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特開2023-7682部分放電診断支援装置、診断支援方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007682
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】部分放電診断支援装置、診断支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20230112BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20230112BHJP
   G01R 31/56 20200101ALI20230112BHJP
【FI】
G01R31/12 A
G01R31/50
G01R31/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110683
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴野 幸造
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊也
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】水出 隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栄也
【テーマコード(参考)】
2G014
2G015
【Fターム(参考)】
2G014AA15
2G014AB09
2G014AC15
2G015AA06
2G015AA16
2G015BA04
2G015BA06
2G015CA01
(57)【要約】
【課題】操作者が絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる、部分放電診断支援装置、診断支援方法、およびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態の部分放電診断支援装置は、取得部と、出力処理部とを持つ。取得部は、筐体内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度に基づく時刻別の分析結果を取得する。出力処理部は、前記取得部によって取得された前記分析結果を表す表であって、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸にとり、前記第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸にとった複数のマス目を有する前記表を表示する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度に基づく時刻別の分析結果を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記分析結果を表す表であって、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸にとり、前記第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸にとった複数のマス目を有する前記表を出力する出力処理部と、
を備える部分放電診断支援装置。
【請求項2】
前記第2の情報は、前記第1の期間を区分する第2の期間を示す情報である、
請求項1に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項3】
前記第1の期間は、日を基準とする期間であり、
前記第2の期間は、時間帯を基準とする期間である、
請求項2に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項4】
前記部分放電が促進される第1の条件の選択を受け付ける第1選択部を備え、
前記出力処理部は、操作者の選択に応じて、前記複数のマス目のうち、前記第1の条件を満たす期間のマス目を、他のマス目とは異なる表示態様で出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項5】
前記第1の条件は、気象に関する条件である、
請求項4に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項6】
前記分析結果は、前記部分放電の発生に関する複数の要因を含み、
前記出力処理部は、前記表のマス目に前記要因を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記信号強度を取得し、
前記出力処理部は、操作者の選択に応じて、前記表のマス目に前記要因および前記信号強度を切り替え可能に出力する、
請求項6に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項8】
雑音信号の発生に係る第2の条件を受け付ける第2選択部を備え、
前記出力処理部は、操作者の選択に応じて、前記第2の条件を満たす期間のマス目を、他のマス目とは異なる表示態様で出力する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項9】
前記第2の条件は、前記電気機器の周辺に配置される周辺機器の稼働状況に関する条件と、前記電気機器が配置される事業場の稼働状況に関する条件と、前記事業場における従業員の勤務状況に関する条件と、前記事業場の付近を往来する鉄道の運行状況に関する条件とのうち、いずれかを含む、
請求項8に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項10】
前記出力処理部は、前記表のマス目に表示される前記分析結果をそれぞれ集計した集計結果を出力する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項11】
前記集計結果に基づいて、前記部分放電の発生の要因に関する報知を行う報知部を備える、
請求項10に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項12】
前記表のマス目の中から、いずれか1つのマス目の選択を操作者から受け付ける受付部を備え、
前記出力処理部は、前記受付部によって受け付けられたマス目に対応する前記分析結果の詳細を出力する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の部分放電診断支援装置。
【請求項13】
部分放電診断支援装置に用いられるコンピュータが、
筐体内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度に基づく時刻別の分析結果を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記分析結果を表す表であって、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸にとり、前記第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸にとった複数のマス目を有する前記表を出力する出力処理ステップと、
を含む処理を実行する診断支援方法。
【請求項14】
部分放電診断支援装置に用いられるコンピュータに、
筐体内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度に基づく時刻別の分析結果を取得し、
取得した前記分析結果を表す表であって、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸にとり、前記第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸にとった複数のマス目を有する前記表を出力する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は部分放電診断支援装置、診断支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチギヤ等の電気機器では、経時使用による劣化によって、電気機器の表面や内部の絶縁体の絶縁性能が低下することがある。絶縁性能が低下すると、絶縁性能の低下した箇所から、部分放電が発生する。さらに絶縁性能の低下が進行すると、電気機器に絶縁破壊が起こる可能性がある。
【0003】
部分放電は、周辺の雰囲気の影響で、継続していた放電が突然停止してしまったり、逆に短時間に集中して発生したりする場合がある。また、実際の運用においては、測定の際に、様々な環境ノイズが混入することがある。このため、点検を行う作業スタッフが部分放電の信号強度から、スイッチギヤ内の絶縁部の劣化状況を診断することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-133746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、作業スタッフが絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる、部分放電診断支援装置、診断支援方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の部分放電診断支援装置は、取得部と、出力処理部とを持つ。取得部は、筐体内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度に基づく時刻別の分析結果を取得する。出力処理部は、前記取得部によって取得された前記分析結果を表す表であって、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸にとり、前記第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸にとった複数のマス目を有する前記表を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の部分放電診断支援システム1の一例を示す説明図。
図2】実施形態の箱体10および計測装置100の一例を示す説明図。
図3】実施形態の部分放電診断支援装置120のハードウェア構成の一例を示す説明図。
図4】実施形態の部分放電波形データ格納部122に格納される部分放電波形データ400の一例を示す説明図。
図5】実施形態の部分放電分析データ格納部123に格納される部分放電分析データ500の一例を示す説明図。
図6】実施形態の関連情報格納部124に格納される周辺機器情報600の一例を示す説明図。
図7】実施形態の関連情報格納部124に格納される事業場・従業員情報700の一例を示す説明図。
図8】実施形態の関連情報格納部124に格納される鉄道情報800の一例を示す説明図。
図9】実施形態の関連情報格納部124に格納される気象関連情報900の一例を示す説明図。
図10】実施形態のフィルタなしのAI識別結果の画面の一例を示す説明図。
図11】実施形態の信号強度データの画面の一例を示す説明図。
図12】実施形態の除外フィルタを適用した場合のAI識別結果の画面の一例を示す説明図。
図13】実施形態の抽出フィルタを適用した場合のAI識別結果の画面の一例を示す説明図。
図14】実施形態の信号強度データの画面の一例を示す説明図。
図15】実施形態のマス目1001の各種データの詳細表示画面1500の一例を示す説明図。
図16】実施形態の部分放電診断支援装置120が行う部分放電に係る診断支援処理の一例を示すフローチャート。
図17】実施形態のディスプレイ307に表示される部分放電に関する変形例1の画面例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の部分放電診断支援装置、診断支援方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態の部分放電診断支援システム1の一例を示す説明図である。図1において、部分放電診断支援システム1は、客先に配置される箱体10および計測装置100と、部分放電を診断するセンター(事業場)に設けられる部分放電分析装置110および部分放電診断支援装置120とを備える。
【0010】
計測装置100と、部分放電分析装置110とは、インターネット2によって通信可能に接続されている。また、部分放電分析装置110と、部分放電診断支援装置120とは、例えば、LAN(Local Area Network)を介して、通信可能に接続されている。各装置は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信部などを備えた、パソコンやタブレット端末などのコンピュータ装置である。
【0011】
まず、図2を用いて、箱体10および計測装置100について説明する。
図2は、実施形態の箱体10および計測装置100の一例を示す説明図である。図2に示すように、筐体の一例である箱体10a、10b、・・・、10n(nは、2以上の整数)は、列盤されている。箱体10a、10b、・・・、10nは、ほぼ直線状に配置されている。また、箱体10a、10b、・・・、10nには、電気機器に電力を供給する所定の電源系統が設けられる。以下、いずれの箱体であるかを区別しないときは、単に箱体10と称して説明する。各々の箱体10は、スイッチギヤ等の電気機器を収納可能な箱である。箱体10は、例えば遮断器や主回路導体等の電気機器をそれぞれ収納する。電気機器は、表面や内部に絶縁機器を有する。電気機器は、経時使用による劣化等によって、部分放電が発生することがある。計測装置100は、箱体10内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度を計測する。
【0012】
箱体10a、10b、・・・、10nの正面には、電極40a、40b、・・・、40nが接触するように固定される。以下、いずれの電極であるかを区別しないときは、単に電極40と称して説明する。電極40は、箱体10の表面電位を検出する。電極40は、検出された表面電位を電気信号として計測装置100に出力する。電極40は、例えば箱体10に半恒久的に接触する状態で設けられていてもよい。電極40は、例えば作業スタッフ(検査員)等が箱体10からの部分放電の有無を判定する作業を行う間だけ一時的に箱体10に接触する形態でもよい。なお、図2に示す構成では1つの電極40が、箱体10に設けられているが、複数の電極40が1つの箱体10に設けられてもよい。複数の電極40が1つの箱体10に設けられることで、計測装置100は、より高精度に箱体10の表面電位を測定することができる。
【0013】
箱体10の下部には、共通の接地母線20が配設されている。接地母線20は、接地極30に接続されている。箱体10は、正面板、天井板、背面板、床板、側面板を含んで構成される。これら正面板、天井板、背面板、床板、側面板を、箱体10を構成する構成板と総称する。図2に示す例では電極40は正面板に接触固定されているが、電極40は、他の構成板のいずれかに接触固定されていてもよい。構成板は、接地母線20に接続される。
【0014】
なお、図2では、部分放電信号を測定する方式として、電極40による表面電位を測定する方式を示したが、表面電位に限定されない。例えば、計測装置100は、表面電位の代わりに電磁波を測定してもよい。この場合、計測装置100は、電極40の代わりにアンテナから電気信号を取得すればよい。アンテナは、電磁波を測定する。アンテナは、測定された電磁波に基づいて電気信号を計測装置100に出力する。また、計測装置100は、表面電位の代わりに接地電流を測定してもよい。この場合、計測装置100は、電極40の代わりに高周波CT(Current Transformer)等のセンサから電気信号を取得する。センサは、接地電流を測定する。センサは、測定された接地電流に基づいて電気信号を計測装置100に出力する。計測装置100は、電気機器の部分放電に基づいて得られる物理量であれば、どのような物理量を取得してもよい。物理量は、例えば接地電位、電磁波、接地線電流、振動又は音等である。
【0015】
計測装置100は、電極40(40a~40n)ごとの部分放電(表面電位)の部分放電波形データを測定する。以下では、一の電極40における部分放電の診断について説明する。部分放電波形データは、部分放電の信号強度や印加電圧を含む。また、計測装置100は、測定によって得た部分放電波形データを所定のタイミングで部分放電分析装置110へ送信する。
【0016】
図1に戻り、部分放電分析装置110は、計測装置100から部分放電波形データを受信する。部分放電分析装置110は、部分放電波形データを用いて分析する分析部111を備える。分析部111は、部分放電波形データに基づいて、欠陥(異常)の有無を判別する。また、分析部111は、欠陥が生じた場合に、部分放電波形データに基づいて、欠陥種(異常の要因)やクラスタリングを含む部分放電分析データ(分析結果)を得る。
【0017】
分析部111は、例えば、AI(artificial intelligence)を用いて各種分析を行う。ここで、分析部111について具体的に説明する。分析部111は、特徴量抽出部112と、欠陥種識別部113と、クラスタリング部114とを備える。
【0018】
特徴量抽出部112は、計測された波形を電源電圧の周期ごとに切り出し、複数のサブ波形を生成する。このとき、特徴量抽出部112は、計測された波形を電源電圧のゼロクロスタイミングで切り出す。これは、部分放電が電源電圧の位相に応じて生じる特徴を有するためである。
【0019】
特徴量抽出部112は、切り出した複数のサブ波形に基づいて、部分放電信号の特徴量を抽出する。例えば、特徴量抽出部112は、部分放電信号の平均強度、分散値、最大値の平均、最小値の平均、平均ピーク数などを抽出する。
【0020】
欠陥種識別部113は、例えば、切り出された複数のサブ波形の平均波形を算出し、これを高速フーリエ変換することで、周波数スペクトルに変換する。欠陥種識別部113は、周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせに基づいて、欠陥種を求める。欠陥種識別部113は、例えば機械学習によって得られた学習済みモデルを用いて欠陥種を求める。具体的には、以下の手順で学習された学習済みモデルを用いることができる。機械学習モデルとしては、例えばニューラルネットワークモデルを用いることができる。
【0021】
予め、実験によって所望の欠陥を生じた機器から部分放電信号を得ておき、当該部分放電信号の周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせを入力サンプルとし、欠陥種を示すワンホットベクトルを出力サンプルとする学習用データセットを用意する。ワンホットベクトルは、N個の欠陥種と1つの「欠陥無し」を示すN+1次元のベクトルであって、1つの要素のみが1であり、他の要素が0であるベクトルである。上記学習用データセットを用いて、機械学習モデルのパラメータを、入力サンプルが入力されたときに出力サンプルの値が出力されるよう更新することで、学習済みモデルを得ることができる。欠陥種識別部113は、周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせを学習済みモデルに入力し、得られたベクトルのうち最も値の大きい要素に対応する欠陥種を出力する。
【0022】
クラスタリング部114は、波形を所定数のクラスタの何れかに分類する。例えば、クラスタリング部114は、全ての波形から得られた複数のサブ波形の平均波形を高速フーリエ変換することで、周波数スペクトルに変換する。クラスタリング部114は、複数の平均波形の周波数ごとのスペクトル強度と電源電圧周波数の組み合わせに基づいて、各波形のクラスタリングを行う。クラスタ数は、設計者等によって予め設定される。クラスタリングは、例えばk平均法などによって実行される。なお、クラスタリング部114は、事前に複数の波形を用いたクラスタリング処理を行いクラスタの境界面を特定しておき、当該境界面に基づいて平均波形を複数のクラスタの1つに分類するものであってもよい。
【0023】
他システムDB117は、事業場における各種の情報を記憶する。各種の情報は、事業場に設定される各装置に関する情報や、従業者の情報などである。
【0024】
部分放電診断支援装置120は、記憶部121と、取得部131と、表示処理部132と、出力部133と、入力部134と、報知部135とを備える。記憶部121は、部分放電波形データ格納部122と、部分放電分析データ格納部123と、関連情報格納部124とを含む。なお、表示処理部132は、出力処理部の一例である。
【0025】
部分放電波形データ格納部122は、部分放電分析装置110から出力された部分放電波形データを格納する。部分放電分析データ格納部123は、分析部111によって分析された部分放電分析データを格納する。
【0026】
関連情報格納部124は、他システムDB117に記憶される情報のうち、関連情報を格納する。関連情報は、部分放電を促進する条件の情報を含む。当該条件の情報は、例えば、気象に関する気象関連情報である。
【0027】
また、関連情報は、部分放電の発生に関する複数の要因を示す情報を含む。複数の要因を示す情報は、例えば、以下の情報である。
・周辺機器情報:電気機器の周辺に配置される周辺機器の稼働に関する情報。
・事業場情報:電気機器が配置される事業場の稼働に関する情報。
・従業員情報:事業場における従業員の勤務に関する情報。
・鉄道情報:事業場の付近を往来する鉄道の運行に関する情報。
【0028】
取得部131は、部分放電分析データ格納部123に格納されている部分放電分析データ(分析結果)を取得する。部分放電分析データは、箱体10内に収納される電気機器の絶縁部に発生した部分放電の信号強度に基づく時刻別の分析結果である。なお、部分放電診断支援装置120は、部分放電波形データを取得して、部分放電波形データを分析することによって、分析結果を得るようにしてもよい。表示処理部132は、取得部131によって取得された部分放電分析データに基づいて、表(以下「2軸対応表」という。)を表示する。対応表は、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸とし、且つ第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸として表したものである。2軸対応表は、マス目を有する。
【0029】
出力部133は、2軸対応表の表示データをディスプレイ307(図3参照)出力させる。ディスプレイ307は、出力部133から出力された表示データを表示する。
【0030】
(2軸対応表の具体例について)
2軸対応表において、第2の情報は、第1の期間を区分する第2の期間を示す情報である。2軸対応表は、第1の期間を第1の軸とし、第2の期間を第2の軸として表される。また、表示処理部132は、2軸対応表のマス目に分析結果を表示する。
【0031】
また、第1の期間は、例えば、日を基準とする期間である。本実施形態において、第1の期間は、1日とする。また、第2の期間は、例えば、時間帯を基準とする期間である。本実施形態において、第2の期間は、2時間とする。
【0032】
(気象条件について)
部分放電は、第1の条件において、促進されやすくなる。第1の条件は、例えば、気象に関する条件であり、具体的には、天候、湿度、気圧、気温、日照時間などに関する条件である。より具体的には、例えば、第1の条件は、湿度が所定値(例えば80%)以上であるという条件である。入力部134(第1選択部の一例)は、入力デバイス306(図3参照)を介して、操作者(作業スタッフ)から気象に関する条件(第1の条件)の選択を受け付ける。表示処理部132は、操作者の選択に応じて、複数のマス目のうち、第1の条件を満たす期間(時間帯)のマス目を、他のマス目とは異なる態様(抽出した態様)で表示する(図13参照)。例えば、表示処理部132は、第1の条件を満たす期間のマス目を、部分放電が始まりかけていることを示唆するように表示する。
【0033】
(欠陥種の表示について)
本実施形態において、分析結果は、部分放電が発生した複数の要因(以下「欠陥種」という。)を含む。欠陥種は、例えば、7種類ある。表示処理部132は、2軸対応表のマス目に欠陥種を表示する。すなわち、表示処理部132は、各日の各時間帯に対応するマス目に欠陥種を表示する(図10参照)。
【0034】
(信号強度の表示について)
また、取得部131は、部分放電波形データ格納部122から部分放電波形データを取得する。部分放電波形データには、部分放電の信号強度が含まれる。入力部134は、入力デバイス306を介して、操作者から表示切替に関する入力を受け付ける。表示処理部132は、操作者の選択に応じて、2軸対応表のマス目に、欠陥種および信号強度を切り替え可能に表示する(図11参照)。
【0035】
(欠陥種が発生しやすい条件について)
また、複数の欠陥種は、第2の条件において、それぞれ発生しやすくなる。第2の条件は、雑音信号の発生に係る条件であり、例えば、以下の条件を含む。
・電気機器の周辺に配置される周辺機器の稼働状況に関する条件。
・電気機器が配置される事業場の稼働状況に関する条件。
・事業場における従業員の勤務状況に関する条件。
・事業場の付近を往来する鉄道の運行状況に関する条件。
【0036】
入力部134(第2選択部の一例)は、操作者から、第2の条件を受け付ける。表示処理部132は、操作者の選択に応じて、第2の条件(例えば鉄道ありの条件)を満たす期間のマス目を、他のマス目とは異なる態様で表示する(図12参照)。例えば、表示処理部132は、第2の条件(例えば鉄道ありの条件)を満たす期間のマス目を、当該欠陥種(鉄道ありのときに発生しやすい欠陥種)には該当しないことを示す態様(除外する態様)で表示する。なお、入力部134が操作者から受け付ける条件の数は、一のみとしてもよいし、複数としてもよい。
【0037】
(欠陥種の集計について)
表示処理部132は、2軸対応表のマス目に表示される分析結果をそれぞれ集計した集計結果を表示する。例えば、表示処理部132は、操作者から受け付けた条件に応じた集計結果を表示する。例えば、表示処理部132は、欠陥種が発生しやすい条件下(例えば、周辺機器が稼働した状況下)では、当該欠陥種の発生を除外した集計結果を表示する。また、表示処理部132は、部分放電が発生しやすい条件下(湿度が80%以上の状況下)では、当該欠陥種の発生を強調した(部分放電が始まりかけていることを示唆するように)集計結果を表示する。
【0038】
(欠陥種に関する報知について)
報知部135は、表示処理部132によって表示された集計結果に基づいて、部分放電の発生の要因(欠陥種)に関する報知を行う。例えば、報知部135は、複数種類の欠陥種の中から、最も発生している可能性が高い欠陥種を報知する。なお、報知部135は、報知機能のオン/オフの設定に応じて、当該報知を行う。
【0039】
(各種データの詳細表示について)
入力デバイス306(図3参照)である受付部は、対応表に表示されたマス目の中から、一のマス目の選択を受け付ける。入力部134は、入力デバイス306が受け付けたマス目の情報を入力する。表示処理部132は、入力部134に入力されたマス目に対応する分析結果の詳細を表示する(図15参照)。
【0040】
(部分放電診断支援装置120のハードウェア構成)
図3は、実施形態の部分放電診断支援装置120のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図3において、部分放電診断支援装置120は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、メモリ304と、通信I/F305と、入力デバイス306と、ディスプレイ307とを備えている。各部は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0041】
CPU301は、部分放電診断支援装置120の全体の制御を司る。ROM302は、各種プログラムを記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、部分放電診断支援装置120の全体の制御を司る。
【0042】
メモリ304は、各種データを記憶する。メモリには、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)が用いられる。メモリ304は、部分放電診断支援プログラムなどの各種プログラムを記憶する。
【0043】
通信I/F305は、ネットワークと内部のインタフェースを司り、外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。具体的には、通信I/F305は、通信回線を通じて部分放電分析装置110と接続されるインタフェースである。通信I/F305は、インターネットなどのネットワークに接続される。また、通信I/F305は、携帯電話回線(例えば、LTE(Long Term Evolution)、PHS(Personal Handy-Phone System)など)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信のインタフェースであってもよく、また、モデムやLANアダプタなどの有線通信のインタフェースを採用することもできる。
【0044】
入力デバイス306は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のタッチキーを表示するタッチパネルや、ハードキーなどである。また、入力デバイス306は、マイクを含む。
ディスプレイ307は、画像を表示する表示器である。ディスプレイ307は、タッチパネル式であってもよい。なお、部分放電診断支援装置120は、スピーカを備えてもよい。
【0045】
図1に示した、記憶部121は、メモリ304によって実現される。また、取得部131と、表示処理部132と、出力部133と、入力部134と、報知部135とは、CPU301によって実現される。すなわち、CPU301がメモリ304に記憶されている部分放電診断支援プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、取得部131と、表示処理部132と、出力部133と、入力部134と、報知部135とのうち一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等のカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を用いて実現されてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0046】
(部分放電波形データの一例)
図4は、実施形態の部分放電波形データ格納部122に格納される部分放電波形データ400の一例を示す説明図である。図4において、部分放電波形データ400は、日時401と、波形402とを含む。日時401は、2時間間隔を示す。波形402は、各時間帯における波形データを示す。波形402は、例えば、各時間帯における波形データを平均化したものである。波形402は、印加電圧の波形を示す印加電圧波形411と、信号強度の波形を示す信号強度波形412とを含む。
【0047】
(部分放電分析データの一例)
図5は、実施形態の部分放電分析データ格納部123に格納される部分放電分析データ500の一例を示す説明図である。図5において、部分放電分析データ500は、日時501と、信号強度502と、分散値503と、AI識別結果504と、クラスタリング結果505とを含む。日時501は、部分放電波形データ400(図4参照)における日時401に対応する。信号強度502は、信号強度波形412(図4参照)を数値化したものであり、例えば、信号強度波形412の平均値である。分散値503は、信号強度502のデータの散らばりの度合いを示す。AI識別結果504は、欠陥の有無および欠陥種の種類を示す。クラスタリング結果505は、似ているデータをグループ分けした結果を示す。
【0048】
(周辺機器情報の一例)
電気機器の周辺に機器が配置されると、当該周辺機器が動作する際に、ノイズを発生させることがある。計測装置100は、当該ノイズを部分放電として検出するおそれがある。そこで、本実施形態では、周辺機器の稼働の有無に基づくマス目の表示を可能にしている。
【0049】
図6は、実施形態の関連情報格納部124に格納される周辺機器情報600の一例を示す説明図である。図6において、周辺機器情報600は、日時601と、周辺機器602a、602bとを含む。日時601は、部分放電波形データ400(図4参照)における日時401に対応する。周辺機器602a、602bは、箱体10の周辺に存在する周辺機器の、各時間帯の稼働状況(稼働または非稼働)を示す。
【0050】
(事業場・従業員情報の一例)
例えば、溶接を行う従業員がいると、計測装置100は、溶接による放電を部分放電として検出するおそれがある。そこで、本実施形態では、事業場の稼働の有無や、従業員の勤務状況に基づくマス目の表示を可能にしている。
【0051】
図7は、実施形態の関連情報格納部124に格納される事業場・従業員情報700の一例を示す説明図である。図7において、事業場・従業員情報700は、日時701と、事業場702と、従業員703a、703b、703cとを含む。日時701は、部分放電波形データ400(図4参照)における日時401に対応する。事業場702は、箱体10が配置される事業場の稼働の、各時間帯の稼働状況(稼働または非稼働)を示す。また、従業員703a、703b、703cは、事業場702に勤務する各従業員の、各時間帯の勤務状況(勤務または非勤務)を示す。
【0052】
(鉄道情報の一例)
事業場の付近を鉄道が往来すると、ノイズを発生させることがある。計測装置100は、当該ノイズを部分放電として検出するおそれがある。そこで、本実施形態では、鉄道の運行の有無に基づくマス目の表示を可能にしている。
【0053】
図8は、実施形態の関連情報格納部124に格納される鉄道情報800の一例を示す説明図である。図8において、鉄道情報800は、日時801と、鉄道802a、802bとを含む。日時801は、部分放電波形データ400(図4参照)における日時401に対応する。鉄道802a、802b、事業場の付近を往来する鉄道の、各時間帯の運行状況(休止または運行)を示す。なお、鉄道802a、802bに示す運行状況は、各時間帯に1本でも往来した場合に「運行」とするが、各時間帯に所定回数(例えば3回)以上往来した場合に「運行」とするようにしてもよい。
【0054】
(気象関連情報の一例)
部分放電は、気象条件によって発生しやすいことがある。このため、計測装置100は、普段は部分放電を検出しない場合があっても、気象条件によっては部分放電を検出することがある。そこで、本実施形態では、気象情報に基づくマス目の表示を可能にしている。
【0055】
図9は、実施形態の関連情報格納部124に格納される気象関連情報900の一例を示す説明図である。図9において、気象関連情報900は、日時801と、天候902と、湿度903と、気圧904と、気温905と、日照時間906とを含む。日時901は、部分放電波形データ400(図4参照)における日時401に対応する。天候902は、事業場が存在する地域の各時間帯の天候を示しており、具体的には、快晴、晴れ、曇り、雨、雪、雷などのうち、いずれかを示す。湿度903は、事業場が存在する地域の各時間帯の湿度を示す。気圧904は、事業場が存在する地域の各時間帯の気圧を示す。気温905は、事業場が存在する地域の各時間帯の気温を示す。日照時間906は、事業場が存在する地域の各時間帯の日照時間を示す。
【0056】
(ディスプレイ307に表示される画面例)
次に、図10図15を用いて、ディスプレイ307に表示される部分放電に関する画面例について説明する。
【0057】
(フィルタを適用しない場合の画面)
図10は、実施形態のフィルタなしのAI識別結果の画面の一例を示す説明図である。図10に示すように、ディスプレイ307には、2軸対応表1000と、集計結果1010と、表示データ選択領域1020と、除外フィルタ選択領域1030と、抽出フィルタ選択領域1040とが表示されている。
【0058】
2軸対応表1000は、縦軸に日付を示し、横軸に時間帯を示している。なお、2軸対応表1000において、縦軸と横軸が入れ替わっていてもよく、すなわち、縦軸に時間帯を示し、横軸に日付を示してもよい。2軸対応表1000は、マス目1001(セル)を備える。表示データ選択領域1020は、AI識別結果が選択されている。このため、2軸対応表1000は、AI識別結果を示している。具体的には、2軸対応表1000におけるマス目1001は、各時間帯における欠陥の有無または欠陥種を示している。2軸対応表1000において、「欠陥なし」、「欠陥種1」、「欠陥種2」、「欠陥種3」はそれぞれ異なる表示態様で表示されている。これにより、操作者は、「欠陥なし」や、欠陥種の傾向を一見して把握することができる。
【0059】
集計結果1010は、2軸対応表1000におけるAI識別結果の欠陥種ごとのマス目1001の集計を示す。例えば、「欠陥種なし」の件数(マス目1001の数)は「36」を示す。また、「ボイド」(=欠陥種1)の件数は「27」を示す。また、「沿面」(=欠陥種2)の件数は「45」を示す。また、「剥離」(=欠陥種3)の件数は「12」を示す。これにより、操作者は、「欠陥なし」の数や、欠陥種の数を一見して把握することができる。
【0060】
表示データ選択領域1020は、AI識別結果と、信号強度と、クラスタリング結果とのうちいずれかを選択可能に受け付ける。除外フィルタ選択領域1030は、2軸対応表1000に示す欠陥種から除外する関連情報(除外フィルタ)の選択を受け付ける。受け付ける除外フィルタは、欠陥種を生じさせる可能性のあるものを除外するフィルタであり、例えば、周辺機器の稼働や、事業場の稼働、従業員の勤務、鉄道の運行である。
【0061】
抽出フィルタ選択領域1040は、2軸対応表1000に示す欠陥種の中から抽出する関連情報(抽出フィルタ)の選択を受け付ける。受け付ける抽出フィルタは、部分放電を助長する可能性のあるものを抽出するフィルタであり、例えば、所定の湿度、所定の温度、天候、所定の気圧、所定の日照時間などである。
【0062】
(信号強度の表示画面)
図10に示す画面において、表示データ選択領域1020が選択され、さらに、選択項目の中から「信号強度」が選択されると、図11に示す画面に遷移する。
図11は、実施形態の信号強度データの画面の一例を示す説明図である。図11において、2軸対応表1100のマス目1001には、信号強度そのものの値が表示されている。2軸対応表1100に示す各信号強度は、数値の範囲に応じて異なる表示態様で表示されている。具体的には、「0以上~0.1以下」、「0.1超~0.2以下」、「0.2超~0.3以下」、「0.3超~0.4以下」は、それぞれ異なる表示態様で表示されている。これにより、操作者は、信号強度の数値の範囲を一見して把握することができる。
【0063】
また、集計結果1110は、2軸対応表1100における信号強度の範囲ごとの集計を示す。これにより、操作者は、信号強度の範囲ごとの数を一見して把握することができる。
【0064】
(除外フィルタを適用した画面)
また、図10に示す画面において、除外フィルタ選択領域1030が選択され、さらに選択項目の中から「周辺機器1」が選択されると、図12に示す画面に遷移する。
図12は、実施形態の除外フィルタを適用した場合のAI識別結果の画面の一例を示す説明図である。図12に示す2軸対応表1200において、除外領域1201は、周辺機器1(図6の周辺機器602a参照)が稼働している時間帯を示している。除外領域1201は、「欠陥種2」が多く表示されている。このため、操作者は、「欠陥種2」は、周辺機器1が稼働したことによって発生したものと診断できる。
【0065】
集計結果1210は、除外フィルタを適用した後の欠陥種ごとの集計を示す。具体的には、2軸対応表1200において、除外領域1201を除いた部分の「欠陥種なし」と各欠陥種の件数を示す。これにより、操作者は、除外フィルタを適用した後の「欠陥なし」の数や、欠陥種の数を一見して把握することができる。
【0066】
報知画像1220は、集計結果1010、1210に基づく画像である。具体的には、集計結果1010と集計結果1210とを比較すると、沿面(欠陥種2)が最も減っている。このため、「欠陥種2」は、周辺機器1が稼働したことによって発生したものと推定できる。このため、報知画像1220は、除外領域1201に示す「欠陥種2」については、スイッチギヤ内の絶縁部の劣化によるものではないことを示す。
【0067】
なお、このような報知は、周辺機器1が稼働した場合に限らず、他の場合(例えば、鉄道の運行によることが原因と推定できる場合や、溶接を行う従業員が出勤していることが原因と推定できる場合)でも、同様に行われることがある。また、報知機能がオフであれば、報知画像1220は表示されない。
【0068】
(抽出フィルタを適用した画面)
また、図12に示す画面において、抽出フィルタ選択領域1040が選択され、さらに選択項目の中から「湿度≧80%」が選択されると、図13に示す画面に遷移する。
図13は、実施形態の抽出フィルタを適用した場合のAI識別結果の画面の一例を示す説明図である。図13に示す2軸対応表1300は、除外領域1201に加えて、抽出領域1301が表示されている。抽出領域1301は、湿度が80%以上となった時間帯(図9の湿度903参照)を示している。抽出領域1301は、「欠陥種1」が多く表示されている。このため、操作者は、湿度が80%以上のときに「欠陥種1」が助長されるものと診断できる。すなわち、操作者は、抽出領域1301に示す「欠陥種1」については、スイッチギヤ内の絶縁部の劣化が始まりかけているものと診断することができる。
【0069】
集計結果1310は、抽出フィルタを適用した後の欠陥種ごとの集計を示す。具体的には、2軸対応表1300において、抽出領域1301の部分の「欠陥種なし」と各欠陥種の件数を示す。これにより、操作者は、抽出フィルタを適用した後の「欠陥なし」の数や、欠陥種の数を一見して把握することができる。
【0070】
報知画像1320は、集計結果1310に基づく画像である。具体的には、集計結果1310は、ボイド(欠陥種1)のみが発生していることを示している。湿度80%以上の時に、「欠陥種1」が促進されることが推定できる。このため、報知画像1320は、抽出領域1301に示す「欠陥種1」については、絶縁部の劣化が始まりかけていることを示す。
【0071】
なお、このような報知は、湿度に基づいて行われることに限らず、例えば、湿度や、気圧や、気温や、これらの組み合わせなどに基づいて行われることがある。また、報知機能がオフであれば、報知画像1320は表示されない。
【0072】
(信号強度の表示画面)
図13に示す画面において、表示データ選択領域1020が選択され、さらに、選択項目の中から「信号強度」が選択されると、図14に示す画面に遷移する。
図14は、実施形態の信号強度データの画面の一例を示す説明図である。図14に示す2軸対応表1400は、信号強度そのものの値を示しており、除外領域1201および抽出領域1301が表示されている。
【0073】
集計結果1410は、抽出フィルタを適用した後の信号強度の範囲ごとの集計を示す。これにより、操作者は、抽出フィルタを適用した後の信号強度の範囲ごとの数を一見して把握することができる。
【0074】
(マス目1001の詳細表示画面)
図10図14に示した2軸対応表1000~1400において、一のマス目1001が選択されると、図15に示す詳細表示画面1500に遷移する。
図15は、実施形態のマス目1001の各種データの詳細表示画面1500の一例を示す説明図である。詳細表示画面1500は、ある時間帯における部分放電波形データ表示領域1501と、同時間帯における部分放電分析データ表示領域1502と、同時間帯における関連情報表示領域1503とを含む。
【0075】
部分放電波形データ表示領域1501は、部分放電波形データ格納部122(図4参照)から抽出された同時間帯の部分放電波形データ400を示す。部分放電分析データ表示領域1502は、部分放電分析データ格納部123(図5参照)から抽出された同時間帯の部分放電分析データ500を示す。関連情報表示領域1503は、関連情報格納部124(図6図9参照)から抽出された、同時間帯の、周辺機器情報600、事業場・従業員情報700、鉄道情報800および気象関連情報900を示す。
【0076】
このような詳細表示画面1500を表示することにより、操作者は、対象の時間帯における各種状況を一画面で閲覧することができる。したがって、操作者は、当該時間帯における部分放電の診断の分析を効率よく行うことができる。
【0077】
図16は、実施形態の部分放電診断支援装置120が行う部分放電に係る診断支援処理の一例を示すフローチャートである。図16において、部分放電診断支援装置120は、診断支援の開始を受け付けたか否かを判断する(ステップS1601)。診断支援の開始は、例えば、診断支援を開始するボタンの選択を受け付けることである。
【0078】
部分放電診断支援装置120は、診断支援の開始を受け付けるまで待機する(ステップS1601:NO)。診断支援の開始を受け付けると(ステップS1601:YES)、部分放電診断支援装置120は、部分放電波形データ格納部122から部分放電波形データ400を取得するとともに、部分放電分析データ格納部123から部分放電分析データ500を取得する(ステップS1602)。
【0079】
そして、部分放電診断支援装置120は、ディスプレイ307に2軸対応表を表示する(ステップS1603)。なお、このとき、部分放電診断支援装置120は、2軸対応表に、予め定めた表示データ(例えば、欠陥種)を表示してもよい。
【0080】
そして、部分放電診断支援装置120は、表示データ選択領域1020(図10参照)の操作に基づく表示データの選択を受け付けたか否かを判断する(ステップS1604)。表示データの選択を受け付けない場合(ステップS1604:NO)、部分放電診断支援装置120は、ステップS1606に進む。表示データの選択を受け付けた場合(ステップS1604:YES)、部分放電診断支援装置120は、受け付けた選択(AI識別結果、信号強度、クラスタリング結果)に応じた集計を行って、選択に応じた画面に切り替える(ステップS1605)。
【0081】
次に、部分放電診断支援装置120は、除外フィルタ選択領域1030(図10参照)または抽出フィルタ選択領域1040の操作に基づくフィルタの選択を受け付けたか否かを判断する(ステップS1605)。フィルタの選択を受け付けない場合(ステップS1606:NO)、部分放電診断支援装置120は、ステップS1609に進む。フィルタの選択を受け付けた場合(ステップS1606:YES)、部分放電診断支援装置120は、周辺機器情報600、事業場・従業員情報700、鉄道情報800および気象関連情報900の中から、選択されたフィルタおよび項目に応じた関連情報を取得する(ステップS1607)。
【0082】
そして、部分放電診断支援装置120は、受け付けた選択(例えば、「周辺機器1」や「湿度≧80%」など)に応じた集計を行って、選択に応じた領域(例えば、図12の除外領域1201や、図13の抽出領域1301)を表示する(ステップS1608)。
【0083】
次に、部分放電診断支援装置120は、報知機能がオンであるか否かを判断する(ステップS1609)。報知機能がオフである場合(ステップS1609:NO)、部分放電診断支援装置120は、ステップS1611に進む。報知機能がオンである場合(ステップS1609:YES)、部分放電診断支援装置120は、集計結果に基づいて、欠陥種に関する報知を行う(ステップS1610)。
【0084】
そして、部分放電診断支援装置120は、2軸対応表のマス目1001の選択を受け付けたか否かを判断する(ステップS1611)。マス目1001の選択を受け付けない場合(ステップS1611:NO)、部分放電診断支援装置120は、ステップS1614に進む。マス目1001の選択を受け付けた場合(ステップS1611:YES)、部分放電診断支援装置120は、部分放電波形データ400、部分放電分析データ500、周辺機器情報600、事業場・従業員情報700、鉄道情報800および気象関連情報900の中から、該当する時刻のデータを抽出する(ステップS1612)。
【0085】
そして、部分放電診断支援装置120は、詳細表示画面1500(図15参照)を表示する(ステップS1613)。次に、部分放電診断支援装置120は、診断支援を終了するか否かを判断する(ステップS1614)。診断支援の終了は、例えば、診断支援を終了するボタンの選択を受け付けることである。
【0086】
部分放電診断支援装置120は、診断支援の終了を受け付けない場合(ステップS1614:NO)、ステップS1604に戻る。一方、診断支援の終了を受け付けると(ステップS1614:YES)、部分放電診断支援装置120は、一連の処理を終了する。
【0087】
以上説明したように、実施形態の部分放電診断支援装置120は、部分放電分析データ500に基づいて、第1の期間を示す第1の情報を第1の軸にとり、第1の情報とは異なる第2の情報を第2の軸にとった2軸対応表を表示するようにした。これにより、作業スタッフ等の操作者は、第1の期間ごとの部分放電に係る分析結果を容易に把握することができる。したがって、実施形態の部分放電診断支援装置120によれば、操作者が絶縁部の劣化状況を診断することを支援することができる。
【0088】
また、本実施形態において、第2の情報を、第1の期間を区分する第2の期間を示す情報とした。これにより、第1の期間を第2の期間に分けて各分析結果をマス目に表示することができる。したがって、分析結果をより見やすく表すことができる。
【0089】
また、本実施形態において、第1の期間を、日を基準とする期間とし、第2の期間を、時間帯を基準とする期間とした。したがって、各日の各時間帯の分析結果をより見やすく表すことができる。また、関連情報が日ごとおよび時間帯ごとの情報であることから、2軸対応表において、日を基準とした軸と、時間帯を基準にした軸とした2軸とすることにより、関連情報を効果的に反映させることができる。
【0090】
また、本実施形態において、操作者の選択に応じて、部分放電が促進される第1の条件を満たす期間のマス目を、他のマス目とは異なる態様で表示するようにした。これにより、部分放電が始まりかけている可能性があることを示唆することができる。したがって、部分放電の早期発見を支援することができる。
【0091】
また、本実施形態において、第1の条件を気象に関する条件とした。これにより、第1の条件を、最も部分放電が促進されやすい条件とすることができる。したがって、部分放電が始まりかけている可能性があることを示す診断結果を精度よく得ることができる。
【0092】
また、本実施形態において、2軸対応表のマス目に欠陥種を表示するようにした。これにより、操作者が部分放電の原因を診断することを支援することができる。
【0093】
また、本実施形態において、部分放電診断支援装置120は、操作者の選択に応じて、2軸対応表のマス目に欠陥種および信号強度を切り替え可能に表示するようにした。これにより、欠陥種のみならず、実際の信号強度についても表示することができる。したがって、操作者は、より効率よく部分放電の原因を診断することができるため、信頼性の高い診断結果を得ることができる。
【0094】
また、本実施形態において、部分放電診断支援装置120は、操作者の選択に応じて、雑音信号の発生に係る第2の条件を満たす期間のマス目を、他のマス目とは異なる態様で表示するようにした。したがって、雑音信号の発生による欠陥種がある場合でも、第2の条件に応じて当該欠陥種には該当しないことを示す態様で表示することができる。これにより、操作者は、より信頼性の高い部分放電の診断結果を得ることができる。
【0095】
また、本実施形態において、第2の条件を、周辺機器の稼働状況に関する条件と、事業場の稼働状況に関する条件と、従業員の勤務状況に関する条件と、事業場の付近を往来する鉄道の運行状況に関する条件とのうち、いずれかを含むようにした。これにより、第2の条件について、雑音信号の発生によって最も欠陥種が発生しやすい条件を得ることができる。したがって、欠陥種がある場合でも、当該条件に応じて当該欠陥種には該当しないようにすることができる。したがって、操作者は、信頼性の高い診断結果を精度よく得ることができる。
【0096】
また、本実施形態において、部分放電診断支援装置120は、2軸対応表のマス目に表示される分析結果(欠陥種)をそれぞれ集計した集計結果を表示するようにした。これにより、操作者は、「欠陥なし」の数や、欠陥種の数を一見して把握することができる。したがって、操作者が部分放電の有無や原因をより把握しやすくなる。
【0097】
また、本実施形態において、部分放電診断支援装置120は、2軸対応表において受け付けたマス目に対応する分析結果の詳細(図15の詳細表示画面1500参照)を表示するようにした。これにより、操作者は、マス目が示す期間における各種状況を把握することができる。したがって、操作者は、当該期間における部分放電の診断の分析を効率よく行うことができる。
【0098】
また、本実施形態において、部分放電診断支援装置120は、集計結果に基づいて、部分放電の発生に関する要因(欠陥種)に関する報知を行うようにした。したがって、操作者が絶縁部の劣化状況を診断することを、より効率よく支援することができる。
【0099】
(実施形態の変形例)
以下に、実施形態の変形例について説明する。なお、以下の各変形例では、上述した実施形態で説明した内容については、適宜説明を省略する。また、上述した実施形態および各変形例に示す構成をそれぞれ組み合わせた構成とすることも可能である。具体的には、上述した実施形態と、以下の変形例とのうち、全てを含む構成としてもよいし、上述した実施形態と、以下の変形例とのうち、いずれかを組合せた構成としてもよい。
【0100】
(変形例1)
まず、変形例1について説明する。上述した実施形態では、2軸対応表における第2の軸を第2の期間を示す情報としたことについて説明した。変形例1では、このような構成に加えて又は代えて、2軸対応表における第2の軸を関連情報とすることについて説明する。
【0101】
図17は、実施形態のディスプレイ307に表示される部分放電に関する変形例1の画面例を示す説明図である。図17に示すように、ディスプレイ307には、2軸対応表1700と、日にち選択領域1710と、欠陥種選択領域1720とが表示されている。
【0102】
変形例1では、部分放電診断支援装置120は、部分放電分析データ500に基づいて、時間帯を示す第1の情報を第1の軸とし且つ関連情報を第2の軸として表した2軸対応表1700を表示する。具体的には、2軸対応表1700は、縦軸に関連情報を示し、横軸に時間帯を示している。なお、横軸は、期間を示す情報であればよく、例えば、日にちなど他の期間であってもよい。また、2軸対応表1700において、縦軸と横軸が入れ替わっていてもよく、すなわち、縦軸に時間帯を表示し、横軸に関連情報を表示してもよい。
【0103】
日にち選択領域1710は、日にちの選択を受け付ける領域である。欠陥種選択領域1720は、2軸対応表1700に表示する欠陥種の種類の選択を受け付ける。2軸対応表1700は、欠陥種1が生じた各時間帯における関連情報を示している。
【0104】
変形例1に係る2軸対応表1700を表示したとしても、操作者は、効率よく部分放電の原因を診断することができるため、信頼性の高い診断結果を得ることができる。
【0105】
(変形例2)
まず、変形例2について説明する。上述した実施形態では、2軸対応表における各軸の記載が固定されていることについて説明した。変形例1では、このような構成に加えて又は代えて、2軸対応表における各軸を変更可能とすることについて説明する。
【0106】
変形例2に係る2軸対応表において、縦軸を曜日の並びに変更可能であってもよい。例えば、1ヶ月の情報を用いて、月曜日分を4つ、火曜日分を4というようにデータを並べて表示するようにしてもよい。これにより、絶縁部の劣化状況を曜日ごとに診断することができる。
【0107】
また、変形例2に係る2軸対応表において、横軸を日付の表示に、縦軸を週の表示に変更可能であってもよい。また、変形例2に係る2軸対応表において、横軸を週の表示に、縦軸を月の表示に変更可能であってもよい。このようにしたとしても、操作者は、期間ごとの絶縁部の劣化状況等の分析結果を容易に把握することができる。
【0108】
なお、上述した実施形態における部分放電診断支援装置120の機能の少なくとも一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。また、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。記憶装置は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ等の可搬媒体も含む。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものでもよい。具体的には、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線等である。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。具体的には、サーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ等である。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記プログラムは、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
100…計測装置 110…部分放電分析装置 111…分析部 120…部分放電診断支援装置 121…記憶部 122…部分放電波形データ格納部 123…部分放電分析データ格納部 124…関連情報格納部 131…取得部 132…表示処理部 133…出力部 134…入力部 135…報知部 301…CPU 302…ROM 303…RAM 304…メモリ 305…通信I/F 306…入力デバイス 307…ディスプレイ
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