(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076510
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20230525BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044581
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2021152021の分割
【原出願日】2016-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2015038943
(32)【優先日】2015-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】舘野 貴行
(57)【要約】
【課題】装着作業の容易性及び装着安定性を向上できるヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】装着バンド(20)は、延伸部(24)と延伸部(24)に対して装着バンド(20)の長さ方向において相対動可能な可動部(30)とを有している。ロック機構Mは、装着バンド(20)の長さを増す拡大方向と、装着バンド(20)の長さを増す縮小方向とへの可動部(30)の動きが許容されているアンロック状態と、拡大方向への可動部(30)の動きが規制されているロック状態との間で装着バンド(20)を切り替えることができる。可動部(30)は少なくともアンロック状態において縮小方向に付勢される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを内蔵している本体と、
前記本体から後側に向かって伸びており、全体としてユーザの頭部を取り囲む形状を有している装着バンドと、
前記装着バンドの右側の部分を構成している右延伸部と、
前記装着バンドの左側の部分を構成している左延伸部と、
前記装着バンドの後側の部分を構成しており、前記右延伸部の後部と前記左延伸部の後部とを連結し、前記装着バンドの長さが縮小する縮小方向と前記装着バンドの長さが増す方向である拡大方向とに向けて前記右延伸部と前記左延伸部とに対して相対動可能な可動部と、
前記拡大方向と前記縮小方向とへの前記可動部の動きが許容されているアンロック状態と、少なくとも前記拡大方向への前記可動部の動きが規制されているロック状態との間で前記装着バンドを切り替えることができるロック機構と、
前記可動部に設けられ、前記装着バンドの後側の部分に位置している、ユーザによる操作が可能な第1の操作部材と、を備え、
前記可動部は少なくとも前記アンロック状態において前記縮小方向に付勢され、且つ前記第1の操作部材の第1の方向への動きに伴って、前記縮小方向に移動するよう構成され、
前記ロック機構は、前記第1の操作部材の前記第1の方向への動きに伴って、前記装着バンドを前記アンロック状態から前記ロック状態に切り替える
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記装着バンドは前記可動部に対して前記縮小方向に作用する力を生じる弾性部材を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記右延伸部と前記左延伸部のそれぞれに沿って配置され、前記可動部を前記縮小方向に引っ張っている弾性部材を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記装着バンドは、前記縮小方向への前記可動部の動きに伴って第3の方向に回転し且つ前記拡大方向への前記可動部の動きに伴って第4の方向に回転するリンク部材を含み、
前記ロック機構は、前記アンロック状態では前記リンク部材の前記第3の方向と前記第4の方向の双方への動きを許容し、前記ロック状態では前記リンク部材の前記第4の方向への動きを規制する
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記ロック機構は、前記リンク部材の前記第3の方向への回転にともなう第1の方向への回転は許容され且つ前記リンク部材の前記第4の方向への回転にともなう第2の方向への回転が規制されているワンウェイ部材を含み、
前記ロック機構は、前記ロック状態では前記リンク部材と前記ワンウェイ部材とを連結し、前記アンロック状態では前記リンク部材と前記ワンウェイ部材との連結を解除する
ことを特徴とする請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記ワンウェイ部材の前記第1の方向への動きに伴って、前記リンク部材と前記ワンウェイ部材とを連結する
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記リンク部材と前記ワンウェイ部材は共通の軸線に配置され、
前記ロック機構は、前記リンク部材と前記ワンウェイ部材の双方に係合するロック位置と、前記リンク部材と前記ワンウェイ部材のうち少なくとも一方に係合しないアンロック位置との間で移動するクラッチ部材を含んでいる
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記ワンウェイ部材は前記第1の操作部材である
ことを特徴とする請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
ユーザの操作が可能であり、且つ前記ワンウェイ部材と前記リンク部材との連結を解除する第2の操作部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
ディスプレイを内蔵している本体と、
前記本体から後側に向かって伸びており、全体としてユーザの頭部を取り囲む形状を有している装着バンドと、
前記装着バンドの右側の部分を構成している右延伸部と、
前記装着バンドの左側の部分を構成している左延伸部と、
前記装着バンドの後側の部分を構成しており、前記右延伸部の後部と前記左延伸部の後部とを連結し、前記装着バンドの長さが縮小する縮小方向と前記装着バンドの長さが増す方向である拡大方向とに向けて前記右延伸部と前記左延伸部とに対して相対動可能な可動部と、
前記拡大方向と前記縮小方向とへの前記可動部の動きが許容されているアンロック状態と、少なくとも前記拡大方向への前記可動部の動きが規制されているロック状態との間で前記装着バンドを切り替えることができるロック機構と、
前記可動部に設けられ、前記装着バンドの後側の部分に位置している、ユーザによる操作が可能な第1の操作部材と、を備え、
前記可動部は前記第1の操作部材の第1の方向への動きに伴って、前記縮小方向に移動するよう構成され、
前記ロック機構は、前記第1の操作部材の前記第1の方向への動きに伴って、前記アンロック状態から前記ロック状態に前記装着バンドを切り替える
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
前記装着バンドは、前記右延伸部と前記左延伸部の双方に係合し、前記右延伸部と前記左延伸部とに対する前記可動部の相対動に連動するリンク部材を、前記可動部に有し、
前記リンク部材は、前記縮小方向への前記可動部の動きに伴って第3の方向に回転し且つ前記拡大方向への前記可動部の動きに伴って第4の方向に回転し、
前記ロック機構は、前記アンロック状態では前記リンク部材の前記第3の方向と前記第4の方向の双方への動きを許容し、前記ロック状態では前記リンク部材の前記第4の方向への動きを規制する
ことを特徴とする請求項10に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの頭部に装着して利用するヘッドマウントディスプレイの開発が進められている(ヘッドマウントディスプレイは、以下においてHMDと称する)。HMDは、ユーザの眼前に配置するためのディスプレイを備える本体と、ユーザの頭部に装着し、本体を支持する装着バンドとを備えている(例えば、特開平09-304724号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HMDのなかには、装着バンドにその長さを調節するための機構が設けられているものがある。ユーザが装着バンドの長さを自身の頭部のサイズに合わせることにより、HMDが頭部において安定的に支持される。しかしながら、従来のHMDは装着バンドの長さを調節する作業が煩雑であるという問題を有している。例えば、ユーザがHMDを頭部に装着した状態で装着バンドの長さを調節しようとすると、調節作業の最中にHMDの位置や姿勢が変わってしまうので、その調節作業が煩雑となる。
【0004】
本開示の目的は、装着作業の容易性及び装着安定性を向上できるヘッドマウントディスプレイを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイを内蔵している本体と、前記本体から後側に向かって伸びており、全体としてユーザの頭部を取り囲む形状を有している装着バンドと、前記装着バンドの一部を構成し、前記装着バンドの長さ方向において前記装着バンドの他の一部に連結しており、前記装着バンドの長さが縮小する縮小方向と前記装着バンドの長さが増す方向である拡大方向とに前記装着バンドの前記他の一部に対して相対動可能な可動部と、前記拡大方向と前記縮小方向とへの前記可動部の動きが許容されているアンロック状態と、少なくとも前記拡大方向への前記可動部の動きが規制されているロック状態との間で前記装着バンドを切り替えることができるロック機構と、を備える。前記可動部は少なくとも前記アンロック状態において前記縮小方向に付勢される。
【0006】
また、本開示で提案するヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイを内蔵している本体と、前記本体から後側に向かって伸びており、全体としてユーザの頭部を取り囲む形状を有している装着バンドと、前記装着バンドの一部を構成し、前記装着バンドの長さ方向において前記装着バンドの他の一部に連結しており、前記装着バンドの長さが縮小する縮小方向と前記装着バンドの長さが増す方向である拡大方向とに前記装着バンドの前記他の一部に対して相対動可能な可動部と、前記拡大方向と前記縮小方向とへの前記可動部の動きが許容されているアンロック状態と、少なくとも前記拡大方向への前記可動部の動きが規制されているロック状態との間で前記装着バンドを切り替えることができるロック機構と、を備える。前記ロック機構は、前記可動部の前記縮小方向への動きにともなって、前記アンロック状態から前記ロック状態に前記装着バンドを切り替える。
【0007】
本開示で提案するヘッドマウントディスプレイによれば、装着作業の容易性及び装着安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの斜視図である。
【
図2】ヘッドマウントディスプレイの側面図である。
【
図3】ヘッドマウントディスプレイの平面図である。
【
図4】ヘッドマウントディスプレイが備える可動部の背面図である。
【
図5】装着バンドに設けられている可動部の内部構造を示す図である。
【
図6】ロック機構を示す断面図であり、その切断面は
図4のVI-VI線で示されている。
【
図7】ロック機構を構成するクラッチ部材の動きを示す図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII線で得られる第1操作部材の断面図である。
【
図9】ロック機構を構成するクラッチストッパと第1操作部材とを軸線の方向に臨む図である。
【
図10】クラッチストッパの動きを示す拡大図である。この図ではクラッチストッパの一部が破断されている。
【
図12】
図11に示すクラッチ部材の動きを説明するための概略図であり、リンク部材等のギア部の一部が示されている。
【
図13】本体と装着バンドとの相対移動を可能とする構造を示す平面図である。
【
図14】本体と装着バンドとの相対移動を可能とする構造を示す側面図である。
【
図15】本体と装着バンドとの相対移動を可能とする構造を示す断面図である。この図は
図14に示すXV-XV線での断面図である。
【
図16】フロントパッドの角度の調整を可能とする構造の例を示す図である。
【
図17】ヘッドマウントディスプレイの本体を後側から臨む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1から
図3は本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ1を示す図である(以下では、ヘッドマウントディスプレイを「HMD」と称する)。
図1は斜視図であり、
図2は側面図であり、
図3は平面図である。
図2では、後述するフロント支持部23の一部が破断されている。
【0010】
以下の説明では、これらの図に示すY1及びY2をそれぞれ前方向及び後方向とし、X1及びX2はそれぞれ右方向及び左方向とする。また、Z1及びZ2はそれぞれ上方向及び下方向とする。
【0011】
HMD1は、その前側に、ディスプレイ11(
図2参照)を内蔵している本体10を有している。HMD1の一例では、ディスプレイ11は三次元映像を表示する。ディスプレイ11が表示する映像は二次元映像でもよい。ディスプレイ11としては、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置を利用できる。ディスプレイ11の種類はこれらに限定されない。本体10はハウジング14を有し、ディスプレイ11はハウジング14に収容されている。
【0012】
HMD1は、
図1に示すように、ユーザの頭部に装着するための装着バンド20を有している。装着バンド20は、本体10から後側に向かって伸び、全体としてユーザの頭部を取り囲む形状を有している。すなわち、装着バンド20は平面視において環状であり、HMD1の使用時においては装着バンド20の後側部分は頭部の後側に掛けられる。一例では、装着バンド20は本体10の上部に接続され、本体10の上部から後側に向かって伸びる。装着バンド20は本体10の右端部と左端部とに接続されてもよい。装着バンド20は、
図2に示されるように、後側に向かって伸びるとともに下側に傾斜してもよい。
【0013】
図2に示すように、装着バンド20は、その一部に、可動部30を有している。可動部30は、装着バンド20の長さ方向において装着バンド20の他の部分に連結している。そして、可動部30は、装着バンド20の長さが縮小する方向と、装着バンド20の長さが増す方向とにおいて、装着バンド20の他の部分に対して相対動可能である(以下では、装着バンド20の長さが縮小する方向を「縮小方向」と称し、装着バンド20の長さが増す方向を「拡大方向」と称する)。
【0014】
図2に示すように、装着バンド20は、装着バンド20の前側から後側に向かって伸びている延伸部24を有している。可動部30は、装着バンド20の長さ方向において延伸部24の後部と連結している。具体的には、延伸部24の後部が、可動部30を構成するハウジング30aの端部に形成されている穴を通って、ハウジング30aに嵌まっている。可動部30は、拡大方向と縮小方向とに延伸部24に対して相対的に動くことができる。
図2においては、拡大方向は符号D2で示され、縮小方向は符号D1で示されている。ユーザは、可動部30を動かすことにより、装着バンド20の長さを調整できる。
【0015】
装着バンド20は、その前側に、本体10の上部に接続しているフロント支持部23を有している。
図3に示すように、装着バンド20は2つの延伸部24を有している。2つの延伸部24は、フロント支持部23の右側部分と左側部分とからそれぞれ後側に向かって伸びている。可動部30は2つの延伸部24の後部の間に位置し、装着バンド20の後側部分を構成している。したがって、HMD1の使用時、可動部30はユーザの頭部の後側に掛けられる。HMD1の使用時、装着バンド20は、フロント支持部23と可動部30とによってユーザの頭部を前後方向において挟む。可動部30は、2つの延伸部24の双方に対して縮小方向に相対的に動き、前側に移動する。可動部30は2つの延伸部24の双方に対して相対的に拡大方向に動き、後側に移動する。
【0016】
フロント支持部23及び延伸部24は、例えば、プラスチックなど比較的高い剛性を有する材料で形成される。また、可動部30も、例えば、プラスチックなど比較的高い剛性を有する材料で形成される。可動部30には頭部の後側に当てるためのクッション30b(
図1参照)が設けられてもよい。また、フロント支持部23には、頭部の前側に当てるためのクッション25b(
図2参照)が設けられてもよい。
【0017】
装着バンド20の構造は、上述した例に限られない。例えば、可動部30は2つの延伸部24のうち一方に対しては相対動が可能でなくてもよい。また、装着バンド20は必ずしもフロント支持部23を有していなくてもよい。この場合、延伸部24は、例えば、本体10の右側部分又は左側部分から後側に向かって伸びてもよい。
【0018】
装着バンド20は、装着バンド20をロック状態とアンロック状態との間で切り替えるロック機構Mを有している(ロック機構Mは、後において説明するように、可動部30に内蔵されている(
図6参照))。アンロック状態では、拡大方向と縮小方向とへの可動部30の動きが許容される。ロック状態では、拡大方向への可動部30の動きが規制される。すなわち、アンロック状態では装着バンド20の長さの増大及び縮小の双方が許容される。ロック状態では装着バンド20の長さの増大が規制される。
【0019】
上述したように、可動部30は2つの延伸部24の双方に対して相対動可能である。この場合、アンロック状態では可動部30を前側及び後側の双方に動かすことができ、ロック状態では可動部30の後側への動きが規制される。一例では、装着バンド20がロック状態にあるとき、縮小方向への可動部30の動きは許容される。他の例では、装着バンド20がロック状態にあるとき、拡大方向と縮小方向の双方への可動部30の動きが規制されてもよい。ロック機構Mについては、後において詳説する。
【0020】
図3に示すように、装着バンド20は、可動部30に対して縮小方向に作用する弾性力を生じる弾性部材26を有している。可動部30は弾性部材26の弾性力によって縮小方向に付勢されている。可動部30は、ロック状態及びアンロック状態の双方において縮小方向に付勢されている。弾性部材26は例えばゴムバンドである。したがって、装着バンド20の長さが増すに従って、弾性部材26の可動部30への弾性力(付勢力)が増す。弾性部材26はばねでもよい。
【0021】
可動部30が付勢されている装着バンド20及びロック機構Mによると、HMD1の装着作業を容易化できる。すなわち、ユーザがアンロック状態にある装着バンド20を頭部に装着すると、可動部30が縮小方向に付勢されているので装着バンド20は頭部に仮固定(仮装着)される。したがって、ユーザは、装着バンド20が仮固定された状態で、装着バンド20の長さ調整、すなわち可動部30の位置調整を行うことができる。ユーザは、可動部30の位置調整のあと、装着バンド20をロック状態にすることにより、装着バンド20を頭部に対して安定的に固定(装着)できる。なお、可動部30はロック状態においては縮小方向に付勢されなくてもよい。この場合でも、装着作業を容易化できる。
【0022】
上述したように、装着バンド20は、装着バンド20の長さ方向に伸びている延伸部24を有している。延伸部24は、装着バンド20の前側(具体的には、フロント支持部23)から後側に向かって伸びている。
図3に示すように、弾性部材26も装着バンド20の長さ方向に伸びている。より具体的には、弾性部材26も、装着バンド20の前側から後側に向かって伸びている。弾性部材26は延伸部24に沿って配置されている。弾性部材26の後部は可動部30に取り付けられ、弾性部材26は可動部30を装着バンド20の縮小方向に引っ張っている。すなわち、弾性部材26は可動部30を前側に引っ張っている。このような弾性部材26によると、可動部30を簡単な構造で前側に付勢できる。
【0023】
上述したように、装着バンド20は2つの延伸部24を有し、それらはフロント支持部23の右側部分及び左側部分からそれぞれ後側に向かって伸びている。
図3に示すように、装着バンド20には2つの弾性部材26が設けられている。2つの弾性部材26は、延伸部24と同様に、それぞれフロント支持部23の右側部分及び左側部分から後側に向かって伸び、それぞれ2つの延伸部24に沿って配置されている。弾性部材26は、例えば2つの延伸部24の内側に配置される。弾性部材26の前端は、例えばフロント支持部23の右側及び左側に設けられている取付部23aの内部で固定される。弾性部材26の後端は、可動部30に取り付けられる。例えば、弾性部材26の後端は、可動部30のハウジング30aに形成されている穴を通してハウジング30aに嵌められ、ハウジング30aの内部で固定される。可動部30は2つの弾性部材26によって前側に引っ張られている。
【0024】
弾性部材26の構造は上述した例に限られない。例えば、弾性部材26はばねでもよい。弾性部材26としてばねを利用する場合、弾性部材26は延伸部24に沿って配置されなくてもよい。例えば、弾性部材(ばね)26は可動部30のハウジング30aの内側に配置されてもよい。この場合、弾性部材26は、ハウジング30aの内側に嵌まっている延伸部24の後部を引っ張る弾性力を発揮してもよい。例えば、ハウジング30aの内側に配置されている弾性部材26は、延伸部24の後部を直接引っ張ってもよい。また、弾性部材26は、後述するロック機構Mのリンク部材31(
図5参照)を、装着バンド20の長さが短くなる方向に回転させてもよい。これらの構造においても、可動部30に対して縮小方向に作用する力が得られる。
【0025】
ロック機構Mについて説明する。
図4は可動部30の背面図である。
図5は、可動部30の内部構造を示す図である。
図5では、延伸部24の後部に設けられているラック24aと、リンク部材31とが示されている。
図6はロック機構Mを示す断面図であり、その切断面は
図4のVI-VI線で示されている。
図7はロック機構Mを構成するクラッチ部材32の動きを示す図である。
図8は
図6のVIII-VIII線で得られる第1操作部材34の断面図である。
図8では、ロック機構Mを構成するストッパ33と第1操作部材34とが示されている。
図9はロック機構Mを構成するクラッチストッパ35と第1操作部材34とを軸線C1の方向に臨む図である。
図10はクラッチストッパ35の動きを示す拡大図である。
図10では、後述する係合部35bを示すために、クラッチストッパ35の一部が破断されている。
【0026】
図5に示すように、装着バンド20は、ハウジング30aの内部に、縮小方向及び拡大方向への可動部30の動きに伴って回転するリンク部材31を有している。
図5で示す例では、リンク部材31は、縮小方向への可動部30の動きに伴って時計回り方向に回転する。反対に、リンク部材31は、拡大方向への可動部30の動きに伴って反時計回り方向に回転する。以下では、可動部30が縮小方向に動く場合におけるリンク部材31の回転方向を「縮小回転方向」と称する。また、可動部30が拡大方向に動く場合におけるリンク部材31の回転の方向を「拡大回転方向」と称する。リンク部材31について縮小回転方向は、請求項における「第3の方向」に対応し、リンク部材31について拡大回転方向は、請求項の「第4の方向」に対応している。リンク部材31は、例えばハウジング30aに収容されているフレーム38に形成されている軸部38a(
図6参照)によって支持される。
【0027】
上述したように、延伸部24は、その後部に、装着バンド20の長さ方向に伸びているラック24aを有している。
図5に示すように、リンク部材31のギア部31aはラック24aに係合している。したがって、リンク部材31は、ラック24aと可動部30との相対動に伴って回転する。
【0028】
図5に示すように、2つの延伸部24のラック24aは、上下方向において離れて位置している。リンク部材31は2つのラック24aの間に配置され、2つのラック24aの双方に係合している。この構造によると、右側の延伸部24と可動部30との間の相対的な移動距離と、左側の延伸部24と可動部30との間の相対的な移動距離とが同じになる。その結果、可動部30は平行に前後方向に移動する。後において説明するように、ロック機構Mは、アンロック状態では、リンク部材31の拡大回転方向及び縮小回転方向の双方への回転を許容する。一方、ロック状態では、リンク部材31の拡大回転方向への回転を規制する。
【0029】
なお、
図5の例においては、左側のラック24aがリンク部材31のギア部31aの上側に位置し、右側のラック24aがリンク部材31のギア部31aの下側に位置している。しかしながら、2つのラック24aの位置関係は反対でもよい。その場合、リンク部材31は縮小方向への可動部30の動きに伴って反時計回り方向に回転し、拡大方向への可動部30の動きに伴って時計回り方向に回転する(この場合、反時計回り方向が縮小回転方向であり、時計回り方向が拡大回転方向である)。
【0030】
図6に示すように、ロック機構Mは第1操作部材34を有している。第1操作部材34は回転可能に支持されている。また、第1操作部材34はリンク部材31と共通の軸線C1上に配置される。第1操作部材34は操作部34aを有している。操作部34aの上部は可動部30のハウジング30aの上面に形成されている開口から露出している(
図4参照)。また、操作部34aの下部は可動部30のハウジング30aの下面に形成されている開口から露出している(
図4参照)。そのため、ユーザは第1操作部材34を操作できる。すなわち、ユーザは、操作部34aの上部及び下部を互いに反対方向に動かすことにより、第1操作部材34を回転させることができる。
【0031】
ロック機構Mは、縮小回転方向への第1操作部材34の回転を許容し、拡大回転方向への第1操作部材34の回転を規制している。一例では、ロック機構Mは、
図8に示すように、第1操作部材34の回転方向を縮小回転方向に限定するストッパ33を有する。第1操作部材34はギア部34dを有し、ストッパ33はギア部34dに係合する係合部33aを有している。ギア部34dと係合部33aとの係合によって、第1操作部材34の回転方向が縮小回転方向に限定されている。すなわち、ギア部34dを構成する各歯の形状と係合部33aの形状が、第1操作部材34の縮小回転方向への回転を許容し、拡大回転方向への回転を規制するように設定されている。ストッパ33は、係合部33aがギア部34dに係合するように、例えばばね(不図示)によって、ギア部34d側に付勢されている。ここで、第1操作部材34についての縮小回転方向は請求項における「第1の方向」に対応し、第1操作部材34についての拡大回転方向は請求項における「第2の方向」に対応している。第1操作部材34の回転方向を限定する構造は必ずしも上述した例に限られず、適宜変更されてよい。
【0032】
ロック機構Mは、ロック状態ではリンク部材31と第1操作部材34とを連結し、アンロック状態ではリンク部材31と第1操作部材34との連結を解除する。これにより、アンロック状態では縮小方向と拡大方向の双方への可動部30の動きが許容され、ロック状態では拡大方向への可動部30の動きが規制される。また、ロック状態では、縮小方向への可動部30の動きは許容される。
【0033】
本実施形態では、ロック機構Mは、第1操作部材34の縮小回転方向への動きに伴って、リンク部材31と第1操作部材34とを連結する。すなわち、ロック機構Mは、第1操作部材34が縮小回転方向に回転するときに、リンク部材31と第1操作部材34が一体的に回転するようにそれらを連結する。この構造によると、ユーザが第1操作部材34を縮小回転方向に回転させるとき、可動部30が縮小方向に移動する。それと同時に、装着バンド20がロック状態に移行し、可動部30の拡大方向への動きが規制される。すなわち、装着バンド20の長さ調整(可動部30の位置調整)と、装着バンド20のロック状態への移行とが、ユーザの1つの操作で実現される。
【0034】
一例では、ロック機構Mは、
図6に示すように、リンク部材31と第1操作部材34との連結を制御するためのクラッチ部材32を有している。クラッチ部材32は、ロック位置とアンロック位置との間で移動可能となっている(
図7(a)ではクラッチ部材32はアンロック位置に配置され、
図7(b)ではクラッチ部材32はロック位置に配置されている)。クラッチ部材32は、ロック位置では、リンク部材31と第1操作部材34の双方に係合する。そのため、クラッチ部材32がロック位置にあるとき、リンク部材31と第1操作部材34はクラッチ部材32を通して間接的に連結している。クラッチ部材32は、アンロック位置では、リンク部材31と第1操作部材34のうち少なくも一方に係合しない。そのため、クラッチ部材32がアンロック位置にあるとき、リンク部材31と第1操作部材34の連結は解除される。なお、「クラッチ部材32が係合する」は、クラッチ部材32がリンク部材31(或いは第1操作部材34)と一体的に回転することを意味し、必ずしも後述するギアやスプラインによって係合することだけを意味しない。
【0035】
図6に示すように、クラッチ部材32は、リンク部材31と第1操作部材34と共通の軸線C1上に配置され、回転可能となっている。また、クラッチ部材32はその軸線C1に沿ってロック位置とアンロック位置との間で移動可能となっている。
【0036】
図6に示すように、リンク部材31は、軸線方向に伸びている筒部31bを有している(「軸線方向」とは軸線C1の延伸方向である)。クラッチ部材32は環状であり、筒部31bの外側に嵌められている。筒部31bの外周面には軸線方向に伸びている凸部31cが形成されている(
図5参照)。クラッチ部材32の内周面は凸部31cに係合する凹部32b(
図9参照)が形成されている。クラッチ部材32は、筒部31bの外周面に係合している状態で軸線方向に移動する。
【0037】
また、クラッチ部材32は、
図6に示すように、その外周部にギア部32aを有している。第1操作部材34は環状であり、その内周面にギア部34bを有している。クラッチ部材32は、軸線方向においてリンク部材31と第1操作部材34との間に位置している。クラッチ部材32は第1操作部材34の内側に配置され、ギア部32aは第1操作部材34のギア部34bと係合可能となっている。
【0038】
図7(a)に示すように、クラッチ部材32はアンロック位置にあるとき、リンク部材31寄りに配置される。このとき、クラッチ部材32のギア部32aは第1操作部材34のギア部34bから離れている。すなわち、クラッチ部材32はリンク部材31に係合しているものの、第1操作部材34には係合していない。
図7(b)に示すように、クラッチ部材32はロック位置にあるとき、第1操作部材34寄りに配置される。このとき、クラッチ部材32のギア部32aは第1操作部材34のギア部34bに係合している。すなわち、クラッチ部材32はリンク部材31と第1操作部材34の双方に係合している。
【0039】
リンク部材31と第1操作部材34とクラッチ部材32の位置関係や係合関係は、上述した例に限定されない。例えば、リンク部材31の筒部31bに替えて、クラッチ部材32に筒部が形成され、この筒部にリンク部材31が係合してもよい。また、リンク部材31の筒部31bに替えて、第1操作部材34に筒部が形成され、この筒部にクラッチ部材32が係合してもよい。
【0040】
本実施形態のロック機構Mは、第1操作部材34の縮小回転方向への動きに伴って、クラッチ部材32をアンロック位置からロック位置に移動させる。ロック機構Mは、
図9に示すように、クラッチ部材32の位置を制御するためのクラッチストッパ35を有している。
【0041】
クラッチ部材32はロック位置に向けて付勢されている。
図7(a)に示すように、アンロック状態では、クラッチストッパ35(後述するストッパ部35a)はクラッチ部材32に作用している力に抗して、クラッチ部材32のロック位置への移動を規制する。ロック機構Mは、第1操作部材34の縮小回転方向への動きに伴ってクラッチストッパ35による規制を解除する。その結果、
図7(b)に示すように、クラッチ部材32はロック位置に移動する。
【0042】
ロック機構Mは、クラッチ部材32をアンロック位置からロック位置に向けて付勢するばね37(
図6参照)を有している。ばね37は、例えば、リンク部材31の筒部31bの外側に嵌められている。ばね37は、クラッチ部材32を第1操作部材34に向けて、すなわちロック位置に向けて押している。
図9に示すように、クラッチストッパ35は、クラッチ部材32のロック位置に向けた移動を制限するためのストッパ部35aを有している。ストッパ部35aは第1操作部材34の内側でクラッチ部材32の端部に当たり、クラッチ部材32のロック位置への移動を制限している。
【0043】
クラッチストッパ35は、ストッパ作動位置とストッパ解除位置との間で動くことができる。ストッパ作動位置は、例えば
図10(a)に示すクラッチストッパ35の位置である。クラッチストッパ35がストッパ作動位置に配置されているとき、ストッパ部35aはクラッチ部材32の軸線方向の端部に当たり、クラッチ部材32のロック位置への移動を規制する。ストッパ解除位置は、例えば
図10(b)に示すクラッチストッパ35の位置である。クラッチストッパ35がストッパ解除位置に配置されているとき、ストッパ部35aはクラッチ部材32から離れ、クラッチ部材32のロック位置への移動を許容する。
【0044】
クラッチストッパ35は、第1操作部材34の縮小回転方向への回転に伴ってストッパ作動位置からストッパ解除位置に移動するよう構成されている。一例では、ストッパ部35aが第1操作部材34の半径方向(すなわち、クラッチ部材32の半径方向)において移動するようにクラッチストッパ35は支持される。そして、第1操作部材34の回転に伴ってクラッチストッパ35が第1操作部材34の半径方向に動くように、クラッチストッパ35と第1操作部材34は係合している。
【0045】
図6及び
図9に示すように、第1操作部材34は、クラッチストッパ35側の側面に、ギア部34cを有している。
図10に示すように、クラッチストッパ35は係合部35bを有している。係合部35bはギア部34cの半径方向の外側に位置し、ギア部34cに係合する。上述したストッパ部35a及び係合部35bがギア部34cの半径方向に動くことができるように、クラッチストッパ35は支持されている。すなわち、ストッパ部35a及びギア部34cが第1操作部材34の半径方向に動くことができるように、クラッチストッパ35は支持されている。クラッチストッパ35の端部は、例えば、フレーム38に形成されている軸部38b(
図9参照)によって支持される。係合部35bはギア部34cに向けて付勢されている。クラッチストッパ35は、例えば、ばね(不図示)によって付勢される。
【0046】
図10(a)に示すように、ギア部34cを構成するギア歯の間に係合部35bが位置しているとき、クラッチストッパ35はストッパ作動位置に位置する。
図10(b)に示すように、第1操作部材34が回転するとき、係合部35bが一時的にギア部34cを構成するギア歯に乗り上げ、その結果、クラッチストッパ35が第1操作部材34の半径方向の外方に動く。このとき、クラッチストッパ35はストッパ解除位置に配置され、クラッチ部材32がロック位置に移動する。
【0047】
ロック機構Mは、
図9に示すように、軸線C1を挟んで互いに反対側に位置する2つのクラッチストッパ35を有してもよい。クラッチストッパ35の数は2つに限定されず、1つのでもよいし、2つより多くてもよい。
【0048】
クラッチストッパ35は、上述した例に限定されない。例えば、クラッチストッパ35は、第1操作部材34の回転に伴って軸線方向に動くように構成されてもよい。そして、クラッチストッパ35は、クラッチ部材32に当たるストッパ作動位置と、クラッチ部材32から離れるストッパ解除位置との間で動いてもよい。
【0049】
クラッチストッパ35によるストッパが解除されると、クラッチ部材32はロック位置に向けて軸線方向に移動し、その後は、ばね37の力を受けてロック位置に留まる。クラッチ部材32がロック位置に配置されている状態では、クラッチストッパ35はクラッチ部材32の外周面にあたるため、ストッパ解除位置に留まる。ロック機構Mは、
図6に示すように、ユーザの操作が可能な第2操作部材39を有している。第2操作部材39は、ユーザの操作を受けて、クラッチ部材32をアンロック位置に戻す。
【0050】
上述したように、クラッチ部材32はロック位置とアンロック位置との間で軸線方向に動くことができる。第2操作部材39は、例えば軸線方向に動くように支持されているプッシュボタンである。この場合、第2操作部材39は、ユーザによって押されたとき、クラッチ部材32をばね37の力に抗してクラッチ部材32をロック位置からアンロック位置に戻す。第2操作部材39は必ずしもプッシュボタンでなくてもよい。
【0051】
上述したロック機構Mを有している装着バンド20は、例えば、次のようにして利用できる。ユーザは、第2操作部材39を押して装着バンド20をアンロック状態とする。そして、ユーザは、可動部30を拡大方向又は縮小方向に動かすことにより装着バンド20のサイズを大まかに調節し、その後、自身の頭部に装着バンド20を装着する。このとき、装着バンド20は弾性部材26の力によってユーザの頭部に仮固定される。その後、ユーザは第1操作部材34を縮小回転方向に回転させる。第1操作部材34を回転させた瞬間に、第1操作部材34とリンク部材31とがクラッチ部材32を介して連結し、装着バンド20はロック状態となる。その結果、第1操作部材34の回転が継続すると、可動部30が縮小方向に移動する(すなわち、装着バンド20の長さが小さくなる)。また、第1操作部材34に係合しているストッパ33の作用により、可動部30の拡大方向への移動が規制される。そのため、ユーザが第1操作部材34の回転を停止した後においても、可動部30は拡大方向に移動せず、装着バンド20の長さが固定される。
【0052】
このように、本実施形態のロック機構Mは、可動部30の縮小方向への動きにともなって、アンロック状態からロック状態に装着バンド20を切り替える。具体的には、可動部30は第1操作部材34の縮小回転方向への動きに伴って縮小方向に移動するよう構成され、ロック機構Mは、第1操作部材34の縮小回転方向への動きに伴って、装着バンド20をアンロック状態からロック状態に切り替える。そのため、可動部30を縮小方向に動かすというユーザの1つの操作、換言すると、第1操作部材34を縮小回転方向に移動させるという1つの操作だけで、装着バンド20をロック状態に移行させることができる。
【0053】
このような機能を有するロック機構Mの構造は、上述した例に限られない。(1)例えば、ロック機構Mはクラッチ部材32を有していなくてもよい。この場合、ロック機構Mは、第1操作部材34又はリンク部材31を軸線方向に移動させることにより、それらを連結(係合)し、或いは連結を解除してもよい。(2)また、ロック機構Mは第1操作部材34を有していなくてもよい。この場合、ユーザは可動部30を直接的に縮小方向及び拡大方向に動かすことができる。そして、ロック機構Mは、可動部30の縮小方向への移動に伴って、装着バンド20をアンロック状態からロック状態に移行してもよい。すなわち、ロック機構Mは、可動部30の縮小方向への移動に伴って、リンク部材31が縮小回転方向と拡大回転方向の双方に回転可能な状態から、拡大回転方向への回転が規制される状態にリンク部材31を移行させもよい。このような構造は、例えば、リンク部材31の回転方向を限定するストッパをリンク部材31に対して相対移動させることにより、実現できる。この場合、ユーザが操作可能な操作部材によってストッパの位置を制御してもよい。例えば、アンロック状態では、操作部材によって、ストッパがリンク部材31に係合しない位置にストッパを配置してもよい。(3)また、第1操作部材34とリンク部材31は必ずしも共通の軸線C1上に配置されなくてもよい。例えば、第1操作部材34の外周部とリンク部材31の外周部とに互いに係合可能なギア部が形成されてもよい。そして、第1操作部材34とリンク部材31は、それらのギア部が係合する位置と、ギア部の係合が解消される位置との間で、ギアの半径方向に相対動可能であってもよい。そして、第1操作部材34の回転方向が一方向に限定されてもよい。このような構造によっても、第1操作部材34のギア部とリンク部材31のギア部とを係合させることにより、装着バンド20のロック状態を実現できる。(4)また、第1操作部材34は必ずしも回転部材でなくてもよい。例えば、リンク部材31に係合する位置と、リンク部材31に係合しない位置との間で、リンク部材31の半径方向に移動可能なスライド部材でもよい。
【0054】
図11及び
図12はロック機構Mの変形例を示す図である。
図11はロック機構M1の断面図であり、リンク部材131、クラッチ部材132、及びフレーム138が示されている。
図12はクラッチ部材132の動きを説明するための概略図であり、後述するギア部の一部が示されている。
図11においては、これまで説明したロック機構Mと同一箇所には同一符合を付している。
【0055】
リンク部材131にはギア部131bが形成され、クラッチ部材132には、ギア部131bに係合するための係合部132aが形成されている。フレーム138には、軸線方向に突出しているギア部138aが形成され、クラッチ部材132には、ギア部138aに係合するための係合部132bが形成されている。その他の点では、リンク部材131は、上述したリンク部材31と同様であり、クラッチ部材132は、上述したクラッチ部材32と同様である。また、フレーム138は、フレーム38と同様である。
【0056】
クラッチ部材132は、クラッチ部材32と同様に、リンク部材131と第1操作部材34の双方に係合するロック位置と、リンク部材131と第1操作部材34のうち一方に係合しないアンロック位置との間で軸線方向に移動可能となっている。
図11では、例として、アンロック位置にあるクラッチ部材132が示されている。
【0057】
ロック機構M1では、クラッチ部材132は上述した第2操作部材39を押す度にロック位置とアンロック位置との間を移動する。すなわち、クラッチ部材132がロック位置にある状態で第2操作部材39によって軸線方向に押されると、クラッチ部材132はアンロック位置に移動する。また、クラッチ部材132がアンロック位置にある状態で第2操作部材39によって軸線方向に押されると、クラッチ部材132はロック位置に移動する。
【0058】
図12(a)に示すように、リンク部材131のギア部131bの各ギア歯には斜面131cが形成されている。クラッチ部材132の係合部132aがリンク部材131の斜面131cに向けて軸方向に押されたときにクラッチ部材132が一方向(
図12においてD3方向)に回転するように、斜面131cは形成されている。クラッチ部材132は、例えばばね(不図示)によって、フレーム138側に付勢されている。
【0059】
フレーム138では、ギア部138aを構成するギア歯の間に形成されている凹部として、深さの異なる2種類の凹部138d、138eが形成されている。凹部138dは凹部138eよりも深い(以下では、凹部138dをロック凹部と称し、凹部138eをアンロック凹部と称する)。
図12(b)に示すように、クラッチ部材132の係合部132bが深いロック凹部138dにあるとき、クラッチ部材132はロック位置に配置され、リンク部材131と第1操作部材34の双方に係合する。
図12(c)に示すように、クラッチ部材132の係合部132bが浅いアンロック凹部138eにあるとき、クラッチ部材132はアンロック位置に配置され、クラッチ部材132は第1操作部材34に係合しなくなる。なお、
図12に示すように、フレーム138の2種類の凹部138d、138eに合わせて、リンク部材131のギア部131bのギア歯の間隔として、2つのサイズが交互に設けられている。
【0060】
クラッチ部材132の係合部132bがアンロック凹部138eにある状態で、第2操作部材39によってクラッチ部材132が押されると、
図12(a)に示すように、係合部132aとリンク部材131の斜面131cとの作用によってクラッチ部材132はD3方向に動く。その後、ばねなどの付勢力によってクラッチ部材132がフレーム138側(第1操作部材34側)に戻る。その結果、
図12(b)に示すように、クラッチ部材132の係合部132bは隣のロック凹部138dに嵌まり、クラッチ部材132はロック位置に配置される。クラッチ部材132の係合部132bがロック凹部138dにある状態で、第2操作部材39によってクラッチ部材132が押されると、クラッチ部材132はD3方向に動き、
図12(c)に示すように、クラッチ部材132の係合部132bは隣のアンロック凹部138eに嵌まり、クラッチ部材132はアンロック位置に配置される。
【0061】
上述したように、HMD1は本体10と装着バンド20とを有している。装着バンド20はその前側にフロント支持部23を有している。そして、フロント支持部23は、本体10の上部に接続されてる。本体10は装着バンド20に対して、すなわちフロント支持部23に対して前後方向において相対移動可能となっている。これにより、ユーザはディスプレイ11と眼との距離を調整することができる。また、ユーザは、本体10を前方に移動させることにより、HMD1を頭部に装着したまま、下側を見ることができる。例えば、HMD1がゲームプレイにおいて利用される場合、ユーザは手で持っているゲームコントローラを見ることができる。
【0062】
図13から
図15は、本体10の相対移動を可能とする構造を示す図である。これらの図では、装着バンド20が備えている第1ガイド41と、本体10が備えている第2ガイド50とが示されている。
図13は平面図であり、
図14は側面図であり、
図15は
図14に示すXV-XV線での断面図である。
【0063】
装着バンド20は板状のフレーム40を有している。フレーム40はフロント支持部23の内部で固定されている固定部40aを有している。また、第1ガイド41はフレーム40に設けられている。具体的には、フレーム40は固定部40aから前方に伸びている支持部40bを有し、第1ガイド41は支持部40bに取り付けられている。第1ガイド41及び支持部40bは本体10を構成するハウジング14(
図1参照)の上部に配置されている。本体10は、ハウジング14の上部に、第2ガイド50を有している。第2ガイド50は、第1ガイド41の移動を前後方向に案内する。
【0064】
図15に示すように、第2ガイド50はベース51を有している。第2ガイド50の一例では、ベース51は板状である。第1ガイド41は、例えばベース51の上側に配置されている。第1ガイド41はベース51の下側に配置されてもよい。ベース51はその右側及び左側にサイドガイド部51R、51Lを有している。2つのサイドガイド部51R、51Lの間に第1ガイド41が配置されている。すなわち、右側のサイドガイド部51Rと左側のサイドガイド部51Lはそれぞれ第1ガイド41の右側及び左側にそれぞれ位置し、第1ガイド41の縁に沿って伸びている。サイドガイド部51R、51Lとベース51は、例えば金属によって一体的に形成される。
【0065】
第2ガイド50は、サイドガイド部51R、51Lとベース51とは別体に形成されているガイドレールを有している。第2ガイド50は、その右側と左側とにガイドレール53R、53Lをそれぞれ有する。ガイドレール53R、53Lは、サイドガイド部51R、51Lと第1ガイド41の縁との間に配置されている。ガイドレール53R、53Lは例えばプラスチックなどの樹脂によって形成される。第1ガイド41も例えばプラスチックなどの樹脂によって形成される。ガイドレール53R、53Lは金属で形成されてもよい。ガイドレール53R、53Lは、
図15に示されるように、第1ガイド41の縁部を上下方向において挟むように形成されてもよい。こうすることにより、第1ガイド41と第2ガイド50との間の摩擦を軽減できる。
【0066】
ガイドレール53Lは、ガイドレール53Lを第1ガイド41の縁に向けて押す力を受ける部位53b(
図15参照)を有している(以下において、この部位を被押圧部53bと称する)。こうすることにより、ガイドレール53R、53Lのそれぞれが第1ガイド41の縁に接し、その結果、フレーム40の第1ガイド41の縁とガイドレール53L、53Rとの間の隙間を小さくできる。ガイドレール53Lは、その長さ方向の中途部に、被押圧部53aを有する。好ましくは、ガイドレール53Lは、ガイドレール53Lの長さ方向において互いに間隔をあけて配置される複数の被押圧部53aを有する。
【0067】
図14に示すように、サイドガイド部51R、51Lは壁状であり、ガイドレール53R、53Lに沿って配置されている。サイドガイド部51Lには、ガイドレール53Lの側面の一部を露出させる穴51aが形成されている。ガイドレール53Lはサイドガイド部51Lの穴51aを通して第1ガイド41の縁に向けて押される。すなわち、ガイドレール53Lの側面における穴51aに対応する部分が、被押圧部53aである。サイドガイド部51Lは、ガイドレール53Lの長さ方向において互いに間隔をあけて形成される複数の穴51aを有してもよい。
【0068】
ベース51及びガイドレール53Lは、後述する固定部材54を第2ガイド50に固定するまえの状態では、ガイドレール53Lの位置が左右方向において僅かに動くことができるように構成されている。そして、ガイドレール53Lの左右方向での位置は、ベース51及びガイドレール53Lとは別体の部材によって固定されている。ガイドレール53Lの位置を固定する部材は被押圧部53bに接する部分を有する。ガイドレール53Lが第1ガイド41の縁に接している状態で、左右方向におけるガイドレール53Lの位置が固定されている。なお、上述した「別体の部材」とは、ガイドレール53Lの固定に使用される前において、ベース51及びガイドレール53Lとは別個に動かすことができていた構造物(例えば、ネジや後述する固定部材)や材料(例えば、接着剤)である。
【0069】
このように、第2ガイド50はサイドガイド部51R、51Lを有しているベース51と、サイドガイド部51Lと第1ガイド41の縁との間に位置しているガイドレール53Lとを有している。ガイドレール53Lは、ガイドレール53Lを第1ガイド41に向けて押す力を受けることができる被押圧部53aを有している。第2ガイド50は、ベース51に対するガイドレール53Lの左右方向での位置を固定する、ベース51及びガイドレール53Lとは別体の部材を有している。
【0070】
このような第2ガイド50の構造によると、次のような製造方法が可能となる。すなわち、ガイドレール53R、53Lとをサイドガイド部51R、51Lの内側に配置する。その後、ガイドレール53R、53Lの間に第1ガイド41を配置する。そして、左側のガイドレール53Lの被押圧部53aを第1ガイド41の縁に向けて押している状態で、ベース51及びガイドレール53Lとは別体の部材でガイドレール53Lの左右方向の位置を固定する。こうすることにより、ガイドレール53R、53Lの間隔を第1ガイド41の幅に適合させることができ、第1ガイド41が前後方向において直線的に動くようになる。
【0071】
図14及び
図15に示すように、第2ガイド50は、ベース51及びガイドレール53Lとは別体の固定部材54を有している。固定部材54は押圧部54aを有している。押圧部54aはサイドガイド部51Lの穴51aの内側に位置し、上述したガイドレール53Lの被押圧部53aに接している。また、固定部材54はベース51に固定される固定部54bを有している。このような固定部材54によると、ガイドレール53Lの位置を固定する作業を容易化できる。
【0072】
固定部54bは例えば板状である。押圧部54aは固定部54bの縁から上方又は下方に突出している。
図14及び
図15に示す例では、押圧部54aは固定部54bの縁から上方に突出している。固定部材54は、ガイドレール53Lの長さ方向において間隔を空けて配置される複数の押圧部54aを有している。固定部54bは、
図15に示すように、例えばベース51の下面に配置され、ベース51に固定される。固定部54bは例えばベース51に溶接される。固定部54bは、ベース51に溶着されたり、接着されてもよい。なお、ガイドレール53Lは、板状の固定部材54に替えて、接着剤を利用してベース51に固定されてもよい。例えば、穴51aからガイドレール53Lとサイドガイド部51Lとの間に接着材が充填されてもよい。この場合、固化した接着剤が固定部材として機能する。
【0073】
上述したように、ベース51及びガイドレール53Lは、ガイドレール53Lの位置が左右方向において僅かに動くことができるように構成されている。例えば、ベース51には穴が形成され、ガイドレール53Lはこの穴に嵌まる凸部が形成される。そして、穴の左右方向におけるサイズが、ガイドレール53Lの凸部よりも僅かに大きい。これにより、固定部材54によってガイドレール53Lの位置を固定する前においては、ガイドレール53Lの位置は僅かに動くことができる。なお、
図15に示すように、サイドガイド部51Lは保持壁部51bを有している。ガイドレール53Lはベース51と保持壁部51bとによって上下方向において挟まれている。そのため、固定部材54によってガイドレール53Lの位置を固定する前においては、ガイドレール53Lは僅かに動く状態でベース51によって保持される。
【0074】
なお、サイドガイド部51Lに穴51a(
図14参照)が形成されている点を除いて、サイドガイド部51Rは、サイドガイド部51Lと同じ構造を有している。サイドガイド部51Rにも穴51aが形成されてもよい。以上説明した例では、ガイドレール53L、53Rや固定部材54を有する第2ガイド50が本体10に設けられ、第1ガイド41が装着バンド20に設けられている。しかしながら、ガイドレール53L、53Rや固定部材54を有する第2ガイド50が装着バンド20に設けられ、第1ガイド41は本体10に設けられてもよい。
【0075】
図2に示すように、装着バンド20は、その前側に、ユーザの頭部の前側に接するためのフロントパッド25を有してもよい。フロントパッド25は、好ましくは、クッション25bを有する。フロントパッド25は、上述したフロント支持部23の上部23bの後側に設けられている。HDM1がユーザの頭部に装着されているとき、装着バンド20は上述した可動部30とフロントパッド25とによってユーザの頭部を挟む。
【0076】
フロントパッド25は、前後方向でのフロントパッド25の角度が調整可能となるように支持されるのが好ましい。こうすることにより、ユーザの頭部の形状やサイズに合わせてフロントパッド25の角度を変えることが可能となる。
【0077】
図16は、フロントパッド25の角度の調整を可能とする構造の例を示す図である。この
図16(a)では、フロントパッド25の一部を破断した、フロントパッド25の側面が示されている。
図16(b)は、フロントパッド25の平面図である。
【0078】
フロントパッド25はブラケット25aを有している。ブラケット25aは、プラスチックや金属など比較的高い剛性を有する材料で形成される。フロントパッド25の一例では、ブラケット25aは板状である。ブラケット25aに上述のクッション25bが取り付けられる。ブラケット25aは、その右側及び左側に軸部25cを有している。軸部25cは、例えばフロント支持部23の内部で支持される。軸部25cは、側面視において、フロントパッド25の下部に位置している。フロントパッド25の上部は軸部25cを中心にして前後方向に動くことができる。これにより、フロントパッド25の角度調整が可能となる。
【0079】
図16(b)に示されるように、装着バンド20は、ユーザがフロントパッド25を動かすための操作部材27を有している。操作部材27はフロント支持部23の内部に収容される。操作部材27は、左右方向にスライド可能に支持される。ブラケット25aは、前方に突出している被押圧部25dを有する。操作部材27は、被押圧部25dを押すための押圧面27aを有する。押圧面27aは、左右方向における操作部材27の位置に応じて、ブラケット25aの被押圧部25dの前後方向での位置が変化するように傾斜している。操作部材27はフロント支持部23の外面において露出する操作部27bを有している(
図3及び
図16b参照)。このような構造によると、ユーザは操作部27bを通して操作部材27の位置を左右方向において動かすことにより、フロントパッド25の角度を変化させることができる。
【0080】
本体10には、外部の光がユーザの眼に届くことを抑える遮光部材が取り付けられてもよい。遮光部材は、好ましくは、可撓性を有する材料で形成される。遮光部材は例えばエラストマーで形成される。
図17は本体10を後側から臨む斜視図である。
図17に示すように、本体10は、遮光部材として、本体10の側部から後方に伸びているサイドガード部61を有している。サイドガード部61によって、HMD1の使用時に、HMD1の右側及び左側の光を遮ることができる。サイドガード部61の縁61aは、湾曲しているのが好ましい。こうすることにより、HMD1を頭部に装着したときに、ユーザの顔面にサイドガード部61の縁61aが当たることに起因する不快感を軽減できる。
【0081】
図17に示すように、本体10はフレーム13を有している。フレーム13は、その右側と左側とに開口13aを有している。開口13aの奥部にレンズ12及びディスプレイ11(
図2参照)が配置されている。ユーザはこの開口13aを通してディスプレイ11の映像を見ることができる。左右の開口13aの間には、後方及び下方に開いている凹部13bが形成されている。HMD1の使用時、この凹部13bにユーザの鼻が位置する。この凹部13bにも遮光部材62が配置されてもよい。遮光部材62は、本体10を後側から見たときに、凹部13bの内側を覆うように配置されている。遮光部材62によれば、HMD1の使用時に、凹部13bの内面とユーザの鼻との間の隙間を通って外部の光がユーザの眼に届くことを抑えることができる。
【0082】
遮光部材62は、例えば、凹部13bを覆う(閉じる)シート状に形成される。このようなシート状の遮光部材62は例えば可撓性を有する材料で形成される。遮光部材62はフレーム13に対して脱着可能となるように構成されてもよい。こうすることにより、ユーザの鼻のサイズに合わせて、凹部13b内における遮光部材62の位置、換言すると、遮光部材62の前後方向での位置を変えることが可能となる。
図17に示す例では、遮光部材62はシート状であり、また中心部に上下方向に伸びているスリットが形成されている。すなわち、遮光部材62は右側部分62bと左側部分62aとを有している。これによれば、HMD1の使用時に遮光部材62がHMD1の快適な装着の障害となることを抑えることができる。また、右側部分62bと左側部分62aの縁62cは、湾曲しているのが好ましい。こうすることにより、HMD1を頭部に装着したときに、ユーザの鼻に遮光部材62の縁62cが当たることに起因する不快感を軽減できる。
【0083】
本発明は以上説明した実施形態に限定されず、適宜変更されてよい。例えば、本明細書では、遮光部材や、ガイド41、50、フロントパッド25の角度調整機構について説明したが、本発明に係るHMDはこれらを有していなくてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを内蔵している本体と、
前記本体から後側に向かって伸びており、全体としてユーザの頭部を取り囲む形状を有している装着バンドと、
前記装着バンドの右側の部分を構成している右延伸部と、
前記装着バンドの左側の部分を構成している左延伸部と、
前記装着バンドの後側の部分を構成しており、前記右延伸部の後部と前記左延伸部の後部とを連結し、前記装着バンドの長さが縮小する縮小方向と前記装着バンドの長さが増す方向である拡大方向とに向けて前記右延伸部と前記左延伸部とに対して相対動可能な可動部と、
前後方向に延伸する軸を回転軸として回転可能に前記可動部に設けられ、ユーザによる操作が可能な第1の操作部材と、
前記第1の操作部材の上下方向の幅は、前記可動部の上下方向の幅よりも大きい、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記可動部は、前記第1の操作部材の第1の方向への動きに伴って、前記縮小方向に移動するよう構成される、
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記可動部は、ハウジングを有しており、
前記第1の操作部材は、少なくとも上部の一部又は下部の一部が前記ハウジングから突出するように、前記軸を回転軸として回転可能に支持されている、
請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記第1の操作部材は、前記ハウジング内に収容されており、
前記少なくとも上部の一部又は下部の一部が前記ハウジングに形成される開口から露出している、
請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記可動部は、ハウジングを有しており、
前記第1の操作部材は、上部の一部及び下部の一部が前記ハウジングから突出するように、前記軸を回転軸として回転可能に支持されており、
前記第1の操作部材は、前記ハウジング内に収容されており、
前記上部の一部が、前記ハウジングの上面に形成される開口から露出しており、
前記下部の一部が、前記ハウジングに下面に形成される開口から露出している、
請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記右延伸部に沿って設けられており、前記可動部に対して前記縮小方向に作用する力を生じる右弾性部材と、
前記左延伸部に沿って設けられており、前記可動部に対して前記縮小方向に作用する力を生じる左弾性部材と、
を有している、
請求項1~5のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記右弾性部材は、前記右延伸部よりも内側に配置されており、
前記左弾性部材は、前記左延伸部よりも内側に配置されている、
請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイ。