(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076596
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】TGF-βRII結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230525BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230525BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230525BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230525BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230525BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230525BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230525BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230525BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230525BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/04
A61K39/395 T
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060823
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2022539245の分割
【原出願日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】2024576
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】510340757
【氏名又は名称】メルス ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スロスビー
(57)【要約】
【課題】ヒト疾患の治療、具体的には、がんの治療用の新たな医薬品を提供することである。
【解決手段】本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗体断片に関する。本発明はさらに、本発明の抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、本発明の抗体または抗体断片を産生する単離された細胞、および本発明の抗体または抗体断片を含む薬学的組成物に関する。本発明の抗体または抗体断片を使用して、がんを治療することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗体断片であって、前記抗体または抗体断片が、以下から選択される重鎖可変領域(VH):
(A)VHであって、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および
(c)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を有する、VH、
(B)VHであって、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、
(b)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および
(c)配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を有する、VH、
(C)VHであって、
(a)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および
(c)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を有する、VH
のうちのいずれか1つを含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3から選択される前記CDRのうちのいずれか1つ以上においてその保存的アミノ酸で置換されてもよい、抗体またはその抗体断片。
【請求項2】
前記VHのFR1領域、FR2領域、FR3領域、およびFR4領域が、体細胞変異を含み得る生殖系列V遺伝子IGHV3-15およびIGHV3-23によってコードされるアミノ酸配列に対応する、請求項1に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項3】
前記抗体が、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS(配列番号10)、
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS(配列番号11)、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS(配列番号12)、
から選択されるVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号22~24、26~28、32、39、40、42、43、48、51~53、56、61、63、65、67、70、72、74、76、79、81、83、87、93のうちのいずれか1つから選択されるVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項5】
前記抗体または抗体断片が、
軽鎖可変領域(VL)であって、
(a)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、
(b)配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および
(c)配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を有する、VLをさらに含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VL-CDR1、VL-CDR2、およびVL-CDR3から選択される前記CDRのうちのいずれか1つ以上においてその保存的アミノ酸で置換されてもよい、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項6】
前記抗体が、VLアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK(配列番号16)、またはそれと少なくとも80%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号10、11、または12の重鎖可変領域、および配列番号16の軽鎖可変領域を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号22~24、26~28、32、39、40、42、43、48、51~53、56、61、63、65、67、70、72、74、76、79、81、83、87、93のうちのいずれか1つの重鎖可変領域、および配列番号16の軽鎖可変領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号10の2つの重鎖可変領域および配列番号16の2つの軽鎖可変領域、配列番号11の2つの重鎖可変領域および配列番号16の2つの軽鎖可変領域、または配列番号12の2つの重鎖可変領域および配列番号16の2つの軽鎖可変領域を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号22~24、26~28、32、39、40、42、43、48、51~53、56、61、63、65、67、70、72、74、76、79、81、83、87、93のうちのいずれか1つの2つの重鎖可変領域、および配列番号16の2つの軽鎖可変領域を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項11】
前記抗体がIgG抗体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体がIgG1抗体またはIgG4抗体である、請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体がIgG1抗体である、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体または抗体断片が、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項15】
前記抗体または抗体断片が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の抗体またはその抗体断片。
【請求項16】
前記抗体のFc受容体への結合が排除または低減される、請求項1~15のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項17】
ヒトTGF-βRIIに特異的に結合する抗体であって、
(A)配列番号10~12および配列番号22~24、26~28、32、39、40、42、43、48、51~53、56、61、63、65、67、70、72、74、76、79、81、83、87、93から選択されるいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む、抗体。
【請求項18】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその断片。
【請求項19】
ヒトTGF-βRIIに特異的に結合する結合ドメインであって、
以下から選択される重鎖可変領域(VH):
(A)配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するVHのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVH、
(B)配列番号40に記載のアミノ酸配列を有するVHのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVH、
(C)配列番号61に記載のアミノ酸配列を有するVHのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVH、
(D)配列番号65に記載のアミノ酸配列を有するVHのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVH、
(E)配列番号70に記載のアミノ酸配列を有するVHのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVH、
(F)配列番号76に記載のアミノ酸配列を有するVHのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVH、
のうちのいずれか1つを含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3から選択される前記CDRのうちのいずれか1つ以上においてその保存的アミノ酸で置換されてもよい、結合ドメイン。
【請求項20】
前記結合ドメインが、配列番号12、40、61、65、70、および76から選択されるVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の結合ドメイン。
【請求項21】
前記抗体もしくは抗体断片、または前記結合ドメインが、
軽鎖可変領域(VL)であって、
(a)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、
(b)配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および
(c)配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を有する、VLをさらに含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VL-CDR1、VL-CDR2、およびVL-CDR3から選択される前記CDRのうちのいずれか1つ以上においてその保存的アミノ酸で置換されてもよい、請求項19または20に記載の結合ドメイン。
【請求項22】
前記抗体または結合ドメインが、VLアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK(配列番号16)、またはそれと少なくとも80%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む、請求項19~21のいずれか1項に記載の結合ドメイン。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメインの重鎖および軽鎖のいずれかまたは両方をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項24】
請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメインを産生する、細胞。
【請求項25】
前記細胞が、請求項23に記載のベクターで形質転換された組換え細胞である、請求項24に記載の細胞。
【請求項26】
請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメインと、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項27】
がんの予防、がんの症状進行もしくは再発の抑制、および/またはがんの治療に使用するための医薬品であって、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメインを活性成分として含む、医薬品。
【請求項28】
前記がんが、正常よりも高いTGF-βシグナル伝達、具体的には、正常よりも高いTGF-βRII発現と相関するがん型である、請求項27に記載の医薬品。
【請求項29】
前記がんが、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、胃がん、神経膠芽腫、頸部がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、黒色腫、骨髄異形成症候群、膵臓がん、前立腺がん、および腎臓がんからなるから選択される、請求項27または28に記載の医薬品。
【請求項30】
がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメイン、または請求項26に記載の薬学的組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項31】
ヒトTGF-βの細胞のヒトTGF-βRIIへの結合を遮断する方法であって、前記細胞に、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメインを提供することと、前記抗体もしくは抗体断片、または前記結合ドメインが前記細胞の前記ヒトTGF-βRIIに結合することを可能にし、それにより、ヒトTGF-βの前記細胞のヒトTGF-βRIIへの結合を遮断することと、を含む、方法。
【請求項32】
ヒトTGF-βの細胞のヒトTGF-βRIIへの結合によって誘導される前記細胞へのシグナル伝達を阻害する方法であって、前記細胞に、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメインを提供することと、前記抗体もしくは抗体断片、または前記結合ドメインが前記細胞の前記ヒトTGF-βRIIに結合することを可能にし、それにより、前記細胞への前記シグナル伝達を阻害することと、を含む、方法。
【請求項33】
転移の予防または抑制を必要とする対象における転移を予防または抑制する方法であって、前記対象に、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、または請求項19~22のいずれか1項に記載の結合ドメイン、または請求項26に記載の薬学的組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学分野に関する。より具体的には、本発明は、形質転換成長因子-ベータ受容体II(TGF-βRII)に結合するタンパク質、およびヒトの治療、特に、がんの治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
形質転換成長因子β(TGF-β)は、TGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達分子部分である。様々な細胞機能を調節する3つのTGF-βリガンド(TGF-β1、2、および3)が存在する。TGF-βシグナル伝達は、正常細胞では腫瘍抑制的な役割を有するが、悪性細胞では腫瘍促進的な役割を有することができる。これらは、増殖、移動、分化、アポトーシス、血管新生、および上皮間葉転移などのプロセスに関与する(Bierie and Moses,2006.Siegel and Massague,2003)。これらのシグナルはTGF-β受容体2型(TGF-βRII)への結合により媒介され、TGF-βRIとの二量体化およびそのリン酸化をもたらす。その後、2つのTGF-βRIIおよび2つのTGF-βRIから成るこのヘテロ四量体複合体は、SMAD2およびSMAD3を動員してリン酸化し、次いで、SMAD4を動員してco-SMAD分子に結合してSMAD/co-SMAD複合体を形成し、それがTGF-β標的遺伝子の転写を調節する核に移動する(Hata and Chen,2016.Vander Ark,Cao et al.,2018)。
【0003】
高レベルのTGF-β発現は、がんにおける予後不良と関連することが示されている。TGF-βは、がん細胞の移行および転移を促進する上皮間葉転移を誘導する場合がある。遺伝子発現プロファイルは、TGF-βシグナル伝達が結腸直腸がんの肝転移における有意な経路であることを示している(Jung,Staudacher et al.,2017)。さらに、間質と上皮との相互作用ががん進行に関与することが報告されている。固形腫瘍に見られる豊富な間質細胞成分は、がん関連線維芽細胞(CAF)であり、腫瘍の足場となり得る細胞外マトリックスの構築および再構築に加えて、免疫回避にも寄与し、腫瘍発生および成長も促進する(Quail and Joyce,2013)。腫瘍由来のTGF-β1は、腫瘍形成促進性間質環境を促進することができるTGFβRIIに結合することにより、線維芽細胞の「活性化された」CAFへのトランス分化を誘導する。
【0004】
CAFおよび腫瘍の異常TGF-βシグナル伝達特性を阻害するためにTGF-βシグナル伝達経路を標的とする既存の方法は、これまでに、最適以下の有効性および/または開発責務を有していた。1つの抗TGF-βRIIモノクローナル抗体は、WO2010/053814に開示されているLY3022859であり、これはTGF-βRIIの細胞外ドメインを遮断することが報告されている。しかしながら、第I相用量漸増試験は、サイトカイン放出症候群を引き起こし、進行性固形腫瘍を有する患者には安全ではないとみなされた。WO2012/093125に開示されている別の薬剤は、より短い半減期を有する抗TGF-βRII単一可変ドメインであり、この分子の正確な作用機序または結合ドメインは確立されていない。これまでに、TGF-β腫瘍調節の複雑さおよび多面性が薬剤開発を困難にするため、臨床試験に成功した抗TGF-βRII抗体は存在していない(Hao,Baker et al.,2019)。本明細書では、我々は、TGF-βRIIに結合することができる新たな重鎖可変領域、重鎖、Fab、および全長IgG単一特異性抗体を記載する。これらの抗体、またはこれらの重鎖もしくは重鎖可変領域を含む抗体は、TGF-βRII上の新規の位置を標的とし、受容体とそのリガンドとの間の相互作用を遮断し、これは既存の抗体と比べて改善された点である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、ヒト疾患の治療、具体的には、がんの治療用の新たな医薬品を提供することである。この目的は、本明細書に記載され、かつ特許請求される、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗体断片、および特定の結合ドメインの提供によって満たされる。
【0006】
第1の態様では、本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗体断片であって、抗体または抗体断片が、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのエピトープに結合し、そのヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの25位またはヒトTGF-βRIIのアイソフォームBの50位のフェニルアラニン(F)が結合のための必須残基である、抗体またはその抗体断片に関する。
【0007】
好ましくは、かかる抗体または抗体断片は、TGF-βRIIに結合し、ヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合を遮断または阻害し、それにより、細胞へのシグナル伝達を阻害し、TGF-βRIIのヘテロ二量体化を遮断または阻害する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体断片の重鎖および軽鎖のいずれかまたは両方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体断片を産生する細胞に関する。
【0010】
第4の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体断片と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む薬学的組成物に関する。
【0011】
第5の態様では、本発明は、がんを予防する、がんの症状進行もしくは再発を抑制する、および/またはがんを治療するための医薬品であって、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片を活性成分として含む、医薬品に関する。
【0012】
第6の態様では、本発明は、対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または本明細書に記載の薬学的組成物の有効量を投与することを含む、方法に関する。
【0013】
第7の態様では、本発明は、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合を遮断する方法であって、細胞に、本明細書に記載の抗体または抗体断片を提供することと、抗体または抗体断片が細胞のヒトTGF-βRIIに結合することを可能にし、それにより、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合を遮断することと、を含む、方法に関する。
【0014】
第8の態様では、本発明は、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合によって誘導される細胞へのシグナル伝達を阻害する方法であって、細胞に、本明細書に記載の抗体または抗体断片を提供することと、抗体または抗体断片が細胞のヒトTGF-βRIIに結合することを可能にし、それにより、細胞へのシグナル伝達を阻害することと、を含む、方法に関する。
【0015】
第9の態様では、本発明は、転移を予防または抑制する方法であって、対象に、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または本明細書に記載の薬学的組成物の有効量を投与することを含む、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概して、本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインに特異的に結合するタンパク質、具体的には、抗体またはその抗体断片に関する。好ましくは、抗体は、単離されている。好ましくは、抗体は、モノクローナル抗体である。より好ましくは、抗体は、単離されたモノクローナル抗体である。
【0017】
「単離されたモノクローナル抗体」とは、クローン細胞によって産生された抗体を指す。単離された抗体の例には、親和性精製された抗体、インビトロでハイブリドーマまたは他の細胞株で産生された抗体、およびトランスジェニック非ヒト動物に由来するヒト抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「抗体」という用語は、2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)の4つのポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子を指す。重鎖は各々、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を含む。重鎖可変領域は、3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)および4つのフレームワーク領域(FR)を含み、好ましくは、ヒトであるか、またはヒト化されている。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3から成り、任意の生物、好ましくはヒトに由来し得る。重鎖定常領域のCH1ドメインおよびCH2ドメインは、可動性ヒンジ領域を介して接続されている。軽鎖は各々、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を含む。軽鎖可変領域は、カッパ(K)またはラムダ(λ)の2種類であり得、VHと同様に、3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)および4つのフレームワーク領域を含む。軽鎖可変領域は、好ましくは、ヒトであるか、またはヒト化されている。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから成り、任意の生物、好ましくはヒトに由来し得る。これらの2つの重鎖は、2つのヒンジ領域間のジスルフィド結合によって互いに連結され、これらの重鎖は各々、CH1領域とCL領域との間のジスルフィド結合によって軽鎖と対になる。従来の抗体では、2つの重鎖と2つの軽鎖は同一であり、抗体に2つの同一の抗原結合部位を提供する。
【0019】
抗体結合は、特異性および親和性を含む異なる特質を有する。特異性は、どの抗原またはそのエピトープが抗体結合ドメインによって特異的に結合されるかを決定する。親和性は、特定の抗原またはエピトープへの結合の強度の尺度である。
【0020】
「ヒト」抗体とは、全ての抗体ドメインがヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。本発明で使用されるヒト抗体は、ヒト抗体、例えば、Humabマウス、KMマウス、Xenoマウス、Tcマウス、またはMeMo(登録商標)マウス(WO2009/157771)を産生するように形質転換されたマウスを使用する方法によって産生することができる。ヒト抗体は、免疫時にヒト抗体応答が得られるようにヒト免疫細胞が再構築されたSCIDマウスを使用して調製することもできる。
【0021】
「ヒト化」抗体領域とは、例えば、マウスまたはニワトリなどのヒト以外の動物の生殖細胞系に由来する抗体の相補性決定領域(CDR)配列をヒト抗体のヒトフレームワーク配列に移植することによって調製された抗体を指す。また、ヒト化抗体は、抗体産生ハイブリドーマから単離された抗体のCDR領域をコードする核酸を、周知の方法を使用してヒト由来抗体のフレームワーク領域をコードする核酸に連結することによって産生することができる。
【0022】
抗体は、その重鎖および/または軽鎖可変領域を介して、具体的には、その特異的CDRを介して抗原に結合することができる。抗体の重鎖および/または軽鎖可変領域のCDRは、抗原の「エピトープ」(「抗原決定基」とも称される)に結合する。エピトープは、タンパク質の三次フォールディング、それぞれ、いわゆる直鎖状エピトープおよび立体構造エピトープによって並置された非隣接アミノ酸または非隣接アミノ酸から形成することができる。隣接直鎖状アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるが、三次フォールディングによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒での処理時に立体構造が失われる。エピトープは、典型的には、特有の空間的立体構造内に3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸を含み得る。
【0023】
「抗原」は、典型的には、宿主生物において免疫応答を誘導し、それにより、抗原に対する特異性を有する抗体を産生することができる分子である。分子レベルでは、抗原は、抗体の抗原結合部位によって結合される能力を特徴とする。上述のように、抗体の抗原結合部位は、その重鎖および/または軽鎖可変領域によって、具体的には、そのCDRによって形成される。抗原は、少なくとも1つのエピトープを含むが、多くの場合、それ以上のエピトープを含む。
【0024】
また、抗原の混合物は、「抗原」とみなすことができ、当業者であれば、腫瘍細胞溶解物またはウイルス粒子が「抗原」と示され得ることもあることを理解するであろう一方で、かかる腫瘍細胞溶解物またはウイルス粒子調製物には多くの抗原決定基が存在する。
【0025】
本発明では、抗原は、ヒトTGF-βRIIである。ヒトTGF-βRIIは、異なるアイソフォームが存在する膜貫通タンパク質である。ヒトTGF-βRIIアイソフォームAのアミノ酸配列は、配列番号101として提供され、ヒトTGF-βRIIアイソフォームAの細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号102として提供される。ヒトTGF-βRIIアイソフォームBは、細胞外ドメインへの挿入のため、より長いアイソフォームをコードするスプライスバリアントである。ヒトTGF-βRIIアイソフォームBのアミノ酸配列は、配列番号103として提供され、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームBの細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号104に記載の通りである。
【0026】
TGF-βRIIは、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼファミリーおよびTGFB受容体サブファミリーのメンバーである。これは、TGFBR2、AAT3、FAA3、LDS1B、LDS2、LDS2B、MFS2、RIIC、TAAD2、TGFR-2、TGFβ-RII、形質転換成長因子ベータ受容体2、およびTBR-ii、TBRIIを含む様々な同義語で知られている。TGF-βRIIは、別の受容体タンパク質とヘテロ二量体複合体を形成し、TGF-βに結合する。この受容体/リガンド複合体は、タンパク質をリン酸化し、その後、それが核に入り、細胞増殖に関連する遺伝子のサブセットの転写を調節する。
【0027】
抗体は、特定の結合親和性で抗原に結合する。「結合親和性」は、式:koff/konによって計算される解離定数(KD)によって決定され、抗体-抗原相互作用の強度を指す。所望の生物学的活性に応じて、抗体は、その高いkon速度および/または低いkoff速度に基づいて選択することができる。
【0028】
「抗体断片」には、重鎖および/または軽鎖の機能的断片が含まれるが、これらに限定されない。かかる機能的断片は、抗体重鎖または軽鎖由来のCDRに由来するか、またはそれに基づいて合成される少なくとも1つのCDRを含み、抗原を特異的に認識することができる。抗体断片は、例えば、Fab,F(ab’)2、scFv、ミニボディ、またはsdAbとすることができるが、これらに限定されない。「抗体断片」とは、抗体の機能的部分を含むタンパク質性部分をさらに指す。この場合では、本明細書に記載の少なくとも重鎖可変領域、またはHCDRのうちの1つ以上である。抗体断片は、一本鎖Fv、一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalins(登録商標)、Nanobodies(登録商標)、BiTE(登録商標)、Fab、アンキリンリピートタンパク質またはDARPIN(登録商標)、Avimer(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectin(登録商標)、Affilin(登録商標)、Trans-Body(登録商標)、Affibody(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProtein、Fynomer(登録商標)、Centyrin(登録商標)、またはKALBITOR(登録商標)を含むが、これらに限定されない任意の結合剤とすることができる。
【0029】
「Fab」とは、典型的には、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、CH1、およびCL領域を含む結合ドメインを意味する。
【0030】
「F(ab’)2」とは、典型的には、ヒンジ領域によって互いに連結された2つのFabドメインを含む結合ドメインを意味する。
【0031】
「一本鎖可変断片」(scFv)とは、典型的には、リンカー、例えば、約10~約25アミノ酸長のペプチドリンカーを介して接続されたVHドメインおよびVLドメインを含む結合ドメインを意味する。
【0032】
「ミニボディ」とは、典型的には、2つのscFvおよびCH3ドメインを含む結合ドメインを意味する。
【0033】
「単一ドメイン抗体」(sdAb)とは、典型的には、通常、Fc領域に融合されるか、またはその一部に別様に連結された抗体のVHドメインまたはVLドメインのみを含む結合ドメインを意味する。全抗体と同様に、この抗体は、特異的抗原に選択的に結合することができる。単一ドメイン抗体断片は、ラクダ科動物に見られる重鎖抗体から操作され得、これらはVHH断片(Nanobody(登録商標))と呼ばれることもある。いくつかの魚も重鎖のみの抗体(IgNAR、「免疫グロブリン新規抗原受容体」)を有し、これらからVNAR断片と呼ばれる単一ドメイン抗体断片を得ることができる。代替アプローチは、ヒトまたはマウス由来の一般的な免疫グロブリンG(IgG)由来の二量体可変ドメインを単量体に分割することである。単一ドメイン抗体の研究のほとんどが、現在、重鎖可変ドメインに基づいているが、軽鎖に由来するナノボディが標的エピトープに結合することができることも示されている。したがって、ナノボディも本発明に包含される。
【0034】
「抗体断片」は、少なくとも1つのCDRも指し、少なくとも1つのCDRは、抗原に対する結合特異性を呈するタンパク質構築物の一部である。好ましくは、少なくとも1つのCDRは、HCDR3である。一実施形態では、タンパク質構築物は、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む。別の実施形態では、タンパク質構築物は、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む。タンパク質構築物は、CH2および/またはCH3を含むFc領域の一部をさらに含み得る。タンパク質構築物は、CH1領域も含み得る。CH1、CH2、および/またはCH3領域は、抗原結合および/またはエフェクター機能に関して任意の所望の特性を得るように操作され得る。
【0035】
本発明は、本発明の抗体または抗体断片のバリアントも包含する。本発明の抗体または抗体断片の「バリアント」は、本明細書に記載の抗体または抗体断片の少なくとも機能的部分、またはその誘導体または類似体を含む。かかる機能的部分、誘導体、または類似体は、本明細書に開示されるCDRを含む重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含む、本明細書に記載の抗体または抗体断片の少なくとも結合ドメインを含む。バリアントは、CDRのうちの1つ以上内に1~5個のアミノ酸置換を含み得る。例えば、アミノ酸残基は、保存的アミノ酸残基で置換され得る。バリアントは、1つ以上のフレームワーク領域内に1つ以上のアミノ酸置換も含み得る。好ましくは、バリアントは、本発明の抗体または抗体断片のVHアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVH領域を含む。好ましくは、バリアントは、本発明の抗体または抗体断片のVLアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、94%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVL領域を含む。
【0036】
本明細書における核酸配列またはアミノ酸配列に関する「同一性パーセント(%)」は、最適比較目的のために配列を整列させた後の、選択された配列内の残基と同一の候補配列内の残基のパーセンテージとして定義される。これらの2つの配列間のアライメントを最適化するために、比較されるこれらの2つの配列のうちのいずれかにギャップが導入され得る。かかるアライメントは、比較される配列の全長にわたって行うことができる。あるいは、アライメントは、より短い長さ、例えば、約20、約50、約100、またはそれ以上の核酸/ベースまたはアミノ酸にわたって行われ得る。配列同一性は、報告された整列した領域にわたるこれらの2つの配列間の完全な一致のパーセンテージである。
【0037】
配列の比較および2つの配列間の配列同一性のパーセンテージの決定は、数学アルゴリズムを使用して達成することができる。当業者であれば、2つの配列を整列させて2つの配列間の同一性を決定するためのいくつかの異なるコンピュータプログラムが利用可能であるという事実を認識するであろう(Kruskal,J.B.(1983)An overview of sequence comparison In D.Sankoff and J.B.Kruskal,(ed.),Time warps,string edits and macromolecules:the theory and practice of sequence comparison,pp.1-44 Addison Wesley)。
【0038】
具体的には、2つの核酸配列間の本明細書に記載の本発明による配列同一性パーセントは、修正ClustalWアルゴリズム(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.,and Gibson T.J.(1994)Nuc.Acid Res.22:4673-4680)、swgapdnamtスコア行列、ギャップ開口ペナルティ15、およびギャップ伸長ペナルティ6.66を用いる、初期設定を使用したVector NTI Program Advance 11.5.2ソフトウェアのAlignXアプリケーションを使用して決定され得る。アミノ酸配列は、修正ClustalWアルゴリズム(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.,and Gibson T.J.,1994)、blosum62mt2スコア行列、ギャップ開口ペナルティ10、およびギャップ伸長ペナルティ0.1を用いる、初期設定を使用したVector NTI Program Advance 11.5.2ソフトウェアのAlignXアプリケーションを用いて整列させることができる。
【0039】
バリアントは、本発明の抗体または抗体断片の結合特異性、例えば、抗原特異性を維持する。しかしながら、バリアントの結合親和性は、本発明の元の抗体または抗体断片の結合親和性とは異なる場合がある。バリアントは、例えば、本明細書に記載の抗体または抗体断片よりも低いまたは高いKon速度および/またはKoff速度を有し得る。
【0040】
本発明の抗体または抗体断片の機能的誘導体は、抗体模倣物、ポリペプチド、アプタマー、またはそれらの組み合わせとすることができる。これらのタンパク質またはアプタマーは、典型的には、1つの標的に結合する。これらの抗体、抗体模倣物、ポリペプチド、およびアプタマーの任意の組み合わせを当該技術分野で既知の方法によって一緒に連結することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体断片は、コンジュゲートまたは融合タンパク質の一部である。
【0041】
抗体模倣物は、抗体と同様に、抗原に特異的に結合することができるが、抗体と構造的に関連しないポリペプチドである。抗体模倣物は、通常、約3~20kDaのモル質量を有する人工ペプチドまたはタンパク質である。抗体模倣物の非限定的な例は、アフィボディ分子(典型的には、プロテインAのZドメインに基づく)、アフィン(典型的には、ガンマ-B結晶またはユビキチンに基づく)、アフィマー(典型的には、シスタチンに基づく)、アフィチン(典型的には、Sulfolobus acidocaldarius由来のSac7dに基づく)、アルファボディ(典型的には、トリプルヘリックスコイルドコイルに基づく)、アンチカリン(典型的には、リポカリンに基づく)、アビマー(典型的には、様々な膜受容体のAドメインに基づく)、DARPin(典型的には、アンキリンリピートモチーフに基づく)、フィノマー(典型的には、Fyn 7のSH3ドメインに基づく)、クニッツドメインペプチド(典型的には、様々なプロテアーゼ阻害剤のクニッツドメインに基づく)、およびモノボディ(典型的には、フィブロネクチンのIII型ドメインに基づく)である。
【0042】
モノボディは、フィブロネクチンIII型ドメイン(FN3)を分子骨格として使用して構築された合成結合タンパク質である。モノボディは、標的結合タンパク質を作製するための抗体の代替物である。モノボディおよび他の抗体模倣物は、典型的には、骨格の一部分が分子ディスプレイを使用して、かつ指向進化技術、例えば、ファージディスプレイ、mRNAディスプレイ、および酵母表面ディスプレイを使用して多様化されるコンビナトリアルライブラリから生成される。
【0043】
アプタマーは、特定の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子である。アプタマーは、通常、大きいランダム配列プールからそれらを選択することによって作製されるが、天然アプタマーはリボスイッチにも存在する。アプタマーは、巨大分子として基礎研究目的および臨床目的の両方に使用することができる。
【0044】
本発明の抗体は、好ましくはIgG抗体、好ましくはIgG1またはIgG4抗体である。最も好ましくは、抗体は、IgG1抗体である。かかる全長IgG抗体は、その好ましい半減期のため、かつ免疫原性の理由により完全に自己の(ヒト)分子の近くに留まることを望むため、好ましい。IgG1は、ヒトにおけるその長い循環半減期に基づいて好まれている。
【0045】
本発明による「全長IgG」または「全長抗体」という用語は、本質的に完全なIgGを含むと定義されるが、必ずしもインタクトなIgGの全ての機能を有するわけではない。誤解を避けるために、全長IgGは、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む。これらの鎖は各々、定常(C)領域および可変(V)領域を含み、これらは、CH1、CH2、CH3、VH、およびCL、VLと指定されたドメインに分類することができる。IgG抗体は、Fab部分に含まれる可変領域ドメインを介して抗原に結合し、結合後、定常ドメインを介して、主にFc部分を介して免疫系の分子および細胞と相互作用することができる。本発明による全長抗体は、所望の特徴を提供する変異が存在し得るIgG分子を包含する。
【0046】
全長IgGは、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)または細胞依存性細胞傷害性(CDC)を含むエフェクター機能を調節し(かかる機能の増加および緩和の両方)、異なる重鎖をコードする核酸を含む宿主細胞から単一特異性または多重特異性抗体を生成するためにホモ二量体化またはヘテロ二量体化を増加させ、かつかかる宿主細胞によって産生された抗体または抗体断片の分離を促進する変異を定常領域に含み得る。
【0047】
例えば、EU番号付けシステムによる235位のロイシンがグリシンで置換され得、および/またはEU番号付けシステムによる236位のグリシンがアルギニンで置換され得る。かかる修飾は、Fc受容体および/またはエフェクター機能への結合が排除または低減されることを確実にする。CH2およびFc領域の他の変異も本発明に包含される。
【0048】
全長IgGは、いずれの領域の実質的な部分の欠失を有してはならない。しかしながら、結果として得られたIgG分子の結合特性を本質的に変化させることなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が欠失したIgG分子は、「全長IgG」という用語に包含される。例えば、かかるIgG分子は、好ましくは非CDR領域内で、1~10個のアミノ酸残基の欠失を有することができ、欠失したアミノ酸は、IgGの結合特異性に必須ではない。
【0049】
例えば、EU番号付けシステムによる447位のリジンが欠失し得る。かかる欠失により、抗体の不均一性が減少する。さらに、IgG4抗体分子内のスワッピングを抑制するために、EU番号付けシステムによる228位のヒンジ領域に位置するセリンがプロリンで置換され得る。
【0050】
本発明の抗体または抗体断片における使用に好適な軽鎖には、同族軽鎖と称される、抗原での免疫に応答して産生される軽鎖、またはそれに基づいて合成的に産生される軽鎖が含まれる。好適な軽鎖には、共通軽鎖(cLC)、例えば、既存の抗体ライブラリ(湿潤ライブラリまたはインシリコ)における最も共通して用いられている軽鎖についてスクリーニングすることによって特定することができるものが含まれ、これらの軽鎖は、重鎖のエピトープ結合ドメインの親和性および/または選択性を実質的に妨害しないが、重鎖のアレイとの対合にも好適である。共通軽鎖は、好ましくは、再配列されているが、体細胞超変異を受けていないまたは最小限にしか受けていないV遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントの生殖細胞系列配列によってコードされる。例えば、好適な軽鎖には、トランスジェニック非ヒト動物由来のもの、例えば、共通軽鎖をそのゲノムに組み込み、かつ重鎖で多様性を有し、当該抗原への曝露時にその抗原に特異的に結合することができる共通軽鎖抗体の大パネルを精製するために使用することができるMeMo(登録商標)が含まれる。
【0051】
したがって、「共通軽鎖」という用語は、2つ以上の異なる重鎖と会合することができ、かつ抗原への結合能力を呈する軽鎖を指す(例えば、WO2009/157771、WO2019/190327、およびWO2014/051433を参照されたい)。かかる共通軽鎖に好ましい軽鎖V遺伝子は、IGKV1-39である。好ましい軽鎖J遺伝子は、jk1およびjk5である。合わせられた配列は、IGKV1-39/jk1およびIGKV1-39/jk5と示され、代替名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01(www.imgt.orgのIMGTデータベースによる命名)である。共通軽鎖の好ましい例には、ヒトκ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01(IMGTデータベースの命名)生殖系列遺伝子(以下、「IGVK1-39/JK1共通軽鎖」と略される)によってコードされる軽鎖、およびIgVκ1-39*01/IGJκ5が挙げられる。上述の様々なMeMo(登録商標)トランスジェニック動物は、IGVK1-39/JK1共通軽鎖を含む。
【0052】
本発明による共通軽鎖は、同一であり得るか、またはいくつかのアミノ酸配列差を有し得るが、本発明の抗体または抗体断片の結合特異性が影響されない軽鎖を指す。当業者であれば、「共通」が、アミノ酸配列が同一ではない軽鎖の機能的等価物も指すことを認識するであろう。機能的結合領域の形成に実質的に影響を及ぼさない親共通軽鎖と比較して変化が存在する当該軽鎖のバリアントが存在する。それ故に、かかるバリアントは、異なる重鎖に結合し、機能的抗原結合ドメインを形成することもできる。例えば、本明細書で使用される共通軽鎖の定義の範囲内で、例えば、保存的アミノ酸変化、同族鎖と対になったときに結合特異性に寄与しないか、または部分的にしか寄与しない領域におけるアミノ酸の変化などを導入して試験することにより、同一ではないが、依然として機能的に等価である可変の軽鎖を調製するか、または見つけることが可能である。それ故に、かかるバリアントは、異なる同族鎖に結合し、機能的抗原結合ドメインを形成することもできる。したがって、本明細書で使用される「共通軽鎖」という用語は、同一であり得るか、またはいくつかのアミノ酸配列差を有し得るが、重鎖と対になった後に結果として得られた抗体の結合特異性を保持する軽鎖を指す。ある特定の共通軽鎖とかかる機能的に等価なバリアントとの組み合わせは、「共通軽鎖」という用語に包含される。共通軽鎖の使用の詳細な説明については、WO2004/009618、WO2019/190327、およびWO2009/157771を参照する。好ましくは、生殖系列様軽鎖、より好ましくは生殖系列軽鎖、好ましくは再配列された生殖系列ヒトカッパ軽鎖、最も好ましくは再配列された生殖系列ヒトカッパ軽鎖IgVκ1-39/JκまたはIGVκ3-20/Jκのいずれかである共通軽鎖が、本発明に使用される。
【0053】
抗体または抗体断片は、例えば、ハイブリドーマ法を使用してハイブリドーマから産生することができる。あるいは、抗体または抗体断片は、重鎖および/もしくは軽鎖、またはそれらの断片を同時発現する哺乳類細胞からの分泌によって産生することができる。好ましくは、抗体または抗体断片は、非ヒト動物を免疫することによって産生される。これらおよび他の方法が当該技術分野で既知であり、本発明の抗体または抗体断片の産生に好適に使用することができる。
【0054】
抗体は、様々な動物種から産生することができる。IGVK1-39/JK1共通軽鎖を含む上述のMeMo(登録商標)トランスジェニック動物を好適に使用することができる。一般に、トランスジェニックマウスは、ヒト標的DNAおよび/またはタンパク質で免疫され、その後、免疫ブーストが行われ、それにより、抗原特異的抗体の産生を含む免疫応答が引き起こされる。免疫マウス由来の血清力価は、ELISAおよびFACS分析によって決定することができる。その後、免疫マウスの脾臓および排出リンパ系物質が収集され、単細胞懸濁液が生成され得る。かかる抗体の重鎖および/または可変領域をコードするRNAを単離し、cDNA合成することができる。その後、VHおよび/またはVLファミリー特異的PCRを行い、ファージディスプレイライブラリを生成することができる。その後、例えば、Kingfisher選択ロボットを使用して、ヒト標的タンパク質結合Fabを選択することができる。標的タンパク質に結合するFabの重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする核酸を、宿主細胞における抗体の産生のために使用することができる。
【0055】
トランスジェニック生物の免疫により抗体が生成されるが、かかる抗体がヒトおよびトランスジェニック動物に対して交差反応性ではなく、かかる抗体のアッセイおよび試験の効率を低下させる事例が存在する。したがって、可変領域および/または相補的決定領域(CDR)を含む、キメラまたはヒト化結合ドメインまたは抗体を含む結合ドメインまたは抗体、ならびにヒトとは進化的に遠い種の核酸に基づくか、それに由来するか、またはそれから得られる当該可変領域および/またはCDRをコードする核酸を得ることが有益であり得る。かかる可変領域の1つの潜在源は、鳥、例えば、ニワトリ、アヒル、またはダチョウなどの家畜鳥であり得る。鳥、例えば、ニワトリ、アヒル、またはダチョウの免疫により生成される抗体レパートリーは、マウスまたはヒトに進化的に近い他の種(例えば、齧歯類およびカニクイザル)の免疫により生成される抗体と比較して特有のエピトープを特定し得る。
【0056】
一次DNAまたはタンパク質免疫が行われ、その後、追加のブースター免疫が行われ得る。IgY抗体は、収集された卵の卵黄または免疫鳥由来の血清から単離することができる。脾臓および/または骨髄は、標的タンパク質に対する有意な体液性応答を示す鳥から除去される。その後、RNAを単離することができ、cDNAが合成される。次いで、生成されたcDNA試料が、2つのプライマーを使用してVH遺伝子および/またはVL遺伝子を増幅および消化するための鋳型として使用される。その後、PCR産物が、本質的にde Haard et al.(J Biol Chem.(1999),Vol.274(26),pp.18218-18230)に記載されるようにファージ上でのFab断片の表示のためにファージミドベクター内でクローニングされる。VH領域および/またはVL領域をコードする核酸がベクターにライゲーションされ、結果として得られたライゲーションベクターが細胞に形質転換されてライブラリが得られる。その後、KingFisher Flexを使用したパニング選択が行われ、標的タンパク質に結合するファージを選択することができる。ヒトまたはマウス標的タンパク質を発現する細胞でのFACSによってスクリーニングを行うことができる。ヒトおよび/またはマウス標的タンパク質に特異的に結合する全てのクローンのVH遺伝子および/またはVL遺伝子が配列決定される。標的タンパク質に結合する結合ドメインの重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする核酸を、宿主細胞における抗体の産生のために使用することができる。
【0057】
抗体断片は、当該技術分野で既知の方法によって産生することができる。
【0058】
scFv抗体は、ハイブリドーマまたは哺乳動物細胞からmRNAを単離し、その後、これをPCR増幅のためにcDNAに逆転写することによって産生することができる。これにより、様々な範囲のVHおよびVL抗体遺伝子を含む大規模なライブラリが産生される(Marks and Hoogenboom,Journal of Molecular Biology(1991),Vol.222,pp.581-597)。ScFvを構築している間、ドメインは、VH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHとして順序付けられ得る(Hu,O’Dwyer and Wall,Journal of Biotechnology(2005),Vol.120,pp.38-45)。リンカーの例は、古典的(G4S)3リンカーである(Huston et al.,Proc Natl Acad Sci USA(1988),Vol.85,pp.5879-5883)。ミニボディの場合、ヒンジ-CH3ドメインをコードするDNA断片は、例えば、ヒトIgG1の配列に基づき得る(Kim et al.,PLOS One(2014),Vol.9(12),e113442)。scFvおよびヒンジ-CH3領域は、XhoIおよびSALIによって生成された凝集末端をライゲーションすること、またはPCRを使用してscFv産物のXhoI制限部位をヒンジと一緒にCH3のNH2末端にもたらすことのいずれかによって組み立てることができる(Hu et al.,Cancer Research(1996),Vol.56,pp.3055-3061)。PCR後、抗体のVドメインは、プラスミドまたはファージミドのインビトロ組換えにより組換えることができる(Lilley et al.,Journal of Immunological Methods(1994),Vol.171,pp.211-226.Hogrefe et al.,Gene(1993),Vol.128,pp.119-126)。このファージディスプレイ技術は、抗体断片のファージマイナーコートタンパク質pIIIまたはそのC末端ドメインへの融合に依存する(Smith,Science(1985),Vol.228,pp.1315-1317.Hoogenboom,Nature Biotechnology(2005),Vol.23,pp.1105-1116)。scFv断片をディスプレイする以外に、ファージディスプレイは、現在、Fab断片をディスプレイするためにも広く使用されている(Wieland et al.,Veterinary Immunology and Immunopathology(2006),Vol.110,pp.129-140)。
【0059】
Fab断片は、パパインまたはペプシンを使用した酵素消化によりモノクローナル抗体から生成することができる。抗体のパパイン消化により、3つの別個の断片:単一の抗原結合部位を各々有する、Fab断片または領域と呼ばれる2つの抗原結合断片、およびCH1ドメインの下で切断することによってもたらされる1つのFc領域が産生される(Porter,Biochem(1959),Vol.73,pp.119-126)。抗体のペプシン消化により、2つの断片:ヒンジ領域のジスルフィド架橋を介して接続された2つの抗原結合領域を含むF(ab’)2断片、およびFc断片が産生される(Valedkarimi et al.,Human Antibodies(2018),Vol.26,pp.171-176)。これらのFab断片およびF(ab’)2断片は、以下の技法:イオン交換、プロテインAまたはG親和性、抗原親和性、またはゲル濾過クロマトグラフィーの組み合わせにより精製され得る(Mage and Lamoyi.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker Inc,New York,1987,pp.79-97)。F(ab’)nまたは(修飾F(ab’)n)は、本明細書に記載の本発明に関連して産生され得、任意の好適な酵素切断および/または消化技法を使用して得ることができる。ある特定の実施形態では、抗体断片は、ヒンジの下の特定の部位でヒトIgG1を切断してインタクトなF(ab’)n抗体断片を残すStreptococcus pyogenesのIgG分解酵素であるIdeSプロテアーゼでの切断によって得ることができ、ここで、nがIgG上に存在する抗体ドメインの数であり、F(ab’)nの一方の側の重鎖がそれぞれのC末端で他方の側の重鎖と対になり、この対合は、2つ以上のジスルフィド架橋を含む。nが2以上である二重特異性および多重特異性抗体を生成するための方法が以前に説明されている。参照により本明細書に組み込まれる、PCT/NL2019/050199、PCT/NL2013/050294、PCT/NL2013/050293を参照されたい。
【0060】
あるいは、Fc領域を欠く抗体断片は、ヒンジ(KSCDK/THTCPPC)の上の特定の部位でヒトIgG1を消化し、インタクトなFab断片およびFc断片を生成する、Porphyoromonas gingivalis由来のシステインプロテアーゼの使用によって得ることができる。抗体断片は、本明細書に記載のリンカーを介して追加の可変ドメインに接続されるか、または本明細書に記載のリンカーを介して追加の可変ドメインに接続される軽鎖と対になる可変ドメインおよび定常ドメインを含む重鎖(例えば、CH1、CH2、および/またはCH3)の発現によるこの技法によって形成することができ、タンパク質分解酵素、例えば、Porphyoromonas gingivalis由来のものは、当該重鎖の定常ドメインを切断して、インタクトな切断抗体結合断片を残す。
【0061】
sdAbの生成は、ファージディスプレイによって、かつラクダ科動物sdAb由来の可溶化残基のヒトVHへの組み込みに基づくナイーブまたは合成VHまたはVL dAbのレパートリーを使用することによって達成されている(Tanha et al.,J.Biol.Chem(2001),Vol.276,pp.24774-24780.Davies and Riechmann,Biotechnology(1995),Vol.13,pp.475-479)。ヒトsdAbは、合成ヒトVHファージディスプレイライブラリからいくつかのVHをもたらした可逆的展開および親和性基準に基づく選択法によっても操作を必要とすることなく達成されている(Jespers at al,Nat.Biotechnol(2004),Vol.337,pp.893-903)。別のファージ選択法を使用して、排他的非凝集ヒトVHドメインをナイーブヒトVHディスプレイライブラリから得ることができる(To et al.,J Biol Chem(2005),Vol.280,pp.41395-41403)。この同じ技法が得られたVLに適用され得る(Kim et al.,Landes Bioscience(2014),Vol.6:1,pp.219-235)。
【0062】
本発明の抗体または抗体断片は、がんの治療を必要とする対象に抗体または抗体断片の有効量を投与することにより、がんの治療に使用することができる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用され、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、テンジクネズミ、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物(例えば、がんを有するヒト患者などの患者)を指す。
【0064】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、疾患またはその症状の治癒または改善目的のために、対象に行われるか、または対象に活性薬剤または活性薬剤の組み合わせを投与する任意の種類の介入またはプロセスを指す。これには、疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候を逆転させる、緩和する、改善する、抑制する、または遅延させること、ならびに疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候の発症、進行、発生、重症化、または再発を予防することが含まれる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「有効な治療」または「肯定的な治療応答」とは、有益な効果、例えば、疾患または障害、例えば、がんの少なくとも1つの症状の改善をもたらす治療を指す。有益な効果は、その方法に従って治療を開始する前に行われた測定または観察を上回る改善を含む、ベースラインを上回る改善の形態をとることができる。例えば、有益な効果は、疾患の臨床症状もしくは診断症状、またはがんのマーカーの軽減または排除によって証明される、任意の臨床病期において対象におけるがんの進行を遅延させる、安定させる、停止する、または逆転させる形態をとることができる。有効な治療は、例えば、腫瘍サイズを減少させ得る、循環腫瘍細胞の存在を減少させ得る、腫瘍の転移を軽減もしくは予防し得る、腫瘍成長を遅延させ得るもしくは停止させ得る、および/または腫瘍再発(recurrence)もしくは再発(relapse)を予防し得るもしくは遅延させ得る。
【0066】
「治療量」または「有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的、および/または予防的結果を提供する薬剤または薬剤の組み合わせの量を指す。その結果は、疾患の兆候、症状、もしくは原因のうちの1つ以上の軽減(reduction)、改善、寛解、軽減(lessening)、遅延、および/または緩和、または生物系の任意の他の所望の変化とすることができる。いくつかの実施形態では、治療量は、腫瘍発生を遅延させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、治療量は、腫瘍再発を予防するまたは遅延させるのに十分な量である。
【0067】
薬物または組成物の治療量は、(i)がん細胞の数を減少させ得る、(ii)腫瘍サイズを減少させ得る、(iii)がん細胞の末梢器官への浸潤を抑制し得る、遅らせ得る、ある程度遅延させ得る、かつ停止し得る、(iv)腫瘍転移を抑制し得る、(v)腫瘍成長を抑制し得る、(vi)腫瘍の発生および/または再発を予防し得るまたは遅延させ得る、および/または(vii)がんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減し得る。
【0068】
治療量は、治療される個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する薬剤または薬剤の組み合わせの能力などの要因に応じて変化し得る。
【0069】
治療量は、1回以上の投与で投与することができる。
【0070】
治療量には、薬剤または薬剤の組み合わせの任意の毒作用または有害作用と、治療的に有益な効果とのバランスを保つ量も含まれる。
【0071】
より具体的には、本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗体断片であって、抗体または抗体断片が、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのエピトープに結合し、その25位のフェニルアラニン(F)が結合のための必須残基である、抗体またはその抗体断片を提供する。
【0072】
本発明に導く研究では、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの特定のエピトープに結合する抗体が特定された。このエピトープは、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの細胞外ドメインの25位に少なくともアミノ酸残基を含む。ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号102に記載の通りである。この配列の25位のアミノ酸は、フェニルアラニン(F)である(太字および下線)。ヒトTGF-βRIIタンパク質およびアイソフォームAをコードする遺伝子のデータベース受入番号は、GenBank NM_001024847.2である(タンパク質配列参照番号は、NP_001020018.1(配列番号102)である)。細胞外ドメインへの挿入に起因するより長いアイソフォームをコードするスプライスバリアントは、アイソフォームBである。アイソフォームBをコードする遺伝子は、GenBank NM_003242.6である(タンパク質配列参照は、NP_003233.4(配列番号103)であり、挿入に下線が引かれている)。アイソフォームAの細胞外ドメインの25位のアミノ酸は、アイソフォームBの細胞外ドメインの50位のアミノ酸に対応する。ヒトTGF-βRIIのアイソフォームBの細胞外ドメインのアミノ酸配列は、配列番号104に記載の通りである。この配列の50位にあるアミノ酸、フェニルアラニン(F)は、太字表示になっており、下線が引かれている。これらの受入番号は、主に、TGF-βRIIタンパク質を標的として特定するさらなる方法を提供するために与えられ、抗体によって結合されたTGF-βRIIタンパク質の実際の配列は、例えば、いくつかのがんなどで生じる変異などのコード遺伝子の変異のため、変化し得る。
【0073】
この記述がヒトTGF-βRIIの25位のアミノ酸を指す箇所ではどこでも、それは、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの細胞外ドメインの25位のアミノ酸、ならびにヒトTGF-βRIIの別のアイソフォームの対応する位置、具体的には、アイソフォームBの50位を指す。同じことが本明細書で特定される他のアミノ酸位置にも当てはまる。
【0074】
ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの25位のアミノ酸残基は、アラニンスキャニングによって決定される、本発明の抗体の結合のための必須残基であることが見出された。アラニンスキャニングでは、抗原、この場合ではTGF-βRIIの各位置のアミノ酸がアラニンで1つずつ置換される。これにより非修飾抗原に結合する抗体の結合が弱まるか、または有意に減少する場合、置換されるアミノ酸は、結合に寄与し、必須残基であるとみなされる。したがって、抗体または抗体断片は、かかる残基を含むエピトープに特異的に結合する。この文脈で、アミノ酸残基の結合活性または反応性が非修飾アミノ酸配列と比較して50%超減少する場合、アミノ酸残基は必須残基とみなされる。したがって、「有意に減少した」とは、ヒトTGFβRIIの細胞外ドメインの非修飾アミノ酸配列と比較して少なくとも50%超減少した結合活性または反応性を意味する。
【0075】
したがって、本発明の抗体または抗体断片は、ヒトTGFβRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の25位のフェニルアラニン(F)がアラニン(A)で置換された場合、ヒトTGFβRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列と比較して、50%未満、好ましくは40%、30%、20%、10%、5%、または2%未満の結合活性または反応性を有する。
【0076】
したがって、本発明の抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位にフェニルアラニン(F)を含むヒトTGF-βRIIのエピトープに特異的に結合する。好ましくは、抗体または抗体断片のこのエピトープへの結合は、アラニンスキャニングによって決定され、ここで、このエピトープに結合する抗体または抗体断片は、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位に存在する場合、フェニルアラニン(F)が25位に存在する場合と比較して、50%未満、好ましくは40%、30%、20%、10%、5%、または2%未満の結合活性または反応性を有する。
【0077】
本発明の抗体または抗体断片を定義する別の方法は、それが、ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の25位にあるフェニルアラニン(F)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または98%減少する、ヒトTGFβRIIの細胞外ドメインのエピトープに結合することである。
【0078】
本発明の抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗体または抗体断片として定義される場合もあり、このエピトープは、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載の通りである)の25位にあるフェニルアラニン(F)残基を含む。25位の必須アミノ酸残基に加えて、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの細胞外ドメインのエピトープの119位のアスパラギン酸(D)を、結合のためのさらなる必須残基として特定した。ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの119位のアミノ酸は、アイソフォームB(配列番号104)の細胞外ドメインの144位のアミノ酸に対応する。本発明の抗体または抗体断片は、好ましくは、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の119位のアスパラギン酸(D)がアラニン(A)で置換された場合、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列と比較して、10%未満、より好ましくは5%、4%、3%、または2%未満の結合反応性を有する。
【0079】
特定の実施形態では、抗体または抗体断片は、好ましくは、ヒトTGFβRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列と比較して、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の25位のフェニルアラニン(F)がアラニン(A)で置換された場合、5%未満、好ましくは3%未満の結合反応性、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の119位のアスパラギン酸(D)がアラニン(A)で置換された場合、5%未満、好ましくは3%未満の結合反応性を有する。
【0080】
したがって、本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位にフェニルアラニン(F)を含み、かつ119位にアスパラギン酸(D)を含むヒトTGF-βRIIのエピトープに特異的に結合する抗体または抗体断片を包含する。好ましくは、抗体または抗体断片のこのエピトープへの結合は、アラニンスキャニングによって決定され、ここで、このエピトープに結合する抗体または抗体断片は、フェニルアラニン(F)およびアスパラギン酸(D)がそれぞれの当該位置に存在する場合と比較して、アラニンがヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位に存在する場合、50%未満、好ましくは5%または3%未満の結合活性または反応性を有し、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の119位に存在する場合、10%未満、好ましくは5%または3%未満の結合活性または反応性を有し、各変化は、野生型細胞外ドメインと比較して2つの変化の組み合わせとしてではなく単独で試験される。
【0081】
本発明の抗体または抗体断片を定義する別の方法は、それが、
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の25位にあるフェニルアラニン(F)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも50%、好ましくは少なくとも95%または97%減少し、かつ
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の119位にあるアスパラギン酸(D)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%または97%減少する、ヒトTGFβRII細胞外ドメインのエピトープに結合することである。
【0082】
本発明の抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗体または抗体断片として定義される場合もあり、このエピトープは、それぞれ、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載の通りである)の25位および119位にあるフェニルアラニン(F)残基およびアスパラギン酸(D)残基を含む。
【0083】
別の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのエピトープに結合し、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの細胞外ドメインのエピトープの52位のスレオニン(T)は、結合のためのさらなる必須残基である。ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの52位のアミノ酸は、アイソフォームBの77位のアミノ酸に対応する。この実施形態では、抗体または抗体断片は、好ましくは、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列と比較して、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の25位のフェニルアラニン(F)がアラニン(A)で置換された場合、5%未満、好ましくは2%未満の結合反応性、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の52位のトレオニン(T)がアラニン(A)で置換された場合、60%未満、好ましくは40%または30%未満、より好ましくは20%未満の結合反応性、および
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の119位のアスパラギン酸(D)がアラニン(A)で置換された場合、3%未満の結合反応性を有する。
【0084】
したがって、本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位にフェニルアラニン(F)、52位にスレオニン(T)、および119位にアスパラギン酸(D)を含むヒトTGF-βRIIのエピトープに特異的に結合する抗体または抗体断片を包含する。好ましくは、抗体または抗体断片のこのエピトープへの結合は、アラニンスキャニングによって決定され、ここで、このエピトープに結合する抗体または抗体断片は、フェニルアラニン(F)、トレオニン(T)、およびアスパラギン酸(D)がそれぞれの当該位置に存在する場合と比較して、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位に存在する場合、50%未満、好ましくは5%または2%未満の結合活性または反応性を有し、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の52位に存在する場合、60%未満、好ましくは40%、30%、または20%未満の結合活性または反応性を有し、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の119位に存在する場合、10%未満、好ましくは3%未満の結合活性または反応性を有し、各変化は、野生型細胞外ドメインと比較して2つの変化の組み合わせとしてではなく単独で試験される。
【0085】
本発明の抗体または抗体断片を定義する別の方法は、それが、
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の25位にあるフェニルアラニン(F)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも50%、好ましくは少なくとも95%または98%減少し、
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の52位にあるトレオニン(T)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%または80%減少し、かつ
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の119位にあるアスパラギン酸(D)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも90%、好ましくは少なくとも97%減少する、ヒトTGFβRII細胞外ドメインのエピトープに結合することである。
【0086】
本発明の抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗体または抗体断片として定義される場合もあり、このエピトープは、それぞれ、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載の通りである)の25位、52位、および119位にあるフェニルアラニン(F)残基、トレオニン(T)残基、およびアスパラギン酸(D)残基を含む。
【0087】
別の実施形態では、抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのエピトープに結合し、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの細胞外ドメインのエピトープの54位のイソロイシン(I)および120位のグルタミン酸(E)は、結合のためのさらなる必須残基である。ヒトTGF-βRIIのアイソフォームAの54位および120位のアミノ酸は、それぞれ、アイソフォームBの79位および145位のアミノ酸に対応する。この実施形態では、抗体または抗体断片は、好ましくは、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列と比較して、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の25位のフェニルアラニン(F)がアラニン(A)で置換された場合、10%未満の結合反応性、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の54位のイソロイシン(I)がアラニン(A)で置換された場合、20%未満の結合反応性、
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の119位のアスパラギン酸(D)がアラニン(A)で置換された場合、3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満の結合反応性、および
-ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインの野生型アミノ酸配列の120位のグルタミン酸(E)がアラニン(A)で置換された場合、80%未満、好ましくは70%、60%、50%、40%未満、より好ましくは30%未満、最も好ましくは10%または5%未満の結合反応性を有する。
【0088】
したがって、本発明は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位にフェニルアラニン(F)、54位にイソロイシン(I)、119位にアスパラギン酸(D)、および120位にグルタミン酸(E)を含むヒトTGF-βRIIのエピトープに特異的に結合する抗体または抗体断片を包含する。好ましくは、抗体または抗体断片のこのエピトープへの結合は、アラニンスキャニングによって決定され、ここで、このエピトープに結合する抗体または抗体断片は、フェニルアラニン(F)、トレオニン(T)、アスパラギン酸(D)、およびグルタミン酸(E)がそれぞれの当該位置に存在する場合と比較して、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の25位に存在する場合、50%未満、好ましくは10%未満の結合活性または反応性を有し、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の54位に存在する場合、20%未満の結合活性または反応性を有し、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の119位に存在する場合、10%未満、好ましくは3%、2%、または1%未満の結合活性または反応性を有し、アラニン(A)がヒトTGF-βRIIの細胞外ドメインのアミノ酸配列の120位に存在する場合、80%未満、好ましくは70%、60%、50%、40%、30%、10%、または5%未満の結合活性または反応性を有し、各変化は、野生型細胞外ドメインと比較して2つの変化の組み合わせとしてではなく単独で試験される。
【0089】
本発明の抗体または抗体断片を定義する別の方法は、それが、
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の25位にあるフェニルアラニン(F)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%減少し、
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の54位にあるイソロイシン(I)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも80%減少し、
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の119位にあるアスパラギン酸(D)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも90%、好ましくは少なくとも97%、98%、または99%減少し、かつ
-ヒトTGFβRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載される通りである)の120位にあるグルタミン酸(E)残基のアラニン(A)での置換により、抗体または抗体断片の結合が少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、50%、60%、70%、90%、または95%減少する、ヒトTGFβRII細胞外ドメインのエピトープに結合することである。
【0090】
本発明の抗体または抗体断片は、ヒトTGF-βRIIの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗体または抗体断片として定義される場合もあり、このエピトープは、それぞれ、ヒトTGF-βRIIのアイソフォームA(その野生型配列は配列番号102に記載の通りである)の25位、54位、119位、および120位にあるフェニルアラニン(F)残基、イソロイシン(I)残基、アスパラギン酸(D)残基、およびグルタミン酸(E)残基を含む。
【0091】
本発明者らは、25位のフェニルアラニン(F)が結合に必須である細胞外TGF-βRIIのエピトープに特異的に結合する重鎖可変領域を含むいくつかの抗体を特定した。かかる抗体の一例は、以下を有する重鎖可変領域(VH):
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および
(c)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3から選択されるCDRのうちのいずれか1つ以上内のその保存的アミノ酸で変えられてもよい。この抗体は、本発明に包含される。
【0092】
かかる抗体の別の例は、以下を有する重鎖可変領域(VH):
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、
(b)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および
(c)配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3から選択されるCDRのうちのいずれか1つ以上内のその保存的アミノ酸で変えられてもよい。この抗体も本発明に包含される。
【0093】
かかる抗体の別の例は、以下を有する重鎖可変領域(VH):
(a)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、および
(c)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むVH-CDR3を含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3から選択されるCDRのうちのいずれか1つ以上内のその保存的アミノ酸で変えられてもよい。この抗体も本発明に包含される。
【0094】
したがって、本発明の抗体または抗体断片の重鎖可変領域は、配列番号1、4、および7に記載の配列からなる群から選択されるCDR1、配列番号2、5、および8に記載の配列からなる群から選択されるCDR2、および/または配列番号3、6、および9に記載の配列からなる群から選択されるCDR3を含んでもよく、ここで、1~5個のアミノ酸残基が、CDR1、CDR2、およびCDR3から選択されるCDRのうちのいずれか1つ以上内のその保存的アミノ酸で変えられてもよい。
【0095】
重鎖可変領域のフレームワーク領域は、任意の好適なフレームワーク領域から選択され得る。好適なフレームワーク領域の例は、ヒトV遺伝子IGHV3-15およびIGHV3-23によってコードされるフレームワーク領域である。これらの生殖系列V遺伝子は、1つ以上の体細胞変異を含み得る。
【0096】
本発明の一実施形態では、抗体またはその抗体断片は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS(配列番号10)を有するVH、またはそれと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む。
【0097】
別の実施形態では、抗体またはその抗体断片は、アミノ酸配列:QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS(配列番号11)を有するVH、またはそれと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む。
【0098】
別の実施形態では、抗体またはその抗体断片は、アミノ酸配列:QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS(配列番号12)を有するVH、またはそれと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む。
【0099】
重鎖可変領域は、示されるアミノ酸配列に対して0~10個、好ましくは0~5個のアミノ酸変異を有することができる。好ましい実施形態では、重鎖可変領域は、CDR以外の位置に、示されるアミノ酸配列に対して0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4個、好ましくは0~3個、好ましくは0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは0個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを含む。挿入、付加、欠失、または置換の組み合わせは、整列させた配列の10個以下の位置、好ましくは5個以下の位置が異ならない場合の組み合わせである。整列させた配列のうちの一方内のギャップは、他方の配列内でスキップされたアミノ酸と同数のアミノ酸に値する。アミノ酸置換は、存在する場合、好ましくは保存的アミノ酸置換である。重鎖可変領域内の置換は、上述の1つ以上のCDR内の置換に加えられてもよい。保存的アミノ酸は、電荷、疎水性、親水性、酸性、塩基性、およびサイズなどの特徴に基づくそれぞれの官能基の類似性に基づいて当該技術分野で既知である。
【0100】
アミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせは、好ましくは、重鎖および軽鎖の結合界面では行われない。
【0101】
アミノ酸が重鎖/軽鎖相互作用の界面で変化した場合、他方の鎖内の対応するアミノ酸がその変化に順応するように変化することが好ましい。アミノ酸の挿入または付加は、好ましくは、プロリンの挿入または付加を伴わない。
【0102】
本発明は、本明細書に記載の抗体または抗体断片のバリアントを含む抗体または抗体断片を包含する。具体的には、配列番号22~91および93のうちのいずれか1つ、すなわち、
図4に示されるVH配列のうちのいずれか1つを有するVHを含む抗体または抗体断片を包含する。配列番号22~91および93のうちのいずれか1つの少なくともHCDR3または全てのCDRを含む抗体または抗体断片も包含される。好ましい抗体または抗体断片は、配列番号40、43、46、47、48、または54に記載のアミノ酸配列を有するか、またはそれに由来する重鎖可変領域を含み、これは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体のバリアントである。他の好ましい抗体または抗体断片は、配列番号67、70、75、76、77、78、83、84、または88に記載のアミノ酸配列を有するか、またはそれに由来する重鎖可変領域を含み、これは、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体のバリアントである。他の好ましい抗体または抗体断片は、配列番号24または26に記載のアミノ酸配列を有するか、またはそれに由来する重鎖可変領域を含み、これは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体のバリアントである。最も好ましいバリアントは、配列番号40、43、46、47、48、54、67、70、75、76、77、78、83、84、または88に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むものである。
【0103】
かかるバリアントの重鎖可変領域は、示されるアミノ酸配列に対して0~10個、好ましくは0~5個のアミノ酸変異を有することができる。好ましい実施形態では、重鎖可変領域は、CDR以外の位置に、示されるアミノ酸配列に対して0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4個、好ましくは0~3個、好ましくは0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは0個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを含む。
【0104】
本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインは、例えば、本明細書で定義される同族軽鎖または共通軽鎖などの任意の好適な軽鎖を含み得る。
【0105】
一実施形態では、軽鎖可変領域は、0~10個、好ましくは0~5個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1Bに示されるIgVκ1-39*01遺伝子セグメントのアミノ酸配列を含む。IgVκ1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子の略である。この遺伝子は、免疫グロブリンカッパ可変1-39、IGKV139、IGKV1-39としても知られている。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5740、Entrez Gene:28930、Ensembl:ENSG00000242371である。IgVκ1-39の好ましいアミノ酸配列が
図1Aに提示される。この図は、V領域の配列を列記する。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。
図1Bおよび
図1Cは、J領域と組み合わせたIgVκ1-39の2つの好ましい配列を記載する。合わせられた配列は、IGKV1-39/jk1およびIGKV1-39/jk5と示され、代替名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01(www.imgt.orgのIMGTデータベースによる命名)である。
【0106】
軽鎖可変領域を含むIgVκ1-39*01が生殖系列配列であることが好ましい。軽鎖可変領域を含むIGJκ1*01またはIGJκ5*01が生殖系列配列であることがさらに好ましい。IGKV1-39/jk1またはIGKV1-39/jk5軽鎖可変領域が生殖系列配列であることがさらに好ましい。
【0107】
軽鎖を有する抗体を産生する成熟B細胞は、多くの場合、生殖系列配列に対して1つ以上の変異を経た軽鎖を産生し、これは、生物の非リンパ系細胞における正常配列を意味する。これらの変異に関与するプロセスは、体細胞超変異と称される。結果として得られた軽鎖は、親和性成熟軽鎖と称される。かかる軽鎖は、生殖系列IgVκ1-39*01配列に由来する場合、IgVκ1-39*01由来の軽鎖である。本明細書では、「IgVκ1-39*01」という語句は、IgVκ1-39*01由来の軽鎖を含む。体細胞超変異によって軽鎖をコードする核酸に導入される変異は、研究室で人工的に導入することもできる。研究室では、軽鎖の他の変異も、必ずしも量ではなく種類に関して軽鎖の特性に影響を及ぼすことなく導入することができる。軽鎖は、0~10個、好ましくは0~5個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1A、
図1B、または
図1Cに示される配列を含む場合、少なくともIgVκ1-39*01軽鎖である。好ましくは、IgVκ1-39*01軽鎖は、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1A、
図1B、または
図1Cに示される配列、より好ましくは、0~5個、好ましくは0~4、0~3、0~2、0~1個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1A、
図1B、または
図1Cに示される配列、さらにより好ましくは、0~3個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1A、
図1B、または
図1Cに示される配列、より好ましくは、0~2個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1A、
図1B、または
図1Cに示される配列、より好ましくは、0~1個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する、最も好ましくは、0個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはこれらの組み合わせを有する
図1A、
図1B、または
図1Cに示される配列を含む軽鎖である。
【0108】
一実施形態では、本抗体もしくはその抗体断片、または本結合ドメインは、以下を有する軽鎖可変領域(VL):
(a)配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、
(b)配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR2、および
(c)配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VL-CDR1、VL-CDR2、およびVL-CDR3から選択されるCDRのうちのいずれか1つ以上内のその保存的アミノ酸で置換されてもよい。
【0109】
本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインの軽鎖可変領域は、好ましくは、アミノ酸配列CDR1-QSISSY(配列番号13)、CDR2-AAS(配列番号14)、CDR3-QQSYSTPPT(配列番号15)を含むCDR1、CDR2、およびCDR3領域、すなわち、(IMGTによる)IGKV1-39のCDRを含み、示されるアミノ酸配列に対して0~5個のアミノ酸置換を可能にする。Kabat番号付けによれば、アミノ酸配列は、CDR1-RASQSISSYLN(配列番号19)、CDR2-AASSLQS(配列番号20)、CDR3-QQSYSTPPT(配列番号21)である。任意のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせは、好ましくは軽鎖可変領域のCDR3領域内には存在せず、好ましくは軽鎖可変領域のCDR1またはCDR2領域内には存在しない。アミノ酸置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換である。
【0110】
具体的には、本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインの軽鎖可変領域は、好ましくは、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK(配列番号16)のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%の同一性を有するVLアミノ酸配列を含む。したがって、これにより、0~5個のアミノ酸変異、挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせが可能になる。アミノ酸置換は、好ましくは、保存的アミノ酸置換である。
【0111】
本発明の抗体は、任意のアイソタイプ:IgA、IgM、IgG、IgD、またはIgEのものであり得る。好ましくは、抗体は、IgG、具体的には、IgG1またはIgG4である。最も好ましくは、抗体は、IgG1である。
【0112】
本発明の抗体の定常領域は、好ましくはヒト定常領域であるが、任意の動物のものであってもよい。これは、マウスまたはラット定常領域とすることができる。免疫される宿主生物に応じて、または抗原に応答して生成された組換え抗体を選択するために用いられるスクリーニング方法に応じて、マウス定常領域またはラット定常領域が有利に使用され得る。
【0113】
抗体またはその抗体断片は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含み得る。抗体またはその抗体断片は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含み得る。定常領域は、従来のヒト抗体の定常領域と1個以上、好ましくは10個以下、好ましくは5個以下のアミノ酸差を含み得る。
【0114】
いくつかの抗体は、例えば、Fc受容体相互作用を減少させるか、またはADCC、C1q結合、または他のエフェクター活性を減少させるように、CH2/下部ヒンジ領域が修飾される。本発明の抗体は、抗体とFc-ガンマ受容体との相互作用が減少するように、バリアントCH2および/または下部ヒンジドメインを有するIgG抗体であり得る。かかる変異体CH2および/または下部ヒンジドメインは、好ましくは、235位および/または236位(EU番号付け)にアミノ変異を含み、好ましくは235G位および/または236R位に残基を含む。
【0115】
単離されたモノクローナル抗体は、IgG1抗体の2つの重鎖定常領域を含み得、ここで、EU番号付けシステムによる447位のリジンが欠失している。
【0116】
本発明の好ましい抗体または抗体断片は、表1に列記される重鎖可変領域CDRと軽鎖可変領域CDRとの組み合わせを含む。
【表1】
【0117】
本発明の好ましい抗体または抗体断片は、配列番号10、11、12、22~91、および93からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH、具体的には、本明細書に記載の好ましいVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。この抗体または抗体断片は、本明細書に記載の任意の定常ドメインを含むことができる。
【0118】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0119】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0120】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0121】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0122】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号75に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0123】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号70に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0124】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0125】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号88に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0126】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0127】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号83に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0128】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号78に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0129】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0130】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号76に記載のアミノ酸配列を含むVHを有する重鎖と、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有する軽鎖とを含む。
【0131】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号10の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0132】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号11の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0133】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号12の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0134】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号43の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0135】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号75の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0136】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号70の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0137】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号84の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0138】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号88の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0139】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号40の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0140】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号83の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0141】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号78の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0142】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号47の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0143】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片は、配列番号76の2つの重鎖可変領域と、配列番号16の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0144】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0145】
別の実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0146】
別の実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0147】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0148】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号75に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0149】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号70に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0150】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号84に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0151】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号88に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0152】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0153】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号83に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0154】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号78に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0155】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0156】
一実施形態では、本発明の抗体は、
(A)配列番号76に記載のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを有する重鎖、および
(B)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むVLと、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域とを有する軽鎖を含む。
【0157】
本発明は、ヒトTGF-βRIIに特異的に結合する結合ドメインであって、
以下から選択される重鎖可変領域(VH):
(A)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(B)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(C)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号30に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(D)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(E)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号61に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(F)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号65に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(G)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号70に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(H)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号76に記載のアミノ酸配列を有する、VH、
(I)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号85に記載のアミノ酸配列を有する、VH、および
(J)VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3を有するVHであって、配列番号86に記載のアミノ酸配列を有する、VHのうちのいずれか1つを含み、
ここで、1~5個のアミノ酸残基が、VH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3から選択されるCDRのうちのいずれか1つ以上内のその保存的アミノ酸で置換されてもよい、結合ドメインをさらに提供する。
【0158】
これらのVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3配列は、本明細書に提供される配列表では、太字で示され、下線が引かれている。
【0159】
一実施形態では、本発明の結合ドメインは、配列番号12、26、30、40、61、65、70、76、85、および86から選択されるVHアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%の同一性を有するVHアミノ酸配列を含む。
【0160】
本発明の結合ドメインは、一価および多価形態で有用であることが示されており、一価分子または二価分子で、または多重特異性分子に組み込まれる1つ以上の結合ドメインとして様々な用途を提供する。一価形態での当該結合ドメインは、一価対照抗体と比較して優れたTGF-βRII遮断能力を有し、それらを上記の用途に好適なものにする。
【0161】
ある特定の実施形態では、本発明は、一価形態での本発明の結合ドメインを含む抗体、好ましくは多重特異性抗体を提供し、この抗体は、好ましくは同じアッセイで測定される、二価単一特異性対照抗体と比較して等モル濃度で同等の受容体遮断活性を有する。ある特定の実施形態では、対照抗体は、配列番号97に記載のアミノ酸配列を有する2つの重鎖可変領域と、配列番号135に記載のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖可変領域とを含む。ある特定の実施形態では、アッセイは、TGFβ-レポーターアッセイ、好ましくは、実施例5に記載のTGFβ-レポーターアッセイである。ある特定の実施形態では、同等の受容体遮断活性は、対照抗体の受容体遮断活性からの5~2倍、好ましくは3倍偏差を含む。
【0162】
本明細書に記載され、かつ特許請求される抗体および結合ドメイン、例えば、上記の実施形態に記載の抗体および結合ドメインなどは、好ましくは、単離された抗体または結合ドメインである。好ましくは、それらは、モノクローナル抗体である。より好ましくは、それらは、単離されたモノクローナル抗体である。
【0163】
本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインは、リガンドTGF-β1、TGF-β2、および/またはTGF-β3のTGF-βRIIへの結合を妨害する。「結合を妨害する」という用語は、抗体または抗体断片がTGF-βRII上のエピトープに指向され、TGF-βRIIへの結合についてTGB-β1、TGB-β2、および/またはTGB-β3と競合することを意味する。本抗体もしくは抗体断片、または本結合ドメインは、リガンド結合を弱め、これがTGF-βRIIにすでに結合している場合、リガンド結合を置換してもよく、または、例えば、立体障害により、リガンドがTGF-βRIIに結合することを少なくとも部分的に防止し、かつ/またはTGF-βRI-TGF-βRII複合体形成を妨害もしくは防止してもよい。本抗体もしくは抗体断片、または本結合ドメインは、TGF-βRIとTGF-βRIIとの複合体の形成を弱め、複合体がすでに形成された場合、かかる複合体を置換してもよく、または、例えば、立体障害により、TGF-βRIがTGF-βRIIと複合体形成することを少なくとも部分的に防止してもよい。「結合を妨害する」という用語は、本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインが、リガンドTGF-β1、TGF-β2、および/またはTGF-β3のTGF-βRIIへの結合を遮断することに意味する。
【0164】
本発明は、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインの重鎖および軽鎖のいずれかまたは両方をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをさらに提供する。ベクターの例には、原核宿主細胞もしくは真核宿主細胞、例えば、哺乳類細胞内で複製可能なプラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルス、およびファージ核酸、または他の核酸分子が挙げられる。ベクターは、本発明の抗体または抗体断片の重鎖および軽鎖のいずれかまたは両方をコードするポリヌクレオチドが発現制御要素に作動可能に連結されている発現ベクターであり得る。典型的な発現ベクターは、ポリヌクレオチドの発現の調節に有用な転写および翻訳ターミネーター、開始配列、およびプロモーターを含む。
【0165】
当該技術分野では、抗体を産生するための様々な方法が存在する。抗体は、典型的には、その抗体をコードする核酸を発現する細胞によって産生される。したがって、本発明は、本発明の抗体または抗体断片を産生および/または含む単離された細胞、または組織培養物中の細胞も提供する。典型的には、これは、インビトロ細胞、単離された細胞、または組換え細胞である。かかる細胞は、本発明の抗体または抗体断片をコードする核酸を含む。この細胞は、好ましくは動物細胞、より好ましくは哺乳類細胞、より好ましくは霊長類細胞、最も好ましくはヒト細胞である。本発明の目的のために、好適な細胞は、本発明による抗体を含むことができ、好ましくは産生することができ、かつ/または本発明による核酸を含むことができる任意の細胞である。好ましくは、この細胞は、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、またはPER.C6細胞である。細胞がCHO細胞であることが特に好ましい。
【0166】
本発明による細胞を含む細胞培養物または細胞株がさらに提供される。タンパク質および抗体の工業規模産生のために開発された細胞株は、本明細書でさらに工業的細胞株と称される。
【0167】
本発明は、本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインを産生するための方法であって、本発明の細胞を培養することと、抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインを当該培養物から採取することと、を含む、方法をさらに提供する。当該細胞は、無血清培地中で培養され得る。好ましくは、前述の細胞は、浮遊増殖に適している。本抗体もしくは抗体断片、または本結合ドメインは、培養物の培地から精製され得る。好ましくは、当該抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインは、親和性精製される。
【0168】
本発明は、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインと、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0169】
本発明の抗体または抗体断片が点滴用の注射溶液または注入溶液として使用されるように製剤化された場合、注射溶液または注入溶液は、任意の形態の水溶液、懸濁液、または乳濁液であり得るか、またはその薬剤が使用時に溶媒中に溶解するか、懸濁されるか、または乳化されるように、薬学的に許容される担体と一緒に固体薬剤として製剤化され得る。点滴用の注射溶液または注入溶液に使用される溶媒の例には、注射用蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、および等張溶液(例えば、その中で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂、プロピレングリコールなどが可溶性である)が挙げられる。
【0170】
薬学的に許容される担体の例には、安定剤、可溶化剤、懸濁剤、乳化剤、鎮静剤、緩衝剤、防腐剤、消毒剤、pH調整剤、および抗酸化剤が挙げられる。安定剤として、様々なアミノ酸、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキストラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンなどを使用することができる。可溶化剤として、アルコール(例えば、エタノール)、ポリオール(例えば、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、Polysorbate 20(登録商標)、Polysorbate 80(登録商標)、およびHCO-50)などを使用することができる。懸濁剤として、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウムなどを使用することができる。乳化剤として、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカントなどを使用することができる。鎮静剤として、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトールなどを使用することができる。緩衝剤として、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、イプシロンアミノカプロン酸緩衝液などを使用することができる。防腐剤として、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂などを使用することができる。消毒剤として、塩化ベンザルコニウム、パラヒドロキシ安息香酸、クロロブタノールなどを使用することができる。pH調整剤として、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸などを使用することができる。抗酸化剤として、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、およびα-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、または(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、およびリン酸などの金属キレート剤を使用することができる。
【0171】
点滴用の注入溶液または注入溶液は、最終プロセスで滅菌、または無菌操作、例えば、フィルターでの濾過による滅菌を行い、その後、無菌容器に充填することによって生産することができる。点滴用の注射溶液または注入溶液は、使用時に真空乾燥または凍結乾燥した無菌粉末(薬学的に許容される担体粉末を含み得る)を適切な溶媒中に溶解させることによって使用され得る。
【0172】
本発明は、対象におけるがんを治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、結合ドメイン、または薬学的組成物の有効量を投与することを含む、方法をさらに提供する。したがって、本発明は、対象におけるがんの治療に使用するための、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインを提供する。本発明は、がんを予防する、がんの症状進行もしくは再発を抑制する、および/またはがんを治療するための医薬品であって、本明細書に記載の抗体もしくはその抗体断片、または結合ドメインを活性成分として含む、医薬品をさらに提供する。
【0173】
がん患者は、通常、体から除去される異常細胞を有する。本明細書で使用される「異常細胞」という用語には、腫瘍細胞、より具体的には、正常TGF-βRII発現よりも高い発現と相関するがん型に関連する任意の種類のがん性組織上に存在する腫瘍細胞が含まれる。異常細胞とは、本明細書では、増加したTGF-β発現および/もしくはTGF-β放出の結果としてシグナル伝達が増加した細胞、ならびに異常TGF-βシグナル伝達および/もしくは発現、または正常よりも高いTGF-β、TGF-βRI、および/もしくはTGF-βRII発現、ならびに/または正常よりも高い潜在性TGF-βの放出に起因して腫瘍免疫の有効性を低下させる抑制環境を形成する細胞をさらに指す。
【0174】
本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインは、例えば、正常よりも高いTGF-βシグナル伝達、具体的には、正常よりも高いTGF-βRII発現と相関するがん型を含む、いくつかのがん型の治療に有効であろう。例には、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、胃がん、神経膠芽腫、頸部がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、黒色腫、骨髄異形成症候群、膵臓がん、前立腺がん、および腎臓がんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインは、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合を遮断し、それにより、TGF-βRIIシグナル伝達を阻害する。これにより、有害もしくは異常細胞の増殖の減少、ならびに/または腫瘍免疫および他の有益な効果の増強がもたらされる。
【0176】
したがって、本発明は、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合を遮断する方法であって、細胞に、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインを提供することと、抗体または抗体断片が細胞のヒトTGF-βRIIに結合することを可能にし、それにより、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合を遮断することと、を含む、方法も提供する。これは、インビトロ法であり得る。
【0177】
所望の活性に応じて、本発明の抗体は、調節されたエフェクター機能を有し得る。抗体依存性細胞傷害性(ADCC)は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性とも称され、細胞媒介性免疫防御機構であり、それにより、免疫系のエフェクター細胞が、膜表面抗原が特定の抗体によって結合された標的細胞を能動的に溶解する。ADCCエフェクター機能は、典型的には、Fc受容体(FcR)によって媒介される。これらの受容体は、抗体媒介性(体液性)免疫応答を細胞エフェクター機能に接続する主要な免疫調節受容体である。FcγR(IgG)、FcεRI(IgE)、FcαRI(IgA)、FcμR(IgM)、およびFcδR(IgD)を含む全てのクラスの免疫グロブリンの受容体が特定されている。白血球上に見られるヒトIgGの3つのクラスの受容体:CD64(FcγRI)、CD32(FcγRIIa、FcγRIIb、およびFcγRIIc)、およびCD16(FcγRIIIaおよびFcγRIIIb)が存在する。FcγRIが高親和性受容体(ナノモル範囲のKD)に分類される一方で、FcγRIIおよびFcγRIIIは、低~中間親和性(マイクロモル範囲のKD)である。抗体依存性細胞傷害性(ADCC)では、エフェクター細胞(ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、および好酸球)の表面上のFcvRは、それ自体が標的細胞に結合するIgGのFc領域に結合する。結合時、標的細胞の破壊を媒介する溶解酵素、パーフォリン、グランザイム、および腫瘍壊死因子などの様々な物質の分泌をもたらすシグナル伝達経路が引き起こされる。ADCCエフェクター機能のレベルは、ヒトIgGサブタイプによって異なる。これは、簡単に言えば、アロタイプおよび特定のFcvRに依存するが、ADCCエフェクター機能は、ヒトIgG1およびIgG3では高く、IgG2およびIgG4では低い。FcvRの結合部位が抗体上に存在するという知識により、ADCCエフェクター機能を有しない操作された抗体がもたらされた。
【0178】
エフェクター機能の別のタイプは、エフェクター細胞に依存せず、補体依存性細胞傷害性(CDC)と称される。これは、IgGおよびIgM抗体のエフェクター機能である。治療抗体または抗体断片が抗腫瘍効果を達成することができる別の作用機序である。CDCは、古典的な補体経路の開始成分であるC1qが標的結合抗体のFc部分に固定されたときに開始される。これは、最終的に抗体標識細胞の溶解をもたらすことができる複合体補体活性化カスケードの第1のステップである。
【0179】
本発明の抗体では、ADCC活性は、定常領域をわずかに修飾することにより、異なる技法によって増強することができ、それらのうちの1つは、フコースの除去である。フコースの除去により、いくつかのインビボモデルに抗腫瘍活性の増加がもたらされた(Junttila et al.,Cancer Research(2010),Vol.70(22),pp.4481-4489)。アフコシル化技術を適用してもよく、それにより、Fc領域内のN結合炭水化物構造のフコシル化を防止する。
【0180】
本発明の抗体では、エフェクター機能を低下させるまたは排除することができる。例えば、EU番号付けシステムによる235位のロイシンがグリシンで置換され得、および/またはEU番号付けシステムによる236位のグリシンがアルギニンで置換され得る。かかる修飾は、Fc受容体および/またはエフェクター機能への結合が排除または低減されることを確実にする。同じ趣旨で当該技術分野で既知の他の置換、欠失、または挿入も本発明に包含される。
【0181】
本発明は、細胞のヒトTGF-βのヒトTGF-βRIIへの結合によって誘導される細胞へのシグナル伝達を阻害する方法であって、細胞に、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインを提供することと、抗体または抗体断片が細胞のヒトTGF-βRIIに結合することを可能にし、それにより、細胞へのシグナル伝達を阻害することと、を含む、方法をさらに提供する。これは、インビトロ法であり得る。
【0182】
本発明は、転移を予防または抑制する方法であって、対象に、本明細書に記載の抗体もしくは抗体断片、結合ドメイン、または薬学的組成物の有効量を投与することを含む、方法も提供する。
【0183】
本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインは、単剤療法としてがんの治療に使用され得るが、他の抗がん剤と組み合わせられる場合もある。他の抗がん剤には、同じまたは異なる腫瘍抗原を標的とするか、または免疫系の要素を調節する治療抗体、化学療法で使用される薬剤(例えば、シクロホスファミド)、およびホルモン療法または腫瘍溶解性ウイルスを含む局所投与に関連する用途で使用される薬剤が含まれるが、これらに限定されない。本発明の抗体もしくは抗体断片、または結合ドメインでの治療は、例えば、手術または放射線療法などの他の抗がん治療と組み合わせられる場合もある。治療の組み合わせは、同時、別個、または順次であり得る。
【0184】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(include)」、および「有する(having)」という単語、ならびに「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」などの変形は、包括的に解釈されるものとする。すなわち、これらの単語は、内容が許容する場合、具体的に列挙されていない他の要素または整数の可能な包含を伝えることを意図している。
【0185】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の1つまたは1つより多く(すなわち、1つまたは少なくとも1つ)の文法的目的語を指すために本明細書で使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味し得る。
【0186】
「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0187】
本明細書では、別途記載されない限り、抗体または抗体断片の可変領域内のCDRおよびフレームワークに割り当てられたアミノ酸位置がKabat番号付けにより指定されていることに留意されたい(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991)を参照されたい)。定常領域内のアミノ酸は、Kabatのアミノ酸位置に基づくEU番号付けシステムにより示される(Sequences of proteins of immunological interest,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)。
【0188】
受入番号は、主に、標的のさらなる特定方法を提供するために与えられ、結合されたタンパク質の実際の配列は、例えば、いくつかのがんなどに生じる変異などのコード遺伝子の変異のため、変化し得る。抗原結合部位は、抗原およびその様々なバリアント、例えば、いくつかの抗原陽性免疫細胞または腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。
【0189】
本明細書で遺伝子、タンパク質について言及される場合、好ましくは、その遺伝子またはタンパク質のヒト形態について言及される。本明細書で遺伝子またはタンパク質について言及される場合、天然遺伝子またはタンパク質、ならびに腫瘍、がんなどで検出することができる、好ましくは、ヒト腫瘍、がんなどで検出することができるその遺伝子またはタンパク質のバリアントについて言及される。
【0190】
HGNCは、HUGO Gene命名委員会の略である。略語の後の数字は、遺伝子および遺伝子によってコードされるタンパク質に関する情報をHGNCデータベースから読み出すことができる受入番号である。Entrez Geneは、遺伝子または遺伝子によってコードされるタンパク質に関する情報をNCBI(全米バイオテクノロジー情報センター)データベースから読み出すことができる受入番号または遺伝子IDを提供する。Ensembleは、遺伝子または遺伝子によってコードされるタンパク質に関する情報をEnsembleデータベースから得ることができる受入番号を提供する。Ensemblは、選択された真核生物ゲノムに関する自動注釈を生成して維持するソフトウェアシステムを開発するためのEMBL-EBIとWellcome Trust Sanger Instituteとの共同プロジェクトである。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【
図1】IGKV1-39軽鎖可変V領域(
図1A)、IGKV1-39/jk1軽鎖可変領域(
図1B)、およびIGKV1-39/jk5軽鎖可変領域(
図1C)のアミノ酸配列を提示する。
【
図2】CCD18Co細胞上で内因的に発現されたTGF-βRIIへの抗体結合のFACSデータを示す。
図2Aは、配列番号92(陰性対照)、配列番号93、および配列番号94を有する重鎖可変領域を含む抗体のMFI PEを示す。
図2Bは、配列番号92(陰性対照)、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号95、および配列番号96を有する重鎖可変領域を含む抗体のMFI PEを示す。
【
図3】配列番号92(陰性対照)、配列番号93、および配列番号94を有する重鎖可変領域を含む抗体(
図3A)、ならびに配列番号92(陰性対照)、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号95、および配列番号96を有する重鎖可変領域を含む抗体(
図3B)のリガンド遮断活性のELISAデータを提示する。
【
図4】配列番号10(中央アライメント)、配列番号11(下部アライメント)、および配列番号12(上部アライメント)を有する重鎖可変領域を含む重鎖のVector NTI Program Advance 11.5.2ソフトウェアのAlignXアプリケーションを使用して生成したアミノ酸配列アライメントを、それらのそれぞれの親和性成熟バリアントとともに提示する。同一のアミノ酸を白色の背景に対して黒色の文字で示し、わずかに類似したアミノ酸を灰色の背景に対して白色の文字で示し、保存的変化を灰色の背景に対して黒色の文字で示し、類似していないアミノ酸を濃灰色の背景に対して白色の文字で示す。
【
図5】親抗体(配列番号10、配列番号11、配列番号12)および親和性成熟バリアント(配列番号10バリアント、配列番号11バリアント、配列番号12バリアント)の結合親和性を示す。k
aは、1/ミリ秒でのオン速度であり、k
dは、1/秒でのオフ速度である。
【
図6】親和性成熟バリアントのルシフェラーゼレポーターアッセイからのデータを示す。X軸は、抗体の濃度(μg/mL)を示す。Y軸は、TGF-βシグナル伝達阻害の尺度としてSmad複合体の誘導倍率を示す。グラフA~Kは各々、親和性成熟バリアントの活性を対照抗体(配列番号97)と比較する。基礎TGF-βを細胞のTGF-β刺激の対照として含める。
【
図7】アラニンスキャニングからのデータを示す。
図7Aは、必須残基がどのように特定されてマッピングされるかの概要を提示する。
図7Bは、野生型と比較した配列番号10、配列番号12、および配列番号93の平均蛍光をパーセンテージで示す。
図7Cは、野生型と比較した配列番号10、配列番号12、配列番号93、および配列番号98(対照)の結合反応性をパーセンテージで示す表である。結合のための必須残基を長方形で囲んで示す。
図7Dは、TGFβRII上の必須残基のマッピングを示す。
【
図8】TGF-βレポーターアッセイにおける本発明のTGF-βRII結合ドメインを含む様々な二重特異性抗体のスクリーニングからの結果を示す。X軸は、抗体の濃度(μg/mL)を示す。Y軸は、Smadシグナル伝達の誘導倍率を示す。グラフA~Eは各々、単一のTGF-βRII結合ドメインを含む二重特異性抗体の活性を、実施例1に記載されるように、TGF-βRII(+)へのリガンド結合を遮断することで知られている陽性対照抗体と比較する。基礎TGF-βを細胞のTGF-β刺激の対照として含める。 A)Δは、配列番号76に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、□は、配列番号61に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、●は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインである。 B)○は、配列番号70に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、*は、配列番号70に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、□は、配列番号61に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、●は、配列番号86に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、Δは、配列番号65に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインである。 C)*は、配列番号65に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、○は、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、●は、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、□は、配列番号76に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、Δは、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインである。 D)●は、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインであり、□は、配列番号85に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインである。 E)●は、配列番号86に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むTGF-βRII結合ドメインである。
【0192】
以下の実施例は、本発明を例証するものであって、いかなる方法によっても本発明を限定するようには意図されていない。
【実施例0193】
実施例1-抗体の産生
共通IGKV1-39軽鎖を含むトランスジェニックマウス(MeMo(登録商標)マウス)をヒトTGF-βRII(アイソフォームA)で免疫し、それにより、ヒト抗TGF-βRII特異的抗体の産生を含む免疫応答を生成した。免疫マウスのリンパ系物質を収集し、それから核酸を抽出し、かかる抗体の重鎖可変領域をコードするcDNAの合成に使用した。cDNAを使用してファージディスプレイライブラリを生成し、Kingfisher選択ロボットを使用してそれからヒトTGF-βRII結合Fabを選択した。
【0194】
異なる濃度のビオチン化組換えタンパク質を有する2ラウンドの親和性駆動選択を、Kingfisherロボットを使用して行った。ヒトTGF-βRII-Fcを、製造業者のプロトコルに従ってEZ-Link(商標)Sulfo-NHS-Biotinキット(ThermoFisher、カタログ番号21217)を用いてビオチン化し、等量ずつに分割し、さらに使用するまで-20℃で保管した。その後の2ラウンドの溶液中選択を、Kingfisherロボットを使用してビオチン化ヒトTGF-βRII-Fcを用いて行った。第1の選択ラウンドでは、3つの異なる濃度のタンパク質を使用した。陰性対照として、抗原を含まない選択を含めた。全てのファージライブラリインキュベーション中に50μg/mLの総ヒトIgG(Sigma、カタログ番号1456)を溶液中に添加して、Fc結合剤の選択を最小限に抑えた。洗浄後、結合したファージをトリプシンで溶出させた。ファージ出力をスポット法に従って決定し、ここで、TG1細胞を感染させ、LB-Amp/Glu寒天プレート上にプレーティングし、スクリーニングのために単一コロニーを採取した。第1のラウンドからの出力を用いて第2の選択ラウンドを行った。第2の選択ラウンドでは、TGF-βRII-Fc-ビオチンを、それぞれの第1の選択ラウンド出力に使用した濃度から始めて減少したタンパク質量で使用した。
【0195】
コロニーを96ウェルプレートに採取して、可溶性Fabを含有するペリプラズム抽出物を調製した。得られたFab含有画分を、FACSを使用したTGF-βRII特異的クローンの特定に使用した。
【0196】
ヒトTGF-βRIIを一過的にトランスフェクトしたHEK293T細胞をFACSスクリーニングに使用した。Fab最終濃度は0.5~5μg/mLであった。TGF-βRIIに結合するFabを、ヤギ抗カッパ軽鎖抗体(Ab0646、5μg/mL)、その後、ウサギ抗ヤギPE(Ab0330、1/100希釈)で検出した。
【0197】
2ラウンドの免疫を行い、さらなる特徴付けのためのFabの大パネルを得た。第2の免疫ラウンドでは、異なるベクターを使用して発現レベルを増加させ、マウスをヒトTGF-βRIで共免疫した。これは、第2の免疫ラウンド中に観察されたマウスに生成されたより高い免疫応答に寄与した可能性がある。
【0198】
US2010/0119516から得た情報に基づいて、陽性対照抗体を産生した。この陽性対照抗体は、それに記載されているmAb TGF1のアミノ酸配列(それぞれ、配列番号97および配列番号135)を有する2つの重鎖可変領域および2つの軽鎖可変領域を含む。これらの重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体は、TGF-βRIIへのリガンド結合を遮断することが報告されている。
【0199】
RSVに対する陰性対照抗体を産生した。この陰性対照抗体は、配列番号136に記載のアミノ酸配列を有する2つの重鎖可変領域と、配列番号16に記載の2つの軽鎖可変領域とを含む。
【0200】
実施例2-抗体の特徴付け
実施例1で特定したTGF-βRII結合FabのVH断片をIgG発現形式に再クローニングして、IgGを発現させ、293Tフリースタイル細胞から精製した。
【0201】
抗原結合
抗体を、FACSを使用してCCD18Co細胞上で内因的に発現されたヒトTGF-βRIIへの結合についてスクリーニングした。結果を
図2に示す。試験した全ての抗体は、CCD18Co細胞に対して同様の結合を示した。
【0202】
第1の免疫ラウンドから得られた配列番号11に記載のアミノ酸を有する重鎖可変領域を含むFabは、第2の免疫ラウンドから得られたFabと同じHCDR3配列、例えば、配列番号93に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むFabを含む。これは、マウスにおけるVDJ遺伝子セグメントの組換えがこの抗原に応答してほぼ同じであることを示す。
【0203】
結合親和性
配列番号10、配列番号11、配列番号93、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗体の結合親和性をSPRによって決定した。このために、抗体を、TGFβRIIに対する二価IgGの単一特異性として再フォーマットした。
【0204】
抗TGF-βRII IgG抗体を、固定化抗CH1抗体(Ab0669、BDカタログ番号BD555784)を用いてCM5センサーチップ表面上に捕捉し、その後、ヒト組換えTGF-βRII(R&D systemsカタログ番号241-R2/CF、領域Ile24-Aps195)を添加した。測定を25℃で行った。カップリングをpH4.5で行った。結果を表2に示す。
【表2】
【0205】
リガンド遮断
IgG試料のリガンド遮断活性を、ELISAアッセイを使用して決定した。
【0206】
ELISAプレートに0.4μg/mLのTGF-β1をコーティングした。ヒトTGF-βRII-Fc(R&D、カタログ番号341-BR)を0.01μg/mLの終濃度で添加した。抗体を、10μg/mLの最終濃度から始めて3倍濃度範囲でインキュベートした。配列番号92に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む破傷風トキソイドに特異的に結合する抗体を対照として含めた。ヒトTGF-βRII-Fcに結合する抗体を、ビオチンコンジュゲート抗ヒトFc抗体(1:10.000)およびストレプトアビジン-HRP(1:2000)で検出した。
【0207】
図3に示されるように、試験した全ての抗体は、対照抗体と比較して良好なリガンド遮断活性を示す。選択された抗体のIC50値を表3に提示する。
【表3】
【0208】
実施例3-親和性成熟
TGF-βRIIに特異的に結合し、かつTGF-βRIIとのリガンド相互作用およびTGF-βRIIとTGF-βRIとのヘテロ二量体化を遮断する配列番号10、配列番号11、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する可変重鎖領域を含むバリアント重鎖のFabファージディスプレイライブラリを生成して、より高い親和性を有する抗体が産生され得るかを評価した。このライブラリを、増加した親和性を有する重鎖可変領域を生成し、かつ典型的には3~4つの変異、すなわち、CDR1に1つ、CDR2に1つ、およびCDR3に1つまたは2つの変異を有し、ある特定の数の変異が全体的に4つを超える変異を有するように設計した。これらのバリアントの概要を
図4に配列アライメントとして提供する。
【0209】
より高い親和性を有するバリアントを2つの異なる選択法を使用して選択し、いずれもビオチン化ヒトTGF-βRII-Fcを抗原とし、いずれもKingfisher選択ロボットを使用した。いくつかの選択ラウンドを行った。第1の選択ラウンドは、異なる濃度のビオチン化TGF-βRII-Fcを使用した、実施例1に記載の親和性ベースの選択を含んだ。その後、明確な濃縮を示す抗原濃度が最も低い選択からの出力のみを、2つの別個の選択法にさらに使用した。第1の選択法は、2つの追加の親和性ベースの選択ラウンドを伴うが、今回は、前の選択ラウンドで使用した最適抗原濃度と比較して低下した濃度の抗原を用いた。第2の選択法も、低下した濃度の抗原を用いたいずれも親和性ベースの2つの追加の選択ラウンドを伴い、過剰量の非ビオチン化抗原の存在下での洗浄ステップを含むオフ速度ベースも伴う。
【0210】
全てのファージライブラリインキュベーション中に50μg/mLの総ヒトIgG(Sigma、カタログ番号I4506)を溶液中に添加して、Fc結合剤の選択を最小限に抑えた。洗浄後、結合したファージをトリプシンで溶出させた。ファージ出力をスポット法に従って決定し、ここで、TG1細胞にファージ出力の連続希釈物を感染させ、LB-Amp/Glu寒天プレート上にプレーティングして、翌日コロニーを計数した。
【0211】
ファージ出力を細菌感染によりレスキューし、その後の選択に十分なファージを生成し、細菌コロニーを有するプレートも生成した。コロニーを抗体産生のために96ウェルプレートに採取した。生成した抗体を、可溶性Fabを含有するペリプラズム抽出物の調製に使用した。
【0212】
親和性成熟バリアントを、TGFβRIIに対する二価IgGの単一特異性として再フォーマットした。SPR分析を行い、TGF-βRIIに対するバリアントの親和性を決定した。結果を表4および
図5に示す。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0213】
バリアントのレポーターアッセイ
親和性成熟バリアントを実施例2に記載の二価IgG形式に再フォーマットした。得られた抗体をTGF-βRIIルシフェラーゼベースのレポーターアッセイに使用して、その受容体のリガンド誘導性活性化を阻害する抗体の能力を試験した。
【0214】
293Fフリースタイル細胞にレポーターCAGA
12ルシフェラーゼを一過的にトランスフェクトした。翌日、トランスフェクトした細胞をプレーティングし、抗TGF-βRII抗体の6点半対数連続希釈の存在下/不在下で、1ng/mLのhTGF-β1で刺激した。抗TGF-βRII抗体を同時に添加した。抗体の開始濃度および最高濃度は10μg/mLであり、最低濃度は0.03μg/mLであった。293Fフリースタイル細胞とhTGF-β1と抗TGF-βRII抗体との混合物を、37℃の5%CO2インキュベーター内で3時間インキュベートした。各プレート
配列番号97を有する重鎖可変領域を含む陰性競合対照およびTGF-βを含まない1つのウェルの滴定。読み出しとして、Steady-Gloルシフェラーゼアッセイシステム検出試薬を添加し、5分間のインキュベーション後にルシフェラーゼをEnVision上で測定した。フォールディング応答を以下のように計算した。
【数1】
【0215】
結果を
図6に示す。このデータは、バリアントのうちのいくつかが、それらの親抗体と比較して改善されたリガンド遮断活性を呈することを示す。選択された抗体のIC50値を表5に提示する。
【表5】
【0216】
実施例4-エピトープマッピング
本明細書で生成された抗体によって結合されるエピトープの一部であるTGF-βRIIの残基を特定するために、標準技法を使用してショットガン変異誘発実験を行った(Davidson and Doranz,2014)。ショットガン変異誘発アプローチにおける対照として、配列番号98を有する重鎖可変領域を含む抗体を使用した。この抗体は、受容体へのリガンド結合を遮断することができず、全ての機能的TGF-βRII抗体の存在下で受容体に結合することができた。結果を
図7に示す。
【0217】
実施例5-TGF-βRII結合ドメインを含む抗体のTGF-βRII遮断活性
RSVxTGF-βRIIおよび抗原AxTGF-βRII抗体をTGFβレポーターアッセイでスクリーニングした。
【0218】
本明細書に記載の一連の抗体のVH領域を含むTGF-βRIIに結合する第1の結合ドメインと、配列番号136に記載のアミノ酸配列を有するVH領域を含むRSVに結合する第2の結合ドメイン、またはTGF-βRIIと同じ細胞上に発現する抗原(抗原A)に結合する第2の結合ドメインとを含む二重特異性抗体を産生した。抗原Aは、TGFβと反応しないか、またはTGFβレポーターアッセイで試験したシグナル伝達カスケードに影響を及ぼす任意に選択された抗原である。実施例1に記載の陽性対照抗体および陰性対照抗体も含めた。
【0219】
TGFβレポーターアッセイは、SMAD3結合配列およびSMAD4結合配列であるCAGAボックスの12コピーを含むCAGA12ルシフェラーゼベクターを使用する[Dennler et al,1998]。TGFβのTGF-βRIIへの結合により、TGF-βRIのリン酸化がもたらされる。TGF-βRIのリン酸化は、SMAD2およびSMAD3のリン酸化および活性化をもたらすシグナル伝達カスケードを開始し、その後、それらがSMAD4と複合体を形成する。その後、SMAD複合体は核に移動し、核内のSMAD結合要素(SBE)に結合し、TGFβ/SMAD応答性遺伝子の転写および発現をもたらす。CAGA12ルシフェラーゼレポーターを使用して、TGFβによる活性化を監視し、哺乳類細胞にレポーターをトランスフェクトした後、TGF-βRII遮断抗体をスクリーニングすることができる。
【0220】
抗原Aを発現するように安定してトランスフェクトした凍結保存した293FF細胞にTGFβレポーターを一過的にトランスフェクトした。IgGを、10μg/mL~100pg/mLの最終濃度で試験した。IgGを最終体積25μL(4倍濃縮)で添加した。その後、25μLのhTGFβ1(4倍濃縮)を1ng/mLの最終濃度で添加した。50μLのトランスフェクト細胞懸濁液(5×104細胞)を添加した。100μLのSteady-Glo(商標)基質を各ウェルに添加し、5分間インキュベートした。発光をEnVision上で測定し、Graphpad Prismを使用して結果を分析した。
【0221】
結果を
図8に示す。TGF-βRIIに対する一価結合ドメインおよびRSVに対する対照結合ドメインを含む二重特異性抗体、ならびにTGF-βRIIおよび抗原Aに対する一価結合ドメインを含む二重特異性抗体は、TGF-βとTGF-βRIIとの相互作用を遮断する。配列番号76および70に記載のアミノ酸配列を有するVH領域を含むTGF-βRII結合ドメインを含むTGF-βRIIおよびRSVを標的とする二重特異性抗体は、二価単一特異性陽性対照抗体とほぼ同等に強力である。配列番号70、61、86、65、12、および76に記載のアミノ酸配列を有するVH領域を含むTGF-βRII結合ドメインを含むTGF-βRIIおよび抗原Aを標的とする二重特異性抗体は、二価単一特異性陽性対照抗体よりも強力である。したがって、本開示の抗TGF-βRII結合ドメインは、一価形態で同程度の、同等の、かつ優れたTGF-βRII遮断能力を示し、一価分子、二価分子、または多重特異性分子に組み込まれる1つ以上のバレンセンとして様々な用途を提供する。
【0222】
重鎖可変領域の配列決定
ヒトTGF-βRIIに結合し、かつそのリガンドとの相互作用を遮断すると特定された一連の抗体のVH領域をコードする核酸を配列決定した。配列情報を以下に提供する。
配列
配列番号1:KabatによるHCDR1
IYAMT
配列番号2:KabatによるHCDR2
VISGSGGTTYYADSVKG
配列番号3:KabatによるHCDR3
RGQYRDIVGATDY
配列番号4:KabatによるHCDR1
NAWMS
配列番号5:KabatによるHCDR2
RIKTTISGGATDFAAPVKG
配列番号6:KabatによるHCDR3
DLRDY
配列番号7:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号8:KabatによるHCDR2
AISASGDRTHNTDSVKG
配列番号9:KabatによるHCDR3
GIAASGKNYFDP
配列番号10:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号11:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号12:重鎖可変領域
【化1】
QSISSY
配列番号14:IMGTによるLCDR2
AAS
配列番号15:IMGTによるLCDR3
QQSYSTPPT
配列番号16:軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK
配列番号17:重鎖定常領域
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
配列番号18:軽鎖定常領域
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号19:KabatによるLCDR1
RASQSISSYLN
配列番号20:KabatによるLCDR2
AASSLQS
配列番号21:KabatによるLCDR3
QQSYSTPPT
配列番号22:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDINAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号23:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIQAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVQGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号24:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYRMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARQGQYREIVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号25:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFYFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRSQYRDKVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号26:重鎖可変領域
【化2】
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFAFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号28:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTVYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIAGGTDYWGQGTLVTVSS
配列番号29:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFDFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRSQYRDKVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号30:重鎖可変領域
【化3】
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDINAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRYIAGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号32:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDITAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIAGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号33:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRAQYRDKVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号34:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRYVVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号35:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFYFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRHIAGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号36:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFRFDIYAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGGTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYRDIVGATDYWGQGTLVTVSS
配列番号37:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDINAMTWVRQAPGKGLEWVSVISGSGATTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGQYREIQGANDYWGQGTLVTVSS
配列番号38:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSRAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATQFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRNYWGQGTLVTVSS
配列番号39:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSRAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTVSGGATAFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRAYWGQGTLVTVSS
配列番号40:重鎖可変領域
【化4】
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSRAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRKYWGQGTLVTVSS
配列番号42:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSRAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRAYWGQGTLVTVSS
配列番号43:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFKFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATQFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号44:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号45:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATEFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRKYWGQGTLVTVSS
配列番号46:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRAYWGQGTLVTVSS
配列番号47:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSRAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGAATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号48:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFANAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRKYWGQGTLVTVSS
配列番号49:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFQFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号50:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAHMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRQYWGQGTLVTVSS
配列番号51:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFANAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATEFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRTYWGQGTLVTVSS
配列番号52:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTYSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRSYWGQGTLVTVSS
配列番号53:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFQFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATEFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号54:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFVFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTFSGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRKYWGQGTLVTVSS
配列番号55:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFHFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGATDFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRAYWGQGTLVTVSS
配列番号56:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCAASGFKFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRIKTTISGGKTEFAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTLDLRRYWGQGTLVTVSS
配列番号57:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFAFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAKRGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号58:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFQFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAKSGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号59:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAKSGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号60:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFKFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGLAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号61:重鎖可変領域
【化5】
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTKNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGRNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号63:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFAFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISASGDRTKNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号64:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIFASGKHYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号65:重鎖可変領域
【化6】
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFQFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSDISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIARSGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号67:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTLNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号68:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFAFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISAFGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGKNFFDPWGQGTLVTVSS
配列番号69:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTKNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGKNFFDPWGQGTLVTVSS
配列番号70:重鎖可変領域
【化7】
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFQFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISAHGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号72:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTIRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSYISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTANSGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号73:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号74:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFERYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTQNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGRNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号75:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFEFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISAGGDRTANTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号76:重鎖可変領域
【化8】
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFSFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTLNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号78:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFEFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTDNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIARSGKNFFDPWGQGTLVTVSS
配列番号79:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFNFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVTGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGLAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号80:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFAFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISAHGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号81:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGLAASGKNFFDPWGQGTLVTVSS
配列番号82:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFAFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGLASSGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号83:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFQFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGLAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号84:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFQFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRYHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号85:重鎖可変領域
【化9】
【化10】
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFKRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRSHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGLAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号88:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFNFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGTAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号89:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAASGKNFFDPWGQGTLVTVSS
配列番号90:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAARGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号91:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFRFRRYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISASGDRTHNTDSVKGRFSISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKGIAARGKNFFDPWGQGTLVTVSS
配列番号92:重鎖可変領域
EVQLVETGAEVKKPGASVKVSCKASDYIFTKYDINWVRQAPGQGLEWMGWMSANTGNTGYAQKFQGRVTMTRDTSINTAYMELSSLTSGDTAVYFCARSSLFKTETAPYYHFALDVWGQGTTVTVSS
配列番号93:重鎖可変領域
EVQLVESGGDLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNAWMSWVRQAPGKGLEWVGRVKTTVSGGTTDYAAAVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAIYYCTIDLRDYWGQGTLVTVSS
配列番号94:重鎖可変領域
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSINTSGGNTFYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAIYYCAKGIAATGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号95:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSINTSGGNTFYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVKGIAAAGKNWFGPWGQGTLVTVSS
配列番号96:重鎖可変領域
QVQLVESGGGLVQPGGSLSLSCAASGFTFSRYAMSWVRQAPGKGLEWVSSINTSGGNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGIAASGKNYFDPWGQGTLVTVSS
配列番号97:重鎖可変領域
EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSTKYSADSLKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRADDTAVYYCAKEGWSFDSSGYRSWFDSWGQGTLVTVSS
配列番号98:重鎖可変領域
QLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSSSYYWGWIRQPPGKGLEWIGSIYYSGSTYYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARSFRGGYTAFDVWGQGTLVTVSS
配列番号99:IGKV1-39
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTP
配列番号100:IGKV1-39/jk5
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPITFGQGTRLEIK
配列番号101:ヒトTGF-βRIIのアイソフォームA
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
NAWMS
配列番号106:KabatによるHCDR2
RIKTTISGGATQFAAPVKG
配列番号107:KabatによるHCDR3
DLRDY
配列番号108:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号109:KabatによるHCDR2
AISAGGDRTANTDSVKG
配列番号110:KabatによるHCDR3
GTAARGKNYFDP
配列番号111:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号112:KabatによるHCDR2
AISASGDRTKNTDSVKG
配列番号113:KabatによるHCDR3
GTAAAGKNYFDP
配列番号114:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号115:KabatによるHCDR2
AISASGDRYHNTDSVKG
配列番号116:KabatによるHCDR3
GTAASGKNYFDP
配列番号117:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号118:KabatによるHCDR2
AISASGDRTHNTDSVKG
配列番号119:KabatによるHCDR3
GTAARGKNYFDP
配列番号120:KabatによるHCDR1
NYWMS
配列番号121:KabatによるHCDR2
RIKTTYSGGATDFAAPVKG
配列番号122:KabatによるHCDR3
DLRDY
配列番号123:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号124:KabatによるHCDR2
SISASGDRTHNTDSVKG
配列番号125:KabatによるHCDR3
GLAASGKNYFDP
配列番号126:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号127:KabatによるHCDR2
AISASGDRTDNTDSVKG
配列番号128:KabatによるHCDR3
GIARSGKNFFDP
配列番号129:KabatによるHCDR1
RAWMS
配列番号130:KabatによるHCDR2
RIKTTISGAATDFAAPVKG
配列番号131:KabatによるHCDR3
DLRDY
配列番号132:KabatによるHCDR1
RYAMS
配列番号133:KabatによるHCDR2
AISASGDRTLNTDSVKG
配列番号134:KabatによるHCDR3
GTAARGKNYFDP
配列番号135:軽鎖可変領域
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVRSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIK
配列番号136:重鎖可変領域
EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSTKYSADSLKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRADDTAVYYCAKEGWSFDSSGYRSWFDSWGQGTLVTVSS