当たる接合領域19Aまでの前後方向yの長さが、前側ポケット21の奥行きの長さD1となる。前側ポケット21を形成する非接合領域19Bは、前側ポケット21の開口縁21Eから奥行き方向に向かって、すなわち前側カバーシート19の後側縁19Eから前方に向かって、一定幅で形成されてもよく、幅が変動するように形成されてもよい。
【0045】
後側ポケット22は、後側カバーシート20の非接合領域20Bが、後側カバーシート20の前側縁20Eから所定以上の幅(例えば、50mm以上や80mm以上の幅)で後方に延在することにより形成される。後側ポケット22の開口部では後側カバーシート20の非接合領域20Bの幅方向xの両側に接合領域20Aが存在し、この両側の接合領域20Aの間に位置する非接合領域20Bの最も前側の部分が後側ポケット22の開口部となり、当該部分の幅方向xの長さが後側ポケット22の開口幅W2となる。後側ポケット22の後側端22Hには接合領域20Aが存在し、開口縁22Eから、後側ポケット22の後側端22Hに当たる接合領域20Aまでの前後方向yの長さが、後側ポケット22の奥行きの長さD2となる。後側ポケット22を形成する非接合領域20Bは、後側ポケット22の開口縁22Eから奥行き方向に向かって、すなわち後側カバーシート20の前側縁20Eから後方に向かって、一定幅で形成されてもよく、幅が変動するように形成されてもよい。
【0046】
なお、図面には示されていないが、ポケット21,22は、外装部材2を構成するシート部材を肌面側に折り返して、この折り返し部分を上記に説明したカバーシート19,20として、ポケット21,22を形成することもできる。例えば、外装部材2を構成する外側シート6を、外装部材2のウェスト開口部3の縁で肌面側に折り返して、この折り返し部分の一部を内側シート5および/または吸収性本体7に接合することにより上記の接合領域19A,20Aを形成し、他部を内側シート5と吸収性本体7のいずれにも接合しないことにより上記の非接合領域19B,20Bを形成することができる。あるいは、外装部材2を構成する内側シート5を肌面側に折り返して、この折り返し部分の一部を対向する内側シート5および/または吸収性本体7に接合することにより上記の接合領域19A,20Aを形成し、他部を対向する内側シート5と吸収性本体7のいずれにも接合しないことにより上記の非接合領域19B,20Bを形成することができる。カバーシート19,20には、このようにポケット21,22を形成するシート部材、すなわち外装部材2を構成するシート部材の折り返し部分から構成される態様も含まれる。
【0047】
図2図4図6に示すように、ポケット21,22は、吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bを覆うように設けられる。すなわち、カバーシート19,20は、吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bを覆うように設けられる。これにより、吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bが捲れ上がるのが防止され、使い捨ておむつ1を着用の際に着用者が違和感を覚えにくくなる。
【0048】
ポケット21,22に覆われた吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bにおいて、吸収性コア10はポケット21,22と重なって設けられる。従って、前側ポケット21の開口縁21Eおよび/または後側ポケット22の開口縁22Eは、吸収性コア10と重なる位置に形成される。このようにポケット21,22が設けられることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。また、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入した際、インナーパッド31の前後端部が吸収性コア10によって支えられ、インナーパッド31の前後端部がポケット21,22から不用意に抜けにくくなる。
【0049】
ポケット21,22や吸収性コア10の位置は、外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qのサイドシール部15での接合を解いて展開して、使い捨ておむつ1を完全に広げた状態で規定する。例えば、使い捨ておむつ1をこのように展開して、使い捨ておむつ1に設けられる弾性部材を細かく切断したりして弾性部材の収縮力が発現しない状態とした上で、使い捨ておむつ1を完全に広げて各位置を規定する。各図面では、使い捨ておむつ1を完全に広げた状態の平面図や断面図等が示されている。また、本明細書におけるその他の様々な位置や長さに関しても、同様にして規定する。
【0050】
吸収性コア10は、ポケット21,22と重なる部分の最大幅が、ポケット21,22と重ならない部分の最大幅よりも狭く形成されている。すなわち、ポケット21,22に覆われた吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bにおける吸収性コア10の最大幅が、吸収性本体7のポケット21,22に覆われない部分における吸収性コア10の最大幅よりも狭く形成されている。このように吸収性コア10が形成されることにより、ポケット21,22を厚み方向zに大きく開くことが容易になり、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。例えば、吸収性コア10のポケット21,22と重なる部分の最大幅が、吸収性コア10のポケット21,22と重ならない部分の最大幅と同じかそれよりも幅広に形成される場合は、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入するためにポケット21,22の開口縁21E,22Eを持ち上げた際、吸収性コア10の幅方向xの両側部分によってポケット21,22が持ち上がるのが抑えられるため、ポケット21,22を厚み方向zに大きく広げるのが難しい。これに対して、本発明の使い捨ておむつ1は、吸収性コア10が、ポケット21,22と重なる部分で幅方向xに対して狭く形成されているため、ポケット21,22の開口縁21E,22Eを持ち上げた際に、ポケット21,22を厚み方向zに大きく開くことができる。そのため、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。
【0051】
吸収性コア10は、ポケット21,22と重なる部分の最大幅が、ポケット21,22と重ならない部分の最大幅よりも狭く形成されていれば、ポケット21,22と重ならない部分の一部において、吸収性コア10の幅方向xの長さが、ポケット21,22と重ならない部分における吸収性コア10の最大幅よりも狭く形成されていてもよく、さらにポケット21,22と重なる部分における吸収性コア10の最大幅よりも狭く形成されていてもよい。例えば、吸収性コア10は、前後方向yの中間部が幅狭に形成された砂時計形状に形成されていてもよい。
【0052】
ポケット21,22に覆われた吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bにおいて、吸収性コア10は、吸収性コア10の前側端10E1または後側端10E2に向かって幅方向xの長さが増大しないように形成されていることが好ましい(図7を参照)。すなわち、吸収性コア10は、ポケット21,22と重なる部分において、吸収性コア10の前側端10E1または後側端10E2に向かって、幅方向xの長さが変わらないか減少するように形成されていることが好ましい。吸収性コア10は、吸収性コア10の前側端10E1または後側端10E2に向かって、一部が幅方向xの長さが変わらないように形成され、他部が幅方向xの長さが減少するように形成されていてもよい。このように吸収性コア10が形成されていれば、ポケット21,22の開口縁21E,22Eを持ち上げた際に、ポケット21,22の奥までポケット21,22を厚み方向zに大きく開くことが容易になる。
【0053】
吸収性コア10が前側ポケット21と重なる部分の幅方向xの長さの平均値は、吸収性コア10の最大幅(具体的には、吸収性コア10がポケット21,22と重ならない部分の最大幅)の30%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、また95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましい。吸収性コア10が後側ポケット22と重なる部分の幅方向xの長さの平均値は、吸収性コア10の最大幅(具体的には、吸収性コア10がポケット21,22と重ならない部分の最大幅)の30%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、また95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましい。このように吸収性コア10が形成されていれば、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。また同様の観点から、吸収性コア10が前側ポケット21と重なる部分の前後方向yの長さと、吸収性コア10が後側ポケット22と重なる部分の前後方向yの長さは、それぞれ20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、また120mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。
【0054】
吸収性コア10は、前側ポケット21と重なる部分の最大幅と後側ポケット22と重なる部分の最大幅の両方が、前側ポケット21と後側ポケット22と重ならない部分の最大幅よりも狭く形成されていることが好ましい。すなわち、前側ポケット21に覆われた吸収性本体7の前端部7Aにおける吸収性コア10の最大幅と後側ポケット22に覆われた吸収性本体7の後端部7Bにおける吸収性コア10の最大幅の両方が、吸収性本体7の前側ポケット21と後側ポケット22に覆われない部分における吸収性コア10の最大幅よりも狭く形成されていることが好ましい。これにより、インナーパッド31の前端部を前側ポケット21に挿入しやすくなり、インナーパッド31の後端部を後側ポケット22に挿入しやすくなる。
【0055】
吸収性本体7は、ポケット21,22に覆われた前端部7Aおよび/または後端部7Bにおいて、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。吸収性本体7は、例えば、略矩形に形成されることが好ましい。この場合、吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bの幅方向xの両側部には、吸収性コア10の非存在部が形成され、吸収性本体7の外面側は、吸収性コア10の非存在部において、外装部材2に接合されていることが好ましい。これにより、ポケット21,22の開口縁21E,22Eを持ち上げた際に、吸収性本体7とポケット21,22(カバーシート19,20)の間に、インナーパッド31を挿入するための空間をより広く形成することができる。なお、吸収性本体7の外面側は、吸収性コア10の存在部においても外装部材2に接合されていることが好ましい。
【0056】
吸収性本体7の肌面側は、ポケット21,22(カバーシート19,20)と非接合とされていることが好ましい。これにより、ポケット21,22の内部空間が広く形成され、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。
【0057】
ポケット21,22が厚み方向zに開くことを容易にする観点から、立ち上がりフラップ11は、ポケット21,22内で起立可能に形成されていることが好ましい。従って、立ち上がりフラップ11は、ポケット21,22と重ならない位置からポケット21,22と重なる位置まで延びるように設けられるとともに、フラップ用弾性部材12が、ポケット21,22と重ならない位置からポケット21,22と重なる位置まで延び、立ち上がりフラップ11がポケット21,22内で起立可能に形成されていることが好ましい。フラップ用弾性部材12は、ポケット21,22と重ならない位置からポケット21,22と重なる位置まで連続的に設けられることが好ましい。これにより、立ち上がりフラップ11がポケット21,22の開口縁21E,22Eを持ち上げるように作用し、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。この場合、立ち上がりフラップ11がポケット21,22内で起立可能となるために、立ち上がりフラップ11の前側エンド固定部13の後側端13Eは、前側ポケット21の開口縁21Eより前方に位置することが好ましく、立ち上がりフラップ11の後側エンド固定部14の前側端14Eは、後側ポケット22の開口縁22Eより後方に位置することが好ましい。
【0058】
ポケット21,22内で、すなわちポケット21,22に覆われた吸収性本体7の前端部7Aおよび/または後端部7Bにおいて、立ち上がりフラップ11の起立基部の少なくとも一部は、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも外方に位置することが好ましい。これにより、ポケット21,22内で立ち上がりフラップ11が起立した際に、立ち上がりフラップ11が吸収性コア10の幅方向xの外縁より外方の部分を持ち上げるように作用し、ポケット21,22を厚み方向zに大きく開くことができる。より好ましくは、ポケット21,22内において、立ち上がりフラップ11の起立基部は前後方向yの全体にわたって、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも外方に位置する。なお、立ち上がりフラップ11の起立基部とは、立ち上がりフラップ11が立ち上がる起点を意味し、前後方向yに延びるように形成される。
【0059】
立ち上がりフラップ11は、幅方向xの内方に向かって立ち上がるように形成されていることが好ましい。具体的には、立ち上がりフラップ11は、前端部と後端部の間の部分が幅方向xの内方に向かって立ち上がるように形成されていることが好ましい。そのために、立ち上がりフラップ11は、前側エンド固定部13と後側エンド固定部14で、幅方向xの内側面がトップシート8に接合されていることが好ましい。これにより、インナーパッド31を、幅方向xの両側に設けられた立ち上がりフラップ11の間に安定して配置しやすくなる。
【0060】
立ち上がりフラップ11は、ポケット21,22内において、ポケット21,22(カバーシート19,20)に接合されていてもよく、非接合とされていてもよい。なお、立ち上がりフラップ11が起立することによってポケット21,22の内部空間がより広く形成されるようにする観点から、立ち上がりフラップ11はポケット21,22(カバーシート19,20)に対して非接合となっていることが好ましい。また、このように立ち上がりフラップ11を形成することにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22内に挿入した際のインナーパッド31の配置方法を適宜選択することができる。例えば、インナーパッド31の大きさに応じて、インナーパッド31を起立状態の立ち上がりフラップ11の間に配置したり、倒伏した状態の立ち上がりフラップ11の上に配置することを、適宜選択することが可能となる。
【0061】
ポケット21,22内において、フラップ用弾性部材12の少なくとも一部は、立ち上がりフラップ11が幅方向xの内方に倒伏した状態で、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも幅方向xの外方に位置することが好ましい。詳細には、ポケット21,22内において、吸収性コア10が幅狭に形成された部分で、フラップ用弾性部材12が、立ち上がりフラップ11が幅方向xの内方に倒伏した状態で、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも幅方向xの外方に位置することが好ましい。このようにフラップ用弾性部材12が設けられていれば、ポケット21,22内において、フラップ用弾性部材12が吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも外方の部分を持ち上げるように作用することができる。そのため、ポケット21,22の開口縁21E,22Eの近傍だけなく、ポケット21,22の奥においても、ポケット21,22が厚み方向zに開きやすくなり、ポケット21,22の奥までインナーパッド31の前後端部を挿入することが容易になる。
【0062】
一方、フラップ用弾性部材12は、ポケット21,22と重ならない部分の少なくとも一部で、立ち上がりフラップ11が幅方向xの内方に倒伏した状態で、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも幅方向xの内方に位置することが好ましい。このようにフラップ用弾性部材12が設けられていれば、インナーパッド31を起立状態の立ち上がりフラップ11の間に配置した際に、インナーパッド31が立ち上がりフラップ11によって安定して保持されやすくなる。
【0063】
フラップ用弾性部材12は、前側エンド固定部13と後側エンド固定部14またはその近傍まで延在していることが好ましい。例えば、フラップ用弾性部材12の前側端は、前側エンド固定部13の後側端13Eより後方に25mm以内(より好ましくは20mm以内)に位置するか、前側エンド固定部13の後側端13Eより前方に位置することが好ましく、フラップ用弾性部材12の後側端は、後側エンド固定部14の前側端14Eより前方に25mm以内(より好ましくは20mm以内)に位置するか、後側エンド固定部14の前側端14Eより後方に位置することが好ましい。これにより、フラップ用弾性部材12が、前後方向yのより広い範囲で、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも外方の部分を持ち上げるように作用することができる。フラップ用弾性部材12の前側端は、前側エンド固定部13の後側端13Eより前方に位置することがより好ましく、フラップ用弾性部材12の後側端は、後側エンド固定部14の前側端14Eより後方に位置することがより好ましい。
【0064】
ポケット21,22内において、立ち上がりフラップ11は、幅方向xの内方に倒伏した状態で、前後方向yの少なくとも一部において、吸収性コア10の幅方向xの外縁よりも幅方向xの外方に位置し、吸収性コア10と重ならないように形成されることが好ましい。このように立ち上がりフラップ11が形成されていれば、インナーパッド31を、倒伏した状態の立ち上がりフラップ11の上に配置することが容易になる。同様の観点から、前側エンド固定部13および/または後側エンド固定部14は、吸収性コア10と重ならないように設けられることが好ましい。
【0065】
吸収性コア10の前側端10E1は、立ち上がりフラップ11の前側エンド固定部13の後側端13Eより前方に位置し、吸収性コア10の後側端10E2は、立ち上がりフラップ11の後側エンド固定部14の前側端14Eより後方に位置することが好ましい(図7を参照)。このように立ち上がりフラップ11が形成されていれば、インナーパッド31を起立状態の立ち上がりフラップ11の間に配置した際、インナーパッド31の前後端部よりも前後方向yの外方に延在するように吸収性コア10が存在することとなる。そのため、着用者から排泄された尿等がインナーパッド31の前後端部から漏れても、その下側の吸収性コア10によって尿等が好適に吸収され、腹側や背側からの尿等の漏れを防ぐことができる。
【0066】
ポケット21,22の開口幅W1,W2は、吸収性コア10の最大幅以上であることが好ましい。これにより、ポケット21,22の開口幅W1,W2が広く形成され、ポケット21,22を厚み方向zに大きく開くことが容易になる。一方、ポケット21,22の開口幅W1,W2の上限は、吸収性コア10の最大幅の150%以下であることが好ましく、140%以下であることがより好ましく、130%以下であることがさらに好ましい。これにより、インナーパッド31をポケット21,22に挿入した状態で安定して保持しやすくなる。
【0067】
前側ポケット21の開口幅W1と後側ポケット22の開口幅W2は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、後側ポケット22の開口幅W2は前側ポケット21の開口幅W1よりも長く形成されていてもよい。これにより、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の股部Rに配置した際に、インナーパッド31の前端部の幅方向xの位置が正確に定まり、着用者が脚を前後に動かした際にインナーパッド31が脚に当たりにくくなり、着用者がインナーパッド31を邪魔に感じにくくなる。またその結果、インナーパッド31が使い捨ておむつ1の肌面側に安定して配置され、着用者から排泄された尿等をインナーパッド31が好適に受けることができ、尿等の横漏れが起こりにくくなる。さらに、前側部よりも後側部が幅広に形成された異形のインナーパッド31を使用した場合に、異形のインナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入することが容易になり、また異形のインナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入した状態を安定して保持することができる。この場合、後側ポケット22の開口幅W2は前側ポケット21の開口幅W1の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また2.0倍以下が好ましく、1.8倍以下がより好ましく、1.6倍以下がさらに好ましい。
【0068】
前側ポケット21の奥行きの長さD1と後側ポケット22の奥行きの長さD2は、同じであっても異なっていてもよい。前側ポケット21の奥行きの長さD1と後側ポケット22の奥行きの長さD2は、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、50mm以上がさらに好ましい。これにより、ポケット21,22にインナーパッド31の前後端部を挿入した際に、インナーパッド31の前後端部が安定して保持されやすくなる。一方、前側ポケット21の奥行きの長さD1と後側ポケット22の奥行きの長さD2は、150mm以下が好ましく、120mm以下がより好ましく、100mm以下がさらに好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入してインナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に配置した際に、インナーパッド31が前後方向yに大きくずれにくくなり、インナーパッド31がポケット21,22から抜けることが起こりにくくなる。
【0069】
前側ポケット21の奥行きの長さD1は、前側ポケット21の開口幅W1の0.3倍以上が好ましく、0.5倍以上がより好ましく、また1.5倍以下が好ましく、1.3倍以下がより好ましい。後側ポケット22の奥行きの長さD2は、後側ポケット22の開口幅W2の0.3倍以上が好ましく、0.5倍以上がより好ましく、また1.5倍以下が好ましく、1.3倍以下がより好ましい。このようにポケット21,22が形成されていれば、インナーパッド31をポケット21,22に挿入した状態で安定して保持しやすくなる。
【0070】
前側ポケット21を形成する前側カバーシート19は、少なくとも前側胴部Pに設けられ、前側胴部Pから股部Rにかけて設けられてもよい。従って、前側ポケット21の開口縁21Eは、前側胴部Pに位置してもよく、股部Rに位置してもよい。前側カバーシート19は、前側胴部Pの全体に設けられてもよく、前側胴部Pの一部のみに設けられてもよい。前側カバーシート19は、幅方向xに対しては、吸収性本体7よりも幅広に設けられることが好ましく、外装部材2の前側胴部Pと幅方向xの長さが略同一に形成されることが好ましい。
【0071】
後側ポケット22を形成する後側カバーシート20は、少なくとも後側胴部Qに設けられ、後側胴部Qから股部Rにかけて設けられてもよい。従って、後側ポケット22の開口縁22Eは、後側胴部Qに位置してもよく、股部Rに位置してもよい。後側カバーシート20は、後側胴部Qの全体に設けられてもよく、後側胴部Qの一部のみに設けられてもよい。後側カバーシート20は、幅方向xに対しては、吸収性本体7よりも幅広に設けられることが好ましく、外装部材2の後側胴部Qと幅方向xの長さが略同一に形成されることがより好ましい。
【0072】
前側カバーシート19は外装部材2の前側胴部Pと幅方向xに対して略一致するように設けられ、後側カバーシート20は外装部材2の後側胴部Qと幅方向xに対して略一致するように設けられ、前側カバーシート19と後側カバーシート20がサイドシール部15で互いに接合されることが好ましい。これにより、前側カバーシート19と後側カバーシート20が外装部材2から剥がれることが起こりにくくなり、前側ポケット21と後側ポケット22が安定して形成される。
【0073】
カバーシート19,20は、吸収性本体7に接合されないことが好ましい。従って、前側カバーシート19の接合領域19Aは、前側カバーシート19と外装部材2とを接合するように形成されることが好ましく、後側カバーシート20の接合領域20Aは、後側カバーシート20と外装部材2とを接合するように形成されることが好ましい。前側カバーシート19は、吸収性本体7の前端部7Aを覆い、かつ吸収性本体7に接合されないことがより好ましく、後側カバーシート20は、吸収性本体7の後端部7Bを覆い、かつ吸収性本体7に接合されないことがより好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入しやすくなる。また、吸収性本体7の肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ11が設けられる場合に、立ち上がりフラップ11が好適に立ち上がりやすくなる。
【0074】
カバーシート19,20は、中央側縁19E,20Eを含む部分(例えば、中央側縁19E,20Eから5mm以内の領域)に、ポケット21,22の開口部の幅方向xの両端よりも幅方向xの外方にかけて、非接合領域19B,20Bが形成されていてもよい。この場合、カバーシート19,20の中央側縁19E,20Eは、ポケット21,22の開口縁21E,22Eだけでなく、それよりも幅方向xの外方の部分においても、外装部材2と吸収性本体7に接合されないこととなる。このようにカバーシート19,20の中央側縁19E,20Eに非接合領域19B,20Bが形成されていれば、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入することが容易になる。
【0075】
カバーシート19,20は液透過性(親水性)であっても液不透過性であってもよく、トップシート8やバックシート9に使用可能なシート材料を用いることができる。例えば、カバーシート19,20が液透過性であれば、尿等がカバーシート19,20上に排泄されても尿等がカバーシート19,20を透過することができ、インナーパッド31のより広い部分を尿等の吸収に寄与させることができる。この場合、前側カバーシート19と後側カバーシート20の両方が液透過性であってもよく、一方のみが液透過性であってもよい。
【0076】
前側カバーシート19と後側カバーシート20は、一方が液透過性で他方が液不透過性であってもよい。例えば、前側カバーシート19が液透過性であり、後側カバーシート20が液不透過性であってもよい。この場合、使い捨ておむつ1の肌面側にインナーパッド31を設置して着用した際に、インナーパッド31の前側部分のより広い範囲を尿等の吸収に寄与させることができる。一方、後側カバーシート20が液不透過性であることにより、着用者が仰臥位の状態で尿等の背側からの漏れを防ぐことができるとともに、インナーパッド31に吸収された尿等が後側カバーシート20を透過して滲み出ることを防ぐことができる。そのため、使い捨ておむつ1の着用感を高めることができる。
【0077】
ポケット21,22には、開口縁21E,22Eに沿って、ポケット用弾性部材23,24が設けられることが好ましい。具体的には、前側ポケット21には、開口縁21Eに沿って、ポケット用弾性部材23が設けられることが好ましく、後側ポケット22には、開口縁22Eに沿って、ポケット用弾性部材24が設けられることが好ましい。ポケット用弾性部材23,24を設けることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入した際、ポケット用弾性部材23,24によってインナーパッド31の前後端部が押さえられる。そのため、使い捨ておむつ1の肌面側にインナーパッド31を設置して着用する際、インナーパッド31の前後端部がポケット21,22から抜けにくくなり、インナーパッド31を安定して使い捨ておむつ1の肌面側に設置することができる。なお、ポケット用弾性部材23,24が設けられるのは、前側ポケット21と後側ポケット22のどちらか一方のみであってもよく両方であってもよいが、好ましくは、前側ポケット21と後側ポケット22の両方に、ポケット用弾性部材23,24が設けられる。本明細書において、「ポケット用弾性部材23,24」とは、ポケット用弾性部材23および/またはポケット用弾性部材24を意味する。
【0078】
ポケット用弾性部材23,24は、カバーシート19,20の中央側縁19E,20Eに沿って、少なくともポケット21,22を形成する非接合領域19B,20Bと重なって、カバーシート19,20に設けられることが好ましい。ポケット用弾性部材23,24は、伸張状態でカバーシート19,20に固定されることが好ましい。
【0079】
ポケット用弾性部材23,24は、カバーシート19,20の肌面側に配されてもよく、カバーシート19,20の外面側に配されてもよい。また、カバーシート19,20が幅方向xに延びる折り目で折り返され、ポケット用弾性部材23,24が折り返されたカバーシート19,20の間に配されてもよい。この場合、カバーシート19,20の折り目がカバーシート19,20の中央側縁19E,20Eとなって、ポケット21,22の開口縁21E,22Eを形成することが好ましい。
【0080】
前側ポケット21に設けられるポケット用弾性部材23は、前側ポケット21の開口幅W1よりも幅方向xに長く設けられることが好ましい。後側ポケット22に設けられるポケット用弾性部材24は、後側ポケット22の開口幅W2よりも幅方向xに長く設けられることが好ましい。すなわち、ポケット用弾性部材23,24は、幅方向xに対して、ポケット21,22の両端よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。このようにポケット用弾性部材23,24が設けられることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入した際、インナーパッド31の前後端部が幅方向xの全体にわたってポケット用弾性部材23,24によって押さえられ、インナーパッド31の前後端部がポケット21,22から抜けにくくなる。
【0081】
前側ポケット21に設けられるポケット用弾性部材23の数は、1本であっても複数本であってもよい。後側ポケット22に設けられるポケット用弾性部材24の数は、1本であっても複数本であってもよい。なお、前側ポケット21には、開口縁21Eに沿ってポケット用弾性部材23が複数本設けられることが好ましく、後側ポケット22には、開口縁22Eに沿ってポケット用弾性部材24が複数本設けられることが好ましい。このようにポケット用弾性部材23,24が複数本設けられていれば、複数本のポケット用弾性部材23,24によってインナーパッド31の前後端部が面状に押さえられ、インナーパッド31の前後端部がより安定してポケット21,22内に保持されるようになる。
【0082】
ポケット用弾性部材23,24の少なくとも一部は、吸収性コア10と重なって配置されることが好ましい。ポケット用弾性部材23,24が複数本設けられる場合は、これらのうち少なくとも1つの弾性部材が吸収性コア10と重なって配置されることが好ましい。このようにポケット用弾性部材23,24を設けることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入した際、インナーパッド31の前後端部が吸収性コア10とポケット用弾性部材23,24の間に挟まれて、安定してポケット21,22内に保持されやすくなる。
【0083】
ポケット用弾性部材23,24は、ポケット21,22において、前後方向yの開口縁21E,22E側の1/4以下の領域に配置されることが好ましく、1/6以下の領域に配置されることがより好ましく、1/8以下の領域に配置されることがさらに好ましい。ポケット用弾性部材23,24が複数本設けられる場合は、これらのうち少なくとも1つの弾性部材がこのような領域に配置されることが好ましい。また、ポケット用弾性部材23,24は、少なくとも1つの弾性部材がポケット21,22の開口縁21E,22Eから5mm以内の領域に配置されることが好ましく、3mm以内の領域に配置されることがより好ましく、2mm以内の領域に配置されることがさらに好ましい。これによりポケット21,22の開口縁21E,22Eに沿って好適にギャザーが形成され、インナーパッド31の前後端部がポケット用弾性部材23,24によってしっかりと保持されやすくなる。
【0084】
ポケット用弾性部材23,24は、例えば、ポケット21,22の前後方向yの開口縁21E,22E側の1/2以下の領域のみに配置されることが好ましい。すなわち、ポケット21,22を奥行き方向(前後方向y)に2等分したときに、ポケット21,22の開口縁21E,22E側の1/2の領域にはポケット用弾性部材23,24が配置されるが、ポケット21,22の奥側1/2の領域にはポケット用弾性部材23,24が配置されないことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22に挿入する際、インナーパッド31の前後端部をポケット21,22の奥まで差し込むことが容易になる。より好ましくは、ポケット用弾性部材23,24は、ポケット21,22の前後方向yの開口縁21E,22E側の1/3以下の領域のみに配置される。
【0085】
外装部材2の前側胴部Pに設けられる前側胴部弾性部材17Aは、吸収性コア10と重なって配置されないことが好ましい。あるいは、前側胴部弾性部材17Aの一部が吸収性コア10と重なって配置され、吸収性コア10と重なる部分で前側胴部弾性部材17Aが断続的に設けられていることが好ましい。このように外装部材2の前側胴部Pに前側胴部弾性部材17Aが設けられることにより、吸収性コア10の前端部が前側胴部弾性部材17Aによって歪むことが起こりにくくなり、インナーパッド31の前端部を前側ポケット21に挿入しやすくなる。また、インナーパッド31の前端部が前側ポケット21に挿入された状態で安定して保持されやすくなる。なお、前側胴部弾性部材17Aが吸収性コア10と重なって配置されないことは、複数本の前側胴部弾性部材17Aが全て吸収性コア10と重なって配置されないことを意味する。
【0086】
外装部材2の後側胴部Qに設けられる後側胴部弾性部材17Bは、吸収性コア10と重なって配置されないことが好ましい。あるいは、後側胴部弾性部材17Bの一部が吸収性コア10と重なって配置され、吸収性コア10と重なる部分で後側胴部弾性部材17Bが断続的に設けられていることが好ましい。このように外装部材2の後側胴部Qに後側胴部弾性部材17Bが設けられることにより、吸収性コア10の後端部が後側胴部弾性部材17Bによって歪むことが起こりにくくなり、インナーパッド31の後端部を後側ポケット22に挿入しやすくなる。また、インナーパッド31の後端部が後側ポケット22に挿入された状態で安定して保持されやすくなる。なお、後側胴部弾性部材17Bが吸収性コア10と重なって配置されないことは、複数本の後側胴部弾性部材17Bが全て吸収性コア10と重なって配置されないことを意味する。
【0087】
図5に示すように、前側ポケット21の前側端21H、すなわち前側ポケット21の奥側の端は、吸収性本体7の前側端7E1よりも前側に位置し、前側ポケット21の前側端21Hと吸収性本体7の前側端7E1の間に、前側胴部弾性部材17Aの少なくとも一部が配置されていることが好ましい。このように前側胴部弾性部材17Aが設けられていれば、インナーパッド31の前端部を前側ポケット21に挿入して着用した際に、インナーパッド31の前端部が前側胴部弾性部材17Aによって着用者の肌に向かって押し付けられ、インナーパッド31の前端部が前側ポケット21内に安定して保持されやすくなる。なお、前側ポケット21の前側端21Hと吸収性本体7の前側端7E1の間に配される前側胴部弾性部材17Aは、前側ポケット21の前側端21Hと吸収性本体7の前側端7E1の間において連続的に設けられることが好ましい。
【0088】
図6に示すように、後側ポケット22の後側端22H、すなわち後側ポケット22の奥側の端は、吸収性本体7の後側端7E2よりも後側に位置し、後側ポケット22の後側端22Hと吸収性本体7の後側端7E2の間に、後側胴部弾性部材17Bの少なくとも一部が配置されていることが好ましい。このように後側胴部弾性部材17Bが設けられていれば、インナーパッド31の後端部を後側ポケット22に挿入して着用した際に、インナーパッド31の後端部が後側胴部弾性部材17Bによって着用者の肌に向かって押し付けられ、インナーパッド31の後端部が後側ポケット22内に安定して保持されやすくなる。なお、後側ポケット22の後側端22Hと吸収性本体7の後側端7E2の間に配される後側胴部弾性部材17Bは、後側ポケット22の後側端22Hと吸収性本体7の後側端7E2の間において連続的に設けられることが好ましい。
【0089】
本発明はまた、上記に説明した本発明の使い捨ておむつと、当該使い捨ておむつの肌面側に配置されるインナーパッドとを有する吸収性物品の組み合わせも提供する。インナーパッドは、本発明の使い捨ておむつのトップシート上に配置される。本発明の吸収性物品の組み合わせによれば、インナーパッドの前後端部を使い捨ておむつのポケットに挿入することにより、インナーパッドを使い捨ておむつの肌面側に安定して配置することができる。これについて、図9を参照して説明する。
【0090】
インナーパッド31は、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コア32とを有することが好ましい。インナーパッド31のトップシートは液透過性であることが好ましく、上記に説明した使い捨ておむつ1のトップシート8に使用可能な材料から構成することができる。インナーパッド31のバックシートは液透過性であっても液不透過性であってもよく、上記に説明した使い捨ておむつ1のトップシート8やバックシート9に使用可能な材料から構成することができる。インナーパッド31の吸収性コア32は、上記の使い捨ておむつ1の吸収性コア10の説明が参照される。インナーパッド31には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップが設けられてもよく、インナーパッド31の立ち上がりフラップは、上記の使い捨ておむつ1の立ち上がりフラップ11の説明が参照される。インナーパッド31の形状としては、略長方形、砂時計形、羽子板形等が示される。
【0091】
インナーパッド31の吸収性コア32の幅は、前側ポケット21の開口幅W1と後側ポケット22の開口幅W2よりも狭いことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部を前側ポケット21と後側ポケット22に挿入しやすくなる。インナーパッド31の吸収性コア32の前後方向yの長さは、使い捨ておむつ1の前側ポケット21の開口縁21Eから後側ポケット22の開口縁22Eまでの前後方向yの長さよりも長いことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部を前側ポケット21と後側ポケット22に挿入した状態で、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に安定して設置することができる。
【符号の説明】
【0092】
1:使い捨ておむつ
2:外装部材
3:ウェスト開口部
4:脚開口部
5:内側シート
6:外側シート
7:吸収性本体
8:トップシート
9:バックシート
10:吸収性コア
11:立ち上がりフラップ
12:フラップ用弾性部材
13:前側エンド固定部
14:後側エンド固定部
15:サイドシール部
16:脚部弾性部材、16A:前側脚部弾性部材、16B:後側脚部弾性部材
17:胴部弾性部材、17A:前側胴部弾性部材、17B:後側胴部弾性部材
18:腰部弾性部材
19:前側カバーシート、19A:接合領域、19B:非接合領域、19E:中央側縁または後側縁
20:後側カバーシート、20A:接合領域、20B:非接合領域、20E:中央側縁または前側縁
21:前側ポケット、21E:開口縁
22:後側ポケット、22E:開口縁
23:(前側ポケットの)ポケット用弾性部材
24:(後側ポケットの)ポケット用弾性部材
31:インナーパッド
32:(インナーパッドの)吸収性コア
P:前側胴部
Q:後側胴部
R:股部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9