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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076382
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】抗糖化用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/03 20060101AFI20230525BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 8/9711 20170101ALI20230525BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230525BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230525BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230525BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A61K36/03
A61K31/357
A61P29/00
A61P3/10
A61P9/10 101
A61P27/12
A61P13/12
A61P25/00
A61K8/9711
A61Q19/00
A61Q19/08
A61P19/10
A61P19/02
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152523
(22)【出願日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2021189091
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】595167339
【氏名又は名称】有限会社▲高▼木商店
(71)【出願人】
【識別番号】599035627
【氏名又は名称】学校法人加計学園
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 信康
(72)【発明者】
【氏名】吉積 一真
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 良樹
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE05
4B018MD09
4B018MD25
4B018MD28
4B018MD67
4B018ME03
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF07
4B117LC04
4B117LG02
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4C083AA111
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4C086AA02
4C086BA15
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4C088ZC35
(57)【要約】
【課題】安全性の高い抗糖化作用を有する天然物を見出し、それを有効成分とする抗糖化用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の抗糖化用組成物は、有効成分としてコンブ目レッソニア科の海藻の抽出物を含有し、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防および改善に有効である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンブ目レッソニア科の海藻の抽出物を抗糖化の有効成分とする抗糖化用組成物。
【請求項2】
抗糖化が、糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制である、請求項1記載の抗糖化用組成物。
【請求項3】
抗糖化が、タンパク質架橋切断活性である、請求項1記載の抗糖化用組成物。
【請求項4】
海藻がクロメである、請求項2記載の抗糖化用組成物。
【請求項5】
海藻がクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメのいずれかである、請求項3記載の抗糖化用組成物。
【請求項6】
脂溶性が比較的高く、弱酸性官能基を有するフェノール性物質を含む画分を含有することを特徴とする、請求項2~5のいずれか1項に記載の抗糖化用組成物。
【請求項7】
抗糖化の有効成分が酸性及び中性条件下、EtOAc層に最も高い活性を示す成分であることを特徴とする請求項1記載の抗糖化用組成物。
【請求項8】
EtOAc層に最も高い活性を示す抗糖化用組成物の主成分が、40%MeOH溶出画分であることを特徴とする請求項7記載の抗糖化用組成物。
【請求項9】
糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制であることを特徴とする請求項2記載の抗糖化用組成物。
【請求項10】
糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制を示す有効成分が、6,8'-bieckolであることを特徴とする請求項9記載の抗糖化用組成物。
【請求項11】
請求項10に記載された抗糖化用組成物を含むことを特徴とするAGEs由来の炎症反応抑制剤。
【請求項12】
タンパク質架橋切断活性を示す有効成分が、6,8'-bieckolであることを特徴とする請求項3記載の抗糖化用組成物。
【請求項13】
6,8'-bieckolを有効成分とする抗糖化用剤。
【請求項14】
糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制剤、タンパク質架橋切断活性剤、AGEs由来の炎症反応抑制剤のいずれかである請求項13記載の抗糖化用剤。
【請求項15】
請求項1~5、7~10、12のいずれか1項に記載の抗糖化用組成物又は請求項11に記載の炎症反応抑制剤を含有する医薬用組成物。
【請求項16】
請求項1~5、7~10、12のいずれか1項に記載の抗糖化用組成物又は請求項11に記載の炎症反応抑制剤を含有する化粧用組成物。
【請求項17】
請求項1~5、7~10、12のいずれか1項に記載の抗糖化用組成物又は請求項11に記載の炎症反応抑制剤を有効成分とする抗糖化用海藻粉末。
【請求項18】
請求項1~5、7~10、12のいずれか1項に記載された抗糖化用組成物又は請求項11に記載の炎症反応抑制剤を含有する抗糖化用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗糖化を阻害する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
糖化反応は古くから食品の世界で知られており、食品を加熱することでアミノ酸と糖が反応し、味や香り、食感に変化がもたらされることが示されている。すなわち、アミノ酸やタンパク質のアミノ基が還元糖と非酵素的に非可逆的に反応(褐変反応、メイラード反応とも言う)により、糖化最終生成物(Advanced Glycation End-products、AGEs)が生成する。
近年、タンパク質の糖化反応が生体内でも生じていることが明らかとなり、注目がされてきている。この生体内における糖化反応は、身体の中のタンパク質が体内に摂取された糖と反応して変性される現象と考えられている。そして、化学反応を繰り返していくことによって、AGEsを生成する。
通常、AGEsは、代謝によって体外へ排出されることが知られている。しかし、加齢に伴い代謝速度が遅くなって生体内の各組織に蓄積されAGEsの受容体と結合することにより、種々の症状を引き起こすと言われている。例えば、皮膚組織においてAGEsが蓄積すると、肌全体の衰えの一因となる。
生体内に存在する代表的なタンパク質として、コラーゲンが挙げられる。コラーゲンは体内でもその存在量が多く、更に半減期が長く代謝サイクルの長いタンパク質であるため、体内に存在する糖質と反応することで、AGEsが蓄積し易いと考えられている。また、コラーゲンが糖化されることにより通常は起こり得ない架橋反応が起こり、それらが老化の原因の一つとして考えられている。コラーゲンの糖化は、皮膚のハリの低下による肌全体の衰えを引き起こすだけでなく、骨粗鬆症や変形性関節症などの伸展にも深く関与していると考えられており、糖化反応を抑制することは老化現象を抑制することに繋がる。また、糖尿病や動脈硬化などの各種疾患の発症にも深く関わっており、特に糖尿病患者においては、高血糖により生じたAGEsが白内障や腎機能障害、神経症などの合併症を引き起こすことが知られている。そのため、糖化反応を阻害しAGEsの生成を抑制する物質や、生成してしまったAGEsの分解を促進する物質は、様々な加齢性疾患の抑制や糖尿病性合併症を抑制しうると考えられている。よって、近年、アンチエイジングに対する関心が高まっている中、様々な加齢性疾患や糖尿病性合併症、老化現象を誘発しうるAGEsの生体内への蓄積を防止する抗糖化用組成物の開発が望まれている。
【0003】
糖化反応阻害剤としては、例えば、アミノグアニジン(非特許文献1)やメチルグアニジン(特許文献1)が挙げられる。アミノグアニジンやメチルグアニジンは組織でのAGEsの蓄積を抑制し、加齢に伴う心臓血管や腎臓の機能低下の保護作用を果たすことが知られているが、何れも、肝障害などの副作用を引き起こす可能性があることから、その安全性が危惧されている。
また、副作用の無い安全な抗糖化剤の探索がなされており、天然の抗酸化剤としてはケール末もしくはケール抽出物(特許文献1)、カバノアナタケの抽出物(特許文献2)、緑豆種皮の溶媒抽出物(特許文献3)、ブドレジャキシラリス葉抽出物(特許文献4)、キンモクセイの抽出物(特許文献5)、甘蔗の抽出物(特許文献6)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6607418号公報
【特許文献2】特開2019-43887号公報
【特許文献3】特開2015-182990号公報
【特許文献4】特開2011-102270号公報
【特許文献5】特許第5969738号公報
【特許文献6】特開2018-203649号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.93, pp.3902-3907, 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、抗糖化作用を有する新たな天然物を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、コンブ目レッソニア科の海藻の抽出物に抗糖化作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の構成を主構成とする。
1.コンブ目レッソニア科の海藻の抽出物を抗糖化の有効成分とする抗糖化用組成物。
2.抗糖化が、糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制である、1.記載の抗糖化用組成物。
3.抗糖化が、タンパク質架橋切断活性である、1.記載の抗糖化用組成物。
4.海藻がクロメである、2.記載の抗糖化用組成物。
5.海藻がクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメのいずれかである、3.記載の抗糖化用組成物。
6.脂溶性が比較的高く、弱酸性官能基(例えば、フェノール性水酸基等)を有するフェノール性物質を含む画分を含有することを特徴とする、2.~5.のいずれかに記載の抗糖化用組成物。
7.抗糖化の有効成分が酸性及び中性条件下、EtOAc層に最も高い活性を示す成分であることを特徴とする1.記載の抗糖化用組成物。
8.EtOAc層に最も高い活性を示す抗糖化用組成物の主成分が、40%MeOH溶出画分であることを特徴とする7.記載の抗糖化用組成物。
9.糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制であることを特徴とする2.記載の抗糖化用組成物。
10.糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制を示す有効成分が、6,8'-bieckolであることを特徴とする9.記載の抗糖化用組成物。
11.10.に記載された抗糖化用組成物を含むことを特徴とするAGEs由来の炎症反応抑制剤。
12.タンパク質架橋切断活性を示す有効成分が、6,8'-bieckolであることを特徴とする3.記載の抗糖化用組成物。
13.6,8'-bieckolを有効成分とする抗糖化用剤。
14.糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制剤、タンパク質架橋切断活性剤、AGEs由来の炎症反応抑制剤のいずれかである13.記載の抗糖化用剤。
15.1.~5.、7.~10.、12.のいずれかに記載の抗糖化用組成物又は11.に記載の炎症反応抑制剤を含有する医薬用組成物。
16.1.~5.、7.~10.、12.のいずれかに記載の抗糖化用組成物又は11.に記載の炎症反応抑制剤を含有する化粧用組成物。
17.1.~5.、7.~10.、12.のいずれかに記載の抗糖化用組成物又は11.に記載の炎症反応抑制剤を有効成分とする抗糖化用海藻粉末。
18.1.~5.、7.~10.、12.のいずれかに記載された抗糖化用組成物又は11.に記載の炎症反応抑制剤を含有する抗糖化用食品。
【発明の効果】
【0008】
1.コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメの溶媒抽出物が抗糖化作用を示すことは、本発明が新規に提起する作用機序である。
2.コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメ由来の抗糖化用組成物を含む医薬用組成物又はそれを有効成分とする抗糖化用海藻粉末は新規な機能性食品である。コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメ由来の抗糖化用組成物を含む化粧用組成物は、新規な機能性化粧品である。
3.天然由来であるコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメは、食経験もあることから、安全性の高い抗糖化作用を有する医薬用組成物、化粧用組成物又は抗糖化用海藻粉末を提供することができる。
4.本発明のコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメの抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物は、強い抗糖化作用を有することから、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
5.コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメ由来の抗糖化を示す有効成分は、EtOAc分画層に最も高い活性を示し40%MeOH溶出画分に主成分が存在する。
6.コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメ由来の抗糖化を示す有効成分の主成分は、6,8’-bieckolであると特定することができた。
この海藻から得られた6,8’-bieckolを用いて、糖尿病合併症予防及び治療に役立てることができる。
この海藻から得られた6,8’-bieckolは、α-diketone構造を開裂することによりタンパク質内架橋切断活性を示し、AGEs生成阻害活性を示す。そして、AGEsに基づく炎症反応の抑制ができる可能性が示唆された。
7.この海藻から得られた6,8’-bieckolを用いることにより、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制活性試験結果(2)を示す図である。
図2】タンパク質架橋切断活性試験結果(2)を示す図である。
図3】コンブ目レッソニア科海藻のタンパク質架橋切断活性試験結果を示す図である。
図4】コンブ目レッソニア科クロメの有機溶媒分画スキームを示す図である。
図5】コンブ目レッソニア科クロメの有機溶媒画分のタンパク質架橋切断活性試験結果を示す図である。
図6】クロメMeOH抽出エキスの有機溶媒分画を示す図である。
図7】1-phenyl-1,2-propanedion(PPD)のBenzoic acidへの変換率を指標としたタンパク質架橋切断活性を示すグラフを示す図である。
図8】クロメのMeOH抽出物に対するPVPP吸着によるタンパク質架橋切断活性を示すグラフである。
図9】EtOAc層成分の逆相クロマトグラフィーを示す図である。
図10】EtOAc層(4.14g)から逆相クロマトグラフィーにより40%MeOHより溶出した主成分をHPLCにより分取したところ、206mgの主成分が得られたことを示す図である。
図11図10の主成分を1H-NMR spectrumおよび13C-NMR spectrumを用いて構造解析を行って、主成分が6,8’-bieckolであると決定した図である。
図12】クロメより得られた6,8’-bieckolが、抗糖化作用を有することが知られているアラゲブリウム(ALT-711)と同等のタンパク質架橋切断活性を示す図である。(a)6,8’-bieckolが、タンパク質架橋切断活性を示す図である。(b)6,8’-bieckolのタンパク質架橋切断活性がラゲブリウム(ALT-711)と同等であることを示す図である。
図13】6,8’-bieckolが、糖化反応により生成したタンパク質内架橋を切断する可能性を示す図である。(a)BSAを用いた定量方法を示した図、(b)6,8’-bieckolが、陽性対照薬であるALT-711と同様、糖化反応により生成したタンパク質内架橋を切断する可能性を示す図である。
図14】6,8’-bieckolが、AGEs生成阻害活性を示す図である。(a)分析工程、(b)6,8’-bieckolがα-diketone構造を開裂することにより、タンパク質上に形成されるAGEsの生成を抑制することを示す図である。
図15】AGEs生成抑制タンパク質(6,8’-biecko)のNF―κB活性に対する影響を示す図である。(a)反応工程、(b)AGEs生成抑制タンパク質によるNF-κB活性に対する影響を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメの抽出物に抗糖化作用を有していることが確認されたことから、本発明は新規な海藻由来の抗糖化用組成物である。
コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物、カジメの抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物は、抗糖化作用を有することから、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメ由来の抗糖化を示す有効成分は、EtOAc分画層に最も高い活性を示し40%MeOH溶出画分に主成分が存在する。抗糖化を示す有効成分の主成分は、6,8’-bieckolであると特定することができた。この海藻から得られた6,8’-bieckolを用いて、糖尿病合併症予防及び治療に役立てることができる。
この海藻から得られた6,8’-bieckolは、α-diketone構造を開裂することによりタンパク質内架橋切断活性を示し、AGEs生成阻害活性を示す。そして、AGEsに基づく炎症反応の抑制ができる可能性がある。
このような作用機序が期待できるクロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物、カジメの抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物を含む医薬用組成物、化粧用組成物、或いはそれを有効成分とする抗糖化用海藻粉末は、新たな機能性食品又は医薬品、化粧品を提供するものである。
この海藻から得られた6,8’-bieckolを用いることにより、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
【0011】
本実施形態の抗糖化用組成物は、クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物、カジメの抽出物を有効成分として含有する。
ここで、本実施形態において「抽出物」とは、上記海藻を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物の何れもが含まれる。
【0012】
<クロメ抽出物、ツルアラメ抽出物、サガラメ抽出物、カジメ抽出物の製造>
本実施形態において、クロメ抽出物、ツルアラメ抽出物、サガラメ抽出物、カジメ抽出物を製造するために使用する抽出原料は、クロメ(学名:Ecklonia kurome)、ツルアラメ(学名:Ecklonia stolonifera)、サガラメ(学名:Eisenia arborea)、カジメ(学名:Ecklonia cava)である。
【0013】
クロメ(Ecklonia kurome;黒布)は、コンブ目レッソニア科の褐藻である。本州太平洋岸中~南部、四国、九州、瀬戸内海、本州日本海岸に分布し、潮下帯で生息している。大きさは、高さ1~2m。
体は茎と膜質の葉部からなり、葉部から数本の側葉が伸びる。カジメによく似ているが少し小さく、葉部全体に凹凸のしわがあること、葉部の中央は厚くならないことなどで見分けられる。ただし、形態には異変が多い。
【0014】
ツルアラメ(Ecklonia stolonifera;蔓荒布)は、コンブ目レッソニア科の褐藻である。北海道南部、本州日本海岸から九州北岸に分布しており、低潮線付近から潮下帯のやや深場に生息している。大きさは、高さ25~150cm。
体は茎と膜質の葉部からなり、葉部は笹の葉形や長楕円形で、短めの側葉を出す。また、葉部は全体にしわがある。基部から匍匐枝を伸ばし、その先から新たに葉部が出てくることが特徴で、名前の「蔓」は匍匐枝に由来する。
【0015】
サガラメ(Eisenia arborea;相良布)は、コンブ目レッソニア科の褐藻である。アラメによく似た海藻で、静岡県の御前崎から紀伊半島、徳島県などに分布する。アラメは側葉が枝分かれすることが多いのに対し、サガラメは側葉がほとんど枝分かれしない。
【0016】
カジメ(Ecklonia cava;搗布)は、コンブ目レッソニア科の褐藻である。本州太平洋岸中部、瀬戸内海、本州日本海岸南部、九州に分布しており、低潮線から潮下帯の水深20mに生息している。大きさは、高さ1~3mである。
胞子体は、幼体は短い茎と楕円形の葉部からなり、生長すると茎が伸び、葉部の中央は厚くなって両側から十数本もの側葉が伸びる。側葉は、さらに枝分かれすることもある。葉部はしわがなく滑らかで、手触りは硬い。色は褐色から濃褐色。海中林と呼ばれる群生を作り生息している。
【0017】
本明細書中で「クロメ」や「ツルアラメ」、「サガラメ」、「カジメ」とは、クロメ又はツルアラメ、サガラメ、カジメの藻体全体をいい、葉片、葉状部、中肋、茎状部、仮根を含む。また、本明細書中で「コンブ目レッソニア科」の海藻とは、アラメ(学名:Eisenia bicyclis)、アントクメ(学名:Eckloniopsis radicosa)を含む。これらの海藻は、一般的ではないが、地域において食用経験がある。
【0018】
クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物及びカジメの抽出物のそれぞれに含有される抗糖化作用を有する物質の詳細は不明であるが、海藻の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記海藻からこの作用を有する抽出物を得ることができる。
【0019】
例えば、上記海藻を乾燥した後、そのまま又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行っても良いし、通常使用される乾燥機を用いて行っても良い。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用しても良い。脱脂等の前処理を行うことにより、上記海藻の極性溶媒による抽出処理を効率良く行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、海洋深層水などのほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
【0020】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調製することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1~90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合物を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1~40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10~90容量部を混合することが好ましい。
【0021】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後に濾過をして抽出残渣を除去することにより、抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでも抗糖化用組成物の有効成分として使用することが可能であるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
また、上記海藻からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲での脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、サプリメント等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも事実上支障はない。
【0022】
<抗糖化用組成物>
以上のようにして得られる各海藻抽出物は、抗糖化作用を有している。表2、3、図1~3に示すように、本発明のクロメ抽出物又はツルアラメ抽出物、サガラメ抽出物、カジメ抽出物の抗糖化作用は、他の海藻抽出物と比べて強い作用を有していることから、この作用を利用して、抗糖化用組成物の有効成分として用いることができる。さらに、図5に示すように、脂溶性が比較的高く、弱酸性官能基(例えばフェノール性水酸基等)を含む画分を、抗糖化用組成物の有効成分として用いることもできる。
このような抗糖化用組成物は、医薬用組成物、化粧用組成物等に配合され得る。或いは、抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末として使用し得る。
【0023】
クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物及びカジメの抽出物を含む抗糖化用組成物は、医薬用組成物、化粧用組成物の素材或いはそれを有効成分とする抗糖化用海藻粉末として用いられ得る。クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物、カジメの抽出物を含む抗糖化用組成物は、医薬用組成物(例えば、経口用の錠剤、カプセル剤)及び化粧用組成物(例えば、塗布用ローション、クリーム剤)に含有することができる。
これらの医薬用組成物及び化粧用組成物は、特に、例えば、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善のために用いられ得る。また、クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物、カジメの抽出物を含む抗糖化用組成物は、抗糖化用海藻粉末の有効成分として、例えば、経口用サプリメントのような健康食品に使用することができ、特に、例えば、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善のために用いられ得る。
【0024】
本実施形態の抗糖化用組成物は、抗糖化作用を有するとともに安全であるため、例えば、医薬用組成物として配合するのに好適である。本発明の抗糖化用組成物は錠剤などの形態にして、これを医薬用組成物として利用することができる。
また、本発明の医薬用組成物は、本発明の抗糖化用剤以外の添加物又は薬学的に許容可能な担体を含んでも良い。このような添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、緩衝材、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、溶剤、増粘剤、粘液溶解剤、湿潤剤、防腐剤などが挙げられる。
【0025】
本発明の医薬用組成物の形態は特に制限されるものではないが、経口剤又は非経口剤の何れであってもよい。経口剤としては顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、チンキ剤、ゼリー剤などが挙げられる。非経口剤としては注射剤、点滴剤、軟膏剤、点鼻剤、坐剤などが挙げられる。
本発明の医薬用組成物の投与量は、特に限定されるものではないが、例えば、本発明の医薬用組成物を経口投与する場合、成人1日当たりのクロメ抽出物の摂取量が0.5~100mg/kg体重、好ましくは1~50mg/kg体重の範囲となるような投与量とすることができる。また、本発明の医薬用組成物を非経口的に投与する場合が0.05mg/kg体重~50mg/kg体重、好ましくは0.5mg/kg体重~50mg/kg体重となるような含有量とすることができる。
【0026】
クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物及びカジメの抽出物を含む抗糖化用組成物は、抗糖化作用を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感が良く安全であるため、例えば、外用化粧料として配合するのに好適である。本発明の抗糖化用組成物は軟膏剤、クリーム剤、ジェル、ローション、乳液、パック、湿布剤、浴用剤、点眼剤、点鼻剤などの形態にして、これを皮膚外用剤として利用することができる。
【0027】
本発明の抗糖化用組成物は、皮膚用化粧品、シャンプー、リンス、コンディショナー等の毛髪用化粧品に配合することができ、その場合、外用化粧料に通常使用される基材や添加物と共に使用することができる。更に、本発明の外用剤の有する機能をより増強したり補填したりする目的で、様々な助剤を添加することも可能である。例えば、基材としては、グリセロール、エタノール、パラベン、ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0028】
添加物としては、賦形剤(シリコン系ポリマー)、香料、色素、保存料(パラベン等)、増粘剤(シリコン系ポリマー、アクリル系ポリマー、カルボキシビニル系ポリマー等)、キレート剤(EDTA等)、甘味料(スクラロース等)、清涼剤(メントール等)、防腐防黴剤(フェノキシエタノール等)等が挙げられる。
【0029】
助剤としては、例えば、他の薬効成分や他の油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸及びその誘導体や亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油、ヒマシ油等の動植物より抽出された油及びその誘導体等)、保湿剤(コラーゲン又はその分解物、カロットエキスなどが含まれるコラーゲン類似ペプチド、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ酸、トレハロース等の糖類、海藻類、界面活性剤(レシチンや脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体等)、紫外線吸収剤(酸化亜鉛や酸化チタン等)、吸収促進剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の抗糖化用組成物を使用するにあたりその配合量は、他の成分との組み合わせや当該組成物の形態に応じて適宜定めることができる。通常、全配合量中、乾燥重量換算で好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上である。
【0031】
抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末は、クロメの抽出物、ツルアラメの抽出物、サガラメの抽出物、カジメの抽出物を含む抗糖化用組成物の他、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、マルチトール、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料、保存料などをさらに適宜含有し得る。このような抗糖化用海藻粉末は、用途に応じて、粉末、顆粒、カプセル、錠、シロップ、懸濁液などの形態に成形され得、飴などにも加工され得る。抗糖化用海藻粉末を配合した、例えば、経口用サプリメントの製造は、当業者が通常用いる方法によって行われ得る。
経口用サプリメントへの抗糖化用組成物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。経口用サプリメントは、配合組成物全量に対して抗糖化用組成物を、0.1~100質量%、より好ましくは10~80質量%(抽出物基準)で含有し得る。
【0032】
抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末は、そのまま摂取することができ、水などの溶媒に溶かす又は懸濁させるなどしても摂取することができる。抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末は、食事の前後、又は食間に経口摂取することができる。また、抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末を飲食品に添加して、飲食することもできる。
抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末が添加された食品としては、例えば、在宅用糖尿病食、流動食、病者用食品(糖尿病食調製用組み合わせ食品など)、特定保健用食品、ダイエット食品、又は炭水化物を主成分とする飲食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
具体的な食品形態としては、例えば、米飯製品、麦製品、野菜製品、乳製品、清涼飲料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
抗糖化用組成物を有効成分とする抗糖化用海藻粉末の飲食品への添加又は加工は、当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。人間以外の動物、例えば、家畜又はペット用(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)の飼料への添加も可能である。
【0034】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例0035】
(海藻抽出物の調製)
23種類の海藻(キリンサイ、マフノリ、ヒジキ、ワカメ(葉部)、ワカメ(茎部)、ツノマタ(黄)、モズク、トサカノリ(青)、トサカノリ(白)、ワカメ(胞子葉部)、ツノマタ(青)、ツノマタ(赤)、トサカノリ(赤)、マツノリ、ホソバノトサカモドキ、アサクサノリ、スギノリ(赤)、フノリ、スギノリ(緑)、コンブ、クロメ、ウップルイノリ、オゴノリ)の乾燥物を準備した。
【0036】
それぞれ3gをコーヒーミルで粉砕し、50mLプラスチックチューブに採集した。
次いで、プラスチックチューブに30mLのメタノールを加え、15分、3回、超音波抽出を行った。プラスチックチューブを15,000rpmで5分間遠心分離を行った後、上清を減圧下濃縮することにより、23種類の海藻のメタノール抽出物を得た。
得られた23種類の海藻抽出物を600μLのdimethylsulfoxide(DMSO)に溶解して評価用試料として、以下の試験に供した。
【0037】
(糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制活性試験)
下記表1の反応液を作製後、60℃で30時間インキュベーションした。
【0038】
【表1】
【0039】
インキュベーション終了後冷蔵庫で一度冷却してから、反応液100μLを1.5mLプラスチックチューブに移し、そこに100%トリクロロ酢酸(以下、TCA)を10μL加えて撹拌した。撹拌後、15,000rpm、4℃で4分間遠心分離を行い、上澄みをアスピレーターで除去した後、沈殿をアルカリ性リン酸緩衝液(以下、PBS)(-)(pH10)400μLで再溶解させた。蛍光測定用96wellプレート(DYNEX社製)のウエルに再溶解液200μLを入れ、励起波長360nm、蛍光波長460nmにおける蛍光強度を測定し、「見かけの阻害効果」を求めた。
【0040】
また、評価用試料の代わりにDMSOを加えて、上述と同様60℃で30時間インキュベーションした。インキュベーションした反応液100μLに、評価用試料50μLを加えてよく撹拌した。その後100%TCA、10μLを加えて撹拌し、15,000rpm、4℃で4分間、遠心分離を行った。上澄みを除去した後、沈殿をアルカリ性PBS(-)(pH10)400μLで再溶解して、蛍光強度を測定した。蛍光強度を比較して、「クエンチング効果」を求めた。
【0041】
「見かけの阻害効果」から「クエンチング効果」を減算することにより、真のAGEs生成抑制活性を算出した。
【0042】
<タンパク質架橋切断活性試験>
リン酸緩衝液(pH7.4)800μL(-)(pH10)400μL、100mM PTB100μL(-)(pH10)400μL、100mM 1-phenyl-1,2-propanedion 100μL、50mM benzoic acid 100μL、H20 100μL、評価用試料(23種類の海藻抽出物)溶液100μLをエッペンチューブに加えて全量を1mLとした。
撹拌後、37℃で8時間、バイオシェイカーで反応を行った。その後、2N HCl 20μLを加え、反応を停止させた。撹拌後15,000rpm、4℃で5分間遠心分離を行い、上清を分析用試料として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供した。HPLCにより得られるBenzoic acidに相当するピークのエリア面積から、タンパク質架橋切断活性を算出した。
【0043】
(HPLCによるBenzoic acidの分析条件)
・カラム:Mightysil RP-18 (Φ150×2mm、関東化学工業、Lot No.8022371)
・流速:1mL/min
・検出波長:UV 250nm
・溶媒:40%メタノール/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
・温度:40℃
・注入量:10μL
【0044】
糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制活性試験の結果を、表2および図1に示す。
表2に示すように、ウシケノリ目ウシケノリ科のウップルイノリ、ウシケノリ目ウシケノリ科のアサクサノリ、スギノリ目ミリン科のトサカノリ(赤)、スギノリ目ツカサノリ科のホソバノトサカモドキに20~40%の弱いAGEs生成抑制活性を、コンブ目チガイソ科のワカメの葉部及び茎部、ナガマツモ目ナガマツモ科のモズクに41~70%の中くらいのAGEs生成抑制活性を示したが、本発明のコンブ目レッソニア科のクロメは97%と非常に強いAGEs生成抑制活性を有している。
【0045】
表2で最もAGEs生成抑制活性の強かったクロメおよび2番目に強かったモズクについて、海藻抽出物の濃度を変えながら、さらに詳細な検討を行ったところ、図1(糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制活性試験結果(2))に示すように、ナガマツモ目ナガマツモ科の海藻であるモズクのAGEs生成抑制活性は、最も高濃度である10.0%においても60%程度であったが、本発明のコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメは、0.3%(v/v)という低濃度においても、50%以上の高いAGEs生成抑制活性を有している。
【0046】
【表2】
【0047】
次に、タンパク質架橋切断活性試験の結果を、表3および図2に示す。
表3に示すように、ヒバマタ目ホンダワラ科のヒジキ(芽部)、コンブ目チガイソ科のワカメ(茎部)、ナガマツモ目ナガマツモ科のモズク、スギノリ目ミリン科のトサカノリ(青)、ウシケノリ目ウシケノリ科のウップルイノリ、オゴノリ目オゴノリ科のオゴノリに10~20%の弱いを、コンブ目チガイソ科のワカメ(胞子葉部)に44%の中程度のタンパク質架橋切断活性を示したが、本発明のコンブ目レッソニア科のクロメは87%と非常に強いタンパク質架橋切断活性を有している。
【0048】
表2で最もAGEs架橋切断活性の強かったクロメについて、クロメ抽出物の濃度を変えながら、さらに詳細な検討を行ったところ、図2(タンパク質架橋切断活性試験結果(2))に示すように、本発明のコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメは、1.25%(v/v)という低濃度においても、20%程度のタンパク質架橋切断活性を有している。
【0049】
【表3】
【0050】
表2および図1、表3および図2からもわかるように、糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制活性およびタンパク質架橋切断活性の何れにおいても、コンブ目レッソニア科のクロメに強い活性が認められたことから、コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメに、抗糖化作用を有することが示された。
【実施例0051】
(コンブ目レッソニア科海藻抽出物の調製)
コンブ目レッソニア科の海藻4種類(クロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメ)の乾燥物それぞれ3gをコーヒーミルで粉砕し、50mLプラスチックチューブに採集した。次いで、プラスチックチューブに30mLのメタノールを加え、15分、3回、超音波抽出を行った。プラスチックチューブを15,000r.p.mで5分間遠心分離を行った後、上清を減圧下濃縮することにより、コンブ目レッソニア科の海藻のメタノール抽出物を得た。得られたコンブ目レッソニア科の海藻抽出物に600μLのdimethylsulfoxide(DMSO)に溶解して評価用試料として、以下の試験に供した。
【0052】
(コンブ目レッソニア科海藻のタンパク質架橋切断活性試験)
(タンパク質架橋切断活性試験)
リン酸緩衝液 (pH7.4) 800μL、100mM PTB 100μL、100mM 1-phenyl-1,2-propanedion 100μL、50mM benzoic acid 100μL、H20 100μL、評価用試料(23種類の海藻抽出物)溶液100μLをエッペンチューブに加えて全量を1mLとした。
【0053】
撹拌後、37℃で8時間、バイオシェイカーで反応を行った。その後、2N HCl 20μLを加え、反応を停止させた。撹拌後15,000rpm、4℃で5分間遠心分離を行い、上清を分析用試料として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供した。HPLCにより得られるBenzoic acidに相当するピークのエリア面積から、タンパク質架橋切断活性を算出した。
【0054】
<HPLCによるBenzoic acidの分析条件>
・カラム:Mightysil RP-18(Φ150×2mm、関東化学工業、Lot No.8022371)
・流速:1mL/min
・検出波長:UV 250nm
・溶媒:40%メタノール/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
・温度:40℃
・注入量:10μL
【0055】
図3(コンブ目レッソニア科海藻のタンパク質架橋切断活性試験結果)に示す通り、コンブ目レッソニア科の海藻であるクロメ、ツルアラメ、サガラメ、カジメに、70%以上のタンパク質架橋切断活性を有していることから、抗糖化作用を有している。
【実施例0056】
<コンブ目レッソニア科海藻の有機溶媒画分のタンパク質架橋切断活性試験>
活性を有する物質の極性(溶媒移行性)を明らかにする目的でクロメのメタノール抽出エキスを、図4(コンブ目レッソニア科クロメの有機溶媒分画スキーム)に示す通りに有機溶媒分画を行い、各画分のタンパク質架橋切断活性の評価を行った。
【0057】
すなわち、クロメの乾燥物3gを50mLプラスチックチューブに採集したものを4本準備した。30mLのメタノールを加え、15分間、3回、超音波抽出を行った。15,000rpm、5分間遠心後、上清について減圧下濃縮を行い、エキスを得た。得られたエキス3本に対して、pH3、7、10の水をそれぞれ10mLずつ加え、さらにクロロホルム(CHCl3)を10mL添加した。ボルテックスミキサーにて撹拌し完全にエキスを溶解したのち、10,000rpmで5分間遠心を行うことにより、CHCl3層を得た。この操作をもう一回行い、CHCl3抽出液とした。さらに酢酸エチル(EtOAc)、水飽和ブタノール(n-BuOH)10mLにて2回ずつ抽出を行うことにより、各抽出液を得た。得られた抽出液を、減圧下濃縮を行うことにより、各pH下における有機溶媒分画を行った。
【0058】
得られた抽出エキスを600μLのDMSOに溶解し、タンパク質架橋切断活性評価溶液として、評価に供した。その結果、pH3及び7において、CHCl3抽出液に高い活性が認められた。また、同条件下において、酢酸エチル抽出液にも活性が認められた。pH10においては、いずれの画分にも活性は認められなかった。この結果から、本発明のコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメに含まれる活性物質化学構造の特性として、脂溶性が比較的高く、弱酸性官能基(例えばフェノール性水酸基等)の存在が示唆された。
一方、アルカリ性条件下では、すべての画分に活性が認められなかったことからタンパク質架橋切断活性の活性本体化合物はアルカリ性条件下では不安定であり、このことは多くのフェノール性物質に当てはまることから、本発明のコンブ目レッソニア科の海藻であるクロメに含まれる活性本体化合物は、フェノール性物質であると想定される。
【実施例0059】
(錠剤の製造)
実施例2で得たツルアラメ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。
ツルアラメ抽出物配合錠剤
(組成) (配合:重量%)
ツルアラメ抽出物 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グアーガム 1
【実施例0060】
(ジュースの製造)
実施例2で得たクロメ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。
クロメ抽出物含有ジュース
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L-アスコルビン酸 0.02
香料 0.2
色素 0.1
クロメ抽出物 0.2
水 83.28
【実施例0061】
(フェイスクリームの製造)
実施例2で得たサガラメ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のフェイスクリームを製造した。
サガラメ抽出物含有フェイスクリーム
(組成) (配合:重量%)
イソステアリン酸イソプロピル 8.0
ホホバ油 6.0
セタノール 8.0
ステアリルアルコール 2.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.5
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 1.0
パラベン 0.4
サガラメ抽出物 0.5
ビタミンE 0.5
香料 0.1
精製水 66.0
【0062】
本発明のコンブ目レッソニア科の海藻の抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物は、糖化最終生成物(AGEs)の生成抑制活性およびタンパク質架橋切断活性を有することから、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病、加齢に伴う皮膚のたるみ、しわ、くすみ、白内障、骨粗鬆症などの種々の老化現象の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
【0063】
さらに、コンブ目レッソニア科の海藻の抽出物に含まれる有効成分を特定する試験を行った。
以下に記載する抗糖化成分を特定、作用機序に関する試験については、試験方法は従来周知であるので詳述は割愛し、主な事項について記載する。
【0064】
(抗糖化成分探索試験1:有機溶媒分画試験)
図6にクロメMeOH抽出エキスの有機溶媒分画を示す。図7は1-phenyl-1,2-propanedione(PPD)のBenzoic acidへの変換率を指標としたタンパク質架橋切断活性を示すグラフである。
得られたクロメのMeOH抽出エキスをクロロホルム/水(CHCl3/H2O)にて(pH3、7又は10)にて液-液分配を行った。その後、水層に酢酸エチル(EtOAc)を加えて、同様に液-液分配を行った。さらに、水層にブタノール(n-BuOH)を加えて液-液分配を行った(図6参照)。
その結果図7に示すように、酸性及び中性条件下、EtOAc層に最も高い活性が認められた。タンパク質架橋モデル化合物として1-phenyl-1,2-propanedione(PPD)を用い、PPD構造中のα-diketone構造が開裂することにより生成するbenzoic acidを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、架橋切断活性を評価する。Benzoic acidへの変換率が高いほど、架橋切断活性が強いことを示す。
【0065】
(抗糖化成分探索試験2:PVPP吸着試験)
図8は、クロメのMeOH抽出物に対するPVPP吸着によるタンパク質架橋切断活性を示すグラフである。
クロメのMeOH抽出液は濃度依存的にタンパク質架橋切断活性を有する。しかしながら、クロメのMeOH抽出液中にポリフェノール特異的吸着樹脂であるPolyvinylpolypyrrolidone(PVPP)を添加すると、タンパク質架橋切断活性が消失した(図8参照)。
このことから、クロメ中のタンパク質架橋切断活性物質は、ポリフェノール系化合物であると推察される。
【0066】
(抗糖化成分探索試験3:逆相クロマトグラフィー分析)
図9にEtOAc層成分の逆相クロマトグラフィーを示す。
試験1(図6)の分画で、図7に示す最も高い活性が認められたEtOAc層を各比率の水/メタノール(H2O/MeOH)溶液を用いて逆相クロマトグラフィーを行った。その結果、図9に示すように40%MeOH溶出画分に、主成分が得られた。
【0067】
(抗糖化成分探索試験4:単離試験)
図10にEtOAc層(4.14g)から逆相クロマトグラフィーにより40%MeOHより溶出した主成分をHPLCにより分取したところ、206mgの主成分が得られたことを示す。
図11図10の主成分を1H-NMR spectrumおよび13C-NMR spectrumを用いて構造解析を行って、主成分が6,8’-bieckolであると決定した図である。
最も高い活性が認められたEtOAc層(4.14g)から逆相クロマトグラフィーにより40%MeOHより溶出した主成分をHPLCにより分取したところ、206mgの主成分が得られた。この主成分を1H-NMR spectrumおよび13C-NMR spectrumを用いて構造解析を行ったところ、主成分は6,8’-bieckolであると決定した(図10に示す逆相クロマトグラフィー、図11に示す構造解析を参照)。
【0068】
(抗糖化成分探索試験5:タンパク質架橋切断活性試験)
図12は、クロメより得られた6,8’-bieckolが、抗糖化作用を有することが知られているアラゲブリウム(ALT-711)と同等のタンパク質架橋切断活性を示す。図12(a)は、6,8’-bieckolが、タンパク質架橋切断活性を示す。図12(b)は、6,8’-bieckolのタンパク質架橋切断活性がラゲブリウム(ALT-711)と同等であることを示す。
クロメより得られた6,8’-bieckolは、抗糖化作用を有することが知られているアラゲブリウム(ALT-711)と同等のタンパク質架橋切断活性を有した(図12(b)参照)。しかしながら、6,8’-bieckolの構造単位であるphloroglucinolおよびresorcinolには全く活性が認められなかったことから、活性発現には、6,8’-bieckolの立体構造が重要であることが示唆された(図12(b)参照)。
【0069】
(抗糖化成分探索試験6:タンパク質内架橋を切断試験)
図13は、6,8’-bieckolが、糖化反応により生成したタンパク質内架橋を切断する可能性を示す図であり、図13(a)がBSAを用いた定量方法を示す図、図13(b)は6,8’-bieckolが、陽性対照薬であるALT-711と同様、糖化反応により生成したタンパク質内架橋を切断する可能性を示す。
96ウエルマイクロプレートにCollagenを固相化した後にAGEs-BSAを結合させた。
次いで、ALT-711または6,8’-bieckolを添加し、抗BSA抗体を用いて残存するBSAを定量した(図13(a)参照)。
その結果、6,8’-bieckolは、陽性対照薬であるALT-711と同様、糖化反応により生成したタンパク質内架橋を切断する可能性が示唆された(図13(b)参照)。
【0070】
(抗糖化成分探索試験7:AGEs生成阻害活性試験)
図14は、6,8’-bieckolが、AGEs生成阻害活性を示す図である。図14(a)は分析工程、図14(b)は6,8’-bieckolがα-diketone構造を開裂することにより、タンパク質上に形成されるAGEsの生成を抑制することを示す。
50mM リン酸緩衝液(pH7.4)中に4mg/ml BSA(牛血清アルブミン)と20mM グルコースを加え、60℃で48時間反応させた。その後、トリクロロ酢酸を加えて15,000rpmで3分間遠心分離を行い、得られた沈殿にアルカリ性のPBS緩衝液に溶解させた後に、生成したAGEsの量を蛍光光度計を用いて、(励起波長360nm、蛍光波長460nm)にて測定した(図14(a)参照)。
その結果、6,8’-bieckolは、陽性対照薬であるaminoguanidineと同様、α-diketone構造を開裂することにより、タンパク質上に形成されるAGEsの生成を抑制した(図14(b)参照)。
【0071】
(抗糖化成分探索試験8:AGEs生成抑制タンパク質のNF―κB活性に対する影響試験)
図15は、AGEs生成抑制タンパク質(6,8’-biecko)のNF―κB活性に対する影響を示す図である。図15(a)は反応工程、図15(b)はAGEs生成抑制タンパク質によるNF-κB活性に対する影響を測定した結果を示す。
6,8’-bieckolまたはaminoguanidineの共存下でBSAとグルコースを添加し、37℃で3か月間反応させた。反応後、生成したAGEs-BSAを生成し、これをpNF-kB-Lucを発現させたヒト胎児腎細胞293(HEK 293 cell)に添加した後発光強度を測定し、AGEs生成抑制タンパク質によるNF-κB活性に対する影響を測定した(図15(a)参照)。
その結果、6,8’-bieckolによりAGEsの生成が抑制されたBSAでは、NF―κB活性の低下が認められた。
以上のことから、6,8‘-bieckolは、陽性対照薬であるaminoguanidineと同様、タンパク質糖化反応によるAGEs生成を抑制し、AGEsに基づく炎症反応の抑制ができる可能性が示唆された。
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図15