(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076387
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】キロワットファイバレーザー用の高クラッドパワーのモードフィールドアダプタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20230525BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20230525BHJP
G02B 6/255 20060101ALI20230525BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G02B6/02 421
G02B6/44 301
G02B6/255
G02B6/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163873
(22)【出願日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】63/264,431
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/649,635
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ ゴンウェン
(72)【発明者】
【氏名】スン グアン
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H036KA02
2H036MA00
2H036PA01
2H137AA13
2H137AB01
2H137BA01
2H137BA21
2H137BB08
2H137CC01
2H137DA07
2H137EA02
2H137EA03
2H137EA04
2H137HA00
2H250AA06
2H250AC04
2H250AC12
2H250AC23
2H250AC24
2H250AC32
2H250AC33
2H250AH11
2H250AH42
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】モードフィールドアダプタ(MFA)は、基本モードフィールド径を有するコア、及び、くびれ部に向かって減少する直径を有するクラッド、を含む第1ファイバを備える。MFAは、くびれ部で第1ファイバの基本モードフィールドに一致する基本モードフィールド径を有するコア、及び、くびれ部で第1ファイバのクラッドの直径に一致し、且つ、第2ファイバのくびれ部から離れるにつれて増加する直径を有するクラッド、を含む第2ファイバを備える。第1ファイバのクラッドは、第1ファイバのコア対クラッド比が第1ファイバの長さにわたって変化するように断熱的にエッチングされてもよく、第2ファイバのコア及びクラッドは、第2ファイバのコア対クラッド比が第2ファイバの長さにわたって一定となるように断熱的にテーパ加工されてもよい。
【効果】クラッド内を進む光を持続させることができ、またクラッド光の輝度を一定に保つことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モードフィールドアダプタにおいて、
基本モードフィールド径を有するコア、及び、第1ファイバのコアを取り囲み、前記第1ファイバのくびれ部に向かって減少する直径を有するクラッド、を含む第1ファイバであって、前記第1ファイバのコアを取り囲む前記クラッドは、前記第1ファイバのコアと前記コアを取り囲むクラッドとの比率が前記第1ファイバの長さにわたって変化するように、断熱的にエッチングされる、該第1ファイバと、
第2ファイバのくびれ部で前記第1ファイバの基本モードフィールド径に一致する基本モードフィールド径を有するコア、及び、前記第2ファイバのコアを取り囲み、前記第2ファイバのくびれ部で前記第1ファイバのクラッドの直径と一致し、且つ、前記第2ファイバのくびれ部から離れるにつれて増加する直径を有するクラッド、を含む第2ファイバであって、前記第2ファイバのコア及び前記第2ファイバのコアを取り囲むクラッドは、前記第2ファイバのコアと前記第2ファイバのクラッドとの比率が前記第2ファイバの長さにわたって一定になるように断熱的にテーパ加工される、該第2ファイバと、
を備える、モードフィールドアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、前記第1ファイバのクラッド及び前記第2ファイバのクラッドは、高パワークラッド光を搬送するように構成される、モードフィールドアダプタ。
【請求項3】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、前記第1ファイバのクラッド及び前記第2ファイバのクラッドの中で搬送されるクラッド光の輝度を持続するように、前記第1ファイバのクラッドの直径が断熱的に減少し、且つ、前記第2ファイバの前記クラッドの直径が断熱的に増加する、モードフィールドアダプタ。
【請求項4】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、前記第1ファイバ又は前記第2ファイバのうちの1つ以上が、断熱的にエッチングされた外側クラッドを備える、モードフィールドアダプタ。
【請求項5】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、前記第1ファイバのコアは、前記第2ファイバのコアの開口数と等しい開口数を有する、モードフィールドアダプタ。
【請求項6】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、前記第1ファイバのコアは、前記第2ファイバのコアの開口数とは異なる開口数を有する、モードフィールドアダプタ。
【請求項7】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、さらに、
少なくとも、前記第1ファイバのクラッドが断熱的にエッチングされる第1長さ部分、及び前記第2ファイバのクラッド及びコアが断熱的にテーパ加工される第2長さ部分を封入するパッケージを備える、モードフィールドアダプタ。
【請求項8】
請求項1に記載のモードフィールドアダプタにおいて、前記第1ファイバ及び前記第2ファイバはそれぞれ、少なくとも、前記第1ファイバのクラッドが断熱的にエッチングされる第1長さ部分と、前記第2ファイバのクラッド及びコアが断熱的にテーパ加工される第2長さ部分と、にわたって剥ぎ取られたコーティングを備える、モードフィールドアダプタ。
【請求項9】
光学系において、
コア光を搬送するコア、及び、前記コアを取り囲み、高パワークラッド光を搬送するクラッド、を有する第1光学デバイスと、
コア光を搬送するコア、及び、前記コアを取り囲み、高パワークラッド光を搬送するクラッド、を有する第2光学デバイスであって、前記第1光学デバイスのコア及び前記第2光学デバイスのコアが有する基本モードフィールドが異なる、該第2光学デバイスと、
前記第1光学デバイスと前記第2光学デバイスの間に結合されたモードフィールドアダプタであって、前記モードフィールドアダプタは、
コア、及び、入力ファイバのコアを取り囲み、断熱的に減少する直径を有するクラッド、を有する入力ファイバであり、前記入力ファイバのクラッドは、前記入力ファイバのコアと前記コアを取り囲むクラッドとの比率が前記入力ファイバの長さにわたって変化するように、断熱的にエッチングされる、該入力ファイバ、並びに、
コア、及び、出力ファイバのコアを取り囲み、前記出力ファイバのくびれ部で前記入力ファイバのクラッドの直径と一致する直径を有するクラッド、を有する該出力ファイバ、
を含み、
前記入力ファイバのコア基本モードが前記出力ファイバのくびれ部で前記出力ファイバのコア基本モードと一致し、
前記出力ファイバのクラッドの直径が断熱的に増加し、また
前記出力ファイバのコア及び前記出力ファイバのコアを取り囲むクラッドは、前記出力ファイバのコアと前記出力ファイバのコアを取り囲むクラッドとの比率が前記出力ファイバのコアの長さにわたって一定となるように、断熱的にテーパ加工される、
該モードフィールドアダプタと、
を備える、光学系。
【請求項10】
請求項9に記載の光学系において、前記入力ファイバ及び前記出力ファイバはそれぞれ、前記高パワークラッド光を搬送するように構成される1つ以上のクラッドを備える、光学系。
【請求項11】
請求項9に記載の光学系において、前記高パワークラッド光の輝度を持続させるように、前記入力ファイバのクラッドの直径が断熱的に減少し、且つ、前記出力ファイバのクラッドの直径が断熱的に増加する、光学系。
【請求項12】
請求項9に記載の光学系において、前記入力ファイバのコア開口数が前記出力ファイバのコアの開口数に等しい、光学系。
【請求項13】
請求項9に記載の光学系において、さらに、
ポンプコンバイナを備え、
前記第1光学デバイスは、前記ポンプコンバイナから前記クラッド光を受け取り、且つ、前記クラッド光を前記モードフィールドアダプタに向けて伝送するように構成されるファイバレーザー発振器であり、また
前記第2光学デバイスは、前記モードフィールドアダプタから前記クラッド光を受け取り、且つ、前記クラッド光をフィーディングファイバに向けて伝送するように構成される増幅器である、光学系。
【請求項14】
第1長さ部分にわたって入力ファイバからコーティングを剥ぎ取るステップと、
前記入力ファイバのコア対クラッド比が前記第1長さ部分の一部にわたって変化するように、前記第1長さ部分の一部にわたって、少なくとも前記入力ファイバの内側クラッドを断熱的にエッチングするステップと、
第2長さ部分にわたって出力ファイバからコーティングを剥ぎ取るステップと、
前記出力ファイバのコア対クラッド比が第2長さ部分の一部にわたって一定となるように、前記第2長さ部分の一部にわたって、前記出力ファイバの内側クラッド及びコアを断熱的にテーパ加工するステップと、及び
前記入力ファイバのくびれ部及び前記出力ファイバのくびれ部に相当する接合点で、前記入力ファイバを前記出力ファイバに接合するステップと、
を含む方法であって、
前記入力ファイバのコア基本モードは、前記接合点で前記出力ファイバのコア基本モードと一致し、また
前記入力ファイバの内側クラッド及び前記出力ファイバの内側クラッドはそれぞれ、前記接合点で一致する直径を有する、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記入力ファイバの内側クラッド、前記入力ファイバの1つ以上の外側クラッド、及び前記出力ファイバの1つ以上の外側クラッドが、酸エッチング処理、レーザーアブレーション処理、又は機械加工処理のうちの1つ以上を利用してエッチングされる、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、さらに、
前記入力ファイバの内側クラッド及び1つ以上の外側クラッドをエッチングした後に、前記入力ファイバの内側クラッド及び1つ以上の外側クラッドを研磨するステップと、
前記入力ファイバのくびれ部で前記入力ファイバを割断するステップと、
前記出力ファイバの1つ以上の外側クラッドをエッチングした後に、前記出力ファイバの1つ以上の外側クラッドを研磨するステップと、及び
前記出力ファイバのくびれ部で前記出力ファイバを割断するステップと、
を含み、前記入力ファイバ及び前記出力ファイバをそれぞれのくびれ部で割断した後で、前記入力ファイバが前記出力ファイバに接合される、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記入力ファイバの内側クラッド、前記入力ファイバの1つ以上の外側クラッド、及び前記出力ファイバの1つ以上の外側クラッドは、ファイヤーポリッシュ処理、レーザー研磨処理、又は機械研磨処理のうちの1つ以上を利用して研磨される、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法において、前記入力ファイバ及び前記出力ファイバの内側クラッド内で搬送されるクラッド光の輝度を持続させるように、前記入力ファイバの内側クラッドの直径が断熱的に減少し、且つ、前記出力ファイバの内側クラッドの直径が断熱的に増加する、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、前記出力ファイバは、前記第2長さ部分の一部にわたって変化する直径を有するコアを備える、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法において、さらに、パッケージ内に、少なくとも第1長さ部分及び第2長さ部分を封入するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2021年11月22日に出願された「HIGH CLADDING POWER MODE FIELD ADAPTER FOR KILOWATT FIBER LASERS.」と題する米国仮特許出願第63/264,431号の優先権を主張する。先の出願の開示は、本特許出願の一部とみなされ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
一般に、本開示はモードフィールドアダプタ(MFA)に関し、また、高パワークラッド光を処理し、且つ、輝度を持続させるために、入力ファイバ及び出力ファイバのコア基本モードフィールド及びクラッドサイズを一致させるMFAに関する。
【背景技術】
【0003】
モードフィールドアダプタ(MFA)は、モードフィールド変換器と呼ばれることもあり、MFAは、異なるコア径、異なるクラッド径、及び/又は異なる開口数を有する2本のファイバを接続するために、横断方向の空間次元においてモードを拡大又は縮小するのに使用可能な光学デバイスである。例えば、入力ファイバと出力ファイバとでコアサイズが異なる光学系(例えば、高パワーのファイバレーザー又はファイバ増幅器)では、2つの非対称なファイバ形状間で標準的な接合を行うと、高い挿入損失及びビーム品質の劣化をもたらすおそれがある。したがって、MFAは、入力ファイバ及びより大きな出力ファイバの基本コアモード間におけるブリッジとして利用することができる。例えば、MFAは、2本のファイバ間にある断熱テーパを利用して、入力ファイバと出力ファイバの間のモードフィールドを徐々に拡大又は圧縮することができる。例えば、MFAを使用することにより、シングルモード光ファイバ又は大モード面積(LMA)ファイバのモードフィールドを効率的に拡大して、より大きいLMAファイバのコア基本モード(本明細書では、LP01モードと称することもある)を整合すること、及び/又は、偏波保持(PM)ファイバのモードフィールドを拡大して、偏波保持LMA(PLMA)ファイバのLP01モードを整合することができる。さらに、MFAは双方向であってもよく、それにより、出力端を入力として使用する場合、MFAを逆に使用して、モードフィールドを圧縮することができる。したがって、MFAをビーム送達システム又は別の高パワーの装置に接合すると、信号の伝送及び/又はビーム品質を、標準的な接合と比べて向上させることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実装形態では、モードフィールドアダプタは、基本モードフィールド径を有するコア、及び、第1ファイバのコアを取り囲み、第1ファイバのくびれ部に向かって減少する直径を有するクラッド、を含む第1ファイバであって、第1ファイバのコアを取り囲むクラッドは、第1ファイバのコアとコアを取り囲むクラッドとの比率が第1ファイバの長さにわたって変化するように、断熱的にエッチングされる、該第1ファイバと、及び第2ファイバのくびれ部で第1ファイバの基本モードフィールド径に一致する基本モードフィールド径を有するコア、及び、第2ファイバのコアを取り囲み、第2ファイバのくびれ部で第1ファイバのクラッドの直径と一致し、且つ、第2ファイバのくびれ部から離れるにつれて増加する直径を有するクラッド、を含む第2ファイバであって、第2ファイバのコア及び第2ファイバのコアを取り囲むクラッドは、第2ファイバのコアと第2ファイバのクラッドとの比率が第2ファイバの長さにわたって一定になるように断熱的にテーパ加工される、該第2ファイバと、を備える。
【0005】
いくつかの実装形態では、光学系は、コア光を搬送するコア、及び、コアを取り囲み、高パワークラッド光を搬送するクラッド、を有する第1光学デバイスと、コア光を搬送するコア、及び、コアを取り囲み、高パワークラッド光を搬送するクラッド、を有する第2光学デバイスであって、第1光学デバイスのコア及び第2光学デバイスのコアが有する基本モードフィールドが異なる、第2光学デバイスと、第1光学デバイスと第2光学デバイスの間に結合されたモードフィールドアダプタであって、モードフィールドアダプタは、コア、及び、入力ファイバのコアを取り囲み、断熱的に減少する直径を有するクラッド、を有する入力ファイバであり、入力ファイバのクラッドは、入力ファイバのコアとコアを取り囲むクラッドとの比率が入力ファイバの長さにわたって変化するように、断熱的にエッチングされる、入力ファイバを含み、また、モードフィールドアダプタは、コア、及び、出力ファイバのコアを取り囲み、出力ファイバのくびれ部で入力ファイバのクラッドの直径と一致する直径を有するクラッド、を有する出力ファイバを含み、入力ファイバのコア基本モードは出力ファイバのくびれ部で出力ファイバのコア基本モードと一致し、出力ファイバのクラッドの直径は断熱的に増加し、出力ファイバのコア及び出力ファイバのコアを取り囲むクラッドは、出力ファイバのコアと出力ファイバのコアを取り囲むクラッドとの比率が出力ファイバのコアの長さにわたって一定となるように、断熱的にテーパ加工される、該モードフィールドアダプタと、を備える。
【0006】
いくつかの実装形態では、方法は、第1長さ部分にわたって入力ファイバからコーティングを剥ぎ取るステップと、入力ファイバのコア対クラッド比が第1長さ部分の一部にわたって変化するように、第1長さ部分の一部にわたって、少なくとも入力ファイバの内側クラッドを断熱的にエッチングするステップと、第2長さ部分にわたって出力ファイバからコーティングを剥ぎ取るステップと、出力ファイバのコア対クラッド比が第2長さ部分の一部にわたって一定となるように、第2長さ部分の一部にわたって、出力ファイバの内側クラッド及びコアを断熱的にテーパ加工するステップと、入力ファイバのくびれ部及び出力ファイバのくびれ部に相当する接合点で、入力ファイバを出力ファイバに接合するステップと、を含み、入力ファイバのコア基本モードは、接合点で出力ファイバのコア基本モードと一致し、また入力ファイバの内側クラッド及び出力ファイバの内側クラッドはそれぞれ、接合点で一致する直径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書に記載されている、例示的な高クラッドパワーのモードフィールドアダプタ(MFA)の概略図である。
【
図2A】本明細書に記載されている、高クラッドパワーMFAを製造するための例示的な工程の概略図である。
【
図2B】本明細書に記載されている、高クラッドパワーMFAを製造するための例示的な工程の概略図である。
【
図2C】本明細書に記載されている、高クラッドパワーMFAを製造するための例示的な工程の概略図である。
【
図3】本明細書に記載されている、高クラッドパワーMFAを含む例示的な光学系の概略図である。
【
図4】本明細書に記載されている、高クラッドパワーMFAを製造するための例示的な方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な実装形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面中の同一の参照符号は、同一又は類似の要素を識別可能である。
【0009】
上記のように、モードフィールドアダプタ(MFA)は、第1ファイバ(例えば、入力ファイバ)及び第2ファイバ(例えば、出力ファイバ)のコア基本モードフィールドを結合する、あるいは一致させるために使用可能な光学デバイスである。例えば、主発振器ファイバ増幅器(MOFA)構成を有するクラッド励起型高パワーファイバレーザー等のファイバレーザーシステムでは、通常、シードレーザーファイバ(例えば、発振器ファイバ)のモードフィールドと、増幅器ファイバのコア基本モード(本明細書ではLP01モードと称することもある)とを一致させてビーム品質を向上させるために、MFAが必要とされる。例えば、MFAを使用することで、シングルモード又は大モード面積(LMA)入力ファイバのコア基本モードを効率的に拡大して、より大きいLMAファイバのLP01モードに一致させること、及び/又は、偏波保持(PM)ファイバのモードフィールドを拡大して、偏波保持LMA(PLMA)ファイバのLP01モードに一致させることができる。さらに、MFAは双方向であってもよく、出力端が入力として使用される場合、MFAを逆に使用して、コア基本モードフィールドを圧縮することができる。したがって、MFAがビーム送達システム又は別の高パワーの装置に接合されると、通常は高い挿入損失及びビーム品質の劣化(例えば、ビームが理想的なガウスビームからどの程度変化しているかを表すビーム伝搬比又はビーム品質係数を指すM2因子が不十分であること)を伴う標準的な接合に比べて、信号の伝送及び/又はビーム品質を向上させることができる。
【0010】
しかしながら、一般に、既存のMFA設計は、MFAを使用して接続される2本のファイバのコア基本モードフィールドを一致させることに限定される。したがって、既存のMFA設計は、高パワークラッド光を処理することができず、又は高パワークラッド光を処理する能力に限界があり、そのせいで、既存のMFA設計は、ファイバコア内で光を搬送することに加え、クラッド内で高パワー光を搬送する用途には適していない。
例えば、ある既存のMFA設計は、熱膨張型のコア(TEC)を用いるMFAであり、これは、いくつかのシングルモードファイバにおいて広く使用されている。しかしながら、特にLMAファイバが比較的大きなコア及び低い開口数(NA)を有する場合、TECを用いるMFAは、多くのLMAファイバにおいてうまく機能しない。したがって、TEC技術に基づくMFA設計の用途は、少数のファイバタイプに限定される。さらに、場合によっては、TEC及びファイバテーパを用いるMFAを使用することができ、TEC及びファイバテーパ技術を組み合わせたものは、より広範囲にわたるファイバにおいて機能することができる。しかしながら、入力ファイバのクラッドサイズが出力ファイバのクラッドサイズと同じ又はそれよりも大きい場合、入力側は、接合点で出力側よりもより大きいクラッド径を有し、このため、高パワークラッド光が存在する場合には、TEC及びファイバテーパを用いるMFAが機能することを妨げるおそれがある。さらに、ファイバテーパを用いるMFAは、通常、クラッドサイズが接合点で一致しないため、高パワークラッド光を十分に持続させることができない(例えば、ビームパラメータ積(BPP)が数倍高くなり、ビーム品質を著しく悪化させ、著しい損失を招く)という点で、同様の欠点を有するに過ぎない。
【0011】
本明細書に記載されているいくつかの実装形態は、高パワークラッド光を処理し、且つ、輝度を持続させるために、第1ファイバ(例えば、シングルモード又はLMA入力ファイバ)のコア基本モードを第2ファイバ(例えば、より大きなLMA出力ファイバ)のLP01モードと一致させ、且つ、第1ファイバのクラッドサイズを第2ファイバのクラッドサイズと一致させる高クラッドパワーMFAに関する。例えば、いくつかの実装形態では、MFAは、基本モードフィールドを有するコアを含む第1ファイバと、第1ファイバと第2ファイバとの接合点(例えば、第1ファイバのくびれ部及び第2ファイバのくびれ部に相当する)で第1ファイバの基本モードフィールドに一致する基本モードフィールドを有するコアを含む第2ファイバと、を備えてもよい。例えば、本明細書に記載されているように、光ファイバのコア基本モードフィールドは、モードフィールド径(MFD)に関連し得るものであり、MFDは、自由空間内を伝搬するビームのビーム径の1/e2倍の寸法に相似すると考えられる放射照度分布の幅(例えば、シングルモードファイバの端面を横切る単位面積当たりの光パワー)の寸法である。
【0012】
したがって、第1ファイバのコア及び第2ファイバのコアが同じ開口数(NA)を有する場合、コア径が同じであるときに、コアモードフィールドが一致することができる。あるいは、第1ファイバ及び第2ファイバのコアが異なるNAを有する場合、MFAは、入力ファイバ及び出力ファイバのコア基本モード(又はLP01モード)フィールドを一致させることができる。さらに、本明細書に記載されているように、第1ファイバは、第1ファイバのコアを取り囲むクラッドを含んでもよく、すなわち、クラッドは、(例えば、クラッドから材料を除去するために、)第1ファイバのコアを取り囲むクラッドの直径が第1ファイバのくびれ部に向かって断熱的に減少するように、エッチングされる。さらに、第2ファイバは、第2ファイバのコアを取り囲むクラッドを含んでもよく、この場合、第2ファイバのコア及びコアを取り囲むクラッドは、第2ファイバのコアを取り囲むクラッドの直径が、第2ファイバのくびれ部で第1ファイバのクラッドの直径と一致し、且つ、第2ファイバのくびれ部から離れるにつれて断熱的に増加するようにテーパ加工されてもよい(例えば、第2ファイバが加熱された後で所望のサイズに引っ張られてもよい)。
このようにして、本明細書に記載されているMFAは、クラッド内を進む光を持続させる(例えば、クラッド光の損失を確実になくす)ことができ、またクラッド光の輝度を一定に保つことができる設計を有する。
【0013】
図1は、本明細書に記載される高クラッドパワーMFA100の一実施例の概略図である。
図1に示すように、高クラッドパワーMFAは、入力ファイバのくびれ部及び出力ファイバのくびれ部に相当する接合点160で出力ファイバに接合された入力ファイバを備える。
図1に示すように、入力ファイバ及び出力ファイバはそれぞれ、第1(内側)クラッド120によって取り囲まれたコア110と、第1クラッド120を取り囲む第2(外側)クラッド130と、第2クラッド130を取り囲むコーティング140と、を備える。さらに、
図1では、参照符号150は入力ファイバ及び/又は出力ファイバの断面図を示し、1つの例示的な構成では、コア110が30マイクロメートル(μm)の直径を有してもよく、第1クラッド120が440μmの直径を有してもよく、第2クラッド130が500μmの直径を有してもよく、また、コーティング140が650μmの直径を有してもよい。しかしながら、これらの直径は例に過ぎず、他の適切な寸法を使用してもよいことが理解されるであろう。例えば、一般に、第1クラッド120の直径は、0.04ミリメートルから2ミリメートル超でもよく、コア110及び第2クラッド130の直径は、それに応じて変更されてもよい。さらに、
図1に示す高パワーMFA100の実施例は二重クラッドファイバであるが、入力ファイバ及び出力ファイバは、1つのクラッド層、2つのクラッド層、3つのクラッド層、又は3を越える数のクラッド層を有してもよいことが理解されよう一般に、入力ファイバ及び/又は出力ファイバが複数のクラッドを有する場合、複数のクラッドは、内側から外側へ向かって、第1クラッド、第2クラッド、第3クラッド等と称することができる(例えば、最も内側のクラッドは、第1クラッドと呼ぶことができ、最も内側のクラッドを取り囲むクラッドは、第2クラッドと呼ぶことができる、等)。さらに、いくつかの実装形態では、入力ファイバ及び出力ファイバが異なる数のクラッド層を有してもよく、クラッド層が異なるサイズを有してもよく、及び/又は、クラッド層が異なる形状(例えば、円形、六角形、八角形、及び/又はD字状の形状)を有してもよい。
【0014】
いくつかの実装形態では、
図1に示すように、高クラッドパワーMFA100は、入力ファイバが、一定の長さにわたって剥ぎ取られたコーティング140-1を有し、次いで、クラッド120-1及び130-1が、(例えば、クラッド120-1、130-1から材料を除去することによって)設計された直径になるまで断熱的にエッチングされるように、設計されてもよい。次いで、クラッド120-1及び130-1のエッチングされた領域はファイヤーポリッシュ(先端熱加工)されてもよい。いくつかの実装形態では、クラッド120-1、130-1のエッチングは、損失をなくす及び輝度を一定に保つことを確実にするように、滑らか(例えば、断熱的)である。したがって、本明細書に記載されているように、高クラッドパワーMFA100は、パワーを搬送可能な任意のクラッドが、そのようなクラッド内で搬送される光の輝度を維持するために断熱的にエッチングされるように、設計されてもよい。さらに、図示のように、出力ファイバはコーティング140-2を有し、コーティング140-2も一定の長さにわたって剥ぎ取られ、その後、外側クラッド130-2は、断熱的にエッチング除去され、また、エッチングによって粗面化されたガラス表面を滑らかにするために、エッチングされた区間にわたってファイヤーポリッシュされる。いくつかの実装形態では、次いで、出力ファイバの内側クラッド120-2及びコア110-2は、内側クラッド120-2の直径が、エッチングされた入力ファイバの内側クラッド120-1の直径と一致するように、断熱的にテーパ加工される。内側クラッド120-2がテーパ加工されている間、コア110-2も断熱的にテーパ加工される。例えば、出力ファイバの内側クラッド120-2及びコア110-2をテーパ加工するために、出力ファイバは、内側クラッド120-2及びコア110-2が同じ比率でテーパ状になるように(例えば、テーパ加工を行っても、内側クラッド120-2とコア110-2との比率が変化しないように)、加熱され、且つ、所望のサイズになるまで引っ張られてもよい。次いで、入力ファイバは、接合点160で出力ファイバに接合され、サンプルは、(例えば、コーティング140-1、140-2が入力ファイバ及び出力ファイバから除去された領域における露出部分を保護するために、)パッケージ170内に封入される。
【0015】
いくつかの実装形態では、本明細書に記載されているように、高クラッドパワーMFA100を製造するための方法は、入力ファイバのコーティング140-1を剥ぎ取るステップと、(もしあれば)入力ファイバの1つ以上の外側クラッド130-1を断熱的にエッチング除去するステップと、内側クラッド120-1を設計されたサイズ(例えば、接合点160で出力ファイバの内側クラッド120-2の直径に一致する直径)になるまで断熱的にエッチングするステップと、を含んでもよい。例えば、いくつかの実装形態では、入力ファイバの外側クラッド130-1及び内側クラッド120-1は、酸エッチング処理、CO2レーザーアブレーション処理、機械加工処理、及び/又は別の好適な材料除去処理を利用して、(例えば、材料を除去するために)断熱的にエッチングされてもよい。一般に、外側クラッド130-1及び内側クラッド120-1がエッチングされる場合、外側クラッド130-1及び内側クラッド120-1からのみ材料が除去され、コア110-1は影響を受けない。こうすることにより、エッチングを利用して、コア110-1と内側クラッド120-1との比率を変更し、あるいは他の方法で制御することができる。いくつかの実装形態では、エッチングされたクラッド120-1、130-1のガラス表面がエッチング後に粗面化している可能性があり、それにより、エッチングされたクラッド120-1、130-1における粗面化された表面を滑らかにするために、クラッド120-1、130-1におけるエッチングされた部分は、ファイヤーポリッシュ、CO2レーザー研磨、機械的研磨、及び/又は他の方法で研磨されてもよい。次いで、入力ファイバは、くびれ部(例えば、入力ファイバに沿った位置であって、直径が目標値に到達するような位置)で割断されてもよい。いくつかの実装形態では、コーティング140-2は、出力ファイバから同様に剥ぎ取られてもよく、出力ファイバの外側クラッド130-2(もしあれば)は、酸、レーザーアブレーション、機械加工、及び/又は他の好適な技法を用いて断熱的にエッチング除去される。次いで、もしあれば、外側クラッド130-2におけるエッチングされた区間は、エッチングによって粗面化された可能性のあるガラス表面を滑らかにするために、ファイヤーポリッシュ又は他の方法で研磨される。いくつかの実装形態では、次いで、出力ファイバの内側クラッド120-2及びコア110-2が、(例えば、出力ファイバを加熱し、且つ、内側クラッド120-2及びコア110-2が所望のサイズを有するようになるまで出力ファイバを引っ張ることによって、)設計されたサイズになるまで断熱的にテーパ加工され、次いで、出力ファイバが、出力ファイバのくびれ部で割断される。次いで、入力ファイバが、接合点160で出力ファイバに接合され、適切にパックされる(例えば、パッケージ170内に封入される)。
【0016】
したがって、パラメータを注意深く設計することにより(例えば、直径、エッチング長、テーパ加工のパラメータ、及び/又は断熱条件を満たす他のパラメータを選択することにより)、各コア110-1、110-2のLP01モードフィールド、並びに、入力ファイバ及び出力ファイバの内側クラッド120-1、120-2の直径を接合点160で一致させることができ、これにより、高クラッドパワーMFA100は、コア110-1、110-2内で高いビーム品質を維持することができ、また、高パワークラッド光は、損失や劣化がほとんど又は全くない状態で、内側クラッド120-1、120-2を通過することもできる。例えば、本明細書に記載されているように、エッチングとテーパ加工を組み合わせて使用することで、MFA100は、入力ファイバと出力ファイバのほぼどんな組み合わせでも、コア基本モード及びクラッドサイズを一致させるように設計することができる。さらに、いくつかの実装形態では、高クラッドパワーMFA100は、コア110-1、110-2内で高いビーム品質を維持することができ、また、高クラッドパワーMFA100により、コア110-1、110-2が同じNAを有するか異なるNAを有するかにかかわらず、高パワークラッド光が、内側クラッド120-1、120-2の中を通過することができる。
【0017】
例えば、コア110-1、110-2が同じNAを有する場合、コア110-1、110-2の直径は、接合点160で一致することができ、又は、コア110-1、110-2が異なるNAを有する場合、基本モード(LP01モード)のモードフィールドを、接合点160で一致させることができる。一実施例では、入力ファイバのコア110-1及び出力ファイバのコア110-2が同じNA及び異なる直径を有する場合、コア110-1、110-2の直径及び内側クラッド120-1、120-2の直径が接合点で一致するように、入力ファイバ及び出力ファイバを断熱的にエッチング及び/又は断熱的にテーパ加工することができる。例えば、入力ファイバのコア110-1及び内側クラッド120-1がそれぞれ12μm及び500μmの直径を有し、出力ファイバのコア110-2及び内側クラッド120-2がそれぞれ30μm及び500μmの直径を有すると仮定した場合、入力ファイバのコア110-1及び内側クラッド120-1が、入力ファイバのくびれ部に相当する接合点160でそれぞれ12μm及び200μmの直径を有するように、入力ファイバを断熱的にエッチングすることができる。さらに、出力ファイバのコア110-2及び内側クラッド120-2が、入力ファイバのくびれ部に相当する接合点160でそれぞれ12μm及び200μmの直径を有するように、出力ファイバを断熱的にテーパ加工することができる。別の実施例では、入力ファイバのコア110-1及び内側クラッド120-1がそれぞれ20μm及び500μmの直径を有し、出力ファイバのコア110-2及び内側クラッド120-2がそれぞれ30μm及び500μmの直径を有する場合、コア110-1、110-2が接合点160でそれぞれ20μmの直径を有し、内側クラッド120-1、120-2が接合点160でそれぞれ333μmの直径を有するように、入力ファイバ及び出力ファイバを断熱的にエッチング及び/又はテーパ加工することができる。
【0018】
あるいは、コア110-1、110-2が異なるNAを有する場合には、波長に基づいてモードフィールド径を決定することができる。一実施例では、入力ファイバのコア110-1及び内側クラッド120-1がそれぞれ12μm及び500μmの直径を有し、入力ファイバのコア110-1が0.065のNAを有し、出力ファイバのコア110-2及び内側クラッド120-2がそれぞれ30μm及び450μmの直径を有し、出力ファイバのコア110-2が0.1のNAを有し、波長は1080ナノメートル(nm)である。この実施例では、コア110-1及び内側クラッド120-1が、入力ファイバのくびれ部に相当する接合点160でそれぞれ12μm及び258μmの直径を有するように、入力ファイバの内側クラッド120-1を断熱的にエッチングすることができる。さらに、出力ファイバのコア110-2及び内側クラッド120-2が、入力ファイバのくびれ部に相当する接合点160でそれぞれ17.2μm及び258μmの直径を有するように、出力ファイバの内側クラッド120-2及びコア110-2を断熱的にテーパ加工することができる。この場合、モードフィールド径は、波長が1080nmのときに、直径が12μm且つNAが0.065の場合と、直径が17.2μm且つNAが0.1の場合とで同じであるため、コア110-1、110-2の基本モードフィールドが一致し、内側クラッド120-1、120-2のサイズが一致する。
【0019】
したがって、
図1に示し、また本明細書に記載されているように、高クラッドパワーMFA100は、入力ファイバのコア基本モードを出力ファイバのコア基本モードに一致させることができ、また、入力ファイバ及び出力ファイバの内側クラッドサイズを一致させることで、内側クラッド120-1、120-2内で搬送可能な高パワークラッド光を処理し、且つ、高パワークラッド光の輝度を持続させることができる。例えば、本明細書に記載されているように、入力ファイバは、基本モードフィールドを有するコア110-1、及び、入力ファイバのコア110-1を取り囲み、入力ファイバのくびれ部に向かって断熱的に減少する直径を有するクラッド120-1を含んでもよい。さらに、高クラッドパワーMFAは、出力ファイバのくびれ部で入力ファイバの基本モードフィールドに一致する基本モードフィールドを有するコア110-2を有する出力ファイバを備える。また、図示のように、出力ファイバは、出力ファイバのコア110-2を取り囲み、出力ファイバのくびれ部で入力ファイバのクラッド120-1の直径に一致する直径を有するクラッド120-2も備え、出力ファイバのクラッド120-2の直径は、出力ファイバのくびれ部から離れるにつれて断熱的に増加する。したがって、クラッド120-1、120-2が高パワークラッド光を搬送するように構成される場合、クラッド120-1、120-2の中で搬送されるクラッド光の輝度を持続させるように、入力ファイバの内側クラッド120-1の直径が断熱的に減少し、且つ、出力ファイバの内側クラッド120-2の直径が断熱的に増加する。さらに、入力ファイバ及び/又は出力ファイバが(例えば、内側クラッド120を取り囲む)1つ以上の外側クラッドを備える場合、外側クラッドの直径は、断熱的に増加及び/又は減少してもよい。さらに、図示のように、高クラッドパワーMFAは、少なくとも、入力ファイバの内側クラッド120-1のサイズが減少する第1長さ部分と、出力ファイバの内側クラッド120-2のサイズが増加する第2長さ部分と、を封入するパッケージ170を備えることができる。例えば、入力ファイバ及び出力ファイバはそれぞれ、少なくとも、入力ファイバの内側クラッド120-1のサイズが減少する第1長さ部分と、出力ファイバの内側クラッド120-2のサイズが増加する第2長さ部分と、にわたって剥ぎ取られたコーティング140-1、140-2を備え、パッケージ170は、少なくとも各コーティング140-1、140-2が剥ぎ取られた領域を封入することができる。
【0020】
上記のように、
図1は一実施例として提示される。他の実施例は、
図1に関して説明したものとは異なる場合がある。
図1に示す装置の数と配置は、例として示されている。実際には、
図1に示すものよりも多い装置、より少ない装置、異なる装置、又は配置の異なる装置が存在してもよい。さらに、
図1に示す2つ以上の装置が単一の装置内に実装されてもよいし、
図1に示す単一の装置が複数の分散型装置として実装されてもよい。加えて、又はあるいは、
図1に示す装置のセット(例えば、1つ以上の装置)は、
図1に示す装置の別のセットが実行するものとして記載されている1つ以上の機能を実施してもよい。
【0021】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載されている高クラッドパワーMFAを製造するための例示的な工程200の概略図である。
【0022】
いくつかの実装形態では、
図2Aで参照符号210によって示すように、第1ファイバ(例えば、入力ファイバ)は、コア、コアを取り囲む内側クラッド、内側クラッドを取り囲む外側クラッド、及び、外側クラッドを取り囲むコーティングを備えてもよい。参照符号212によって示すように、第1ファイバのコーティングは、所望の長さにわたって剥ぎ取られてもよい。
図2Aで参照符号214によってさらに示すように、第1ファイバの内側クラッド及び外側クラッドは、設計されたサイズになるまで断熱的にエッチングされる。例えば、いくつかの実装形態では、第1ファイバの外側クラッド及び内側クラッドは、酸エッチング処理、CO
2レーザーアブレーション処理、機械加工処理、及び/又は別の好適な材料除去処理を利用して、(例えば、材料を除去するために)断熱的にエッチングされてもよい。一般に、外側クラッド及び内側クラッドがエッチングされる場合、クラッドからのみ材料が除去され、第1ファイバのコアは影響を受けない。こうすることにより、エッチングを利用して、第1ファイバのコアと内側クラッドとの比率を変更し、あるいは他の方法で制御することができる。いくつかの実装形態では、エッチングされたクラッドのガラス表面が、エッチング後に粗面化していてもよい。したがって、参照符号216によって示すように、エッチングされたクラッドにおける粗面化された表面を滑らかにするために、クラッドにおけるエッチングされた部分は、ファイヤーポリッシュ、CO
2レーザー研磨、機械的研磨、及び/又は他の方法で研磨されてもよい。次いで、参照符号216によってさらに示すように、第1ファイバは、くびれ部(例えば、第1ファイバに沿った位置であって、直径が目標値に到達するような位置)で割断されてもよい。
【0023】
いくつかの実装形態では、
図2Bで参照符号220によって示すように、第2ファイバ(例えば、出力ファイバ)が、コア、コアを取り囲む内側クラッド、内側クラッドを取り囲む外側クラッド、及び、外側クラッドを取り囲むコーティングを備えてもよい。参照符号222によって示すように、第2ファイバのコーティングは、所望の長さにわたって剥ぎ取られてもよい。参照符号224によって示すように、(もしあれば)出力ファイバの1つ以上の外側クラッドは、酸、レーザーアブレーション、機械加工、及び/又は他の適切な技術を用いて、断熱的にエッチング除去される。次いで、参照符号225によって示すように、エッチングによって粗面化された可能性があるガラス表面を滑らかにするために、外側クラッドにおけるエッチングされた区間が、ファイヤーポリッシュ又は他の方法で研磨される。次いで、参照符号227によって示すように、出力ファイバの内側クラッド及びコアは、(例えば、出力ファイバを加熱し、且つ、内側クラッド及びコアが所望のサイズを有するようになるまで出力ファイバを引っ張ることによって、)設計されたサイズになるまで断熱的にテーパ加工される。次いで、参照符号229によって示すように、出力ファイバは、出力ファイバのくびれ部で割断される。したがって、
図2Cで参照符号230によって示すように、次いで、入力ファイバは、接合点で出力ファイバに接合され、適切にパックされる(例えば、パッケージの中に封入される)。
【0024】
上記のように、
図2A~
図2Cは一実施例として提示される。他の実施例は、
図2A~
図2Cに関して説明したものとは異なる場合がある。例えば、
図2A~
図2Cは、入力ファイバをエッチングして、入力ファイバのコア対内部クラッドの比率を変更すること、及び、出力ファイバの内部クラッド及びコアをテーパ加工して、出力ファイバのコア対内部クラッドの比率を維持することによって、高クラッドパワーMFAが製造される例示的な工程200を示している。他の実施例では、入力ファイバ及び出力ファイバの両方が断熱的にエッチングされてもよく(例えば、入力ファイバ及び出力ファイバのコアが変化しない)、入力ファイバのクラッドがエッチングされてもよく、出力ファイバのクラッドがテーパ加工されてもよく、入力ファイバのクラッドがエッチングされてもよく、出力ファイバのクラッドがエッチングされてもよく、出力ファイバのクラッドがエッチングされてから、(エッチングされた)出力ファイバのコア及びクラッドがテーパ加工されてもよく、入力ファイバ及び出力ファイバの両方のクラッド及びコアがテーパ加工されてもよく、あるいは、エッチング及びテーパ加工を組み合わせて、入力ファイバ及び出力ファイバの両方に使用してもよい。
【0025】
図3は、本明細書に記載されている高クラッドパワーMFA100を含む例示的な光学系300の概略図である。例えば、
図3に示す光学系300は、主発振器ファイバ増幅器(MOFA)構成を有するクラッド励起型高パワーファイバレーザーの実施例であってもよく、MFA100は、ビーム品質を向上させるために、シードレーザー(例えば、ファイバレーザー発振器320)のモードフィールドと増幅器330のLP01モードとを一致させるのに必要な場合がある。例えば、
図3に示すように、光学系300は、ポンプコンバイナ310、ファイバレーザー発振器320、及び増幅器330を備えてもよい。発振器320は、増幅器330よりもはるかに小さいコアを有するファイバを備え、発振器320及び増幅器330のファイバは両方とも高パワークラッド光を搬送する。したがって、いくつかの実装形態では、高クラッドパワーMFAは、発振器320と増幅器330の間でブリッジファイバとして作用して、コア基本モード、及び、発振器320及び増幅器330の最も内側のクラッドの直径の両方を一致させる。このようにして、高クラッドパワーMFA100は、コアと、各コアを取り囲むクラッドとの両方の中でビーム品質及びパワーが維持されるように、発振器320及び増幅器330の最も内側のクラッド内で搬送される高パワークラッド光を処理する。
【0026】
したがって、本明細書に記載されているように、高クラッドパワーMFA100は、コア光を搬送するコア、及び、コアを取り囲むクラッドを含む第1光学デバイスと、高パワークラッド光を搬送するコア、及び、コアを取り囲むクラッドを含む第2光学デバイスと、を備える光学系であって、第1光学デバイス及び第2光学デバイスのコアが異なる基本モードフィールドを有する光学系で使用することができる。例えば、高クラッドパワーMFA100は、第1光学デバイスと第2光学デバイスの間に結合されてもよく、また、コア、及び、入力ファイバのコアを取り囲み、断熱的に減少する直径を有するクラッドを含む入力ファイバを備えてもよい。加えて、高クラッドパワーMFAは、コア、及び、出力ファイバのコアを取り囲み、出力ファイバのくびれ部で入力ファイバのクラッドの直径と一致する直径を有するクラッドを含む出力ファイバを備えてもよい。したがって、入力ファイバのコア基本モードは、出力ファイバのくびれ部で、出力ファイバのコア基本モードと一致し、また、出力ファイバのクラッドの直径は、コアと、各コアを取り囲むクラッドとの両方の中でビーム品質及び出力が維持されるように、断熱的に増加する。例えば、
図3に示す光学系300では、第1光学デバイスは、ポンプコンバイナ310からクラッド光を受光するファイバレーザー発振器320であってもよい。ファイバレーザー発振器320は、受光したクラッド光の一部を吸収し、クラッド光の残りの部分(吸収されなかった部分)を高クラッドパワーMFA100に向けて伝送してもよい。さらに、第2光学デバイスは、高クラッドパワーMFA110からクラッド光を受け取るように構成される増幅器330であってもよく、大部分のクラッド光は増幅器330で吸収され、クラッド光の残りの部分はフィーディングファイバ(明示的には図示せず)に伝送される。同時に、光学系300は、ファイバレーザー発振器320のコア内の光を、高クラッドパワーMFA100のコア内に伝送し、高クラッドパワーMFA100のコアを通じて、増幅器330のコア内に(このコア内のパワーは、クラッド内のパワーによって増幅される)、及びフィーディングファイバ内(明示的には図示せず)に伝送する。
【0027】
上記のように、
図3は一実施例として提示される。他の実施例は、
図3に関して説明したものとは異なる場合がある。
図3に示す装置の数と配置は、例として示されている。実際には、
図3に示すものよりも多い装置、より少ない装置、異なる装置、又は配置の異なる装置が存在してもよい。さらに、
図3に示す2つ以上の装置が単一の装置内に実装されてもよいし、
図3に示す単一の装置が複数の分散型装置として実装されてもよい。加えて、又はあるいは、
図3に示す装置のセット(例えば、1つ以上の装置)は、
図3に示す装置の別のセットが実行するものとして記載されている1つ以上の機能を実行してもよい。
【0028】
図4は、本明細書に記載されている、高クラッドパワーのモードフィールドアダプタを作製するための例示的な方法400のフローチャートである。
【0029】
図4に示すように、方法400は、第1長さ部分にわたって入力ファイバからコーティングを剥ぎ取るステップを含んでもよい(ブロック410)。
図4にさらに示すように、方法400は、入力ファイバのコア対クラッド比が第1長さ部分の一部にわたって変化するように、第1長さ部分の一部にわたって、少なくとも入力ファイバの内側クラッドを断熱的にエッチングするステップを含んでもよい(ブロック420)。いくつかの実装形態では、入力ファイバの内側クラッド及び任意の外側クラッドは、酸エッチング処理、レーザーアブレーション処理、機械加工処理、及び/又は別の適切な処理を利用してエッチングされてもよい。
【0030】
図4にさらに示すように、方法400は、第2長さ部分にわたって出力ファイバからコーティングを剥ぎ取るステップを含んでもよい(ブロック430)。
図4にさらに示すように、方法400は、出力ファイバのコア対クラッド比が第2長さ部分の一部にわたって一定となるように、第2長さ部分の一部にわたって出力ファイバの内側クラッド及びコアを断熱的にテーパ加工するステップを含んでもよい(ブロック440)。いくつかの実装形態では、出力ファイバが1つ以上の外側クラッドを備える場合、出力ファイバの1つ以上の外側クラッドは、酸エッチング処理、レーザーアブレーション処理、機械加工処理、及び/又は別の適切な処理を利用してエッチングされてもよい。いくつかの実装形態では、出力ファイバは、第2長さ部分の一部にわたって変化する直径を有するコアを備えてもよい。
【0031】
いくつかの実装形態では、入力ファイバの内側クラッド(及び、もし存在する場合、入力ファイバの任意の外側クラッド)をエッチングした後、入力ファイバにおけるエッチングされたクラッドは研磨されてもよく、入力ファイバは、入力ファイバのくびれ部で割断されてもよい。さらに、出力ファイバが1つ以上の外側クラッドを備える場合、出力ファイバの1つ以上の外側クラッドは、1つ以上の外側クラッドがエッチングされた後に研磨されてもよく、出力ファイバは、出力ファイバのくびれ部で割断されてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、入力ファイバ及び/又は出力ファイバにおけるエッチングされたクラッドは、ファイヤーポリッシュ処理、レーザー研磨処理、機械研磨処理、又は別の好適な研磨処理を利用して研磨されてもよい。
【0032】
図4にさらに示すように、方法400は、入力ファイバのくびれ部及び出力ファイバのくびれ部に相当する接合点で、入力ファイバを出力ファイバに接合するステップを含んでもよい(ブロック450)。いくつかの実装形態では、入力ファイバ及び出力ファイバがそれぞれのくびれ部で割断された後に、入力ファイバが出力ファイバに接合されてもよい。いくつかの実装形態では、本明細書に記載されているように、入力ファイバのコア基本モードが接合点で出力ファイバのコア基本モードと一致し、また、入力ファイバの内側クラッド及び出力ファイバの内側クラッドはそれぞれ、接合点で一致する直径を有する。さらに、本明細書に記載されているように、入力ファイバの1つ以上のクラッド及び出力ファイバの1つ以上のクラッド内で搬送されるクラッド光の輝度を持続させるように、入力ファイバが断熱的にエッチングされ、且つ、出力ファイバが断熱的にテーパ加工される。
【0033】
いくつかの実装形態では、入力ファイバが接合点で出力ファイバに接合された後に、少なくとも第1長さ部分及び第2長さ部分がパッケージ内に封入されてもよい。
【0034】
図4は方法400の例示的なブロックを示すが、いくつかの実装形態では、方法400が、
図4に示すものよりも多いブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は配置の異なるブロックを含む。加えて、又はあるいは、方法400のブロックのうちの2つ以上が、並列的に実行されてもよい。
【0035】
前述の開示は例示及び説明を与えるが、網羅的であったり、あるいは開示されている厳密な形態に実装形態を限定したりする意図はない。変更及び改変は、上記の開示に照らして行われてもよく、又は実装形態の実施によって得られてもよい。さらに、1つ以上の実装形態を組み合わせることができない理由を前述の開示が明示的に与えない限り、本明細書に記載されているいずれの実装形態も組み合わせることができる。
【0036】
特徴の特定の組合せが特許請求の範囲に記載され、且つ/又は本明細書に開示されているが、これらの組合せは、様々な実装形態の開示を限定するようには意図されていない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていない、及び/又は本明細書に開示されていない方法で、組み合わせることができる。以下に列挙される各従属クレームは1つの請求項のみに直接依存するが、様々な実装形態の開示は、請求項のセットにおける他の全ての請求項と組み合わされた各従属クレームを含む。本明細書で使用される場合、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組合せを指す。一実施例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに同じ項目の倍数との任意の組合せを包含することを意図するものである。
【0037】
本明細書で使用される要素、行為、又は命令は、そうであると明示的に記載されていない限り、重要又は必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「1つの(a, an)」は、1つ以上の項目を含むことを意図し、「1つ以上の(one or more)」と互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「the」は、冠詞「the」と組み合わせて参照される1つ以上の項目を含むことを意図するものであり、1つ以上の項目と互換的に使用することができる。さらに、本明細書で使用される場合、「セット(set)」という用語は、1つ以上の項目(例えば、関連する項目、無関係な項目、又は関連する項目と無関係な項目の組合せ)を含むことを意図するものであり、「1つ又は複数」と互換的に使用することができる。1つのみの項目を意図する場合、「1つのみ(only one)」又は同様の用語が使用される。また、本明細書で使用する場合、「有する(have, has, having)」等の用語は、オープンエンドの用語であることを意図するものである。さらに、「~に基づく(based on)」という語句は、特に明記しない限り、「~に少なくとも部分的に基づく(based, at least in part, on)」ことを意図するものである。また、本明細書で使用される場合、用語「又は(or)」は、連続して使用される場合に包括的であることを意図するものであり、特に明記しない限り(例えば、「いずれか(either)」又は「一つのみ(only one of)」と組み合わせて使用される場合)、「及び/又は(and/or,)」と互換的に使用することができる。さらに、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」、「内部(inner)」、「外部(outer)」等の空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図に示すように、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するために、本明細書で使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示す方位に加えて、使用又は動作中の装置、デバイス、及び/又は要素の異なる方位を包含することを意図するものである。装置は他の方位を向いてもよく(90度又は他の方位に回転してもよく)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述は、同様に、それに応じて解釈されてもよい。
【外国語明細書】