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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076304
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189652
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】593206986
【氏名又は名称】株式会社関ヶ原製作所
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 隆
(72)【発明者】
【氏名】栗原 篤孝
(72)【発明者】
【氏名】坂 直樹
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB07
2G051BB20
2G051CA03
2G051CA04
2G051EB05
2G051EC05
2G051ED22
(57)【要約】
【課題】検査対象の形状の特徴点に基づいて複数の座標情報を合成し、連続的にレールの摩耗を検査することができる検査装置を提供することである。
【解決手段】検査装置10は、摩耗の検査対象にパターン画像の画像光を投射する投射部11と、画像光が投射された検査対象を撮像して第1画像を生成し、パターン画像の画像光が投射されていない検査対象を撮像して第2画像を生成する撮像部12と、第1画像からノイズを除去する第1ノイズ除去部111と、第1画像を位相情報に変換する位相変換部112と、パターン画像の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する第2ノイズ除去部113と、位相情報に基づいて位相の変化量を取得する変化量取得部114と、変化量を座標情報に変換する座標変換部115と、座標情報に基づいて検査対象の形状の特徴点を特定する特徴点特定部116と、特徴点に基づいて複数の座標情報を合成する合成部117と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗の検査対象にパターン画像の画像光を投射する投射部と、
前記パターン画像の画像光が投射された前記検査対象を撮像して第1画像を生成し、前記パターン画像の画像光が投射されていない前記検査対象を撮像して第2画像を生成する撮像部と、
前記第1画像と、前記第2画像とに基づいて、前記第1画像からノイズを除去する第1ノイズ除去部と、
前記第1ノイズ除去部によりノイズが除去された前記第1画像を位相情報に変換する位相変換部と、
前記位相情報から、前記パターン画像の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する第2ノイズ除去部と、
前記第2ノイズ除去部によりノイズが除去された前記位相情報に基づいて、位相の変化量を取得する変化量取得部と、
前記変化量を、前記撮像部を原点とした座標情報に変換する座標変換部と、
前記座標情報に基づいて、前記検査対象の形状の特徴点を特定する特徴点特定部と、
前記特徴点に基づいて、複数の前記座標情報を合成する合成部と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
ユーザの操作を受け付ける受付部と、
前記ユーザの操作により指示された前記検査対象の範囲に存在する前記摩耗の形状を示す形状情報を出力する出力部を更に備える、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記形状情報は、前記摩耗の形状を示す統計値である、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記形状情報は、前記摩耗の形状を示す三次元データである、
請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記パターン画像は、前記検査対象の延伸方向と平行な方向の縞模様のパターンを示す第1パターン画像、又は前記延伸方向と直交する方向の縞模様のパターンを示す第2パターン画像である、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記撮像部は、前記縞模様の幅がそれぞれ異なる複数の前記第1パターン画像、又は前記縞模様の幅がそれぞれ異なる複数の前記第2パターン画像を用いて、複数の前記第1画像を生成し、
前記第1ノイズ除去部は、前記第1画像に示される画角と一致、又は略一致する画角の前記第2画像に基づいて、前記第1画像からノイズを除去し、
前記座標変換部は、画角が一致、又は略一致する複数の前記第1画像に基づく複数の前記位相情報毎に、前記座標情報を変換する、
請求項5に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道軌道に用いられるレールに生じる波状摩耗等の摩耗を検査する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の波状摩耗検査装置では、敷設されたレールのうち、一部の摩耗を検査することができても、連続的にレールの摩耗を検査することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する検査装置は、摩耗の検査対象にパターン画像の画像光を投射する投射部と、前記パターン画像の画像光が投射された前記検査対象を撮像して第1画像を生成し、前記パターン画像の画像光が投射されていない前記検査対象を撮像して第2画像を生成する撮像部と、前記第1画像と、前記第2画像とに基づいて、前記第1画像からノイズを除去する第1ノイズ除去部と、前記第1ノイズ除去部によりノイズが除去された前記第1画像を位相情報に変換する位相変換部と、前記位相情報から、前記パターン画像の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する第2ノイズ除去部と、前記第2ノイズ除去部によりノイズが除去された前記位相情報に基づいて、位相の変化量を取得する変化量取得部と、前記変化量を、前記撮像部を原点とした座標情報に変換する座標変換部と、前記座標情報に基づいて、前記検査対象の形状の特徴点を特定する特徴点特定部と、前記特徴点に基づいて、複数の前記座標情報を合成する合成部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、検査装置は、検査対象の形状の特徴点に基づいて複数の座標情報を合成し、連続的にレールの摩耗を検査することができる。
上記検査装置において、ユーザの操作を受け付ける受付部と、前記ユーザの操作により指示された前記検査対象の範囲に存在する前記摩耗の形状を示す形状情報を出力する出力部を更に備えてもよい。
【0007】
かかる構成によれば、ユーザは、連続的に検査されたレールの摩耗に係る情報のうち、指定した検査範囲の情報を参照することができる。
上記検査装置において、前記形状情報は、前記摩耗の形状を示す統計値であってもよい。
【0008】
かかる構成によれば、ユーザは、指定した検査範囲の摩耗の形状を示す統計値を参照することができる。
上記検査装置において、前記形状情報は、前記摩耗の形状を示す三次元データであってもよい。
【0009】
かかる構成によれば、ユーザは、指定した検査範囲の摩耗の形状を示す三次元データを参照することができる。
上記検査装置において、前記パターン画像は、前記検査対象の延伸方向と平行な方向の縞模様のパターンを示す第1パターン画像、又は前記延伸方向と直交する方向の縞模様のパターンを示す第2パターン画像であってもよい。
【0010】
かかる構成によれば、レールの摩耗をより精度よく検査することができる。
上記検査装置において、前記撮像部は、前記縞模様の幅の一部、又は全部がそれぞれ異なる複数の前記第1パターン画像、又は前記縞模様の幅がそれぞれ異なる複数の前記第2パターン画像を用いて、複数の前記第1画像を生成し、前記第1ノイズ除去部は、前記第1画像に示される画角と一致、又は略一致する画角の前記第2画像に基づいて、前記第1画像からノイズを除去し、前記座標変換部は、画角が一致、又は略一致する複数の前記第1画像に基づく複数の前記位相情報毎に、前記座標情報を変換してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、レールの摩耗を効率よく検査することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検査装置は、検査対象の形状の特徴点に基づいて複数の座標情報を合成し、連続的にレールの摩耗を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】検査システムの構成の一例を示す図である。
図2】検査装置の構成の一例を示す図である。
図3】第1パターン画像の一例を示す図である。
図4】第2パターン画像の一例を示す図である。
図5】第1画像と、第2画像との撮像タイミングの説明に用いられる図である。
図6】座標情報の一例を示す図である。
図7】座標情報の合成処理の説明に用いられる図である。
図8】結果画像の一例を示す図である。
図9】検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】結果画像の他の例を示す図である。
図11】結果画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
[全体構成]
以下、図面を参照し、検査装置を具体化した実施形態について説明する。図1に示すように、検査システム1は、レールL1に生じる摩耗を検査する検査装置10と、検査装置10をレールL1上において走行させるための駆動台車20と、不図示のレール頭部削正装置とを備える。駆動台車20には、例えば、検査者U1が乗車する。検査者U1は、駆動台車20を操作し、検査システム1にレールL1を走行させる。
【0015】
以降の説明において、水平方向のある一方向をXとし、他方の方向をYとし、X-Yの水平方向に対して直交する鉛直方向をZとして説明する。X軸方向とは、例えば、レールL1の延伸方向であって、+X軸方向は、検査システム1の前進方向であり、-X軸方向は、検査システム1の後進方向である。Y軸方向とは、例えば、レールL1の幅方向であって、+Y軸方向は、検査システム1の右方向であり、-Y軸方向は、検査システム1の左方向である。
【0016】
レール頭部削正装置は、レールL1の頭部と接する砥石を有する。検査システム1がレールL1を走行することにより、砥石がレールL1の頭部に生じる摩耗を削正する。なお、レール頭部削正装置は、レールL1の頭部に対する砥石の接触角度が一定であってもよく、レールL1の頭部に対する砥石の接触角度が変更可能であって、接触角度を変更するための構造(アジャストボルトや送りねじ機構など)を有していてもよい。また、レール頭部削正装置は、砥石が電動モータによって駆動されてもよい。
【0017】
本実施形態において、検査装置10は、レール頭部削正装置により削正される前のレールL1について、レールL1に生じる摩耗を検査する。つまり、検査システム1において、検査装置10は、レール頭部削正装置よりも進行方向前方に設けられる。検査装置10は、投射部11と、撮像部12とを備える。検査装置10は、投射部11が画像光を投射した状態、又は画像光を投射していない状態において、撮像部12がレールL1を撮像し、生成した画像に基づいて、レールL1の摩耗を検査する。レールL1は、「検査対象」の一例である。以下、検査装置10の詳細について説明する。
【0018】
[検査装置10の構成]
図2に示すように、検査装置10は、投射部11と、撮像部12と、受付部13と、表示部14と、制御部100と、記憶部200とを備える。
【0019】
投射部11は、例えば、画像の投射を行うプロジェクターにより実現される。投射部11は、後述するパターン画像の画像光をレールL1に投射する。
撮像部12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラにより実現される。
【0020】
受付部13は、検査装置10のユーザの操作を受け付ける。受付部13は、例えば、タッチパネル、キーボード、及びマウス等により実現される。
表示部14は、例えば、ディスプレイ等により実現され、制御部100の制御に基づいて各種画像を表示する。なお、受付部13と、表示部14とは、一体に構成され、タッチパネルの機能を有したディスプレイ等により実現されてもよい。表示部14は、「出力部」の一例である。
【0021】
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部200に記憶されてもよい。
【0022】
記憶部200は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、ROM、RAM(Random Access Memory)などにより実現される。記憶部200には、例えば、上述したプログラムに加えて、一以上の第1パターン画像IM1を含む第1パターン画像情報201と、一以上の第2パターン画像IM2を含む第2パターン画像情報202とが記憶される。
【0023】
[第1パターン画像IM1について]
図3には、第1パターン画像IM1の一例として、第1パターン画像IM1-1と、第1パターン画像IM1-2とが示される。第1パターン画像IM1は、レールL1の延伸方向であるX軸方向と平行な方向の縞模様のパターンを示す画像である。図3に示すように、第1パターン画像IM1-1の縞模様の幅は、第1パターン画像IM1-2の縞模様の幅に比して広い幅である。本実施形態の一例では、第1パターン画像情報201は、第1パターン画像IM1-1と、第1パターン画像IM1-2との、二つの第1パターン画像IM1を含む情報である。
【0024】
[第2パターン画像IM2について]
図4には、第2パターン画像IM2の一例として、第2パターン画像IM2-1と、第2パターン画像IM2-2とが示される。第2パターン画像IM2は、レールL1の延伸方向と直交するY軸方向の縞模様のパターンを示す画像である。図4に示すように、第2パターン画像IM2-1の縞模様の幅は、第2パターン画像IM2-2の縞模様の幅に比して広い幅である。本実施形態の一例では、第2パターン画像情報202は、第2パターン画像IM2-1と、第2パターン画像IM2-2との、二つの第2パターン画像IM2を含む情報である。
【0025】
[第1画像P1,第2画像P2について]
投射部11と、撮像部12との動作は同期しており、撮像部12は、投射部11により第1パターン画像IM1、又は第2パターン画像IM2の画像光が投射された状態のレールL1を撮像し、第1画像P1を生成する。また、撮像部12は、投射部11によりパターン画像の画像光が投射されていない状態のレールL1を撮像し、第2画像P2を生成する。
【0026】
図5に示す一例では、撮像部12は、投射部11により第1パターン画像IM1-1の画像光が投射されたレールL1を撮像し、第1画像P1-1を生成する。撮像部12は、投射部11により第1パターン画像IM1-2の画像光が投射されたレールL1を撮像し、第1画像P1-2を生成する。撮像部12は、投射部11により第2パターン画像IM2-1の画像光が投射されたレールL1を撮像し、第1画像P1-3を生成する。撮像部12は、投射部11により第2パターン画像IM2-2の画像光が投射されたレールL1を撮像し、第1画像P1-4を生成する。また、撮像部12は、投射部11によりパターン画像の画像光が投射されていない状態のレールL1を撮像し、第2画像P2-1,P2-2を生成する。
【0027】
本実施形態では、投射部11と、撮像部12とが動作し、第1画像P1-1,P1-2,第2画像P2-1,第1画像P1-3,P1-4,第2画像P2-2の順に画像が生成されるものとする。図5では、説明の便宜上、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に示される画角は、Y軸方向にオフセットして表している。ただし、実際には、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に示される画角は、検査システム1がレールL1を走行することに伴い、多少ずれが生じるものの、基本的には、Y軸方向において、一致、又は略一致する。また、投射部11によるパターン画像の画像光の投射と、撮像部12によるレールL1の撮像、及び第1画像P1,第2画像P2の生成は、検査システム1の走行と同時に行われる。このため、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に示される画角は、X軸方向にオフセットする。一方で、投射部11によるパターン画像の画像光の投射と、撮像部12によるレールL1の撮像、及び第1画像P1,第2画像P2の生成は、検査システム1の走行速度に比して十分に速い速度で行われる。したがって、本実施形態では、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に示される画角は、X軸方向において、一致、又は略一致する。
【0028】
また、投射部11によるパターン画像の画像光の投射と、撮像部12によるレールL1の撮像、及び第1画像P1-1~P1-4,第2画像P2-1~P2-2の生成は、連続して、又は所定の時間間隔によって、繰り返し実行される。
【0029】
[制御部100の構成]
図2に戻り、制御部100は、例えば、第1ノイズ除去部111と、位相変換部112と、第2ノイズ除去部113と、変化量取得部114と、座標変換部115と、特徴点特定部116と、合成部117と、表示制御部118とを備える。
【0030】
第1ノイズ除去部111は、撮像部12が生成した第1画像P1と、第2画像P2とに基づいて、第1画像P1からノイズを除去する。第1ノイズ除去部111は、例えば、第1画像P1の情報から第2画像P2の情報をノイズとして除去する背景ノイズ処理を実行する。詳しくは、第1ノイズ除去部111は、第1画像P1に示される画角と、一致、又は略一致した画角を示す第2画像P2を用いて背景ノイズ処理を実行する。この一例では、第1ノイズ除去部111は、第1画像P1-1の情報、及び第1画像P1-2の情報から、それぞれ第2画像P2-1の情報をノイズとして除去する。また、第1ノイズ除去部111は、第1画像P1-3の情報、及び第1画像P1-4の情報から、それぞれ第2画像P2-2の情報をノイズとして除去する。
【0031】
位相変換部112は、第1ノイズ除去部111によりノイズが除去された第1画像P1を位相情報に変換する。位相情報は、例えば、背景ノイズ処理が実行された第1画像P1をフーリエ変換した結果を示す情報である。位相変換部112は、第1画像P1が複数存在する場合、第1画像P1をそれぞれ位相情報に変換する。この一例では、位相変換部112は、変換処理を行い、第1画像P1-1に係る位相情報PH1、第1画像P1-2に係る位相情報PH2、第1画像P1-3に係る位相情報PH3、及び第1画像P1-4に係る位相情報PH4を生成する。
【0032】
第2ノイズ除去部113は、位相情報PHから、パターン画像の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する。パターン画像の位相情報は、例えば、パターン画像をフーリエ変換した結果を示す情報である。パターン画像の位相情報は、予め記憶部200に記憶されていてもよく、第2ノイズ除去部113が逐次取得してもよい。以下、パターン画像の位相情報が、予め記憶部200に記憶されているものとする。第2ノイズ除去部113は、例えば、位相情報PHに示される各周波数領域の情報のうち、パターン画像の位相情報が示す周波数領域以外の周波数領域の情報を、ノイズとして除去する。
【0033】
第2ノイズ除去部113は、各位相情報PHについて対応するパターン画像の位相情報を用いて、位相情報PHからノイズを除去する処理を行う。詳しくは、第2ノイズ除去部113は、第1画像P1-1の位相情報PH1から第1パターン画像IM1-1の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する。第2ノイズ除去部113は、第1画像P1-2の位相情報PH2から第1パターン画像IM1-2の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する。第2ノイズ除去部113は、第1画像P1-3の位相情報PH3から第2パターン画像IM2-1の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する。第2ノイズ除去部113は、第1画像P1-4の位相情報PH4から第2パターン画像IM2-2の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する。
【0034】
変化量取得部114は、第2ノイズ除去部113によりノイズが除去された位相情報PHに基づいて、位相の変化量を取得する。一般に、投射部11が、パターン画像が持つ位相特性を極端に歪めて画像光を投射しない限り、撮像部12により生成された第1画像P1に基づく位相情報PHの位相は、画像上の距離に対して直線的に変換する。したがって、変化量取得部114は、位相情報PHが示す位相が直線的に変化していない場合、レールL1の摩耗による歪みを表していると言える。変化量取得部114は、位相特性の直線的な変化から乖離した値を、位相の変化量として取得する。変化量取得部114は、位相情報PHが複数存在する場合、位相情報PHのそれぞれについて、変化量を取得する。この一例では、変化量取得部114は、位相情報PH1~位相情報PH4のそれぞれについて、位相の変化量を取得する。
【0035】
座標変換部115は、変化量取得部114により取得された変化量を、撮像部12を原点とした座標情報に変換する。上述したように、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に示される画角は、X軸方向、及びY軸方向において、一致、又は略一致する。したがって、レールL1を撮像し、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2を生成したタイミングにおいて、撮像部12の位置は、一致、又は略一致する。ここで、第1画像P1に示される平面の座標は、撮像部12を原点としたX-Y座標系で表すことができる。また、座標変換部115は、変化量取得部114により取得された変化量を参照することにより、位相の変化量が0である座標を、Z軸の原点と定義することで、第1画像P1に示されるX-Y平面の座標に、Z軸方向の情報を付加することができる。これにより、座標変換部115は、変化量取得部114が取得した変化量を、座標情報に変換することができる。座標情報は、レールL1の表面の各部の座標を示している。このため、レールL1の形状は、座標変換部115により変換された座標情報により示される。
【0036】
特徴点特定部116は、座標情報に基づいて、レールL1の形状の特徴点を特定する。特徴点特定部116は、例えば、座標情報に示されるZ軸方向の座標が、プラスの値をとるX-Y平面の範囲(つまり、凸部の範囲)を特定する。そして、特徴点特定部116は、特定したX-Y平面の範囲における凸部の形状を、レールL1の形状の特徴点として特定する。また、特徴点特定部116は、例えば、座標情報に示されるZ軸方向の座標が、マイナスの値をとるX-Y平面の範囲(つまり、凹部の範囲)を特定する。そして、特徴点特定部116は、特定したX-Y平面の範囲における凹部の形状を、レールL1の形状の特徴点として特定する。
【0037】
図6には、座標情報が示す各座標を三次元点群データとして表した、三次元データが示されている。つまり、この三次元データは、レールの形状を示している。図6に示す三次元データは、座標変換部115が、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に対応する情報に基づいて変換した座標情報DT1に基づくものである。この一例では、三次元データは、座標情報DT1に基づくレールL1の形状であって、左側から示したレールL1の形状を表している。特徴点特定部116は、座標情報DT1に基づいて、座標情報DT1に示されるレールL1の形状のうち、+X軸方向の端部に、レールL1の形状の特徴点PT1を特定する。
【0038】
合成部117は、特徴点PTに基づいて、複数の座標情報を合成する。詳しくは、合成部117は、複数の座標情報に示される特徴点PTのうち、相間が強い特徴点PTを同一の特徴点PTとして、複数の座標情報を合成する。
【0039】
以降の説明において、第1タイミングにおいて生成された第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に基づいて座標変換部115が変換した座標情報を、座標情報DT1とする。また、第2タイミングにおいて生成された第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に基づいて座標変換部115が変換した座標情報を、座標情報DT2とする。また、第3タイミングにおいて生成された第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に基づいて座標変換部115が変換した座標情報を、座標情報DT3とする。合成部117は、座標情報DT1~DT3の複数の座標情報DTを合成する。
【0040】
第1タイミング、第2タイミング、及び第3タイミングは、記載の順序によって経時的に生じる。また、第1タイミングにおいて生成される第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に画角の一部と、第2タイミングにおいて生成される第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に画角の一部とは、少なくとも一部が重畳する。また、第2タイミングにおいて生成される第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に画角の一部と、第3タイミングにおいて生成される第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2に画角の一部とは、少なくとも一部が重畳する。
【0041】
合成部117は、複数の座標情報DTについて、経時的に連続した座標情報DT同士を合成する。この一例では、合成部117は、座標情報DT1と、座標情報DT2とを合成し、座標情報DT1と、座標情報DT2とを合成した座標情報DTと、座標情報DT3とを合成する。合成部117は、例えば、二つの座標情報DTについて、各座標情報DTに示される凹部や凸部の形状を示す特徴点PTを、XYZ軸方向に移動させたり、回転させたりすることにより、その形状の相関が一番強くなる位置を特定する。合成部117は、特定した位置において、特徴点PTが重なるように、二つの座標情報DTのうち、基準とする座標情報DTの座標に合わせて、他方の座標情報DTの座標を調整し、二つの座標情報DTを合成する。
【0042】
図7には、座標情報DT1、座標情報DT2、及び座標情報DT3に基づく三次元データが示されている。上述したように、特徴点特定部116は、座標情報DT1に基づいて、座標情報DT1に示されるレールL1のうち、+X軸方向の端部に、特徴点PT1を特定する。また、特徴点特定部116は、座標情報DT2に基づいて、座標情報DT2に示されるレールL1の形状のうち、-X軸方向の端部に、特徴点PT2を特定し、+X軸方向の端部に、特徴点PT3を特定する。また、特徴点特定部116は、座標情報DT3に基づいて、座標情報DT3に示されるレールL1の形状のうち、-X方向の端部に特徴点PT4を特定する。
【0043】
合成部117は、座標情報DT1に示される特徴点PT1と、座標情報DT2に示される特徴点PT2とが、相間が強い特徴点PTであると特定する。そして、合成部117は、特徴点PT1の形状と、特徴点PT2の形状との相関が一番強くなる位置を特定する。合成部117は、特定した位置において、特徴点PT1,PT2が重なるように、座標情報DT1が示す座標に合わせて、座標情報DT2が示す座標を調整し、座標情報DT1と、座標情報DT2とを合成する。また、合成部117は、座標情報DT2に示される特徴点PT3と、座標情報DT3に示される特徴点PT4とが、相間が強い特徴点PTであると特定する。そして、合成部117は、特徴点PT3の形状と、特徴点PT4の形状との相関が一番強くなる位置を特定する。合成部117は、特定した位置において、特徴点PT3,PT4が重なるように、調整後の座標情報DT2が示す座標に合わせて、座標情報DT3が示す座標を調整し、座標情報DT2と、座標情報DT3とを合成する。
【0044】
[検査結果の出力について]
検査システム1のユーザは、検査装置10によるレールL1の摩耗の検査結果を参照するため、受付部13を操作する。ユーザは、例えば、検査装置10によってレールL1の摩耗の検査が行われた検査対象の範囲のうち、検査結果を参照したい範囲を指定する。範囲の指定は、例えば、検査開始位置を起点とした距離の指定により行われてもよく、起点からの営業キロの指定により行われてもよい。
【0045】
表示制御部118は、受付部13により受け付けたユーザの操作に基づいて、指定された検査対象の範囲に存在する摩耗の形状を示す形状情報を表示部14に表示させる。形状情報は、例えば、摩耗の形状を示す統計値である。摩耗の形状を示す統計値は、例えば、摩耗によりレールL1に生じた凸部、又は凹部のZ軸方向の最大値、最小値、及び平均値等である。また、摩耗の形状を示す統計値には、繰り返し存在する摩耗(つまり、波状摩耗)の繰り返しの長さが含まれる。
【0046】
表示制御部118は、例えば、合成部117により合成した複数の座標情報DTと、検査装置10による検査対象の範囲とを対応付ける。表示制御部118は、例えば、合成済みの座標情報DTが示す座標のうち、原点の座標を検査対象範囲の開始位置の座標とし、原点からX軸方向に最も遠い座標を検査対象範囲の終了位置の座標としてもよい。表示制御部118は、合成済みの座標情報DTと、ユーザにより指定された検査対象の範囲と、特徴点特定部116の特定結果とに基づいて、ユーザにより指定された検査対象の範囲に存在する特徴点PTを特定する。表示部14は、特定した特徴点PTの座標情報DTを参照し、摩耗の形状を示す統計値を抽出する。
【0047】
図8に示すように、表示制御部118は、ユーザにより指定された検査対象の範囲に係る摩耗の形状を示す統計値の一覧を示す結果画像RT1を表示部14に表示させる。
[動作フロー]
以下、図9を参照し、検査装置10の動作について説明する。図9に示すフローチャートは、検査装置10がレールL1に生じる摩耗の検査をする際に実行される。
【0048】
まず、投射部11は、パターン画像の画像光をレールL1に投射する(ステップS100)。次に、撮像部12は、投射部11によりパターン画像が投射されているレールL1を撮像し、第1画像P1を生成する(ステップS102)。次に、投射部11は、パターン画像の画像光のレールL1への投射を停止する(ステップS104)。次に、撮像部12は、レールL1にパターン画像が投射されていないレールL1を撮像し、第2画像P2を生成する(ステップS106)。
【0049】
次に、第1ノイズ除去部111は、撮像部12が生成した第1画像P1と、第2画像P2とに基づいて、第1画像P1からノイズを除去する(ステップS108)。詳しくは、第1ノイズ除去部111は、第1画像P1の情報から第2画像P2の情報をノイズとして除去する背景ノイズ処理を実行する。第1ノイズ除去部111は、複数のパターン画像を用いて複数の第1画像P1が生成された場合、各第1画像P1について、第1画像P1に示す画角と一致、又は略一致する画角を示す第2画像P2を用いて、背景ノイズ処理を実行する。次に、位相変換部112は、第1ノイズ除去部111によりノイズが除去された第1画像P1を位相情報PHに変換する(ステップS110)。位相変換部112は、複数のパターン画像を用いて複数の第1画像P1が生成された場合、複数の第1画像P1について、それぞれ位相情報PHを生成する。
【0050】
次に、第2ノイズ除去部113は、位相情報PHから、パターン画像の位相情報以外の位相情報をノイズとして除去する(ステップS112)。第2ノイズ除去部113は、複数の位相情報PHが生成された場合、複数の位相情報PHのそれぞれについて、対応するパターン画像の位相情報を用いてノイズを除去する。次に、変化量取得部114は、第2ノイズ除去部113によりノイズが除去された位相情報PHに基づいて、位相の変化量を取得する(ステップS114)。変化量取得部114は、位相情報PHが示す位相が画像上の距離に対して直線的に変化していない場合、レールL1の摩耗による歪みを表したものとして、位相特性の直線的な変化から乖離した値を、位相の変化量として取得する。変化量取得部114は、複数の位相情報PHが生成された場合、複数の位相情報PHについて、それぞれ変化量を取得する。
【0051】
次に、座標変換部115は、変化量取得部114により取得された変化量を、撮像部12を原点とした座標情報に変換する(ステップS116)。座標変換部115は、撮像部12を原点とした第1画像P1に示される平面の座標を、X-Y座標系で表しつつ、位相の変化量が0である座標を、Z軸の原点と定義して、変化量を座標情報に変換する。次に、特徴点特定部116は、座標情報に基づいて、レールL1の形状の特徴点PTを特定する(ステップS118)。特徴点特定部116は、特定した凸部、又は凹部の形状を、レールL1の形状の特徴点PTとして特定する。
【0052】
次に、合成部117は、特徴点PTに基づいて、複数の座標情報を合成する(ステップS120)。合成部117は、複数の座標情報DTについて、経時的に連続した座標情報DT同士を合成する。合成部117は、複数の座標情報に示される特徴点PTのうち、相間が強い特徴点PTを同一の特徴点PTとして、複数の座標情報を合成する。次に、表示制御部118は、受付部13により受け付けたユーザの操作に基づいて、指定された検査対象の範囲に存在する摩耗の形状を示す統計値を表示部14に表示させる(ステップS122)。表示制御部118は、例えば、ユーザにより指定された検査対象の範囲に係る摩耗の形状を示す統計値の一覧を示す結果画像RT1を表示部14に表示させる。
【0053】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)合成部117は、レールL1の形状が示された複数の座標情報DTを合成する。これにより、検査装置10は、レールL1の形状の特徴点PTに基づいて複数の座標情報DTを合成し、連続的にレールL1の摩耗を検査することができる。
【0054】
(2)表示部14は、ユーザの操作により指示されたレールL1の範囲に存在する摩耗の形状を示す形状情報を示す結果画像RT1を表示する。形状情報は、例えば、摩耗の形状を示す統計値である。これにより、ユーザは、連続的に検査されたレールL1の摩耗に係る情報のうち、指定した検査範囲の統計値を参照することができる。
【0055】
(3)パターン画像は、レールL1の延伸方向と平行な方向の縞模様のパターンを示す第1パターン画像IM1、又は延伸方向と直交する方向の縞模様のパターンを示す第2パターン画像IM2である。ここで、変化量取得部114は、一方向の縞模様のみのパターン画像に基づく位相情報PHに比して、複数の方向の縞模様のパターン画像に基づく位相情報PHを用いたほうが、精度よく変化量を取得できる。変化量取得部114は、レールL1の延伸方向と平行な方向の縞模様の第1パターン画像IM1に基づく位相情報PHと、レールL1のレールL1の延伸方向と平行な方向の縞模様の第2パターン画像IM2に基づく位相情報PHとを用いて、レールL1の摩耗をより精度よく検査することができる。
【0056】
(4)撮像部12は、縞模様の幅がそれぞれ異なる複数の第1パターン画像IM1、又は縞模様の幅がそれぞれ異なる複数の第2パターン画像IM2を用いて、複数の第1画像P1を生成する。第1ノイズ除去部111は、第1画像P1に示される画角と一致、又は略一致する画角の第1画像P1に基づいて、第1画像P1からノイズを除去する。座標変換部115は、画角が一致、又は略一致する複数の第1画像P1に基づく複数の位相情報PH毎に、座標情報を変換する。
【0057】
ここで、変化量取得部114が、縞模様が一様なパターン画像を用いて変位量を取得する場合、複数の第1画像P1を用いることが求められる。これは、位相変換部112が、フーリエ変換により、第1画像P1に示される検査対象の位相情報PHを網羅的に取得するために、当該パターン画像の投射位置を少しずつ変更しながら撮像し、生成した複数の第1画像P1を用いることが求められるためである。一方、縞模様の幅の一部、又は全部がそれぞれ異なるパターン画像を用いる場合には、縞模様が一様なパターン画像を用いる場合に比して、少ない数の第1画像P1によって検査対象の位相情報PHを網羅的に取得することができる。これは、位相変換部112が、第1画像P1に示される検査対象の位相情報PHを網羅的に取得する際、幅の異なるパターン画像を用いることにより、フーリエ変換を効率的に行うことができるためである。少ない数の第1画像P1を用いる場合、位相変換部112による位相情報PHの変換処理、第2ノイズ除去部113のノイズ除去処理、及び変化量取得部114の変化量取得処理の回数を、少なくすることができる。かかる構成によれば、検査装置10は、縞模様が一様なパターン画像を用いる場合に比して、レールL1の摩耗を効率よく検査することができる。
【0058】
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態および以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
図10に示すように、表示制御部118は、ユーザの操作により指示されたレールL1の範囲を示す第2画像P2と、結果画像RT1とを併せて示した結果画像RT2を表示部14に表示させてもよい。かかる構成によれば、ユーザは、摩耗の形状を示す統計値と、ユーザの操作により指示されたレールL1の範囲の第2画像P2の様子とを併せて確認することができる。
【0059】
〇検査システム1が、一度の走行において、削正と、検査とを同時に行う場合について説明したが、これに限られない。検査システム1は、削正と、検査とを別々に行ってもよい。例えば、検査システム1は、削正に係る走行と、検査に係る走行とを別々に行う。また、検査装置10は、レール頭部削正装置により削正された後のレールL1について、レールL1に生じる摩耗を検査してもよい。
【0060】
〇投射部11がレールL1に投射するパターン画像が、それぞれ、第1パターン画像IM1-1,IM1-2と、第2パターン画像IM2-1,IM2-2との二つずつである場合について説明したが、これに限られない。投射部11がレールL1に投射するパターン画像は、一つであってもよく、二つより多い数であってもよい。また、パターン画像は、レールL1の延伸方向であるX軸方向と平行な方向の縞模様と、レールL1の延伸方向と直交するY軸方向の縞模様とに限られず、他の方向の縞模様を示すものであってもよい。また、パターン画像に示される縞模様の幅は、一様であってもよく、一部が異なるものであってもよい。この場合、縞模様の幅は、位相変換部112によるフーリエ変換の効率が良いように、一部が好適に変更されてもよい。
【0061】
〇検査システム1の走行の速度によって、第1画像P1-1~P1-4、及び第2画像P2-1~P2-2の画角が一致しない場合、撮像部12は、第1画像P1毎に、第1画像P1に対応する画角の第2画像P2を生成してもよい。これにより、第1ノイズ除去部111は、適切に第1画像P1の背景ノイズを除去する処理を行うことができる。
【0062】
〇検査システム1が走行する環境によって、第1画像P1に背景ノイズが含まれない場合、又は背景ノイズが少ない場合、撮像部12は、第2画像P2を撮像、及び生成しなくてもよい。この場合、制御部100は、第1ノイズ除去部111を備えていなくてもよい。
【0063】
〇検査装置10は、複数の撮像部12を備え、一方の撮像部12がレールL1を右側面上方から撮像し、他方の撮像部12がレールL1を左側面上方から撮像してもよい。この場合、制御部100は、右側面上方から撮像し、生成した画像と、左側面上方から撮像し、生成した画像とを合成し、合成した画像を第1画像P1として以降の処理を実行する。図11に示すように、検査装置10は、レールL1の表面に生じた摩耗の形状の他、レールL1の側面に生じた摩耗の形状についても検査することができる。また、検査システム1は、右側レール検査用の検査装置10と、左側レール検査用の検査装置10との、二つの検査装置10を備えていてもよい。
【0064】
〇表示制御部118は、受付部13により受け付けたユーザの操作に基づいて、指定された検査対象の範囲に存在する摩耗の形状を示す三次元データを形状情報として表示部14に表示させてもよい。この場合、表示制御部118は、座標情報DTに基づいて、ユーザにより指定された検査対象の範囲のレールL1の形状を表す三次元データを生成し、表示部14に表示させる。かかる構成によれば、ユーザは、指定した検査範囲の摩耗の形状を示す三次元データを参照し、簡便に摩耗の形状を把握することができる。
【0065】
〇検査装置10は、表示部14に代えて(或いは、加えて)、通信部を出力部として備えてもよい。この場合、通信部は、検査装置10とネットワークを介して接続される機器と、情報を送受信する。また、検査装置10が通信部を備える場合、制御部100は、通信部の通信を制御する通信制御部を備える。通信制御部は、通信部の各種通信を制御する。かかる構成によれば、ユーザは、検査装置10とネットワークを介して接続される機器を介して、検査装置10の検査結果を参照することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…検査システム、10…検査装置、11…投射部、12…撮像部、13…受付部、14…表示部、20…駆動台車、100…制御部、111…第1ノイズ除去部、112…位相変換部、113…第2ノイズ除去部、114…変化量取得部、115…座標変換部、116…特徴点特定部、117…合成部、118…表示制御部、200…記憶部、201…第1パターン画像情報、202…第2パターン画像情報、DT,DT1,DT2,DT3…座標情報、IM1,IM1-1,IM1-2…第1パターン画像、IM2,IM2-1,IM2-2…第2パターン画像、L1…レール、P1,P1-1,P1-2,P1-3,P1-4…第1画像、P2,P2-1,P2-2…第2画像、PH,PH1,PH2,PH3,PH4…位相情報、PT,PT1,PT2,PT3,PT4…特徴点、RT1,RT2…結果画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11