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特開2023-76813エチレンのオリゴマー化における直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセス及び触媒組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076813
(43)【公開日】2023-06-02
(54)【発明の名称】エチレンのオリゴマー化における直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセス及び触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/38 20060101AFI20230526BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20230526BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20230526BHJP
   C07C 2/08 20060101ALI20230526BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230526BHJP
【FI】
B01J31/38 Z
B01J37/04 102
C07C11/02
C07C2/08
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186138
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】202121053985
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】518386656
【氏名又は名称】インディアン オイル コーポレイション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INDIAN OIL CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】カウル、スクディープ
(72)【発明者】
【氏名】ラニ、ラシュミ
(72)【発明者】
【氏名】シン、グルミート
(72)【発明者】
【氏名】シン、ディール
(72)【発明者】
【氏名】チョプラ、アンジュ
(72)【発明者】
【氏名】カプール、グルプリート シン
(72)【発明者】
【氏名】ラマクマール、サンカラ スリ ベンカタ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA21C
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA27C
4G169BA44A
4G169BA44C
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BB08C
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC16C
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC51C
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD01C
4G169BD02A
4G169BD02B
4G169BD02C
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD04C
4G169BD06A
4G169BD06C
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE02B
4G169BE07A
4G169BE07B
4G169BE07C
4G169BE19A
4G169BE19C
4G169BE36A
4G169BE36B
4G169BE45A
4G169BE45C
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169BE46C
4G169CB47
4G169DA02
4G169FA01
4G169FB05
4G169FC02
4G169FC10
4H006AA02
4H006AB46
4H006AC21
4H039CA29
4H039CF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高収率で直鎖状α-オレフィンを製造するための触媒組成物、その調製プロセスおよび直鎖状α-オレフィンの製造プロセスを提供する。
【解決手段】エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するための触媒組成物であって、(i)式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物、ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される、(ii)式R AlY3-n、又は式Al の有機アルミニウム化合物、ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基を示し、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である、及び、(iii)環状エーテル及び非環状エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、を含む、触媒組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するための触媒組成物であって、前記触媒組成物は、
(i)式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物、ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される、
(ii)式R AlY3-n、又は式Al の有機アルミニウム化合物、ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基を示し、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である、及び、
(iii)環状エーテル及び非環状エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、
を含む、
ことを特徴とする触媒組成物。
【請求項2】
前記ジルコニウム化合物が、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム(ZrCl・2THF)、ZrCl・2(N,N-ジイソブチルアセトアミド)、又はそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記有機アルミニウム化合物が、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、及びそれらの混合物のうちの1つから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項4】
アルミニウム対ジルコニウムのモル比が10:1~70:1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記環状エーテル及び前記非環状エーテルが、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジビニルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、フラン、2-メチルフラン、テトラヒドロピランのような脂環式エーテル、芳香族エーテル、モノエーテル、ジエーテル、テトラエーテル、ポリエーテル、及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項6】
ジルコニウム対ルイス塩基のモル比が、1:10~1:30である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項7】
エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するために用いられる触媒組成物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物であって、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される、化合物、
式R AlY3-n、又は式Al の有機アルミニウム化合物であって、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である、化合物、
エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、及び、
不活性有機溶媒、
を組み合わせることを含む、
ことを特徴とするプロセス。
【請求項8】
前記不活性有機溶媒が、ハロゲンで置換された若しくは置換されていない芳香族炭化水素、脂肪族パラフィン炭化水素、脂環式炭化水素化合物、ハロゲン化アルカン、及びそれらの混合物から選択され、
前記ハロゲンで置換された若しくは置換されていない芳香族炭化水素は、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、又はクロロトルエンから選択され、
前記脂肪族パラフィン炭化水素は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、またはデカンから選択され、
前記脂環式炭化水素化合物は、シクロヘキサン、またはデカヒドロナフタレンから選択され、及び、
前記ハロゲン化アルカンは、ジクロロエタン、またはジクロロブタンから選択される、
ことを特徴とする請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1に記載の触媒組成物の存在下、エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを製造するプロセスであって、前記プロセスは、前記触媒組成物の存在下、不活性有機溶媒中、反応温度50℃~150℃でエチレンのオリゴマー化を含み、95重量%を超えるα-オレフィンと微量のポリマー副生成物を生成する、ことを特徴とするプロセス。
【請求項10】
前記プロセスは、炭素数C4-C24の幅広い重量%分布を有する直線状オリゴマー生成物を提供する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスは60重量%を超えるC6-C10画分を提供する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応温度は、60℃~110℃である、
ことを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直鎖状α-オレフィンを高収率で調製するためのプロセスに関する。直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するプロセスは、(i)式ZrXm・nAを有するジルコニウム化合物(Xは水素原子であり、mは4以下の値を有する整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドラフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、又はその両方を含む群から選択される)、(ii)式R AlY3-n又はAl (ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基を表し、YはCl、Br、又はIを表し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である)の有機アルミニウム化合物、及び(iii)環状エーテル及び非環状エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、から形成される新規の触媒組成物の存在下におけるエチレンのオリゴマー化によって実施される。本プロセスは、有機溶媒中で実施される。記載のプロセスは、触媒組成物の著しく高い活性を提供し、生成物としてのα-オレフィンの高収率及び副生成物としてのポリマーの著しい最小化をもたらす。
【背景技術】
【0002】
エチレンオリゴマー化プロセスは、末端二重結合を有する偶数炭素数のオレフィン(炭素原子数4~20以上)の混合物を生成する。オリゴマー化プロセスは、所望の生成物とともに内部オレフィン、分岐オレフィン、及びポリマーのような望ましくない副生成物の形成につながる。従って、エチレンのオリゴマー化では、所望の選択性、α-オレフィンの純度、及び生成物の分布を得るために、触媒システムとプロセス条件とが重要な役割を果たす。以下に、エチレンのオリゴマー化に使用される従来のプロセス及び触媒システムのいくつかを開示する。
【0003】
特許文献1は、ZrClとエチルアルミニウムセスキクロリドとからなる2成分と、2成分系の活性を高めるために第3の成分として加えられる、第三級アミン、エーテル、ホスフィンオキシド、アルキルホスフェート、アリールホスフェート、スルホキシドのようなルイス塩基を開示している。しかし、ルイス塩基は、エチレンのオリゴマー化における触媒のフリーデルクラフト活性を終了させ、直鎖状α-オレフィンの純度を向上させた触媒活性を低下させた。
【0004】
特許文献2は、四塩化ジルコニウムとアルミニウムセスキクロリドを含む触媒系を開示しており、アルキルジスルフィド、チオエーテル、チオフェン、及び一級アミンのようなヘテロ原子を含む有機化合物が乾燥ベンゼン溶媒中でルイス塩基として使用されている。しかし、触媒の選択性は、C6-C14に対してわずかに改善されるが、ZrClの溶解性の低さと、このプロセスの厳しい反応条件により、直鎖状α-オレフィンとともに多量のオレフィンワックス及びポリマーが観察される。
【0005】
特許文献3は、アルコール(メタノール及び/又はエタノール)を第3成分として使用し、ZrClとトリエチルアミン及びエチルアルミニウムセスキクロリドとの組み合わせ中にZrClを組み合わせて含む触媒を開示している。このプロセスは、不純物を含まない高純度α-オレフィンの製造に重点を置いているが、直鎖状α-オレフィンと共に、C20+画分(14~30重量%)も高い収率で得られる。
【0006】
特許文献4は、一般式ZrXで表されるジルコニウム化合物と、ケタール類及びアセタール類の有機化合物とを、塩化ジエチルアルミニウムと組み合わせて混合することによって得られる触媒を開示する。これらの成分をアルゴン雰囲気下で一定時間攪拌し、活性触媒システムを形成し、エチレンの軽質オレフィン(C4~C10)へのオリゴマー化について評価する。前記オリゴマー化触媒は、C6-C10画分の選択性が低く、重オリゴマーのワックス状固体が形成され、これらが最終的に蓄積して、反応器の閉塞を引き起こし、長期間の生産の実行を阻害することを示す。
【0007】
特許文献5及び特許文献6は、共に、一般式ZrCl4-m(RCOO)のジルコニウム系カルボキシレート錯体と有機アルミニウム化合物とを開示する。好ましくは、触媒システムの選択性と低分子量の直鎖状α-オレフィンの純度とに対する相乗効果を得るために、1つの電子供与体との組み合わせにおいて、又は少なくとも2つの電子供与体との混合物として、塩化ジエチルアルミニウムを使用する。Al/Zrモル比17.5での電子供与体存在下では、触媒活性に負の影響を及ぼしつつ、直鎖状α-オレフィンの純度が向上する。Al/Zrモル比の増加に伴い、ワックス及び/又はポリマーのような望ましくなく且つ問題のある副生成物が大量に存在することは、低分子量オリゴマーの収率を下げるだけでなく、それらの純度にも影響を与える。これらのワックス及び/又はポリマーを、定期的に反応器から除去する必要があり、プロセス装置の稼働時間を減少させる。従って、このプロセスの別の欠点は、触媒の活性が低いことである。
【0008】
特許文献7は、ハロゲン化ジルコニウム、有機アルミニウム化合物及びルイス塩基からなる触媒の存在下で、エチレン又はエチレンを含有するガスを重合し、得られた反応混合物に触媒不活性化剤を添加することを含む、炭素原子数4~20の直鎖状α-オレフィンを調製するプロセスを開示している。しかし、特許文献7では、直鎖状α-オレフィンと共に、副生成物ワックスも少量生産される。
【0009】
特許文献8は、少なくとも1つの遷移金属ビスフェノール酸塩化合物と少なくとも1つの助触媒とを含むエチレンのオリゴマー化のための触媒組成物を開示する。遷移金属ビスフェノール酸塩は、ジルコニウム(IV)ビスフェノール酸塩であり、助触媒は、ジエチルアルミニウムクロリド及び/又はエチルアルミニウムセスキクロリドを含む有機アルミニウム化合物である。更に、電子供与体化合物は、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、アニソール、チオフェン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルアミン、及び2-ピロリドンから選択される。
【0010】
特許文献9は、C4~C16直鎖状オリゴマー生成物を製造するエチレンのオリゴマー化のための触媒組成物を開示する。この触媒組成物は、ジルコニウムアミド化合物、有機アルミニウム化合物、及び添加剤を含む。ジルコニウムアミド化合物は、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウムであり、置換アミドはN,N-ジイソブチルアセトアミドであり、そのモル比は0.1~5である。有機アルミニウム化合物は、ジエチルアルミニウムクロリド、又はエチルアルミニウムセスキクロリドを含み、添加剤は、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、アニソール、テトラヒドロフラン、1,2-ジオキサン、チオフェンから選択される。エチレンのオリゴマー化のための前記触媒組成物は、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物、及びルイス塩基から製造される。ルイス塩基は、電子供与体として作用し、直鎖状α-オレフィン生成物以外のオレフィン、特に内部オレフィンの主要部分の生成のための副反応を終了させることによる、改良された分子量制御を介してエチレンのオリゴマー化の選択性を高めるが、これは次には触媒の活性低下につながる。
【0011】
特許文献10は、エチレンの選択的なオリゴマー化のための触媒組成物、及び軽質直鎖状(α-オレフィン)を調製するためのプロセスを開示する。この触媒組成物は、遷移金属Mの化合物(ここで、Mはジルコニウムを含む)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,486,615号明細書
【特許文献2】米国特許第4,783,573号明細書
【特許文献3】米国特許第5,260,500号明細書
【特許文献4】米国特許第5,345,023号明細書
【特許文献5】米国特許第8,653,316号明細書
【特許文献6】米国特許第9,050,587号明細書
【特許文献7】欧州特許第0241596号明細書
【特許文献8】国際公開第2007/090412号
【特許文献9】米国特許出願公開第2021/0178376号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2005/0070425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、既知のエチレンオリゴマー化方法には、低分子量オリゴマーとともにワックス及びポリマーのような副生成物が発生するなどの多くの欠点がある。これらの望ましくない副生成物は、低分子量オリゴマーの収率を低下させ、その純度にも影響を及ぼす。更に、これらのワックス及び/又はポリマーを定期的に反応器から除去する必要があり、プロセス装置の作業時間が短縮される。従って、このプロセスの別の欠点は、触媒の活性が低いことである。
【0014】
従って、エチレンをオリゴマー化し、高収率で直鎖状α-オレフィンを製造するためのプロセスおよび触媒組成物が必要とされている。更に、エチレンのオリゴマー化の際に、ワックス及びポリマーのような副生成物の生成を最小化するためのプロセス及び触媒組成物が必要とされている。更には、触媒活性を向上させたエチレンのオリゴマー化プロセスも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセス及び新規な触媒組成物について説明する。直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセスは、ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、及び少なくとも1つのルイス塩基を含む触媒組成物の存在下でエチレンをオリゴマー化することによって行われる。式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物、ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される。式R AlY3-n、又は式Al を有する有機アルミニウム化合物、ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数であり、アルミニウム対ジルコニウムのモル比は約5:1~約100:1である。少なくとも1つのルイス塩基は、エーテルから選択され、ここで、ジルコニウム対ルイス塩基のモル比は1:10~1:50である。
【0016】
ジルコニウム化合物は、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム(ZrCl・2THF)、ZrCl・2(N,N-ジイソブチルアセトアミド)、又はそれらの組合せである。
【0017】
有機アルミニウム化合物は、アルキルアルミニウム、トリアルケニルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハリド、アルキルアルミニウムセスキハリド、ジアルキルアルミニウムヒドリド、部分水素化アルキルアルミニウム、アルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、及びこれらの混合物の1つから選択される。アルキルアルミニウムは、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムから選択されるトリアルキルアルミニウムである。トリアルケニルアルミニウムは、トリイソプレニルアルミニウムである。ジアルキルアルミニウムハリドは、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、及びジエチルアルミニウムブロミドから選択される。アルキルアルミニウムセスキハリドは、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドから選択される。ジアルキルアルミニウムヒドリドは、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドから選択される。部分水素化アルキルアルミニウムは、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドから選択される。アルミノキサンは、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、テトラエチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサンから選択される。ジエチルアルミニウムエトキシドは、ジエチルアルミニウムクロリド及びエチルアルミニウムセスキクロリドから選択される。
【0018】
本開示による触媒組成物は、アルミニウム対ジルコニウムのモル比が、10:1~70:1である。
【0019】
ルイス塩基は、環状エーテル及び非環状エーテルから選択され、これらに限るものではないが、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジビニルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、フラン、2-メチルフラン、テトラヒドロピランのような、脂環式エーテル、芳香族エーテル、モノエーテル、ジエーテル、テトラエーテル、ポリエーテル、及びこれらの混合物を含む。
【0020】
本開示による触媒組成物は、ジルコニウム対ルイス塩基のモル比が1:10~1:50である。
【0021】
本開示は、エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを製造するために使用される触媒組成物を調製するプロセスを提供する。前記プロセスは、ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、少なくとも1つのルイス塩基、及び不活性有機溶媒を組み合わせることを含む。式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物、ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される。式R AlY3-n、又は式Al を有する有機アルミニウム化合物、ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である。少なくとも1つのルイス塩基は、エーテルから選択される。不活性有機溶媒は、ハロゲンで置換された又は置換されていない芳香族炭化水素、脂肪族パラフィン炭化水素、脂環式炭化水素化合物、ハロゲン化アルカン、及びこれらの混合物から選択される。芳香族炭化水素は、ハロゲンで置換された又は置換されておらず、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、又はクロロトルエンから選択される。脂肪族パラフィン炭化水素は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンから選択される。脂環式炭化水素化合物は、シクロヘキサン、又はデカヒドロナフタレンから選択される。ハロゲン化アルカンは、ジクロロエタン、又はジクロロブタンから選択される。
【0022】
本開示は、本明細書に開示されるような触媒組成物の存在下でエチレンをオリゴマー化することにより、直鎖状α-オレフィンを製造するためのプロセスを提供する。前記プロセスは、50℃~150℃の反応温度で、前記触媒組成物の存在下、不活性有機溶媒中でエチレンをオリゴマー化することを含み、95重量%超のα-オレフィン及び著しく少ないポリマー/ワックス副生成物が得られる。反応温度は60℃~110℃である。
【0023】
このプロセスは、C4~C24炭素の幅広い重量パーセント分布を有する直鎖状オリゴマー生成物を提供する。このプロセスは、60重量%超のC6~C10画分を提供する。
【0024】
(目的)
本開示の主目的は、エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセス及び触媒組成物を提供することである。
【0025】
本開示の更なる目的は、触媒組成物の存在下でエチレンのオリゴマー化を行うことにより直鎖状α-オレフィンを製造するプロセスであって、触媒組成物が、ルイス塩基を使用するにもかかわらず、高い活性を与えるプロセスを提供することである。
【0026】
本開示の更なる目的は、環状エーテル及び非環状エーテルから選択されるルイス塩基を提供することである。
【0027】
本開示の更なる目的は、(i)ZrCl・2THF、又はZrCl・2(N,N-ジイソブチルアセトアミド)、又はその両方、(ii)ESCA、又はDEAC、又はESCA/DEAC、(iii)非環状エーテル、環状エーテル、又はそれらの組み合わせと、有機溶媒とから形成される触媒組成物を提供することである。
【0028】
このZr系の触媒とエーテル系のルイス塩基との組み合わせは、商業上使用されている酢酸系のルイス塩基と比較して、触媒活性のおよそ3倍の増加をもたらした。
【発明を実施するための形態】
【0029】
主な実施形態によれば、本開示は、直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセス及び触媒組成物を提供する。
【0030】
具体的に、本開示は、(i)式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物(ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される)、(ii)式R AlY3-n、又は式Al の有機アルミニウム化合物(ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である)、及び、(iii)環状エーテル及び非環状エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、から形成される触媒組成物の存在下で、エチレンをオリゴマー化することにより、直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するためのプロセスを提供する。ここで、ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物及び少なくとも1つのルイス塩基は全て、不活性有機溶媒中で組み合わされる。開示のプロセスは、生成物としてのα-オレフィンの高収率をもたらす触媒組成物の著しく高い活性を提供し、副産物としてのポリマーの生成を著しく減少させる。
【0031】
実施形態において、式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物であり、ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の値を有する整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、又は両方を含む群から選択されることを特徴とする。
【0032】
ジルコニウム化合物は、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム(ZrCl・2THF)、ZrCl・2(N,N-ジイソブチルアセトアミド)、又はそれらの組み合わせである。好ましくは、ジルコニウム化合物は、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム、ZrCl・2THFである。実施形態において、ジルコニウム化合物は、任意のモル比で使用することができる。
【0033】
実施形態において、有機アルミニウム化合物及びルイス塩基と共にジルコニウム化合物は、高い活性を提供し、広い重量パーセント分布、つまりC4~C24を有する直鎖状オリゴマー生成物を製造するエチレンオリゴマー化のための触媒組成物として使用される。
【0034】
実施形態において、有機アルミニウム化合物の一般式は、R AlY3-n、又はAl であり、ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である。本明細書に開示される有機アルミニウム化合物は、特に限るものではないが、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、及びトリ-n-オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム、及びトリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、及びジエチルアルミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、及びエチルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアルミニウムセスキハリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、及びジブチルアルミニウムヒドリドのようなジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、及びプロピルアルミニウムジヒドリドのような部分水素化アルキルアルミニウム、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、テトラエチルアルミノキサン、及びテトライソブチルアルミノキサンのようなアルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、好ましくはジエチルアルミニウムクロリド、及びエチルアルミニウムセスキクロリド、及びそれらの混合物を含む。
【0035】
アルミニウム対ジルコニウムのモル比は、約5:1~約100:1であり、好ましくは約10:1~約70:1である。
【0036】
本発明の別の実施形態では、ルイス塩基は、環状エーテル及び非環状エーテルから選択され、これらに限るものではないが、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジビニルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、フラン、2-メチルフラン、テトラヒドロピランのような、脂環式エーテル、芳香族エーテル、モノエーテル、ジエーテル、テトラエーテル、ポリエーテル、及びこれらの混合物を含む。
【0037】
1つの実施形態において、ジルコニウム対ルイス塩基のモル比は、約1:10~約1:30である。
【0038】
一実施形態において、エチレンのオリゴマー化は、不活性有機溶媒中で実施される。不活性有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のような非置換又はハロゲンで置換された芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のような脂肪族パラフィン炭化水素、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等のような脂環式炭化水素化合物、ジクロロエタン、ジクロロブタン等のようなハロゲン化アルカン、及び炭素鎖C6~C12の高級オレフィンを含む。一実施形態において、これらの溶媒の混合物も使用することができる。
【0039】
エチレンのオリゴマー化用触媒組成物の製造方法には様々なものがあり、以下に記載する。
I.ジルコニウム化合物は、溶媒、好ましくは不活性有機溶媒中で、アルキルアルミニウムハリドと組み合わせる前に、少なくとも1つのルイス塩基と組み合わせることができる。不活性有機溶媒は同じ溶媒であることができ、この触媒組成物を利用してオリゴマー化を実施する。
II.ジルコニウム化合物は、少なくとも1つのルイス塩基をその中に加える前に、不活性有機溶媒中でアルキルアルミニウムハリドと組み合わせることができる。
III.ジルコニウム化合物の溶液は、少なくとも1つのルイス塩基と共にアルキルアルミニウムハリドの溶液に添加する前に、不活性有機溶媒中で調製することができる。
IV.ジルコニウム化合物は、そのまま、少なくとも1つのルイス塩基と共にアルキルアルミニウムハリドの溶液に、添加されることができる。
V.ジルコニウム化合物、アルキルアルミニウムハリド、及び少なくとも1つのルイス塩基は、エチレンのオリゴマー化のために投入する前に不活性有機溶媒中で適切な順序で組み合わせることができる。
VI.本明細書に開示される触媒組成物は、不活性有機溶媒中で、ジルコニウム化合物、アルキルアルミニウムハリド、及び少なくとも1つのルイス塩基を加えることにより、反応器内でその場で形成されることができる。
【0040】
しかしながら、本開示によれば、触媒成分の添加順序は特に限定されない。好ましくは、触媒組成物は、オリゴマー化反応器への投入の前に、別の反応容器で調製される。触媒成分の接触は、不活性雰囲気下、好ましくは窒素及び/又はアルゴン下で行うことができる。触媒組成物は、好ましくは周囲温度で調製することができる。
【0041】
実施形態において、エチレンのオリゴマー化のための本発明の触媒組成物は、望ましい分子量範囲、つまり炭素原子数4~24の範囲のオリゴマーで、約90モル%以上のような高い直線性を有する直鎖状α-オレフィンを生成する。
【0042】
本発明によれば、触媒組成物は、約50℃~約150℃、好ましくは約60℃~約110℃の反応温度で、直鎖状α-オレフィンを調製するためのプロセスにおいて利用することができる。
【0043】
ジルコニウム化合物及び有機アルミニウム化合物を有する本開示の触媒組成物は、広い重量パーセント分布、つまりC4~C24を有する直鎖状低分子量α-オレフィンを製造するためのエチレンのオリゴマー化に、ルイス塩基を用いずに使用することが可能である。驚くべきことに、少なくとも1つのルイス塩基を有する触媒組成物は、触媒活性および生産性を更に高め、生成物分布を変化させ、特にα-オレフィンを高純度で、副産物としてのワックス/ポリマーの形成なしで、C6画分の高い収率を得られることが見いだされた。
【0044】
本開示で利用される触媒組成物は、いくつかの利点を提供する。ジルコニウム化合物は安定な化合物であり、容易に入手可能である。この化合物は、助触媒及びルイス塩基と共に用いられた場合、容易に溶解する。この触媒は、広い重量パーセント分布を有する直鎖状オリゴマー生成物形成を伴う高い活性及び生産性、つまり、副産物としてワックス/ポリマーを形成することなく、特に高純度のα-オレフィンを有するC4~C24、特にC6画分の高い収率を提供する。
【0045】
全ての手順は、乾燥窒素雰囲気下で、予め乾燥させた試薬/溶媒を使用して実施された。全てのアルキルアルミニウム化合物及びその溶液は、Gulbrandsenから入手し、そのまま使用した。
【0046】
(実施例)
テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウムは、シグマ・アルドリッチから入手し、そのまま使用し、テトラクロロビス(N,N-ジイソブチルアセトアミド)ジルコニウムは、米国特許出願公開第2021/0178376号明細書に報告されているように調製した。
【0047】
エチレンのオリゴマー化は、以下のように実施した。
窒素を入れた充填フラスコに、20mlの乾燥トルエンを加え、次いでジルコニウム触媒を加えた。この透明且つ均一な混合物を15分間撹拌し、触媒の溶解を観察した。次に、助触媒を溶液に加え、添加剤としてルイス塩基を加えた。この時点で、触媒の完全な溶解が観察された。この透明な溶液を、乾燥トルエンを有する30℃に事前調整された反応器に投入した。オリゴマー化は、80℃、35barのエチレン圧力で60分間行われた。透明な液体を回収した後、触媒システムを急冷させるために10mlのメタノールで処理した。ポリマーの生成と同様にワックスの生成もなく、ポリマーが検出されたとしても、それは微量であった。
【0048】
液体生成物サンプルをガスクロマトグラフィ(GC-FID)で分析し、エチレン及び高級オリゴマーの量及び分布を決定した。
【0049】
以下の実施例は、例示の目的のみのために本明細書に含まれる。当業者は、本発明の本質を変えることなく、本発明において多くの変更がなされ得ることを理解するであろう。
【0050】
略語
1.EASC=エチレンアルミニウムセスキクロリド
2.DEAC=ジエチルアルミニウムクロリド
3.DEE=ジエチルエーテル
4.DPE=ジ-n-プロピルエーテル
5.DBE=ジ-n-ブチルエーテル
6.EA=酢酸エチル
7.DiPE=ジ-イソプロピルエーテル
8.BPE=ブチルフェニルエーテル
9.2MF=2-メチルフラン
10.EG=モノエチレングリコール
11.ZrCl・2THF=テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム=ZrT
12.ZrCl・2(N,N-ジイソブチルアセトアミド)=テトラクロロビス(N,N-ジイソブチルアセトアミド)ジルコニウム=ZrN
【0051】
更に、以下の表(1~4)は、異なる条件を用いたエチレンオリゴマー化を示し、条件の詳細は後述の表(1~4)に記載されている。
【0052】
表1
EASCを助触媒として使用するエチレンのオリゴマー化について、異なる環状エーテル及び非環状エーテルを添加剤として使用した実施例、Al/Zr(mol)=17.5、及びZr/添加剤(mol)=30
【表1】
【0053】
表2
DBEを添加剤として使用したエチレンのオリゴマー化において様々な助触媒を使用した実施例、Al/Zr(モル)=17.5、及びZr/添加剤(モル)=30
【表2】
【0054】
表3
EASCを助触媒として、DBEを添加剤として使用したエチレンのオリゴマー化において、異なるモル比のアルキルアルミニウムを使用した実施例、Zr/添加剤=30
【表3】
【0055】
表4
EASCを助触媒として、Al/Zrのモル比を17.5として使用したエチレンのオリゴマー化において、異なるモル比のDBEを使用した実施例
【表4】
【0056】
[付記]
[付記1]
エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するための触媒組成物であって、前記触媒組成物は、
(i)式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物、ここで、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される、
(ii)式R AlY3-n、又は式Al の有機アルミニウム化合物、ここで、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基を示し、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である、及び、
(iii)環状エーテル及び非環状エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、
を含む、
ことを特徴とする触媒組成物。
【0057】
[付記2]
前記ジルコニウム化合物が、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム(ZrCl・2THF)、ZrCl・2(N,N-ジイソブチルアセトアミド)、又はそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒組成物。
【0058】
[付記3]
前記有機アルミニウム化合物が、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、及びそれらの混合物のうちの1つから選択される、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒組成物。
【0059】
[付記4]
アルミニウム対ジルコニウムのモル比が10:1~70:1である、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒組成物。
【0060】
[付記5]
前記環状エーテル及び前記非環状エーテルが、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジビニルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、フラン、2-メチルフラン、テトラヒドロピランのような脂環式エーテル、芳香族エーテル、モノエーテル、ジエーテル、テトラエーテル、ポリエーテル、及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒組成物。
【0061】
[付記6]
ジルコニウム対ルイス塩基のモル比が、1:10~1:30である、
ことを特徴とする付記1に記載の触媒組成物。
【0062】
[付記7]
エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを高収率で製造するために用いられる触媒組成物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
式ZrX・nAを有するジルコニウム化合物であって、Xはハロゲン原子であり、mは4以下の整数であり、nは2以下の数であり、Aはテトラヒドロフラン、N,N-ジイソブチルアセトアミド、及びその両方を含む群より選択される、化合物、
式R AlY3-n、又は式Al の有機アルミニウム化合物であって、Rは1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、YはCl、Br、又はIを示し、nは1≦n≦2の範囲内の任意の数である、化合物、
エーテルから選択される少なくとも1つのルイス塩基、及び、
不活性有機溶媒、
を組み合わせることを含む、
ことを特徴とするプロセス。
【0063】
[付記8]
前記不活性有機溶媒が、ハロゲンで置換された若しくは置換されていない芳香族炭化水素、脂肪族パラフィン炭化水素、脂環式炭化水素化合物、ハロゲン化アルカン、及びそれらの混合物から選択され、
前記ハロゲンで置換された若しくは置換されていない芳香族炭化水素は、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、又はクロロトルエンから選択され、
前記脂肪族パラフィン炭化水素は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、またはデカンから選択され、
前記脂環式炭化水素化合物は、シクロヘキサン、またはデカヒドロナフタレンから選択され、及び、
前記ハロゲン化アルカンは、ジクロロエタン、またはジクロロブタンから選択される、
ことを特徴とする付記7に記載のプロセス。
【0064】
[付記9]
付記1に記載の触媒組成物の存在下、エチレンのオリゴマー化により直鎖状α-オレフィンを製造するプロセスであって、前記プロセスは、前記触媒組成物の存在下、不活性有機溶媒中、反応温度50℃~150℃でエチレンのオリゴマー化を含み、95重量%を超えるα-オレフィンと微量のポリマー副生成物を生成する、ことを特徴とするプロセス。
【0065】
[付記10]
前記プロセスは、炭素数C4-C24の幅広い重量%分布を有する直線状オリゴマー生成物を提供する、
ことを特徴とする付記9に記載のプロセス。
【0066】
[付記11]
前記プロセスは60重量%を超えるC6-C10画分を提供する、
ことを特徴とする付記9に記載のプロセス。
【0067】
[付記12]
前記反応温度は、60℃~110℃である、
ことを特徴とする付記9に記載のプロセス。
【外国語明細書】