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  • 特開-床下空調システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076789
(43)【公開日】2023-06-02
(54)【発明の名称】床下空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20230526BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20230526BHJP
   F24F 7/00 20210101ALI20230526BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20230526BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20230526BHJP
【FI】
F24F5/00 K
F24F3/044
F24F7/00 C
F24F7/007 101
F24F11/80
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189771
(22)【出願日】2021-11-23
(71)【出願人】
【識別番号】518238551
【氏名又は名称】株式会社小林工業
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕昌
【テーマコード(参考)】
3L053
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BA02
3L053BB01
3L053BB02
3L056BA05
3L056BG03
3L260AA01
3L260BA46
3L260BA73
3L260CA12
3L260FB43
3L260HA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建築物内で空気が強制的に循環する仕組みを容易に構築し、熱輸送効果の高い建築物を提供する。
【解決手段】床下空調システム床材1により仕切られた床下空間と床上空間とを備える建築物において、前記床上空間の空気を吸引し、加温したうえで前記床下空間に排出する空調装置10と、前記床下空間に設けられ、前記床下空間の空気のみを送る送風装置30と、前記送風装置に付設して設けられ、前記床上空間と前記床下空間とを連通する通風路40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材により仕切られた床下空間と床上空間とを備える建築物において、
前記床上空間の空気を吸引し、加温したうえで前記床下空間に排出する空調装置と、
前記床下空間に設けられ、前記床下空間の空気のみを送る送風装置と、
前記送風装置に付設して設けられ、前記床上空間と前記床下空間とを連通する通風路とを備える、床下空調システム。
【請求項2】
さらに、前記床上空間の空気を排出する排気口と、
前記床下空間から外部と接続する接続路とを備え、
前記送風装置が稼働することにより、前記接続路から外部の空気を吸引し、かつ、前記排気口から外部へ空気を排出し、
前記送風装置が24時間稼働する、請求項1に記載の床下空調システム。
【請求項3】
前記建築物は、床上空間に1階部分と、2階部分とを含み、
前記送風装置は、前記床下空間の空気を前記2階部分に送る、請求項1に記載の床下空調システム。
【請求項4】
さらに、前記2階部分に設けられた空気循環ファンを含み、前記空気循環ファンは、1階部分に向けて前記2階部分の空気を送る、請求項2に記載の床下空調システム。
【請求項5】
前記排出口は、前記2階の各居室の第2の床面に設けられている、請求項3または請求項4に記載の床下空調システム。
【請求項6】
前記床下空間は、外部と接続する接続路を前記空調装置の付近に有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の床下空調システム。
【請求項7】
前記空調装置の温度センサは床上空間の温度を検知するように配置されている、請求項1~6に記載の床下空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の居室の温度を調節する床下空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、居室に温風を吹き付ける空調装置に代えて、床下の空気を暖めて床面から暖気が
自然に上昇するようにすることで居室全体を均等に暖める床下空調システムが提案されて
いる。
【0003】
従来、床下空調システムとして、例えば、床下部空間下方にべた基礎若しくは布基礎が設けられ、前記布基礎の場合には該布基礎同士の間の地面を敷設するコンクリートが設けられた住宅において、前記べた基礎のスラブ上若しくは前記布基礎同士の間に設けられたコンクリート上に敷設された木炭と、前記床下部空間と最上階の各居室部を連通する第1通風管と、第1通風管内の空気を送風させる送風機とが具備されていることを特徴とする、木造住宅に於ける床下調湿を利用した空調システム(特許文献1)がある。
【0004】
この空調システムは、送風機が第1通風管の空気を双方向に送風することが可能なように電子制御することができ、床下部空間の空気を2階部分に送風したり、屋根裏部空間の空気を床下部空間に送風するように機能する。
【0005】
これにより、この空調システムでは、夏場には床下に溜まる湿度の高い冷気を木炭によって乾いた冷気に調湿し、その乾いた冷気を最上階にのみ送風することで家全体を快適な室温に保ち居住性を向上させると共に、冬場には屋根板と最上階の居室部空間の間に設けられた断熱材との間の暖気を床下のみに送ることで床下を温めることで家全体を快適な室温に保ち居住性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-162932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の空調システムは、設置場所に特に限定はないものの床上空間の各階に設置され、また、電子制御により送風する方向を制御されている。これは、第1通風管の中央の位置に送風機を設置することにより、第1の通風管内の両方向に空気を送風することを容易にするためと考えられる。
【0008】
しかし、建築物や周囲の温度状況に応じて空気の流れる方向を変更することは迂遠であり、また、エアコン等の空調システムと合わせて建築物内の温度調整を最適に行うことは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る床下空調システムは、床材により仕切られた床下空間と床上空間とを備える建築物において、前記床上空間の空気を吸引し、加温したうえで前記床下空間に排出する空調装置と、前記床下空間に設けられ、前記床下空間の空気のみを送る送風装置と、前記送風装置に付設して設けられ、前記床上空間と前記床下空間とを連通する通風路とを備える。
【0010】
この床下空調システムによれば、送風装置が床下空間に設けられ、床下空間の空気のみを送る構成となっているため、温度調整において送風装置を操作する必要がない。また、床下空間には空調装置により加温された空気が排出されており、送風装置が加温された空気が、通風路を介して床上空間に直接送風され、熱輸送効果を高めることができる。
【0011】
(2)上記した床下空調システムにおいて、さらに、前記床上空間の空気を排出する排気口と、前記床下空間から外部と接続する接続路とを備え、前記送風装置が稼働することにより、前記接続路から外部の空気を吸引し、かつ、前記排気口から外部へ空気を排出し、前記送風装置が24時間稼働するようにしてもよい。
【0012】
そのようにすれば、床下空間に設けられた接続路から外部の空気を吸引し、建築物内を通って排気口から外部に排出する空気の流れが構成される。ここで、送風装置が24時間稼働することで建築物内の24時間換気が実現する。
【0013】
(3)上記した床下空調システムにおいて、前記建築物は、床上空間に1階部分と、2階部分とを含み、前記送風装置は、前記床下空間の空気を前記2階部分に送るようにしてもよい。そのようにすれば、床下空間の加温された空気が通風路を介して床上空間に直接送風され、2階部分への熱輸送効果を高めることができる。
【0014】
(4)床下空調システムは、さらに、前記2階部分に設けられた空気循環ファンを含み、前記空気循環ファンは、1階部分に向けて前記2階部分の空気を送るようにしてもよい。そのようにすれば、床下空間の空気が送付装置により2階部分に送られ、2階部分に送られた空気が空気循環ファンにより1階部分に送られ、空気が建築物内で循環する。これにより、建築物内の空気循環により熱輸送が効率的に行われるようになる。
【0015】
(5)上記した床下空調システムにおいて、前記排出口は、前記2階の各居室の第2の床面に設けられていてもよい。そのようにすれば、床下空間の空気が各居室に直接送られるため、各居室の温度調整を容易にすることができる。
【0016】
(6)上記した床下空調システムにおいて、前記床下空間は、外部と接続する接続路を前記空調装置の付近に有していてもよい。そのようにすれば、空調装置からの空気と接続路からの空気をミキシングして床下空間に送ることができる。これにより、外部から導入された冷気がそのまま居室内に送られてしまうことを防止できる。
【0017】
(7)上記した床下空調システムにおいて、前記空調装置の温度センサは床上空間の温度を検知するように配置されていてもよい。通常は空調装置自体に温度センサが設けられており、床下空間の温度を検知してしまい、床上空間の温度とは関係なく、空調装置が作動してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複雑な操作を不要としながら、建築物内の熱輸送効果を高めることができる床下空調システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る床下空調システムの一実施形態を示す図であり、床下空調システムが適用された建物の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る床下空調システムSについて図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態のおいて、床下空調システムSは、空調装置が加温動作する場合について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の床下空調システムSは、床材1により仕切られた床下空間Dと床上空間Uとを備える建築物100に適用される。本実施形態において、建築物100は1階部分と2階建て部分を備える2階建建築物100である。
【0022】
図1に示すように、床下空調システムSは、床上空間U、床下空間D、第1の空調装置10、第2の空調装置20、送風装置30、通風路40および空気循環ファン50を含む。床上空間Uと床下空間Dとは床材1により仕切られている。床材1は、床上空間Uと床下空間Dとを連通する複数の開口部1aを有している。
【0023】
第1の空調装置10は、床上空間Uの空気を吸引し(図1の矢印aを参照)、加温したうえで床下空間Dに空間に排出する(図1の矢印bを参照)。具体的には、床上空間Uと床下空間Dとは床材1により仕切られており、第1の空調装置10は、その空調装置10の本体部が床上空間Uと床下空間Dとの間に設置された状態で床上空間Uに吸込口(図示しない)を有し、床下空間Dに排出口(図示しない)を有するように配置されている。これにより、第1の空調装置10は、吸込口より床上空間Uの空気を吸引し(図1の矢印aを参照)、排出口より床下空間Dに加温した空気を排出する(図1の矢印bを参照)。
【0024】
第2の空調装置20は、2階部分の天井付近に設置されており、吸込口より床上空間Uの天井付近の空気を吸引し(図1の矢印cを参照)、排出口より床上空間の2株分に空調した空気を排出する(図1の矢印dを参照)。具体的には、第2の空調装置は、天井付近の空気を吸入する吸入口(図示しない)を有し、加温したうえで下方に空間に排出する排出口(図示しない)を有する。本実施形態において、第2の加温器は階段6の登頂部の天井付近に設けられており、階段6に向かって空気を排出するように設置されている。
【0025】
送風装置30は、床下空間Dに設けられており、床下空間Dの空気を吸引し(図1の矢印eを参照)、通風路40を介して床下の空気を床上空間Uに送風する。具体的には、送風装置30は、床下空間Dであって空調装置から距離を置いた位置に設けられている。送風装置30は、従来よく知られるシロッコファン等の遠心式送風機であるが、軸流式送風機、斜流式送風機、横流式送風機等であってもよい。送風装置30は、床下空間Dの空気を送る方向にのみ作動する。なお、送風装置30は特段の操作がされない限り一定の出力で24時間連続稼働する。
【0026】
通風路40は、送風装置30により送られる床下空間Dの空気を通過させる通気管である。本実施形態において、通風路40は床下空間Dと建築物100の2階部分を接続しており、床下空間Dの空気を建築物100の2階部分に送る。具体的には、通風路40は、一端を送風装置30から空気を送り込まれるように接続しており、建築物100の内を通されて他端を2階部分の2階床面に他端を排出口として設けられている。これにより、通風路40を通った空気は2階部分の床面から噴出する(図1の矢印fを参照)。
【0027】
また、通気路の排出口は、2階部分に設けられ、壁7により仕切られた部屋の床面に設けられ、床下空間Dの空気を各居室に送ることができる。なお、通風路40は、各居室単位で開閉機構(図示しない)を備えていており、居室ごとに空気の噴出を制御することができる。送風装置30が一定の出力で24時間連続稼働するため、空調の不要な居室の開閉機構を閉じることで、空調が必要な居室の空調効果を高めることができる。
【0028】
空気循環ファン50は、吹き抜けとなった2階部分の天井に設けられており、2階部分の空気を下方、すなわち1階部分に送る(図1の矢印gを参照)。具体的には、1階部分と2階部分とが吹き抜けとなった吹抜部分の2階部分の天井に空気循環ファン50が設けられている。これにより、2階部分の床面に形成された通風路40の排出口から噴出した空気は、2階部分の空間を通り、空気循環ファン50により1階部分に送られる。
【0029】
本実施形態における床下空調システムSにおいて、第1の空調装置10の本体部は、外壁の内側に取り付けられた木製の設置板に固定されている。第1の空調装置10の本体部と設置板の間に隙間が形成されないように、本体部と設置板は互いに密着している(図示しない)。
【0030】
また、第1の空調装置10は、本体部をその側面部から上面部に亘って取り囲むようにして収納する木製の収納体に収容されている。なお、第1の空調装置10を収容する収納体の前面は、ガラリ式の引き戸(図示しない)。によりおおわれており、第1の空調装置10による空気の吸い込みを阻害しないようにしつつ、第1の空調装置10を覆い隠すことが可能となっている。
【0031】
また、第1の空調装置10は、空調制御に用いられ、第1の空調装置10の本体部の筐体外方であって床上空間に配置された温度センサを有している。なお、温度センサは、サーミスタにより構成されている。第1の空調装置10の温度センサは、空調装置の本体部をその側面部から上面部に亘って取り囲むようにして収納する木製の収納体の内側面部に取り付けられている。すなわち、温度センサは床上空間の温度を検知するように配置さる。
【0032】
閉塞板は、平板材及び把持部を有している。閉塞板の平板材は、全体としてコの字状に形成されており、第1の空調装置10の本体部が設置された状態で残る床材1の開口部1a(隙間)を埋める形状及び寸法が設定されている。また、平板材は、端部が設置板に密着するように形成されている。即ち、平板材は、隙間を完全に閉塞するように構成されている。なお、平板材は、床材1と空調装置との間に形成される隙間に嵌め込まれた状態で、その上面部と床面の間で段差が生じないように形成されている。
【0033】
建築物100の基礎2は、地盤に面して広がり建築物100を支える鉄筋コンクリートの基礎スラブと、この基礎スラブの外周縁部から立ち上がる基礎2立ち上げ部により構成されている。床材1と基礎2とで囲まれた領域である床下空間Dは、空気が自然に外部へ抜け出す換気口が設けられていない。床下空調システムSの断熱材は、発泡ポリスチレンにより構成されており、基礎スラブの外側前面と基礎2立ち上げ部の内側及び外側を被覆している。
【0034】
木炭塊3は、夫々、細かく砕かれた木炭を1つの塊状に集合させて構成されており、床下において基礎スラブの上面部から持ち上げられた状態で間隔を置いて数か所に載置されている。
【0035】
建築物100は、空気清浄装置4が設けられており、床下空間Dに新鮮な外気を24時間常時取り込むようになっている。具体的には、フィルター式の空気清浄装置4が外部に設けられ、接続路6を介して床下空間Dに外気を取り込む。空気清浄装置4は24時間継続して外気を取り込む。なお、空気清浄装置4は、除湿機能を有するものである。
【0036】
接続路6は、基礎2立ち上げ部を貫通して設けられており、貫通口と接続路6の間に隙間が形成されないようにシールされている。これにより、建築物100の床下空間Dの空気が自然に外部へ抜け出さない構造となっている。なお、建築物100は、2階天井は主としてセルロースを用いた断熱材が設けられており、1階部分の外壁上部は発泡プラスチックとセルロースを用いた断熱材で被覆されている。
【0037】
建築物100の2階部分の排気口5は、建築物100外部と連通している。具体的には、排気口5は、2階部分の外壁の天井に近い部分に設けられ、建築物100外部と連通している。排気口5は、開閉機構(図示しない)を備えているが、特段の意図がない場合以外は常時開いた状態となっている。
【0038】
次に、本実施形態にかかる床下空調システムSによる空気の流れについて説明する。
【0039】
本実施形態にかかる床下空調システムSでは、1階部分の床上空間Uの空気が第1の空調装置10により吸引され(図1の矢印aを参照)、加温後に床下空間Dに排出される(図1の矢印bを参照)。床下空間Dに排出された空気の一部は、床下空間Dを経由して床材1の開口部1aから1階部分の床上空間Uに排出される(図1の矢印hを参照)。
【0040】
また、床下空間Dに排出された空気の他の一部は、第1の空調装置10と送風装置30とが所定の間隔をおいて配置されているため、床下空間Dを通って送風装置30に吸引され(図1の矢印eを参照)、送風装置30から通風路40を経由して2階部分に送風され、各居室の排出口から排出される(図1の矢印fを参照)。さらに、2階部分の空気は、空気循環ファン50により1階部分の床上空間Uに送られる(図1の矢印gを参照)。
【0041】
このように、第1の空調装置10と、送風装置30と、通風路40と、空気循環ファン50により建築物100では強制的な空気循環が起こる。強制的な空気循環がおこることで建築物100内では、効率的な熱輸送効果が得られ、第1の空調装置10を調整することで、建築物100の居住者が適温と感じる温度に容易に調整することができる。
【0042】
また、本実施形態にかかる床下空調システムSは、送風装置30が24時間連続稼働し、空気清浄装置4が24時間常時空気を取り込み、排気口5が24時間空気を排気する。これにより、建築物内を24時間換気できるようになる。なお、空気清浄装置4が取り込む空気量と、排気口5が排気する空気量は概ね等しく、2時間で建物の容積に等しい空気量が空気清浄装置4取り込まれ、排気口5から排気される。
【0043】
さらに、第2の空調装置は、上述の空気循環の経路に組み込まれており、第2の空調装置を調整することにより、建築物100の温度調整がさらに容易になる。なお、床材1に開口部1aが設けられており、床下空間Dの空気が床上空間Uの一階部分に送られる。
【0044】
1階部分から2階部分へ上がる階段6は、建築物100内の状況により空気が上方または下方に移動する(図1の両矢印iを参照)。具体的には、2階部分の空気が1階部分の空気に比べて暖かい場合に、空気は階段6を下方に下る。一方で、2階部分の空気が1階部分の空気に比べて冷たい場合に、空気は階段6を上方に上る。
【0045】
また、床下空調システムSでは、基礎2のコンクリートや木炭塊により熱容量が高くなった床下空間Dから床上空間Uに空気を送る。したがって、蓄熱作用を有する床下空間Dを経由して送風装置30により空気が送られるため、建築物100の全体の温度を一定に保ちやすくなる。
【0046】
本実施形態において、床下空調システムSは、空調装置が加温動作をする場合について説明した。しかし、床下空調システムSは、空調装置が冷却動作をする場合についても使用できる。その場合、第2の空調装置が冷却動作を行うことが想定される。
【0047】
本実施形態において、床下空調システムSは、2階建て建築物100を例に説明してきた。しかし、床下空調システムは1階建ての建築物又は3階建て以上の建築物に適用されてもよい。その場合、送風装置30は、本実施形態と同様に床下空間に設けられ、通風路40を各階まで延長し、各階に通風路40の排出口を設けるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態において、床下空調システムSは、2台の空調装置によって加温が行われる例について説明した。しかし、床下空調システムSは、第1の空調装置のみによって加温が行われるものであってもよい。また、他の空調装置を増設して使用するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態において、空気循環ファン50は、大型羽ファンにより吹き抜け構造において2階部分の空気を1階部分に送る例について説明した。しかし、空気循環ファンは、送風装置30のような軸流式送風機等を2階部分の床材に埋設し、2階部分の空気を1階部分に送る構成であってもよい。
【0050】
以上、本実施形態に係る床下空調システムSについて説明した。ただし、床下空調システムは上記の実施形態に限定されず、発明の目的を達成する範囲で他の構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本実施形態において、床下空調システムSは、建築物の空調に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
S 床下空調システム
1 床材
2 基礎
3 木炭塊
4 空気清浄装置
5 排気口
6 接続路
10 第1の空調装置
20 第2の空調装置
30 送風装置
40 通風路
50 循環ファン
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材により仕切られた床下空間と床上空間とを備える建築物において、
前記床上空間の空気を吸引し、加温したうえで前記床下空間に排出する空調装置と、
前記床下空間に設けられ、床下空間の空気を送る方向にのみ作動する送風装置と、
前記送風装置に付設して設けられ、前記床上空間と前記床下空間とを連通する通風路とを備え
前記送風装置が一定の出力で24時間稼働することを特徴とする、床下空調システム。
【請求項2】
さらに、前記床上空間の空気を排出する排気口と、
前記床下空間から外部と接続する接続路とを備え、
前記送風装置が稼働することにより、前記接続路から外部の空気を吸引し、かつ、前記排気口から外部へ空気を排出し、
前記送風装置が24時間稼働する、請求項1に記載の床下空調システム。
【請求項3】
前記建築物は、床上空間に1階部分と、2階部分とを含み、
前記送風装置は、前記床下空間の空気を前記2階部分に送る、請求項に記載の床下空調システム。
【請求項4】
さらに、前記2階部分に設けられた空気循環ファンを含み、前記空気循環ファンは、階部分に向けて前記2階部分の空気を送る、請求項3に記載の床下空調システム。
【請求項5】
前記排口は、前記2階の各居室の第2の床面に設けられている、請求項3または請求項4に記載の床下空調システム。
【請求項6】
前記床下空間は、外部と接続する接続路を前記空調装置の付近に有している、請求項5に記載の床下空調システム。
【請求項7】
前記空調装置の温度センサは床上空間の温度を検知するように配置されている、請求項6に記載の床下空調システム。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材により仕切られた床下空間と床上空間とを備える建築物において、
前記床上空間の空気を吸引し、加温したうえで前記床下空間に排出する空調装置と、
前記床下空間に設けられ、床下空間の空気を送る方向にのみ作動する送風装置と、
前記送風装置に付設して設けられ、前記床上空間と前記床下空間とを連通する通風路と
前記床上空間の空気を排出する排気口と、
前記床下空間から外部と接続する接続路とを備え、
前記送風装置が一定の出力で24時間稼働することを特徴とする、床下空調システム。
【請求項2】
前記送風装置が稼働することにより、前記接続路から外部の空気を吸引し、かつ、前記排気口から外部へ空気を排出し、
前記送風装置が24時間稼働する、請求項1に記載の床下空調システム。
【請求項3】
前記建築物は、床上空間に1階部分と、2階部分とを含み、
前記送風装置は、前記床下空間の空気を前記2階部分に送る、請求項に記載の床下空調システム。
【請求項4】
さらに、前記2階部分に設けられた空気循環ファンを含み、前記空気循環ファンは、階部分に向けて前記2階部分の空気を送る、請求項3に記載の床下空調システム。
【請求項5】
前記排口は、前記2階の各居室の第2の床面に設けられている、請求項3または請求項4に記載の床下空調システム。
【請求項6】
前記床下空間は、外部と接続する接続路を前記空調装置の付近に有している、請求項5に記載の床下空調システム。
【請求項7】
前記空調装置の温度センサは床上空間の温度を検知するように配置されている、請求項6に記載の床下空調システム。