(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076857
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】移動検出装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230529BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189838
(22)【出願日】2021-11-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英明
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JC01
3B084JD01
3B084JD02
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】 着席位置を移動しても私物の混同を防止することができる移動検出装置を提供する。
【解決手段】 本発明の移動検出装置100は、乗員a~dが着席した座席200A~200Dの重量を検出する重量センサ110A~110Dと、重量センサ110A~110Dにより検出された重量と移動体内の座席との関係を表す着席情報を保持する保持手段と、着席情報に変化が生じたとき変化前の着席情報と変化後の着席情報に基づき乗員の着席位置の移動または移動の可能性を判定する判定手段と、判定結果に基づき着席位置の移動に関するメッセージをパーソナルディスプレイ220に出力する出力手段とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の着席位置の移動を検出する移動検出装置であって、
乗員が着席した座席の重量を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された重量と移動体内の座席との関係を表す着席情報を保持する保持手段と、
前記着席情報に変化が生じたとき、変化前の着席情報と変化後の着席情報に基づき乗員の着席位置の移動または移動の可能性を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき着席位置の移動に関する情報を出力する出力手段と、
を有する移動検出装置。
【請求項2】
前記判定手段は、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較し、重量が変化した座席を識別する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項3】
前記判定手段は、一定期間内に複数の座席の重量が閾値未満に減少したとき、着席位置の移動の可能性があると判定する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項4】
前記出力手段は、着席位置の移動または移動の可能性のある座席のディスプレイに音声または画像のメッセージを出力する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項5】
前記出力手段は、着席位置の移動または移動の可能性のある座席の私物ホルダーの照明を変化させる、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項6】
移動検出装置はさらに、乗員の携帯端末と通信する通信手段を含み、
前記出力手段は、着席位置の移動または移動の可能性のある座席の乗員が保持する携帯端末に音声または画像のメッセージを出力する、請求項1に記載の移動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体に設けられた座席への着席位置の移動を検出する移動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、座席に応じて乗員が持ち込んだペットボトル等の飲み物を保持するドリンクホルダなどが設けられている。例えば、特許文献1のドリンクホルダ装置は、座席の重量変化を検出する重量センサと、ドアの開閉を検出するドアスイッチとを設け、これらの検出結果を利用して乗員が車両から降車する際に飲料容器を取出し位置に上昇させ、飲料容器の取り忘れの防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の自動車では、一度乗車して走行中になると、ドライバーおよび乗員が席を自由に移動することはあまりない。このため、自身が持ち込んだ私物(飲食物やスマホなど)について、どれが誰の物かを間違えることは殆どない。しかし、今後、自動車の運転自動化などが進むと、走行中であっても、ドライバー(またはドライバーに該当する人)および乗員が席を自由に移動することが可能となる。その際に、複数人の私物(例えば、ペットボトル飲料)が同じ銘柄だと、どれが誰のものか分からなくなる可能性があり、自分の私物と他人の私物とを混同してしまうと、衛生面でのリスクがある。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決し、着席位置を移動しても私物の混同を防止することができる移動検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動検出装置は、移動体の着席位置の移動を検出するものであって、乗員が着席した座席の重量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された重量と移動体内の座席との関係を表す着席情報を保持する保持手段と、前記着席情報に変化が生じたとき、変化前の着席情報と変化後の着席情報に基づき乗員の着席位置の移動または移動の可能性を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき着席位置の移動に関する情報を出力する出力手段とを有する。
【0007】
ある態様では、前記判定手段は、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較し、重量が変化した座席を識別する。ある態様では、前記判定手段は、一定期間内に複数の座席の重量が閾値未満に減少したとき、着席位置の移動の可能性があると判定する。ある態様では、前記出力手段は、着席位置の移動または移動の可能性のある座席のディスプレイに音声または画像のメッセージを出力する。ある態様では、前記出力手段は、着席位置の移動または移動の可能性のある座席の私物ホルダーの照明を変化させる。ある態様では、移動検出装置はさらに、乗員の携帯端末と通信する通信手段を含み、前記出力手段は、着席位置の移動または移動の可能性のある座席の乗員が保持する携帯端末に音声または画像のメッセージを出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着席位置の移動または移動の可能性が判定された場合に、着席位置の移動に関する情報を出力するようにしたので、乗員は、着席位置を移動する際に注意を喚起され、自身の私物と他人の私物とを混同することなく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る着席位置の移動検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(A)は、座席に乗員が着席した状態を示し、
図3(B)は、初期状態または変化前の着席情報を示す図である。
【
図4】
図4(A)は、乗員aと乗員dとが着席位置を入れ替えた状態を示し、
図4(B)は、変化後の着席情報を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る移動検出装置の動作例を示すフローである。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る移動検出装置の他の動作例を示すフローである。
【
図7】本発明の第2の実施例に係る移動検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第2の実施例に係る移動検出装置の動作例を示す図である。
【
図9】本発明の第3の実施例に係る移動検出装置の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の移動検出装置は、自動車等の移動体内に設けられた座席への着席位置の移動を検出する。本発明の移動検出装置は、例えば、車両に搭載された車載装置または車載システムと連携して動作することができる。車載装置または車載システムは、例えば、オーディオ・ビジュアル・ナビゲーション機能、地上波デジタル放送やラジオ放送の受信機能、無線通信によるネットワークへの接続機能などのエンターテイメント機能を備え、これらの機能が実行されるときに、着席位置の移動が検出される。移動体に設けられる座席の配置、座席の数、座席の種類などは特に限定されないし、座席毎に設けられる私物ホルダー(例えば、飲み物やスマートフォン等を収容する)の構造や形状も任意である。さらに移動体に乗車する乗員の数も任意であり、座席数と同じ数の乗員が乗車したとき、あるいは座席の数よりも少ない数の乗員が乗車したときの着席位置の移動を検出する。
【0011】
次に、本発明の第1の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の第1の実施例に係る移動検出装置の構成を示すブロック図である。本実施例の移動検出装置100は、重量センサ110、通信部120、メディア再生部130、音声出力部140、表示部150、記憶部160および制御部170を含んで構成される。
【0012】
重量センサ110は、車内に取り付けられた各座席の重量を検出し、検出結果を制御部170に提供する。重量センサ110は、特に限定されないが、例えば、座面の加重または座面への圧力分布を検出する。
【0013】
通信部120は、車内に持ち込まれたスマートフォン等の携帯端末との無線通信を可能にしたり、外部のネットワーク等への無線通信を可能にする。メディア再生部130は、記憶部160に格納されたオーディオデータやビデオデータを再生し、これを音声出力部140や表示部150から出力させる。また、メディア再生部130は、テレビ放送やネットワークからダウンロードしたデータの再生機能を備えることもできる。
【0014】
音声出力部140および表示部150は、メディア再生部130によって再生されたオーディオデータやビデオデータを出力する。本実施例では、音声出力部140および表示部150は、車内の各座席に設けられたパーソナルディスプレイに搭載される。記憶部160は、メディア再生部130によって再生するためのデータや、移動検出装置100にとって必要なデータやアプリケーションソフトウエア等を格納する。
【0015】
制御部170は、移動検出装置100の全体の動作を制御する。この制御は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアにより実施することが可能である。例えば、制御部170は、ROM/RAMなどを含むマイクロコントローラユニット等を含み、ROM/RAMには、移動検出装置100の動作を制御するためのプログラムが格納される。
【0016】
図2は、車内の各座席の構成例を示す平面図である。車内には、複数の座席、ここでは、一例として4つの座席200A、200B、200C、200D(総称するときは座席200と称す)の設置を示している。各座席200A~200Dの重量は、各重量センサ110A~110Dによって検出され、この検出結果は制御部170に提供される。
【0017】
また、各座席200A~200Dには、飲み物やスマートフォン等の私物を収容する私物ホルダー210A~210D(総称するときは私物ホルダー210と称す)がそれぞれ設けられる。私物ホルダー190A~190Dの取り付け位置や大きさ等は任意であるが、例えば、各座席の側部に設けられる。
【0018】
私物ホルダー210A~210D内に飲み物等の私物が収容されているか否かを検出する場合には、
図1(B)に示すように私物検出センサ180が設けられる。私物検出センサ180は、例えば、私物ホルダー210内に設けられた接触センサなどである。私物検出センサ180の検出結果は、制御部170に提供され、制御部170は、着席位置の移動を判定した際に、私物の有無に応じて喚起メッセージの出力先を選択することができる。
【0019】
さらに、各座席200A~200Dの近傍(例えば、座席の前方)には、各乗員用のパーソナルディスプレイ220A~220D(総称するときはディスプレイ220と称す)が設けられる。各座席に着席した乗員は、パーソナルディスプレイ220A~220Dに表示された画像を見たり、音声を聴くことが可能である。他のパーソナルディスプレイからの音声を遮断する場合には、ヘッドフォンやイヤフォンを使用することができる。
【0020】
次に、本実施例の着席位置の移動の判定方法について説明する。制御部170は、重量センサ110A~110Dによって検出された各座席の重量を監視し、重量に変化が生じたとき、乗員の着席位置の移動を判定する。もし、4つの座席200A~200Dの全てに乗員が着席している場合、着席位置の移動が生じたとき、少なくとも2つの座席の重量が変化する。つまり、2名の乗員が座席を入れ替わるからである。もし、4つの座席よりも少ない乗員が着席している場合、空席への移動もあるので、少なくとも1つの座席の重量が変化する。全ての座席に乗員が着席しているか否かは、予め既知である座席数と、重量センサ110から検出された閾値以上の重量を表す座席数とを比較することで容易に判定することができる。例えば、重量が0Kgあるいは決められた閾値未満であれば、その座席を空席と判定し、閾値以上であれば乗員が着席していると判定する。4つの重量センサ110A~110Dにより検出された重量が閾値以上であれば、4つの座席200に乗員が着席していると判定される。
【0021】
図3(A)は、座席200A~200Dに乗員a、b、c、dが着席した初期状態(または変化前の状態)を示している。乗員a、b、c、dは、座席200A~200Dにそれぞれ着席し、飲み物等を私物ホルダー210A~210D内に置く。重量センサ110A~110Dは、乗員a、b、c、dが着席したときの各座席200A~200Dの重量を検出し、この検出結果を制御部170に提供する。制御部170は、検出された各座席200A~200Dの重量を受け取ると、
図3(B)に示すような各座席と各座席の重量との関係を表した着席情報を生成する。例えば、座席200Aに乗員aが着席したときの重量は50Kgであり、座席200Bに乗員bが着席したときの重量は55Kgである。着席情報は、生成された時間情報とともに記憶部160に保持される。
【0022】
図4(A)は、乗員aと乗員dとが席を入れ替わった状態を示している。つまり、乗員aが座席200Dに移動し、乗員dが座席200Aに移動した状態である。制御部170は、重量センサ110A~110Dにより検出された重量を監視し、いずれかの重量が変化したとき、あるいは変化前の着席情報の重量が変化したとき、変化後の着席情報を生成する。
図4(B)は、乗員aと乗員dとが入れ替わったときの変化後の着席情報を示している。乗員aと乗員dが入れ替わったため、座席200Aの重量が65Kgに変化し、座席200Dの重量が50Kgに変化する。
【0023】
制御部170は、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較し、重量が変化した座席を識別する。上記の例であれば、座席200Aと座席200Dの重量が変化し、座席200Aと200Dとの間で着席位置の移動があったと判定する。勿論、三人以上の乗員が席を入れ替わる場合もあり、この場合にも、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較し、重量が一致する座席間で移動があったと判定する。
【0024】
もし、座席数よりも少ない数の乗員が着席している場合、例えば、乗員a、b、cが座席200A、200B、200Cに着席している場合には、変化前の着席情報は、座席200Dの重量が0Kgか閾値未満である。乗員aが座席200Dに移動した場合には、変化後の着席情報は、座席200Aの重量が0Kgか閾値未満である。この場合、制御部170は、重量が減少した座席200Aから、重量が増加した座席200Dへ移動があったと判定する。
【0025】
また、乗員aが座席200Bに移動し、乗員bが座席200Cに移動し、乗員cが座席200Dに移動した場合には、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較すると、座席の重量が全て変化することになる。この場合にも、制御部170は、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較し、重量が一致する座席間で移動があったと判定する。例えば、乗員aが座席200Aに着席したときの重量は50Kgであり、変化後の着席情報において重量50Kgに一致する座席200Bが識別され、座席200Aから座席200Bへ移動があったと判定される。
【0026】
制御部170は、着席位置の移動を判定した後、変化後の着席情報によって変化前の着生情報を更新する。このとき、更新の時間情報も一緒に記憶される。
【0027】
次に、本実施例の移動検出装置100の動作フローを
図5(A)に示す。移動検出装置100は、例えば、車両に搭載されたエンターテイメントシステムと連動し、着席位置の移動の検出を開始する。先ず、重量センサ110によって各座席200の重量が検出され(S100)、この検出結果を受け取った制御部170は、各座席と各重量との関係を表した変化前の着席情報を生成し、これを保持する(S110)。
【0028】
制御部170は、各重量センサ110により検出された重量を監視し(S120)、いずれかの重量に変化があったときあるいは変化前の着席情報に変化があったとき(S130)、変化前の着席情報と変化後の着席情報とを比較し、重量の変化が生じた座席を識別し、着席位置の移動を判定する(S140)。
【0029】
次に、制御部170は、着席位置の移動を判定した場合には、着席位置の移動が生じたことを表す喚起メッセージを音声出力部140や表示部150から出力する(S150)。喚起メッセージの内容は、特に限定されないが、例えば、各座席200の全てのパーソナルディスプレイ220から「着席位置に移動がありました」、あるいは「(席を移動したようなので)持ち物を移動してください」のような喚起メッセージを出力させたり、あるいは、着席位置の移動が生じた座席のパーソナルディスプレイ220から喚起メッセージを出力させるようにしてもよい。例えば、座席200Aと200Dとの間で着席位置の移動が生じたならば、座席200Aと200Dのパーソナルディスプレイ220Aと220Dに「座席200Aと座席200Dとの間で着席位置の移動がありました」などのメッセージを出力させてもよい。
【0030】
こうして、乗員の着席位置の移動が生じた場合には、乗員に喚起メッセージが出力され、乗員は、喚起メッセージにより自分の私物を認識し、他人の私物と混同することなく自分の私物を着席した座席の私物ホルダー210に移動させることができる。
【0031】
図5(A)の動作では、制御部170は、着席位置の移動を判定した後に喚起メッセージを出力するようにしたが、これに限らず、制御部170は、着席位置の移動の可能性があると判定したときに喚起メッセージを出力するようにしてもよい。このときの動作フローを
図5(B)に示す。制御部170は、変化前の着席情報を生成した後(S110)、座席の重量を監視し(S120)、いずれかの重量が変化したとき、または変化前の着席情報が変化したとき、着席位置の移動の可能性を判定する(S130A)。例えば、二人以上の乗員が同時に立ち上がった場合には、その乗員の座席が入れ替わる可能性がある。制御部170は、2つ以上の座席の重量がある短い期間内に0Kgかある閾値未満に減少した場合、複数の乗員が立ち上がったとみなし、座席が入れ替わる可能性があると判定し、各座席のパーソナルディスプレイ220に喚起メッセージを出力させる(S150)。
【0032】
このような喚起メッセージを着席位置の移動が生じる前に出力することで、乗員に私物の管理を促し、乗員が私物を混同するのを未然に防止することができる。
【0033】
さらに制御部170は、
図1(B)に示すように、私物検出センサ180が設けられている場合には、私物検出センサ180の検出結果に応じた喚起メッセージを出力させることができる。
【0034】
図6は、
図1(B)に示す移動検出装置の動作フローを示す図である。ステップS100からS140までの動作は、
図5と同様であるので説明を省略する。制御部170は、着席位置の移動を判定した後、私物検出センサ180の検出結果に基づき私物ホルダー220が使用されている座席を識別する(S200)。次に、制御部170は、座席位置の移動が生じる座席と私物ホルダーが使用されている座席とが一致するか否かを判定し(S210)、一致する座席には喚起メッセージを出力し(S220)、一致しない座席には喚起メッセージを出力しない(S230)。例えば、座席200Aと200Dとが入れ替わり、かつ私物ホルダー220Aが使用されている場合には、座席200Aが一致するので、座席200Aと200Dのパーソナルディスプレイ220A、220Dに喚起メッセージが出力される。私物ホルダー220A、220Dのいずれも使用されていない場合には、一致する座席がないので、喚起メッセージは出力されない。
【0035】
このように本実施例によれば、着席位置の移動または移動の可能性があると判定したとき、喚起メッセージを出力するようにしたので、乗員は、他人の私物と自分の私物とを混同することなく、自分の私物を着席した座席の私物ホルダーに移し替えることができ、その結果、乗員に良好な衛生環境を提供することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例では、パーソナルディスプレイに喚起メッセージを出力するようにしたが、本実施例は、他の様々な手段により着席位置の移動に関する情報を提供する。
【0037】
図7は、第2の実施例に係る移動検出装置の構成を示すブロック図であり、第1の実施例で示した
図1と同一構成については同一参照番号を附し、説明を省略する。本実施例の移動検出装置100Aは、私物ホルダーに取り付けられた照明230A~230D(
図8を参照)を駆動する照明駆動部190を含む。照明駆動部190は、制御部170の制御下、照明230A~230Dをそれぞれ個別に駆動する。
【0038】
照明230A~230Dは、
図8(A)に示すように、私物ホルダー220A~220Dにそれぞれ取り付けられる。取付け位置は、必ずしも限定されないが、例えば私物ホルダー220の側部に取り付けられる。照明230A~230Dは、例えば、発光ダイオードなどから構成される。
ある態様では、照明駆動部190は、照明230A~230Dを異なる色で点灯させ、例えば、照明230Aは赤、照明230Bは青、照明230Cは緑、照明230Dは黄で点灯させる。
【0039】
図8(A)に示すように乗員a、b、c、dが座席200A、200B、200C、200Dに着席したとき、乗員a、b、c、dは、座席200に関連付けされた照明230A~230Dの色を認識する。その後、
図8(B)に示すように乗員a、dが座席を入れ替わった場合、制御部170は、着席位置の移動が生じた座席200A、200Dを識別し、照明駆動部190に照明230A、230Dを点滅させる。
【0040】
乗員aは、照明230Aの赤の点滅により自身の私物の取り忘れを喚起され、乗員dは、照明230Dの黄の点滅により自身の私物の取り忘れを喚起され、乗員a、dは、他人の私物を混同することなく自分の私物を移動した座席の私物ホルダーに移動させることができる。上記の例では、照明を点滅させるようにしたが、これ以外にも、着席位置の移動が生じた座席の私物ホルダーを乗員が容易に認識することができるように、例えば、照明を明るくしたり、暗くしたり、あるいは別の色で点灯させるようにしてもよい。
【0041】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例では、各乗員が保持するスマートフォンに喚起を通知するようにしてもよい。
図9(A)に示すように、通信部120は、座席200A、200B、200C、200Dにそれぞれ取り付け有れた無線通信デバイス(例えば、Bluetoothなど)を含み、乗員a、b、c、dがスマートフォン240A、240B、240C、240Dを所持して座席200A、200B、200C、200Dに着席したとき、スマートフォン240A、240B、240C、240Dは、各座席の無線通信デバイスにペアリング接続される。
【0042】
図9(B)に示すように、乗員aと乗員dが座席を入れ替わった場合、制御部170は、着席位置の移動が生じた座席200A、200Bの各無線通信デバイスを介してスマートフォン240A、240DにメッセージMを出力させる。これにより、座席200Dに移動した乗員aは、スマートフォン240AのメッセージMにより私物の取り忘れを喚起され、座席200Aに移動した乗員dは、スマートフォン240DのメッセージMにより私物の取り忘れを喚起される。
【0043】
第2の実施例のように私物ホルダー220に照明230が取り付けられている場合には、スマートフォン240Aに照明230Aの赤色を点滅させ、スマートフォン240Dに照明230Dの黄色を点滅させ、移動前の私物ホルダー210A、210Dを間違えないような認識を与えるようにしてもよい。
【0044】
このように上記実施例によれば、ウイルス等の感染防止の観点から着席位置の移動が生じた際に各乗員の私物の混同を防止し、各乗員により良い衛生面を提供することができる。
【0045】
なお、第1ないし第3の実施例をそれぞれ個別に説明したが、本発明は、第1ないし第3の実施例の組み合わせるものであってもよい。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
100:移動検出装置
110A~110D:重量センサ
120:通信部
130:メディア再生部
140:音声出力部
150:表示部
160:記憶部
170:制御部
180:私物検出センサ
190:照明駆動部
200A~200D:座席
210A~210D:私物ホルダー
220A~220D:パーソナルディスプレイ
230A~230D:照明
240A~240D:スマートフォン