(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076719
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】柔軟な生検針システム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/02 110K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062670
(22)【出願日】2023-04-07
(62)【分割の表示】P 2022010609の分割
【原出願日】2017-05-31
(31)【優先権主張番号】62/343,596
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,ルーカス エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンシア,ハンス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,オリバー ジェイ.
(57)【要約】
【課題】解剖学的通路を通じる狭い屈曲部を進めるのに十分な程に可撓でありながらカテーテルから展開されるときに予測可能なパフォーマンス方向を保証する十分な剛性を提供する医療ツールを提供する。
【解決手段】医療ツールが、複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端とを含む。医療ツールは、複数のスリット内に延びて複数のスリットを通じる流体通過を遮断することによって、細長い管状区画と連結される可撓ジャケットを更に含む。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、
前記細長い管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端と、
前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画の一部を覆う可撓ジャケットと、
前記細長い管状区画の近位端に連結される細長い可撓部材と、を含み、
前記細長い可撓部材の遠位部分が、前記可撓ジャケットの近位部分を覆い、前記細長い可撓部材の近位部分が、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット内に延び、該1つ以上の第2のスリットは、前記可撓ジャケットによって覆われない、
医療ツール。
【請求項2】
前記複数のスリットは、渦巻状パターンにおいて構成され、或いは前記細長い管状区画を通じる長手軸に対して垂直に配置される、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項3】
前記剛的な針先端は、内腔が前記細長い管状区画及び前記剛的な針先端を通じて延びるよう、前記細長い管状区画と一体的に形成される、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項4】
前記可撓ジャケットは、熱収縮管組織で形成され、或いは、前記可撓ジャケットは、熱可塑性物質である、請求項1又は2に記載の医療ツール。
【請求項5】
前記剛的な針先端は、湾曲して形作られ、前記剛的な針先端の遠位尖端は、当該医療ツールの中心線に沿って整列させられる、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項6】
前記細長い管状区画は、ステンレス鋼で形成される、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項7】
前記細長い可撓部材は、前記細長い可撓部材の長手軸と平行に延びる複数の外部長手リブを含む、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項8】
シースチャネルを含むシースを更に含み、前記細長い可撓部材は、前記シースチャネル内にスライド可能に収容される、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項9】
前記シースは、前記細長い可撓部材の長手軸と平行な前記シースチャネル内に延びる複数の外部長手リブを含む、請求項8に記載の医療ツール。
【請求項10】
前記シースの遠位端が、前記シースの近位部分よりも高い剛性であり、或いは、前記シースの前記遠位端が、硬化材料が埋め込まれたポリマで形成される、請求項8又は9に記載の医療ツール。
【請求項11】
剛的なガード部材が、前記シースチャネルを取り囲むシース壁の遠位面に延びて、剛性をもたらす、請求項8又は9に記載の医療ツール。
【請求項12】
ハンドルを更に含み、前記細長い可撓部材の近位端が前記ハンドルに連結され、前記シースの近位端が前記ハンドルに連結される、請求項8に記載の医療ツール。
【請求項13】
前記ハンドルは、前記シースチャネル内の第1の長手方向位置及び第2の長手方向位置の1つで前記細長い部材の動きを制限するように構成され、或いは、前記ハンドルは、前記第1の長手方向位置又は前記第2の長手方向位置への前記細長い可撓部材の移動を制限する調整可能な針ストッパを更に含む、請求項12に記載の医療ツール。
【請求項14】
弾性材料で形成され、前記細長い管状区画及び前記剛的な針先端を通じて延びて前記細長い管状区画を真っ直ぐにするような大きさにされた、スタイレットを更に含む、請求項1に記載の医療ツール。
【請求項15】
前記細長い可撓部材は、前記細長い可撓部材の長手軸に対して垂直に延びる複数の外部突起を含む、請求項1に記載の医療ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2016年5月31日に出願された「PLIANT BIOPSY NEEDLE SYSTEM」という名称の米国仮特許出願第62/343,596号の優先権及び出願日の利益を主張し、その全体を参照として本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、解剖学的通路を通じて柔軟な(pliable)生検針を送達するシステム及び方法に向けられている。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲的な医療技法は、医療処置中に損傷させられる組織の量を減少させることにより、患者の回復時間、不快感及び有害な副作用を減少させることを意図している。そのような最小侵襲的な技法は、患者の解剖学的構造におけるにある自然開口部を通じて又は1以上(1つ又はそれよりも多く)の外科的切開部を通じて行われることがある。これらの自然開口部又は切開部を通じて、臨床医は(外科器具、診断器具、治療器具、又は生検器具を含む)最小侵襲的な医療器具を挿入して、標的組織場所に到達することがある。1つのそのような最小侵襲的な技法は、解剖学的通路に挿入して、患者の解剖学的構造内の関心領域に向かって進めることができる、可撓(フレキシブル)カテーテルのような、可撓及び/又は操縦可能な細長いデバイスを使用することである。生検器具のような医療ツールをカテーテルを通じて展開して、関心領域で医療処置を行う。解剖学的通路を通じる狭い屈曲部を進めるのに十分な程に可撓でありながら、カテーテルから展開されるときに予測可能なパフォーマンス方向を保証する十分な剛性を提供する、医療ツールが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、本記述に続く請求項によって最良に要約される。
【0005】
幾つかの実施形態と一致して、医療ツールが、複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端とを含む。ツールは、幾つかの実施形態では、複数のスリットを通じる流体通路を遮断することができる、複数のスリット内に延びることによって細長い管状区画と連結される可撓(例えば、ポリマ)ジャケットを更に含む。
【0006】
幾つかの実施形態と一致して、医療器具システムが、複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端と、幾つかの実施形態では、複数のスリットを通じる流体通路を遮断することができる、複数のスリット内に延びることによって細長い管状区画と連結される可撓(例えば、ポリマ)ジャケットとを含む。生検器具を含む。器具システムは、生検器具を受け入れるような大きさとされたシースチャネルを有するシースも含み、器具システムは、超弾性材料で形成され、細長い管状区画及び剛的な針先端を通じて延びて細長い管状区画を真っ直ぐにするような大きさとされた、スタイレットを含む。
【0007】
幾つかの実施形態と一致して、方法が、カテーテルを通じてシース付き針を挿入するステップと、針を通じてスタイレットを挿入するステップとを含む。スタイレットは、超弾性材料を含む。方法は、針及びスタイレットで組織を穿刺するステップや、針からスタイレットを取り外すステップや、針に真空を適用して針の内側の組織の一部を収集するステップや、カテーテルから針及びシースを取り外すステップも含む。
【0008】
前述の一般的な記述及び後続の詳細な記述は、本質的に例示的かつ説明的なものであり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解をもたらすことを意図していることが理解されるべきである。それに関して、本開示の追加的な態様、構成、及び利点は、後述の詳細な記述から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】幾つかの実施形態に従った遠隔操作医療システムの簡略図である。
【0010】
【
図2A】幾つかの実施形態に従った医療器具システムの簡略図である。
【0011】
【
図2B】幾つかの実施形態に従った延出した医療ツールを備える医療器具の簡略図である。
【0012】
【
図3A】幾つかの実施形態に従った挿入アセンブリに取り付けられた医療器具を含む患者座標空間の側面図の簡略図である。
【
図3B】幾つかの実施形態に従った挿入アセンブリに取り付けられた医療器具を含む患者座標空間の側面図の簡略図である。
【0013】
【
図4】幾つかの実施形態に従った医療ツールの斜視図である。
【0014】
【
図5A】幾つかの実施形態に従った生検ツールの遠位端の透視側面図である。
【0015】
【
図5B】シース内に後退させられた
図4Aの生検ツールの遠位端の透視側面図である。
【0016】
【
図5C】表面不連続性を伴うツールシャフトの端面図である。
【0017】
【
図6】幾つかの実施形態に従ったシースの遠位端の断面図である。
【0018】
【
図7A】1つの実施形態に従ったあるスリットパターンを備える生検ツールの遠位端の側面図である。
【0019】
【
図7B】他の実施形態に従ったあるスリットパターンを備える生検ツールの遠位端の側面図である。
【0020】
【
図8】他の実施形態に従った中心化された針地点を備える生検ツールの遠位端の側面図である。
【0021】
【
図9】幾つかの実施形態に従った医療ツールの近位端の斜視図である。
【0022】
【0023】
【0024】
【
図11】幾つかの実施形態に従った医療器具システムを使用する方法を例示するフローチャートである。
【0025】
【
図12A】幾つかの実施形態に従った医療ツールの近位端の斜視図であり、医療器具の拡張構成を例示している。
【
図12B】幾つかの実施形態に従った医療ツールの近位端の斜視図であり、医療器具の収縮構成を例示している。
【0026】
【
図13】幾つかの実施形態に従った遠隔操作医療システムの医療器具システムへの医療ツールの連結を例示している。
【0027】
【
図14】幾つかの実施形態に従ったコネクタアセンブリの断面図を例示している。
【0028】
【0029】
【
図15B】非圧縮状態における
図14のコネクタアセンブリを例示している。
【0030】
【
図15C】圧縮状態における
図14のコネクタアセンブリを例示している。
【0031】
【
図16】生検ツールの円筒形の区画を例示している。
【0032】
【
図17】幾つかの実施形態に従った、長手方向に切断して平面的な形態に広げた、生検ツールの以前は円筒形の区画を例示している。
【0033】
【
図18】幾つかの実施形態に従った、長手方向に切断して平面的な形態に広げた、生検ツールの以前は円筒形の区画を例示している。
【0034】
【0035】
【
図20A】幾つかの実施形態に従った剛性遠位先端の側面図を例示している。
【
図20B】幾つかの実施形態に従った剛性遠位先端の頂面図を例示している。
【0036】
【
図21】幾つかの実施形態に従ったシースの遠位端を例示している。
【
図22】幾つかの実施形態に従ったシースの遠位端を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示の実施形態及びそれらの利点は、後続の詳細な記述を参照することによって最良に理解される。図のうちの1以上の図に例示する同等の要素を特定するために同等の参照番号が使用されており、それらの中に示されているものは、本開示の実施形態を例示する目的のためであり、本発明の実施形態を限定する目的のためでないことが理解されるべきである。
【0038】
以下の記述では、本開示と一致する幾つかの実施形態を記載する特定の詳細が示される。実施形態の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が示される。しかしながら、幾つかの実施形態は、これらの特定の詳細の一部又は全部を伴わずに実施されてよいことが、当業者に明らかであろう。本明細書に開示される特定の実施形態は、例示的であることが意図されており、限定的であることは意図されていない。当業者は、本明細書において具体的に記載されないが、この開示の範囲及び精神の範囲内にある、他の要素を認識することがある。加えて、不要な繰返しを避けるために、1つの実施形態に関連して示し且つ記載する1以上の構成は、特段の断りのない限り或いは1以上の構成が実施形態を機能しないようにさせるならば、他の実施形態に組み込まれてよい。
【0039】
幾つかの場合には、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないよう、よく知られている方法、手順、コンポーネント(構成要素)、及び回路を詳細に記載しない。
【0040】
この開示は、三次元空間における様々な器具及び器具の部分の状態に関して、様々な器具及び器具の部分を記載する。本明細書で使用するとき、「位置(position)」という用語は、三次元空間内の物体又は物体の部分の場所(例えば、デカルトx座標、y座標、及びz座標に沿う3つの並進自由度)を指す。本明細書で使用するとき、「向き(orientation)」という用語は、物体又は物体の部分の回転配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。本明細書で使用するとき、「姿勢(pose)」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の部分の位置及び少なくとも1つの回転自由度における物体又は物体の部分の向き(全体で最大6つの自由度)を指す。本明細書で使用するとき、「形状(shape)」という用語は、物体に沿って測定される姿勢、位置、又は向きのセットを指す。
【0041】
図1は、幾つかの実施形態に従った遠隔操作医療システム100の簡略図である。幾つかの実施形態において、遠隔操作医療システム100は、例えば、外科処置、診断処置、治療処置、又は生検処置における使用に適することがある。
図1に示すように、医療システム100は、一般的に、患者Pに対して様々な処置を行う際に医療器具104(medical instrument)を作動させる遠隔操作マニピュレータアセンブリ102を含む。遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、手術台Tに又はその付近に取り付けられる。マスタアセンブリ106は、操作者(
図1に示すような外科医、臨床医、又は医師O)又は外科医が介入部位を視認して、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102を制御することを可能にする。
【0042】
マスタアセンブリ106は、通常は手術台Tと同じ部屋に配置される医師コンソールに、例えば、患者Pが配置される手術台の側部に、配置されてよい。しかしながら、医師Oは、患者Pとは異なる部屋又は全く異なる建物に配置されることもできることが理解されるべきである。マスタアセンブリ106は、一般的に、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102を制御するための1以上(1つ又はそれよりも多く)の制御デバイスを含む。制御デバイスは、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、手動操作コントローラ、音声認識デバイス、身体運動又は存在センサ、及び/又は同等物のような、任意の数の様々な入力デバイスを含んでよい。器具104を直接的に制御しているという強い感覚を医師Oに提供するために、制御デバイスは、関連する医療器具104と同じ自由度を備えてよい。このようにして、制御デバイスは、テレプレゼンス又は制御デバイスが医療器具104と一体であるという知覚を医師Oに提供する。
【0043】
幾つかの実施形態において、制御装置は、関連する医療機器104よりも多い又は少ない自由度を有して、依然として医師Oにテレプレゼンスを提供することがある。幾つかの実施形態において、制御デバイスは、任意的に、6自由度で動き、且つ、器具を作動させる(例えば、把持ジョーを閉じる、電極に電位を印加する、医療処置を送達する、及び/又は同等のことを行う)作動可能なハンドルを含むこともある、手動入力デバイスであってよい。
【0044】
遠隔装置マニピュレータアセンブリ102は、医療器具104を支持し、1以上の非サーボ制御リンクの運動学的構造(例えば、手動で位置決めされて、所定の場所にロックされてよい、一般的にセットアップ構造と呼ばれる、1以上のリンク)と、遠隔操作マニピュレータとを含んでよい。遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、制御システム(例えば、制御システム112)からの命令に応答して医療器具104上の入力を駆動する、複数のアクチュエータ又はモータを任意的に含んでよい。アクチュエータは、医療器具104に連結されるときに、医療器具104を自然に又は外科的に創り出された解剖学的開口部内に前進させることがある、駆動システムを任意的に含んでよい。他の駆動システムは、医療器具の遠位端を多数の自由度で移動させてよく、多数の自由度は、3つの程度の線形運動(例えば、X,Y,Zデカルト軸に沿う線形運動)及び3つの程度の回転運動(例えば、X,Y,Zデカルト軸についての回転)を含んでよい。加えて、アクチュエータを使用して、生検デバイス及び/又は同等物のジョー内で組織を把持するために医療器具104の関節作動可能なエンドエフェクタを作動させることができる。レゾルバ、エンコーダ、ポテンシオメータ、及び他の機構のような、アクチュエータ位置センサが、モータシャフトの回転及び向きを記述するセンサデータを医療システム100に提供してよい。この位置センサデータを使用して、アクチュエータによって操作される物体の運動を決定してよい。
【0045】
遠隔操作医療システム100は、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102の器具についての情報を受信する1以上のサブシステムを備えるセンサシステム108を含んでよい。そのようなサブシステムは、位置/場所センサシステム(例えば、電磁(EM)センサシステム)、医療器具104を構成してよい可撓(フレキシブル)本体に沿う1以上のセグメントの及び/又は遠位端の位置、向き、速さ、速度、姿勢、及び/又は形状を決定する形状センサシステム、及び/又は医療器具104の遠位端から画像を取り込む視覚化システムを含んでよい。
【0046】
遠隔操作医療システム100は、センサシステム108のサブシステムによって生成される手術部位及び医療器具104の画像又は表現を表示するディスプレイシステム110も含む。ディスプレイシステム110及びマスタアセンブリ106は、医師Oがテレプレゼンスの知覚を伴って医療器具104及びマスタアセンブリ106を制御することができるよう、方向付けられてよい。
【0047】
幾つかの実施形態において、医療器具104は、(以下でより詳細に議論する)視覚化システムを有してよく、視覚化システムは、ビューイングスコープアセンブリ(viewing scope assembly)を含んでよく、ビューイングスコープアセンブリは、外科部位同時又はリアルタイム画像を記録し、その画像をディスプレイシステム110の1以上のディスプレイのような医療システム100の1以上のディスプレイを通じて操作者又は医師Oに提供する。同時画像は、例えば、手術部位内に位置付けられる内視鏡によって取り込まれる二次元又は三次元画像であってよい。幾つかの実施形態において、視覚化システムは、医療器具104に一体的に又は取り外し可能に連結されてよい内視鏡コンポーネントを含む。しかしながら、幾つかの実施形態では、別個のマニピュレータアセンブリに取り付けられた別個の内視鏡を医療器具104と共に使用して手術部位を画像化してよい。幾つかの例において、内視鏡は、1以上のレンズが内視鏡が直面する流体及び/又は他の材料によって部分的に及び/又は完全に不明瞭になるときに、内視鏡の1以上のレンズを洗浄する、1以上の機構を含んでよい。幾つかの例において、1以上の洗浄機構は、空気及び/又は他のガスのパフを吹き飛ばして1以上のレンズを綺麗にするために使用可能な空気及び/又は他のガスの供給システムを任意的に含んでよい。1以上の洗浄機構の例は、(2016年8月11日に出願された)(「Systems and Methods for Cleaning an Endoscopic Instrument」を開示する)国際公開第2016/025465号により詳細に開示されており、その全文を参照として本明細書に援用する。可視化システムは、制御システム112のプロセッサを含んでよい1以上のコンピュータプロセッサと相互作用するか或いはそのような1以上のコンピュータプロセッサによって他の方法で実行される、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして実装されてよい。
【0048】
ディスプレイシステム110は、視覚化システムによって取り込まれる手術部位及び医療器具の画像を表示してもよい。幾つかの例において、遠隔操作医療システム100は、医用器具104の相対的な位置が医師Oの両眼及び両手の相対的な位置と類似するように、医療器具104及びマスタアセンブリ106の制御装置を構成してよい。このようにして、医師Oは、恰も実質的に真の存在(true presence)において作業空間を見るかのように医療器具104及び手動制御装置を操作することができる。真の存在とは、画像の表現が、医療器具104を物理的に操作している医師の視点(viewpoint)をシミュレートする真の眺望(true perspective)の画像であることを意味する。
【0049】
幾つかの例において、ディスプレイシステム110は、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンス断層撮影法(OCT)、熱イメージング、インピーダンスイメージング、レーザイメージング、ナノチューブX線イメージング、及び/又は同等物のような、撮像技術からの画像データを使用して術前又は術中に記録される手術部位の画像を提示することがある。術前又は術中の画像データは、二次元画像、三次元画像、又は(例えば、時間ベース又は速度ベースの情報を含む)四次元画像として、及び/又は術前又は術中画像データセットから創り出されるモデルからの画像として提示されてよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、しばしば画像誘導外科処置の目的のために、ディスプレイシステム110は、医療器具104の実際の場所が術前又は同時画像/モデルと位置合わせされる(即ち、動的に参照される)仮想ナビゲーション画像を表示してよい。これは、臨床医又は医師Oに医療器具104の視点からの内部手術部位の仮想画像を提示するために行われてよい。幾つかの例において、視点は、医療器具104の先端(tip)からであってよい。医療器具104の先端及び/又は他の図式的な若しくは英数字式のインジケータの画像を仮想画像の上に重ね合わせて、医療器具104を制御する医師を支援してよい。幾つかの例において、医療器具104は、仮想画像内で見えなくてよい。
【0051】
幾つかの実施形態において、ディスプレイシステム110は、外部視点から手術部位内の医療器具104の仮想画像を臨床医又は医師Oに提示するために、医療器具104の実際の場所を術前又は同時画像と位置合わせする、仮想ナビゲーション画像を表示してよい。医療器具の一部又は他の図式的な若しくは英数字式のインジケータの画像を仮想画像の上に重ね合わせて、医療器具104の制御において医師Oを支援してよい。本明細書で記載したように、データポイント(data points)の視覚的表現は、ディスプレイシステム110にレンダリングされて(rendered)よい。例えば、本明細書で記載する測定されたデータポイント、移動させられたデータポイント、位置合わせされたデータポイント、及び他のデータポイントは、仮想表現においてディスプレイシステム110に表示されてよい。データポイントは、ディスプレイシステム110上の複数の点又はドットによって、或いはデータポイントのセットに基づいて創り出されるメッシュ又はワイヤモデルのようなレンダリングされたモデルとして、ユーザインターフェースに視覚的に表現されてよい。幾つかの例において、データポイントは、それらが表現するデータに従って色分けされて(color coded)よい。幾つかの実施形態では、データポイントを変更するために各処理操作を実行した後、ディスプレイシステム110において視覚的表現をリフレッシュしてよい。
【0052】
遠隔操作医療システム100は、制御システム112を含んでもよい。制御システム112は、医療器具104、マスタアセンブリ106、センサシステム108、及びディスプレイシステム110の間の制御をもたらす少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(図示せず)と、少なくとも1つのメモリとを含む。制御システム112は、ディスプレイシステム110に情報を提供するための指令を含む、本明細書に開示する態様に従って記載される方法の一部又は全部を実施するプログラム指令(例えば、指令を格納する非一時的な機械可読媒体)も含む。制御システム112は、
図1の簡略図において単一のブロックとして示されているが、システムは、2以上(2つ又はそれよりも多く)のデータ処理回路を含んでよく、処理の一部は、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102上で又はそれに隣接して任意的に実行されてよく、処理の他の部分は、マスタアセンブリ106及び/又は同等物で実行されてよい。制御システム112のプロセッサは、本明細書に開示し且つ以下により詳細に記載するプロセスに対応する指令を含む指令を実行してよい。多種多様な集中型又は分散型データ処理アーキテクチャのいずれかが利用されてよい。同様に、プログラムされる指令は、多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実装されてよく、或いは本明細書に記載する遠隔操作システムの多数の他の態様に統合されてよい。1つの実施形態において、制御システム112は、ブルートゥース(登録商標)、IrD1、ホームRF、IEEE802.11、DECT、及びワイヤレステレメトリ(Wireless Telemetry)のようなワイヤレス通信プロトコルをサポートする。
【0053】
幾つかの実施形態において、制御システム112は、医療器具104から力及び/又はトルクフィードバックを受信してよい。フィードバックに応答して、制御システム112は、マスタアセンブリ106に信号を送信してよい。幾つかの例において、制御システム112は、信号を送信して、医療器具104を動かすことを遠隔操作マニピュレータアセンブリ102の1以上のアクチュエータに指令してよい。医療器具104は、患者Pの体にある開口を介して患者Pの体内の内部手術部位に延びてよい。任意の適切な従来的な及び/又は特殊なアクチュエータが使用されてよい。幾つかの例では、1以上のアクチュエータは、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102と別個であってよく或いは一体であってよい。幾つかの実施形態において、1以上のアクチュエータ及び遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、患者P及び手術台Tに隣接して位置付けられる遠隔操作カートの一部として提供される。
【0054】
制御システム112は、任意的に、画像誘導外科手術中に医療器具104を制御するときに医師Oにナビゲーション支援を提供する仮想視覚化システムを更に含んでよい。仮想視覚化システムを使用する仮想ナビゲーションは、解剖学的通路の取得された術前又は術中データセットを参照することに基づいてよい。仮想視覚化システムは、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンス断層撮影法(OCT)、熱イメージング、インピーダンスイメージング、レーザイメージング、ナノチューブX線イメージング、及び/又は同等物のような、撮像技術を使用して撮像される手術部位の画像を処理する。手動入力との組み合わせにおいて使用することがあるソフトウェアを使用して、記録した画像を部分的な又は全体的な解剖学的器官又は解剖学的領域のセグメント化された二次元又は三次元複合表現に変換する。画像データセットは、複合表現と関連付けられる。複合表現及び画像データセットは、通路の様々な場所及び形状並びにそれらの接続性を記述する。複合表現を生成するために使用される画像は、術前に臨床処置の間の術中に記録されてよい。幾つかの実施形態において、仮想視覚化システムは、標準表現(即ち、患者特異でない表現)又は標準表現及び患者特異データのハイブリッドを使用してよい。複合表現及び複合表現によって生成されるあらゆる仮想画像は、運動の1以上の段階中(例えば、肺の吸気/呼気サイクル中)の変形可能な解剖学的領域の静止姿勢を表すことがある。
【0055】
仮想ナビゲーション処置の間に、センサシステム108を使用して、患者Pの解剖学的構造に対する医療器具104の近似的な場所を計算してよい。その場所を使用して、患者Pの解剖学的構造のマクロレベル(外部)追跡画像及び患者Pの解剖学的構造の仮想内部画像の両方を生成することができる。システムは、術前に記録された手術画像と一緒に医療器具(medical implement)を位置合わせし且つ表示する1以上の電磁(EM)センサ、光ファイバセンサ、及び/又は他のセンサを実装してよい。例えば、仮想視覚化システムからのものが知られている。例えば、その全文を本明細書に参照として援用する(2011年5月13日に出願された)(「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomic Structure for Image-Guided Surgery」という名称の)米国特許出願第13/107,562が、1つのそのようなシステムを開示している。遠隔操作医療システム100は、照明システム、ステアリング制御システム(操縦制御システム)、洗浄システム、及び/又は吸引システムのような、任意的な操作及び支持システム(図示せず)を更に含んでよい。幾つかの実施形態において、遠隔操作医療システム100は、1つよりも多くの遠隔操作マニピュレータアセンブリ及び/又は1つよりも多くのマスタアセンブリを含んでよい。遠隔操作マニピュレータアセンブリの正確な数は、数ある要因の中でも、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。マスタアセンブリ106は並置されてよく、或いは別個の場所に位置付けられてよい。複数のマスタアセンブリは、1人よりも多くの操作者が、1以上の遠隔操作マニピュレータアセンブリを様々な組み合わせにおいて制御することを可能にする。
【0056】
図2Aは、幾つかの実施形態に従った医療器具システム200の簡略図である。幾つかの実施形態において、医療器具システム200は、遠隔操作医療システム100で実行される画像誘導医療処置において医療器具104として使用されてよい。幾つかの例において、医療器具システム200は、非遠隔操作診査処置のために或いは内視鏡のような従来的な手動操作される医療器具を伴う処置において使用されてよい。任意的に、医療器具システム200は、患者Pのような患者の解剖学的通路内の場所に対応するデータポイントのセットを集める(即ち、測定する)ために使用されてよい。
【0057】
医療器具システム200は、駆動ユニット204に連結される、可撓カテーテルのような細長いデバイス202を含む。細長いデバイス202は、近位端217と、遠位端又は先端部分218とを有する、可撓本体216を含む。幾つかの実施形態において、可撓本体216は、約3mmの外径を有する。他の可撓本体の外径は、より大きくてもより小さくてもよい。
【0058】
医療器具システム200は、以下に更に詳細に記載するような1以上のセンサ及び/又は撮像デバイスを使用して可撓本体216に沿う遠位端218の及び/又は1以上のセグメント224の位置、向き、速さ、速度、姿勢、及び/又は形状を決定する追跡システム230(トラッキングシステム)を更に含む。遠位端218と近位端217との間の可撓本体216の全長は、セグメント224に効果的に分割されてよい。医療器具システム200が遠隔操作医療システム100の医療器具104と一致するならば、追跡システム230は、
図1の制御システム112のプロセッサを含んでよい1以上のコンピュータプロセッサと相互作用するか或いはそのようなコンピュータプロセッサによって他の方法で実行される、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして任意的に実装されてよい。
【0059】
追跡システム230は、任意的に、形状センサ222を使用して、遠位端218及び/又はセグメント224の1以上のセグメントを追跡してよい。形状センサ222は、任意的に、(例えば、内部通路(図示せず)内に設けられる或いは外部に取り付けられる)可撓本体216と整列させられる光ファイバを含む。1つの実施形態において、光ファイバは、約200μmの直径を有する。他の実施形態において、その寸法はより大きくてもより小さくてもよい。形状センサ222の光ファイバは、可撓本体216の形状を決定する光ファイバ曲げセンサを形成する。1つの代替では、ファイバブラッググレーティング(FBG)を含む光ファイバを使用して、1以上の寸法における構造のひずみ測定値を提供する。光ファイバの形状及び相対的な位置を三次元において監視する様々なシステム及び方法が、(2005年7月13日に出願された)(「Fiber optic position and shape sensing device and method relating thereto」を開示する)米国特許出願第11/180,389号、(2004年7月16日に出願された)(「Fiber-optic shape and relative position sensing」を開示する)米国特許出願第12/047,056号、及び(1998年6月17日に出願された)(「Optical Fibre Bend Sensor」を開示する)米国特許第6,389,187号に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。幾つかの実施形態におけるセンサは、レイリー散乱、ラマン散乱、ブリルアン散乱、及び蛍光散乱のような、他の適切なひずみ感知技法を利用してよい。幾つかの実施形態において、細長いデバイスの形状は、他の技法を使用して決定されてよい。例えば、可撓本体216の遠位端姿勢の履歴を使用して、時間の間隔に亘って可撓本体216の形状を再構築することができる。幾つかの実施形態において、追跡システム230は、任意的に及び/又は追加的に、位置センサシステム220を使用して遠位端218を追跡してよい。位置センサシステム220は、外部で生成される電磁場に曝されることがある1以上の導電性コイルを含む位置センサシステム220を備えるEMセンサシステムのコンポーネントであってよい。その場合、EMセンサシステムの各コイルは、外部で生成される電磁場に対するコイルの位置及び向きに依存する特性を有する誘導電気信号を生成する。幾つかの実施形態において、位置センサシステム220は、6つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに基点のピッチ、ヨー、及びロールを示す3つの配向角、又は5つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに基点のピッチ及びヨーを示す2つの配向角を測定するように構成され且つ位置付けられてよい。位置センサシステムの更なる記述は、(1999年8月11日に出願された)(「Six-Degree of Freedom Tracking System Having a Passive Transponder on the Object Being Tracked」を開示する)米国特許第6,380,732号に提供されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0060】
幾つかの実施形態において、追跡システム230は、代替的に及び/又は追加的に、呼吸のような交互運動のサイクルに沿う器具システムの既知の点について格納された履歴的な姿勢、位置、又は向きデータに依存してよい。この格納データを使用して、可撓本体216についての形状情報を創り出してよい。幾つかの例では、位置センサ220内のセンサに類似する電磁(EM)センサのような一連の位置センサ(図示せず)を可撓本体216に沿って位置付け、形状感知のために使用してよい。幾つかの例では、特に解剖学的通路が概ね静的であるならば、処置中に取られるこれらのセンサのうちの1以上のセンサからのデータの履歴を使用して、細長いデバイス202の形状を表してよい。
【0061】
可撓本体216は、医療器具226を受け入れる大きさ及び形状のチャネル221を含む。
図2Bは、幾つかの実施形態に従った拡大された医療器具226を備えた可撓本体216の簡略図である。幾つかの実施形態において、医療器具226は、手術、生検、アブレーション(切除)、照明、洗浄、又は吸引のような処置のために使用されてよい。医療器具226は、可撓本体216のチャネル221を通じて展開されることができ、解剖学的構造内の標的場所で使用されることができる。医療器具226は、例えば、画像キャプチャプローブ、生検器具、レーザアブレーション繊維、及び/又は他の外科ツール、診断ツール若しくは治療ツールを含んでよい。医療ツールは、メス、鈍らなブレード、光ファイバ、電極、及び/又は同等物のような、単一の作動部材を有する、エンドエフェクタを含んでよい。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、グラスパ(把持器)、はさみ、クリップアプライア、及び/又は同等物を含んでよい。他のエンドエフェクタは、電気外科用電極、トランスデューサ、センサ、及び/又は同等物のような、電気的にアクティブ化されるエンドエフェクタを更に含んでよい。様々な実施形態において、医療器具226は、生検器具であり、生検器具は、標的解剖学的場所から細胞のサンプル組織又は細胞サンプリングを除去するために使用されてよい。医療器具226は、可撓本体216内の画像キャプチャプローブと共に使用されてもよい。様々な実施形態において、医療器具226は、(ビデオ画像を含む)画像を取り込むために可撓本体216の遠位端に又はその付近に立体視又は平面視カメラを備える遠位部分を含む画像キャプチャプローブであってよく、それらの画像は、表示のために視覚化システム231によって処理され、且つ/或いは遠位端218及び/又はセグメント224のうちの1以上のセグメントの追跡をサポートするために追跡システム230に提供される。画像キャプチャプローブは、取り込んだ画像データを送信するためにカメラに連結されるケーブルを含んでもよい。幾つかの例において、画像キャプチャ器具は、可視化システム231に連結されるファイバースコープのような光ファイバー束であってよい。画像キャプチャ器具は、単スペクトル又は多スペクトルであってよく、例えば、可視スペクトル、赤外線スペクトル、及び/又は紫外スペクトルのうちの1以上において画像データを取り込む。代替的に、医療器具226自体が画像キャプチャプローブであってよい。医療器具226は、処置を実行するためにチャネル221の開口221から前進させられてよく、次に、処置が完了すると、チャネル221に戻されてよい。医療器具226は、可撓本体216の近位端217から又は可撓本体216に沿う他の任意的な器具ポート(図示せず)から取り外されてよい。可撓本体216に対する医療器具226の動きは、操作者制御ハンドルのような手動デバイスによって制御されてよく、或いは遠隔操作制御によって駆動させられてよい。1つの例では、ツール制御デバイス228を器具226の近位端に連結して、チャネル221内の器具226の動きを制御する。可撓本体216に連結されるポート233は、チャネル221内への器具226の貫通通過を可能にする。1つの例において、ツール制御デバイスは、ツールの近位端にあるハンドルであってよい。
【0062】
医療器具226は、追加的に、その近位端と遠位端との間に延在して、医療器具226の曲げられる遠位端を制御する、ケーブル、リンケージ、又は他の作動制御装置(図示せず)を収容してよい。適切な器具が、(2005年10月4日に出願された)(「Articulated Surgical Instrument for Performing Minimally Invasive Surgery with Enhanced Dexterity and Sensitivity」を開示する)米国特許第7,316,681号及び(2008年9月30日に出願された)(「Passive Preload and Capstan Drive for Surgical Instruments」を開示する)米国特許出願第12/286,644号に記載されており、それらの全文を本明細書中に参照として援用する。
【0063】
可撓本体216は、例えば、遠位端218の破線鎖線描写219によって示すように、遠位端218を制御可能に曲げるために、駆動ユニット204と遠位端218との間に延在する、ケーブル、リンケージ、又は他のステアリング制御装置(図示せず)を収容してもよい。幾つかの例では、遠位端218のピッチを制御する「上下」ステアリング及び遠位端218のヨーを制御する「左右」ステアリングを独立して提供するために、少なくとも4つのケーブルが使用される。操縦可能な細長いデバイスは、(2011年10月14日に出願された)(「Catheter with Removable Vision Probe」を開示する)米国特許出願第13/274,208号に詳細に記載されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。医療器具システム200が遠隔操作アセンブリによって作動させられる実施形態において、駆動ユニット204は、遠隔操作アセンブリのアクチュエータのような駆動要素に取り外し可能に連結され且つそれらから動力を受け取る駆動入力を含んでよい。幾つかの実施形態において、医療器具システム200は、把持機構、手動アクチュエータ、又は医療器具システム200の動きを手動で制御する他のコンポーネントを含んでよい。細長い機器202は、操縦可能であってよく、或いは、代替的に、システムは、遠位端218の曲げの操作者制御のための統合的な機構を備えないで操縦不能であってよい。幾つかの例では、医療器具を配置することができる並びに標的手術部位で使用されることができる1以上の内腔が、可撓本体216の壁に定められる。
【0064】
幾つかの実施形態において、医療器具システム200は、肺の検査、診断、生検、又は治療における使用のための、気管支鏡又は気管支カテーテルのような、可撓な気管支器具を含んでよい。医療器具システム200は、結腸、腸、腎臓及び腎杯、脳、心臓、脈管構造を含む循環系、及び/又は同等物を含む、様々な解剖学的系統のいずれかにおいて、自然に又は外科的に創り出された接続通路を介して、他の組織の治療及びナビゲーションにも適している。
【0065】
追跡システム230からの情報はナビゲーションシステム232に送られ、それはナビゲーションシステム232で視覚化システム231及び/又は手術前に得られたモデルからの情報と組み合わされて、医師又は他の操作者にリアルタイム位置情報を提供する。幾つかの例において、リアルタイム位置情報は、医療器具システム200の制御における使用のために
図1のディスプレイシステム110に表示されてよい。幾つかの例において、
図1の制御システム116は、医療器具システム200を位置付けるためのフィードバックとして位置情報を利用してよい。手術器具を手術画像と位置合わせして表示するために光ファイバセンサを使用する様々なシステムが、2011年5月13日に出願された「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomic Structure for Image-Guided Surgery」を開示する米国特許出願第13/107,562号に提供されており、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0066】
幾つかの例において、医療器具システム200は、
図1の医療システム100内で遠隔操作されてよい。幾つかの実施形態において、
図1の遠隔操作マニピュレータアセンブリ102は、直接的な操作者制御装置と置換されてよい。幾つかの例において、直接的な操作者制御装置は、様々なハンドルと、器具の手持ち式の作動のための操作者インターフェースとを含んでよい。
【0067】
図3A及び
図3Bは、幾つかの実施形態に従った挿入アセンブリに取り付けられる医療器具を含む患者座標空間の側面図の簡略図である。
図3A及び
図3Bに示すように、手術環境240は、
図1の手術台Tの上に位置付けられた患者Pを含む。患者Pは、総体的な患者の動きが鎮静、拘束、及び/又は他の手段によって制限されるという意味において、手術環境において静止的であることがある。患者が呼吸運動を一時的に停止するために呼吸を保持するよう求められない限り、患者Pの呼吸及び心臓運動を含む周期的な解剖学的運動は続けてよい。従って、幾つかの実施形態において、データは、呼吸の特定の段階で収集され、その段階でタグ付けされて識別される。幾つかの実施形態において、データが収集される段階は、患者Pから収集される生理学的情報から推定されてよい。手術環境240では、ポイント収集器具242(point gathering instrument)が器具キャリッジ244(instrument carriage)に連結される。幾つかの実施形態において、ポイント収集器具242は、EMセンサ、形状センサ、及び/又は他のセンサモダリティを含んでよい。器具キャリッジ244は、手術環境240内で固定される挿入ステージ246(insertion stage)に取り付けられる。代替的に、挿入ステージ246は、移動可能であってよいが、手術環境240内で(例えば、追跡センサ又は他の追跡デバイスを介して)既知の場所を有してよい。器具キャリッジ244は、挿入動作(即ち、A軸に沿う動き)を制御するために、任意的に、ヨー、ピッチ、及びロールを含む多方向において、細長いデバイス248の遠位端256の動きを制御するために、ポイント収集器具242に連結する遠隔操作マニピュレータアセンブリ(例えば、遠隔操作マニピュレータアセンブリ102)のコンポーネントであってよい。器具キャリッジ244又は挿入ステージ246は、挿入ステージ246に沿って器具キャリッジ244の動きを制御するサーボモータのようなアクチュエータ(図示せず)を含んでよい。
【0068】
細長いデバイス248は、器具本体250に連結される。器具本体250は、器具キャリッジ244に対して連結されて固定される。幾つかの実施形態では、光ファイバ形状センサ252が、器具本体250上で近位点254に固定される。幾つかの実施形態において、光ファイバ形状センサ252の近位点254は、器具本体250と共に移動可能であるが、近位点254の場所は、(例えば、追跡センサ又は他の追跡デバイスを介して)知られることがある。形状センサ252は、近位点254から細長いデバイス248の遠位端256のような他の点までの形状を測定する。ポイント収集器具242は、医療器具システム200と実質的に類似してよい。
【0069】
器具本体250が挿入軸Aに沿って挿入ステージ246上を動くときに、位置測定デバイス258が器具本体250の位置についての情報を提供する。位置測定デバイス258は、レゾルバ、エンコーダ、ポテンシオメータ、及び/又は器具キャリッジ244の動き、結果的に、器具本体250の動きを制御するアクチュエータの回転及び/又は向きを決定する他のセンサを含んでよい。幾つかの実施形態において、挿入ステージ246は線形である。幾つかの実施形態において、挿入ステージ246は湾曲してよく、或いは湾曲区画と線形区画との組み合わせを有してもよい。
【0070】
図3Aは、器具本体250と、挿入ステージ246に沿う後退位置にある器具キャリッジ244とを示している。この後退位置において、近位点254は、軸A上の位置L
0にある。挿入ステージ246に沿うこの位置において、近位点254の場所の成分をゼロ及び/又は他の基準値(reference value)に設定して、挿入ステージ246上の器具キャリッジ244の位置、よって、近位点254の位置を記述する基準(base reference)を提供してよい。器具本体250及び器具キャリッジ244のこの後退位置を用いるならば、細長いデバイス248の遠位端256は、患者Pの入口開口部の直ぐ内側に位置付けられることがある。また、この位置において、位置測定デバイス258は、ゼロ及び/又は基準値(例えば、I=0)に設定されてよい。
図3Bにおいて、器具本体250及び器具キャリッジ244は挿入ステージ246の線形軌道に沿って前進しており、細長いデバイス248の遠位端256は患者P内に前進している。この前進位置において、近位点254は、軸A上の位置L
1にある。幾つかの例において、挿入ステージ246に沿う器具キャリッジ244の動きを制御する1以上のアクチュエータ及び/又は器具キャリッジ244及び/又は挿入ステージ246と関連付けられる1以上の位置センサからのエンコーダ及び/又は他の位置データは、位置L
0に対する近位点254の位置Lxを決定するために使用される。幾つかの例において、位置L
xは、細長いデバイス248の遠位端256が患者Pの解剖学的構造の通路に挿入される距離又は挿入深さの表示として更に使用されてよい。
【0071】
カテーテルシステムの可撓本体と共に使用される医療ツールは、カテーテルシステムによってトレースされる患者の解剖学的通路内のきついターン(turns)及び屈曲部(bends)をナビゲートするのに十分な程にフレキシブル(可撓)でなければならない。例えば、カテーテルシステムは、13mm以下の曲線半径に従うことがある。しかしながら、幾らかの医療ツールは、それらの意図された医療機能を実行するために局所的な剛性を必要とする。例えば、生検器具のような医療器具は、組織を穿刺して、緻密で硬化した組織を貫通することを可能にするために、剛的な(rigid)遠位先端部分を必要とすることがある。以下に記載するのは、曲がりくねった通路の通過を可能にするのに十分な程に柔軟であり(pliant)ながら、カテーテルの遠位端の向きと整列させられた概ね真っ直ぐな軌跡に沿ってカテーテルから延びる十分な遠位剛性(distal rigidity)を依然としてもたらす、生検器具を含む、医療ツールである。本明細書に記載する医療ツールは、カテーテルシステム202又は気管支鏡のような他の誘導システムを含む、医療器具システム200と共に使用されてよい。
【0072】
図4は、医療ツール300(例えば、医療ツール226)を例示している。 この実施形態において、医療ツール300は、生検ツールであるが、代替的な実施形態では、治療(例えば、アブレーション)ツール又は撮像ツールを含む様々な他のツールが、本明細書に記載する原理と共に使用されてよい。生検ツール300は、シース304から延出させられる生検針302を含む。生検針302及びシース304は、ユーザがシース内で及びシースに対して針を動かすことを可能にするハンドルアセンブリ306に連結される。1つの例において、生検針は、約1.75mmの外径を有するシース内に延びる、約1mmの外径を有する19ゲージの針である。他の例では、より小さい又はより大きなサイズの針がこの開示の原理と共に使用されてよい。幾つかの例では、生検針をシース304の遠位端から約3cm延出させて生検組織を取り出して(extract)よい。
【0073】
図5Aは、針302の遠位区画308を例示している。遠位区画308は、金属又は剛性ポリマを含む比較的剛的な材料から形成されてよい。この実施形態において、遠位区画308は、ステンレス鋼ハイポチューブ(hypotube)から形成される。遠位区画308は、剛性部分309(rigid portion)と、可撓部分310(flexible portion)とを含む。剛性部分309は、遠位区画308を通じて延びるチャネル313への開口312を取り囲む切断面311を含む。
【0074】
可撓部分310は、遠位区画308の壁を貫通してチャネル313まで延びるスリット314を含んで、可撓部分が曲がることを可能にする。スリット314は、可撓部分310の長手方向の長さに沿って延びる(以下に記載するような)様々な円周構成を有してよい。例えば、単一の螺旋状スリットが可撓部分の長さの周りに延在してよい。代替的には、(チャネル313を通じる中心長手軸に対する)複数の勾配付き若しくは垂直スリットを有する断続的なスリットパターン又は断続的な螺旋スリットパターンが、可撓部分310に形成されてよい。スリット314は、遠位区画308の管状体のレーザ切断によって形成されてよい。
【0075】
1つの例において、剛性部分309は、12度の角度を有するランセット点(lancet point)を有する。1つの例において、剛性部分は約5mmであってよいが、より長い又はより短い剛性部分が適することがある。1つの例において、可撓部分310の長さは、約1.2インチ(3.048mm)~1.9インチ(4.826cm)であってよいが、より長い又はより短い可撓部分が適することがある。代替的な例において、針は、剪断された組織生検サンプルを収集するために剛性部分の側壁を通じる側面開口を有してよい。
【0076】
(スリーブ318とも呼ぶ)可撓ジャケット318が、可撓部分310の周りに延在し、可撓部分310と連結させられる。ジャケットは、例えば、スリット内に延びることによって可撓部分310に接着し且つ/或いは可撓部分310とインターロックするポリマ材料で形成されてよい。可撓ジャケット318は流体を通さず、スリット314を通じる流体流に対する可撓障壁(バリア)として作用することができる。例えば、チャネル313に沿って真空を適用して、開口312を通じて組織及び体液を引き入れるならば、ジャケット318は、可撓部分310の壁を通じるチャネル313からの組織及び流体の流れを防止する。1つの例において、ジャケット318は、可撓部分310に成形されてよい薄いポリエチレンテレフタレート(PET)熱収縮材料で形成されてよい。熱収縮材料は、スリット314に流入することによって可撓部分とインターロックし、冷却されると、ジャケットを可撓部分に摩擦的に固定する。換言すれば、ジャケットが加熱されると、ジャケットはスリット内に収縮し、冷却されると、スリットにインターロックさせられる。他の例では、ポリアミド(polyamide)、ポリイミド(polyimide)、Pebax、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びポリウレタンが、ジャケット材料として使用されることがある。他の実施形態では、低デュロメータ(例えば、35D)を有するPEBAXのような熱可塑性管組織を(例えば、熱流を介して)スリット内に鋳込んでスリットを閉塞し、真空を可能にするが、曲げ(bending)を可能にするのに十分な程に可撓である。熱流の間、チャネル内への材料流を防止するために、マンドレルが針の内径において使用されてよい。
【0077】
針302は、遠位区画308の近位端に連結される可撓シャフト316も含む。1つの例において、シャフト316は、スリット内に溶融してシャフトを針302遠位区画308に機械的にロックすることによって遠位区画308に連結される、可撓ポリマで形成されてよい。他の例において、シャフトは、遠位区画308と一体的に形成されてよく、シャフトの長さに沿う複数のスリットを含んで、シャフトが撓むことを可能にしてよい。シャフト316と遠位区画308が連結される接合部315で、ジャケット318は、シャフトの一部の上に延在してよく、或いはシャフトと可撓部分310との間に挟装されてよい。剛性部分309の近位で、針302は、可撓シャフト316及び可撓部分310の故に柔軟であり、狭い解剖学的通路内のきつい屈曲部を通じる針の通過を可能にする。
【0078】
針302がカテーテル202内のきつい曲がりを通過するとき、ジャケット318は、針302がカテーテル202から遠位に前進するときに完全に真っ直ぐにならない硬化させられた湾曲した或いは恒久的に曲げられた形状を創り出すことがある。この硬化させられた湾曲は、出現する針を誘導カテーテルの遠位端の向きから離れる方向に湾曲させるように付勢することがある。生検精度は、カテーテルの遠位端の向きと整列させられた予測可能な直線の針軌跡に依存することがある。硬化させられた湾曲を創り出した針302を真っ直ぐにする(straighten)ために、スタイレット320が針302のチャネル313を通じて剛性部分309に延びてよい。剛性部分309及び可撓部分310が生検処置中にカテーテルから前進するとき、スタイレット320は、剛性部分を誘導カテーテルの遠位端の向きと整列させられた直線軌跡に向ける。スタイレットは、材料相変換によって可能とされることができる、適用される応力に対して可逆的な物理的応答をもたらす、超弾性材料で作られてよい。超弾性材料の例は、ニチノールを含む様々な形状記憶合金を含む。超弾性材料で作られたスタイレットは、曲がった形状を恒久的に保持せず、むしろ曲線を越えた後に予め確立された真っ直ぐにされた構成に戻る。スタイレットを形成するために、硬質の焼き戻されたステンレス鋼のような他のワイヤ材料が使用されてよいが、スタイレット内の恒久的な曲がりを防止するために、小径のステンレス鋼スタイレットが必要とされることがある。そのような小径のワイヤは、ニチノールワイヤよりも低い矯正力(straightening force)を有し、よって、針の遠位端を真っ直ぐにするのに有効でないことがある。スタイレット320は、組織を穿刺しながら針302を通じて延びてよく、針のチャネル内の組織の収集を可能にするために取り外されてよい。
【0079】
図5Bに例示するように、シース304は、カテーテルを通じて挿入されている間に針302の尖端(point)を損傷から保護し、誘導カテーテルチャネルの内面が針の鋭い先端によって損傷するようになるのを防ぐ。シース及び針の対がカテーテルを通じて標的解剖学的場所まで一緒に前進させられる間に、シース304は針302の尖端の周りに位置付けられる。シース304及び針302が完全に前進させられて、カテーテルの遠位端に位置付けられると、剛性部分309は、シース304及びカテーテルから標的組織に向かって遠位に延出させられる。生検後、針302はシース304内に後退させられ、針及びシースはカテーテルから引き抜かれる。
【0080】
シース304は、可撓な管形状のポリマで形成されてよい。
図6に示すように、シース304の中央チャネル334には、遠位部分の付近で、針302の尖端がシースの内面を削るか或いはシース内で他の方法で詰まるようになることを防止するガード部材322が取り付けられてよい。それは、さもなければ可撓なシースに、針がシースの遠位先端を越えて前進するときに針を直線軌跡において誘導するのに役立つより剛的な部分(stiffer portion)を提供することもできる。ガード部材322は、ステンレス鋼又は透視画像上で可視化されることがある他の種類の放射線不透過性材料で形成されてよい。代替的な実施形態では、ガード部材322を省略されてよく、シース304の遠位端は、放射線不透過性を追加的にもたらす硫酸バリウムが埋め込まれたガラス繊維強化プラスチックのような、剛性(stiffness)をもたらす硬化プラスチックで形成されてよい。
【0081】
きつい屈曲部を越えるとき、針302の外面とシース304の内面との間に多量の摩擦が創り出されることがあり、それらはシースに対する針の動きを妨げるか或いは制限する。
図5Bを再び参照すると、針の外面とシースの内面との間で接触する表面積を最小限に抑え、それにより、摩擦を減少させるために、(「表面不連続性324」とも呼ぶ)表面構成324が針302の外面に形成されてよい。
図5B及び
図5Cの例において、表面構成324は、シャフト316の外面に形成された長手方向リブである。これらの例において、表面構成324を形成する長手方向リブは、針302を通じる長手方向軸Aと概ね平行に延びている。隆起部とスパイク状突起を含む摩擦を減少させるために、他の種類の表面不連続性が使用されてよい。表面不連続性は、針のシャフトの上に又は針の上に嵌るスリーブの上に一体的に形成されてよい。スリーブは、ポリマで形成されてよく、スリーブは、スリーブポリマがスリット314に流入してスリット内で冷却ポリマの機械的結合を形成するようにスリーブを加熱することによって、針に連結されてよい。よって、スリーブは、スリットを通じる流体の流れを防止する障壁としても作用する。様々な例において、ジャケット318は、スリーブによって結合されてシールされたスリット314の長さから除去されてよい。スリーブは、摩擦を減少させ、放射線不透過特性をもたらす、様々な材料から形成されてよい。1つの例において、スリーブは、ポリミド12(polymide 12)及び硫酸バリウムのようなポリマ混合物から形成されてよい。代替的な例において、針302の表面は、滑らかであってよく、シースの内面は、シースと針との間の摩擦を防止する表面不連続性を備えて形成されてよい。
【0082】
図7Aは、剛性部分309と実質的に類似する剛性部分309Aと、スリットパターン350を含む可撓部分310Aとを備える、生検ツールの遠位端の側面図である。この例において、剛性部分309Aは、ハイポチューブの片側から傾けられたランセット点を有する。この例において、スリットパターン350は、断続的な螺旋パターンである。連続的な螺旋パターンは、針がきつい屈曲部を進むときに、変形可能な伸長又は曲げを可能にすることがあるが、断続的な螺旋パターンは、線形の変形及び伸長を制限しながら、曲げの可撓性(flexibility)を創り出す。螺旋パターンの角度は、所望の可撓性をもたらすよう変化してよい。例えば、スリットパターンは、回転毎に約2.5カット(cuts)を有してよく、約0.006インチの僅かなピッチを備える24°の非カット(uncut)及び120°のカット(cut)を備える。
【0083】
図7Bは、剛性部分309と実質的に類似する剛性部分309Bと、スリットパターン360を含む可撓部分310Bとを備える、生検ツールの遠位端の側面図である。この例において、スリットパターン360は、隣接するスリットが90°の回転で交互に起こる、垂直なスリットパターンである。各スリットは、針の長手軸に対して略垂直である。スリットパターンの間隔は、所望の可撓性をもたらすよう異なってよい。
【0084】
図8は、湾曲した遠位端361と、生検ツール359を通じる中心線A1に沿って中心化される遠位尖端362とを備える、生検ツール359の遠位端の側面図である。湾曲した遠位端361及び遠位尖端362は、生検ツール359の剛性部分363の部分である。前進させられるときに、ツールを傾斜エッジから離れる方向に湾曲させる傾向を有するランセット点と比較して、針の中心線A1に沿って遠位尖端362を配置することは、針を組織を通じる直線軌跡において前進させる。生検ツールの剛性部分363は、上述の可撓なスリット付き部分のいずれかと同一又は類似であってよい可撓部分364に連結される。湾曲してシース壁に潜り込むことがある、シースの部分を患者内に移動させることがある、或いは組織を貫通する際に損傷させられて効果がなくなることがあるランセットスタイルの針と比較して、中心化された尖端を備える生検ツール359は、特にきつい湾曲部を進むときにシースの内壁に引っ掛かる可能性を減少させる。
【0085】
図9は、ツール制御デバイス228の一例であるハンドルアセンブリ306を例示している。ハンドルアセンブリ306は、中空シャフト372に摺動的に連結されるハンドル本体370を含む。中空シャフト372は、針ストップ374を通じて延び、ハブ376に固定的に連結される。ハブ376は、コネクタアセンブリ378に摺動的に連結される。
図10Aに示すように、針302の近位端は、金属ハイポチューブであってよいチューブ309に連結される。チューブ309は、中空シャフト372を通じて延び、ハンドル本体370内に固定される。1つの例において、チューブは、プラスチックオーバーモールドによってハンドル本体370に連結される。シース304の近位端は、中空シャフト372の遠位端に連結される。カテーテルポート380(例えば、ポート233)が、コネクタアセンブリ378の遠位端に連結される。カテーテルポート380は、カテーテルシステム202の作動チャネル221と連通してよい。
【0086】
ハンドル本体370内への及びハンドル本体370からの中空シャフト372のスライド移動は、針ストップ374によって制限されることがある。シャフト372に沿う複数の停止位置マークが、英数字式の又は図式的なマーキング392で印されている。
図10Bに示すように、離間したラチェット歯384が、シャフト372の外側底壁に沿って配置される。針ストップキー394が、ラチェット歯384を介して針ストップ374をシャフト372にロックする。針ストップキー394を押し下げることによって、針ストップキーはラチェット歯384から離れ、針ストップ374がシャフト372に沿って他のラチェット位置に長手方向にスライドさせられることを可能にする。再位置決め後、針ストップキー394は解放されてよく、針ストップ374はシャフト372に沿う異なる長手方向場所にロックされる。次に、ハンドル本体370の遠位端が針ストップの近位端に当接するまで、ハンドル本体370をシャフト372に沿ってスライドさせることができる。ハンドル本体370はシャフト372に対して移動するとき、ハンドル本体370に固定される針302は、シャフト372に固定されるシース304に対して移動する。針ストップ374の開口395を通じて見えるマーキング392は、ハンドル本体370が針ストップ374に当接するときの針302の挿入深さを示す。
【0087】
ハブ376に対するコネクタアセンブリ378の長手方向位置は、コネクタアセンブリ378内のトラック397と係合する蝶ネジのようなコネクタ396によって制御される。コネクタアセンブリ378の遠位端は、カテーテルポート380に係合し且つ解放する迅速接続キー398を含む。よって、ハブ376に対するカテーテルポート380の位置は、コネクタアセンブリ378をスライドさせて、コネクタアセンブリ378をハブ376に対して再位置決めすることによって、調整されることがある。ハブ376に対するコネクタアセンブリ378の位置は、蝶ネジをトラック397に係合させることによってロックされてよい。
【0088】
図11は、医療ツール300を使用する方法400を例示している。方法は、一連の操作又はプロセス403~410として
図11に例示されている。例示するプロセス403~410の全てが方法400の全ての実施形態において実行されるわけではない。加えて、
図11に明示的に例示されていない1以上のプロセスが、プロセス403~410の前、後、又は間に、或いはプロセス403~410の一部として含められてよい。幾つかの実施形態では、プロセス403~410のうちの1以上は任意的であり、省略されてよい。
【0089】
プロセス403で、針302、シース304、及びスタイレット320が、標的組織領域に向かって誘導システム(例えば、カテーテルシステム202又は気管支鏡)を通じて前進させられてよい。針302の尖った遠位先端は、前進中にシース304によって覆われる。プロセス404で、針302、シース304、及びスタイレット320が誘導システムの遠位端に達した後、針及びシースアセンブリが前進して解剖学的通路の壁に衝突すると、更なる挿入力は尖った針を前進させ続けて壁を穿刺させる。鈍らなシースは壁を穿刺しないので、針はシースの遠位端を越えて前進する。代替的に、シース304は、針及びスタイレットが前進させられる前に、尖った遠位先端から引き抜かれてよい。スタイレット320は、誘導システムの遠位端の向きと針軌跡との整列を維持するのを助ける。プロセス406で、スタイレット320が針302から取り外される。任意的に、針に真空を適用して、組織及び流体を針302に押し込む。針は針の壁にスリットを含んで、針の可撓な曲げを可能にするが、スリットはジャケット318によって封止され、ジャケットは針内の真空を維持する。プロセス408で、針302及びシース304は、カテーテルから取り外され、針の生検内容物が除去される。任意的に、同じ向き又は異なる向きにあるカテーテルを用いて、プロセス403~410を繰り返して、標的組織領域から複数の生検サンプルを得てよい。
【0090】
図12Aは、ツール制御デバイス228の一例であるハンドルアセンブリ500を例示している。
図12Aは、ハンドルアセンブリ500の延出構成を例示しており、
図12Bは、格納構成を例示している。ハンドルアセンブリ500は、中空シャフト504に摺動的に連結されたハンドル本体502を含む。中空シャフト504は、針ストップ506を通じて延出し、ハブ508に固定的に連結される。ハブ508は、コネクタアセンブリ510に摺動的に連結される。生検針302の近位端は、金属ハイポチューブであってよいチューブ(図示せず)に連結される。チューブは、中空シャフト504を通じて延び、ハンドル本体502に固定される。1つの例において、チューブは、プラスチックオーバーモールドによってハンドル本体502に連結される。シース304の近位端は、中空シャフト504の遠位端に連結される。カテーテルがコネクタアセンブリ510の遠位端に連結されてよい。
【0091】
ハンドル本体502内への並びにハンドル本体502からの中空シャフト504のスライド移動は、針ストップ506によって制限されてよい。シャフト504に沿う複数の停止位置マーキング512が、英数字式の又は図式的なマーキングで印される。離間したラチェット歯514が、シャフト504の外側底壁に沿って配置される。針ストップキー516は、ラチェット歯514と相互作用することによって、針ストップ506をシャフト504にロックする。針ストップキー516を押し下げることによって、キーがラチェット歯514から離れて、針ストップ506がシャフト504に沿って他のラチェット位置に長手方向にスライドさせられることを可能にする。再位置決め後、針ストップキー516は解放されてよく、針ストップ506はシャフト504に沿う異なる長手方向場所にロックされる。ハンドル本体502の遠位端が針ストップの近位端と当接するまで、ハンドル本体502をシャフト504に沿ってスライドさせることができる(シャフト504はスライドしてハンドル本体502内に入る)。ハンドル本体502がシャフト504に対して移動すると、ハンドル本体502に固定される針302は、シャフト504に固定されるシース304に対して移動する。針ストップ506にある開口518を通じて見えるマーキング512は、ハンドル本体502が針ストップ506に当接するときの針302の挿入の深さを示す。この実施形態において、開口518は、針ストップキー516とハブ508との間で、針ストップ506の遠位部分内にある。
【0092】
ハブ508に対するコネクタアセンブリ510の長手方向位置は、コネクタアセンブリ内のトラック522と係合する、蝶ネジのようなコネクタ520によって制御される。コネクタアセンブリ510の遠位端は、カテーテルと係合し且つカテーテルを解放するコネクタキー524を含む。キー516,524の更なる記述は、
図14及び
図15A~
図15Cを用いて以下に提供される。よって、ハブ508に対するカテーテルの位置は、コネクタアセンブリ510をスライドさせて、コネクタアセンブリ510をハブ508に対して再位置決めすることによって調整されることがある。ハブ508に対するコネクタアセンブリ510の位置は、コネクタ520をトラック522に対して係合することによってロックされてよい。
【0093】
1つの例示的な実施形態では、ハンドルアセンブリ500を使用して、以下のような生検処置を行ってよい。カテーテル(例えば、
図13を参照)をコネクタアセンブリ510に連結する。コネクタ520がトラック522からロック解除された状態で、ハンドル本体502、シャフト504、及びハブ508を、コネクタ本体及びカテーテルに対して、ユニットとして遠位方向に前進させて、シースの遠位端を患者の解剖学的構造内に位置付けてよい。シース304、生検針302、及びスタイレット(例えば、スタイレット320)を、ハンドル本体502と共にアセンブリとして前進させる。シース304を位置決めした後、トラック522と摩擦係合することによって、コネクタ520を締め付けてよい。ハンドル本体502からスタイレットハンドル526を引っ張ることによって、スタイレットを取り外してよい。所望の挿入距離が開口518内に示されるまで針ストップ506をシャフト504に沿って移動させることによって生検を行ってよい。針302をシースから前進させるために、ハンドル本体502及び針302を遠位に押して針ストップ506に当接させてよい。真空を適用して組織を捕捉し、針302を取り外してよい。
【0094】
図13に示すように、ハンドルアセンブリ500は、カテーテルポート552(例えば、ポート233)でカテーテルハウジング550に接続することができる1つの種類の医療ツールである。カテーテルポート552は、溝551と、コネクタキー524をポート552に連結するフランジ553とを含む。カテーテルハウジング550は、カテーテル554の近位端に連結される。カテーテル554は、器具アダプタ556及び器具キャリッジ558(例えば、キャリッジ244)を通じて延びる。器具キャリッジ558は、遠隔操作マニピュレータの一部であってよい挿入ステージ560(例えば、挿入ステージ246)に沿って移動する。例えば、画像キャプチャプローブ562又はアブレーション器具を含む、他の種類の医療ツールが、カテーテル554にアクセスするために、カテーテルポート552に接続されてよい(例えば、カテーテル554の内腔内に受け入れられてよい)。画像キャプチャプローブ562は、動力、画像データ、指令信号、又は同等物を運ぶケーブル564によって、キャリッジ558に通信的に連結されてよい。画像キャプチャプローブ562は、キャリッジ558を通じて、洗浄流体を導管566を介してプローブ562に運ぶ流体源に連結されてもよい。
【0095】
図14は、コネクタキー524とコネクタハウジング570とを含むコネクタアセンブリ510の断面図を例示している。
図15Aは、コネクタキー524をより詳細に例示している。コネクタキー524は、リンク部分574に連結された丸い中央部材572を含む。湾曲したアーム576が頂端でリンク部分574に連結されるので、アーム576は中央部材572の周りで湾曲する。各アーム576の底端は、拡張部分577を含む。リンク部分574は、ユーザの指から下向きの力Fを受けるように湾曲させられた指グリップ面578を含む。丸い中央部材572は、チャネル580を定める。突起582が中央部材572からチャネル580内に延びる。コネクタハウジング570は、中央部材572とアーム576との間に、中央部材572の反対側に延びる一対のガイド584を含む。コネクタは、中央通路571も含む。ガイドは、力Fとは反対の方向におけるアーム576の拡張部分577の動きを制限するストップ部材585を含む。
図15Bに示すように、コネクタキー524に加えられる力がないならば、突起582は中央通路571内に延びる。ポート552が中央通路571内に延びると、突起582は溝551内に突出して、コネクタアセンブリ510をポート552にロックする。
図15Cに示すように、力Fがコネクタキー524に加えられると、アーム576は、中央部材572離れる方向に、弾性的に外向きに曲がり、突起582は中央通路571から凹まされる。アーム576の動きは、ガイド584及びストップ部材585によって方向付けられる。中央通路571から凹まされる突起582は、溝551からも取り除かれることになり、よって、ポート552がコネクタアセンブリ510から切り離されるようになることを可能にする。力Fが取り除かれると、アーム576は、中央部材572に向かって内向きに動くように付勢される。キー524がハウジング570から取り外されるようになるのを防止するために、ストップ部材585は、力Fとは反対の方向におけるアーム576の拡張部分577の移動を制限する。1つの例において、コネクタアセンブリ510は、カテーテル554にアクセスするために、医療ツール(例えば、生検ツール300、画像キャプチャプローブ、又はアブレーション器具)をカテーテルポート552に接続するように構成されるアダプタ(図示せず)上に含められることができる。
【0096】
図16は、針の壁603にある不規則な渦巻状の(spiral)又は螺旋状の(helical)断続的なスリットパターン602を有する生検針の円筒形区画600を例示している。スリットパターンをより良く描写するために、円筒形区画600は、壁603に沿って延びる軸604に沿う長手方向で断面にされてよい。
図17は、スリットパターン612を例示するために、
図16に示すように長手方向で断面にされた或いは「切断」された生検針の円筒形の壁区画610を例示している。
図17に示すように、壁区画610を平面形態図に「展開」して、スリットパターン612を例示している。スリットパターン612は、パターンが壁各区の近位端から遠位端に向かって進行するに応じて進行的(progressively)に変化する少なくとも1つの物理的パラメータを有する。この変化する物理的パラメータは、円筒形区画の可撓性を壁区画の近位端から遠位端に変化させる。例えば、
図19の壁区画614の拡大図に示すように、物理的パラメータは、スリット長であってよい。壁区画614の近位端から遠位端に可撓性を減少させるために、スリットS1は、スリットS4よりも大きい長さを有するスリットS3よりも大きい長さを有するスリットS2よりも大きい長さを有する。近位端でより長いスリットは、より大きな可撓性をもたらし、遠位端でより短いスリットは、比較的より大きな剛性をもたらす。他の例として、
図19の壁区画614の拡大図に示すように、物理的パラメータは、連続したスリットの端の間の架橋壁材料のブリッジ長であってよい。壁区画614の近位端から遠位端に可撓性を減少させるために、ブリッジB1は、ブリッジB4よりも短い長さを有するブリッジB3よりも短い長さを有するブリッジB2よりも短い長さを有する。近位端でより短いブリッジ長は、より大きな可撓性をもたらし、遠位端でより長いブリッジ長は、比較的より大きな剛性をもたらす。他の例として、
図19の壁区画614の拡大図に示すように、物理的パラメータは、長手方向軸に対するスリットの角度であってよい。壁区画614の近位端から遠位端に可撓性を減少させるために、スリットS1は、スリットS3の角度(例えば78°)よりも大きいスリットS2の角度(例えば、79°)よりも大きい角度(例えば、80°)で切断される。近位端でより大きなスリット角は、より大きな可撓性をもたらし、遠位端でより小さいスリット角は、比較的より大きな剛性をもたらす。1つよりも多くの物理的パラメータを針区画において変更して、可撓性における所要のグラデーションをもたらしてよい。区画の可撓性を変更するために進行的に変更されてよい他の物理的パラメータは、スリットパターンのピッチ、スリットの幅、及び螺旋パターンの角度を含む。滑らかな螺旋曲線を提供するために、スリットパターンにおけるスリットは、進行的に変化してよい曲線上で切断されてよい。
図18は、螺旋回転の各サイクルが区画の近位端から区画の遠位端に進行的に増加させられる、湾曲したスリットパターン622を有する壁区画620を例示している。
【0097】
図20aは、生検ツールの剛性遠位部分650(例えば、剛性部分309)の側面図を例示している。剛性遠位部分650は、遠位切断区画652と、シャフト部分654とを含む。シャフト部分654は、円形の断面を有し、切断区画652は、平坦で角度付けられた壁656によって創り出された長円形又は楕円形の断面を有する。切断区画652は、切断面658を含む。シャフト部分654の円形容積は、大量の組織を収容する大容積の内腔を提供する。切断区画652の楕円形又は長円形の断面は、遠位部分650が通されることがあるシース(例えば、シース304)の内腔の内壁への損傷を最小限に抑えながら、組織を穿刺する鋭利な尖端を維持することがある。
【0098】
図21及び
図22は、細長い管状部材674と、ガード部材672とを含む、針シース670(例えば、シース304)を例示している。細長い管状部材674は、チャネル676を定める壁を含む。ガード部材672は、ヘッド部分678と、テーパ状部分680と、管状本体部分682とを含む。本体部分682は、チャネル676内に嵌合するような大きさとされ、本体部分682又はチャネル676にある歯、本体部分及びチャネルの両方にあるインターロックする歯、摩擦、及び/又は接着剤によって固定されてよい。テーパ状部分680も、チャネル676内に嵌合してよい。ヘッド部分678は、管状部材674の遠位先端の遠位に延びてよい。ヘッド部分は、テーパ状になっていてよく、組織損傷を防ぐために丸いエッジを有してよい。管状部材674は、シースがカテーテル内で容易にスライドするのを可能にするために潤滑材料と混合されてよいペバックス(登録商標)のような可撓材料で形成されてよい。ガード部材672は、管状部材674よりも剛的な材料で作られてよい。適切な材料は、生検針の尖端による損傷に抗する金属又は硬化プラスチックを含んでよい。管状部材又はガード部材は、患者の解剖学的構造内での生検針の動きを誘導する放射線不透過性マーカを含んでよい。
【0099】
シース670は、シース670の遠位端のより大きな曲げ及び操縦性(navigability)を可能にするよう、遠位傾斜(distal dip)を伴って輪郭付けられてよい。1つの実施形態において、管状部材674は、近位壁厚T1と、中間壁厚T2と、遠位壁厚T3とを有してよい。ガード部材672は、最大壁厚T4を有してよい。狭くされた又は砂時計形状をシースにもたらすように、壁厚T1、T3、及びT4は、壁圧T2よりも大きい。代替的な実施形態において、壁厚T1及びT4は、壁厚T2よりも大きく、壁厚T3は、壁厚T2よりも大きくてよく、同じでよく、或いは小さくてよい。
【0100】
本発明の実施形態における1以上の要素(例えば、入力制御装置及び/又は可撓カテーテルの制御から受信される信号の処理)は、制御システム112のような、コンピュータシステムのプロセッサ上で実行するよう、ソフトウェアにおいて実装されてよい。ソフトウェアにおいて実装されるとき、本発明の実施形態の要素は、本質的に、必要なタスクを実行するコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントを、光媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を格納することができる任意の媒体を含む、非一時的な機械可読記憶媒体に格納することができる。機械可読記憶媒体の例は、電子回路、半導体デバイス、半導体メモリデバイス、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の記憶デバイスを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのような、コンピュータネットワークを介してダウンロードされてよい。本明細書に記載するとき、データポイントをアクセスすること、検出すること、開始すること、登録すること、表示すること、受信すること、生成すること、決定すること、移動すること、セグメント化すること、マッチングさせることなどの操作は、少なくとも部分的に、制御システム112又はそのプロセッサによって実行されてよい。
【0101】
提示したプロセス及びディスプレイは、本質的に、如何なる特定のコンピュータ又は他の装置にも関連しない場合があることに留意のこと。様々なこれらのシステムのために必要とされる構造は、請求項中に要素として現れる。加えて、本発明の実施形態は、如何なる特定のプログラミング言語を参照しても記載されていない。本明細書に記載するような本発明の教示を実施するために様々なプログラミング言語が使用されてよいことが理解されるであろう。
【0102】
本発明の特定の例示的な実施形態を添付の図面に記載し且つ示すが、そのような実施形態は例示的であるに過ぎず、広義の発明を限定するものでないこと、並びに、本発明の実施形態は、図示し且つ記載する特定の構造及び構成に限定されないことが理解されるべきである。何故ならば、様々な他の修正が当業者の心に思い浮かぶことがあるからである。
【外国語明細書】