(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076326
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】半導体発光装置及び半導体発光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20230525BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230525BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189685
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 圭真
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸治
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 直史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA14
5F142AA63
5F142AA66
5F142AA75
5F142BA02
5F142BA32
5F142CB03
5F142CB13
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD47
5F142DA13
5F142DA61
5F142DA73
5F142DB17
5F142DB18
5F142FA23
5F142GA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光素子の側面に個別の被覆部材を設けることなく、発光素子からの出射光及び波長変換部材からの出射光に対する遮光特性が高く、信頼性に優れた発光装置を提供する。また、複数の発光装置の近接配置が可能で、発光装置間の遮光に優れ、クロストークが抑制され、信頼性に優れた発光モジュールを提供する。
【解決手段】p電極及びn電極が基体上に設けられた配線基板12と、p電極及びn電極に接続されたp型半導体層及びn型半導体層を含み、配線基板上に貼り合わされた発光機能層20と、板形状を有する透光性光学体51の側面に設けられるとともに、透光性光学体の裏面の周縁部上に覆い被さって周縁部上に環状の枠体部が形成された遮光膜55を有する透光性光学素子50と、発光機能層が枠体部内側の凹部内に挿入されるように透光性光学素子を配線基板の上面に接着している接着層35と、を備えている。凹部内は前記接着層によって充填されている。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p電極及びn電極が基体上に設けられた配線基板と、
前記p電極に接続されたp型半導体層、発光層及び前記n電極に接続されたn型半導体層を含み、前記配線基板上に貼り合わされた発光機能層と、
板形状を有する透光性光学体の側面に設けられるとともに、前記透光性光学体の裏面の周縁部上に覆い被さって前記周縁部上に環状の枠体部が形成された遮光膜を有する透光性光学素子と、
前記発光機能層が前記枠体部内側の凹部内に挿入されるように前記透光性光学素子を前記配線基板の上面に接着している接着層と、を備え、
前記凹部内が前記接着層によって充填されている、半導体発光装置。
【請求項2】
前記p電極及びn電極のうち少なくとも一方は前記透光性光学素子が接着された前記配線基板の面上に設けられている、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記遮光膜の前記枠体部の少なくとも一部が前記配線基板の前記上面に接触している、請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記遮光膜は、前記透光性光学体の側面の全体にわたって設けられている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記透光性光学素子の側面の少なくとも一部が前記配線基板の側面よりも張り出している、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記透光性光学素子は矩形注形状を有し、前記透光性光学素子の側面のうち3側面が前記配線基板の側面よりも張り出している、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記発光機能層は前記配線基板側の面に反射層を有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記透光性光学素子は波長変換素子である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の半導体発光装置を複数備えた半導体発光モジュールであって、
前記透光性光学素子の側面が互いに隣接して配置された2つの前記半導体発光装置を有する、半導体発光モジュール。
【請求項10】
前記透光性光学素子の側面が互いに接触して配置された2つの前記半導体発光装置を有する、請求項98に記載の半導体発光モジュール。
【請求項11】
前記2つの前記半導体発光装置は互いに発光色が異なる、請求項9又は10に記載の半導体発光モジュール。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の半導体発光装置を複数備えた半導体発光モジュールであって、
各接続系統が、前記透光性光学素子の側面が互いに隣接して配置されるとともに、直列接続された2つの前記半導体発光装置からなる複数の直列接続系統を有する半導体発光モジュール。
【請求項13】
前記複数の直列接続系統は、前記複数の直列接続系統の前記半導体発光装置が互いに隣接してマトリクス配置されている、請求項12に記載の半導体発光モジュール。
【請求項14】
前記複数の直列接続系統は接続系統毎に発光色が異なる、請求項12又は13に記載の半導体発光モジュール。
【請求項15】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の半導体発光装置を複数備えた半導体発光モジュールであって、
4つの前記半導体発光装置が2×2マトリクス配置され、対角位置に配置されている1対の前記半導体発光装置と、対角位置に配置されている他の対の前記半導体発光装置とはそれぞれが直列接続されて2つの直列接続系統を有する、半導体発光モジュール。
【請求項16】
前記2つの直列接続系統は互いに発光色が異なる、請求項15に記載の半導体発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置及び半導体発光モジュール、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を有する半導体発光装置及び半導体発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力化や配光制御のため、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を複数デバイス内に配置して用いることが行われている。
【0003】
例えば、自動車用ヘッドライトにおいて、走行環境に合わせて配光を制御する配光可変型のヘッドランプ(ADB: Adaptive Driving Beam)が知られている。また、高出力の照明用LEDパッケージや、LEDを高密度に配置した情報通信機器用のLEDパッケージなどが知られている。
【0004】
しかし、一般に、複数の半導体発光素子が並置された半導体発光装置において、導通されている素子から放出された光の一部が非導通状態の素子に伝播することがあった。このような漏れ光や光のクロストークは、複数の半導体発光素子を配置して用いる様々な応用分野において問題であった。
【0005】
例えば、特許文献1には、原子層堆積法による光反射層によって基板及び発光素子の側面を被覆した半導体発光装置が開示されている。また、特許文献2には、半導体積層体の側面を覆う反射部材を有し、当該反射部材が第1絶縁体膜及び誘電体多層膜(DBR)よりなる第2絶縁体膜を有する発光素子について開示されている。
【0006】
特許文献3には、光透過部材、光透過部材に接合された発光素子、及び発光素子表面から光透過部材表面まで延在して設けられた導光部材を有する発光装置が開示されている。
【0007】
特許文献4には、発光素子と、光透過部材と、光反射性材料を含有し、少なくとも光透過部材の側面を被覆する被覆部材とを有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-225862号公報
【特許文献2】特開2015-119063号公報
【特許文献3】特開2010-219324号公報
【特許文献4】特許2010-219324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従来の発光装置においては、波長変換部材及び発光素子の側面に被膜が設けられ、又は、波長変換部材及び発光素子の側面に導光部材が設けられていた。このような発光装置においては、発光装置の実装時における加熱又は使用環境下における熱履歴などによって、発光素子の側面の被膜又は発光素子と波長変換部材の接合部の側面の被膜の剥離やクラックが生じることがある。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、発光素子の側面に個別の被覆部材を設けることなく、発光素子からの出射光及び波長変換部材からの出射光に対する遮光特性が高く、信頼性に優れた発光装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、複数の発光装置の近接配置実装及び接触配置実装が可能で、発光装置間の遮光に優れ、クロストークが抑制され、信頼性に優れた発光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1実施形態による半導体発光装置は、
p電極及びn電極が基体上に設けられた配線基板と、
前記p電極に接続されたp型半導体層、発光層及び前記n電極に接続されたn型半導体層を含み、前記配線基板上に貼り合わされた発光機能層と、
板形状を有する透光性光学体の側面に設けられるとともに、前記透光性光学体の裏面の周縁部上に覆い被さって前記周縁部上に環状の枠体部が形成された遮光膜を有する透光性光学素子と、
前記発光機能層が前記枠体部内側の凹部内に挿入されるように前記透光性光学素子を前記配線基板の上面に接着している接着層と、を備え、
前記凹部内が前記接着層によって充填されている、半導体発光装置
本発明の他の実施形態による半導体発光モジュールは、
上記半導体発光装置を複数備えた半導体発光モジュールであって、
前記透光性光学素子の側面が互いに隣接して配置された2つの前記半導体発光装置を有している。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態による半導体発光モジュールは、
上記半導体発光装置を複数備えた半導体発光モジュールであって、
各接続系統が、前記透光性光学素子の側面が互いに隣接して配置されるとともに、直列接続された2つの前記半導体発光装置からなる複数の直列接続系統を有している。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態による半導体発光モジュールは、
上記半導体発光装置を複数備えた半導体発光モジュールであって、
4つの前記半導体発光装置が2×2マトリクス配置され、対角位置に配置されている1対の前記半導体発光装置と、対角位置に配置されている他の対の前記半導体発光装置とはそれぞれが直列接続されて2つの直列接続系統を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10の上面を模式的に示す上面図である。
【
図1C】
図1Bに対応し、半導体発光装置10の構成を示す分解断面図である。
【
図2】半導体発光装置10の裏面を模式的に示す平面図である。
【
図3A】遮光膜55の一例の断面を示すSEM像である。
【
図3B】遮光膜55の上端部及びリム部55Rを拡大して示すSEM像である。
【
図3C】他の例の遮光膜55の断面を示すSEM像である。
【
図4A】遮光膜55の誘電体多層膜の各層の膜厚を示すグラフである。
【
図4B】誘電体多層膜を有する遮光膜55の反射率の波長依存性を示すグラフである。
【
図5A】LED11の構造の一例を示す上面図である。
【
図5B】
図5Aに示す線A-Aに沿った断面を示す断面図である。
【
図6A】本発明の第2の実施形態による半導体発光モジュール60を示す上面図(上段)及び側面図(下段)である。
【
図6B】半導体発光モジュール60の実装形態の一例を示す斜視図である。
【
図7A】半導体発光モジュール60の内部構成を示す平面図(上段)、及び当該平面図に示す線A-Aに沿った断面を示す断面図(下段)である。
【
図7B】モジュール基板61の2つの配線層の配線(上段及び下段)を模式的に示す平面図である。
【
図8A】本発明の第3の実施形態による半導体発光モジュール70の内部構造を示す上面図(上段)及び側面図(下段)である。
【
図8B】
図8Aに示す線A-Aに沿った断面を模式的に示す断面図である。
【
図9A】本発明の第4の実施形態による半導体発光モジュール80を示す上面図である。
【
図9B】半導体発光モジュール80の内部構造を示す平面図(上段)及び当該平面図に示す線A-Aに沿った断面を示す断面図(下段)である。
【
図9C】モジュール基板81の上面配線層81A,埋設配線層81Bの配線を模式的に示す平面図である。
【
図10A】半導体発光装置10A1,10A2の接続形態を模式的に示す図である。
【
図10B】半導体発光装置10B1,10B2の接続形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1Aは、本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10の上面を模式的に示す上面図である。
図1Bは、
図1AのA-A線に沿った断面を示す断面図である。また、
図1Cは、
図1Bに対応し、半導体発光装置10の構成を示す分解断面図である。
【0018】
図1A、
図1B及び
図1Cに示すように、半導体発光装置10は、発光素子であるLED(発光ダイオード)11と透光性光学素子である波長変換素子50とを有している。波長変換素子50はLED11上に透光性の接着層35によって接着されている。
【0019】
図1Cに示すように、LED11は、配線基板(サブマウント)12と、発光機能層20とを有している。配線基板12は、支持基板12Aと、支持基板12A上に形成された発光機能層20と、陽極(アノード)16A及び陰極(カソード)16Bとを有している。LED11からは出射光LEが出射される。支持基板12Aは、例えばSi(シリコン)であって、LED11からの出射光に対して不透明である。
【0020】
発光機能層20は、p型半導体と、n型半導体層と、p型半導体層及びn型半導体層間に設けられて発光層とを有している。発光機能層20は、p-電極及びn-電極を有していてもよい。例えば、発光機能層20の底面側に反射性の電極が設けられていてもよく、又は反射層が設けられていてもよい。あるいは、反射性の接合部材によって支持基板12に接合されていてもよい。また、発光機能層20は、支持基板12のアノード16A及びカソード16Bに電気的に接続されている。
【0021】
波長変換素子50は、板形状を有する波長変換体51と、波長変換体51の側面に設けられた遮光膜55とを有している。本実施形態においては、遮光膜55は波長変換体51の側面の全体にわたって設けられている。しかし、遮光膜55は波長変換体51の側面の少なくとも一部、すなわち遮光したい側面部分に設けられていてもよい。
【0022】
なお、以下においては、LED11上に設けられる透光性光学素子として波長変換素子50を例に説明するが、これに限られない。波長変換体51の代わりに透光性光学体51と、透光性光学体51の側面に設けられた遮光膜55とを有する透光性光学素子50に適用することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、波長変換素子50が矩形柱形状を有する場合を例に説明する。しかしながら、波長変換素子50の形状はこれに限定されない。例えば、波長変換素子50は、多角柱形状、円柱形状(長円柱形状を含む)等の形状を有していてもよい。
【0024】
図1Cに示すように、LED11の発光機能層20から出射される出射光LEは、接着層35を透過し、波長変換体51の裏面51B(すなわち、発光機能層20側の面)から波長変換体51に入射する。
【0025】
LED11の出射光LEは、例えば青色光である。LED11の出射光LEの一部は、波長変換体51を通過する際に、例えば黄色光に波長変換される。そして、波長変換体51からは、当該黄色光と、波長変換体51を透過した青色光との混色光である白色光が波長変換体51の上面51Sから出射される(出射光LM)。
【0026】
なお、LED11の出射光LEは青色光に限らず、赤色、緑色等の可視光帯域の光、紫外光、赤外光等の可視光帯域外の光であってもよい。
【0027】
遮光膜55は,波長変換体51の裏面51Bの周縁部上に覆い被さるように形成され、裏面51Bから突き出た枠体部(以下、リム部という。)55Rを有している。すなわち、リム部55Rは、波長変換体51の裏面51Bの周縁部上に矩形環状の枠体として形成されている。
【0028】
そして、
図1Bに示すように、遮光膜55の環状のリム部55Rの底部55Bは、LED11の配線基板12の上面に接するように接着層35によって接着されている。すなわち、リム部55Rの内側に形成された凹部55S内に発光機能層20が挿入され、凹部55S内は接着層35によって充填されている。
【0029】
なお、リム部55Rは配線基板12の上面に接しておらず、リム部55Rの底部55Bと配線基板12の上面との間に間隙があってもよい。この場合でも、発光機能層20は接着層35に埋設されている。なお、リム部55Rの少なくとも一部が配線基板12の上面に接していることが好ましい。また、リム部55Rの全体が配線基板12の上面に接していることが遮光性の点で最も好ましい。
【0030】
図2は、半導体発光装置10の裏面を模式的に示す平面図である。本実施形態において、波長変換素子50の3つの側面は配線基板12よりも張り出すように配線基板12上に設けられている。
【0031】
複数の半導体発光装置10を隣接又は接触配置する発光モジュールの場合、波長変換素子50の側面のうち、少なくとも1つの側面又は側面の一部が配線基板12の側面よりも張り出していることが好ましい。波長変換素子50が矩形柱形状を有する場合には、3つの側面が配線基板12の側面よりも張り出していることが最も好ましい。例えば、基板12の側面より張り出した波長変換素子50の部分によって隣接する発光装置10の配線基板12は、相互に離間するので短絡することがない。
【0032】
図3Aは、遮光膜55の一例の断面を示すSEM(走査型電子顕微鏡)像である。
図3Bは、遮光膜55の上端部及びリム部55Rを拡大して示すSEM像である。また、
図3Cは他の例の遮光膜55の断面を示すSEM像である。
【0033】
ここで、遮光膜55は、Al2O3膜及びTiO2膜を交互に積層した誘電体多層膜として形成した。遮光膜55は、ガスソースMBE(Molecular Beam Epitaxy)装置を用い、原子層エピタキシ(ALE:Atomic Layer Epitaxy)法により形成した。また、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法によっても形成できる。
【0034】
図4Aは、遮光膜55の誘電体多層膜の各層の膜厚を示すグラフである。下地層として厚い層(200nm)を成膜し、その上に反射膜として機能するAl
2O
3膜(Aj:j=1,2,・・・)及びTiO
2膜(Bj:j=1,2,・・・)を交互に積層し、誘電体多層膜を形成した。なお、遮光膜55に入射する光の波長域で遮光特性の角度依存性が小なるようにAl
2O
3膜及びTiO
2膜の各膜厚を変化させた。すなわち、λ/4(λ:媒質内波長)に対応する膜厚に対して膜厚を変調させたAl
2O
3膜及びTiO
2膜が含まれる多層膜を採用した。なお、遮光膜55の総厚は、4.7μmであった。
【0035】
図4Bは、上記した誘電体多層膜を有する遮光膜55の反射率の波長依存性を、光の入射角をパラメータとして計算した結果を示している。可視光帯域において、角度依存性が小さく高い反射率が得られることが理解される。
【0036】
なお、遮光膜55は、Al2O3膜及びTiO2膜がそれぞれλ/4に対応する膜厚を有する膜を交互に積層した誘電体多層膜を用いてもよい。
【0037】
図3Aを参照すると、波長変換体51の平坦な側面上に平坦で均一な層構造を有する遮光膜55がしっかりと付着して形成されていることが分かる。また、
図3Bに示すように、遮光膜55の上端部においても、遮光膜55が平坦で均一な層構造を有していることが確認された。また、遮光膜55が波長変換体51の底面の周縁部上に乗り上げて形成され、遮光膜55の下端部に多層膜からなるリム部55Rが形成されていることが確認された。
【0038】
図3Cは、他の例の遮光膜55の断面を示すSEM像である。
図3Bと同様に、遮光膜55の上端部及びリム部55Rを拡大したSEM像が示されている。当該他の例の遮光膜55においては、波長変換体51の側面はうねった凹凸を有しており、
図3Bに示した波長変換体51よりも側面の平坦性は低い。しかしながら、波長変換体51の側面上に遮光膜55がしっかりと付着して形成されていることが分かる。また、遮光膜55の層構造に幾らかのうねりが有っても遮光膜として十分に機能する。さらに、遮光膜55の下端部に多層膜からなるリム部55Rが形成されていることが確認された。
【0039】
かかる構成により、LED11の発光機能層20から出射される光のうち、発光機能層20の側面方向(横方向)に出射される光は、リム部55Rによって遮光され、外部への出射が防止される。また、波長変換体51の内部で導波される光も遮光膜55によって遮光される。したがって、半導体発光装置10においては、波長変換体51の上面51Sのみから光が出射される(出射光LM)。
【0040】
また、発光機能層20は、配線基板12と波長変換素子50とによって保護されている。また、発光機能層20は、接着層35によって気密封止されている。
【0041】
なお、遮光膜55は,例えば誘電体多層膜又は遮光性のセラミック膜によって形成することができる。遮光膜55に用いられる誘電体多層膜としては、例えばAl2O3,TiO2,SiO2,Ta2O5,Nb2O5の2つ以上からなる多層膜を用いることができるが、これに限定されず、種々の膜を交互に積層した遮光性又は反射性の多層膜を用いることができる。
【0042】
或いは、遮光膜55としてセラミック膜を用いる場合には、例えばアルミナ、ジルコニア、窒化アルミ、窒化ケイ素を材料とした膜を用いることができる。
【0043】
また、波長変換体51の母材としては、アルミナ、ガラス、アルミガーネット等を用いることができ、蛍光体としては、YAG:Ce、GYAG:Ce、LuAG:Ce、α―サイアロン、β―サイアロン、CASN、SCASN等を用いることができる。
【0044】
以上、説明したように、半導体発光装置10においては、発光機能層20よりも僅かに大きいサイズの波長変換素子50をLED11上に接着している。また、LED11に電力供給がなされる電極は支持基板12Aの上面及び/又は下面上に設けられている。従って、波長変換素子50よりも僅かに大きいサイズを有し、側方への光の放射が防止された高い遮光性を有する半導体発光装置10を実現することができる。
【0045】
[LED11の構造]
図5Aは、LED11の構造の一例を示す上面図であり、
図5Bは、
図5Aに示す線A-Aに沿った断面を示す断面図である。
【0046】
発光機能層20には、いわゆるシンフィルムLED(thin-film LED)層が用いられている。より具体的には、発光機能層20は、成長基板上にエピタキシャル成長したLED構造を有する半導体積層体(シンフィルムLED)を成長基板から取り外した構成を有している。取り外した発光機能層20は、配線基板12に貼り合わされる。
【0047】
より詳細には、発光機能層20は、n型半導体層21、発光層22及びp型半導体層23を有している。また、発光機能層20は、p型半導体層23上に設けられた反射性のp-電極25Aと、n型半導体層21上に設けられたn-電極25Bとを有している。
【0048】
反射性のp-電極25Aは、例えば透光性導電膜のITO(インジウムスズ酸化物)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)及びAg(銀)反射膜がp型半導体層21上にこの順で形成されたITO/Ni/Pt/Ag層などを用いることができる。また、n-電極25Bは、Ti(チタン)及びAu(金)がn型半導体層21上にこの順で形成されたTi/Au層などを用いることができる。
【0049】
なお、p-電極25A及びn-電極25Bの材料及び構造は上記したものに限定されない。光反射による取り出し効率向上、オーミック特性、素子信頼性、寿命などの特性を考慮して適宜選択し得る。
【0050】
発光機能層20は、発光機能層20の中央部にp型半導体層23の表面からn型半導体層21の内部に達するビア26Vを有している。n-電極25Bは、ビア26Vに露出する型半導体層21上に設けられている。なお、ビア26Vの内壁及び発光機能層20の側面は保護膜27によって被覆されている。
【0051】
なお、n型半導体層21及びp型半導体層23は、それぞれ少なくとも1つの半導体層からなり、障壁層、電流拡散層、コンタクト層など、特性向上等の設計に応じた種々の半導体層を有していてもよい。
【0052】
配線基板12は、導電性の支持基板12Aと、支持基板12Aの表面及び裏面にそれぞれ形成されたアノード16A及びカソード16Bとを有している。支持基板12Aとしてn型半導体であるSiが用いられている。
【0053】
より詳細には、支持基板12A上に、SiO
2からなる層間絶縁膜14が形成されている。層間絶縁膜14上には、p-配線電極16が形成されている。p-配線電極16は絶縁膜でありSiO
2からなる基板保護膜15によって被覆されている。
図5A、
図1A及び
図1Bに示すように、基板保護膜15は、波長変換素子50が載置される領域の外側において開口を有し、p-配線電極16上に設けられたパッド電極であるアノード16Aが当該開口から露出している。すなわち、アノード16Aは、波長変換素子50の載置領域よりも張り出した配線基板12の上面に設けられている。
【0054】
また、基板保護膜15は、発光機能層20の底面のp-電極25Aに対応した矩形状の開口を有し、当該矩形状の開口からはp-配線電極16が露出し、発光機能層20のp-電極25Aに接合されている。
【0055】
また、基板保護膜15は、発光機能層20のビア26Vに対応する円形状の開口を有している。当該円形状の開口からは支持基板12Aが露出し、当該露出部上にはオーミック電極であるn-配線電極18Bが形成されている。
【0056】
発光機能層20のp-電極25Aは、配線基板12のp-配線電極16に接合層26Aによって接合されている。また、発光機能層20のn-電極25Bは、支持基板12A上のn-配線電極18Bに接合層26Bによって接合されている。すなわち、発光機能層20は、発光機能層20の底面側にp-電極及びn-電極を有し、いわゆるp-サイドダウンで配線基板12に実装されている。
【0057】
[第2の実施形態]
図6Aは、本発明の第2の実施形態による半導体発光モジュール60を示す上面図(上段)及び側面図(下段)である。
【0058】
半導体発光モジュール60は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)多層セラミック基板であるモジュール基板61と、半導体発光装置10と同一の構造を有する2つの半導体発光装置10A及び10B(これらを特に区別しない場合には、半導体発光装置10という。)とを有している。
【0059】
モジュール基板61上には、枠体62が設けられ、枠体62の内側に半導体発光装置10A及び10Bが実装されている。半導体発光装置10A及び10Bの側面が互いに隣接して配置されている。なお、半導体発光装置10A及び10Bは、波長変換素子50の側面が互いに接触して配置されていてもよい。また、枠体62と、半導体発光装置10A及び10Bとの間の空間は被覆部材63で充填されている。
【0060】
なお、半導体発光装置10A及び10Bは、同一の発光色の発光装置であってもよく、あるいは互いに異なる発光色の発光装置であってもよい。また、枠体62の内側には保護素子が設けられていてもよい。
【0061】
また、半導体発光装置10A及び10Bは遮光膜55によって遮光されているので、必ずしも被覆部材63は設けられていなくともよい。半導体発光装置10A及び10Bの保護又は装置の見栄え等のために設けられる場合には、例えば透光性、白色又は黒色等の被覆部材を適宜選択して用いることができる。
【0062】
モジュール基板61は、上面配線層(第1配線層)61Aと、埋設配線層(第2配線層)61Bと、基板の底面に設けられたモジュール接合層61Cとを有している。また、モジュール基板61上には、半導体発光装置10A及び10Bに電気的に接続された第1端子69A及び第2端子69B(これらを特に区別しない場合には、端子69という。)が設けられている。第1端子69A及び第2端子69Bは、例えば、それぞれアノード及びカソードである。
【0063】
以下に、半導体発光モジュール60の構成部材について詳細に説明する。モジュール基板61は、基材として、例えばアルミナ、ジルコニア又は窒化アルミを用いることができる。また、配線材としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)を用いることができる。表面配線材としては、例えばニッケル/金(Ni/Au)を用いることができる。モジュール接合層61Cとしては、例えばタングステン/ニッケル/金(W/Ni/Au)を用いることができる。なお、半導体発光モジュール60をヒートシンク又は配線基板上に接着剤で接着する場合には、モジュール接合層61Cを設ける必要はない。
【0064】
枠体62には、例えばシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂を用いることができる。枠体62を白色とする場合には、例えば酸化チタン粒子又はアルミナ粒子をシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂等に含ませ、黒色とする場合には、例えば黒酸化チタン、黒アルミナ又はカーボンブラック等を含ませることができる。なお、増粘剤、チクソ剤を含ませてもよい。
【0065】
図6Bは、半導体発光モジュール60の実装形態の一例を示す斜視図である。半導体発光モジュール60は、ヒートシンク110上に伝熱性接着剤112を用いて実装されている。また、半導体発光モジュール60の端子69は、回路基板113の配線114とリボン配線115で接続されている。
【0066】
このように、半導体発光モジュール60は、モジュール基板61を直接ヒートシンクに実装することができ、優れた放熱性を有する。また、半導体発光モジュール60の第1端子69A,第2端子69Bと回路基板113の配線をリボン配線115(例えば銅リボン、金リボン)で結線することができるので、リボン配線115による放熱も可能である。また、枠体62、被覆部材63、波長変換素子50を透光性のフッ素樹脂で被覆することによって、腐食性の雰囲気ガスから保護することもできる。
【0067】
図7Aは、半導体発光モジュール60を上面から見た図であって内部構成を示す平面図、及び当該平面図に示す線A-Aに沿った断面を示す断面図である。なお、説明及び理解の容易さのためそれぞれ上段及び下段に並べて示す。また、
図7Bは、モジュール基板61の2つの配線層の配線(上面配線層61A及び埋設配線層61B)を模式的に示す平面図である。また、被覆部材の図示を省略している。
【0068】
図7A及び
図7Bに示すように、モジュール基板61の上面配線層61Aは、半導体発光装置10A及び10Bがそれぞれ載置される載置配線65A,65Bと、中継配線66と、端子配線64A.64Bとを有している。
【0069】
半導体発光装置10A及び10Bのアノード16Aはボンディングワイヤにより中継配線66に接続され、カソード16Bは接合層によって載置配線65A,65Bに接続されている。したがって、半導体発光装置10A及び10Bは、端子配線64A.64B間に直列に接続されている。端子配線64A及び64Bはそれぞれ第1端子69A及び第2端子69Bに接続されている。
【0070】
なお、半導体発光モジュール60には、保護素子67が設けられている。保護素子67には、例えばツェナーダイオード、バリスタ又はコンデンサを用いることができる。
【0071】
モジュール基板61は、上面配線層61Aの下面側に設けられた埋設配線層61Bを有している。埋設配線層61Bは、埋設配線68を有している。上面配線層61Aの載置配線65A,65B(特に区別しないときは、載置配線65という。)と、中継配線66及び端子配線64A.64Bは、ビア配線61Vを介して埋設配線層61Bの埋設配線68に接続されている。
【0072】
かかる構成によれば、半導体発光装置10A及び10Bが互いに隣接して配置され、又は互いに接触して配置されるとともに、半導体発光装置10A及び10B間の遮光に優れ、クロストークが抑制された半導体発光モジュールを提供することができる。
【0073】
また、波長変換素子の周囲に遮光性の部材等を配置せずに、出光面のコントラストが高い半導体発光モジュールを提供することができる。また、コンパクトに半導体発光装置が配列された半導体発光モジュールを提供することができる。
【0074】
[第3の実施形態]
図8Aは、本発明の第3の実施形態による半導体発光モジュール70の内部構造を示す上面図(上段)及び側面図(下段)である。
【0075】
第2の実施形態の半導体発光モジュール60においては、半導体発光装置10が1行2列に配置されていたが、半導体発光モジュール70においては、半導体発光装置10が3行2列に配列されて構成されている。なお、被覆部材の図示を省略している。
【0076】
より詳細には、半導体発光モジュール70には、枠体62の内側に半導体発光装置10(m,n)がマトリクス配列されている(m=3,n=2)。半導体発光装置10(1,1)及び10(1,2)が第1行として配置されている。半導体発光モジュール70のモジュール基板71には、半導体発光モジュール60のモジュール基板61と同様な配線接続が3系統、互いに電気的に独立して並列に設けられている。
【0077】
より詳細には、半導体発光装置10(1,1)及び10(1,2)のアノード16A(図示しない)はボンディングワイヤにより中継配線66に接続され、中継配線66は埋設配線68に接続されている。したがって、半導体発光装置10(1,1)及び10(1,2)は端子配線64A1.64B1間に直列に接続されている。そして、半導体発光装置10(1,1)及び10(1,2)は、第1系統L1を構成している。
【0078】
また、第2行の半導体発光装置10(2,1)及び10(2,2)、第3行の半導体発光装置10(3,1)及び10(3,2)も同様である。すなわち、第2系統L2の半導体発光装置10(2,1)及び10(2,2)は、端子配線64A2.64B2間に直列に接続されている。また、第3系統L3の半導体発光装置10(3,1)及び10(3,2)は、端子配線64A3.64B3間に直列に接続されている。つまり、第1系統L1、第2系統L2及び第3系統L3はそれぞれ独立に発光制御することができる。
【0079】
したがって、各系統別に通電制御することで、発光パターン及び光量を調節することができる。また、系統毎に発光色の異なる半導体発光装置10を設けることによって系統毎に発光色を異ならせることもできる。
【0080】
図8Bは、
図8Aに示す線A-Aに沿った断面を模式的に示す断面図である。すなわち、第1系統L1の半導体発光装置10(1,1)及びこれに隣接して配置された第2系統L2の半導体発光装置10(2,1)を横切る断面を模式的に示している。
【0081】
半導体発光装置10(1,1)及び半導体発光装置10(2,1)は接合層73によって載置配線65に接合され、互いに隣接して配置されている。より具体的には、半導体発光装置10(1,1)及び10(2,1)は200μm以下の狭ギャップで近接して配置されている。
【0082】
なお、半導体発光装置10(1,1)及び10(2,1)は20~200μmの狭ギャップで配置されていてもよい。さらに、100μm以下の狭ギャップで、又は50μm以下のさらなる狭ギャップで近接して、あるいは接触して(ギャップ=0)で配置されていてもよい。
【0083】
なお、本明細書において、近接配置とは、半導体発光装置10を狭い間隙(200μm以下)で離間して配置する場合をいう。
【0084】
かかる構成によれば、波長変換素子50の遮光被膜55が横方向の長波長光WL及び短波長光WSにかかわらず光洩れが防止される。また、各系統毎に通電した際に隣接する発光装置が疑似発光することによる光滲みを防止することができる。
【0085】
また、半導体発光装置10を隣接配置した場合、隣接する半導体発光装置10の発光機能層20及び波長変換体51の間には2つの遮光被膜55が配置されることになる。例えば、1つの遮光被膜の光洩れが0.05(5%)としたとき、2つの遮光被膜55により0.0025(0.25%)まで光洩れは減衰する。また、隣接する半導体発光装置10間に遮光性(反射性又は吸収性)の被覆部材を配置することによって、更に光洩れを低減することができる。
【0086】
[第4の実施形態]
図9Aは、本発明の第4の実施形態による半導体発光モジュール80を示す上面図である。
図9Bは、半導体発光モジュール80を上面から見た図であって内部構成を示す平面図(上段)、及び当該平面図に示す線A-Aに沿った断面を示す断面図(下段)である。また、
図9Cは、モジュール基板81の上面配線層81A,埋設配線層81Bの配線を模式的に示す平面図である。
【0087】
図9A及び
図9Bを参照すると、半導体発光モジュール80には、モジュール基板81上の枠体62の内側に、4つの半導体発光装置10A1,10B1,10A2,10B2が設けられている。より詳細には、4つの半導体発光装置10A1,10B1,10A2,10B2は、互いに隣接して2×2のマトリクス状に配列されている。
【0088】
対角位置に配置されている1対の半導体発光装置10A1及び10A2は第1の発光色、例えば白色光を出射し、対角位置に配置されているもう1対の半導体発光装置10B1及び10B2は第2の発光色、例えばアンバー色(橙色)光を出射する。
【0089】
半導体発光装置10A1,10A2(第1の発光色の半導体発光装置)は載置配線85A上に載置されている。半導体発光装置10A1,10A2のアノード16Aはボンディングワイヤにより中継配線86Aに接続され、カソード16Bは接合層によって載置配線85Aに接続されている。
【0090】
他の対の半導体発光装置10B1及び10B2(第2の発光色の半導体発光装置)についても同様であり、半導体発光装置10B1及び10B2は、載置配線85B上に載置され、アノード16Aはボンディングワイヤにより中継配線86Bに接続され、カソード16Bは接合層によって載置配線85Bに接続されている。
【0091】
なお、
図9Bに示すように、半導体発光モジュール80の第1~第4の端子69A1,69B1,69A2,69B2(破線で示す)が上面配線層81Aの端子配線64A1,64B1,64A2,64B2上に設けられている。
【0092】
図9Cは、モジュール基板81の埋設配線層81Bの埋設配線88A,88Bを示す図である。上面配線層81Aの配線との位置関係が分かり易いように、上面配線層81Aの載置配線85A,85B及び中継配線86A,86B(破線)を重ねて示している。
【0093】
上面配線層81Aの載置配線85A,85Bと、中継配線86A,86B及び端子配線64A1,64B1,64A2,64B2は、ビア配線81Vを介して埋設配線層81Bの埋設配線88A,88Bに接続されている。
【0094】
図10A及び
図10Bは、理解の容易さのため、それぞれ半導体発光装置10A1,10A2の接続形態及び半導体発光装置10B1,10B2の接続形態を分離して模式的に示す図である。
【0095】
図10Aに示すように、1対の半導体発光装置10A1,10A2は埋設配線88Aによって端子配線64A1.64B1間に直列に接続されている。したがって、半導体発光装置10A1,10A2は、第1系統の接続回路を構成している。
【0096】
また、
図10Bに示すように、他の対の半導体発光装置10B1,10B2は埋設配線88Bによって端子配線64A2.64B2間に直列に接続されている。したがって、半導体発光装置10B1,10B2は、第2系統の接続回路を構成している。
【0097】
第1の発光色の系統である第1系統の接続回路と第2の発光色の系統である第2系統の接続回路とは電気的に分離されており、それぞれ独立に発光制御することができる。
【0098】
本実施形態の半導体発光モジュール80によれば、上記した第2及び第3の実施形態の半導体発光モジュールと同様な利点が得られる。すなわち、複数の発光装置の近接配置実装及び接触配置実装が可能で、発光装置間の遮光に優れ、また、隣接する半導体発光装置10が疑似発光することによる光滲みを防止することができる。
【0099】
さらに、本実施形態の半導体発光モジュール80によれば、1の発光色を有する複数の半導体発光装置と、これとは異なる発光色を有する複数の半導体発光装置とをクロス配置、すなわち市松模様上に互い違いに配置することができる。すなわち、このように配置した場合であっても、発光装置間の遮光に優れ、各半導体発光装置の発光色の偏りが抑制された半導体発光モジュールを提供することができる。
【0100】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、発光素子の側面に個別の被覆部材を設けることなく、発光素子からの出射光及び波長変換部材からの出射光を遮光する性能の高い発光装置を提供することができる。また、複数の発光装置の近接配置及び接触配置が可能で、発光装置間の遮光に優れ、クロストークの抑制された発光モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0101】
10,10A,10B,10(m,n),10A1,10B1,10A2,10B2:半導体発光装置
11:発光素子
12:配線基板
12A:支持基板
14:層間絶縁膜
15:基板保護膜
16:p-配線電極
16A:アノード
16B:カソード
18B:n-配線電極
20:発光機能層
21:n型半導体層
22:発光層
23:p型半導体層
25A:p-電極
25B:n-電極
26V:ビア
50:透光性光学素子
51:透光性光学体
55:遮光膜
55R:リム部
60,70,80:半導体発光モジュール
61,71,81:モジュール基板
61A,81A:上面配線層
61B,81B:埋設配線層
61V,81V:ビア配線
62:枠体
63:被覆部材
64,64A,64B,64A1,64B1,64A2,64B2:端子配線
65,65A,65B,85A,85B:載置配線
66,86A,86B:中継配線
67:保護素子
68,88A,88B:埋設配線
69A,69B,69A1,69B1,69A2,69B2:端子