(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076395
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】銃身組立体
(51)【国際特許分類】
F41A 21/16 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
F41A21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180095
(22)【出願日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021000028739
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522403745
【氏名又は名称】ベネリ アルミ エス. ピ-. ア-.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モレッティ ルイジ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】銃口と射距離との間の任意の距離で、高い発射速度を得ることを可能にする銃身組立体を提供する。
【解決手段】火薬薬室の下流に延在する第1のセグメント3と、その後に、広がった直径を有するセグメントが続く銃腔4と、第1の最終部分6によって、及び第2の最終部分7によって構成される最終チョークと、を含む、滑腔銃身組立体1であって、銃身1が、第1のセグメント3が、発散部分31によって及び収束部分32によって構成される発散-収束構成、又は単独で収束する構成、若しくは単独で発散する構成を有する、ことを特徴とする、滑腔銃身組立体1。有利には、この銃身組立体1は、モジュール式の形態で提供することができ、銃身本体、延長部、内側チョーク部材及び/又は外側チョーク部材の3つの基本的な構成要素を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火薬薬室の下流に延在する第1のセグメントと、銃腔と、前記銃腔の後に続く増大した
直径を有するセグメントと、第1の最終部分によって及び第2の最終部分によって構成さ
れる最終チョークと、を備える、銃身組立体において、前記組立体が、前記第1のセグメ
ントが、発散部分によって及び収束部分によって構成される発散-収束構成、又は単独で
収束する構成若しくは単独で発散する構成を有する、ことを特徴とする銃身組立体。
【請求項2】
増大した直径を有する前記セグメントが、一定構成、発散構成、又は組合せ構成を有す
る、ことを特徴とする請求項1に記載の銃身組立体。
【請求項3】
前記銃身のプロファイルが、前記薬室から前記銃腔まで、前記銃身の全長に沿って最適
化された内部プロファイルを記述する数式によって規定され、前記式が、CIP規格(D
、H及びL)及びパラメータ(ε
0、ε
1、β
0、β
1、γ
0、γ
1、ρ)によって定義
される前記薬室の直径及び長さのみを含み、
ここで、
D:薬室口部の直径、
H:薬室端部の直径、
L:薬室長、
ε
0:トポロジカルな発散係数であり、「0」及び「1」という値のみを取り得る、
ε
1:トポロジカルな収束係数であり、「0」及び「1」という値のみ取り得る、
β
0:収束係数であり、銃腔径(d
b)と薬室の端部の直径(H)との比である(収束
及び発散-収束の場合)、
β
1:発散係数であり、銃腔径(d
b)と薬室の端部の直径(H)との比であり(発散
の場合)、β
1は、β
0より大きい、
γ
0:拡張係数であり、増大した直径(d
ob)を有するセグメントの直径と薬室の端
部の直径(H)との比である(収束及び発散-収束の場合)、
γ
1:拡張係数であり、増大した直径(d
ob)を有するセグメントの直径と薬室の端
部の直径(H)との比であり(発散の場合)、γ
1は、γ
0より大きい、
ρ:チョーク係数であり、出口直径と銃腔径β
0又はβ
1との比である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の銃身組立体。
【請求項4】
前記銃身の内部プロファイルが、パラメータε0、ε1の変動、すなわち、ε0=1、
ε1=1、x1≠x2≠x3である発散-収束構成を有するプロファイルと、ε0=0、
ε1=1、x1=x2である収束構成を有するプロファイルと、ε0=1、ε1=1、x
2=x3である発散構成を有するプロファイルと、に応じて、3つの形状を取る、ことを
特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の銃身組立体。
【請求項5】
銃身本体、延長部、内側チョーク部材、外側チョーク部材の3つの基本構成要素のうち
の1つ又は複数の組合せを備える、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記
載の銃身組立体。
【請求項6】
前記銃身本体が、前記銃身本体の内側に設けられたチョークを有し、前記銃身本体が、
マズルスレッドを有していない、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載
の銃身組立体。
【請求項7】
前記銃身本体が、前記薬室/銃腔円錐混合部分の長さと、一定、増加、減少、又はそれ
らの組合せであり得る銃腔径と、一定、増加、減少、又はそれらの組合せであり得る固定
チョーク長さ及び種類と、によって規定される内部幾何学的構成を有する、ことを特徴と
する請求項1から6のいずれか1項に記載の銃身組立体。
【請求項8】
内側チョーク部材を備える、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の
銃身組立体。
【請求項9】
外側チョーク部材を備える、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の
銃身組立体。
【請求項10】
延長部と、内側チョーク部材と、を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか
1項に記載の銃身組立体。
【請求項11】
延長部と、外側チョーク部材と、を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれ
か1項に記載の銃身組立体。
【請求項12】
前記火薬薬室に関連付けられたチューブを備える二重構成を有し、前記火薬薬室が、前
記同じチューブを使用することによって、異なる長さの前記銃身組立体を提供するために
、可変長を有する、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の銃身組立
体。
【請求項13】
前記式が、すべての滑腔銃身口径に有効である、ことを特徴とする請求項3に記載の銃
身組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃身組立体に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ショットシェルを発射するように設計された長銃身火器用の
滑腔銃身に関する。
【背景技術】
【0003】
技術的観点から、火器の性能を改善するように設計された銃身の多種多様な構成が知ら
れている。
【0004】
望ましい特徴は多数あり、しばしば矛盾する。
【0005】
例えば、望ましい特徴は、銃口と射距離との間で成り立つ任意の距離での高い発射速度
であり、これは見越しを低減し、目標を直接狙えるという利点をもたらす。
【0006】
別の望ましい特徴は、大きな貫通エネルギーであり、これは、阻止力を高めるという利
点をもたらす。
【0007】
更なる望ましい特徴は、長い射距離であり、これは有効射程距離を長くするという利点
をもたらす。
【0008】
別の望ましい特徴は、使用される弾薬に関係のない最適な弾道性能である。
【0009】
更なる望ましい特徴は、使用可能なカートリッジに関してチョークの種類に制約がない
ことである。
【0010】
更なる望ましい特徴は、現在の標準的な銃身に見られる、材料とチョーク比との間の関
係に起因する製造上の制限を低減することである。
【0011】
別の望ましい特徴は、銃身出口での圧力変動を低減し得ることであり、発射時の騒音を
低減し得る利点がある。
【0012】
更なる望ましい特徴は、低減された後座力(反動)である。
【0013】
上記の特徴のいくつかは、限定された方法で、従来技術の銃身組立体によって得られて
いる。
【0014】
例えば、特許文献1は、様々なサイズの一定の銃腔径を有する銃身組立体を開示してお
り、すなわち、
統一されたゲージ(薬室と銃腔との間の標準的な円錐部分)に対応する銃腔径D1、
ゲージ外であり、D1´=D1+0.3mm(薬室と銃腔との間の縮小円錐部分)であ
る銃腔径D1´、
ゲージ外であり(例えば、12ゲージで20.3mmから)、特にカートリッジ薬室2
の最小直径に等しい(薬室と銃腔との間に円錐形部分がない)銃腔径D1´´、
銃腔径を超えて+0.3/1mmの直径を有する銃腔と銃身口との間の拡張薬室D4、
である。
【0015】
特許文献2は、端部における発散セグメントによってショットパターンの事前開放を可
能にする銃身を開示している。
【0016】
ウェブページhttps://www.mossberg.com/category
/series/835-ulti-mag/には、速度には言及せずに、均一なショッ
トパターンを可能にする10ゲージの銃腔を有する12ゲージの銃身を記載している。
【0017】
特許文献3は、発射出口速度を変更することなく、後座力を最小限に抑えるための複数
の円錐部分の使用を開示している。この文献は、18.4mmの銃腔径が、速度及び阻止
力を保証する一方で、18.8~18.9mmの直径が、小さい後座力で、低い弾丸出口
速度も保証すると、説明している。複数の円錐部分は、両方の解決策の利点を組み合わせ
るべきである。
【0018】
ウェブページhttps://www.beretta.com/en/691/には
、高い貫通性、小さい銃口の跳ね上がり、及び最終的には迅速で正確な第2弾の発射によ
り、高いショットパターン密度を保証する銃身組立体を記載している。
【0019】
特許文献4は、銃口領域で終わる前方銃身部分に合流する入口領域を有するライフリン
グ付き銃身を開示し、入口領域と銃口領域との間の領域は、入口領域及び銃口領域の直径
に対して拡大された直径を有する加速チャネルを形成している。
【0020】
特許文献5は、近位薬室端部、遠位銃口端部、及び銃腔壁によって境界付けられた内部
銃腔を有する多連式ライフリング付き銃身を開示し、内部銃腔は、銃身の近位薬室端部に
あるカートリッジ薬室と、カートリッジ薬室の遠位にある第1のライフリング付き銃腔セ
クションと、銃身の遠位銃口端部にある第2のライフリング付き銃腔セクションと、第1
のライフリング付き銃腔セクションの遠位にあり、第1のライフリング付き銃腔セクショ
ン及び第2のライフリング付き銃腔を接続する縮小セクションと、を有する。
【0021】
特許文献6は、散弾銃用のパターン制御システムを開示し、このシステムでは、チョー
ク取付部が、散弾銃の銃身の銃口端部及び銃身の銃腔に着脱可能に取り付けられ、銃腔と
チョーク取付部、又は取付部のみのいずれかにおいて、徐々に縮小するチョーク狭窄部が
、チョーク取付部銃腔狭窄部と銃身の銃腔との間の公差の蓄積を排除するために、同時に
形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】IT1405143
【特許文献2】US5155291A
【特許文献3】US6289620B1
【特許文献4】DE102014014401A1
【特許文献5】US11022394B1
【特許文献6】US4058925
【発明の概要】
【0023】
しかしながら、上述のシステムの各々は、限られた数の望ましい特徴のみをもたらし、
従来技術の銃身のいずれも、すべての特徴を単一の組立体に組み合わせることができない
。
【0024】
本発明の目的は、引用した従来技術の欠点を克服する新規の銃身組立体を提供すること
である。
【0025】
この意図の範囲内で、本発明の目的は、銃口と射距離との間の任意の距離で、高い発射
速度を得ることを可能にする銃身組立体を提供することであり、これにより、見越しを低
減し、目標を直接狙えるという利点をもたらす。
【0026】
本発明の目的は、高い貫通エネルギーを有することを可能にし、阻止力を高めるという
利点を有する銃身組立体を提供することである。
【0027】
本発明の更なる目的は、長い射距離を有し、したがって有効射程距離を長くし得る銃身
組立体を提供することである。
【0028】
本発明の更なる目的は、任意の弾薬で最適な弾道性能をもたらす銃身組立体を提供する
ことである。
【0029】
本発明の更なる目的は、使用可能なカートリッジに関して、チョークの種類に制約がな
い可能性をもたらし、材料とチョーク比との間の関係に起因する製造上の制限を低減する
銃身組立体を提供することである。
【0030】
本発明の更なる目的は、銃身出口での圧力変動を低減する銃身組立体を提供することで
あり、発射時の騒音を低減するという利点がある。
【0031】
本発明の更なる目的は、後座力を低減する銃身組立体を提供することである。
【0032】
本発明の更なる目的は、スポーツ又は狩猟用途の種類に応じて可変である長さを有する
銃身組立体をユーザに提供することである。
【0033】
本発明の更なる目的は、銃身の生産、管理、及び購入コストを低減することである。
【0034】
本発明の更なる目的は、その特定の構造的特性により、使用時の信頼性及び安全性に最
大の保証を与え得る組立体を提供することである。
【0035】
この意図、以下で好適に明らかになるこれらの目的及び他の目的は、添付の特許請求の
範囲に記載されているように、銃身組立体によって実現される。
【0036】
更なる特徴及び利点は、添付の図面に非限定的な例として示されている、本発明の好ま
しいが排他的ではない実施形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】発散-収束プロファイルで構成された本発明による銃身の比例寸法の一例の概略図である。
【
図3】収束プロファイルで構成された本発明による銃身の比例寸法の一例の概略図である。
【
図4】発散プロファイルで構成された本発明による銃身の比例寸法の一例の概略図である。
【
図5】従来のシステムと比較した本発明による銃身を用いた試験方法及び得られた結果の概略図である。
【
図6】従来のシステムと比較した本発明による銃身を用いた試験方法及び得られた結果の概略図である。
【
図7】3つの構成要素によって構成された銃身の一実施形態の分解図である。
【
図8】内側チョーク部材を有する構成を備えた銃身の断面図である。
【
図9】延長部及び内側チョーク部材を有する構成を備えた銃身の断面図である。
【
図10】内側チョーク部材を有する構成を備えた銃身の断面図である。
【
図11】延長部及び外側チョーク部材を有する構成を備えた銃身の断面図である。
【
図12】3.5インチの火薬薬室を備えた二重銃身の部分断面図である。
【
図13】3インチの火薬薬室を備えた二重銃身の部分断面図である。
【
図14】2と3/4インチの火薬薬室を備えた二重銃身の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
引用した図面を参照すると、全体的に符号1によって示す、本発明による銃身組立体は
、符号3によって示す第1のセグメントを有し、第1のセグメントは、薬室2の後に延在
し、発散部分31によって及び収束部分32によって構成される発散-収束構成を有し、
あるいは単独で収束する構成又は単独で発散する構成を有する。
【0039】
図1は、発散部分31及び収束部分32を備える構成を有する実施形態を示している。
【0040】
銃身1は、銃腔4と、その後に続く、
図1のような一定の構成、又は発散構成を有し得
る増大する直径を有するセグメント5と、第1の端部6及び第2の端部7によって構成さ
れるエンドチョークと、を含む。
【0041】
本発明による銃身のプロファイルは、薬室2から銃口8までの銃身の全長に沿って最適
化された内部プロファイルを記述する数式であって、CIP規格(D、H及びL)及びパ
ラメータ(ε0、ε1、β0、β1、γ0、γ1、ρ)によって定義される薬室の長さ及
び直径のみを含む数式によって定義される。
【0042】
この式は、
図1を参照して以下に示すように、様々なセグメントの直径を明示的にする
ものではなく、すべての滑腔銃身口径に適用可能である。
【0043】
【0044】
C.I.P.規格によれば、カートリッジ薬室に関連するパラメータは、以下のように
定義される:
D:薬室口部の直径、
H:薬室端部の直径、
L:薬室長。
【0045】
上記の式で言及される他のパラメータは、以下のように定義される:
ε0:トポロジカルな発散係数であり、「0」及び「1」という値のみを取り得る、
ε1:トポロジカルな収束係数であり、「0」及び「1」という値のみ取り得る、
β0:収束係数であり、これは、銃腔径(口径)(db)と薬室の端部の直径(H)と
の比である(収束及び発散-収束の場合)、
β1:発散係数であり、これは、銃腔径(db)と薬室の端部の直径(H)との比であ
り(発散の場合)、β1は、β0より大きい、
γ0:拡張係数であり、これは、増大した直径(dob)を有するセグメントの直径と
薬室の端部の直径(H)との比である(収束及び発散-収束の場合)、
γ1:拡張係数であり、これは、増大した直径(dob)を有するセグメントの直径と
薬室の端部の直径(H)との比であり(発散の場合)、γ1は、γ0より大きい、
ρ:チョーク係数であり、これは、出口直径と銃腔径β0又はβ1との比。
【0046】
本発明による銃身1の内部プロファイルは、
図2~
図4に例示するように、パラメータ
ε
0、ε
1が変化するときに、3つの異なる形状を取り得る。
【0047】
図2は、発散-収束構成を有するプロファイルを示し、ε
0=1、ε
1=1、x
1≠x
2≠x
3である。
【0048】
図3は、収束構成を有するプロファイルを示し、ε
0=0、ε
1=1、x
1=x
2であ
る。
【0049】
図4は、発散構成を有するプロファイルを示し、ε
0=1、ε
1=0、x
2=x
3であ
る。
【0050】
有利には、上記の式は、すべての滑腔銃身口径に有効である。
【0051】
本発明による銃身組立体は、それぞれが望ましい特性の一部のみを提供し得る背景技術
の銃身を超える大きな利点を有し、以下に示すすべての有利な特徴を得ることを可能にす
る。
【0052】
本発明による銃身組立体は、銃口と射距離との間の任意の距離で、高い発射速度を可能
にする。これにより、見越しを低減して、目標を直接狙える可能性を保証する。
【0053】
本銃身組立体の更なる特徴は、高い貫通エネルギーによって構成され、阻止力を高める
という利点を有する。
【0054】
本銃身組立体の更なる特徴は、射距離の延長であり、これにより、有効射程距離を長く
し得る。
【0055】
本銃身組立体の更なる特徴は、使用される弾薬にかかわらず、向上した弾道性能という
利点をもたらし、ショットカートリッジ(有鉛及び「無鉛」材料)及びボールカートリッ
ジの両方による改善された弾道性能である。
【0056】
本銃身組立体の更なる特徴は、従来の火器では3スターチョークを超えることができな
い普通鋼製の標準的なチョークに起因する「無鉛」カートリッジのチョークの制約を排除
するという事実によって構成される。本発明による銃身組立体の新規のプロファイルは、
この制限を克服し、例えば、標準的な3スターチョークを有するフル(1スター)チョー
クに対応するショットパターンなど、様々な種類のチョークを有する様々なショットパタ
ーンを有し得る。
【0057】
本発明による新規の銃身プロファイルによってもたらされる革新的な広がりは、従来の
標準的な銃身に典型的な製造上の制限、すなわち材料とチョーク比との間の関係を低減す
るという利点をもたらす。
【0058】
本銃身組立体の更なる特徴は、新規の内部プロファイルが銃身の端部での速度を増加さ
せ、その結果、局所圧力を低下させることを可能にするので、銃身出口での圧力変動を低
減することにある。これは、発射時の騒音が少ないという利点をもたらす。
【0059】
本発明の銃身組立体の更なる有利な特性は、低減された後座力である。
【0060】
図5及び
図6は、従来のシステムと比較して、本発明による銃身組立体を用いて得られ
た試験方法及び結果を概略的に示している。
【0061】
有利には、本発明による銃身組立体は、以下に説明するように、モジュール式の形態で
作製され得る。
【0062】
本発明の一態様によれば、調整可能な銃身組立体は、
図7に概略的に示す、銃身本体1
01、延長部120、内側チョーク部材130及び/又は外側チョーク部材140の3つ
の基本的な構成要素によって構成される。
【0063】
本発明の一態様によれば、銃身組立体は、チョーク部材のない構成、すなわち、銃身本
体自体に設けられたチョークを備える。
【0064】
本実施形態では、銃身組立体は、マズルスレッド(銃口のネジ山)がないことに起因し
て調整を可能にするように適合されていないが、銃身長を一定に保ちつつ、射手に最良の
弾道性能/貫通力を提供するように設計されている。
【0065】
銃身の内部形状は、以下のセクションに作用することによって規定される:
1.薬室/銃腔円錐混合部分の長さ、
2.一定、増加、減少、又は「組合せ(例えば、増加+一定+減少)」であってもよい
銃腔径、
3.一定、増加、減少、又は「組合せ」、例えば、増加+一定+減少であってもよい固
定チョークの長さ及び種類。
【0066】
本発明の更なる態様によれば、銃身組立体は、内側チョーク部材を有する構成を備え、
符号200で示すこの銃身を
図8に示す。
【0067】
この場合、銃身200は、マズルスレッドによって調整可能であるように構成される。
【0068】
この構成は、銃身101及び内側チョーク部材130の2つの構成要素を備え、最小の
銃身長を実現し得る。
【0069】
各構成要素の内径を4つの方法(一定、増加、減少、又は組合せ)で与え得ることを考
慮すると、この種類の銃身+内側チョークを備え得る構成の総数は、4つの銃身及び4つ
の内側チョークの合計8つの構成要素を使用して、16となる。
【0070】
【0071】
本発明の更なる態様によれば、銃身組立体は、外側チョーク部材を有する構成を備え、
符号300で示すこの銃身組立体を
図10に示す。
【0072】
この銃身組立体は、マズルスレッドによって調整可能であるように設計されており、前
述の例と同じものである。
【0073】
この構成は、銃身101及び外側チョーク140の2つの構成要素を含み、本明細書で
は「中型1型」と呼ぶ中程度の銃身長に達し得る。
【0074】
各構成要素の内径は4つの方法(一定、増加、減少又は組合せ)で与え得るので、この
種類の外側チョークを備えた銃身を備え得る構成の総数は、4つの銃身及び4つの外側チ
ョークの合計8つの構成要素を使用して、16となる。
【0075】
【0076】
本発明の更なる態様によれば、銃身組立体は、延長部及び内側チョーク部材を有する構
成を備え、符号400で示すこの銃身組立体を
図9に示す。
【0077】
この場合、銃身組立体は、マズルスレッドによって調整可能であるように構成されてお
り、前述の例と同じものである。
【0078】
この構成は、銃身101、延長部120、及び内側チョーク130の3つの構成要素を
含み、本明細書では「中型2型」と呼ぶ中程度の銃身長に達し得る。
【0079】
各構成要素の内径は4つの方法(一定、増加、減少又は「組合せ」)で与え得るので、
この種類の組立体、銃身+延長部+内側チョークを備え得る構成の総数は、合計12個の
構成要素(4つの銃身、4つの延長部及び4つの内側チョーク)を使用して、64である
。
【0080】
【0081】
延長部120を分解することにより、銃身長を「中型2型」から「最小」に短縮するこ
とができ、これは、符号200で示す上記の構成に対応し、16個以上の構成を有し得る
。
【0082】
要約すると、12個の構成要素(4つの銃身、4つの延長部及び4つの内側チョーク)
を用いると、以下を有することができる:
-「中型2型」銃身長を有する64個の構成、
-「最小」銃身長を有する16個の構成。
【0083】
本発明の更なる態様によれば、銃身組立体は、延長部及び外側チョーク部材を有する構
成を備え、符号500で示すこの銃身組立体を
図11に示す。
【0084】
この場合、銃身組立体は、マズルスレッドによって調整可能であるように設計されてお
り、前述の例と同じものである。
【0085】
この構成は、銃身101、延長部120、及び外側チョーク140の3つの構成要素を
有し、最大銃身長に達し得る。
【0086】
各構成要素の内径を4つの方法(一定、増加、減少、又は組合せ)で与え得ることを考
慮すると、延長部及び外側チョークを有するこの種類の銃身を備え得る構成の総数は、合
計12個の構成要素(4つの銃身、4つの延長部及び4つの外側チョーク)を使用して、
64である。
【0087】
【0088】
完全な構成から開始して、外側チョーク140を内側チョーク130と交換することに
より、銃身長を最大から「中型2型」まで短縮でき、これは上記で説明した構成に対応し
、64個以上の構成を有し得る。
【0089】
完全な構成から開始して、中央延長部120のみを分解することによって、銃身長を最
大から「中型1型」まで短縮でき、これは上記で説明した構成に対応し、16個以上の構
成を有し得る。
【0090】
完全な構成から開始して、延長部120を分解し、外側チョーク140を内側チョーク
130と交換することによって、銃身長を最大から最小に短縮でき、これは上記で説明し
た構成に対応し、16個以上の構成を有し得る。
【0091】
要約すると、16個の構成要素(4つの銃身、4つの延長部、4つの内側チョーク及び
4つの外側チョーク)を用いると、以下を有することがでる:
-最大銃身長を有する64個の構成、
-「中型2型」銃身長を有する64個の構成、
-「中型1型」銃身長を有する16個の構成、
-最小銃身長を有する16個の構成。
【0092】
有利には、本発明による銃身組立体は、EP2541187B1の教示に従って、モノ
リシック又は二重構成で提供し得る。
【0093】
二重銃身の重要な利点は、同じチューブ102を使用してすべての標準的な長さを製造
し得ることであり、著しい製造上の利点がある。
【0094】
例として、
図12、
図13、及び
図14はそれぞれ、3.5インチ、3インチ、2と3
/4インチの火薬薬室を示しているが、例えば1.75インチなど、他の長さも有利に使
用し得る。
【0095】
本発明の更なる態様によれば、本銃身組立体は、有利には、追加モジュール部材と干渉
することなく、容易で迅速な照準を可能にするために、照準部材の様々な解決策を提供し
得る。
【0096】
銃身組立体は、照準器ホルダ及び銃口照準器、金属、炭素繊維又は他の材料で作られた
リブ、照準器ノッチ、二次リブを有し得る。
【0097】
実際には、本発明は、意図された狙い及び目的を達成し、20メートルで測定された速
度、射撃貫通、及びショットカートリッジとボールカートリッジの両方を用いた弾道試験
に関する多数の実験的試験によって確認された有利な機能特性の組合せを保証する新規の
銃身組立体を提供することが分かった。
【0098】
本発明による銃身組立体の新規の内部プロファイルは、
-使用される弾丸の種類に応じて銃身の内側に存在する亜音速/遷音速/超音速の流れ(
例えば、亜音速流は収束ダクト内で加速し、超音速流は発散ダクト内で加速する)、
-ベルヌーイの定理、並びに銃身内の分散及び局所的な負荷損失の最小化、
-競合企業が現在検討/提供しているものをはるかに超える銃身の銃腔の最大化(12ゲ
ージでは、標準18.4~18.8mmに対して約19.6mmである)、
-競合企業が現在検討/提供しているものを大幅に超える、増大した直径を有するセグメ
ントの最大化(銃口の局所的な容積増加)(12ゲージでは、IT1405143の事例
番号3の最大値、21.3mmを超える可能性があるが、初期円錐形混合部分を提供しな
い)、
である、これらの態様を考慮することによって、前述の利点を最大化することを狙いと
した流体力学研究の結果である。
【0099】
本発明による銃身組立体は、上述のすべての利点の組合せを提供することができない従
来技術の銃身とは異なり、一連の重要な利点をもたらす。
【0100】
本発明による銃身組立体は、銃口と射距離との間の任意の距離で、高い発射速度を可能
にし、これにより、見越しを低減し、目標を直接狙えることを可能にする。
【0101】
本発明による銃身は、高い貫通エネルギーを提供し、阻止力を高める。
【0102】
本発明による銃身は、長い射距離をもたらし、有効射程距離を長くする。
【0103】
本発明による銃身は、使用される弾薬にかかわらず、ショットカートリッジ(有鉛及び
「無鉛」材料)及びボールカートリッジの両方による改善された弾道性能をもたらし、弾
道性能を向上させる。
【0104】
本発明による銃身は、「無鉛」カートリッジのための現在のチョークの制約を排除する
。現在、通常の鋼で作られた「標準」チョークでは、3スターチョークを超えることはで
きず、新規の銃身プロファイルは、この制限を克服し、標準的な3スターチョークを有す
るフル(1スター)チョークに対応するショットパターンを有し得る。これにより、新規
の銃身プロファイルによってもたらされる革新的な広がりのおかげで、標準的な銃身に現
在存在する製造上の限界(材料とチョーク比との間の関係)を低減し得る。
【0105】
本発明による銃身は、新規の内部プロファイルによって銃身出口の圧力変動を低減し、
これにより、銃身の端部の速度を増加させることができ、その結果、局所的な圧力低下が
生じ、発射時の騒音を低減する。
【0106】
本発明による銃身の更なる利点は、後座低減によってなされる。
【0107】
本発明による銃身のモジュール式構造は、鍛造又は穿孔によってもたらされる従来の種
類の現在の銃身の技術的制約を、排除又は少なくとも大幅に低減するという利点をもたら
す。
【0108】
モジュール式銃身の更なる利点は、スポーツ/狩猟用途の種類に応じて、可変長の銃身
をユーザに提供することである。
【0109】
モジュール式銃身の更なる利点は、銃身の生産/管理及び購入コストを削減し得ること
である。
【0110】
本出願は、2021年11月11日に出願されたイタリア特許出願第102,021,
000,028,739号の優先権を主張し、その主題は参照により本明細書に組み込ま
れる。
【外国語明細書】