(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076355
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
B60H1/34 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189742
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】榊原 啓介
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 秀雄
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】空気吹出口の内側に、装飾部を自由なデザイン性をもって配設し、レジスタの前面の意匠性を向上させることができるレジスタを提供する。
【解決手段】装飾部材5は、右側が開口した略U字形状の装飾を施す装飾部51を有し、左右方向の上側直線装飾部51aの左右を軸受板34、35に嵌着する上側直線装飾部材5aと、下側直線装飾部51bの左右を軸受板34、35に嵌着する下側直線装飾部材5bとを備えている。装飾部51は、上下を連結する継合装飾部51cによって、上側直線装飾部51aと下側直線装飾部51bとが連結されて、略U字形状が形成されている。装飾部材5は、他部材(操作ノブ1、リテーナ2、前可動ルーバ3及び後可動ルーバ4)とは異なる色彩の装飾が施されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に通風路を有したリテーナの下流端部に、空気吹出口が設けられ、該空気吹出口に前フィンを回動操作可能に軸支した前可動ルーバが配設されたレジスタにおいて、
該前可動ルーバは、該前フィンの両端部の支軸が、該リテーナ内に設けた両側の軸受板の軸孔に、回動可能に軸支され、
該前可動ルーバの下流側の該空気吹出口内に、装飾部材が取り付けられ、
該装飾部材は、両端部の固定軸が両側の該軸受板の取付孔に嵌着されて、取り付けられた、ことを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
両端部の前記固定軸の少なくとも一方側が、前記装飾部材から上流側に延設されたアーム部に設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ。
【請求項3】
前記固定軸が前記アーム部に設けられた側の前記軸受板に、前記通風路の内側に突出した突出部が設けられ、該突出部に、前記取付孔が設けられたことを特徴とする請求項2に記載のレジスタ。
【請求項4】
前記装飾部材は、前記前フィンの下流側で該前フィンと略平行に設けられた2本の直線装飾部と、該直線装飾部を一方の端部で継ぐ継合装飾部とを有し、
該継合装飾部の前記固定軸は、該装飾部材から上流側に延設された前記アーム部に設けられ、
該直線装飾部側の前記固定軸は、該直線装飾部の末端から突設され、
該直線装飾部側の該固定軸を固定する前記取付孔が、該前フィンを軸支する前記軸孔の下流側の前記軸受板に形成され、
該継合装飾部側の該固定軸を固定する前記取付孔は、前記突出部に形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のレジスタ。
【請求項5】
前記前可動ルーバは、前記前フィンを3枚備え、
外側の2枚の該前フィンの下流側に、該前フィンと平行に、請求項4に記載の装飾部材が形成された、ことを特徴とするレジスタ。
【請求項6】
前記直線装飾部の上流側端面に、少なくとも1つの凸状のビード形状が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、自動車室内等の換気や空調の空気吹出口に使用されるレジスタにおいて、空気吹出口の内側に、装飾部材を自由なデザイン性をもって配設し、レジスタの前面の意匠性を向上させることができるレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両室内の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するリテーナ内に、前可動ルーバと後可動ルーバを前後して且つ相互に直交方向に配設し、空気吹出口から空気を吹き出す際、前可動ルーバの前フィン、後可動ルーバの後フィンの角度を変えて、空気の吹出し方向を上下左右に調整するクロスフィン型のレジスタが、広く使用されている。
この種のレジスタとして、従来、下記特許文献1により、外枠であるベゼルの外周に沿って、ベゼルの色彩とは異なる色彩の装飾帯が配設されることによって装飾が施されたレジスタが提案されている。また、下記特許文献2により、前可動ルーバの前フィンの空気吹出口側に、メッキを施した装飾部材を接着剤で接着したレジスタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-041747号公報
【特許文献2】特開2020-090156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたレジスタは、装飾を施すことができる部位がベゼルの外周に限られるという課題があった。また、特許文献2に記載されたレジスタは、空気吹出口の内側に装飾部材が配設されているものの、装飾を施すことができる部位が前フィンに限られ、装飾部を自由なデザイン性をもって配設することができ難いという課題があった。
【0005】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、上述の点に鑑みてなされたものであり、空気吹出口の内側に、装飾部材を自由なデザイン性をもって配設し、レジスタの前面の意匠性を向上させることができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態に係るレジスタは、内側に通風路を有したリテーナの下流端部に、空気吹出口が設けられ、該空気吹出口に前フィンを回動操作可能に軸支した前可動ルーバが配設されたレジスタにおいて、
該前可動ルーバは、該前フィンの両端部の支軸が、該リテーナ内に設けた両側の軸受板の軸孔に、回動可能に軸支され、
該前可動ルーバの下流側の該空気吹出口内に、装飾部材が取り付けられ、
該装飾部材は、両端部の固定軸が両側の該軸受板の取付孔に嵌着されて、取り付けられた、ことを特徴とする。
【0007】
ここで、レジスタの前後は、調整された空気が流れる下流側が前、上流側が後を示す。本明細書の実施形態に係るレジスタによれば、前可動ルーバの下流側の空気吹出口の内側に、装飾部材が配設され、空気吹出口の内側に、装飾部を自由なデザイン性をもって配し、レジスタの前面の意匠性を向上させることができる。また、装飾部材は、両端部の固定軸が、前フィンを軸支する両側の軸受板の取付孔に嵌着されるため、前可動ルーバの組立て時に、簡単に装飾部材を組み付けることができる。
【0008】
また、上記レジスタにおいて、両端部の前記固定軸の少なくとも一方側が、前記装飾部材から上流側に延設されたアーム部に設けられた構成とすることができる。
【0009】
これによれば、固定軸の少なくとも一方側が装飾部材から後側(上流側)に延設されたアーム部に設けられている。後方に延設されたアーム部は乗員側から目につき難くなるものであり、少なくとも一方側の装飾部材の端部は、軸受板つまり空気吹出口の外周から離れていても、装飾部材を両側の軸受板の取付孔に嵌着させることができる。
【0010】
また、上記レジスタにおいて、前記固定軸が前記アーム部に設けられた側の前記軸受板に、前記通風路の内側に突出した突出部が設けられ、該突出部に、前記取付孔が設けられた構成とすることができる。
【0011】
これによれば、突出部により取付孔の位置が装飾部材の後側に入るため、固定軸とアーム部は、乗員側から視認し難くなり、装飾部材の装飾性を向上させることができる。
【0012】
また、上記レジスタにおいて、前記装飾部材は、前記前フィンの下流側で該前フィンと略平行に設けられた2本の直線装飾部と、該直線装飾部を一方の端部で継ぐ継合装飾部とを有し、
該継合装飾部の前記固定軸は、該装飾部材から上流側に延設された前記アーム部に設けられ、
該直線装飾部側の前記固定軸は、該直線装飾部の末端から突設され、
該直線装飾部側の該固定軸を固定する前記取付孔が、該前フィンを軸支する前記軸孔の下流側の前記軸受板に形成され、
該継合装飾部側の該固定軸を固定する前記取付孔は、前記突出部に形成されている、構成とすることができる。
【0013】
これによれば、2本の直線装飾部とそれらを継ぐ継合装飾部とにより、レジスタの正面からの美観を高めることができる。
【0014】
また、上記レジスタにおいて、前記前可動ルーバは、前記前フィンを3枚備え、
外側の2枚の該前フィンの下流側に、該前フィンと平行に、上記の装飾部材が形成された、構成とすることができる。
【0015】
これによれば、直線装飾部と継合装飾部とにより、レジスタの正面からの美観を高めることができる。
【0016】
また、上記レジスタにおいて、前記直線装飾部の上流側端面に、少なくとも1つの凸状のビード形状が形成されているものとすることができる。
【0017】
これによれば、装飾部材が前側から乗員などにより押圧された際に、ビード形状が前フィンの前面に当接するため、装飾部材の撓みを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書のレジスタによれば、空気吹出口の内側に、装飾部を自由なデザイン性をもって配設させて、レジスタの前面の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】前可動ルーバの左側の軸受板の右上前方からの斜視図(A)、前可動ルーバの右側の軸受板の左上前方からの斜視図(B)である。
【
図5】装飾部材の正面図(A)、その平面図(B)、その右上後方からの斜視図(C)である。
【
図6】軸受板に装飾部材を取り付けた状態の正面図(A)、前可動ルーバの正面図(B)である。
【
図7】軸受板に装飾部材を取り付けた状態の右上後方からの斜視図(A)、前可動ルーバの右上後方からの斜視図(B)である。
【
図8】部分拡大図付きの
図1のVIII-VIII線断面図である。
【
図10】前可動ルーバの風向を正面に向けた状態の
図1のX-X線断面図(A)、前可動ルーバの風向を上側に向けた状態の
図1のX-X線断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、以下、本明細書の実施形態に係るレジスタを
図1~
図10に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、実施形態で開示される範囲に限定されるものではない。実施形態に係るレジスタは、
図2及び
図3に示すように、調整された空気の吹出口としての空気吹出口6の後側のリテーナ2内に、風向等を調整するための縦可動の前可動ルーバ3と横可動の後可動ルーバ4とがそれぞれ配設されている。前可動ルーバ3を構成する3本の前フィン31の内の中央の前フィン31に、前可動ルーバ3と後可動ルーバ4を回動させて空気の吹出方向を調整する操作ノブ1が設けられている。そして、前可動ルーバ3の前側の空気吹出口6内に、装飾を施す装飾部51を有する装飾部材5が備えられている。レジスタを構成する各々の部品は、黒色系統の合成樹脂から形成され、装飾部材には黒色系統とは異なる系統の色彩が施されている。なお、本明細書において、レジスタの向きは、
図2に示すように、空気吹出口6を有する側を前とし、リテーナ2内の通風路21の空気吸入口22側を後とする。上下左右は、レジスタを前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、調整された空気の流れから、前を下流側、後ろを上流側と表現することがある。さらに、リテーナ2を基準に、内側又は外側と表現することがある。
【0021】
図2及び
図3に示すように、レジスタの筐体となるリテーナ2は、内側に通風路21を設けた略角筒状の筐体であり、前側に、ルーバ収容部23が設けられ、ルーバ収容部23に、風向等を調整するための縦可動の前可動ルーバ3と横可動の後可動ルーバ4が配設される。
【0022】
前可動ルーバ3は、3本の前フィン31を左右方向(水平方向)に、上下に間隔をおいて配置され、各前フィン31は、左右に配設した軸受板34、35に対し、両側の支軸31aを介して回動可能に保持される。各前フィン31の一端に突設された連結軸31bには、1本のリンクバー32が連結され、全ての前フィン31が同期してその向きを上下に変え得る構造となっている。中央の前フィン31には、操作ノブ1が左右に摺動可能に外嵌され、操作ノブ1に操作者が指を当てて前可動ルーバ3を上下に傾動させるとともに、左右方向にスライドさせて、後述の後可動ルーバ4を左右に傾動させるようになっている。
【0023】
図5(A)に示すように、装飾部材5は右側が開口した略U字形状の装飾を施す装飾部51を有し、装飾部51は、上側の前フィン31に沿った上側直線装飾部51aと、下側の前フィン31に沿った下側直線装飾部51bと、これらを左側の端部で継ぐ継合装飾部51cとから構成される。
【0024】
装飾部材5は、上側直線装飾部51aの左右を軸受板34、35に嵌着する上側直線装飾部材5aと、下側直線装飾部51bの左右を軸受板34、35に嵌着する下側直線装飾部材5bとを備え、継合装飾部51cによって、上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bとが連結されている。装飾部51は、
図6(A)に示すように、右側の末端まで、上側直線装飾部51aと下側直線装飾部51bとが延設され、上側直線装飾部51a、下側直線装飾部51b、及び、継合装飾部51c、によって、右側が開口した略U字形状の装飾が形成されることになる。装飾部材5は、黒色系統の他部材(操作ノブ1、リテーナ2、前可動ルーバ3及び後可動ルーバ4)とは異なる色彩の装飾として銀メッキが施されている。右側の末端まで延設された上側直線装飾部51aと下側直線装飾部51bによって、実施形態のレジスタが取り付けられたインストルメントパネルには、上側直線装飾部51aと下側直線装飾部51bから連続した装飾を施すことができる。
【0025】
装飾部材5がレジスタに組み付けられたとき、
図6(B)、
図7(B)に示すように、右側の末端まで延長された上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bとが、前可動ルーバ3の3枚の前フィン31の上側の前フィン31と下側の前フィン31の前側に、それぞれ並んで配置される。これにより、前フィン31の前側に並んで形成された上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bとが、前フィンとして機能し、レジスタの送風の抵抗を抑制するとともに、レジスタの正面からの美観性が高められている。
【0026】
装飾部材5は、
図5に示すように、上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bの右端に固定軸52が突設され、
図7に示す如く、それらの固定軸52が軸受板35の取付孔35bに嵌入され固定される。
図6及び
図7に示すように、上側直線装飾部材5aの左右の固定軸52と下側直線装飾部材5bの左右の固定軸52とによって、前フィン31が軸支される左右の軸受板34、35に設けられた取付孔34b、35b(
図4)に固定される。右側の上側直線装飾部材5aと右側の下側直線装飾部材5bのそれぞれの固定軸52は、上側の前フィン31と下側の前フィン31のそれぞれの前側に設けられた軸受板35の取付孔35bに固定される。
【0027】
図5に示すように、左側の上側直線装飾部材5aの固定軸52は、左側の上側直線装飾部材5aから後方に延設されたアーム部53に左側を向けて突設され、左側の下側直線装飾部材5bの固定軸52は、左側の下側直線装飾部材5bから後方に延設されたアーム部53に左側を向けて突設されている。装飾部材5の左側の上下1対の固定軸52は、
図7に示すように、左側の軸受板34における前フィン31の支軸31aの軸孔34aよりも後方に設けられた取付孔34bに嵌入され、固定される。アーム部53が装飾部材5の後方側に延設され、そのアーム部53に固定軸52が設けられているため、装飾部材5の左側末端の上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bは、継合装飾部51cの左側に隙間が生じても、アーム部53や固定軸52が乗員側から目につき難く、意匠性が損なわれなくなる。
【0028】
さらに、軸受板34の取付孔34bは、
図4(A)及び
図7に示すように、軸受板34から内側に突出した突出部34cに設けられている。このため、
図1及び
図6に示すように、正面から見て、継合装飾部51cの左側の隙間から固定軸52が見え難くなり、装飾部51の継合装飾部51cが突出部34c(取付孔34b)を覆い隠す。さらに、継合装飾部51cの左側に隙間が生じたとしても、その隙間から見られやすい固定軸52などの異形物は、乗員側から目につき難くなる。
【0029】
図5(C)及び
図8に示すように、前フィン31の前側に並んで配置される上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bの後縁部には、それぞれ2つの凸状のビード形状54が形成されている。これにより、組み付け時に、装飾部材5の上側直線装飾部材5aや下側直線装飾部材5bが前側から押された際に、ビード形状54が前フィン31の前縁に当たって、装飾部材5の撓みを抑制し、その位置を安定させるようになっている。
【0030】
また、
図8に示すように、前フィン31の右端と装飾部材5の右端、つまり、支軸31aと固定軸52とが前後に接近して配置されている。このため、右側の軸受板35に、前フィン31と装飾部材5を組み付ける際、前フィン31の前縁に、装飾部材5の上側直線装飾部材5aのビード形状54と下側直線装飾部材5bのビード形状54とを当てて、支軸31aと固定軸52の位置を位置決めし、スムーズに組み付けることができる。つまり、ビード形状54を前フィン31への当てリブとして作用させ、前フィン31と、上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bの位置を安定させ、支軸31aを軸孔35aに、固定軸52を取付孔35bに、それぞれ嵌め込むことにより、容易に組み付けることができる。なお、ビード形状54を前フィン31への当てリブとして作用させ、上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bの固定軸52を軸受板35へ組み付ける際に、
図8の部分拡大図に示す如く、取付孔35bの内側には、装飾部材5を前方に移動させる誘導面35cが設けられている。これにより、前フィン31の支軸31aと装飾部材5の固定軸52を、軸受板35の軸孔35aと取付孔35bに嵌め込む際、固定軸52が支軸31a側に寄りすぎた場合でも、固定軸52を誘導面35cで滑らせてガイドし、固定軸52を容易に取付孔35bに嵌めることができる。
【0031】
後可動ルーバ4は、
図3に示すように、5本の後フィン41が縦方向に間隔をおいて配置され、各後フィン41は上下に配設した軸受板44、45に対し、上下の支軸41aを介して回動可能に保持される。また、各後フィン41の一端に突設された連結軸41bに、1本のリンクバー42が連結され、全ての後フィン41が同期してその向きを左右に変え得る構造となっている。
【0032】
後可動ルーバ4には、中心の1本の後フィン41の前部に、ラック部材などの連係部43が設けられ、操作ノブ1の後部に設けたラック部材などの被連係部13と係合し、操作ノブ1を左右方向に摺動させたとき、後可動ルーバ4の後フィン41の向きを左右に調整する構造となっている。なお、後可動ルーバ4は、後フィン41の向きを右に略90°回動させることにより、後フィン41同士を重ね合わせて通風路21を閉塞するダンパとしての機能も備えている。
【0033】
これにより、操作ノブ1は、その上下の回動操作により、前可動ルーバ3の各前フィン31の向きを上または下に調整し、操作ノブ1の左右方向の摺動操作により、連係部43を介して後可動ルーバ4の後フィン41の左右方向を左または右に調整する。
【0034】
上記構成のレジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の後端の空気吸入口22を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。装着時の図示は省略するが、インストルメントパネルやダッシュボード側に設けたベゼル部の内側に、上記構成のレジスタの空気吹出口6を設けたリテーナ2の前端部が嵌着されて装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路21から空気吹出口6を通して吹き出される。
【0035】
空気の吹出向きを上または下に調整する場合、操作ノブ1を上または下に操作すると、前可動ルーバ3の前フィン31が、その左右の支軸31aを軸に回動して、
図10に示す如く、その向きが上下に変化し、空気の吹出方向が上下に調整される。空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ1を右または左に摺動操作すると、後可動ルーバ4の後フィン41が、その上下の支軸41aを軸に回動し、その左右の向きが所定の角度範囲で変化し、空気の吹出方向が左右に調整される。送風の際、前フィン31の前側に並んで形成された上側直線装飾部材5aと下側直線装飾部材5bとが、前フィンとして機能し、レジスタは、送風の抵抗が抑制される。
【0036】
本明細書の実施形態に係るレジスタによれば、前可動ルーバ3の下流側の空気吹出口6の内側に、装飾部材5が配設され、空気吹出口6の内側に、装飾部51を自由なデザイン性をもって配し、レジスタの前面の意匠性を向上させることができる。また、装飾部材5は、両端部の固定軸52が、前フィン31を軸支する両側の軸受板34、35の取付孔34b、35bに嵌着されるため、前可動ルーバ3の組立て時に、簡単に装飾部材5を組み付けることができる。
【0037】
なお、実施形態のレジスタは、その他実施形態として、以下のような形態であってもその実施をすることができる。
【0038】
実施形態のレジスタでは、装飾部材5は、黒色系統の合成樹脂から形成され、装飾として銀メッキが施されているものを使用したが、形成される合成樹脂そのものの色彩を変えることによって、他部材とは異なる色彩とすることもできる。
【0039】
実施形態のレジスタでは、装飾部51の形状は、
図5に示す右側が開口した略U字形状としたが、左側が開口した略U字形状はもちろん、単純な上側直線装飾部51aと下側直線装飾部51bのみを有した形状、両側に継合装飾部51cを設けた形状など、各種の形状の装飾部51について、実施形態に係るレジスタは適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…操作ノブ、2…リテーナ、3…前可動ルーバ、4…後可動ルーバ、5…装飾部材、5a…上側直線装飾部材、5b…下側直線装飾部材、6…空気吹出口、13…被連係部、21…通風路、22…空気吸入口、23…ルーバ収容部、31…前フィン、31a…支軸、31b…連結軸、32…リンクバー、34…軸受板、34a…軸孔、34b…取付孔、34c…突出部、35…軸受板、35b…取付孔、35c…誘導面、41…後フィン、41a…支軸、41b…連結軸、42…リンクバー、43…連係部、44…軸受板、51…装飾部、51a…上側直線装飾部、51b…下側直線装飾部、51c…継合装飾部、52…固定軸、53…アーム部、54…ビード形状。