IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公益財団法人がん研究会の特許一覧 ▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

特開2023-76325情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076325
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230525BHJP
   G16H 30/40 20180101ALI20230525BHJP
【FI】
G06T7/00 612
G16H30/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189682
(22)【出願日】2021-11-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、戦略的イノベーション創造プログラム AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム、人工知能を有する統合がん診療支援システム委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000173588
【氏名又は名称】公益財団法人がん研究会
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植野 峻也
(72)【発明者】
【氏名】溝部 秀謙
(72)【発明者】
【氏名】長門 優喜
(72)【発明者】
【氏名】高松 学
(72)【発明者】
【氏名】津山 直子
【テーマコード(参考)】
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
5L096BA06
5L096BA13
5L096HA08
5L096JA03
5L096JA11
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】組織画像に描出された組織切片と検体画像上の切り出し位置との対応関係を高精度に特定すること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、切り出しサイズ特定部と、組織画像取得部と、組織領域サイズ特定部と、対応付け部とを備える。切り出しサイズ特定部は、病理検体から組織切片を切り出す場合に当該病理検体上に設定される切り出し部位のサイズを取得する。組織画像取得部は、組織切片を撮影した組織画像を取得する。組織領域サイズ特定部は、組織画像に描出された組織切片のサイズを特定する。対応付け部は、切り出し部位のサイズと組織切片のサイズとに基づいて、切り出し部位と、組織切片が組織画像上に描出された組織領域と、を対応付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病理検体から組織切片を切り出す場合に当該病理検体上に設定される切り出し部位のサイズを取得する切り出しサイズ特定部と、
前記組織切片を撮影した組織画像を取得する組織画像取得部と、
前記組織画像に描出された前記組織切片のサイズを特定する組織領域サイズ特定部と、
前記切り出し部位のサイズと前記組織切片のサイズとに基づいて、前記切り出し部位と、前記組織切片が前記組織画像上に描出された組織領域と、を対応付ける対応付け部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記病理検体を撮影した検体画像を取得する検体画像取得部、をさらに備え、
前記切り出しサイズ特定部は、前記検体画像上に描出された前記切り出し部位のサイズと、前記検体画像の縮尺とに基づいて、前記切り出し部位のサイズを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対応付け部は、前記切り出し部位の長さと前記組織切片の長さとの差が閾値以下である場合に、前記切り出し部位と前記組織切片に対応する前記組織領域とを対応付ける、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対応付け部は、前記切り出し部位における複数箇所の厚さと、前記組織切片における複数箇所の厚さとに基づいて、前記切り出し部位と前記組織切片に対応する前記組織領域とを対応付ける、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記組織画像は、複数の組織切片が描出された複数の組織領域を含み、
前記切り出し部位のサイズと前記複数の組織領域のサイズとに基づいて、前記複数の組織領域に対応する前記複数の組織切片の分割の有無を判定する分割有無判定部、をさらに備え、
前記対応付け部は、前記分割有無判定部の判定結果に基づいて、前記切り出し部位と前記複数の組織領域とを対応付ける、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分割有無判定部は、前記切り出し部位の長さと、前記組織画像に描出された前記複数の組織領域のうちのいずれか2つ以上の組織領域に対応する2つ以上の組織切片の長さの合計との差異が、所定の閾値以下である場合に、当該2つ以上の組織切片は1つの組織切片が分割されたものであると判定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記分割有無判定部は、前記切り出し部位における複数箇所の厚さと、いずれか二つ以上の前記組織領域における複数箇所の厚さとに基づいて、前記組織切片の分割の状態を判定する、
請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記分割有無判定部は、前記分割の有無の判定に用いる複数の組織領域の組み合わせを選択する際に、ある組織領域と、当該組織領域と間の距離が最小となる他の組織領域との組み合わせを選択する、
請求項5から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記分割有無判定部は、前記分割の有無の判定に用いる複数の組織領域の組み合わせを選択する際に、組織領域間の距離が所定の閾値以下となる組織領域の組み合わせを選択する、
請求項5から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記対応付け部は、前記切り出し部位の配置情報または前記組織領域の配置情報に基づいて、前記切り出し部位と、前記組織領域とを対応付ける、
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記組織画像は、複数の組織切片が描出された複数の組織領域を含み、
前記複数の組織領域に対応する前記複数の組織切片の分割の有無を判定する分割有無判定部と、を備え、
前記対応付け部は、前記分割有無判定部による判定の結果に基づき、前記組織画像上の第一の位置と、前記検体画像上の第二の位置との対応関係を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第一の位置に基づいて、前記組織画像上の前記第一の位置を含む第一の領域を算出すると共に、前記第二の位置に基づいて前記検体画像上の前記第二の位置を含む第二の領域を特定する対応領域特定部と、
前記第一の領域を表す第一の領域情報と、前記第二の領域を表す第二の領域情報とを表示部に表示させる表示制御部と、をさらに備える、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記組織画像から前記第一の領域を切り出して拡大した第一の拡大画像と、前記検体画像から前記第二の領域を切り出して拡大した第二の拡大画像とを前記表示部に表示させる、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記第一の領域を表す図形を前記組織画像上に表示させると共に、前記第二の領域を表す図形を前記検体画像上に表示させる、
請求項12または13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第一の領域に前記組織切片の分割位置が含まれる場合に、前記第一の領域に含まれる複数の組織切片が前記分割位置で結合した状態を表す連結拡大画像を生成する連結拡大画像生成部、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第一の領域内の画像として、前記連結拡大画像を表示する、
請求項12から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記表示制御部は、前記第一の領域内に前記組織切片の分割位置が含まれる場合に、前記第一の領域を表す図形を当該分割位置で分割し、分割した複数の図形を、分割された組織切片に対応する前記組織画像上の複数の組織領域にそれぞれ重畳して表示させる、
請求項12から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記組織切片が分割されていた場合に、前記組織画像から、各組織領域の分割位置が隣接するように配置された連結組織画像を生成する連結組織画像生成部、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第一の領域を表す図形を前記連結組織画像上に表示させると共に、前記第二の領域を表す図形を前記検体画像上に表示させる、
請求項12から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記表示制御部は、前記連結組織画像のサイズと、前記検体画像の前記連結組織画像に対応する箇所のサイズが略一致するように前記表示部に表示させる、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
病理検体から組織切片を切り出す場合に当該病理検体上に設定される切り出し部位のサイズを取得する切り出しサイズ特定ステップと、
前記組織切片を撮影した組織画像を取得する組織画像取得ステップと、
前記組織画像に描出された前記組織切片のサイズを特定する組織領域サイズ特定ステップと、
前記切り出し部位のサイズと前記組織切片のサイズとに基づいて、前記切り出し部位と、前記組織切片が前記組織画像上に描出された組織領域と、を対応付ける対応付けステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項20】
病理検体から組織切片を切り出す場合に当該病理検体上に設定される切り出し部位のサイズを取得する切り出しサイズ特定ステップと、
前記組織切片を撮影した組織画像を取得する組織画像取得ステップと、
前記組織画像に描出された前記組織切片のサイズを特定する組織領域サイズ特定ステップと、
前記切り出し部位のサイズと前記組織切片のサイズとに基づいて、前記切り出し部位と、前記組織切片が前記組織画像上に描出された組織領域と、を対応付ける対応付けステップと、
をコンピュータに実行させる含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病理学の分野等では、検体である組織片の全体が撮影された検体画像と、該検体から切り出された組織切片が検体画像よりも高倍率で撮影された組織画像とが、医師等による病理組織診断等に使用されている。
【0003】
このような病理組織診断において、組織画像に描出された組織切片と検体画像上の切り出し位置とを対応付けて表示させる技術が知られている。例えば特許文献1や非特許文献1には、画像に描出された複数の領域を対応付ける技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、組織画像に描出された組織切片と検体画像上の切り出し位置とを正しく対応付けることが困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-135617号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】玉木徹、“画像中の物体および人物領域の抽出手法に関する研究”、平成12年度 名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻 博士課程後期学位論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、組織画像に描出された組織切片と検体画像上の切り出し位置との対応関係を高精度に特定することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る情報処理装置は、切り出しサイズ特定部と、組織画像取得部と、組織領域サイズ特定部と、対応付け部とを備える。切り出しサイズ特定部は病理検体から組織切片を切り出す場合に当該病理検体上に設定される切り出し部位のサイズを取得する。組織画像取得部は、組織切片を撮影した組織画像を取得する。組織領域サイズ特定部は、組織画像に描出された組織切片のサイズを特定する。対応付け部は、切り出し部位のサイズと組織切片のサイズとに基づいて、切り出し部位と、組織切片が組織画像上に描出された組織領域と、を対応付ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る組織画像が撮影されるまでの流れについて説明する図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る切り出し部位の長さの計測の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る組織領域の長さの計測の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る組織領域の厚さの計測の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る切り出し部位と組織領域との対応付けの一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る切り出し部位と組織領域との対応付けの他の一例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る複数の切り出し部位と複数の組織領域との対応付けの一例を示す図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る対応付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る複数の組織領域に対応する複数の組織切片の分割の有無の判定の一例を示す図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る複数の組織領域に対応する複数の組織切片の分割の有無の判定の他の一例を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る分割された組織切片と分割されていない組織切片とが撮影された組織画像の一例を示す図である。
図14図14は、第2の実施形態に係る対応付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15図15は、第2の実施形態の変形例1に係る分割された組織切片の組み合わせの一例を示す図である。
図16図16は、第2の実施形態の変形例2に係る分割された組織切片の組み合わせの一例を示す図である。
図17図17は、第3の実施形態に係る切り出し部位と組織領域との対応付けの一例を示す図である。
図18図18は、第3の実施形態の変形例2に係る組織領域の分割の有無の判定の一例を示す図である。
図19図19は、第4の実施形態に係る切り出し部位と組織領域との対応付けの一例を示す図である。
図20図20は、第4の実施形態の変形例1に係る切り出し部位と組織領域との対応付けの一例を示す図である。
図21図21は、第4の実施形態の変形例1に係る切り出し順情報の一例を示す図である。
図22図22は、第4の実施形態の変形例1に係る切り出し順情報の他の一例を示す図である。
図23図23は、第4の実施形態の変形例3に係る組織切片の配置規則の一例を示す図である。
図24図24は、第4の実施形態の変形例3に係る組織切片の配置規則の他の一例を示す図である。
図25図25は、第4の実施形態の変形例3に係る組織切片の配置規則のさらに他の一例を示す図である。
図26図26は、第5の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図27図27は、第5の実施形態に係る組織画像上の第一の位置と、検体画像上の第二の位置との対応関係の一例を示す図である。
図28図28は、第5の実施形態に係る検体画像上の注目位置と組織画像上の対応位置の一例を示す図である。
図29図29は、第5の実施形態に係る組織画像上の注目位置と検体画像上の対応位置の一例を示す図である。
図30図30は、第5の実施形態に係る組織画像上の第一の領域の一例を示す図である。
図31図31は、第5の実施形態に係る検体画像上の第二の領域の一例を示す図である。
図32図32は、第5の実施形態に係る第一の領域を表す第一の情報と、第二の領域を表す第二の情報との表示の一例を示す図である。
図33図33は、第5の実施形態に係る第一の領域を表す第一の情報と、第二の領域を表す第二の情報との表示の他の一例を示す図である。
図34図34は、第5の実施形態に係る対応付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図35図35は、第6の実施形態に係る連結拡大画像の一例を示す図である。
図36図36は、第7の実施形態に係る連結組織画像の一例を示す図である。
図37図37は、第5~第7の実施形態の変形例に係る組織画像上の注目位置の補正の一例を示す図である。
図38図38は、第5~第7の実施形態の変形例に係る検体画像上の注目位置の補正の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムSの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、情報処理システムSは、情報処理装置100と、検体画像保管装置201と、組織画像保管装置202と、第一の撮影装置401と、第二の撮影装置402とを備える。
【0012】
情報処理装置100と、検体画像保管装置201と、組織画像保管装置202と、第一の撮影装置401と、第二の撮影装置402とは、院内LAN(Local Area Network)等のネットワーク300を介して検体画像保管装置201および組織画像保管装置202と通信可能に接続している。
【0013】
なお、情報処理システムSは、さらに、検体管理システム、病院情報システム(Hospital Information System:HIS)、臨床検査システム(Laboratory Information System:LIS)、及び放射線情報システム(Radiology Information System:RIS)等を含んでもよい。あるいは、情報処理システムSは、病院情報システムの一部であってもよい。また、情報処理システムSは、さらに、PC(Personal Computer)やタブレット端末等の端末装置を含んでもよい。
【0014】
情報処理システムSは、例えば、病院等の医療機関、大学等の研究機関、または検査センター等に設けられる。また、情報処理システムSを構成する装置の一部または全てが、クラウド環境に設けられてもよい。
【0015】
第一の撮影装置401は、検体である組織片を撮影する。本実施形態においては、病理検体(以下、単に検体という)である組織片の全体が撮影された画像を検体画像という。第一の撮影装置401は、例えば、デジタルカメラであるが、これに限定されるものではない。例えば、第一の撮影装置401は、アナログカメラ、ビデオカメラ、または分光カメラであってもよい。また、第一の撮影装置401は、検体の三次元断層画像を撮影可能なOCT(Optical Coherence Tomography)装置、MicroCT(Computed Tomography)装置、MicroMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、またはX線CT装置、またはMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等であってもよい。また、第一の撮影装置401は、検体の表面点群を取得する三次元スキャナ等であってもよい。なお、検体画像は染色等の異常領域を視認しやすくするための処理がされることがある。なお、検体画像は、マクロ画像ともいう。
【0016】
本実施形態においては、検体は、患者の身体や、動物等から採取された一部組織とする。例えば、検体は、内視鏡的粘膜切除(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)および内視鏡的粘膜下層はく離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)によって切除された消化器の粘膜および粘膜下層等の組織片であるが、これに限定されるものではなく、開腹手術等によって切除された組織片であってもよい。
【0017】
第二の撮影装置402は、検体である組織片から切り出された少なくとも1つの切片を、検体画像よりも高倍率で撮影する。本実施形態においては、検体である組織片から切り出された少なくとも1つの切片を、検体画像よりも高倍率で撮影された画像を組織画像という。第二の撮影装置402は、例えば、WSS(Whole Slide Scanner)、またはデジタル顕微鏡である。WSSは、スライドガラスに載せられた切片全体またはその一部を高精度にデジタル画像化したWSI(Whole Slide Imaging)画像を撮影する装置であるが、これらに限定されるものではない。なお、組織画像は、ミクロ画像ともいう。
【0018】
なお、第一の撮影装置401および第二の撮影装置402は、情報処理システムSに含まれなくともよい。
【0019】
検体画像保管装置201は、第一の撮影装置401により撮影された検体画像を保管する装置である。なお、検体画像保管装置201は、第一の撮影装置401以外の装置により撮影された検体画像を保管してもよい。
【0020】
組織画像保管装置202は、第二の撮影装置402により撮影された組織画像を保管する装置である。なお、組織画像保管装置202は、第二の撮影装置402以外の装置により撮影された検体画像を保管してもよい。
【0021】
検体画像保管装置201および組織画像保管装置202は、例えばサーバ装置またはPC等である。なお、検体画像保管装置201および組織画像保管装置202を総称して画像保管装置と呼んでもよい。また、図1では検体画像保管装置201と組織画像保管装置202とを、別個の装置として記載したが、検体画像保管装置201と組織画像保管装置202とは一体の装置として構成されてもよい。また、検体画像保管装置201、組織画像保管装置202、および情報処理装置100が、一体の装置として構成されてもよい。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る組織画像が撮影されるまでの流れについて説明する図である。例えば、診断医によって患者Pから採取された検体5は、病理診断のために、病理医または検査技師に移送される。この際、病理診断の依頼(オーダー)毎に、病理番号が採番される。また、病理診断の対象となる検体ごとに、異なる検体番号が採番される。なお、1回の病理診断の依頼において、診断対象の検体が複数ある場合には、1つの病理番号に、複数の検体番号が対応付けられる。以下、本実施形態においては、病理医または検査技師を病理医等という。
【0023】
なお、本実施形態における情報処理装置100が実行する処理は、必ずしも病理診断を目的としなくてもよい。例えば、研究機関による研究、または医療機関から委託されて病理学的検査を行う検査センターにおける報告書の作成を目的としてもよい。
【0024】
また、検体5がデジタルカメラ等によって撮影された検体画像51の識別情報として、検体画像IDが付与される。検体画像IDは、検体画像51の付帯情報として登録されてもよい。また、検体画像51の撮影対象である検体5の病理番号、検体5の検体番号、検体5に係る病理診断のオーダー番号、検体5の取得元の患者Pの患者ID、検体画像51の撮影日時等の検体画像51に関する情報が、検体画像51の付帯情報として登録されてもよい。また、検体画像ID、およびその他の検体画像51に関する情報は、検体画像51上に文字情報として描出されてもよい。
【0025】
病理医等は、検体5から組織切片60a~60eを切り出し、染色等の処理を施した後、例えば、組織切片60a~60eの断面を薄切し、スライドガラス7に載置する。以下、個々の組織切片60a~60eを区別しない場合は、単に組織切片60という。
【0026】
本実施形態においては、スライドガラス7に載置された切片群を、組織標本6という。組織標本6は、少なくとも1つの組織切片60を含む。
【0027】
また、図2では、各組織切片60がそのままスライドガラス7に載置されているが、組織切片60の長さが長い場合や、切り出し位置の形状によっては、1つの組織切片60が、複数の断片に分割されてスライドガラス7に載置される場合がある。
【0028】
なお、図2では一例として、組織切片60a~60eは断面を撮影装置側に向けた状態で撮影されるが、載置の向きはこれに限定されるものではない。例えば、組織切片60は、検体画像51の撮影時の検体5と同じ向きで、撮影されてもよい。また、図2では組織画像61の横方向が組織領域62の長手方向となるように、組織切片60がスライドガラス7上に配置されていたが、配置方向はこれに限定されるものではない。例えば、組織画像61の縦方向が組織領域62の長手方向となるように、組織切片60がスライドガラス7上に配置されてもよい。あるいは、組織切片60は、スライドガラス7上に斜めに配置されてもよい。組織切片60の配置は、例えば、医療機関ごとの切片配置規則によって定められているものとする。
【0029】
スライドガラス7に載置された組織標本6を撮影したWSI画像等の画像が、組織画像61である。組織画像61には、組織切片60a~60eを含む組織標本6が描出される。なお、図2では、1つの検体5から切り出された全ての組織切片60が1つのスライドガラス7上に配置されているが、1つの検体5から切り出された組織切片60が複数のスライドガラス7に分けて配置されてもよい。この場合、1つの検体画像51が、複数の組織画像61と対応する。
【0030】
組織画像61の識別情報として、組織画像IDが付与される。組織画像IDは、組織画像61の付帯情報として登録されてもよい。また、組織画像61の撮影対象である切片の取得元である検体5の病理番号、検体5の検体番号、検体5に係る病理診断のオーダー番号、検体5の取得元の患者Pの患者ID、組織画像61の撮影日時等の組織画像61に関する情報が、組織画像61の付帯情報として登録されてもよい。また、組織画像ID、およびその他の組織画像61に関する情報は、組織画像61上に文字情報として描出されてもよい。また、組織画像61の付帯情報として、組織画像61を撮影した医療機関等の施設の識別情報が含まれてもよい。組織画像61を撮影した医療機関等の施設の識別情報は、例えば、臨床検査システムまたは検体管理システムから取得されてもよい。
【0031】
組織画像61は、スライドガラス7が描出された背景領域70と、組織標本6が描出された複数の組織領域62a~62eとを含む。以下、個々の組織領域62a~62eを区別しない場合は、単に組織領域62という。組織領域62は、切片領域ともいう。
【0032】
本実施形態の情報処理装置100は、組織画像61における各組織切片60の切り出し位置と、組織画像61において各組織切片60が描出された組織領域62とを対応付ける。
【0033】
図1に戻り、情報処理装置100は、例えばサーバ装置またはPC等であり、NWインタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。
【0034】
NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、情報処理装置100と第一の撮影装置401、第二の撮影装置402、検体画像保管装置201、および組織画像保管装置202との間で行われる各種データの伝送および通信を制御する。NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0035】
記憶回路120は、処理回路150で使用される各種の情報を予め記憶する。また、記憶回路120は、各種のプログラムを記憶する。
【0036】
入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路150へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェースはマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、情報処理装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0037】
ディスプレイ140は、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等である。なお、入力インタフェース130とディスプレイ140とは統合してもよい。例えば、入力インタフェース130とディスプレイ140とは、タッチパネルによって実現されてもよい。ディスプレイ140は、表示部の一例である。
【0038】
処理回路150は、記憶回路120からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。本実施形態の処理回路150は、検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、対応付け機能155、表示制御機能156、および受付機能157を備える。検体画像取得機能151は、検体画像取得部の一例である。組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153は、組織画像取得部の一例である。組織領域サイズ特定機能154は、組織領域サイズ特定部の一例である。対応付け機能155は、対応付け部の一例である。表示制御機能156は、表示制御部の一例である。受付機能157は、受付部の一例である。
【0039】
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、対応付け機能155、表示制御機能156、および受付機能157の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記憶されている。処理回路150は、プロセッサである。例えば、処理回路150は、プログラムを記憶回路120から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては単一のプロセッサにて検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、対応付け機能155、表示制御機能156、および受付機能157にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、図1においては単一の記憶回路120が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路150は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0040】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device :CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0041】
検体画像取得機能151は、第一の撮影装置401または検体画像保管装置201から検体画像51を取得する。
【0042】
取得対象の検体画像51は、例えば、後述の受付機能157が受け付けたユーザの操作によって指定される。情報処理装置100のユーザは、病理医等である。
【0043】
ユーザは、例えば、病理番号、患者ID、検体番号、オーダー番号、または撮影日等のいずれか、またはこれらの組み合わせを入力することにより、取得対象の検体画像51を指定する。
【0044】
また、ユーザは、検体画像保管装置201に保存された検体画像51のリストから、取得対象を選択してもよい。なお、検体画像51は、予め記憶回路120に記憶され、ユーザの操作によって読み出されてもよい。
【0045】
組織画像取得機能152は、第二の撮影装置402または組織画像保管装置202から組織画像61を取得する。
【0046】
切り出しサイズ特定機能153は、検体5から組織切片60を切り出す場合に当該検体5上に設定される切り出し部位のサイズを特定する。切り出し部位のサイズは、例えば、検体5上の切り出し部位の長さである。また、切り出し部位のサイズは、検体5上の切り出し部位の厚さであってもよい。また、切り出し部位のサイズは、例えば、検体5上の切り出し部位の長さと厚さの両方でもよい。本実施形態においては、切り出し部位のサイズは、少なくとも、検体5上の切り出し部位の長さと厚さのいずれか一方を含む。
【0047】
図3は、第1の実施形態に係る切り出し部位の長さの計測の一例を示す図である。検体画像51における切り出し位置を示す切り出し線53のうち検体領域510内に含まれる部分が、検体5の切り出し部位に相当する。
【0048】
図3に示すように、切り出しサイズ特定機能153は、検体画像51上で切り出し位置を示す切り出し線53a~53eのうち、検体5が描出された検体領域510内に含まれる部分の長さを計測する。切り出しサイズ特定機能153は、検体画像51上で計測した長さを検体画像51の縮尺に基づいて、実際の長さに変換することにより、検体5における組織切片が切り出された切り出し部位の長さを計測する。図3に示す例では、切り出し線53aの検体領域510内の長さを実際の長さに変換すると、10mmとなる。以下、個々の切り出し線53a~53eを特に区別しない場合は、単に切り出し線53という。
【0049】
また、切り出しサイズ特定機能153は、深度カメラ等で計測された切り出し部位の深度と背景部の深度とを取得し、切り出し部位の深度と背景部の深度の差を切り出し部位の厚さとして計測してもよい。切り出しサイズ特定機能153による厚さの計測位置は、等間隔でもよいし、厚さの変動が大きい箇所のみでもよい。また、切り出しサイズ特定機能153は、等間隔で取得した厚さに加えて厚さの変動が大きい箇所の厚さを取得してもよい。
【0050】
なお、切り出しサイズ特定機能153は、検体画像51から切り出し部位のサイズを計測する以外の手法を採用してもよい。例えば、切り出しサイズ特定機能153は、ユーザによって入力された切り出し部位のサイズを取得してもよいし、切り出し部位のサイズが記録されたファイル等からデータとして切り出し部位のサイズを読み込んでもよい。なお、切り出しサイズ特定機能153が検体画像51を用いずに切り出し部位のサイズを計測する場合、本実施形態の処理回路150は検体画像取得機能151備えなくともよい。
【0051】
図1に戻り、組織領域サイズ特定機能154は、組織画像61に描出された組織切片60のサイズを特定する。組織切片60のサイズは、例えば、組織切片60の長さである。また、組織切片60のサイズは、組織領域62の厚さでもよい。本実施形態においては、組織切片60のサイズは、少なくとも、組織切片60の長さと厚さのいずれか一方を含む。
【0052】
図4は、第1の実施形態に係る組織領域の長さの計測の一例を示す図である。図4に示すように、組織領域サイズ特定機能154は、組織画像61に描出された複数の組織領域62a~62fの各々の切り出し方向に沿った長さを計測する。組織領域サイズ特定機能154は組織画像61上で計測した長さを組織画像61の縮尺に基づいて実際の長さに変換することにより、複数の組織領域62a~62fに対応する組織切片60の実際の長さを計測する。図4に示す例では、組織領域62aに対応する組織切片60内の長さを実際の長さに変換すると7mm、組織領域62bに対応する組織切片60内の長さを実際の長さに変換すると3mmとなる。
【0053】
図5は、第1の実施形態に係る組織領域62の厚さの計測の一例を示す図である。図5に示す例では、撮影方向に対して切断面が正面を向いているため、組織領域62aにおいて切り出し方向に略直交する方向の長さが、組織領域62の厚さとなる。図5に示すように、組織領域サイズ特定機能154は、組織画像61に描出された組織領域62aの組織画像61上の厚みを組織画像61の縮尺に基づいて実際の厚みに変換することにより、組織領域62aに対応する組織切片60の実際の厚みを計測する。組織領域サイズ特定機能154による厚さの計測位置は、等間隔でもよいし、厚さの変動が大きい箇所のみでもよい。また、組織領域サイズ特定機能154は、等間隔で取得した厚さに加えて厚さの変動が大きい箇所の厚さを取得してもよい。
【0054】
なお、組織領域サイズ特定機能154は、組織画像61に描出された組織領域62から組織切片60のサイズを計測する以外の手法を採用してもよい。例えば、組織領域サイズ特定機能154は、ユーザによって入力された組織切片60のサイズを取得してもよいし、組織切片60のサイズが記録されたファイル等からデータとして切り出し部位のサイズを読み込んでもよい。
【0055】
図1に戻り、対応付け機能155は、切り出し部位のサイズと組織切片60のサイズとに基づいて、切り出し部位と組織領域62とを対応付ける。
【0056】
対応付け機能155は、例えば、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さの差異が閾値以下の場合に、当該切り出し部位と、当該組織切片60に対応する組織領域62とを対応付ける。閾値の値は特に限定されるものではない。閾値は、ユーザにより入力されてもよいし、設定ファイルにより登録されてもよい。また、対応付け機能155は、切り出し部位また組織領域62のサイズの統計値等に基づいて、閾値を算出してもよい。閾値は、固定値でもよいし、切り出し部位また組織領域62のサイズに応じて変動してもよい。
【0057】
図6は、第1の実施形態に係る切り出し部位と組織領域62との対応付けの一例を示す図である。図6に示す例では、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位の実際の長さは10.2mmである。また、組織画像61に描出された組織領域62gに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さは10.3mmである。この場合、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さの差異は0.1mmとなる。閾値が0.1mm以上の場合、対応付け機能155は、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位と、組織画像61に描出された組織領域62gとを対応付ける。
【0058】
また、対応付け機能155は、閾値を用いずに、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さが一致する場合に、当該切り出し部位と、当該組織切片60に対応する組織領域62とを対応付けるものとしてもよい。
【0059】
図7は、第1の実施形態に係る切り出し部位と組織領域62との対応付けの他の一例を示す図である。図7に示す例では、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位の実際の長さと組織画像61に描出された組織領域62gに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さとが一致している。この場合、対応付け機能155は、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位と、組織画像61に描出された組織領域62gとを対応付ける。
【0060】
対応付け機能155は、同様に、組織画像61に描出された全ての組織領域62と、検体画像51に描出された切り出し線53との対応付けをする。図8は、第1の実施形態に係る複数の切り出し部位と複数の組織領域62との対応付けの一例を示す図である。図8に示す例では、対応付け機能155は、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さの差異が閾値以下の場合に、当該切り出し部位と、当該組織切片60に対応する組織領域62とを対応付けるものとする。
【0061】
なお、図6図8では、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さとに基づく対応付けを例示したが、対応付け機能155は、切り出し部位の厚さと組織切片60の厚さによって切り出し部位と組織領域62とを対応付けてもよい。例えば、対応付け機能155は、切り出し部位における複数箇所の厚さと、組織切片60における複数箇所の厚さとに基づいて、前記切り出し部位と当該組織切片60に対応する組織領域62とを対応付ける。
【0062】
また、対応付け機能155は、切り出し部位の長さおよび厚さの両方と、組織切片60の長さおよび厚さの両方に基づいて、切り出し部位と組織領域62とを対応付けてもよい。
【0063】
対応付け機能155は、切り出し部位と組織領域62との対応関係を、記憶回路120に保存する。
【0064】
図1に戻り、表示制御機能156は、対応付け機能155によって対応付けられた切り出し部位と組織領域62とを対応付けてディスプレイ140に表示させる。なお、表示タイミングは特に限定されるものではないが、対応付けの処理の直後でもよいし、組織画像61がディスプレイ140に表示されている場合にユーザによって組織領域62に対応する切り出し部位の照会操作が行われた場合であってもよい。
【0065】
受付機能157は、入力インタフェース130を介して、ユーザによる各種の操作を受け付ける。
【0066】
次に、以上のように構成された本実施形態の情報処理装置100で実行される対応付け処理の流れについて説明する。
【0067】
図9は、第1の実施形態に係る対応付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、検体画像取得機能151は、第一の撮影装置401または検体画像保管装置201から検体画像51を取得する(S11)。
【0069】
そして、切り出しサイズ特定機能153は、切り出しサイズ特定機能153は、検体5における組織切片60が切り出された切り出し部位のサイズを特定する(S12)。例えば、切り出しサイズ特定機能153は、検体画像51上に描出された切り出し部位の長さと、検体画像51の縮尺とに基づいて、実際の切り出し部位の長さを特定する。
【0070】
また、組織画像取得機能152は、第二の撮影装置402または組織画像保管装置202から組織画像61を取得する(S13)。
【0071】
そして、組織領域サイズ特定機能154は、組織画像61に描出された組織切片60のサイズを特定する(S14)。例えば、組織領域サイズ特定機能154は、組織画像61上で計測した組織領域62の長さを組織画像61の縮尺に基づいて実際の長さに変換することにより、組織領域62に対応する組織切片60の実際の長さを特定する。
【0072】
そして、対応付け機能155は、切り出し部位のサイズと組織切片60のサイズとに基づいて、切り出し部位と組織領域62とを対応付ける(S15)。例えば、対応付け機能155は、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さの差異が閾値以下の場合に、当該切り出し部位と、当該組織切片60に対応する組織領域62とを対応付ける。対応付け機能155は、切り出し部位と組織領域62との対応関係を、記憶回路120に保存する。ここで、このフローチャートの処理は終了する。
【0073】
なお、このフローチャートでは、切り出しサイズ特定機能153は、検体画像51から切り出し部位の長さを特定するものとしたが、検体画像51を用いずに切り出し部位の長さを特定してもよい。この場合、S11の処理は不要となる。また、この場合、S12の処理において、切り出しサイズ特定機能153は、ユーザによって入力された切り出し部位のサイズを取得してもよいし、切り出し部位のサイズが記録されたファイル等からデータとして切り出し部位のサイズを読み込んでもよい。
【0074】
なお、S15の処理において、対応付け機能155は、閾値を用いずに、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さが一致する場合に、当該切り出し部位と、当該組織切片60に対応する組織領域62とを対応付けるものとしてもよい。
【0075】
このように、本実施形態の情報処理装置100は、切り出し部位のサイズと組織切片60のサイズとに基づいて、切り出し部位と、当該組織切片60に対応する組織領域62と、を対応付ける。このため、本実施形態の情報処理装置100によれば、組織画像61に描出された組織切片60と検体画像51上の切り出し位置との対応関係を高精度に特定することができる。
【0076】
例えば、技師等が組織切片60をスライドガラス7上に配置する際に、手作業であるため、組織切片60の配置順が入れ替わる等のミスが発生する場合がある。本実施形態の情報処理装置100によれば、組織切片60の配置順が規定の順番でなくとも、組織画像61に描出された組織切片60と検体画像51上の切り出し位置との対応関係をと特定することが可能である。
【0077】
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態では、切り出しサイズ特定機能153および組織領域サイズ特定機能154は、検体5における組織切片60が切り出された切り出し部位の実際のサイズおよび組織切片60の実際のサイズを特定していたが、実際のサイズを用いなくともよい。例えば、切り出しサイズ特定機能153および組織領域サイズ特定機能154は、検体画像51と組織画像61の縮尺の比率に基づいて、切り出し部位と組織領域62の相対的なサイズを特定してもよい。この場合、対応付け機能155切り出し部位と組織領域62の相対的なサイズを比較した結果に基づいて切り出し部位と組織領域62とを対応付ける。
【0078】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、情報処理装置100は、検体5から組織切片60を切り出す切り出し位置を決定する機能を備えるものとして説明した。この第4の実施形態では、情報処理装置100は、さらに、1つの切り出し位置から切り出された組織切片60の分割の要否、および適切な分割位置の提案をする。
【0079】
図10は、第2の実施形態に係る情報処理システムSの全体構成の一例を示す図である。本実施形態の情報処理システムSは、第1の実施形態と同様に、情報処理装置100と、検体画像保管装置201と、組織画像保管装置202と、第一の撮影装置401と、第二の撮影装置402とを備える。
【0080】
本実施形態の情報処理装置100の処理回路150は、検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、
対応付け機能155a、表示制御機能156、受付機能157、および分割有無判定機能158を備える。分割有無判定機能158は、分割有無判定部の一例である。
【0081】
検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、表示制御機能156、および受付機能157は、第1の実施形態と同様の機能を備える。
【0082】
分割有無判定機能158は、切り出し部位のサイズと、組織画像61含まれる複数の組織領域62のサイズとに基づいて、当該複数の組織領域62に対応する複数の組織切片60の分割の状態を判定する。
【0083】
例えば、分割有無判定機能158は、切り出し部位の長さと、いずれか2つ以上の組織切片60の切り出し方向に沿った長さの合計と、の差異が閾値以下の場合に、当該切り出し部位から切り出された組織切片が、当該2つ以上の組織切片60に分割されたと判定する。
【0084】
本実施形態における閾値は、第1の実施形態における対応付けに用いられる閾値と同じ値でもよいし、異なっていてもよい。閾値の値は特に限定されるものではない。閾値は、ユーザにより入力されてもよいし、設定ファイルにより登録されてもよい。また、分割有無判定機能158は、切り出し部位また組織領域62のサイズの統計値等に基づいて、閾値を算出してもよい。閾値は、固定値でもよいし、切り出し部位また組織領域62のサイズに応じて変動してもよい。
【0085】
また、この場合、後述の本実施形態の対応付け機能155aは、当該切り出し部位と、当該2つ以上の組織切片60に対応する2つ以上の組織領域62とを対応付ける。
【0086】
図11は、第2の実施形態に係る複数の組織領域62m,62nに対応する複数の組織切片60の分割の有無の判定の一例を示す図である。図11に示す例では、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位の実際の長さは10.2mmである。また、組織画像61に描出された組織領域62mに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さは7.2mmである。また、組織画像61に描出された組織領域62nに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さは3.1mmである。組織領域62mに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さと、組織領域62nに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さとの合計は、10.3mmである。
【0087】
この場合、切り出し部位の長さと、2つの組織切片60の切り出し方向に沿った長さ合計と、の差異は0.1mmとなる。閾値が0.1mm以上の場合、分割有無判定機能158は、組織領域62m,62nに対応する2つの組織切片60は、1つの組織切片60が分割されたものであると判定する。また、この場合、後述の本実施形態の対応付け機能155aは、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位と、組織領域62m,62nとを対応付ける。
【0088】
また、分割有無判定機能158は、切り出し部位の長さと、いずれか2つ以上の組織切片60の切り出し方向に沿った長さの合計と、の差異が閾値以下となる対応関係がない場合、当該組織切片60は分割されたものではないと判定する。
【0089】
また、分割有無判定機能158は、閾値を用いずに、切り出し部位の長さと、2つ以上の組織切片60の切り出し方向に沿った長さの合計とが一致する場合に、2つ以上の組織切片60は1つの組織切片60が分割されたものであると判定してもよい。
【0090】
図12は、第2の実施形態に係る複数の組織領域62m,62nに対応する複数の組織切片60の分割の有無の判定の他の一例を示す図である。
【0091】
図12に示す例では、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位の実際の長さ10mmと、組織画像61に描出された組織領域62mに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さ7mmと組織領域62nに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さ3mmの合計と、が一致している。この場合、分割有無判定機能158は、組織領域62m,62nに対応する2つの組織切片60は、1つの組織切片60が分割されたものであると判定する。
【0092】
本実施形態の対応付け機能155aは、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、分割有無判定機能158の判定結果に基づいて、切り出し部位と前記複数の組織領域とを対応付ける。
【0093】
例えば、組織画像61に描出された複数の組織領域62のうち、分割された組織切片60に対応するものと、分割されていない組織切片60に対応するものが混在する場合がある。
【0094】
図13は、第2の実施形態に係る分割された組織切片と分割されていない組織切片とが撮影された組織画像61の一例を示す図である。図13に示す例では、分割有無判定機能158は、切り出し部位の長さと、2以上の組織切片60の切り出し方向に沿った長さの合計との差異が閾値“0.3mm”以下の場合に、当該2以上の組織切片60が分割されたものとであると判定する。
【0095】
図13では、対応付け機能155aは、分割有無判定機能158の判定結果に基づいて、検体画像51に描出された切り出し線53aに対応する切り出し部位と、組織画像61に描出された組織領域62m,62nとを対応付ける。
【0096】
また、図13では、検体画像51に描出された切り出し線53bに対応する切り出し部位の実際の長さは15.1mmである。また、組織画像61に描出された組織領域62oに対応する組織切片60の切り出し方向に沿った長さは14.8mmである。この場合、切り出し部位の実際の長さと組織切片60の切り出し方向に沿った長さとの差異が閾値以下となるので、対応付け機能155aは、第1の実施形態と同様に、切り出し線53bに対応する切り出し部位と組織領域62oとを対応付ける。
【0097】
図14は、第2の実施形態に係る対応付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。S21の検体画像51の取得の処理から、S24の組織切片60のサイズの特定の処理までは、図9で説明した第1の実施形態におけるS11からS14の処理と同様である。
【0098】
そして、分割有無判定機能158は、切り出し部位のサイズと、組織画像61含まれる複数の組織領域62のサイズとに基づいて、当該複数の組織領域62に対応する複数の組織切片60の分割の状態を判定する(S25)。
【0099】
そして、対応付け機能155aは、分割有無判定機能158の判定結果に基づいて、切り出し部位と前記複数の組織領域とを対応付ける(S26)。また、対応付け機能155aは、分割されていないと判定された組織領域62については、切り出し部位のサイズと組織切片60のサイズとに基づいて、切り出し部位と組織領域62とを対応付ける。ここで、このフローチャートの処理は終了する。
【0100】
(第2の実施形態の変形例1)
上述の第2の実施形態では、分割有無の判定に用いられる2以上の組織領域62の組み合わせについて特に制限をしていなかった。これに対して、本変形例では、分割有無判定機能158は、組織画像61上の組織領域62間の距離に応じて、組み合わせ可能な組織領域62を制限する。
【0101】
一般に、分割された組織切片60は近くに配置されるため、近くの組織領域62同士の組み合わせが、分割された組織切片60の組み合わせとして適切である可能性が高い。
【0102】
本実施形態の分割有無判定機能158は、分割の有無の判定に用いる複数の組織領域62の組み合わせを選択する際に、ある組織領域62と、当該組織領域62と間の距離が最小となる他の組織領域62との組み合わせを選択する。
【0103】
図15は、第2の実施形態の変形例1に係る分割された組織切片の組み合わせの一例を示す図である。例えば、図15に示す例では、組織画像61上の複数の組織領域62のうち、組織領域62mと最も近い距離に位置する組織領域62は、組織領域62nである。この場合、分割有無判定機能158は、分割の有無の判定に用いる複数の組織領域62の組み合わせを選択する際に、組織領域62mと組織領域62nとの組み合わせを選択する。また、組織領域62pも組織領域62nと同じ長さであるが、組織領域62mとの距離が最も近い組織領域ではないため、分割有無判定機能158は、組織領域62mと組織領域62pとの組み合わせは選択しない。
【0104】
また、2つの組織領域62の長さを合計しても切り出し部位の長さに達しない場合、分割有無判定機能158は、2つの組織領域62以外の組織領域62のうち、2つの組織領域62のいずれかとの距離が最も近い組織領域62を組み合わせに加えてもよい。図15に示す例では、分割有無判定機能158は、組織領域62oと組織領域62pとを組み合わせても切り出し位置の長さ未満であるため、組織領域62pとの距離が最も近い組織領域62qを組み合わせに追加する。
【0105】
本変形によれば、組織切片60の配置に基づいて各組織領域62の分割の有無を判定するため、分割の有無の判定、および組織切片60と検体画像51上の切り出し位置との対応関係の特定の制度を向上させることができる。
【0106】
(第2の実施形態の変形例2)
また、分割有無判定機能158は、分割の有無の判定に用いる複数の組織領域62の組み合わせを選択する際に、組み合わせ可能な組織領域62を、距離が閾値以下の組織領域62同士に制限してもよい。組織領域62間の距離の閾値は、特に限定されるものではない。当該閾値は、ユーザにより設定されもよいし、予め定められてもよい。
【0107】
例えば、分割有無判定機能158は、切り出し部位の長さと、組み合わせとして許容する切片領域の距離の閾値(例えば5mm)以下の距離にある複数の組織領域62の長さの合計を比較し、差が閾値以下だった場合に、複数の組織領域62は分割されてできたものと判定する。
【0108】
図16は、第2の実施形態の変形例2に係る分割された組織切片の組み合わせの一例を示す図である。図16に示す例では、組織領域62mと組織領域62nとの距離は2mmであり、閾値以下である。この場合、分割有無判定機能158は、組織領域62mと組織領域62nとを、分割の有無の判定の際の組み合わせとして選択する。
【0109】
また、組織領域62oから組織領域62qの間の距離は3mmのため、分割有無判定機能158は、組織領域62oから組織領域62qと、組織領域62oから組織領域62qの間に位置する組織領域62pとを分割の有無の判定の際の組み合わせとして選択する。
【0110】
(第3の実施形態)
この第3の実施形態では、切り出し部位および組織切片60の厚さに基づいた組織切片60と検体画像51上の切り出し位置との対応関係の特定について具体的に説明する。
【0111】
図17は、第3の実施形態に係る切り出し部位と組織領域62mとの対応付けの一例を示す図である。
【0112】
本実施形態の切り出しサイズ特定機能153は、切り出し部位において、等間隔の複数個所の厚さを特定する。図17に示す例では、厚さの特定箇所は10箇所とするが、当該数に限定されるものではない。
【0113】
また、本実施形態の組織領域サイズ特定機能154は、切り出し部位において厚さが特定された箇所に対応する組織切片60の箇所の厚さを特定する。例えば、組織領域サイズ特定機能154は、組織切片60において切り出し部位において厚さが特定された箇所に対応する箇所の厚さを、組織画像61上の組織領域62の縦幅と、組織画像61の縮尺とに基づいて算出する。
【0114】
また、本実施形態の対応付け機能155は、各箇所の切り出し部位の厚さと組織領域62の厚さとを比較し、それらの差が、いずれも閾値(例えば0.05mm)以下となる切り出し部位と、組織領域62mとを対応付ける。
【0115】
(第3の実施形態の変形例1)
対応付け機能155は、閾値を用いずに、各箇所の切り出し部位の厚さと組織領域62の厚さとを比較し、それらが一致する切り出し部位と組織領域62を対応付けてもよい。
【0116】
(第3の実施形態の変形例2)
また、上述の第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせてもよい。本変形例の処理回路150は、分割有無判定機能158を備える。
【0117】
例えば、第2の実施形態の図11図12では、切り出し部位の長さと、組織切片60の切り出し方向に沿った長さとに基づく分割有無の判定について例示したが、分割有無判定機能158は、切り出し部位における厚さと、いずれか2つ以上の組織切片60の厚さとに基づいて、当該2つ以上の組織切片60が分割されたものであるか否かを判定してもよい。
【0118】
図18は、第3の実施形態の変形例2に係る組織領域62m,62nの分割の有無の判定の一例を示す図である。図18に示す例では、分割有無判定機能158は、各箇所の切り出し部位の厚さと、複数の組織領域62m,62nの組み合わせに含まれる各組織領域62m,62nにおける各箇所の厚さを比較し、それらの差が、閾値以下の場合に、複数の切片領域が分割されてできたものと判定する。切り出し部位における厚さの特定箇所と比較される組織領域62m,62nにおける厚さの特定箇所は、切り出し部位における厚さの特定箇所に対応する位置とする。
【0119】
なお、分割有無判定機能158は、閾値を用いずに、各箇所の切り出し部位の厚さと、複数の組織領域62m,62nの組み合わせに含まれる各組織領域62m,62nにおける各箇所の厚さとが一致した場合に複数の切片領域が分割されてできたものと判定してもよい。
【0120】
また、分割有無判定機能158は、切り出し部位の長さおよび厚さの両方と、組織切片60の長さおよび厚さの両方に基づいて、2つ以上の組織切片60が分割されたものであるか否かを判定してもよい。
【0121】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態では、対応付け機能155は、検体5からの組織切片60の切り出し順を規定した切り出し順情報、および組織切片60の配置規則に基づいて、切り出し部位と、組織領域62とを対応付ける。なお、対応付け機能155は、切り出し順情報、および組織切片60の配置規則の両方を使用してもよいし、いずれか一方を使用してもよい。
【0122】
組織切片60の切り出し順を規定した切り出し順情報は、本実施形態における切り出し部位の配置情報の一例である。切り出し順情報の内容は、例えば、「各切り出し位置は、検体5から切り出した順に、検体画像51の上側から順に並んでいる」とする。
【0123】
また、組織切片60の配置規則は、本実施形態における組織領域62の配置情報の一例である。組織切片60の配置規則の内容は、例えば、粘膜方向を組織画像61の上側に向けて、検体5から切り出された順に並んでいるものとする。なお、切り出し順情報および組織領域62の配置情報は、上述の例に限定されるものではない。
【0124】
図19は、第4の実施形態に係る切り出し部位と組織領域との対応付けの一例を示す図である。図19に示す例では、検体画像51に描出された検体5は、切り出し順情報に基づいて、検体画像51の上部から順に切り出される。また、組織画像61上の組織領域62は、組織切片60の配置規則に基づいて、粘膜方向を組織画像61の上側に向けて、組織画像61の上部から順に並んでいる。
【0125】
切り出し線53aに対応する切り出し部位の長さは10.1mm、切り出し線53dに対応する切り出し部位の長さは9.9mmである。
【0126】
また、組織画像61上の複数の組織領域62s~62wのうち、組織領域62sに対応する組織切片60の長さは10.2mm、組織領域62vに対応する組織切片60の長さは9.8mmである。
【0127】
切り出し線53aに対応する切り出し部位の長さと組織領域62sに対応する組織切片60の長さとの差異と、切り出し線53aに対応する切り出し部位の長さと組織領域62vに対応する組織切片60の長さとの差異は、いずれも閾値以下とする。
【0128】
この場合、切り出し線53aに対応する切り出し部位の対応付け候補として、組織領域62sと組織領域62vの2つが存在する。
【0129】
このように1つの切り出し部位の対応付け候補として複数の組織領域62が存在する場合、本実施形態の対応付け機能155は、切り出し順情報および組織切片60の配置規則に基づいて、複数の対応付け候補のうち、当該切り出し部位に対応させた場合の配置の尤もらしさが最も高いものを当該切り出し部位に対応付ける。
【0130】
図19に示す例では、切り出し線53aに対応する切り出し部位に組織領域62sを対応付けた場合の配置の尤もらしさが、当該切り出し部位に組織領域62vを対応付けた場合の配置の尤もらしさよりも高い。このため、対応付け機能155は、切り出し線53aに対応する切り出し部位に組織領域62sを対応付ける。
【0131】
(第4の実施形態の変形例1)
また、上述の第2の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせてもよい。本変形例の処理回路150は、分割有無判定機能158を備える。
【0132】
図20は、第4の実施形態の変形例1に係る切り出し部位と組織領域62との対応付けの一例を示す図である。図20に示す例では、本変形例の分割有無判定機能158は、切り出し線53aに対応する1つの切り出し部位から切り出された組織切片60が分割されて組織領域62ad,62aeとして組織画像61に描出されていると判定する。
【0133】
この場合、対応付け機能155は、切り出し順情報および組織切片60の配置規則に基づいて、組織領域62ad,62aeの並び順を特定した上で、切り出し線53aに対応する切り出し部位に、特定した並び順に沿って組織領域62ad,62aeを対応付ける。
【0134】
例えば、対応付け機能155は、切り出し順情報および組織切片60の配置規則に基づいて、組織領域62ad,62aeを、配置の尤もらしさが最も高くなるように切り出し線53aに対応する切り出し部位に対応付ける。
【0135】
(第4の実施形態の変形例2)
本変形例では、組織切片60の切り出し順を規定した切り出し順情報のバリエーションを説明する。
【0136】
例えば、切り出し順情報は、ユーザにより設定されてもよい。図21は、第4の実施形態の変形例1に係る切り出し順情報の一例を示す図である。図21に示す例では、ユーザにより、検体画像51上に、切り出し線53a~53eによって示される切り出し位置の順番を示す数字“1”~“5”がユーザにより入力されたものとする。
【0137】
あるいは、対応付け機能155は、設定ファイル等から切り出し位置の並び順を取得してもよい。
【0138】
また、対応付け機能155は、切り出し部位の座標情報から切り出し位置の並び順を判定し、判定結果を切り出し順情報としてもよい。例えば、対応付け機能155は、切り出し部位の中点の並ぶ方向、または切り出し部位の両端の並ぶ方向等に基づいて、切り出し位置の並び順を特定してもよい。
【0139】
図22は、第4の実施形態の変形例1に係る切り出し順情報の他の一例を示す図である。図22に示す例では、対応付け機能155は、検体画像51の上側から、切り出し部位の中点の並ぶ方向に沿って切り出し位置が順に並んでいると判定する。
【0140】
(第4の実施形態の変形例3)
本変形例では、組織切片60の配置規則のバリエーションを説明する。
【0141】
例えば、組織切片60の配置規則は、ユーザにより設定されてもよい。あるいは、対応付け機能155は、設定ファイル等から組織切片60の配置規則を取得してもよい。
【0142】
また、対応付け機能155は、組織画像61を画像処理することにより、組織切片60の配置規則を特定してもよい。例えば、対応付け機能155は、画像処理により粘膜方向を判定し、複数の組織領域62が組織画像61で粘膜方向から順に並んでいるものとして組織切片60の配置規則を特定する。
【0143】
図23は、第4の実施形態の変形例3に係る組織切片60の配置規則の一例を示す図である。図23に示す例では、複数の組織領域62ag~62akは、粘膜方向を組織画像61の上側に向けて、組織画像61の上部から順に並んでいる。
【0144】
また、図24は、第4の実施形態の変形例3に係る組織切片60の配置規則の他の一例を示す図である。図24に示す例では、複数の組織領域62al~62atは、粘膜方向を組織画像61の右側に向けて、組織画像61の右側から順に並んでいる。
【0145】
また、図25は、第4の実施形態の変形例3に係る組織切片60の配置規則のさらに他の一例を示す図である。図25に示す例では、複数の組織領域62au~62awは、粘膜方向を組織画像61の右斜め上側に向けて、組織画像61の右斜め上側から順に並んでいる。
【0146】
(第5の実施形態)
上述の第1から第4の実施形態では、情報処理装置100は、組織画像61に描出された組織切片60に対応する組織領域62と、検体画像51上の切り出し位置との対応関係を特定していた。この第5の実施形態では、情報処理装置100は、組織領域62と切り出し位置との対応関係だけではなく、検体画像51における任意の領域と組織画像61における任意の領域との対応関係を特定する。
【0147】
図26は、第5の実施形態に係る情報処理システムSの全体構成の一例を示す図である。本実施形態の情報処理システムSは、第1から第4の実施形態と同様に、情報処理装置100と、検体画像保管装置201と、組織画像保管装置202と、第一の撮影装置401と、第二の撮影装置402とを備える。
【0148】
本実施形態の情報処理装置100の処理回路150は、検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、
対応付け機能155a、表示制御機能156、受付機能157、分割有無判定機能158、および対応領域特定機能159を備える。対応領域特定機能159は、対応領域特定部の一例である。
【0149】
検体画像取得機能151、組織画像取得機能152、切り出しサイズ特定機能153、組織領域サイズ特定機能154、受付機能157、および分割有無判定機能158は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の機能を備える。
【0150】
本実施形態の対応付け機能155aは、第2の実施形態と同様の機能を備えた上で、分割有無判定機能158による分割有無の判定の結果に基づき、組織画像61上の第一の位置と、検体画像51上の第二の位置との対応関係を特定する。
【0151】
図27は、第5の実施形態に係る組織画像61上の第一の位置と、検体画像51上の第二の位置との対応関係の一例を示す図である。図27に示す例では、検体画像51に描出された検体5から切り出された複数の組織切片60が、組織画像61上に組織領域62ax~62bcとして描出されている。
【0152】
本実施形態の対応付け機能155aは、例えば、図27の右側に示すように、組織画像61上の第一の位置72と、当該第一の位置に対応する検体画像51上の第二の位置71とを対応付ける。検体画像51上の第二の位置71は、切り出し部位上に位置するものとする。
【0153】
例えば、組織画像61において第一の位置72がユーザの操作等により定められた場合、対応付け機能155aは、切り出し部位と組織領域62とを対応付ける際と同様に、切り出し部位のサイズと組織切片60のサイズとに基づいて、組織画像61における第一の位置72を、切り出し部位における第二の位置71に変換することにより、第二の位置71を特定する。
【0154】
特に、切り出された組織切片60が分割されていると、検体画像51上の第二の位置71と組織画像61上の第一の位置72との対応関係をユーザが目視で把握することが難しい場合がある。図27に示す例では、組織領域62axと組織領域62ayとは、1つの組織切片60が分割されたものであるが、本実施形態の対応付け機能155aは、分割有無判定機能158による分割の有無の判定結果に基づいて、組織領域62axと組織領域62ayとが1つの切り出し部位から切り出されたものとして、第一の位置72と第二の位置71との対応関係を特定する。
【0155】
図28は、第5の実施形態に係る検体画像51上の注目位置と組織画像61上の対応位置の一例を示す図である。例えば、ユーザの操作により、検体画像51上で注目位置が指定されたとする。この場合、当該注目位置が、第二の位置71となる。また、この場合、対応付け機能155aは、検体画像51上の注目位置に対応する組織画像61上の対応位置を特定する。この場合、組織画像61上の対応位置が第一の位置72となる。
【0156】
また、検体画像51において切り出し部位における第二の位置71がユーザの操作等により定められた場合、対応付け機能155は、切り出し部位のサイズと組織切片60のサイズとに基づいて、検体画像51における第二の位置71を、組織画像61における第一の位置72に変換することにより、第一の位置72を特定する。なお、組織切片60が複数に分割されている場合、対応付け機能155aは、分割後の複数の切片を合計したサイズと、切り出し部位のサイズに基づいて、第一の位置72を特定する。
【0157】
図29は、第5の実施形態に係る組織画像61上の注目位置と検体画像51上の対応位置の一例を示す図である。図29に示す例では、例えば、ユーザの操作により、組織画像61上で注目位置が指定されたとする。この場合、当該注目位置が、第一の位置72となる。また、この場合、対応付け機能155aは、組織画像61上の注目位置に対応する検体画像51上の対応位置を特定する。この場合、検体画像51上の対応位置が第二の位置71となる。
【0158】
また、対応領域特定機能159は、対応付け機能155aによって特定された第一の位置72に基づいて、組織画像61上の第一の領域701を特定すると共に、第二の位置71に基づいて検体画像51上の第二の領域702を特定する。第一の領域701は第一の位置72を含む規定の大きさの領域である。また、第二の領域702は、第二の位置71を含む規定の大きさの領域である。第一の領域701および第二の領域702の大きさは、特に限定されるものではないが、例えばユーザにより設定可能であってもよいし、予め規定されていてもよい。なお、第一の領域701と第二の領域702の規定の大きさは、異なっていてもよい。
【0159】
第一の領域701は組織画像61上の注目領域であり、第二の領域702は検体画像51上の注目領域である。
【0160】
図30は、第5の実施形態に係る組織画像61上の第一の領域701の一例を示す図である。図30では第一の位置72を図示していないが、図30に示す第一の領域701は、図28で図示した第一の位置72を中心とした規定の大きさの領域である。
【0161】
図31は、第5の実施形態に係る検体画像51上の第二の領域702の一例を示す図である。図31では第二の位置71を図示していないが、図31に示す第二の領域702は、図28で図示した第二の位置71を中心とした規定の大きさの領域である。
【0162】
図26に戻り、表示制御機能156は、第2の実施形態と同様の機能を備えた上で、第一の領域701を表す第一の領域情報と、第二の領域702を表す第二の領域情報とをディスプレイ140に表示させる。
【0163】
図32は、第5の実施形態に係る第一の領域701を表す第一の領域情報と、第二の領域702を表す第二の領域情報との表示の一例を示す図である。図32に示す例では、表示制御機能156は、第一の領域701を表す矩形を重畳して表示させた組織画像61と、第二の領域702を表す矩形を重畳して表示させた検体画像51とをディスプレイ140に表示させる。
【0164】
第一の領域701を表す矩形は、第一の領域情報および第一の領域701を表す図形の一例である。また、第二の領域702を表す矩形は、第二の領域情報および第二の領域702を表す図形の一例である。
【0165】
また、図33は、第5の実施形態に係る第一の領域701を表す第一の領域情報と、第二の領域702を表す第二の領域情報との表示の他の一例を示す図である。図32に示す例では、表示制御機能156は、組織画像61から第一の領域701を切り出して拡大した第一の拡大画像670と、検体画像51から第二の領域702を切り出して拡大した第二の拡大画像570とをディスプレイ140に表示させる。
【0166】
第一の拡大画像670は、第一の領域情報の一例である。また、第二の拡大画像570は、第二の領域情報の一例である。第一の拡大画像670と第二の拡大画像570の拡大率は異なっていてもよい。また、第一の拡大画像670と第二の拡大画像570の中心位置は、それぞれ第一の位置72と第二の位置71とする。
【0167】
なお、図33では、第一の拡大画像670と第二の拡大画像570の中心位置を揃えるものとするが、他の位置を基準として第一の拡大画像670と第二の拡大画像570を表示させてもよい。例えば、表示制御機能156は、第一の領域701と第二の領域702の左上の位置等の規定の位置や、ユーザによって指定された位置が揃うように第一の拡大画像670と第二の拡大画像570を表示させてもよい。
【0168】
なお、表示制御機能156は、図32に示した第一の領域701を表す矩形を重畳して表示させた組織画像61および第二の領域702を表す矩形を重畳して表示させた検体画像51と、図33に示した第一の拡大画像670および第二の拡大画像570と、の両方を、ディスプレイ140に表示させてもよい。また、この場合、表示制御機能156は、第一の拡大画像670および第二の拡大画像570のいずれか一方のみを表示させてもよい。
【0169】
また、表示制御機能156は、第一の領域701を表す矩形を重畳して表示させた組織画像61と、第二の領域702を表す矩形を重畳して表示させた検体画像51とを並べて表示させるのではなく、ユーザの操作等に応じてこれらの画像を切り替えて表示させてもよい。また、表示制御機能156は、第一の領域701を表す矩形を重畳して表示させた組織画像61上に、第二の拡大画像570を重畳して表示させてもよい。また、第二の領域702を表す矩形を重畳して表示させた検体画像51上に、第一の拡大画像670を重畳して表示させてもよい。
【0170】
図34は、第5の実施形態に係る対応付け処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0171】
S31の検体画像51の取得およびS32の組織画像61の取得の処理は、図9に示した第1の実施形態のS11およびS13の処理と同様である。また、S33の分割の判定の処理は、図14に示したS25の処理と同様である。
【0172】
次に、受付機能157は、ユーザの操作によって指定された組織画像61または検体画像51への注目位置を取得する(S34)。
【0173】
そして、対応付け機能155aは、組織画像61または検体画像51上の注目位置に対応する検体画像51または組織画像61上の対応位置と特定する(S35)。
【0174】
そして、対応領域特定機能159は、組織画像61上の第一の領域701と検体画像51上の第二の領域702とを特定する(S36)。
【0175】
そして、表示制御機能156は、第一の領域701を表す第一の情報および第二の領域702を表す第二の情報をディスプレイ140に表示させる(S37)。ここで、このフローチャートの処理は終了する。
【0176】
このように、本実施形態の情報処理装置100は、分割有無判定機能158による判定の結果に基づき、組織画像61上の第一の位置と、検体画像51上の第二の位置との対応関係を特定する。また、本実施形態の情報処理装置100は、第一の領域701を表す第一の情報および第二の領域702を表す第二の情報をディスプレイ140に表示させる。このため、本実施形態の情報処理装置100によれば、第1、第2の実施形態と同様の効果に加えて、組織切片60が複数に分割されている場合においても、組織画像61上の第一の位置72と、検体画像51上の第二の位置71との対応関係をユーザに容易に把握させることができる。
【0177】
(第6の実施形態)
上述の第5の実施形態では、第一の領域701が組織画像61における組織切片60の分割位置上にない場合を例示した。しかしながら、第一の領域701が組織画像61における組織切片60の分割位置を含む場合がある。この第6の実施形態では、情報処理装置100は、第一の領域701に組織切片60の分割位置が含まれる場合に、第一の領域701に含まれる複数の組織切片60が分割位置で結合した状態を表す連結拡大画像を表示させる。
【0178】
本実施形態の情報処理装置100の処理回路150は、第5の実施形態と同様の構成に加えて、連結画像生成機能を備える。連結拡大画像生成部は、連結拡大画像生成部の一例である。
【0179】
連結拡大画像生成部は、第一の領域701に組織切片60の分割位置が含まれる場合に、第一の領域701に含まれる複数の組織切片60が分割位置で結合した状態を表す連結拡大画像を生成する。
【0180】
図35は、第6の実施形態に係る連結拡大画像660の一例を示す図である。図35に示すように、検体画像51上の第二の領域702に対応する組織画像61上の第一の領域701a,701bは、組織領域62bdと組織領域62beの分割位置を含む。
【0181】
このように第一の領域701内に組織切片60の分割位置が含まれる場合、本実施形態の表示制御機能156は、第一の領域701を表す図形を当該分割位置で分割し、分割した複数の図形を、分割された組織切片60に対応する組織画像61上の複数の組織領域62bd,62beにそれぞれ重畳して表示させる。
【0182】
また、この場合、連結拡大画像生成部は、組織領域62bdと組織領域62beのうち、第一の領域701a,701bに含まれる部分が分割位置で結合した状態を表す連結拡大画像660を生成する。具体的には、連結拡大画像生成部は、組織領域62bdと組織領域62beとを分割位置で隣接させた連結拡大画像660を生成する。
【0183】
そして、本実施形態の表示制御機能156は、連結拡大画像660をディスプレイ140に表示させる。
【0184】
本実施形態の情報処理装置100によれば、第一の領域701に組織切片60の分割位置が含まれる場合に、第一の領域701に含まれる複数の組織切片60が分割位置で結合した状態を表す連結拡大画像660を表示させることにより、第一の領域701が組織画像61における組織切片60の分割位置を含む場合でも、複数の組織切片60が分割位置で結合した状態をユーザが把握することができる。
【0185】
(第7の実施形態)
この第7の実施形態では、情報処理装置100は、組織切片60が分割されていた場合に、組織画像61から、各組織領域62の分割位置が隣接するように配置された連結組織画像を生成する。
【0186】
本実施形態の情報処理装置100の処理回路150は、第5の実施形態と同様の構成に加えて、連結組織画像生成機能を備える。連結組織画像生成機能は、連結組織画像生成部の一例である。
【0187】
図36は、第7の実施形態に係る連結組織画像67の一例を示す図である。図36に示すように、連結組織画像生成機能は、分割有無判定機能158によって判定された分割有無に基づいて、分割された組織領域62bdと組織領域62beとの分割位置が隣接するように結合することにより、連結組織領域62bdeを生成する。また、連結組織画像生成機能は、組織画像61に含まれる他の分割された組織領域62についても、分割位置が隣接するように結合する。
【0188】
なお、本実施形態の表示制御機能156は、第一の領域701を表す図形を連結組織画像67上に表示させると共に、第二の領域702を表す図形を検体画像51上に表示させてもよい。第一の領域701を表す図形および第二の領域702を表す図形は、例えば図32と同様の矩形とする。
【0189】
また、本実施形態の表示制御機能156は、連結組織画像67のサイズと、検体画像51の連結組織画像67に対応する箇所のサイズが略一致するように、ディスプレイ140に表示させる。このようにディスプレイ140に表示させる際の大きさを揃えることにより、検体画像51に描出された検体5と連結組織画像67に描出された組織切片60との対応関係を、ユーザが把握しやすくなる。
【0190】
(第5~第7の実施形態の変形例)
また、情報処理装置100の処理回路150は、さらに、ユーザにより指定された注目位置を補正する補正機能を備えてもよい。補正機能は、補正部の一例である。
【0191】
図37は、第5~第7の実施形態の変形例に係る組織画像61上の注目位置の補正の一例を示す図である。組織画像61上において、組織領域62から外れた位置が注目位置(第二の位置71)としてユーザに指定された場合、修正機能は、指定された注目位置の最近傍の組織領域62上の位置に注目位置を移動させる。あるいは、図37に示すように、ユーザに指定された注目位置が分割位置の近傍である場合、修正機能は、組織切片60が分割されなければ連続していた組織領域62上の位置に注目位置を移動させる。
【0192】
図38は、第5~第7の実施形態の変形例に係る検体画像51上の注目位置の補正の一例を示す図である。検体画像51上において、切り出し線53上から外れた位置が注目位置としてユーザに指定された場合には、修正機能は、指定された注目位置の最近傍の切り出し線53上の位置に注目位置を移動させる。
【0193】
本変形例の情報処理装置100によれば、このように注目位置を補正することにより、ユーザが操作に不慣れであっても、診断等のための適切な位置に注目位置を設定させることができる。
【0194】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0195】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、組織画像に描出された組織切片と検体画像上の切り出し位置との対応関係を高精度に特定することができる。
【0196】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0197】
5 検体
6 組織標本
51 検体画像
53,53a~53e 切り出し線
60,60a~60e 組織切片
61 組織画像
62,62a~62z,62aa~62az,62ba~62bi 組織領域
62bde,62bfg,62bhi 連結組織領域
67 連結組織画像
71 第二の位置
72 第一の位置
100 情報処理装置
110 NWインタフェース
120 記憶回路
130 入力インタフェース
140 ディスプレイ
150 処理回路
151 検体画像取得機能
152 組織画像取得機能
153 切り出しサイズ特定機能
154 組織領域サイズ特定機能
155,155a 対応付け機能
156 表示制御機能
157 受付機能
158 分割有無判定機能
159 対応領域特定機能
201 検体画像保管装置
202 組織画像保管装置
300 ネットワーク
401 第一の撮影装置
402 第二の撮影装置
510 検体領域
570 第二の拡大画像
660 連結拡大画像
670 第一の拡大画像
701,701a,701b 第一の領域
702 第二の領域
S 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38