(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076300
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】スパウト付きパウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189647
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】勝田 翔大郎
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA22
3E064BC18
3E064EA30
3E064HS04
(57)【要約】
【課題】フランジ外周縁付近を起点としたパウチ本体の破袋を抑制するスパウト付きパウチを提供すること。
【解決手段】スパウト装着フィルム30は、スパウト70のフランジ71が対向して配置されるフランジ対向領域31を有し、パウチ本体20は、スパウト装着フィルム30のうち接続シール22よりも横方向Xの内側に位置する部分と側方フィルムとを溶着した形状制御シール部27、28を有し、形状制御シール部27、28は、横方向Xにおいてフランジ対向領域31および接続シール22の間の領域に位置する部分を有しているスパウト付きパウチ10。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチであって、
前記パウチ本体は、前記スパウトが装着されるスパウト装着フィルムと、前記スパウト装着フィルムの横方向両側に形成された接続シールによって前記スパウト装着フィルムに接続された側方フィルムとを有し、
前記スパウト装着フィルムは、前記スパウトのフランジが対向して配置されるフランジ対向領域を有し、
前記パウチ本体は、前記スパウト装着フィルムのうち前記接続シールよりも横方向内側に位置する部分と前記側方フィルムとを溶着した形状制御シール部を有し、
前記形状制御シール部は、横方向において前記フランジ対向領域および前記接続シールの間の領域に位置する部分を有していることを特徴とするスパウト付きパウチ。
【請求項2】
前記スパウトは、前記スパウト装着フィルムの縦方向の中央よりも、縦方向における第1の側および第2の側のうちの第2の側寄りの位置に装着され、
前記フランジ対向領域は、縦方向におけるその中央よりも第1の側寄りの部分である第1対向領域と、縦方向におけるその中央よりも第2の側寄りの部分である第2対向領域とを有し、
前記パウチ本体は、前記形状制御シール部として、横方向において前記第1対向領域および前記接続シールの間の領域に位置する部分を有した第1形状制御シール部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付きパウチ。
【請求項3】
前記第1形状制御シール部は、横方向において前記第2対向領域および前記接続シールの間の領域に位置する部分を更に有することを特徴とする請求項2に記載のスパウト付きパウチ。
【請求項4】
前記パウチ本体は、前記形状制御シール部として、縦方向において前記第1形状制御シール部よりも第2の側寄りにおいて、前記スパウト装着フィルムのうち前記接続シールよりも横方向内側に位置する部分と前記側方フィルムとを溶着した第2形状制御シール部を更に有し、
前記第2形状制御シール部は、横方向において前記第2対向領域および前記接続シールの間の領域に位置する部分を有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスパウト付きパウチ。
【請求項5】
前記第1形状制御シール部および前記第2形状制御シール部は、横方向において最も内側に位置する最内頂部をそれぞれ有し、
前記接続シールから前記第1形状制御シール部の前記最内頂部までの横方向寸法は、前記接続シールから前記第2形状制御シール部の前記最内頂部までの横方向寸法以上に設定されていることを特徴とする請求項4に記載のスパウト付きパウチ。
【請求項6】
前記第1形状制御シール部の縦方向における第2の側の端部は、その縦方向位置が、横方向における前記フランジ対向領域の側方の位置に設定されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のスパウト付きパウチ。
【請求項7】
前記スパウトは、前記スパウト装着フィルムの縦方向の中央よりも、縦方向における第1の側および第2の側のうちの第2の側寄りの位置に装着され、
前記フランジ対向領域は、縦方向におけるその中央よりも第1の側寄りの部分である第1対向領域と、縦方向におけるその中央よりも第2の側寄りの部分である第2対向領域とを有し、
前記パウチ本体は、前記形状制御シール部として、横方向において前記第2対向領域および前記接続シールの間の領域に位置する部分を有した第2形状制御シール部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付きパウチ。
【請求項8】
前記形状制御シール部は、前記フランジ対向領域を挟んだ両側にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のスパウト付きパウチ。
【請求項9】
前記形状制御シール部は、前記接続シールに連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のスパウト付きパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水や液体洗剤等の内容液を収容する容器として、複数の樹脂フィルムを熱溶着して成るパウチ本体に注出口としてのスパウトを装着したスパウト付きパウチを用いることが公知である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、このようなスパウト付きパウチにおけるスパウトの装着手法として、スパウト装着フィルムに対してスパウトのフランジを対向して配置し、当該フランジを熱溶着等の手段によってスパウト装着フィルムに固着することも一般に公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のスパウト付きパウチでは、スパウト付きパウチを落下させてしまった時等に、内容物の重さに起因して、フランジ外周縁付近においてスパウト装着フィルムに損傷が生じ、フランジ外周縁付近を起点としたパウチ本体の破袋が発生することがあるという問題があった。
【0006】
当該パウチ本体の破袋は、スパウト付きパウチを落下させてしまった時に、スパウト装着フィルムに対してスパウトが回動(傾動)してフランジ外周縁付近にモーメント荷重が掛かり、当該モーメント荷重が掛かった状態のフランジ外周縁付近が床等に叩きつけられることで生じるものと推測される。
【0007】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、フランジ外周縁付近を起点としたパウチ本体の破袋を抑制するスパウト付きパウチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、パウチ本体にスパウトを装着したスパウト付きパウチであって、前記パウチ本体は、前記スパウトが装着されるスパウト装着フィルムと、前記スパウト装着フィルムの横方向両側に形成された接続シールによって前記スパウト装着フィルムに接続された側方フィルムとを有し、前記スパウト装着フィルムは、前記スパウトのフランジが対向して配置されるフランジ対向領域を有し、前記パウチ本体は、前記スパウト装着フィルムのうち前記接続シールよりも横方向内側に位置する部分と前記側方フィルムとを溶着した形状制御シール部を有し、前記形状制御シール部は、横方向において前記フランジ対向領域および前記接続シールの間の領域に位置する部分を有していることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係る発明によれば、パウチ本体が、スパウト装着フィルムのうち接続シールよりも横方向内側に位置する部分と側方フィルムとを溶着した形状制御シール部を有し、形状制御シール部が、フランジ対向領域および接続シールの間の領域に位置する部分を有していることにより、形状制御シール部の形成によって横方向両側のシール部間の横方向間隔を周辺部位よりも狭くすることで、破袋が生じ易いフランジ外周縁付近のスパウト装着フィルムをパウチ内側に向けて奥まらせるようにスパウト装着フィルムの状態を調整して、フランジ外周縁付近のスパウト装着フィルムが床等に当たりにくくするとともに、フランジ外周縁付近のスパウト装着フィルムのテンションを緩めることも可能であるため、スパウト付きパウチを落下させてしまった場合であっても、フランジ外周縁付近を起点としたパウチ本体の破袋を抑制できる。
【0010】
本請求項2、3に係る発明によれば、スパウトが、スパウト装着フィルムの縦方向の中央よりも、縦方向における第1の側および第2の側のうちの第2の側寄りの位置に装着され、パウチ本体が、形状制御シール部として、横方向において第1対向領域および接続シールの間の領域に位置する部分を有した第1形状制御シール部を備えていることにより、スパウト付きパウチを落下させてしまった場合等に破袋を生じ易い箇所である、フランジ外周縁のうち縦方向における第1の側に面する箇所付近を起点としたパウチ本体の破袋を抑制できる。また、スパウト装着フィルムの縦方向の中央よりも第2の側寄りにスパウトを装着した場合、内容液の自重によってスパウト装着フィルムが外側に向けて膨らむことに起因して、スパウトが第2の側に向けて傾くことになるが、第1形状制御シール部の形成によってスパウトが第1の側に向くようにフランジの傾きを調整することが可能であるため、スパウトの姿勢(向き)を矯正することができる。
本請求項4に係る発明によれば、第2形状制御シール部が、第2対向領域および接続シールの間の領域に位置する部分を有していることにより、スパウト付きパウチを落下させてしまった場合等に破袋を生じ易い箇所である、フランジ外周縁のうち縦方向における第2の側に面する箇所付近における破袋を抑制できるばかりでなく、第2形状制御シール部の形成によってスパウトが第2の側に向くようにフランジの傾きを調整することが可能であるため、第1形状制御シール部の形成によってスパウトが第1の側に向き過ぎてしまうことを回避できる等、スパウトの姿勢を矯正することができ、また、これにより、第1形状制御シール部の横幅等の設計自由度を確保できる。
本請求項5に係る発明によれば、接続シールから第1形状制御シール部の最内頂部までの横方向寸法が、接続シールから第2形状制御シール部の最内頂部までの横方向寸法以上に設定されていることにより、第1形状制御シール部および第2形状制御シール部の形成によってスパウトの姿勢を適切に維持することができる。
本請求項6に係る発明によれば、第1形状制御シール部の縦方向における第2の側の端部が、その縦方向位置が、横方向におけるフランジ対向領域の側方の位置に設定されていることにより、スパウト付きパウチを落下させてしまった時等に、第1形状制御シール部の第2の側の端部付近を起点としてスパウト装着フィルムや接続シールを折り曲がらせ、フランジ内を通るように横方向に延びる軸を中心として、スパウトを第2の側に向けて回動させるように、スパウト装着フィルムの変形を誘導することが可能であるため、スパウト付きパウチを落下させてしまった時等に、パウチ内側にスパウトを逃がして床等との接触によってスパウトに強い力が作用することを防止できる状態に、スパウト付きパウチを誘導することができる。
本請求項7に係る発明によれば、パウチ本体が、形状制御シール部として、横方向において第2対向領域および接続シールの間の領域に位置する部分を有した第2形状制御シール部を備えていることにより、スパウト付きパウチを落下させてしまった場合等に破袋を生じ易い箇所である、フランジ外周縁のうち縦方向における第2の側に面する箇所付近を起点としたパウチ本体の破袋を抑制できる。
本請求項8に係る発明によれば、形状制御シール部が、フランジ対向領域を挟んだ両側にそれぞれ形成されていることにより、形状制御シール部による、フランジ外周縁付近を起点としたパウチ本体の破袋防止効果を良好に発揮することができる。
本請求項9に係る発明によれば、形状制御シール部が、接続シールに連続して形成されていることにより、接続シールから独立して形状制御シール部を形成した場合に生じがちな、接続シールと形状制御シール部との間に内容液が残留してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスパウト付きパウチを使用状態で載置面上に置いた状態を示す説明図。
【
図2】スパウト付きパウチを構成する各フィルムを示す説明図。
【
図4】スパウト装着フィルムの各部の寸法関係等を説明する説明図。
【
図5】落下時におけるスパウト付きパウチの変形の態様の一例を示す説明図。
【
図6】スパウト装着フィルムに対するスパウトの装着態様を説明する説明図。
【
図9】退避部を形成したフランジの変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態であるスパウト付きパウチ10について、図面に基づいて説明する。
【0013】
スパウト付きパウチ10は、飲料水や液体洗剤等の内容液を収容するものであり、
図1に示すように、その使用時に、パウチ底部20aを下にして置かれた状態で、パウチ本体20の側面に装着されたスパウト70から内容液を注出するように構成されている。
【0014】
スパウト付きパウチ10は、
図1に示すように、可撓性を有したフィルム30、40、50を熱溶着して製袋用シール部を形成することで袋状に形成されたパウチ本体20と、パウチ本体20内に配置される内側フィルム60と、パウチ本体20に装着されたスパウト70とを有している。スパウト付きパウチ10は、その使用時や陳列時や運搬時に、外装ケース(図示しない)内に収容されて運用される。
【0015】
パウチ本体20は、両側部にマチ部が形成された所謂横ガゼット型のパウチとして構成され、
図1や
図2に示すように、スパウト70が装着されたスパウト装着フィルム30と、スパウト装着フィルム30の横方向Xの両側に形成される第1接続シール22によってスパウト装着フィルム30に接続された2枚の側方フィルム40と、内容液収容部21を挟んでスパウト装着フィルム30に対向して配置され、その横方向Xの両側に形成される第2接続シール23によって側方フィルム40に接続された第2フィルム50とを有している。
【0016】
各フィルム30、40、50、60は、少なくともその片面に熱溶着層を有した樹脂フィルムとして形成され、互いに熱溶着される箇所において、熱溶着層同士を対向させるように配置されている。
なお、
図2等では、各フィルム30、40、50、60の各熱溶着領域を塗り潰しで表した。
【0017】
スパウト装着フィルム30は、
図3に示すように、スパウト70のフランジ71が対向して配置されるフランジ対向領域31を有している。
フランジ対向領域31は、
図3に示すように、縦方向Y(本実施形態では上下方向)におけるその中央よりも第1の側(本実施形態では上側)寄りの部分である第1対向領域31aと、縦方向におけるその中央よりも第2の側(本実施形態では下側)寄りの部分である第2対向領域31bとを有している。
また、スパウト装着フィルム30は、表裏方向に貫通して形成されたスパウト用貫通孔32を有している。
【0018】
パウチ本体20は、
図1や
図2に示すように、スパウト装着フィルム30の横方向Xの両側を側方フィルム40に熱溶着した第1接続シール22と、第2フィルム50の横方向Xの両側を側方フィルム40に熱溶着した第2接続シール23と、内容液収容部21を挟んでボトムシール25に対向するパウチ本体20の頂部に対応する位置で、フィルム40、60を熱溶着したトップシール24と、パウチ本体20のパウチ底部20aに対応する位置で、フィルム40、60を熱溶着したボトムシール25と、側方フィルム40と内側フィルム60とを熱溶着した中間シール26とを有している。これらシール22~26は、製袋用シール部を構成する。
【0019】
接続シール22、23は、
図2に示すように、縦方向Yに延びる帯状のシール基部22a、23aと、シール基部22a、23aの縦方向Yにおける第1の側(上側)に形成された第1傾斜部22b、23bと、シール基部22a、23aの縦方向Yにおける第2の側(下側)に形成された第2傾斜部22c、23cとをそれぞれ有している。
【0020】
シール基部22a、23aは、
図2に示すように、縦方向Yに沿って直線状に延びる内側縁を有している。
第1傾斜部22b、23bは、
図2に示すように、第1の側(上側)に向かうに従って横方向Xの内側に寄るように縦方向Yに対して(本実施形態では45°)傾斜した内側縁を有している。
第2傾斜部22c、23cは、
図2に示すように、第2の側(下側)に向かうに従って横方向Xの内側に寄るように縦方向Yに対して(本実施形態では45°)傾斜した内側縁を有している。
【0021】
また、マチ部を形成したパウチ本体20の両側部における所定箇所(例えば
図1に示すA箇所)では、フィルム30、40を部分的に除去した箇所が形成され、側方フィルム40間が熱溶着されている。これにより、上記所定箇所(例えば
図1に示すA箇所)において側方フィルム40間が離れることが阻止される。
【0022】
パウチ本体20は、
図1~
図3に示すように、スパウト装着フィルム30のうち第1接続シール22よりも横方向Xの内側に位置する部分と側方フィルム40の一部分とを溶着した形状制御シール部としての第1形状制御シール部27を有している。
【0023】
第1形状制御シール部27は、
図2や
図3に示すように、フランジ対向領域31(フランジ71)を挟んだ横方向Xの両側において、各第1接続シール22(シール基部22a)から横方向Xの内側に向けて連続して突出して形成されている。
第1形状制御シール部27は、
図2や
図3に示すように、横方向Xにおいてフランジ対向領域31および第1接続シール22の間の領域に位置する部分を有し、更に具体的には、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第1の側(上側)の第1対向領域31aおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分を有し、また、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第2の側(下側)の第2対向領域31bおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分を有していない。
このように第1形状制御シール部27を形成することにより、スパウト装着フィルム30に固着されたフランジ71の第1対向領域31a側をパウチ内側に移動させるとともにフランジ71の第2対向領域31b側をパウチ外側に移動させ、スパウト70が第1の側(上側)に向くようにフランジ71の傾きを調整することができる。また、このようにフランジ71の傾きを調整することで、第1接続シール22のシール基部22aの第2の側(下側)の端部付近に形成されがちな座屈誘発箇所の発生を抑制することができる。
なお、図示しないが、第1形状制御シール部27を、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第1の側(上側)の第1対向領域31aおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分に加えて、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第2の側(下側)の第2対向領域31bおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分を更に有するように形成してもよい。
【0024】
第1形状制御シール部27は、
図3に示すように、横方向Xにおいて最も内側に位置する最内頂部27aと、最内頂部27aの縦方向Yにおける第1の側(上側)に連続して形成された第1内側縁部27bと、最内頂部27aの縦方向Yにおける第2の側(下側)に連続して形成された第2内側縁部27cとを有している。
【0025】
第1内側縁部27bは、
図3に示すように、縦方向Yにおける第1の側(上側)に向かうに従って横方向Xの外側に寄るように傾斜して形成されている。
第2内側縁部27cは、
図3に示すように、縦方向Yにおける第2の側(下側)に向かうに従って横方向Xの外側に寄るように傾斜して形成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、最内頂部27aは、点状(頂点状)に形成されているが、最内頂部27aを、縦方向Yに長さを有するもの、言い換えると、縦方向Yに沿って直線状に延びる内縁部を有するものとして形成してもよい。
また、
図3に示すように、最内頂部27a付近の内縁部を、横方向Xの内側に向けて凸状の曲線状に形成する場合、パウチ破袋対策の観点から、最内頂部27a付近の内縁部のR(曲率半径)を20mm以上に設定するのが好ましい。
また、本実施形態では、内側縁部27b、27cは、横方向Xの内側に向けて凸状の曲線状に形成されているが、その具体的態様は如何なるものでもよい。例えば、内側縁部27b、27cを、直線状に形成してもよく、また、横方向Xの外側に向けて凸状になるように曲線状に形成してもよく、また、上述した1つ以上の凸状または凹状の曲線や直線を任意に組み合わせて形成してもよい。なお、内側縁部27b、27cを、横方向Xの内側に向けて凸状の曲線状に形成する場合、そのR(曲率半径)を20mm以上に設定するのが好ましい。
【0027】
パウチ本体20は、
図2や
図3に示すように、第1形状制御シール部27よりも縦方向Yにおける第2の側(下側)寄りにおいて、スパウト装着フィルム30のうち第1接続シール22よりも横方向Xの内側に位置する部分と側方フィルム40の一部分とを溶着した形状制御シール部としての第2形状制御シール部28を有している。
【0028】
第2形状制御シール部28は、
図2や
図3に示すように、縦方向Yにおいて第1形状制御シール部27との間に間隔を開けて形成されている。
第2形状制御シール部28は、
図2や
図3に示すように、フランジ対向領域31(フランジ71)を挟んだ横方向Xの両側において、各第1接続シール22(シール基部22a)から横方向Xの内側に向けて連続して突出して形成されている。
第2形状制御シール部28は、
図2や
図3に示すように、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第2の側(下側)の第2対向領域31bおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分を有し、また、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第1の側(上側)の第1対向領域31aおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分を有していない。
このように第2形状制御シール部28を形成することにより、スパウト装着フィルム30に固着されたフランジ71の第1対向領域31a側をパウチ外側に移動させるとともにフランジ71の第2対向領域31b側をパウチ内側に移動させ、スパウト70が第2の側(下側)に向くようにフランジ71の傾きを調整することができる。
なお、図示しないが、第2形状制御シール部28を、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第2の側(下側)の第2対向領域31bおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分に加えて、横方向Xにおいてフランジ対向領域31の第1の側(上側)の第1対向領域31aおよび第1接続シール22の間の領域に位置する部分を更に有するように形成してもよい。
【0029】
第2形状制御シール部28は、
図3に示すように、横方向Xにおいて最も内側に位置する最内頂部28aと、最内頂部28aの縦方向Yにおける第1の側(上側)に連続して形成された第1内側縁部28bと、最内頂部28aの縦方向Yにおける第2の側(下側)に連続して形成された第2内側縁部28cとを有している。
【0030】
第1内側縁部28bは、
図3に示すように、縦方向Yにおける第1の側(上側)に向かうに従って横方向Xの外側に寄るように傾斜して形成されている。
第2内側縁部28cは、
図3に示すように、縦方向Yにおける第2の側(下側)に向かうに従って横方向Xの外側に寄るように傾斜して形成されている。
【0031】
なお、本実施形態では、最内頂部28aは、点状(頂点状)に形成されているが、最内頂部28aを、縦方向Yに長さを有するもの、言い換えると、縦方向Yに沿って直線状に延びる内縁部を有するものとして形成してもよい。
また、
図3に示すように、最内頂部28a付近の内縁部を、横方向Xの内側に向けて凸状の曲線状に形成する場合、パウチ破袋対策の観点から、最内頂部28a付近の内縁部のR(曲率半径)を20mm以上に設定するのが好ましい。
また、本実施形態では、第2形状制御シール部28が、縦方向Yにおいて第1形状制御シール部27との間に所定間隔を開けて形成されているものとして説明したが、第1形状制御シール部27と第2形状制御シール部28とを縦方向Yに連続して形成してもよく、また、この場合、第1形状制御シール部27と第2形状制御シール部28との接続部分の内縁が第1接続シール22(シール基部22a)よりも横方向Xの内側に位置するように、形状制御シール部27、28を形成してもよい。
また、本実施形態では、内側縁部28b、28cは、横方向Xの内側に向けて凸状の曲線状に形成されているが、その具体的態様は如何なるものでもよい。例えば、内側縁部28b、28cを、直線状に形成してもよく、また、横方向Xの外側に向けて凸状になるように曲線状に形成してもよく、また、上述した1つ以上の凸状または凹状の曲線や直線を任意に組み合わせて形成してもよい。なお、内側縁部28b、28cを、横方向Xの内側に向けて凸状の曲線状に形成する場合、そのR(曲率半径)を20mm以上に設定するのが好ましい。
【0032】
スパウト70は、合成樹脂等から形成され、パウチ本体20に装着されて内容液の注出口として機能するものである。
スパウト70は、
図1や
図2に示すように、スパウト装着フィルム30の縦方向Yの中央よりも第2の側(下側)寄りの位置に装着されている。
【0033】
スパウト70は、
図6に示すように、スパウト装着フィルム30に対向して配置されるフランジ71を有し、本実施形態では、フランジ71は、その中央に貫通孔が形成され円形の外周縁を有した円盤状の部位として形成され、パウチ本体20の内側に配置されてスパウト装着フィルム30の内側面に熱溶着によって固着されている。
なお、
図1や
図6等では、スパウト70の一部分のみを図示しており、スパウト70の大部分は、パウチ本体20の外側に配置されている。
【0034】
フランジ71は、
図6に示すように、スパウト装着フィルム30に熱溶着によって固着される環状(本実施形態では円環状)のフランジ固着部72と、フランジ固着部72の外周のうち少なくとも一部領域に形成され、スパウト装着フィルム30に固着されないフランジ緩衝部73と、フランジ固着部72の外周の一部領域に形成され、スパウト装着フィルム30に固着されない外周側未固着部74と、フランジ固着部72の内周側に設定されスパウト装着フィルム30に固着されない環状(本実施形態では円環状)の内周側未固着部75とを有している。
【0035】
フランジ緩衝部73は、フランジ固着部72の外周においてスパウト装着フィルム30に固着されていない部分のうち、
図6に示すように、その径方向幅W3が、フランジ緩衝部73が形成された位置(周方向位置)における、フランジ対向領域31の径方向幅W1(すなわち、
図6に示す例では、フランジ固着部72の径方向幅W2およびフランジ緩衝部73の径方向幅W3の合計値)の20~80%(更に好ましくは30~80%、更に好ましくは45~80%)、2mm以上(更に好ましくは3mm以上)、および/または、スパウト装着フィルム30の厚み(60μm~300μm)の650%以上(更に好ましくは1000%以上)に形成された部位であり、上述した設定(径方向幅W3が、径方向幅W1の20%以上、2mm以上、および/または、スパウト装着フィルム30の厚みの650%以上)に基づいて、
図7に示すように、パウチ内側または外側に向けてスパウト装着フィルム30がフランジ71に対して相対的に動いた場合に、スパウト装着フィルム30の特定箇所に屈曲の負荷が作用することを回避する効果を奏する部位である。
すなわち、
図7(c)(d)に示すように、フランジ71にフランジ緩衝部73を設けていない場合、パウチ内側または外側に向けてスパウト装着フィルム30がフランジ71に対して相対的に動いた場合に、スパウト装着フィルム30の特定箇所に屈曲の負荷が作用し、当該特定箇所にフィルム損傷が生じることがある。
これに対して、フランジ71にフランジ緩衝部73を設けた場合、
図7(a)に示すように、パウチ内側に向けてスパウト装着フィルム30がフランジ71に対して相対的に動く時には、フランジ71の外周縁に対応する箇所でスパウト装着フィルム30が屈曲し、また、パウチ外側に向けてスパウト装着フィルム30がフランジ71に対して相対的に動く時には、フランジ固着部72の外周縁に対応する箇所でスパウト装着フィルム30が屈曲するため、スパウト装着フィルム30の特定箇所に屈曲の負荷が作用することを回避することができる。
なお、フランジ緩衝部73の径方向幅W3が径方向幅W1の80%よりも大きい場合には、フランジ固着部72の径方向幅W2が狭くなり過ぎて、スパウト装着フィルム30に対するフランジ71の固着強度を充分に確保できず、衝撃等に起因して当該固着部が剥離し易くなってしまうため、望ましくない。なお、フランジ固着部72の径方向幅W2は、固着強度を確保するために、2mm以上(更に好ましくは3mm以上)に設定するのが好ましい。
また、スパウト装着フィルム30の厚みとフランジ緩衝部73の径方向幅W3との間の関係については、スパウト装着フィルム30の厚みが大きい時の方が径方向幅W3を大きく設定するのが好ましい。その理由は定かではないが、スパウト装着フィルム30の厚みが小さい時の方が、スパウト装着フィルム30の屈曲を塑性変形ではなくその弾性変形で受ける割合が相対的に大きく、屈曲に対するフィルム耐久性が高いのに対して、スパウト装着フィルム30の厚みが大きい時には、スパウト装着フィルム30の屈曲をその弾性変形で受ける割合が相対的に小さく、屈曲に対するフィルム耐久性が低い、ことに起因しているものと推測される。
【0036】
フランジ緩衝部73は、
図6(a)に示すように、フランジ固着部72の外周のうち、横方向Xの中央において縦方向Yにおける第1の側(上側)に面する箇所を含む位置に形成されている。
また、フランジ緩衝部73は、
図6(a)に示すように、フランジ固着部72の外周のうち、横方向Xの中央において縦方向Yにおける第2の側(下側)に面した箇所を含む位置にも形成されている。
【0037】
図6(a)に示す例では、フランジ緩衝部73がその径方向幅が一定で無いように形成され、フランジ緩衝部73は、そのフランジ緩衝部73のうち径方向における幅が最も広い幅広部73aを有し、第1の側(上側)のフランジ緩衝部73においては、この幅広部73aは、フランジ固着部72の外周のうち、横方向Xの中央において縦方向Yにおける第1の側(上側)に面した箇所を含む位置に形成されている。
また、同様に、第2の側(下側)のフランジ緩衝部73においては、幅広部73aは、フランジ固着部72の外周のうち、横方向Xの中央において縦方向Yにおける第2の側(下側)に面した箇所を含む位置に形成されている。
なお、本実施形態では、第1の側(上側)のフランジ緩衝部73の幅広部73aと第2の側(下側)のフランジ緩衝部73の幅広部73aとは、同じ径方向幅で形成されているが、異なる径方向幅で形成してもよい。
【0038】
フランジ固着部72は、
図6(a)に示す例では、フランジ71のうち外周側の厚みが薄く形成された部位に設定されている。
また、外周側未固着部74は、フランジ固着部72の外周においてスパウト装着フィルム30に固着されていない部分のうち、上述したフランジ緩衝部73による効果(スパウト装着フィルム30の特定箇所に屈曲の負荷が作用することを回避する効果)を奏しない部位であり、フランジ緩衝部73よりも径方向幅が狭く形成されている。
この外周側未固着部74は、スパウト装着フィルム30にフランジ71を接着剤を用いて固着する場合に、当該接着剤がフランジ71の外周縁よりも外側に漏れ出してしまう(はみ出してしまう)ことを抑制したり、フランジ71の外周縁付近において、スパウト装着フィルム30に皺が発生した状態でスパウト装着フィルム30がフランジ71に固着されてしまうことを防止する部位として機能する。
【0039】
なお、上述した
図6に示す実施形態では、フランジ緩衝部73が、フランジ固着部72の外周のうち第1の側(上側)および第2の側(下側)の2箇所に形成されているものとして説明したが、フランジ緩衝部73の具体的態様は、上記に限定されず、実施形態に応じて任意の態様でフランジ緩衝部73を形成すればよく、例えば、フランジ緩衝部73を、フランジ固着部72の外周のうち第1の側(上側)および第2の側(下側)の2箇所のうちいずれか一方にのみ形成してもよく、また、
図8(a)に示すように、フランジ固着部72の外周の全周に亘ってフランジ緩衝部73を形成してもよい。この
図8(a)に示す変形例では、フランジ固着部72の外周の全周に亘ってフランジ緩衝部73が均一な径方向幅で形成されている。また、
図8(b)に示す変形例のように、フランジ固着部72の外周における一部領域に、外周側未固着部74が形成されない領域(すなわち、スパウト装着フィルム30にフランジ71の外周縁まで固着した領域)を形成してもよい。
【0040】
次に、フランジ71に退避部76を形成した、スパウト70の変形例について、
図9~
図11に基づいて以下に説明する。
【0041】
まず、
図6等に示す例では、スパウト70のフランジ71が平板状に形成されているものとして説明したが、
図9に示す変形例では、フランジ緩衝部73が、厚み方向においてフランジ固着部72よりもその外周側先端部がスパウト装着フィルム30から遠ざかる側(
図9の右側)に位置する退避部76を有している。
【0042】
図9に示す例では、退避部76は、フランジ71の外周側をスパウト装着フィルム30から遠ざかる側(
図9の右側)に向けて湾曲させることで形成されたものであり、スパウト装着フィルム30に対向する側に、外周側に向かうに従ってスパウト装着フィルム30から遠ざかる側(
図9の右側)に寄るように湾曲する湾曲面76aを有している。当該湾曲面76aは、
図9に示すように、スパウト装着フィルム30に対向する側(
図9の左側)に向けて凸状になるように湾曲している。
【0043】
このような退避部76をフランジ71に形成することにより、
図10に示すように、スパウト付きパウチ10を落下させた時に、スパウト装着フィルム30とフランジ71の外周縁との接触箇所が地面等に当たった場合であっても、当該箇所においてスパウト装着フィルム30に過度な力が作用することを抑制し、当該箇所がパウチ破断の起点となることを抑制できる。
【0044】
なお、退避部76は、フランジ71の外周部における全周に亘って環状に形成してもよく、または、フランジ71の外周部のうち一部領域にのみ形成してもよい。また、フランジ71の外周部のうち一部領域にのみに退避部76を形成する場合、周方向に離れた複数箇所に退避部76を形成してもよい。
【0045】
また、フランジ緩衝部73と退避部76との周方向における寸法(幅)関係や位置関係については、フランジ71の外周部のうち少なくとも一部領域において、フランジ緩衝部73と退避部76とが周方向に重なるように、フランジ緩衝部73や退避部76の周方向における寸法(幅)および位置を設定すればよい。
【0046】
また、フランジ緩衝部73と退避部76との径方向における寸法関係については、
図11(a)に示すように、フランジ緩衝部73と退避部76との径方向における寸法(幅)が一致するように設定してもよく、また、
図11(b)に示すように、フランジ緩衝部73よりも退避部76の径方向における寸法(幅)を大きく設定してもよく、また、
図11(c)に示すように、フランジ緩衝部73よりも退避部76の径方向における寸法(幅)を小さく設定してもよい。
図11(a)~(c)に示す例では、フランジ緩衝部73の外周縁位置と退避部76の外周縁位置とは一致している。
【0047】
また、
図9に示す例では、退避部76が、フランジ71の外周側をスパウト装着フィルム30から遠ざかる側(
図9の右側)に向けて湾曲させた形状を有しているが、退避部76の具体的形状については、フランジ固着部72よりもその外周側先端部がスパウト装着フィルム30から遠ざかる側(
図9の右側)に位置するように形成されたものであれば如何なるものでもよく、例えば、
図11(d)に示すように、フランジ71を湾曲させるのではなくフランジ71を径方向の途中で屈折させた形状で、退避部76を形成してもよい。
【0048】
内側フィルム60は、少なくともその片面に熱溶着層を有した矩形状(またはほぼ矩形状)かつ可撓性の樹脂フィルムとして形成され、
図1や
図2から分かるように、2つ折りに折り曲げられた状態でパウチ本体20(内容液収容部21)内に配置され、その所定箇所が側方フィルム40に熱溶着されている。
内側フィルム60には、
図2に示すように、フィルム厚み方向に貫通する孔状に形成された複数のフィルム貫通部が形成されている。
【0049】
また、スパウト付きパウチ10の頂部側の製袋用シール部においてフィルム40、60が重なった部位には、
図1や
図2に示すように、フィルム40、60が重なった部位を貫通して形成された、使用者が手や指を通してスパウト付きパウチ10を持つための把手孔29が形成されている。
【0050】
次に、スパウト付きパウチ10の各部の具体的設定について、
図4に基づいて以下に説明する。
【0051】
まず、
図4に示すように、第1接続シール22(シール基部22a)から第1形状制御シール部27の最内頂部27aまでの横方向寸法b1は、横方向Xにおける第1接続シール22(シール基部22a)間の横方向間隔aの6~10%で設定するのが好ましい。
また、横方向寸法b1は、第1接続シール22(シール基部22a)からフランジ対向領域31(フランジ71)の外周縁のうち横方向Xにおいて最も外側(第1接続シール22側)に位置する箇所31cまでの横方向寸法cの20~50%で設定するのが好ましい。
このように設定することで、スパウト装着フィルム30によってスパウト70の動きが拘束され過ぎてしまうことを避けつつ、第1形状制御シール部27の形成による効果(フランジ71の外周縁付近のスパウト装着フィルム30をパウチ内側に向けて奥まらせる効果や、フランジ71の外周縁付近のスパウト装着フィルム30のテンションを緩める効果や、フランジ71の傾きを調整する効果)を良好に得ることができる。
【0052】
また、
図4に示すように、第1接続シール22(シール基部22a)から第2形状制御シール部28の最内頂部28aまでの横方向寸法b2は、横方向間隔aの4~10%で設定するのが好ましい。
また、横方向寸法b2は、横方向寸法cの10~50%で設定するのが好ましい。
このように設定することで、スパウト装着フィルム30によってスパウト70の動きが拘束され過ぎてしまうことを避けつつ、第2形状制御シール部28の形成による効果(フランジ71の外周縁付近のスパウト装着フィルム30をパウチ内側に向けて奥まらせる効果や、フランジ71の外周縁付近のスパウト装着フィルム30のテンションを緩める効果や、フランジ71の傾きを調整する効果)を良好に得ることができる。
【0053】
また、横方向寸法b1は、横方向寸法b2以上に設定するのが好ましい。
また、横方向寸法b2は、横方向寸法b1の30%以上に設定するのが好ましい。
このように設定することで、スパウト70の傾きを良好に調整する、すなわち、縦方向Yにおける第1の側(上側)または第2の側(下側)へのスパウト70の傾きを良好に調整することができる。
【0054】
また、
図4に示すように、第1形状制御シール部27の最内頂部27aの縦方向位置(最内頂部27aを縦方向Yに長さを有するものとして形成した場合には、最内頂部27aの第2の側の端部の縦方向位置)は、フランジ対向領域31(フランジ71)の外周縁のうち縦方向Yにおいて最も第1の側(上側)寄りに位置する箇所31dの縦方向位置から縦方向Yに±10mmの範囲内に設定するのが好ましい。
このように設定することで、前記の箇所31d付近のスパウト装着フィルム30をパウチ内側に向けて奥まらせるようにスパウト装着フィルム30の状態を調整することができ、また、前記の箇所31d付近のスパウト装着フィルム30のテンションを緩めることができる。なお、前記の箇所31d付近のスパウト装着フィルム30のテンションを緩めるという観点からは、第1形状制御シール部27の最内頂部27aの縦方向位置を、前記の箇所31dの縦方向位置から第1の側(上側)または第2の側(下側)のいずれかにずらして設定するのが好ましい。
【0055】
また、
図4に示すように、第1形状制御シール部27(第2内側縁部27c)の第2の側(下側)の端部(下端)の縦方向位置は、横方向Xにおいてフランジ対向領域31(フランジ71)の側方の位置に設定するのが好ましく、さらには、フランジ対向領域31(フランジ71)の縦方向Yにおける中央位置から縦方向Yに±10mmの範囲内に設定するのが好ましく、さらには、フランジ対向領域31(フランジ71)の縦方向Yにおける中央位置と一致するように設定するのが好ましい。このように設定することで、スパウト付きパウチ10を落下させてしまった時等に、
図5に示すB箇所において、横方向Xの両側の第1形状制御シール部27(第2内側縁部27c)の下端部を起点として、スパウト装着フィルム30(第1接続シール22)を折り曲がらせ、フランジ対向領域31(フランジ71)内を通るように横方向Xに延びる軸Lを中心として、スパウト70を第2の側に向けて回動(傾動)させるように、スパウト装着フィルム30の変形を誘導することができる。
また、この際、
図5(b)に示す状態にスパウト装着フィルム30を誘導するためには、第2形状制御シール部28(第1内側縁部28b)の第1の側(上側)の端部(上端)の縦方向位置を、フランジ対向領域31(フランジ71)の縦方向Yにおける中央位置よりも下側に設定するのが好ましい。このように設定することで、
図5(b)に示すように、第2形状制御シール部28が形成された付近の第1接続シール22を、横方向Xの内側に向けて寄らせて、軸Lを中心としてスパウト70を第2の側に向けて回動(傾動)するように誘導することができる。なお、この際、
図5に示すD箇所において、横方向Xの両側の第2形状制御シール部28(第2内側縁部28c)の下端部を起点として、スパウト装着フィルム30(第1接続シール22)が折り曲がる。また、軸Lを中心としてスパウト70を第2の側に向けて回動(傾動)するように誘導するためには、
図5(a)に示すように、第2形状制御シール部28(第1内側縁部28b)の第1の側(上側)の端部(上端)の縦方向位置を、横方向Xにおいてフランジ対向領域31(第2対向領域31b)の側方に位置する位置に設定するのが更に好ましい。
そして、スパウト付きパウチを落下させてしまった時等に、
図5(b)に示す状態にスパウト装着フィルム30やスパウト70を誘導することで、パウチ内側にスパウト70を逃がし、床等との接触によってスパウト70に強い力が作用することを防止できる。
【0056】
また、
図4に示すように、第1形状制御シール部27の最内頂部27aから第1形状制御シール部27(第1内側縁部27b)の第1の側(上側)の端部(上端)までの縦方向寸法s(第1内側縁部27bの縦方向寸法s)は、第1形状制御シール部27の最内頂部27aから第1形状制御シール部27(第2内側縁部27c)の第2の側(下側)の端部(下端)までの縦方向寸法t(第2内側縁部27cの縦方向寸法t)よりも大きく設定するのが好ましい。
また、
図4に示すように、縦方向寸法sや横方向寸法b1は、第1形状制御シール部27の最内頂部27a(最内頂部27aを縦方向Yに長さを有するものとして形成した場合には、最内頂部27aの第1の側の端部)から第1形状制御シール部27(第1内側縁部27b)の第1の側(上側)の端部(上端)を結んだ仮想線と第1接続シール22との間の角度が5~10°になるように設定するのが好ましい。
このように設定することで、スパウト装着フィルム30の第1接続シール22付近に破袋し易い箇所が形成されてしまうことを抑制できる。
【0057】
また、
図4に示すように、第2形状制御シール部28の最内頂部28aの縦方向位置(最内頂部27aを縦方向Yに長さを有するものとして形成した場合には、最内頂部28aの第1の側の端部の縦方向位置)は、フランジ対向領域31(フランジ71)の外周縁のうち縦方向Yにおいて最も第2の側(下側)寄りに位置する箇所31eの縦方向位置(またはフランジ固着部72の外周縁のうち縦方向Yにおいて最も第2の側寄りに位置する箇所)から縦方向Yに±5mmの範囲内に設定するのが好ましい。
このように設定することで、前記の箇所31e付近のスパウト装着フィルム30をパウチ内側に向けて奥まらせるようにスパウト装着フィルム30の状態を調整することができ、また、前記の箇所31e付近のスパウト装着フィルム30のテンションを緩めることができる。なお、前記の箇所31e付近のスパウト装着フィルム30のテンションを緩めるという観点からは、第2形状制御シール部28の最内頂部28aの縦方向位置を、前記の箇所31eの縦方向位置から第1の側(上側)または第2の側(下側)のいずれかにずらして設定するのが好ましい。
また、上述したように、第2形状制御シール部28の最内頂部28aの縦方向位置を箇所31eから縦方向Yに±5mmの範囲内に設定することで、上述した
図5(b)に示す状態にスパウト装着フィルム30やスパウト70を円滑に誘導することができる。
【0058】
また、
図4に示すように、第2形状制御シール部28(第2内側縁部28c)の第2の側(下側)の端部(下端)の縦方向位置は、第1接続シール22の第2傾斜部22cよりも第1の側(上側)に設定するのが好ましい。
このように設定することで、パウチ底部20aの形状に第2形状制御シール部28が影響を与えることを回避できる。すなわち、載置面上にスパウト付きパウチ10を置いた時には、第2傾斜部22cはパウチ底部20aを構成する部分となるが、第2形状制御シール部28を第2傾斜部22cよりも第1の側(上側)に設定することで、パウチ底部20aの形状に第2形状制御シール部28が影響を与えることを回避できる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。また、上述した実施形態や後述する変形例の各構成を、任意に組み合わせてスパウト付きパウチ10を構成しても何ら構わない。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、スパウト付きパウチ10が、その使用時や陳列時や運搬時に、外装ケース(図示しない)内に収容されて運用されるものとして説明したが、外装ケース(図示しない)内に収容することなく、スパウト付きパウチ10そのものを使用し、又は陳列や運搬を行ってもよい。
【0061】
また、各フィルム30、40、50、60の具体的態様については、低密度ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系やPET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系等の熱溶着性を有する層を少なくとも片面に有するものであれば、熱溶着層の単膜又は熱溶着層に任意の層を積層してもよい。積層を構成する素材は如何なるものでもよく、公知のPETやPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、アルミ箔等を積層することで任意に形成すればよい。
また、上述した実施形態では、パウチ本体20が、フィルム30、40、50の4枚のフィルムから形成されているものとして説明したが、パウチ本体20を構成するフィルムの枚数等の、パウチ本体20の具体的態様は、上記に限定されず、例えば、パウチ底部20aに対応する位置に底部用のマチ用フィルムを別途設けてもよい。
また、内側フィルム60については設けなくてもよい。
また、上述した実施形態では、スパウト付きパウチ10が容量2~5Lの大容量パウチとして構成され、また、スパウト70についても、フランジ71の外径が50~70mmの大型スパウトとして構成されているが、スパウト付きパウチ10やスパウト70の大きさは、これに限定されず、実施形態に応じて任意に設定すればよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、スパウト70が装着されるスパウト装着フィルム30が、横ガゼット型パウチのマチ部(ガゼット部)を構成するマチ用フィルムであるものとして説明したが、スパウト装着フィルム30の具体的態様は、これに限定されず、例えば、スパウト装着フィルム30がパウチの頂部や底部に配置されるマチ用フィルムであってもよく、また、スパウト装着フィルム30がマチ用フィルム以外のフィルムであってもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、形状制御シール部27、28が、第1接続シール22に連続して形成されているものとして説明したが、形状制御シール部27、28を第1接続シール22から独立して(離れた位置に)形成してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、フランジ対向領域31を挟んだ両側に、第1形状制御シール部27がそれぞれ1つずつ形成されているものとして説明したが、フランジ対向領域31の横方向Xの両側のうちの一方のみに、第1形状制御シール部27を形成してもよい。また、同様に、フランジ対向領域31の横方向Xの両側のうちの一方のみに、第2形状制御シール部28を形成してもよい。
なお、上述した実施形態(および変形例)では、
図3等に示すように、横方向Xの両側の形状制御シール部27、28は、スパウト装着フィルム30の横方向Xの中央を縦方向Yに沿って延びる仮想線を基準として線対称(左右対称)に形成されているが、これに限られない。同様に、横方向Xの両側の第1接続シール22についても、上記仮想線を基準として線対称(左右対称)に形成されているが、これに限られない。
【0065】
また、上述した実施形態では、第1形状制御シール部27および第2形状制御シール部28が形成されているものとして説明したが、第2形状制御シール部28を形成せず、第1形状制御シール部27のみを形成してもよい。なお、第1形状制御シール部27のみを形成した場合における、第1形状制御シール部27に関連する各部の寸法関係は、上記で
図4を用いて説明したものと同様である。また、第1形状制御シール部27を形成せず、第2形状制御シール部28のみを形成してもよい。なお、第2形状制御シール部28のみを形成した場合における、第2形状制御シール部28に関連する各部の寸法関係は、上記で
図4を用いて説明したものと同様である。
【0066】
また、上述した実施形態では、フランジ71が、円形の外周縁を有した円盤状に形成されているものとして説明したが、フランジ71の具体的形状は、矩形状や多角形状等の円形以外の形状の外周縁を有するもの等、如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、フランジ71が、スパウト装着フィルム30の内側面に固着されるものとして説明したが、フランジ71をスパウト装着フィルム30の外側面に固着してもよい。
また、フランジ71をスパウト装着フィルム30に固着する方法は、熱溶着以外にも接着等の如何なるものでもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、フランジ71にフランジ緩衝部73が設けられているものとして説明したが、スパウト装着フィルム30に対するフランジ71の固着態様は、如何なるものでもよく、フランジ71にフランジ緩衝部73を設けなくてもよく、例えば、フランジ71の全域をスパウト装着フィルム30に固着してもよい。
【0068】
なお、本明細書内では、「頂部」「底部」「側部」等の上下を示す用語を使用しているが、これら用語は、陳列時や運搬時等におけるスパウト付きパウチ10の設置の向きを限定するものではなく、例えば、陳列時や運搬時等に、スパウト付きパウチ10の側部や頂部を下にして載置面上にスパウト付きパウチ10を設置してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 ・・・ スパウト付きパウチ
20 ・・・ パウチ本体
20a ・・・ パウチ底部
21 ・・・ 内容液収容部
22 ・・・ 第1接続シール(接続シール)
22a ・・・ シール基部
22b ・・・ 第1傾斜部
22c ・・・ 第2傾斜部
23 ・・・ 第2接続シール
23a ・・・ シール基部
23b ・・・ 第1傾斜部
23c ・・・ 第2傾斜部
24 ・・・ トップシール
25 ・・・ ボトムシール
26 ・・・ 中間シール
27 ・・・ 第1形状制御シール部
27a ・・・ 最内頂部
27b ・・・ 第1縁部
27c ・・・ 第2縁部
28 ・・・ 第2形状制御シール部
28a ・・・ 最内頂部
28b ・・・ 第1縁部
28c ・・・ 第2縁部
29 ・・・ 把手孔
30 ・・・ スパウト装着フィルム
31 ・・・ フランジ対向領域
31a ・・・ 第1対向領域
31b ・・・ 第2対向領域
32 ・・・ スパウト用貫通孔
40 ・・・ 側方フィルム
50 ・・・ 第2フィルム
60 ・・・ 内側フィルム
70 ・・・ スパウト
71 ・・・ フランジ
72 ・・・ フランジ固着部
73 ・・・ フランジ緩衝部
73a ・・・ 幅広部
74 ・・・ 外周側未固着部
75 ・・・ 内周側未固着部
76 ・・・ 退避部
76a ・・・ 湾曲面
X ・・・ 横方向
Y ・・・ 縦方向