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特開2023-76728低減されたクロストークを有する流体吐出デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076728
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】低減されたクロストークを有する流体吐出デバイス
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/14 501
B41J2/14 613
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062693
(22)【出願日】2023-04-07
(62)【分割の表示】P 2021104762の分割
【原出願日】2016-04-13
(31)【優先権主張番号】14/695,525
(32)【優先日】2015-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502122794
【氏名又は名称】フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ メンゼル
(72)【発明者】
【氏名】ケビン フォン エッセン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エイチ. バース
(72)【発明者】
【氏名】マッツ ジー. オットソン
(72)【発明者】
【氏名】ダレン イマイ
(57)【要約】
【課題】 各流体吐出器から吐出される流体の液滴サイズおよび速度を安定化させ、精密かつ正確な印刷を可能にすること。
【解決手段】 流体吐出装置は、複数の流体吐出器を含む。各流体吐出器は、圧送チャンバと、流体を圧送チャンバから吐出させるように構成される、アクチュエータとを含む。流体吐出装置は、各圧送チャンバに流体接続される、給送チャネルと、給送チャネルの表面内に形成される、少なくとも1つのコンプライアント構造とを含む。少なくとも1つのコンプライアント構造は、給送チャネルの表面より低いコンプライアンスを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出装置であって、
複数の流体吐出器であって、各流体吐出器は、
圧送チャンバと、
流体を前記圧送チャンバから吐出させるように構成される、アクチュエータと、
ノズルと、
を備える、流体吐出器と、
各圧送チャンバに流体接続される、給送チャネルと、
前記給送チャネルの表面内に形成される、少なくとも1つのコンプライアント構造であって、前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、前記給送チャネルの表面よりコンプライアントである、少なくとも1つのコンプライアント構造と、
を備え、
前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、
前記給送チャネルの表面の下に形成される陥凹と、
前記陥凹と前記給送チャネルとの間に配置される膜と、
を備え、
前記膜は、前記陥凹を前記給送チャネルからシールするよう構成されており、
前記陥凹は、該陥凹と基板の底面内の開口部との間の流体結合を介して外部大気にベントされるよう構成されている、
流体吐出装置。
【請求項2】
各流体吐出器が、ノズル層内に形成されるノズルを含む、請求項1に記載の流体吐出装置。
【請求項3】
前記陥凹は、前記ノズル層内に形成される、請求項2に記載の流体吐出装置。
【請求項4】
前記ノズル層がシリコンであり、前記膜がシリコンである、請求項2に記載の流体吐出装置。
【請求項5】
各流体吐出器がアクチュエータとノズルを含み、前記アクチュエータの作動が液体を対応するノズルから射出するよう構成されている、請求項1に記載の流体吐出装置。
【請求項6】
前記アクチュエータの作動が前記給送チャネル内の流体圧力を変化させ、前記少なくとも1つのコンプライアント構造が前記給送チャネル内の流体圧力の前記変化を少なくとも部分的に減衰させるよう構成されている、請求項5に記載の流体吐出装置。
【請求項7】
前記陥凹が複数の陥凹である、請求項1に記載の流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体吐出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの流体吐出デバイスでは、流体液滴が、1つまたはそれを上回るノズルから媒体上に吐出される。ノズルは、流体圧送チャンバを含む、流体路に流体接続される。流体圧送チャンバは、流体液滴の吐出を生じさせる、アクチュエータによって作動されることができる。媒体は、流体吐出デバイスに対して移動されることができる。特定のノズルからの流体液滴の吐出は、媒体の移動に伴って計時され、流体液滴を媒体上の所望の場所に留置させる。均一サイズおよび速度の同一方向における流体液滴の吐出は、媒体上への流体液滴の均一堆積を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
流体吐出器のアクチュエータがアクティブ化されると、圧力変動は、圧送チャンバから接続される入口および出口給送チャネルの中に伝搬し得る。本圧力変動は、同一入口または出口給送チャネルに接続される他の流体吐出器の中に伝搬し得る。本流体クロストークは、印刷品質に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
圧力変動の伝搬を緩和するために、コンプライアント微小構造が、入口給送チャネル、出口給送チャネル、または両方の1つもしくはそれを上回る表面内に形成されることができる。給送チャネル内のコンプライアント微小構造の存在は、給送チャネルの表面において利用可能なコンプライアンスを増加させ、その給送チャネル内で生じる圧力変動を減衰させる。いくつかの実施例では、コンプライアント微小構造は、給送チャネルの底部表面内に形成される陥凹を含む。膜が、陥凹を被覆し、給送チャネル内の圧力の増加に応答して、陥凹の中に偏向し、したがって、圧力変動を減衰させる。いくつかの実施例では、コンプライアント微小構造は、給送チャネルの底部表面内に形成されるノズル状構造を含む。給送チャネル内の圧力が増加すると、各ノズル状構造の外向きに面する開口部におけるメニスカスが、圧力変動を減衰させることができる。そのようなコンプライアント微小構造の存在は、したがって、同一入口または出口給送チャネルに接続される流体吐出器間の流体クロストークを低減させ、したがって、各流体吐出器から吐出される流体の液滴サイズおよび速度を安定化させ、精密かつ正確な印刷を可能にすることができる。
【0005】
一般的側面では、流体吐出装置は、複数の流体吐出器を含む。各流体吐出器は、圧送チャンバと、流体を圧送チャンバから吐出させるように構成される、アクチュエータとを含む。流体吐出装置は、各圧送チャンバに流体接続される、給送チャネルと、給送チャネルの表面内に形成される、少なくとも1つのコンプライアント構造とを含む。少なくとも1つのコンプライアント構造は、給送チャネルの表面より低いコンプライアンスを有する。
【0006】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。
【0007】
少なくとも1つのコンプライアント構造は、給送チャネルの表面内に形成される複数の陥凹と、陥凹にわたって配置される膜とを備える。ある場合には、膜は、陥凹をシールする。ある場合には、各陥凹の深度は、給送チャネルの表面の厚さ未満である。ある場合には、膜は、給送チャネル内の流体圧力の増加に応答して、陥凹の中に偏向するように構成される。ある場合には、陥凹は、給送チャネルの底部壁または上部壁のうちの1つもしくはそれを上回るもの内に形成される。ある場合には、陥凹は、給送チャネルの側壁内に形成される。
【0008】
少なくとも1つのコンプライアント構造は、給送チャネルの表面内に形成される1つまたはそれを上回るダミーノズルを備える。ある場合には、各ダミーノズルは、表面の内部表面上の第1の開口部と、表面の外部表面上の第2の開口部とを含む。ある場合には、凸面メニスカスが、給送チャネル内の流体圧力の増加に応答して、第2の開口部に形成される。ある場合には、各流体吐出器は、ノズル層内に形成されるノズルを含み、ダミーノズルは、ノズル層内に形成される。ある場合には、ダミーノズルは、ノズルと実質的に同一サイズである。
【0009】
各流体吐出器は、ノズル層内に形成されるノズルを含み、ノズル層は、給送チャネルの表面を構成する。
【0010】
各流体吐出器は、アクチュエータと、ノズルとを含み、アクチュエータのうちの1つの作動は、流体を対応するノズルから吐出させる。ある場合には、アクチュエータのうちの1つの作動は、給送チャネル内の流体圧力の変化を生じさせ、少なくとも1つのコンプライアント構造は、少なくとも部分的に、給送チャネル内の流体圧力の変化を減衰させるように構成される。
【0011】
一般的側面では、方法は、複数のノズルをノズル層内に形成するステップと、少なくとも1つのコンプライアント構造をノズル層内に形成するステップであって、少なくとも1つのコンプライアント構造は、ノズル層より低いコンプライアンスを有する、ステップと、ノズル層を複数の流体吐出器を備える基板に取り付けるステップであって、各流体吐出器は、圧送チャンバと、流体を圧送チャンバから吐出させるように構成される、アクチュエータとを備える、ステップとを含む。
【0012】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。
【0013】
少なくとも1つのコンプライアント構造をノズル層内に形成するステップは、複数の陥凹をノズル層内に形成するステップと、膜を陥凹にわたって配置するステップとを含む。ある場合には、膜を陥凹にわたって配置するステップは、膜層をノズル層の上部表面にわたって堆積するステップと、各ノズルにわたる膜層の一部を除去するステップとを含む。
【0014】
複数のノズルを形成するステップは、複数のノズルを第1の層内に形成するステップを含み、少なくとも1つのコンプライアント構造を形成するステップは、少なくとも1つのコンプライアント構造を第2の層内に形成するステップと、第1の層を第2の層に取り付けるステップとを含む。
【0015】
少なくとも1つのコンプライアント構造をノズル層内に形成するステップは、少なくとも1つのコンプライアント構造を第1の層内に形成するステップと、第1の層をその中に形成される複数のノズルを有する第2の層に取り付けるステップであって、第1の層および第2の層はともに、ノズル層を形成する、ステップとを含む。
【0016】
少なくとも1つのコンプライアント構造をノズル層内に形成するステップは、1つまたはそれを上回るダミーノズルをノズル層内に形成するステップを含む。
【0017】
一般的側面では、方法は、流体吐出装置内の流体吐出器を作動させるステップを含む。流体吐出器の作動は、流体吐出器に流体接続される給送チャネル内の流体圧力の変化を生じさせる。本方法は、給送チャネル内の流体圧力の変化に応答して、膜を給送チャネルの表面内に形成される陥凹の中に偏向させるステップを含む。
【0018】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。
【0019】
膜を陥凹の中に偏向させるステップは、膜を逆偏向させるステップを含む。
【0020】
本明細書に説明されるアプローチは、以下の利点のうちの1つまたはそれを上回るものを有することができる。給送チャネルの表面内の陥凹またはダミーノズル等のコンプライアント微小構造の存在は、その給送チャネルに流体接続される流体吐出器間の流体クロストークを緩和することができる。例えば、コンプライアント微小構造は、給送チャネルの表面において利用可能なコンプライアンスを増加させ、したがって、流体吐出器内のアクチュエータの作動によって生じた圧力変動からのエネルギーが減衰されることを可能にすることができる。その結果、その給送チャネルに接続される他の流体吐出器に及ぶ圧力変動の影響は、低減されることができる。印刷ヘッド内の流体吐出器間の流体クロストークを低減させることによって、流体吐出器から吐出される流体の液滴サイズおよび速度は、安定化され、したがって、精密かつ正確な印刷を可能にすることができる。
【0021】
1つまたはそれを上回る実施形態の詳細が、付随の図面および以下の説明に記載される。他の特徴、側面、および利点は、説明、図面、ならびに請求項から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、印刷ヘッドの横断面図である。
図2図2は、印刷ヘッドの一部の横断面図である。
図3図3は、流体吐出器の横断面図である。
図4A図4Aは、図2における線B-Bに沿って得られた印刷ヘッドの一部の横断面図である。
図4B図4Bは、図2における線C-Cに沿って得られた印刷ヘッドの一部の横断面図である。
図5A図5Aは、陥凹を伴う給送チャネルの上面図である。
図5B図5Bは、陥凹を伴う給送チャネルの側面図である。
図6A図6Aは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図6B図6Bは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図6C図6Cは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図6D図DCは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図6E図6Eは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図6F図6Fは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図7図7は、フロー図である。
図8A図8Aは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図8B図8Bは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図8C図8Cは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図8D図8Dは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図8E図8Eは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図8F図8Fは、陥凹を有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
図9図9は、フロー図である。
図10図10は、側壁コンプライアント微小構造を有する流体吐出器の横断面図である。
図11図11は、ダミーノズルを伴う給送チャネルの側面図である。
図12図12は、ダミーノズルを有する流体吐出器を加工するためのアプローチの略図である。
【0023】
種々の図面における同一参照番号および記号は、同一要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、印刷ヘッド100が、インク、生物学的液体、ポリマー、電子構成要素を形成するための液体、または他のタイプの流体等の流体の液滴を表面上に吐出するために使用されることができる。印刷ヘッド100は、例えば、上側分割器530および下側分割器440によって、流体供給チャンバ432および流体帰還チャンバ436に分割される、内部容積を伴う、ケーシング410を含む。
【0025】
流体供給チャンバ432および流体帰還チャンバ436の底部は、インタポーザアセンブリの上部表面によって画定される。インタポーザアセンブリは、接合、摩擦、または別の取付機構等によって、下側印刷ヘッドケーシング410に取り付けられることができる。インタポーザアセンブリは、上側インタポーザ420と、上側インタポーザ420と基板110との間に位置付けられる、下側インタポーザ430とを含むことができる。
【0026】
上側インタポーザ420は、流体供給入口422と、流体帰還出口428とを含む。例えば、流体供給入口422および流体帰還出口428は、上側インタポーザ420内の開口として形成されることができる。流路474は、上側インタポーザ420、下側インタポーザ430、および基板110内に形成される。流体は、流路474に沿って、供給チャンバ432から流体供給入口422の中に、そして、印刷ヘッド100からの吐出のための1つまたはそれを上回る流体吐出デバイス(以下により詳細に説明される)に流動することができる。流体はまた、流路474に沿って、1つまたはそれを上回る流体吐出デバイスから流体帰還出口428の中に、そして、帰還チャンバ436の中に流動することができる。図1では、単一流路474が、例証目的のために、直線通路として示される。しかしながら、印刷ヘッド100は、複数の流路474を含むことができ、流路474は、必ずしも、直線ではない。
【0027】
図2および3を参照すると、基板110は、シリコン基板等のモノリシック半導体本体であることができる。基板110を通る通路は、基板110を通る流体のための流路を画定する。特に、基板入口12は、流体を供給チャンバ432から受容し、膜66(以下により詳細に議論される)を通して延在し、流体を1つまたはそれを上回る入口給送チャネル14に供給する。各入口給送チャネル14は、対応する入口通路(図示せず)を通して、流体を複数の流体吐出器150に供給する。便宜上、1つのみの流体吐出器150が、図2および3に示される。各流体吐出器は、基板110の底部表面上に配置されるノズル層11内に形成される、ノズル22を含む。いくつかの実施例では、ノズル層11は、基板110の一体部分である。いくつかの実施例では、ノズル層11は、基板110の表面上に堆積される、層である。流体は、流体吐出器150のうちの1つまたはそれを上回るもののノズル22から選択的に吐出され、表面上に印刷することができる。
【0028】
流体は、各流体吐出器150を通して吐出器流路475に沿って流動する。吐出器流路475は、圧送チャンバ入口通路17と、圧送チャンバ18と、ディセンダ20と、出口通路26とを含むことができる。圧送チャンバ入口通路17は、圧送チャンバ18を入口給送チャネル14に流体接続し、例えば、アセンダ16と、圧送チャンバ入口15とを含むことができる。ディセンダ20は、対応するノズル22に流体接続される。出口通路26は、ディセンダ20を、基板出口(図示せず)を通して帰還チャンバ436と流体接続する、出口給送チャネル28に接続する。
【0029】
図2および3の実施例では、基板入口12、入口給送チャネル14、ならびに出口給送チャネル28等の通路は、共通平面に示される。いくつかの実施例では(例えば、図3Aおよび3Bの実施例では)、基板入口12、入口給送チャネル14、および出口給送チャネル28のうちの1つまたはそれを上回るものは、他の通路と共通平面にない。
【0030】
図4Aおよび4Bを参照すると、基板110は、その中に形成され、相互に平行に延在する、複数の入口給送チャネル14を含む。各入口給送チャネル14は、入口給送チャネル14に対して垂直に延在する、少なくとも1つの基板入口12と流体連通する。基板110はまた、その中に形成され、相互に平行に延在する、複数の出口給送チャネル28を含む。各出口給送チャネル28は、出口給送チャネル28に対して垂直に延在する、少なくとも1つの基板出口(図示せず)と流体連通する。いくつかの実施例では、入口給送チャネル14および出口給送チャネル28は、交互行に配列される。
【0031】
基板は、複数の流体吐出器150を含む。流体は、各流体吐出器150を通して、アセンダ16と、圧送チャンバ入口15と、圧送チャンバ18と、ディセンダ20とを含む、対応する吐出器流路475に沿って流動する。各アセンダ16は、入口給送チャネル14のうちの1つに流体接続される。各アセンダ16もまた、圧送チャンバ入口15を通して、対応する圧送チャンバ18に流体接続される。圧送チャンバ18は、関連付けられたノズル22につながる、対応するディセンダ20に流体接続される。各ディセンダ20はまた、対応する出口通路26を通して、出口給送チャネル28のうちの1つに接続される。例えば、図3の流体吐出器の断面図が、図4Aの線2-2に沿って得られる。
【0032】
本明細書に説明される特定の流路構成は、流路構成の実施例である。本明細書に説明されるアプローチはまた、他の流路構成においても使用されることができる。
【0033】
いくつかの実施例では、印刷ヘッド100は、平行列23に配列される、複数のノズル22を含む。所与の列23内のノズル22は全て、同一入口給送チャネル14および同一出口給送チャネル28に流体接続されることができる。すなわち、例えば、所与の列内のアセンダ16は全て、同一入口給送チャネル14に接続されることができ、所与の列内のディセンダは全て、同一出口給送チャネル28に接続されることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、隣接する列内のノズル22は全て、同一入口給送チャネル14または同一出口給送チャネル28に流体接続されることができるが、両方ではない。例えば、図4Aの実施例では、列23a内の各ノズル22は、入口給送チャネル14aおよび出口給送チャネル28aに流体接続される。隣接する列23b内のノズル22もまた、入口給送チャネル14aに接続されるが、出口給送チャネル28bに接続されない。いくつかの実施例では、ノズル22の列は、交互パターンにおいて同一入口給送チャネル14または同一出口給送チャネル28に接続されることができる。印刷ヘッド100についてのさらなる詳細は、米国特許第7,566,118号に見出されることができ、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0035】
再び、図2を参照すると、各流体吐出器150は、圧電変換器または抵抗加熱器等の対応するアクチュエータ30を含む。各流体吐出器150の圧送チャンバ18は、対応するアクチュエータ30に近接近する。各アクチュエータ30は、選択的に作動され、対応する圧送チャンバ18を加圧し、したがって、流体を加圧された圧送チャンバに接続されるノズル22から吐出することができる。
【0036】
いくつかの実施例では、アクチュエータ30は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の層等の圧電層31を含むことができる。圧電層31は、約50μmまたはそれ未満、例えば、約1μm~約25μm、例えば、約2μm~約5μmの厚さを有することができる。図2の実施例では、圧電層31は、連続的である。いくつかの実施例では、圧電層31は、加工の間、例えば、エッチングまたは鋸切断ステップによって、不連続的に作製されることができる。圧電層31は、駆動電極64と接地電極65との間に狭着される。駆動電極64および接地電極65は、銅、金、タングステン、酸化インジウムスズ(ITO)、チタン、白金、または金属の組み合わせ等の金属であることができる。駆動電極64および接地電極65の厚さは、例えば、約2μmまたはそれ未満、例えば、約0.5μmであることができる。
【0037】
膜66が、アクチュエータ30と圧送チャンバ18との間に配置され、接地電極65を圧送チャンバ18内の流体から隔離する。いくつかの実施例では、膜66は、別個の層である。いくつかの実施例では、膜は、基板110と一体型である。いくつかの実施例では、アクチュエータ30は、膜66を含まず、接地電極65は、圧電層31が圧送チャンバ18内の流体に直接暴露されるように、圧電層31の裏側に形成される。
【0038】
圧電アクチュエータ30を作動させるために、電気電圧が、駆動電極64と接地電極65との間に印加され、電圧を圧電層31に印加することができる。印加された電圧は、圧電層31を偏向させ、これは、順に、膜66を偏向させる。膜66の偏向は、圧送チャンバ18内の容積の変化を生じさせ、圧力パルス(発射パルスとも称される)を圧送チャンバ18内に産生する。圧力パルスは、ディセンダ20を通して対応するノズル22に伝搬し、したがって、流体の液滴をノズル22から吐出させる。
【0039】
膜66は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)、別の半導体材料の単一層、酸化アルミニウム(AlO2)または酸化ジルコニウム(ZrO2)等の酸化物、ガラス、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、他のセラミックもしくは金属の1つまたはそれを上回る層、絶縁体上のシリコン、もしくは他の材料から形成されることができる。例えば、膜66は、アクチュエータ30の作動が流体の液滴を吐出させるために十分な膜66の撓曲を生じさせるようなコンプライアンスを有する、不活性材料から形成されることができる。いくつかの実施例では、膜66は、接着剤層67を用いてアクチュエータ30に固着されることができる。いくつかの実施例では、基板110、ノズル層11、および膜66のうちの2つまたはそれを上回るものは、一体型本体として形成されることができる。
【0040】
ある場合には、流体吐出器150のうちの1つのアクチュエータ30が作動されると、圧力変動が、流体吐出器150のアセンダ16を通して入口給送チャネル14の中に伝搬し得る。同様に、圧力変動からのエネルギーもまた、流体吐出器150のディセンダ20を通して出口給送チャネル28の中に伝搬し得る。ある場合には、本願は、入口給送チャネル14および出口給送チャネル28を、概して、給送チャネル14、28と称する。圧力変動は、したがって、作動された流体吐出器150に接続される、給送チャネル14、28のうちの1つまたはそれを上回るもの内に発生し得る。ある場合には、これらの圧力変動は、同一給送チャネル14、28に接続される他の流体吐出器150の吐出器流路475の中に伝搬し得る。これらの圧力変動は、それらの流体吐出器150から吐出される液滴の液滴体積および/または液滴速度に悪影響を及ぼし、印刷品質を劣化させ得る。例えば、液滴体積における変動は、吐出される流体の量を変動させ得、液滴速度における変動は、吐出される液滴が印刷表面上に堆積される場所を変動させ得る。流体吐出器内の圧力変動の誘発は、流体クロストークと称される。
【0041】
いくつかの実施例では、流体クロストークは、給送チャネル14、28内の圧力変動の低速消散によって生じ得る。いくつかの実施例では、流体クロストークは、給送チャネル14、28内に発生する定常波によって生じ得る。例えば、流体吐出器150のうちの1つのアクチュエータ30が作動されるとき、給送チャネル14、28の中に伝搬する圧力変動は、定常波の中に発生し得る。流体吐出が定常波を増強する周波数において生じるとき、給送チャネル14、28内の定常波は、圧力発振を同一給送チャネル14、28に接続される他の流体吐出器150の吐出器流路475の中に伝搬させ、それらの流体吐出器150間に流体クロストークを生じさせ得る。
【0042】
流体クロストークはまた、給送チャネル14、28を通して流動する流体内の急変によっても生じ得る。一般に、流動チャネル内を移動中の流体が、突然、強制停止または方向転換されるとき、圧力波が、流動チャネル内を伝搬し得る(「水撃」作用とも称される)。例えば、同一給送チャネル14、28に接続される1つまたはそれを上回る流体吐出器150が、突然オフにされると、水撃作用が、圧力波を流動チャネル14、28の中に伝搬させる。その圧力波はさらに、同一給送チャネル14、28に接続される他の流体吐出器150の吐出器流路475の中に伝搬し、それらの流体吐出器150間に流体クロストークを生じさせ得る。
【0043】
流体クロストークは、より優れたコンプライアンスを流体吐出器内に提供し、圧力変動を減衰させることによって低減されることができる。流体吐出器において利用可能なコンプライアンスを増加させることによって、流体吐出器のうちの1つ内で発生された圧力変動からのエネルギーは、減衰され、したがって、近隣流体吐出器に及ぶ圧力変動の影響を低減させることができる。
【0044】
流体吐出器およびその関連付けられた流体流路内のコンプライアンスは、流体、ノズルにおけるメニスカス、および流体流路(例えば、入口給送チャネル14、圧送チャンバ入口通路17、ディセンダ20、出口通路26、出口給送チャネル28、および他の流体流路)の表面において利用可能である。
【0045】
給送チャネル内の流体のコンプライアンスは、以下によって与えられる。
【0046】
【数1】
【0047】
式中、Vは、給送チャネル内の流体の体積であって、Bは、流体の体積弾性係数である。
【0048】
単一メニスカスのコンプライアンスは、以下によって与えられる。
【0049】
【数2】
【0050】
式中、rは、メニスカスの半径であって、σは、表面張力である。
【0051】
長方形表面(入口または出口給送チャネルの表面等)のコンプライアンスは、以下によって与えられる(固定端部条件の場合)。
【0052】
【数3】
【0053】
式中、l、w、およびtは、それぞれ、表面の長さ、幅、ならびに厚さである。入口および出口給送チャネルの各表面は、ある程度のコンプライアンスを有する。いくつかの流体吐出器では、給送チャネルの最もコンプライアントな表面は、シリコンノズル層11によって形成される底部表面である。
【0054】
一具体的実施例では、印刷ヘッドは、16の流体吐出器に供給する、給送チャネル(例えば、入口給送チャネル14または出口給送チャネル28)を有する(故に、給送チャネルと関連付けられた16のメニスカスが存在する)。給送チャネルは、0.39mmの幅、0.27mmの深度、および6mmの長さを有する。シリコンノズル層11の厚さは、30μmであって、ノズル層の弾性係数は、186E9Paである。各メニスカスの半径は、7μmである。水系インクのための典型的体積弾性係数は、約B=2E9Paであって、典型的表面張力は、約0.035N/mである。
【0055】
本実施例に関して、給送チャネル内の流体、16のメニスカス、および給送チャネル内のノズル層のコンプライアンスが、表1に与えられる。着目すべきこととして、給送チャネル内のノズル層は、最低コンプライアンスを有する。
【0056】
【表1】
【0057】
表1.給送チャネル内の流体、給送チャネルによって給送される16のノズルのメニスカス、および給送チャネルのノズル層のコンプライアンス値。
【0058】
流体吐出器150およびその関連付けられた流体流路内のコンプライアンスの増加は、流体吐出器150間の流体クロストークを緩和することに役立ち得る。利用可能なコンプライアンスを増加させることによって、特定の流体吐出器150から近隣流体吐出器150への圧力変動の伝搬は、流体吐出器150もしくは流体吐出器150が接続される入口および/または出口給送チャネル14、28内で減衰され、したがって、他の流体吐出器150に及ぶその圧力変動の影響を低減させることができる。例えば、給送チャネル14、28のコンプライアンスが、その給送チャネル14、28に接続される流体吐出器150間の流体クロストークを緩和するように増加されることができる。
【0059】
再び、図3を参照すると、コンプライアンスが、コンプライアント微小構造50を入口給送チャネル14および/または出口給送チャネル28の1つもしくはそれを上回る表面上に形成することによって、入口給送チャネル14、出口給送チャネル28、または両方に追加されることができる。例えば、図3の実施例では、コンプライアント微小構造50は、入口給送チャネル14の底部表面52および出口給送チャネルの底部表面54内に形成される。本実施例では、底部表面52、54は、ノズル層11によって形成される。給送チャネル14、28内にコンプライアント微小構造50によって提供される付加的コンプライアンスは、その給送チャネル14、28に接続される特定の流体吐出器150内の圧力変動からのエネルギーを減衰させる。その結果、その同一給送チャネル14、28に接続される他の流体吐出器150に及ぶその圧力変動の影響は、低減されることができる。 図5Aおよび5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、入口給送チャネル14ならびに/または出口給送チャネル28のノズル層11内に形成されるコンプライアント微小構造50は、薄膜502によって被覆される陥凹500であることができる。膜502は、給送チャネル14、28の中に面するノズル層11の内側表面504が実質的に平坦であるように、陥凹500にわたって配置される。ある場合には、例えば、真空が陥凹500内に存在するとき、膜502は、陥凹500の中に若干偏向されることができる。いくつかの実施例では、陥凹500は、入口または出口給送チャネル14、28の底部壁とも称される、ノズル層11内に形成されることができる。いくつかの実施例では、陥凹500は、底部壁と反対の壁である、入口または出口給送チャネルの上部壁内に形成されることができる。いくつかの実施例では、陥凹500は、上部および底部壁を交差する壁である、入口または出口給送チャネル14、28の1つもしくはそれを上回る側壁内に形成されることができる。
【0060】
圧力変動が給送チャネル14、28の中に伝搬すると、膜502は、陥凹の中に偏向し、圧力変動を減衰させ、その給送チャネル14、28に接続される近隣流体吐出器150間の流体クロストークを緩和することができる。膜502の偏向は、給送チャネル14、28内の流体圧力が低減されると、膜502がその元の構成に戻るように、可逆性である。
【0061】
陥凹500は、約50μm~約150μm、例えば、約100μmの側方寸法(例えば、半径)を有することができる。例えば、陥凹500の側方寸法は、給送チャネル表面の幅の約10%~約75%、例えば、給送チャネル表面の幅の約50%であることができる。陥凹500は、約5μm~約15μm、例えば、約6-10μmの深度を有することができる。陥凹500は、約10の陥凹/mm~約50の陥凹/mm、例えば、約20の陥凹/mmの密度で提供されることができる。図5Aおよび5Bの実施例では、陥凹500は、円形である。いくつかの実施例では、陥凹500は、卵形、楕円形、または他の形状等、他の形状であることができる。例えば、陥凹500は、機械的応力が集中し得る鋭角が存在しないように成形されることができる。陥凹500は、整列されたアレイ、例えば、行および列で位置付けられることができるが、これは、必要ではない。例えば、陥凹500は、無作為に分布されることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、膜502は、シリコンから形成されることができる。いくつかの実施例では、膜502は、SiO等の酸化物から形成されることができる。いくつかの実施例では、膜502は、金属、例えば、スパッタ金属層から形成されることができる。一般に、膜502は、給送チャネル14、28内の圧力変動に応答して偏向することが可能であるように十分に薄い。加えて、膜502は、耐久性があるように十分に厚い。膜502の全体的弾性係数は、膜が、動作時、予期される圧力変動下、陥凹500の底部506まで偏向しないであろうように十分であるべきであって、そうでなければ、膜502は、破損または陥凹500の底部506に接合し得る。例えば、膜は、約0.5μm~約5μm、例えば、約1μm、約2μm、または約3μmの厚さを有することができる。
【0063】
各給送チャネル14、28内の複数の陥凹500の存在は、1つまたはそれを上回る膜502が故障する場合でも(例えば、破損または陥凹500の底部506への接合によって)、給送チャネル14、28内のノズル層11のコンプライアンスが低減され得ることを確実にすることに役立ち得る。
【0064】
膜502は、陥凹500を液体(例えば、インク)およびガス(例えば、空気)等の流体に対してシールすることができる。いくつかの実施例では、陥凹500は、加工の間、通気され、次いで、所望の圧力、例えば、大気圧(atm)、1/2atm、または別の圧力が陥凹内に達成されるようにシールされる。いくつかの実施例では、陥凹500は、陥凹内に真空が存在するように通気されない。陥凹500内の真空の存在は、膜502にかかる応力を増加させることができ、陥凹500によって提供される追加コンプライアンスを低減させることができる。
【0065】
48の陥凹を含む、給送チャネル内のノズル層11のコンプライアンスは、以下によって計算されることができる。
【0066】
【数4】
【0067】
式中、Nは、陥凹の数であって、aは、各陥凹の半径である。Dは、以下によって与えられる。
【0068】
【数5】
【0069】
式中、Eは、膜の弾性係数であって、tは、膜の厚さであって、’は、膜のポアソン比である。
【0070】
膜の中心偏向は、以下によって計算されることができる。
【0071】
【数6】
【0072】
式中、qは、膜の設計圧力負荷である。本中心偏向式は、偏向が小さい場合、例えば、膜の厚さの最大約5%の偏向のために適用される。いくつかの実施例では、より大きな偏向は、本式から逸脱し得る。例えば、2μm厚の例示的膜502は、3.2μm偏向し、本式によって予測されるものより3.5倍剛性である。
【0073】
膜502内の引張応力は、以下によって計算されることができる。
【0074】
【数7】
【0075】
一具体的実施例では、100μm半径の48の陥凹が、上記に与えられる寸法および弾性係数を有するように、給送チャネル14、28内のノズル層11に形成される。陥凹を被覆する膜502は、SiO熱酸化物から形成され、2.0μmの厚さ、75E9Paの弾性係数、および0.17のポアソン比を有する。陥凹500は、通気されない。設計圧力負荷qは、150000Paに設定され、陥凹内の真空のための1atmおよび給送チャネルのパージ圧力のための0.5atmを考慮する。
【0076】
本実施例に関して、ノズル層11のコンプライアンス、膜502の中心偏向、および膜502内の張力応力が、表2の第1の列に与えられる。着目すべきこととして、48の陥凹の存在は、ノズル層のコンプライアンスを陥凹を伴わないノズル層(上記および表1において議論される)と比較して約9倍増加させた。
【0077】
【表2】
【0078】
表2.給送チャネル内のノズル層のコンプライアンス、膜の中心偏向、および膜内の引張応力。
【0079】
ある場合には、膜502は、圧縮応力下で堆積され、これは、表2に与えられたものを超えて中心偏向yを増加させることができる。例えば、膜502の中心偏向は、膜の厚さの半分を上回ることができる。これらの状況では、膜の剛度は、増加され、所与の負荷に関する応力は、より少なくなる(Roark’ Formulas for Stress and Strain(第7版)の第11.11節により詳細に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)。例えば、上記に与えられた実施例では、膜の中心偏向は、膜の厚さの2.3倍である。したがって、膜の剛度は、2.5倍増加される。本増加剛度を考慮したコンプライアンス、中心偏向、および引張応力は、表2の第2の列に与えられる。陥凹を伴うノズル層のコンプライアンスは、陥凹を伴わないノズル層と比較してさらに3.5倍増加される。
【0080】
これらの計算は、ノズル層11内の陥凹500の存在がノズル層11のコンプライアンスを有意に増加させることができることを示す。そのような陥凹500を有する、ノズル層11は、したがって、給送チャネル14、28内の圧力変動を平坦ノズル層11より効果的に減衰させ、その給送チャネル14、28に接続される流体吐出器150間の流体クロストークを緩和させることができる。
【0081】
図6A-6Fは、ノズル層11内に形成される陥凹500を有する流体吐出器150を加工するための1つのアプローチを示す。図6Aおよび7を参照すると、ノズルウエハ60(例えば、シリコンウエハ)は、ノズル層11(例えば、シリコンノズル層)と、エッチング停止層62(例えば、SiOまたはSi等の酸化物もしくは窒化物エッチング停止層)と、ハンドル層64(例えば、シリコンハンドル層)とを含む。いくつかの実施例では、ノズルウエハ60は、エッチング停止層62を含まない。いくつかの実施例では、ノズルウエハ80は、絶縁体上のシリコン(SOI)ウエハであって、SOIウエハの絶縁体層は、エッチング停止層84として作用する。
【0082】
ノズル22を提供するであろう、開口部は、例えば、リソグラフィおよびエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、ノズル層11を通して形成される(700)。
【0083】
ノズル層11を通して、全体的にではなく、部分的に延在する、陥凹500もまた、例えば、リソグラフィおよびエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、形成される(702)。例えば、レジストの第1の層が、パターン化されていないノズル層11上に堆積され、リソグラフィでパターン化されることができる。ノズル層11は、例えば、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)を用いてエッチングされ、ノズル22を形成することができる。レジストの第1の層は、剥離されることができ、レジストの第2の層が、次いで、ノズル層11上に堆積され、リソグラフィでパターン化されることができる。ノズル層11は、例えば、湿式エッチングまたは乾式エッチングを使用して、パターン化されたレジストに従ってエッチングされ、陥凹500を形成することができる。
【0084】
図6Bおよび7を参照すると、ハンドル層69と、膜502を提供するであろう膜層70とを有する、第2のウエハ68が、ノズルウエハ60に接合される。特に、膜層70は、例えば、熱接合または別のウエハ接合技法を使用して、ノズルウエハ60のノズル層11に接合される(704)。層膜70は、酸化物(例えば、SiO熱酸化物)であることができる。
【0085】
図6Cおよび7を参照すると、ハンドル層69は、例えば、研削ならびに研磨、湿式エッチング、プラズマエッチング、または別の除去プロセスによって除去され、膜層70を残す(706)。図6Dおよび7を参照すると、膜層70は、例えば、リソグラフィならびにエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、マスクおよびエッチングされ、ノズル22を暴露させる(708)。残っている膜層70の部分は、陥凹500にわたる膜502を形成する。
【0086】
その中に形成されるノズル22および陥凹500とを有する、パターン化されたノズルウエハ60は、例えば、米国特許第7,566,118(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるようにさらに処理され、印刷ヘッド100の流体吐出器150を形成することができる。図6Eおよび7を参照すると、いくつかの実施例では、パターン化されたノズルウエハ60の上部面74は、ディセンダ20および他の流路(図示せず)等の流路を有する、流路ウエハ76、アクチュエータ(図示せず)、およびその中に形成される他の要素に接合されることができる(710)。例えば、ノズルウエハ60の上部面74は、エポキシ(例えば、ベンゾシクロブテン(BCB))を用いた接合等の低温接合を使用して、または低温プラズマアクティブ化接合を使用して、流路ウエハ76に接合されることができる。
【0087】
図6Fおよび7を参照すると、ハンドル層64は、次いで、例えば、研削ならびに研磨、湿式エッチング、プラズマエッチング、または別の除去プロセスによって、除去されることができる(712)。エッチング停止層62は、存在する場合、除去されるか(図6Fに示されるように)、または、例えば、リソグラフィおよびエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、マスクならびにエッチングされ、ノズルを暴露させるかのいずれかとなる(714)。
【0088】
いくつかの実施例では、厚いノズルウエハ60が、使用されることができる(例えば、30μm、50μm、または100μm厚)。厚いノズルウエハの使用は、ノズル加工プロセスがノズルウエハが脆弱になるまでノズルウエハを薄化するであろうリスクを最小限にする。
【0089】
図8A-8Dは、ノズル層内に陥凹500を有する流体吐出器150を加工するための別のアプローチを示す。図8Aおよび9を参照すると、ノズルウエハ80(例えば、シリコンウエハ)は、ノズルサブ層82(例えば、シリコンノズルサブ層)と、エッチング停止層84(例えば、SiOまたはSi等の酸化物もしくは窒化物エッチング停止層)と、ハンドル層86(例えば、シリコンハンドル層)とを含む。いくつかの実施例では、ノズルウエハ80は、エッチング停止層84を含まない。いくつかの実施例では、ノズルウエハ80は、絶縁体上のシリコン(SOI)ウエハであって、SOIウエハの絶縁体層は、エッチング停止層84として作用する。
【0090】
ノズル22を提供するであろう、開口部が、例えば、リソグラフィおよびエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、ノズルサブ層82を通して形成される(900)。
【0091】
図8Bおよび9を参照すると、第2のウエハ86は、上部層88と、エッチング停止層90(例えば、SiOまたはSi等の酸化物もしくは窒化物エッチング停止層)と、シリコン92のハンドル層とを含む。上部層88は、ノズルサブ層82と同一材料(例えば、シリコン)から形成されることができる。陥凹500は、例えば、リソグラフィおよびエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、例えば、SOIウエハ86の上部層88を通してエッチングされる(902)。いくつかの実施例では、第2のウエハ86は、SOIウエハであって、SOIウエハの絶縁体層は、エッチング停止層90として作用する。
【0092】
図8Cおよび9を参照すると、SOIウエハ86は、SOIウエハ86の上部層88がノズルウエハ80のノズルサブ層82と接触するように、例えば、熱接合または別のウエハ接合技法を使用して、ノズルウエハ80に接合される(904)。陥凹500およびノズル22は、例えば、SOIウエハ86ならびにノズルウエハ80上に加工される接合整合標的(図示せず)を利用することによって、整合される。例えば、整合標的は、SOIウエハ86とノズルウエハ80との間の不整合の量を示すために、バーニヤ等の整合インジケータを含むことができる。いくつかの実施例では、SOIウエハ86およびノズルウエハ80は、シリコンウエハを通して整合標的を視認するため等の赤外線カメラ等のカメラを利用する、整合ツールと整合される。
【0093】
図8Dおよび9を参照すると、SOIウエハ86のハンドル層92は、例えば、研削ならびに研磨、湿式エッチング、プラズマエッチング、または別の除去プロセスによって、除去される(906)。図8Eおよび9を参照すると、絶縁体層90ならびに上部層88は、例えば、リソグラフィおよびエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、マスクならびにエッチングされ、ノズル22を暴露させる(908)。残っている絶縁体層88は、陥凹500にわたる膜502を形成する。
【0094】
図8A-8Eのアプローチでは、ノズルサブ層82および上部層88はともに、ノズル層11を形成する。パターン化されたノズルウエハ80は、例えば、図6Eおよび6Fに示されるように、かつ米国特許第7,566,118号(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、印刷ヘッドの流体吐出器150を形成するようにさらに処理されることができる(910)。
【0095】
図8Fを参照すると、いくつかの実施例では、陥凹500は、陥凹内の空気が大気圧にあるように通気されることができる。通気された陥凹を加工するために、直線ボア通気口95が、ノズルウエハ80とSOIウエハ86の接合に先立って、ノズルウエハ80のノズルサブ層82の中にエッチングされる。通気口95は、ノズルサブ層82の厚さを通してエッチング停止層84までエッチングされる。直線ボア通気口95は、ノズルウエハ80がSOIウエハ86と接合されると、通気口95が陥凹500と整合するであろうように位置付けられる。ノズル22が、ハンドル層86およびエッチング停止層84の除去によって開放されると、通気口95は、大気に開放し、したがって、陥凹500の内部空間を通気するであろう。
【0096】
図10を参照すると、いくつかの実施例では、コンプライアント微小構造が、入口給送チャネル14および/または出口給送チャネル28の側壁172、174に追加されることができる。例えば、1つまたはそれを上回る陥凹スロット170が、側壁172、174の一方もしくは両方に隣接して形成され、側壁膜176を陥凹スロット170と給送チャネル28の内部との間に残すことができる。側壁膜176は、圧力変動に応答して、陥凹スロット170の中に偏向し、給送チャネル14、28内の圧力を減衰させることができる。いくつかの実施例では、陥凹スロット170は、基板110へのノズル層11の接合に先立って、基板110のDRIE垂直エッチングによって形成されることができる。いくつかの実施例では、陥凹スロット170は、外向きにテーパ状であるように、異方性エッチングまたはDRIEエッチングを使用して形成されることができ、エッチングは、側壁172、174上に成長された熱酸化物等のエッチング停止層によって停止される。
【0097】
図11を参照すると、いくつかの実施形態では、入口給送チャネル14および/または出口給送チャネル28のノズル層11内に形成される、コンプライアント微小構造50(図3)は、ノズル状構造120であることができ、これは、本願では、ダミーノズル120とも称される。(明確にするために、流体吐出器150のノズル22は、発射ノズルとも称される。)ダミーノズル120は、給送チャネル14、28内に位置し、直接、任意の個々の流体吐出器150に接続されない、またはそれと関連付けられず、対応するアクチュエータを有していない。給送チャネル14、28内の流体圧力は、概して、通常動作の間、流体をダミーノズル120から吐出させるために十分に高くない。例えば、流体吐出器150は、数気圧(例えば、約1~10atm)の吐出圧力において動作することができ、吐出のための閾値圧力は、動作圧力の約半分であり得る。
【0098】
ダミーノズル120は、ノズル層11の全厚を通して延在し、ノズル層11のコンプライアンスを増加させる、自由表面を提供する。各ダミーノズル120は、ノズル層11の内部表面124上の内向きに面した開口部122と、ノズル層11の外部表面128(例えば、印刷表面に向かって面する表面)上の外向きに面した開口部126とを含む。流体のメニスカス130が、各ダミーノズル120の外向きに面した開口部126に形成される(図11では、1つのみのダミーノズル120に関して示される)。いくつかの実施例では、給送チャネル14、28は、圧力変動の不在下、メニスカス130が開口部126から内向きに引き込まれるように(例えば、凹面メニスカス)、負に加圧される。圧力変動が、給送チャネル14、28の中に伝搬すると、メニスカス130は、膨隆し(例えば、凸面メニスカス)、圧力変動を減衰させ、その給送チャネル14、28に接続される近隣流体吐出器150間の流体クロストークを緩和させる。
【0099】
いくつかの実施例では、ダミーノズル120は、発射ノズル22とサイズおよび/または形状が類似する。例えば、ダミーノズル120は、一定直径の略円筒形経路であることができ、内向きに面した開口部122および外向きに面した開口部126は、同一寸法を有する。ダミーノズル120は、より大きい内向きに面した開口部122からより小さい外向きに面した開口部126へと延在するテーパ状の円錐形状の経路であることもできる。ダミーノズル120は、より大きい内向きに面した開口部122からより小さい外向きに面した開口部126へと延在する二次曲線形状経路を含むこともできる。ダミーノズル120は、外向きに面した開口部126に向かって徐々により小さくなる直径の複数の円筒形領域を含むこともできる。
【0100】
ダミーノズル120が発射ノズル22とサイズが類似するとき、ダミーノズル120および発射ノズル22の気泡圧力もまた、類似する。しかしながら、流体圧力は、概して、給送チャネル14、28内では、流体吐出器150内より低いため、流体は、ダミーノズル120を通して偶発的放出を生じさせずに、発射ノズル22から吐出されることができる。いくつかの実施例では、ダミーノズル120は、発射ノズル22と異なるサイズを有することができる。
【0101】
いくつかの実施例では、ダミーノズル120の厚さ(例えば、ノズル層11の厚さ)と外向きに面した開口部128の直径の比率は、約0.5またはそれを上回る、例えば、約1~4、もしくは約1~2であることができる。例えば、外向きに面した開口部128の半径は、約5μm~約80μm、例えば、約10μm~約50μmであることができる。テーパ状形状に関して、ダミーノズル120の円錐形状の経路の円錐角は、例えば、約5o~約45oであることができる。一般に、ダミーノズル120は、発射ノズル22に詰まることが可能な大きな汚染物質粒子がダミーノズル120を通して給送チャネル14、28に進入することができないように十分に小さい。
【0102】
いくつかの実施例では、印刷ヘッド100は、高流体圧力でパージされ、例えば、流体流路を清掃することができる。パージの間の高流体圧力は、流体をダミーノズル120から吐出させ得る。そのようなパージの間のダミーノズル120を通した流体損失を低減させるために、少数のダミーノズル120が、各給送チャネル14、28内に形成されることができる。例えば、1~20のダミーノズル120、例えば、発射ノズルあたり約1、2、または4つのダミーノズルが、各給送チャネル14、28内に形成されることができる。いくつかの実施例では、ダミーノズル120は、殆どまたは全く流体がダミーノズル120を通して損失されないように、パージの間、キャップされることができる。
【0103】
図12は、ノズル層11内に形成されるダミーノズル120を有する、流体吐出器150を加工するための例示的アプローチを示す。ノズルウエハ140は、ノズル層11と、エッチング停止層142(例えば、SiOまたはSi等の酸化物もしくは窒化物エッチング停止層)と、ハンドル層124(例えば、シリコンハンドル層)とを含む。いくつかの実施例では、ノズルウエハ120は、エッチング停止層122を含まない。
【0104】
発射ノズルおよびダミーノズル120は、例えば、リソグラフィならびにエッチングを含む、標準的微小加工技法を使用して、ノズル層11を通して形成される。いくつかの実装では、発射ノズル22およびダミーノズル120は、例えば、同一エッチングステップを使用して、同時に、ノズル層11内に形成される。
【0105】
発射ノズル22およびダミーノズル120の形成後、加工は、実質的に、図6B-6Fに関して図示ならびに説明されるように進められることができるが、ダミーノズル120は、陥凹500に取って代わる。
【0106】
ダミーノズル120は、発射ノズル22を形成するために生じるであろう処理ステップの間に形成されるため、ダミーノズル120を形成することと関連付けられるコストの影響は、殆ど存在しない。示される実施例では、発射ノズル22およびダミーノズル120は、同一サイズである。いくつかの実施例では、発射ノズル22およびダミーノズル120は、異なるサイズを有することができる。
【0107】
特定の実施形態が、説明された。他の実施形態も、以下の請求項の範囲内である。
【0108】
本開示の精神および様々な原理から実質的に逸脱せずに、本開示の上述した実施の形態に、多くの変更および改変を行うことができる。そのような改変および変更の全ては、本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。例えば、本開示の様々な特徴は、以下の実施形態にしたがって、組み合わされることがある。
【0109】
実施の形態1
流体吐出装置であって、
複数の流体吐出器であって、各流体吐出器は、
圧送チャンバと、
前記圧送チャンバの頂部壁を画定する膜と、
流体を前記圧送チャンバから吐出させるように構成されるとともに、前記膜上に直接配置されるアクチュエータと、
ノズルと、
を備える、流体吐出器と、
各圧送チャンバに流体接続される、給送チャネルと、
前記給送チャネルの表面内に形成される、少なくとも1つのコンプライアント構造であって、前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、前記給送チャネルの表面よりコンプライアントである、少なくとも1つのコンプライアント構造と、
を備え、
前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、前記給送チャネルの表面内に形成される少なくとも1つのダミーノズルを備え、
各ダミーノズルは、前記表面の内部表面上の第1の開口部と、前記表面の外部表面上の第2の開口部とを含み、
前記複数の流体吐出器のノズルが第1ラインに沿って設けられており、前記給送チャネルが前記第1ラインから横方向にオフセットしている、流体吐出装置。
【0110】
実施の形態2
各アクチュエータが、前記膜上に配置された圧電層を含む、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0111】
実施の形態3
凸面メニスカスが、前記給送チャネル内の流体圧力の増加に応答して、前記第2の開口部に形成される、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0112】
実施の形態4
各流体吐出器のノズルは、ノズル層内に形成され、前記ダミーノズルは、前記ノズル層内に形成される、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0113】
実施の形態5
前記ダミーノズルは、前記ノズルと実質的に同一サイズである、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0114】
実施の形態6
各流体吐出器のノズルは、ノズル層内に形成され、前記ノズル層は、前記給送チャネルの表面を構成する、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0115】
実施の形態7
前記アクチュエータのうちの1つの作動は、前記給送チャネル内の流体圧力の変化を生じさせ、前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、少なくとも部分的に、前記給送チャネル内の流体圧力の変化を減衰させるように構成される、実施の形態6に記載の流体吐出装置。
【0116】
実施の形態8
流体吐出器を製造する方法であって、
複数のノズルをノズル層内に形成するステップと、
少なくとも1つのコンプライアント構造を前記ノズル層内に形成するステップであって、前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、前記ノズル層よりコンプライアントである、ステップと、
前記ノズル層を複数の流体吐出器を備える基板に取り付けるステップであって、各流体吐出器は、圧送チャンバと、前記圧送チャンバの頂部壁を画定する膜と、流体を前記圧送チャンバから吐出させるように構成されるとともに、前記膜上に直接配置されるアクチュエータとを備える、ステップと、
を含み、
前記少なくとも1つのコンプライアント構造を前記ノズル層内に形成するステップが、前記ノズル層に少なくとも1つのダミーノズルを形成することを含み、
各ダミーノズルは、前記ノズル層の内部表面上に第1の開口部を画定するとともに、前記ノズル層の外部表面上の第2の開口部を画定し、
前記ノズル層を複数の流体吐出器を備える基板に取り付けるステップが、各ポンピングチャンバに流体接続する供給チャネルを画定し、
前記複数のノズルが第1ラインに沿って設けられており、前記給送チャネルが前記第1ラインから横方向にオフセットしている、方法。
【0117】
実施の形態9
各アクチュエータが、前記膜上に配置された圧電層を含む、実施の形態8に記載の方法。
【0118】
実施の形態10
少なくとも1つのコンプライアント構造を前記ノズル層内に形成するステップは、複数の陥凹を前記ノズル層内に形成するステップと、膜を前記陥凹にわたって配置するステップとを含む、実施の形態8に記載の方法。
【0119】
実施の形態11
膜を前記陥凹にわたって配置するステップは、膜層を前記ノズル層の上部表面にわたって堆積するステップと、各ノズルにわたる前記膜層の一部を除去するステップとを含む、実施の形態10に記載の方法。
【0120】
実施の形態12
複数のノズルを形成するステップは、前記複数のノズルを第1の層内に形成するステップを含み、少なくとも1つのコンプライアント構造を形成するステップは、前記少なくとも1つのコンプライアント構造を第2の層内に形成するステップと、前記第1の層を前記第2の層に取り付けるステップとを含む、実施の形態8に記載の方法。
【0121】
実施の形態13
少なくとも1つのコンプライアント構造を前記ノズル層内に形成するステップは、前記少なくとも1つのコンプライアント構造を第1の層内に形成するステップと、前記第1の層をその中に形成される前記複数のノズルを有する第2の層に取り付けるステップであって、前記第1の層および前記第2の層はともに、前記ノズル層を形成する、ステップとを含む、実施の形態8に記載の方法。
【0122】
実施の形態14
前記給送チャネルの流体圧力は、流体を前記少なくとも1つのダミーノズルから吐出させるに十分なほど高くはない、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0123】
実施の形態15
各流体吐出器は、前記給送チャネルと、前記流体吐出器の圧送チャンバとを流体接続する入口通路を有する、実施の形態1に記載の流体吐出装置。
【0124】
実施の形態16
流体吐出器を操作する方法であって、
複数の流体吐出器を有する流体吐出装置内の流体吐出器を作動させるステップであって、前記流体吐出器の作動は、前記流体吐出器に流体接続される給送チャネル内の流体圧力の変化を生じさせ、各流体吐出器は、圧送チャンバと、前記圧送チャンバの頂部壁を画定する膜と、流体を前記圧送チャンバから吐出させるように構成されるとともに、前記膜上に直接配置されるアクチュエータと、ノズルとを備える、ステップと、
前記流体圧力の変化により、前記給送チャネル内に形成されたダミーノズルの中に流体のメニスカスを偏向させるステップと、
を含み、
前記複数の流体吐出器のノズルが第1ラインに沿って設けられており、前記給送チャネルが前記第1ラインから横方向にオフセットしている、方法。
【0125】
実施の形態17
前記複数の流体吐出器のいずれかを作動させるステップは、流体を前記ダミーノズルから吐出させない、実施の形態16に記載の方法。
【0126】
実施の形態18
各アクチュエータが、前記膜上に配置された圧電層を含む、実施の形態16に記載の方法。
【0127】
実施の形態19
流体吐出装置であって、
複数の流体吐出器であって、各流体吐出器は、
圧送チャンバと、
流体を前記圧送チャンバから吐出させるように構成される、アクチュエータと、
ノズルと、
を備える、流体吐出器と、
各圧送チャンバに流体接続される、給送チャネルと、
前記給送チャネルの表面内に形成される、少なくとも1つのコンプライアント構造であって、前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、前記給送チャネルの表面よりコンプライアントである、少なくとも1つのコンプライアント構造と、
を備え、
前記少なくとも1つのコンプライアント構造は、
前記給送チャネルの表面の下に形成される陥凹と、
前記陥凹と前記給送チャネルとの間に配置される膜と、
を備え、
前記膜は、前記陥凹を前記給送チャネルからシールするよう構成されており、
前記陥凹は、該陥凹と基板の底面内の開口部との間の流体結合を介して外部大気にベントされるよう構成されている、
流体吐出装置。
【0128】
実施の形態20
各流体吐出器が、ノズル層内に形成されるノズルを含む、実施の形態19に記載の流体吐出装置。
【0129】
実施の形態21
前記陥凹は、前記ノズル層内に形成される、実施の形態20に記載の流体吐出装置。
【0130】
実施の形態22
前記ノズル層がシリコンであり、前記膜がシリコンである、実施の形態20に記載の流体吐出装置。
【0131】
実施の形態23
各流体吐出器がアクチュエータとノズルを含み、前記アクチュエータの作動が液体を対応するノズルから射出するよう構成されている、実施の形態19に記載の流体吐出装置。
【0132】
実施の形態24
前記アクチュエータの作動が前記給送チャネル内の流体圧力を変化させ、前記少なくとも1つのコンプライアント構造が前記給送チャネル内の流体圧力の前記変化を少なくとも部分的に減衰させるよう構成されている、実施の形態23に記載の流体吐出装置。
【0133】
実施の形態25
前記陥凹が複数の陥凹である、実施の形態19に記載の流体吐出装置。
【符号の説明】
【0134】
100 印刷ヘッド
110 基板
410 ケーシング
420 上側インタポーザ
422 流体供給入口
428 流体帰還出口
430 下側インタポーザ
432 流体供給チャンバ
436 流体帰還チャンバ
440 下側分割器
474 流路
530 上側分割器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12