(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076843
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】可変バンドパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 7/09 20060101AFI20230529BHJP
H03H 7/12 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
H03H7/09 Z
H03H7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189803
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】横野 聡
(72)【発明者】
【氏名】山下 和郎
【テーマコード(参考)】
5J024
【Fターム(参考)】
5J024AA02
5J024BA03
5J024CA04
5J024CA06
5J024CA07
5J024CA17
5J024DA01
5J024DA26
5J024EA03
5J024KA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のLC直列共振器を有する複同調器を備える可変バンドパスフィルタにおいて、複数のLC直列共振器の結合回路のインピーダンスが負荷インピーダンスと整合する中心周波数の範囲を広げる。
【解決手段】可変バンドパスフィルタは、直列共振器31と結合回路32を有する。結合回路32は、複数の直列共振器31をカスケードに接続する。結合回路32は、負性インダクタンス-Mを有するシャントインダクタと正のインダクタンス+Mを有する2個の信号線路インダクタとを備える誘導性ジャイレータ結合回路と、正のキャパシタンス+C
kを有するシャントコンデンサと負性キャパシタンス-C
kを有する2個の信号線路コンデンサとを備える容量性ジャイレータ結合回路と、を備える。シャントインダクタ及び2個の信号線路インダクタは、正のインダクタンスM’を有する2個のトランスインダクタが逆相で磁界結合される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定インダクタンスを有する共振インダクタと可変キャパシタンスを有する共振コンデンサとを直列にそれぞれ備える複数の直列共振器と、複数の前記直列共振器をカスケードに接続する結合回路と、を備える可変バンドパスフィルタであって、
前記結合回路は、負性インダクタンスを有するシャントインダクタと正のインダクタンスを有する2個の信号線路インダクタとを備える誘導性ジャイレータ結合回路と、正のキャパシタンスを有するシャントコンデンサと負性キャパシタンスを有する2個の信号線路コンデンサとを備える容量性ジャイレータ結合回路と、を備え、
前記シャントインダクタ及び2個の前記信号線路インダクタは、正のインダクタンスを有する2個のトランスインダクタが逆相で磁界結合されることにより構成され、
前記可変バンドパスフィルタの両端に配置される2個の前記直列共振器がそれぞれ備える前記共振インダクタは、前記固定インダクタンスから前記トランスインダクタが有する正のインダクタンスを1個分だけ減算したインダクタンスを有し、
前記可変バンドパスフィルタの両端に配置される2個の前記直列共振器がそれぞれ備える前記共振コンデンサは、前記可変キャパシタンスと前記信号線路コンデンサが有する負性キャパシタンスの1個分とを直列合成したキャパシタンスを有する
ことを特徴とする可変バンドパスフィルタ。
【請求項2】
前記可変バンドパスフィルタの両端以外に配置される単数又は複数の前記直列共振器がそれぞれ備える前記共振インダクタは、前記固定インダクタンスから前記トランスインダクタが有する正のインダクタンスを2個分だけ減算したインダクタンスを有し、
前記可変バンドパスフィルタの両端以外に配置される単数又は複数の前記直列共振器がそれぞれ備える前記共振コンデンサは、前記可変キャパシタンスと前記信号線路コンデンサが有する負性キャパシタンスの2個分とを直列合成したキャパシタンスを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項3】
前記可変バンドパスフィルタの両端に配置される2個の前記直列共振器がそれぞれ備える前記共振コンデンサは、前記可変バンドパスフィルタの両端以外に配置される単数又は複数の前記直列共振器がそれぞれ備える前記共振コンデンサが有するキャパシタンスと同一のキャパシタンスを有する可変容量コンデンサと、前記シャントコンデンサが有する正のキャパシタンスと同一のキャパシタンスを有する固定容量コンデンサと、に分離される
ことを特徴とする、請求項2に記載の可変バンドパスフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複同調器を備える可変バンドパスフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
可変バンドパスフィルタとして、複数のLC直列共振器を有する複同調器を備えるもの(例えば、特許文献1等を参照。)と、複数のLC並列共振器を有する複同調器を備えるもの(例えば、特許文献2等を参照。)と、が従来から存在する。
【0003】
ここで、複数のLC並列共振器を有する複同調器では、動作Q値は可変バンドパスフィルタの中心周波数に反比例するため、可変バンドパスフィルタの帯域幅一定条件を満たさない。一方で、複数のLC直列共振器を有する複同調器では、動作Q値は可変バンドパスフィルタの中心周波数に比例するため、可変バンドパスフィルタの帯域幅一定条件を満たす。この観点から、本開示では、複数のLC直列共振器を有する複同調器に着目する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2013-005264号公報
【特許文献2】特開2004-248121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可変バンドパスフィルタの使用用途として、例えば、トンネル内のラジオの再放送における、複数キャリアの送信出力のフィルタ合成が考えられる。
【0006】
ここで、複数のLC並列共振器を有する複同調器では、出力インピーダンスは使用帯域外においてほぼ0となるため、複数キャリアの送信出力のフィルタ合成を行なえない。一方で、複数のLC直列共振器を有する複同調器では、出力インピーダンスは使用帯域外において無限大となるため、複数キャリアの送信出力のフィルタ合成を行なえる。この観点でも、本開示では、複数のLC直列共振器を有する複同調器に着目する。
【0007】
複数のLC直列共振器を有する複同調器として、特許文献1に開示されたもの以外にも、
図1及び
図2に示すもの並びに
図3及び
図4に示すものが挙げられる。
【0008】
第1の従来技術の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図1に示す。第1の従来技術の可変バンドパスフィルタ1は、直列共振器11、11及び結合回路12を備える。直列共振器11、11は、固定インダクタンスL
rを有する共振インダクタと、可変キャパシタンスC
rを有する共振コンデンサと、を直列にそれぞれ備える。結合回路12は、直列共振器11、11を互いに結合する容量性ジャイレータ結合回路であり、正のキャパシタンス+C
kを有するシャントコンデンサと、負性キャパシタンス-C
k、-C
kを有する信号線路コンデンサ(共振コンデンサのC
r、C
rに吸収される。)と、を備える。
【0009】
第1の従来技術の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性を
図2に示す。可変バンドパスフィルタ1の中心周波数f
0=1/(2π√(L
rC
r))に対して、結合回路12のインピーダンスZ
j1は、1/(2πC
kf
0)のように変化する。よって、可変バンドパスフィルタ1の低い中心周波数f
0の近傍でのみ、結合回路12のインピーダンスZ
j1は、負荷インピーダンスZ
l(例えば、50Ω。)と整合する。つまり、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数f
0は、当該低い周波数の近傍でのみ可変である。
【0010】
第2の従来技術の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図3に示す。第2の従来技術の可変バンドパスフィルタ2は、直列共振器21、21及び結合回路22を備える。直列共振器21、21は、固定インダクタンスL
rを有する共振インダクタと、可変キャパシタンスC
rを有する共振コンデンサと、を直列にそれぞれ備える。結合回路22は、直列共振器21、21を互いに結合する誘導性ジャイレータ結合回路であり、正のインダクタンス+L
kを有するシャントインダクタと、負性インダクタンス-L
k、-L
kを有する信号線路インダクタ(共振インダクタのL
r、L
rが磁界結合される。)と、を備える。
【0011】
第2の従来技術の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性を
図4に示す。可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0=1/(2π√(L
rC
r))に対して、結合回路22のインピーダンスZ
j2は、2πL
kf
0のように変化する。よって、可変バンドパスフィルタ2の高い中心周波数f
0の近傍でのみ、結合回路22のインピーダンスZ
j2は、負荷インピーダンスZ
l(例えば、50Ω。)と整合する。つまり、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0は、当該高い周波数の近傍でのみ可変である。
【0012】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、複数のLC直列共振器を有する複同調器を備える可変バンドパスフィルタにおいて、複数のLC直列共振器の結合回路のインピーダンスが負荷インピーダンスと整合する中心周波数の範囲を広げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、複数のLC直列共振器の結合回路は、誘導性ジャイレータ結合回路と容量性ジャイレータ結合回路とが、2端子対回路での並列合成をされることにより構成される。つまり、複数のLC直列共振器の結合回路のインピーダンスは、誘導性ジャイレータ結合回路のインピーダンスと容量性ジャイレータ結合回路のインピーダンスとの和インピーダンスとなる。よって、複数のLC直列共振器を有する複同調器を備える可変バンドパスフィルタにおいて、複数のLC直列共振器の結合回路のインピーダンスが負荷インピーダンスと整合する中心周波数の範囲を広げることができる。
【0014】
ここで、誘導性ジャイレータ結合回路のシャントインダクタが「負性」インダクタンスを有し、容量性ジャイレータ結合回路のシャントコンデンサが「正の」キャパシタンスを有するときには、複数のLC直列共振器の結合回路のシャント方向に「虚数」直列共振が生じる。よって、複数のLC直列共振器の結合回路のインピーダンスは、当該直列共振周波数でも0とならないため、上述のように負荷インピーダンスと整合する。
【0015】
そして、誘導性ジャイレータ結合回路のシャントインダクタは、正のインダクタンスを有する上述の「共振」インダクタが「逆相」で磁界結合されることにより構成されず、正のインダクタンスを有する別個の「トランス」インダクタが「逆相」で磁界結合されることにより構成される。よって、複数のLC直列共振器の結合係数を小さくすべきところ、別個のトランスインダクタの結合係数を大きくしてもよく、可変バンドパスフィルタを高精度かつ簡便に製造することができる。そして、2個のLC直列共振器を磁界結合するのみならず、3個以上のLC直列共振器をカスケード接続することができ、可変バンドパスフィルタの減衰特性と挿入損失との間のトレードオフを最適化することができる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本開示は、複数のLC直列共振器を有する複同調器を備える可変バンドパスフィルタにおいて、複数のLC直列共振器の結合回路のインピーダンスが負荷インピーダンスと整合する中心周波数の範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の従来技術の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
【
図2】第1の従来技術の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性を示す図である。
【
図3】第2の従来技術の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
【
図4】第2の従来技術の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性を示す図である。
【
図5】本開示の可変バンドパスフィルタの回路構成を概念的に示す図である。
【
図6】本開示の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性を示す図である。
【
図7】第1の実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
【
図8】第2の実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
【
図9】第3の実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
【
図10】第1~3の実施形態のトランスインダクタのコア巻回方法を示す図である。
【
図11】第1~3の実施形態の直列共振器のカスケード接続方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0019】
(本開示の可変バンドパスフィルタの概念説明)
本開示の可変バンドパスフィルタの回路構成を概念的に
図5に示す。本開示の可変バンドパスフィルタ3は、直列共振器31、31及び結合回路32を備える。直列共振器31、31は、固定インダクタンスL
rを有する共振インダクタと、可変キャパシタンスC
rを有する共振コンデンサと、を直列にそれぞれ備える。結合回路32は、直列共振器31、31を互いに結合するジャイレータ結合回路であり、誘導性ジャイレータ結合回路と容量性ジャイレータ結合回路との2端子対回路での並列合成回路である。
【0020】
誘導性ジャイレータ結合回路は、負性インダクタンス-Mを有するシャントインダクタと、正のインダクタンス+M、+Mを有する信号線路インダクタと、を備える。容量性ジャイレータ結合回路は、正のキャパシタンス+Ckを有するシャントコンデンサと、負性キャパシタンス-Ck、-Ckを有する信号線路コンデンサと、を備える。
【0021】
本開示の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性を
図6に示す。可変バンドパスフィルタ3の中心周波数f
0=1/(2π√(L
rC
r))に対して、結合回路32のインピーダンスZ
j0は、2端子対回路での並列合成を考慮すれば、誘導性ジャイレータ結合回路のインピーダンスZ
j2と容量性ジャイレータ結合回路のインピーダンスZ
j1との和インピーダンスとして、2πMf
0+1/(2πC
kf
0)のように変化する。
【0022】
すると、結合回路32のインピーダンスZj0は、以下の中心周波数f0の範囲に渡り、負荷インピーダンスZl(例えば、50Ω。)と整合する:容量性ジャイレータ結合回路のインピーダンスZj1と負荷インピーダンスZlとがマッチングする低い中心周波数f0の近傍から、シャントインダクタ-Mとシャントコンデンサ+Ckとの虚数直列共振周波数i/(2π√(MCk))の絶対値1/(2π√(MCk))に等しい中心周波数f0を経て、誘導性ジャイレータ結合回路のインピーダンスZj2と負荷インピーダンスZlとがマッチングする高い中心周波数f0の近傍まで。つまり、可変バンドパスフィルタ3の中心周波数f0は、当該低い周波数の近傍から当該高い周波数の近傍まで可変である。
【0023】
ここで、結合回路32のインピーダンスZj0は、低周波数側の中心周波数f0では、容量性ジャイレータ結合回路のインピーダンスZj1の寄与を多く含む。そこで、結合回路32のインピーダンスZj0がかなり低い中心周波数f0でも負荷インピーダンスZlと整合するためには、容量性ジャイレータ結合回路でのCkが大きいことが望ましい。
【0024】
一方で、結合回路32のインピーダンスZj0は、高周波数側の中心周波数f0では、誘導性ジャイレータ結合回路のインピーダンスZj2の寄与を多く含む。そこで、結合回路32のインピーダンスZj0がかなり高い中心周波数f0でも負荷インピーダンスZlと整合するためには、誘導性ジャイレータ結合回路でのMが小さいことが望ましい。
【0025】
ただし、結合回路32のインピーダンスZj0が、中間の中心周波数f0を含めて低周波数側の中心周波数f0から高周波数側の中心周波数f0まで、負荷インピーダンスZlと整合することが望ましい。そこで、容量性ジャイレータ結合回路でのCk及び誘導性ジャイレータ結合回路でのMが、両方とも最適化されることが望ましい。
【0026】
具体的には、可変バンドパスフィルタ3のインピーダンス整合特性を最適化するためには、容量性ジャイレータ結合回路でのCkを104pFのオーダーにすることが望ましく、直列共振器31、31の結合係数kを10-2のオーダーにすることが望ましい。そして、可変バンドパスフィルタ3の減衰特性と挿入損失との間のトレードオフを最適化するためにも、直列共振器31、31の結合係数kを10-2のオーダーにすることが望ましい。
【0027】
(第1~3実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成)
第1の実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図7に示す。第1の実施形態では、上述の共振インダクタを磁界結合せず、別個のトランスインダクタを磁界結合して、直列共振器31、31の結合係数k~10
-2を安定して再現性良く実装する。
【0028】
図7の上段に示した実装回路において、シャントインダクタ及び2個の信号線路インダクタは、正のインダクタンスM’を有する2個のトランスインダクタが逆相で磁界結合(結合係数K~1)されることにより構成される。そして、可変バンドパスフィルタ3の「両端」に配置される2個の直列共振器31、31がそれぞれ備える共振インダクタは、固定インダクタンスL
rからトランスインダクタが有する正のインダクタンスM’を1個分だけ減算したインダクタンスL
r-M’を有する。さらに、可変バンドパスフィルタ3の「両端」に配置される2個の直列共振器31、31がそれぞれ備える共振コンデンサは、可変キャパシタンスC
rと信号線路コンデンサが有する負性キャパシタンス-C
kの1個分とを直列合成したキャパシタンスC
r’=1/(1/C
r+1/(-C
k))を有する。
【0029】
図7の中段に示した等価回路において、インダクタンスM’を有する2個のトランスインダクタの逆相での磁界結合(結合係数K~1)は、負性インダクタンス-M(=-KM’~- M’)を有するシャントインダクタと、インダクタンスM’+M、M’+Mを有する2個の信号線路インダクタと、と等価である。そして、キャパシタンスC
r’を有する共振コンデンサは、キャパシタンスC
rを有する本来の共振コンデンサと、負性キャパシタンス-C
kを有する信号線路コンデンサと、の直列接続と等価である。
【0030】
図7の下段に示した等価回路において、インダクタンスL
r-M’を有する共振インダクタと、インダクタンスM’+Mを有する信号線路インダクタと、の直列接続は、インダクタンスL
rを有する本来の共振インダクタと、インダクタンスMを有する本来の信号線路インダクタと、の直列接続と等価である。そして、
図5に示した等価回路が得られる。
【0031】
このように、第1の実施形態では、直列共振器31、31の結合係数k~10-2を小さくすべきところ、別個のトランスインダクタの結合係数K~1を大きくしてもよく、可変バンドパスフィルタ3を高精度かつ簡便に製造することができる。
【0032】
第2の実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図8に示す。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、3個の直列共振器31~31をカスケード接続する。以下では、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0033】
図8の上段に示した実装回路において、可変バンドパスフィルタ3の「両端以外」に配置される1個の直列共振器31が備える共振インダクタは、固定インダクタンスL
rからトランスインダクタが有する正のインダクタンスM’を2個分だけ減算したインダクタンスL
r-2M’を有する。そして、可変バンドパスフィルタ3の「両端以外」に配置される1個の直列共振器31が備える共振コンデンサは、可変キャパシタンスC
rと信号線路コンデンサが有する負性キャパシタンス-C
kの2個分とを直列合成したキャパシタンスC
r”=1/(1/C
r+1/(-C
k)+1/(-C
k))を有する。
【0034】
図8の中段に示した等価回路において、インダクタンスM’を有する2個のトランスインダクタの逆相での磁界結合(結合係数K~1)は、負性インダクタンス-M(=-KM’~- M’)を有するシャントインダクタと、インダクタンスM’+M、M’+Mを有する2個の信号線路インダクタと、と等価である。そして、キャパシタンスC
r”を有する共振コンデンサは、キャパシタンスC
rを有する本来の共振コンデンサと、負性キャパシタンス-C
k、-C
kを有する2個の信号線路コンデンサと、の直列接続と等価である。
【0035】
図8の下段に示した等価回路において、インダクタンスL
r-2M’を有する共振インダクタと、インダクタンスM’+M、M’+Mを有する2個の信号線路インダクタと、の直列接続は、インダクタンスL
rを有する本来の共振インダクタと、インダクタンスM、Mを有する2個の本来の信号線路インダクタと、の直列接続と等価である。そして、
図5に示した等価回路とほぼ同様に、3個の直列共振器31~31がカスケード接続される。
【0036】
このように、第2の実施形態では、2個の直列共振器31、31を磁界結合するのみならず、3個以上の直列共振器31~31をカスケード接続することができ、可変バンドパスフィルタ3の減衰特性と挿入損失との間のトレードオフを最適化することができる。
【0037】
第3の実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図9に示す。第3の実施形態では、第2の実施形態と異なり、3個の可変容量の共振コンデンサを共通部品化する。以下では、第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0038】
図9の上段に示した実装回路において、可変バンドパスフィルタ3の「両端」に配置される2個の直列共振器31、31がそれぞれ備える共振コンデンサは、以下の2個のコンデンサに分離される:(1)可変バンドパスフィルタ3の「両端以外」に配置される1個の直列共振器31が備える共振コンデンサが有するキャパシタンスC
r”と同一のキャパシタンスC
r”を有する可変容量コンデンサ、(2)シャントコンデンサが有する正のキャパシタンスC
kと同一のキャパシタンスC
kを有する固定容量コンデンサ。
【0039】
図9の中段に示した等価回路において、キャパシタンスC
r”を有する可変容量コンデンサと、キャパシタンスC
kを有する固定容量コンデンサと、の直列接続は、キャパシタンスC
rを有する本来の共振コンデンサと、負性キャパシタンス-C
kを有する信号線路コンデンサと、の直列接続と等価である。
図9の下段に示した等価回路において、
図5に示した等価回路とほぼ同様に、3個の直列共振器31~31がカスケード接続される。
【0040】
このように、第3の実施形態では、3個以上の直列共振器31~31の可変容量コンデンサを共通部品化し、可変バンドパスフィルタ3を簡便に製造することができる。
【0041】
第1~3の実施形態のトランスインダクタのコア巻回方法を
図10に示す。
図10では、インダクタンスM’を有する2個のトランスインダクタの逆相での磁界結合(結合係数K~1)として、トロイダルコア33、棒状コア34又はメガネコア35を用いる。
【0042】
図10の左欄では、第1の導線と第2の導線との撚り線を、鉄心等のトロイダルコア33に巻回する。そして、撚り線の一端において、第1の導線を信号線路に接続し、第2の導線をシャントコンデンサ(キャパシタンスC
k)に接続する。一方で、撚り線の他端において、第1の導線をシャントコンデンサ(キャパシタンスC
k)に接続し、第2の導線を信号線路に接続する。ここで、撚り線をトロイダルコア33の一部に寄せて(全体に均等に)巻回すれば、トランスインダクタのインダクタンスM’を大きく(小さく)することができる。そして、撚り線をトロイダルコア33に巻き数を多く(少なく)巻回すれば、トランスインダクタのインダクタンスM’を大きく(小さく)することができる。なお、第1の導線と第2の導線との撚り線に代えて、インピーダンスが10Ω程度に低い同軸線(セミリジッドケーブル又はビニールケーブル等)を用いてもよい。
【0043】
図10の右上欄では、第1の導線と第2の導線との撚り線を、鉄心等の棒状コア34に巻回する。そして、撚り線の一端において、第1の導線を信号線路に接続し、第2の導線をシャントコンデンサ(キャパシタンスC
k)に接続する。一方で、撚り線の他端において、第1の導線をシャントコンデンサ(キャパシタンスC
k)に接続し、第2の導線を信号線路に接続する。ここで、撚り線を棒状コア34の一部に寄せて(全体に均等に)巻回すれば、トランスインダクタのインダクタンスM’を大きく(小さく)することができる。そして、撚り線を棒状コア34に巻き数を多く(少なく)巻回すれば、トランスインダクタのインダクタンスM’を大きく(小さく)することができる。ただし、磁束の漏れに留意する。なお、第1の導線と第2の導線との撚り線に代えて、インピーダンスが10Ω程度に低い同軸線(セミリジッドケーブル又はビニールケーブル等)を用いてもよい。
【0044】
図10の右下欄では、第1の導線と第2の導線との撚り線を、鉄心等のメガネコア35に巻回する。そして、撚り線の一端において、第1の導線を信号線路に接続し、第2の導線をシャントコンデンサ(キャパシタンスC
k)に接続する。一方で、撚り線の他端において、第1の導線をシャントコンデンサ(キャパシタンスC
k)に接続し、第2の導線を信号線路に接続する。ここで、撚り線をメガネコア35に巻き数を多く(少なく)巻回すれば、トランスインダクタのインダクタンスM’を大きく(小さく)することができる。なお、第1の導線と第2の導線との撚り線に代えて、インピーダンスが10Ω程度に低い同軸線(セミリジッドケーブル又はビニールケーブル等)を用いてもよい。
【0045】
第1~3の実施形態の直列共振器のカスケード接続方法を
図11に示す。
図11の第1段では、2個の直列共振器31、31を結合係数k~10
-2で磁界結合する。
図11の第2段では、3個の直列共振器31、31、31を結合係数k~10
-2、k~10
-2でカスケード接続する。
図11の第3段では、4個の直列共振器31、31、31、31を結合係数k
1~10
-2、k
2~10
-2、k
1~10
-2(k
1≠k
2)でカスケード接続する。
図11の第4段では、5個の直列共振器31、31、31、31、31を結合係数k
1~10
-2、k
2~10
-2、k
2~10
-2、k
1~10
-2(k
1≠k
2)でカスケード接続する。
【0046】
このように、可変バンドパスフィルタ3の減衰特性と挿入損失との間のトレードオフを最適化するために、磁界結合毎に結合係数kを異ならせてもよく、直列共振器31毎に共振インダクタのインダクタンスLrひいては中心周波数f0を異ならせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示の可変バンドパスフィルタは、送受信のフロントエンド等に適用することができる。そして、送信のフロントエンド等に適用する具体例として、トンネル内のラジオの再放送等における、複数キャリアの送信出力のフィルタ合成等に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1、2、3:可変バンドパスフィルタ、11、21、31:直列共振器、12、22、32:結合回路、33:トロイダルコア、34:棒状コア、35:メガネコア