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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076865
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
B01D53/26 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189855
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】長吉 正良
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA08
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB06
4D052BB08
4D052GA01
4D052GB08
(57)【要約】
【課題】熱交換器全体を洗浄可能な除湿機を提供する。
【解決手段】貯水部71に溜まった洗浄水を蒸発器46aに落下させるため洗浄レバー100をユーザが操作し排水孔押え80を持ち上げた状態にした後、洗浄レバー100が元の位置へ戻ることで排水孔押え80が待機状態の位置へ戻る。このとき、排水孔押え80が前下方へ傾くことで撓み、待機状態時に貯水部排水孔73の全体をシール部81で閉止することができず、洗浄水漏れ発生の虞がある。貯水部71に案内リブ71fを形成したことで、排水孔押え80が待機状態の位置へ案内されるので、シール部81により貯水部排水孔73の全体を閉止し、洗浄水漏れの発生を未然に阻止することができる。よって、洗浄水受け70に洗浄水が注水されたとき、確実に洗浄水を貯水部71に溜めることができ、蒸発器46a全体を洗浄することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容され、吸い込んだ空気と熱交換を行う熱交換器と、
前記筐体に収容され、前記熱交換器の鉛直方向上方に配置され、前記熱交換器を洗浄する洗浄水を溜め、溜められた前記洗浄水を排出する排水孔を有する洗浄水受けと、
前記排水孔を閉止する待機状態の位置から前記鉛直方向上方へ移動することにより、前記排水孔を開放する排水孔押えと、
ユーザによって前記待機状態から前記鉛直方向と直交する水平方向に移動されることにより前記排水孔押えを開く指示を受け付ける指示入力部と、
を備え、
前記指示入力部は、
前記筐体の外側に向く表面と、前記筐体の内側に向く背面と、を有する基部と、
前記背面から突出するように形成され、前記基部が受けた前記水平方向に移動する力を前記排水孔押えに伝達する伝達部と、を有し、
前記排水孔押えは、
前記伝達部から前記水平方向の力を受け、前記水平方向の力を前記排水孔押えが前記鉛直方向上方へ移動する力に変換する接続部と、を有し、
前記洗浄水受けは、
前記排水孔押えが前記排水孔を開放した位置から前記鉛直方向下方へ移動するとき、前記待機状態の位置へ前記排水孔押えを案内する案内手段と、を有したことを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記排水孔は、前記水平方向に沿って形成された孔であり、
前記排水孔押えは、下端に前記排水孔を閉止するシール部を前記水平方向に沿って有し、
前記案内手段は、前記鉛直方向、及び前記水平方向と直交する第3の方向において、前記排水孔押えを挟み込むように形成されたことを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記案内手段は、少なくとも前記排水孔押えの前記水平方向における前記接続部付近に形成されたことを特徴とした請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記案内手段は、前記排水孔押えが前記待機状態の位置に移動するとき、前記排水孔押えの前記シール部を前記排水孔が形成された位置へ案内する案内面を有したことを特徴とした請求項2又は3記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機などの空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、低温の冷媒を蒸発器としての熱交換器へ通流させることで冷却し、送風ファンが駆動して熱交換器へ送風することで、熱交換器に結露水が付着し室内の除湿を行う除湿運転を実施するものにおいて、除湿運転が終了し低温の冷媒が熱交換器へ通流しない状態で送風ファンを所定時間だけ駆動させ、熱交換器を乾燥させる乾燥運転を実施するものがあり、熱交換器に水分が残ることでのカビや雑菌が発生することを未然に阻止していた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-334795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、熱交換器に付着した埃を除去することができない。
これに対し、熱交換器上に排水孔が排水孔押えにより閉止され洗浄水を溜められる洗浄水受けを設置し、ユーザが所定量の水を洗浄水受けに注水した後、排水孔押えを動作させ排水孔を開放し、洗浄水受けに溜められた洗浄水を熱交換器に落下させ、熱交換器に付着した埃を除去する方法が考えられる。この方法を実施したとき、洗浄水を熱交換器へ落下させるために動作させた排水孔押えが確実に排水孔を閉止する位置まで戻らなければ、洗浄水受けに所定量の水を溜めることができず、熱交換器全体を洗浄することができないことから、洗浄効果が低減する虞があり、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る空気調和機は、上述した課題を解決するために、請求項1では、筐体と、
前記筐体に収容され、吸い込んだ空気と熱交換を行う熱交換器と、
前記筐体に収容され、前記熱交換器の鉛直方向上方に配置され、前記熱交換器を洗浄する洗浄水を溜め、溜められた前記洗浄水を排出する排水孔を有する洗浄水受けと、
前記排水孔を閉止する待機状態の位置から前記鉛直方向上方へ移動することにより、前記排水孔を開放する排水孔押えと、
ユーザによって前記待機状態から前記鉛直方向と直交する水平方向に移動されることにより前記排水孔押えを開く指示を受け付ける指示入力部と、
を備え、
前記指示入力部は、
前記筐体の外側に向く表面と、前記筐体の内側に向く背面と、を有する基部と、
前記背面から突出するように形成され、前記基部が受けた前記水平方向に移動する力を前記排水孔押えに伝達する伝達部と、を有し、
前記排水孔押えは、
前記伝達部から前記水平方向の力を受け、前記水平方向の力を前記排水孔押えが前記鉛直方向上方へ移動する力に変換する接続部と、を有し、
前記洗浄水受けは、
前記排水孔押えが前記排水孔を開放した位置から前記鉛直方向下方へ移動するとき、前記待機状態の位置へ前記排水孔押えを案内する案内手段と、を有したことを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記排水孔は、前記水平方向に沿って形成された孔であり、
前記排水孔押えは、下端に前記排水孔を閉止するシール部を前記水平方向に沿って有し、
前記案内手段は、前記鉛直方向、及び前記水平方向と直交する第3の方向において、前記排水孔押えを挟み込むように形成されたことを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記案内手段は、少なくとも前記排水孔押えの前記水平方向における前記接続部付近に形成されたことを特徴とした。
【0008】
また、請求項4では、前記案内手段は、前記排水孔押えが前記待機状態の位置に移動するとき、前記排水孔押えの前記シール部を前記排水孔が形成された位置へ案内する案内面を有したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、排水孔押えが待機状態にあるとき洗浄水受けの排水孔から洗浄水が漏れ出す事態を未然に阻止できる。よって、ユーザが洗浄水受けに洗浄水を注水したとき、洗浄水受けに洗浄水を確実に溜めることができるため、熱交換器全体を濡らすことができ、熱交換器の洗浄効果の低下を未然に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における除湿機の外観斜視図。
図2】除湿機の前枠及び後枠を外した状態の左側面図。
図3】除湿機の分解斜視図。
図4】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図5】洗浄水受けと、排水孔押えを示す分解斜視図。
図6】洗浄水受けと、排水孔押えを示す平面視断面図。
図7】洗浄水受けを主に上方から示す斜視図。
図8図7のVIII-VIII線に沿う断面図。
図9】注水口蓋を主に上方から示す斜視図。
図10図9のX-X線に沿う断面図。
図11】洗浄レバーを前方から示す斜視図。
図12】後枠に配置された洗浄レバーを特に示す説明図。
図13】後枠を前方から示す斜視図。
図14】後枠の注水口を後方から示す斜視図。
図15】注水口と注水口蓋との関係を後方及び右方から示す断面図。
図16】注水口と注水口蓋との関係を前方及び左方から示す説明図。
図17】貯水部排水孔が閉じた状態を前方から示す断面図。
図18】貯水部排水孔が閉じた状態を左方から示す断面図。
図19】貯水部排水孔が開いた状態を前方から示す断面図。
図20】貯水部排水孔が開いた状態を左方から示す断面図。
図21】別実施形態の洗浄水受けと、排水孔押えを示す平面視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機1に適用して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
【0013】
図2は、除湿機1の前枠11及び後枠12を外した状態の左側面図である。
【0014】
図3は、除湿機1の分解斜視図である。
【0015】
図4は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0016】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。なお、鉛直方向は上下方向であり、水平方向は左右方向であり、第3の方向は左右方向と直交する前後方向である。
【0017】
除湿機1は、除湿機1の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、後枠化粧板13と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0018】
前枠11及び後枠12は、互いに組み合わされ、除湿機1の前後方向に面する筐体10をなす。
【0019】
後枠12は、吸込口21と、タンク挿入口22と、注水口23と、レバー支持口24と、を有する。吸込口21は、複数のスリット26を有し、外表面にフィルタ27及びフィルタケース28を有する。フィルタ27は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース28は、フィルタ27を吸込口21に固定する。タンク挿入口22は、吸込口21の下方に配置され、ここからドレンタンク51が挿入及び取り出される。注水口23及びレバー支持口24は、吸込口21の上方に配置される(詳細は後述)。後枠化粧板13は、後枠12の上方に取り付けられることで後枠12の視認させたくない部分を覆う目隠しとなる。
【0020】
上面板14は、組み合わされた前枠11及び後枠12の上方に配置され、上方に面する筐体10をなす。上面板14は、吹出口31と、操作部32と、LED表示部33と、を有する。吹出口31は、上面板14の上方を向く面に配置される。吹出口31は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方から水平方向に制御可能なルーバユニット35を有する。ルーバユニット35は、ルーバ36と、ルーバ36を駆動するルーバモータ37と、を有する。
【0021】
操作部32及びLED表示部33は、上面から前方に斜め下方に傾斜する面に配置される。操作部32は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどを実現するタッチパネルである。LED表示部33は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0022】
ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12の下方に配置され、除湿機1の土台となる。
【0023】
除湿機1は、筐体10に収容される主な内部部品として、ファンケース41と、シロッコファン42と、送風モータ43と、圧縮機45と、熱交換器46と、ドレンパン49と、ドレンタンク51と、コントロールユニット55と、を有する。
【0024】
ファンケース41は、ベース15上に配置され、主にシロッコファン42、送風モータ43、及びドレンタンク51を支持したり位置決めしたりする。
【0025】
シロッコファン42は、送風モータ43の回転により回転し、吸込口21から空気を吸い込み、吹出口31から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン42及び送風モータ43は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース41に取り付けられている。
【0026】
圧縮機45は、ベース15上に固定されており、配管45a及び減圧装置45bを介して熱交換器46に接続される。
【0027】
熱交換器46は、吸込口21から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器46は、吸込口21に近い位置に配置される蒸発器46aと、蒸発器46aよりも前方に配置される凝縮器46bと、を有する。蒸発器46a及び凝縮器46bは、U字状の冷媒管47にフィン48が取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管47は、図2に示すように、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部47aと、上下方向に曲り2本の直線部47aをつなげる曲げ部47bと、を有し、この直線部47aと曲げ部47bとが冷媒管47の長さ方向に渡って連続して現われる。
【0028】
圧縮機45、配管45a、減圧装置45b及び熱交換器46は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機45、凝縮器46b、減圧装置45b、蒸発器46aを有する。冷媒は、蒸発器46aを流れる際に、蒸発器46aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器46bを流れる際に、凝縮器46bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口21から吸い込まれた空気は、フィルタ27で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器46aで冷却、除湿され、次いで凝縮器46bで加熱されて、低湿度の空気として吹出口31から排出される。
【0029】
ドレンパン49は、ファンケース41のシロッコファン42が配置される側と前後方向における反対側で、熱交換器46を下方で支持し、固定する。ドレンパン49は、熱交換器46の下方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。ドレンパン49は、排水口を有し、蒸発器46aで発生し落下するドレン水及び蒸発器46aを洗浄した洗浄水を受け、この排水口から排出する。
【0030】
ドレンタンク51は、ドレンパン49の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク51は、タンク挿入口22から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク51は、ファンケース41により形成されたタンク室41bに配置される。
【0031】
ドレンタンク51は、タンク蓋54と、浮き収容部52と、を有する。タンク蓋54は、ドレンパン49の排水口からのドレン水などをドレンタンク51内に落下させる。浮き収容部52は、ドレンタンク51内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮き53を収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、コントロールユニット55などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)62により検出され、ドレンタンク51の満水をユーザに通知する。
【0032】
コントロールユニット55は、ケース56に支持されてファンケース41の左方に配置される。コントロールユニット55は、操作部32からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ37、送風モータ43や圧縮機45、LED表示部33などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。図4に示すように、コントロールユニット55は、記憶部57及びタイマ58を有する。記憶部57は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ58は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。
【0033】
コントロールユニット55は、温度センサ59及び湿度センサ60を有する。温度センサ59及び湿度センサ60は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。コントロールユニット55は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部61は、コントロールユニット55の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音を出力する。
【0034】
除湿機1は、筐体10に収容される内部部品として、洗浄水受け70と、排水孔押え80と、注水口蓋90と、洗浄レバー100と、をさらに有する。
【0035】
図5は、洗浄水受け70と、排水孔押え80を示す分解斜視図である。
【0036】
図6は、洗浄水受け70と、排水孔押え80を示す平面視断面図である。
【0037】
図7は、洗浄水受け70を主に上方から示す斜視図である。
【0038】
図8は、図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【0039】
図2に示すように、洗浄水受け70は、熱交換器46の上方であって、ファンケース41の後方に配置される。洗浄水受け70は、熱交換器46を洗浄する洗浄水を溜め、溜められた洗浄水を排水する機能、及び熱交換器46を支持する機能を有する。洗浄水受け70は、貯水部71と、オーバーフロー部74と、支持片76と、熱交押え79とを有する。
【0040】
貯水部71は、上方に開口した洗浄水の貯水空間である。貯水部71は、少なくとも蒸発器46aの上方に配置される。貯水部71は、熱交換器46の左右方向長さ部分の略全域にわたって配置されているのが好ましい。貯水部71は、例えば熱交換器46の洗浄に必要な所定量の水(例えば200ml)の洗浄水を少なくとも貯水可能な容量を有する。貯水部71は、左右外表面に、一対のばね止め部72を有する。貯水部71は、後壁71aと、前壁71bと、左右壁71dと、を有する。前壁71bは、後壁71a及び左右壁71dよりも低くなっている。これにより、貯水部71の容量を超えた洗浄水が注水された場合には、前壁71bから溢れるようになっている。
【0041】
貯水部71は、底面71cに貯水部排水孔73(排水孔)を有する。貯水部排水孔73は、貯水部71の左右方向長さの略全域、すなわち熱交換器46の左右方向の長さの略全域にわたって配置されるのが好ましい、スリット状の孔である。また、貯水部排水孔73は、冷媒管47の直線部47aの延びる方向に沿って配置されている。図7の例においては、貯水部排水孔73は、左右方向に二分割されている。貯水部排水孔73は、洗浄水を下方の熱交換器46側に排水する。具体的には、貯水部排水孔73は、吸込口21に近く埃が溜まりやすく、コントロールユニット55や送風モータ43などの電気部品に遠い、蒸発器46aの上方に配置され、排水された洗浄水を蒸発器46aの冷媒管47及びフィン48上に到達させる位置に形成される。
【0042】
貯水部71は、底面71cの略中央で前壁71bと隣接する位置に上方へ突出する支持手段としての支持リブ71eが形成されている。支持リブ71eは、上端が前壁71bの上端より高くなるように形成されている。支持リブ71eは、少なくとも後述する指示入力部としての洗浄レバー100が操作されたとき、伝達部103が移動する範囲の左右方向に対応するように形成されている。伝達部103が左右方向へ移動したとき、伝達部103を支持して洗浄レバー100が傾くことを阻止する。支持リブ71eは、上端にテーパ状の案内面71e1が形成され、伝達部103が左右方向へ移動したとき、伝達部103をスムーズに支持リブ71eの上端に案内することができる。
【0043】
貯水部71は、左右壁71dに貯水部71の内側へ向けて突出する突き出し部71d1が形成されている。突き出し部71d1は、後述する排水孔押え80の規制部89が嵌まり込むことで、排水孔押え80を上下方向について自在に動作可能とするレールの役割を備える。
【0044】
貯水部71は、底面71cの左右方向の複数箇所に案内手段としての案内リブ71fが形成されている。案内リブ71fは、支持リブ71eよりも高さが低く、一端が底面71cと接続しており、前方向の左右にある2つは他端が前壁71bと接続し、後方向にある3つは他端が後壁71aと接続している。前方向の左右において略中央位置にある案内リブ71fは、支持リブ71eの後端面から後方へ突出するように形成されている。案内リブ71fは、上下方向、及び左右方向である水平方向と直交する第3の方向である前後方向において、後述する排水孔押え80を挟み込むように形成されている。これにより、排水孔押え80が上下方向に移動しても下端部分が前後方向において位置ずれすることがない。よって、排水孔押え80のシール部81により貯水部排水孔73を確実に閉止し、貯水部71から貯水部排水孔73を介して洗浄水が漏れることを未然に阻止することができる。
【0045】
オーバーフロー部74は、貯水部71の前方であって、凝縮器46bの上方に配置される。オーバーフロー部74は、貯水部71の前壁71bの上方で貯水部71と空間的につながっている。オーバーフロー部74は、貯水部71の貯水容量を超えて注がれ、前壁71bから溢れた洗浄水を受け止める。オーバーフロー部74は、下方にオーバーフロー部排水孔75を有する。オーバーフロー部74は、洗浄水が蒸発器46a側に導かれるように、洗浄水の流路及びオーバーフロー部排水孔75を有している。すなわち、オーバーフロー部74は、凝縮器46bの上方に位置しつつも、洗浄水は後方の蒸発器46a側に排出する。
【0046】
支持片76は、オーバーフロー部74の前方右端から前方に延びる片状部分である。支持片76は、支持孔77を有し、支持孔77を介してファンケース41の対応する位置に配置される爪41a(図2)に掛かり合う。これにより、洗浄水受け70は、ファンケース41に支持される。
【0047】
熱交押え79は、洗浄水受け70の左右端部から下方に向って形成される、上下方向に沿う面方向を有する板状部材である。熱交押え79は、図2に示すように、熱交換器46の上方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。また、熱交押え79は、同様に熱交換器46を支持するドレンパン49と対になることで、熱交換器46を上下方向にも支持する。
【0048】
排水孔押え80は、貯水部71の貯水部排水孔73を閉じたり開いたりするために、洗浄水受け70に対して支持される、左右方向に延びる略枠状部材である。排水孔押え80は、上方に移動することにより、貯水部排水孔73を開く。排水孔押え80は、シール部81と、腕部83と、レバー接続部87と、規制部89と、を有する。
【0049】
シール部81は、排水孔押え80の左右方向に延びる下端部分であり、貯水部排水孔73の左右方向長さに対応する長さを有する。シール部81は、シール部材82を有し、貯水部排水孔73が閉じた状態の時には、貯水部71に貯水された洗浄水が漏れないように貯水部排水孔73を塞ぐ。シール部材82は、シール部81に挿入される挿入部82aと、当該挿入部82aの下側に接続し貯水部排水孔73に密着してシールする当接部82bとで構成される。シール部材82は、ソリッドのEPDMで構成されている。
【0050】
腕部83は、排水孔押え80の左右端部に配置され、上下方向に面する一対の水平面を有する。腕部83は、一対のばね孔84を有する。一対のばね孔84は、一対の排水孔押えばね85(付勢手段)の一端を支持する。一対の排水孔押えばね85の他端は、洗浄水受け70の一対のばね止め部72に支持される。これにより、一対の排水孔押えばね85は、上下方向に復元力を有することで、排水孔押え80を洗浄水受け70に支持する。排水孔押え80は、待機状態である無負荷時においては下方に引っ張られて、シール部材82の当接部82bが貯水部排水孔73を閉じる。排水孔押え80は、待機状態から復元力に抗して上方に引っ張られて移動することにより、シール部81が上方へ移動し貯水部排水孔73を開く。
【0051】
レバー接続部87(接続部)は、洗浄レバー100と掛かり合い、洗浄レバー100の作動を排水孔押え80を作動させるための力に変換する部分である。具体的には、レバー接続部87は、伝達部103(後述)から左方の力を受け、左方の力を排水孔押え80が上方に移動する力に変換する。レバー接続部87は、伝達部103を貫通させるレバー開口88を有する。レバー開口88は、伝達部103が左方に移動する間、伝達部103と掛かり合い接触し、伝達部103から受けた左方の力を上方の力に変換する。
【0052】
レバー接続部87は、洗浄レバー100の左右方向の移動を、排水孔押え80の上下方向の移動に変換可能な形状を有する。具体的には、レバー開口88は、伝達部103の上面103a(後述)の傾斜に沿った傾斜であり、左方に向って下方に傾斜する上辺88aを有する。
【0053】
規制部89は、排水孔押え80の左右方向両端にある上下方向へ延びる面から左右方向へ向けて突出する凸部である。規制部89は、上下方向に沿った凹部を有し、当該凹部の前後方向の幅内に洗浄水受け70の突き出し部71d1が嵌まり込むことで、排水孔押え80が上下方向へ動作可能となる。規制部89により、排水孔押え80が下方へ動作するとき、洗浄水受け70の案内リブ71fと相俟って排水孔押え80が前後方向へ揺れ動くことを阻止できるため、シール部材82が位置ずれすることなく貯水部排水孔73を閉止することができ、貯水部排水孔73からの洗浄水漏れを阻止することができる。
【0054】
図9は、注水口蓋90を主に上方から示す斜視図である。
【0055】
図10は、図9のX-X線に沿う断面図である。
【0056】
注水口蓋90は、通常時は注水口23を塞ぎ、洗浄時には筐体10の外部から洗浄水受け70に洗浄水を注ぐための機能を有する。注水口蓋90は、引き出し形状を有し、後枠12の注水口23に対して前後方向にスライドされる。注水口蓋90は、注水部91と、排水部96と、を有する。
【0057】
注水部91は、それぞれ上下方向に延びる後壁91a、左右壁91b、前壁91c及び底面91dで形成され、上方が開口した空間を形成する。後壁91aの後方を向く面は、後枠12と面一となり除湿機1の外部に露出する。後壁91aは、後方に延びる取っ手92を有する。取っ手92は、注水口蓋90が筐体10から引き出される際にユーザに使用される。前壁91cは、格子状に形成されて開口部分を有し、注水部91に注がれた洗浄水をこの開口部分から排水する。前壁91cは、後壁91a及び左右壁91bよりも高さが低い。左右壁91bは、前壁91cよりも前方まで延びる。左右壁91bは、外側を向く面に、上下方向に延びる抜け止めリブ93をそれぞれ有する。底面91dは、前方に傾斜し、注がれた洗浄水を確実に前壁91cから排出させる。
【0058】
排水部96は、前壁91cの前方に配置され、水はね防止壁97と、下方開口98と、を有する。水はね防止壁97は、前壁91cの上端から注水部91の底面91dと略同一面上まで、前方に向って下方に傾斜した壁状部分である。下方開口98は、水はね防止壁97の下端97aと、底面91dの前端99と、下端97a及び前端99の左右端をつなぐ左右壁91bと、で形成される。下方開口98は、注水口蓋90が後枠12に対して引き出され、注水可能状態にある場合に、洗浄水受け70の貯水部71の略上方に位置している。
【0059】
図11は、洗浄レバー100を前方から示す斜視図である。
【0060】
図12は、後枠12に配置された洗浄レバー100を特に示す説明図である。
【0061】
洗浄レバー100(指示入力部)は、ユーザから左方(水平方向に沿う方向)に移動されることにより排水孔押え80を開く指示を受け付ける機能を有する。洗浄レバー100は、後枠12のレバー支持口24(図1)に対して左右方向にスライドする。洗浄レバー100は、薄板部101と、指掛凹部102と、伝達部103と、ばね支持部105と、を有する。
【0062】
薄板部101(基部)は、後枠12の背面12a(前方を向く面)に略平行に面して配置される板状部材である。薄板部101は、筐体10の外側(後方)に向く表面108a(図1)と、筐体10の内側(前方)に向く背面108bと、を有する。指掛凹部102は、薄板部101の左右方向略中央部に形成され、前方に略四角形状に凹んだ部分である。指掛凹部102は、ユーザより洗浄レバー100を左方に移動される際にユーザの指がかけられる。
【0063】
伝達部103は、背面108bに設けられ、背面108bに対して略垂直に前方に向って突出した、断面略台形の筒状部分である。伝達部103は、薄板部101が受けた左方に移動する力を排水孔押え80に伝達する。伝達部103は、前後方向視において指掛凹部102と重なる位置に配置される。伝達部103は、略上方を向き、左方に向って下方に傾斜する上面103aを有する。伝達部103はこの上面103aに、複数(図10においては3本)の接触リブ104(凸部)を有する。接触リブ104は、上面103aから突上方に出し、伝達部103が貫通する排水孔押え80のレバー開口88の上辺88aと接触する。接触リブ104は、上辺88aとの接触面積を減らし、摩擦を低減する。また、接触リブ104が2箇所以上に設けられることで、スライド時の上辺88aとの接触を安定させ、排水孔押え80をまっすぐ上方に移動させる。
【0064】
ばね支持部105は、薄板部101の右端側から前方に立ち上がった小片であり、ばね孔106を有する。ばね孔106は、レバーばね107の一端を支持する。レバーばね107の他端は、後枠12のばね止め部123に支持される。これにより、レバーばね107は、左右方向に復元力を有することで、洗浄レバー100を後枠12に支持する。洗浄レバー100は、待機状態である無負荷時においては右方に引っ張られている。洗浄レバー100は、待機状態から指掛凹部102を介するユーザの動作により左方に力を受けて移動されることにより、復元力に抗して左方にスライドする。
【0065】
次に、後枠12の注水口23及びレバー支持口24について説明する。
【0066】
図13は、後枠12を前方から示す斜視図である。
【0067】
図14は、後枠12の注水口23を後方から示す斜視図である。
【0068】
図15は、注水口23と注水口蓋90との関係を後方及び右方から示す断面図である。
【0069】
図16は、注水口23と注水口蓋90との関係を前方及び左方から示す説明図である。
【0070】
注水口23は、注水開口111と、一対の案内レール113と、一対の蓋押え片115と、弾性爪部116と、保護壁118と、を有する。
【0071】
注水開口111は、後枠12に形成された開口であり、注水口蓋90の後壁91aの寸法に対応する。一対の案内レール113は、注水開口111の左右縁111aから前方に延びた断面略コ字状部材である。案内レール113は、注水口蓋90の底面91dの左右辺94と溝部分で嵌り合うことで、注水口蓋90の位置決めをし、また前後方向のスライドを案内する。
【0072】
一対の蓋押え片115は、一対の案内レール113の上方であって、注水開口111の左右縁111aから前方に延びた弾性小片である。一対の蓋押え片115は、注水口蓋90の左右壁91bの抜け止めリブ93に対応する位置に前端が配置され、抜け止めリブ93と前後方向において掛かり合うことにより注水口蓋90が意図せず後方にスライドされないように支持する。また、一対の蓋押え片115は、注水口蓋90がユーザにより後方に引き出された場合には、左右方向にたわんで逃げ、抜け止めリブ93との掛かり合いを解除する。
【0073】
弾性爪部116は、注水開口111の上縁111bから前方に延び、曲げ部116aを経て後方に延びる、断面略U字状の弾性薄板部材である。弾性爪部116は、このU字の内部空間により、注水開口111から注がれた水が筐体10内部に浸入しないように防ぐ機能を有する。弾性爪部116は、先端に抜け止め爪117を有する。抜け止め爪117は、図15に示すように、注水口蓋90が所要量後方に引き出された際に、前壁91cの上端に引っ掛かることにより、注水口蓋90が所要量以上引き出されないように抜け止めとして機能する。
【0074】
保護壁118は、注水開口111の上縁111bから前方に延びた、断面略L字状部材である。保護壁118は、注水開口111の空間を左右方向に仕切る。図15に示すように、この保護壁118の左方にはマイクロスイッチ120が配置され、保護壁118は注水口23から注水される洗浄水からマイクロスイッチ120を保護する。マイクロスイッチ120は、注水口蓋90の挿入時には左壁91bと接触してオンされ、注水口蓋90の引き出し時には左壁91bと非接触となりオフされることにより注水口蓋90の開閉を検知する。
【0075】
図12及び図13に示すように、レバー支持口24は、洗浄レバー100を後枠12に対して左右方向にスライド可能に保持する。レバー支持口24は、支持開口121と、案内部としての一対の案内レール122と、ばね止め部123(図12)と、を有する。
【0076】
支持開口121は、洗浄レバー100の指掛凹部102及び薄板部101の一部を後枠12から露出し、ユーザによる指掛凹部102を介したスライド操作を可能にする。
【0077】
一対の案内レール122は、後枠12の背面12aであって、支持開口121の上下縁121aの上方及び下方に、上下縁121aと平行に配置される。一対の案内レール122は、洗浄レバー100の薄板部101の上辺101a及び下辺101b(図11図12)と溝部分で嵌り合うことで、洗浄レバー100の位置決めをし、また洗浄レバー100を左右方向に移動可能に支持してスライドを案内する。
【0078】
ばね止め部123は、後枠12の背面12aであって、支持開口121の右縁121bの右方に配置される。ばね止め部123は、上述したとおり、レバーばね107の他端を支持する。
【0079】
次に、除湿機1における熱交換器46の洗浄処理について、具体的に説明する。
【0080】
図17は、貯水部排水孔73が閉じた状態を前方から示す断面図である。
【0081】
図18は、貯水部排水孔73が閉じた状態を左方から示す断面図である。
【0082】
図19は、貯水部排水孔73が開いた状態を前方から示す断面図である。
【0083】
図20は、貯水部排水孔73が開いた状態を左方から示す断面図である。
【0084】
除湿機1が一定時間運転され、熱交換器46が洗浄を要するタイミングを迎えると、ユーザにより洗浄処理が開始される。
【0085】
洗浄処理は、まず注水口蓋90がユーザにより引き出され、所定量の水が洗浄水として注水部91に注水される。このとき、水が勢いよく注がれると、底面91dや左右壁91bで水が跳ねてしまうおそれがある。しかし、U字状の注水口23の弾性爪部116が、筐体10内部から注水部91を隔離し、筐体10内部への水の浸入を防ぐ。また、保護壁118がマイクロスイッチ120を注水部91から隔離することにより、マイクロスイッチ120に水が付着することを防ぐ。
【0086】
洗浄水は、前壁91cの格子で形成される開口部分から排水される。このとき、格子状の前壁91cは、異物が流れ落ちることや、ユーザの指が内部に侵入することを防止する。洗浄水は、排水部96の下方開口98から下方に落下する。落下した洗浄水は、洗浄水受け70の貯水部71に貯留される。このとき、注水口23から貯水部71の容量以上の水が注水されるおそれもある。これに対しては、オーバーフロー部74が前壁71bから溢れた水を受け止め、オーバーフロー部排水孔75から洗浄対象である蒸発器46a側に導くことができ、水が意図しない筐体10内部に侵入することが防止される。
【0087】
所定量の水が注水され、注水口蓋90が閉じられると、ユーザより排水孔抑え80を開く指示を受け付ける。具体的には、ユーザにより、指掛凹部102を介して洗浄レバー100が左方にスライドされることにより、伝達部103がレバー開口88内を上辺88aと接触しながら左方に移動し、レバー接続部87に左方の力を伝達する。レバー接続部87は、上述の通り洗浄レバー100の左方の力を上方の力に変換する。これにより、排水孔押え80は、上方に移動する。
【0088】
排水孔押え80が上昇すると、貯水部排水孔73が開放され、貯水部71に貯水された洗浄水が排水される。洗浄水は、蒸発器46aの上方から下方に流れ落ちることにより、蒸発器46aに付着した埃を取り除く。流れ落ちた洗浄水と埃は、ドレンパン49に到達し、蒸発器46aから落下するドレン水同様、ドレンタンク51に排出される。
【0089】
このとき、貯水部71に所定量の洗浄水が溜められた後に排水されるため、例えば注水口23から注水されるままに溜められることなく熱交換器46に導かれる場合に比べて、洗浄水は勢いよく排水される。これにより、蒸発器46aの埃は除去されやすくなっている。
【0090】
貯水部71の水が全て排水されると、洗浄レバー100はユーザの操作から解放され、レバーばね107の復元力により自動的に右方にスライドし自動的に待機状態に戻る。同時に、排水孔押え80も排水孔押えばね85の復元力により自動的に下方に移動し待機状態に戻り、貯水部排水孔73が閉じられる。
【0091】
このような除湿機1は、熱交換器46に蓄積した埃を、洗浄水により洗い流すことにより取り除くことができるため、例えば、単に送風して乾燥させることにより埃の湿気を取り除く場合に比べて、除湿機1は埃そのものを取り除くことができるため、衛生面に優れ
ている。
【0092】
また、除湿機1は、貯水部排水孔73の開閉を、排水孔押え80と洗浄レバー100の少ない部品点数で実現している。このため、除湿機1は、部品点数の節減や構造の簡素化を実現できる。これにより、部品同士の干渉も低減できるため、動作時の異音の発生も低減できる。また、除湿機1はこのような開閉機構を、電気的な機構を用いることなく機械的に実現したため、洗浄水の通路の近傍に位置する開閉機構が電気的な機構を含む場合に必要となる防水対策を、不要とできる。
【0093】
さらに、洗浄レバー100は後枠12とレバーばね107を介して組み付けられて一体化されている。また、排水孔押え80は、洗浄水受け70と排水孔押えばね85を介して一体化され、さらに洗浄水受け70は熱交換器46、ファンケース41などと組み付けられて一体化されている。このため、除湿機1の組立時には、洗浄レバー100が組み付けられた後枠12を、同様に他の部材と一体化された排水孔押え80のレバー開口88に挿入するように組み付けることで、簡易に洗浄レバー100と80の連結が完了する。ゆえに、除湿機1は、開閉機構を設けた場合であっても組立作業を簡素化でき、作業性を損なうことがない。
【0094】
次に、除湿機1における熱交換器46の洗浄処理時において動作する部材間での影響について説明する。
【0095】
図17図18を参照する。ユーザにより洗浄レバー100が操作されていないとき排水孔押え80は下端に位置し、伝達部103はレバー接続部87と接触せずレバー接続部87から力を受けない。よって、洗浄レバー100は、伝達部103の自重の影響で下方に向かう力に対し、薄板部101が案内レール122により支持されることで、伝達部103が前後方向とほぼ平行な位置で静止した状態となる。
【0096】
図19図20を参照する。ユーザにより洗浄レバー100が操作され伝達部103が左方に移動すると、伝達部103の接触リブ104がレバー接続部87の上辺88aと接触し、レバー接続部87を上方へ移動させることで排水孔押え80を持ち上げる。伝達部103が洗浄レバー100の移動限界位置であるレバー開口88の左端位置まで移動したら、伝達部103の前方向先端部分の下端が支持リブ71eの上端に乗り上げた状態となる。このとき、洗浄レバー100は、排水孔押え80を持ち上げているので、伝達部103がレバー接続部87により下方へ向かう力を受ける。伝達部103が支持リブ71eにより下方から支持されることで、伝達部103が下方へ大幅に下がることがなく、伝達部103が前後方向とほぼ平行な位置で静止した状態を維持することができる。
【0097】
仮に、支持リブ71eが存在しない状態でユーザにより洗浄レバー100が操作され伝達部103が左方に移動すると、排水孔押え80を持ち上げることでレバー接続部87と接触する伝達部103が下方へ向かう力を受け、洗浄レバー100の薄板部101の上辺101aが上側の案内レール122を筐体10の内側方向へ強く押し付けた状態となる。この状態でユーザが洗浄レバー100から手を離した場合、薄板部101の上辺101aと案内レール122間に係る摩擦力が洗浄レバー100を元の位置(右方)に戻そうとするレバーばね107の弾性力より大きくなり、洗浄レバー100が元の位置まで戻らない虞がある。洗浄レバー100が元の位置に戻っていない状態でユーザにより注水口蓋90を介して洗浄水受け70へ洗浄水が注水された場合、洗浄水受け70の貯水部71に溜まることなく洗浄水が貯水部排水孔73から落下するため、蒸発器46a全体を万遍なく濡らして洗浄することができない可能性がある。
【0098】
これに対し、貯水部71に支持リブ71eを形成したことで、ユーザにより洗浄レバー100が操作され左方に移動したとき、伝達部103の先端が排水孔押え80により下方へ大幅に下ることがないため、薄板部101の上辺101aと案内レール122間に係る摩擦力が過剰に大きくならない。よって、ユーザが洗浄レバー100から手を離すとレバーばね107の弾性力により元の位置へ確実に戻る。これにより、貯水部71に溜められた洗浄水での蒸発器46aの洗浄が完了した後、排水孔押え80により貯水部排水孔73が確実に閉止するので、熱交換器46の洗浄を実施するとき、貯水部71へ洗浄水を確実に溜めてから貯水部排水孔73を介して落下させることができ、蒸発器46a全体を万遍なく濡らして洗浄することができる。
【0099】
また、排水孔押え80は、洗浄レバー100により上方へ移動したとき、排水孔押えばね85により下方へ付勢される。洗浄レバー100が左方へ移動したとき、支持リブ71eで伝達部103が支持されることで、排水孔押え80が排水孔押えばね85により下方へ付勢された状態であっても、伝達部103の先端が大幅に下方へ下がることがない。よって、ユーザが洗浄レバー100から手を離したとき、確実に洗浄レバー100が元の位置まで戻るため、熱交換器46の洗浄を実施するとき、貯水部71へ洗浄水を確実に溜めてから貯水部排水孔73を介して落下させることができ、蒸発器46a全体を万遍なく濡らして洗浄することができる。
【0100】
また、支持リブ71eは、洗浄レバー100が左方へ移動したことで伝達部103と接触する位置にのみ形成されている。これにより、支持リブ71eを伝達部103が動作する左右方向の全範囲において形成する必要がないため、除湿機1の製造時において、洗浄レバー100が後枠12に取り付けられた状態で作業者が前枠11に後枠12を組付けるとき、伝達部103が支持リブ71eに接触することなく組付けできるので、除湿機1の製造時における作業性が向上する。
【0101】
また、支持リブ71eは、右端部に前面視で右下へ傾斜する案内面71e1が形成されたので、貯水部71内の洗浄水を落下させるため洗浄レバー100を左方へ移動させたとき、伝達部103の下端部が案内面71e1と当接し、支持リブ71eの上端へ伝達部103をスムーズに案内することができる。よって、ユーザが洗浄レバー100を操作したとき、支持リブ71eがあっても容易に洗浄レバー100を左方端部まで移動させることができ、使い勝手の悪化を阻止することができる。
【0102】
なお、本実施形態では支持リブ71eの上端に案内面71e1を形成した内容で説明したが、これに限られない。図20のように、伝達部103の下端の左下方に前面視で右下へ傾斜する案内面71e1を形成してもよい。これにより、貯水部71内の洗浄水を落下させるため洗浄レバー100を左方へ移動させたとき、伝達部103の案内面71e1が支持リブ71eの上端と当接し、伝達部103を支持リブ71eの上端へスムーズに案内することができる。よって、ユーザが洗浄レバー100を操作したとき、支持リブ71eがあっても容易に洗浄レバー100を左方端部まで移動させることができ、使い勝手の悪化を阻止することができる。
【0103】
また、本実施形態では支持リブ71eが洗浄水受け70の底面71cから上方へ向けて突出する構成で説明したが、これに限られない。例えば、洗浄水受け70の後壁71a、又は前壁71bに支持リブ71eの端部が位置し、伝達部103の先端部を支持可能な位置で曲げられ上方へ突出した形状であってもよい。つまり、ユーザにより洗浄レバー100が操作されたとき、伝達部103を下方から支持可能な構成であれば、支持リブ71eの端部位置、及び形状は特に限定されない。
【0104】
次に、排水孔押え80のシール部81により洗浄水受け70の貯水部排水孔73を確実にシールする構造について説明する。
【0105】
貯水部排水孔73が開放された状態から洗浄レバー100が元の位置に戻り、排水孔押え80が下降して待機状態へ至るとき、貯水部排水孔73に近づくと排水孔押え80の下端部分の前後面が案内リブ71fにより挟み込まれる形で当接する。排水孔押え80は、貯水部71の底面71cに向けて下降するとき、排水孔押え80の自重により伝達部103が下方へ傾くことから、左右両端にある規制部89が突き出し部71d1に挟み込まれているため、特に左右方向の中央付近が前後方向に撓む。排水孔押え80は、下端が洗浄水受け70の底面71cに近づいたとき、案内リブ71fに挟み込まれるよう当接することで、前後方向の撓み量を減らすことができる。これにより、排水孔押え80は待機状態になったとき、貯水部排水孔73全体を完全に閉止可能な位置にシール部材82が案内され、洗浄水受け70の洗浄水が注水されたときにおける洗浄水漏れを未然に阻止することができる。よって、ユーザにより洗浄水受け70へ洗浄水が注水されたとき、貯水部71から洗浄水から漏れ出ることなく溜めることができ、洗浄レバー100操作時に、貯水部排水孔73全体から洗浄水を落下させ、蒸発器46a全体を洗浄することができるため、熱交換器46の洗浄効果が低下する虞を未然に阻止することができる。
【0106】
また、前後方向における案内リブ71f間の距離は、排水孔押え80の下端に位置するシール部81の前後方向幅よりわずかに大きい。排水孔押え80が上下方向へ移動するとき、案内リブ71f間をシール部81がスムーズに移動することができるので、ユーザが洗浄レバー100を操作したとき違和感なく操作可能となる。また、排水孔押え80が上方から待機状態の位置へ移動するとき、シール部81との隙間が少ない案内リブ71f間を通過し待機状態の位置に至るので、貯水部排水孔73全体をシール部材82により確実にシールすることができ、洗浄水受け70の洗浄水が注水されたときにおける洗浄水漏れを未然に阻止することができる。
【0107】
また、案内リブ71fは、レバー接続部87の下端付近を挟み込む位置に形成されたので、排水孔押え80が上方から待機状態へ移動するとき、最も前後方向に撓みやすいレバー接続部87付近を挟み込み、前後方向への撓み量を減らすことができる。これにより、排水孔押え80は、待機状態となったとき、貯水部排水孔73全体を完全に閉止可能な位置にシール部材82が案内され、洗浄水受け70の洗浄水が注水されたときにおける洗浄水漏れを未然に阻止することができる。
【0108】
また、案内リブ71fは、貯水部71の内側方向における上端において、底面71cへ向けて傾斜する案内面71f1が形成された。排水孔押え80が貯水部71の底面71cへ向けて下降するとき、排水孔押え80の下端が案内面71f1と当接し、スムーズに各案内リブ71fの間へ案内される。これにより、排水孔押え80は、上方から待機状態へ移動するとき、下端が案内リブ71fの上端に引っ掛かり待機状態まで移動できなくなることを未然に阻止することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、2つの案内リブ71fが前後方向において対向する位置に形成されたもので説明したが、これに限られない。例えば、図21で示すように、貯水部71の左右側にある案内リブ71fが前後方向において互い違いの位置に形成されたものであってもよい。貯水部71内の案内リブ71fが前後方向において互い違いの位置に形成されたものであっても、排水孔押え80が上方から待機状態へ移動するとき、排水孔押え80の下端が案内リブ71fによって挟み込まれるよう当接するため、排水孔押え80の前後方向の撓み量を減らすことができる。これにより、排水孔押え80は、待機状態となったとき、貯水部排水孔73全体を完全に閉止可能な位置にシール部材82が案内され、洗浄水受け70の洗浄水が注水されたときにおける洗浄水漏れを未然に阻止することができる。
【0110】
また、本実施形態ではシール部材82の挿入部82a、及び当接部82bの両者共にソリッドのEPDMで構成した内容で説明したが、これに限られない。例えば、シール部材82は、挿入部82aの方が当接部82bより硬度が高いソリッドのEPDMで構成し、当接部82bが柔らかい発泡材のEPDMで構成してもよい。シール部材82は、挿入部82aが硬めのEPDMで構成されたことで、作業者がシール部材82をシール部81へ取り付けるとき、シール部材82を簡易にシール部81へ挿入することができ、作業性が向上する。シール部材82は、当接部82bが柔らかい発泡材のEPDMで構成されたことで、排水孔押え80が下端に位置するとき、貯水部排水孔73に密着し水漏れを確実に阻止することができる。
【0111】
次に、本発明の効果を説明する。
【0112】
洗浄水受け70は、排水孔押え80が貯水部排水孔73を開放した位置から鉛直方向下方へ移動するとき、待機状態の位置へ排水孔押え80を案内する案内リブ71fを貯水部71に有した。貯水部71に溜まった洗浄水を蒸発器46aに落下させるため洗浄レバー100をユーザが操作し、排水孔押え80を持ち上げた状態にした後、洗浄レバー100が元の位置へ戻ることで排水孔押え80が待機状態の位置へ戻る。このとき、排水孔押え80が前下方へ傾くことで撓み、待機状態時に貯水部排水孔73の全体をシール部81で閉止することができず、洗浄水漏れ発生の虞がある。貯水部71に案内リブ71fを形成したことで、排水孔押え80が上方から待機状態へ移動するときにおける撓み量を抑えることができ、シール部81により貯水部排水孔73の全体を閉止し、洗浄水漏れの発生を未然に阻止することができる。よって、洗浄水受け70に洗浄水が注水されたとき、確実に洗浄水を貯水部71に溜めることができ、蒸発器46a全体を洗浄することができ、熱交換器46の洗浄効果の低下を未然に阻止できる。
【0113】
また、貯水部排水孔73は、左右方向に沿って形成された孔であり、排水孔押え80は、下端に貯水部排水孔73を閉止するシール部81を左右方向に沿って有し、案内リブ71fは、上下方向、及び左右方向と直交する前後方向において、排水孔押え80を挟み込むように形成された。排水孔押え80が貯水部排水孔73を開放する位置から待機状態の位置まで下降するとき、前下方向へ傾くことから前後方向において撓みが発生する。排水孔押え80が待機状態へ移動するとき、前後方向において案内リブ71fに挟み込まれることで、排水孔押え80の撓み量を抑えることができる。排水孔押え80が撓まないことで排水孔押え80の下端に有したシール部81が、左右方向と略平行なまま貯水部排水孔73を閉止する位置まで確実に達し、貯水部排水孔73全体を閉止して洗浄水漏れの発生を未然に阻止することができる。
【0114】
また、案内リブ71fは、少なくとも排水孔押え80の左右方向におけるレバー接続部87付近に形成された。排水孔押え80が貯水部排水孔73を開放する位置から待機状態の位置まで下降するとき、前下方向へ傾くことから特に伝達部103と接続するレバー接続部87付近が最も撓みやすい。案内リブ71fがレバー接続部87付近となる貯水部71に形成されたので、待機状態に移動するときにおける排水孔押え80の撓みを効果的に抑えることができる。排水孔押え80が撓まないことで排水孔押え80の下端に有したシール部81が、左右方向と略平行なまま貯水部排水孔73を閉止する位置まで確実に達し、貯水部排水孔73全体を閉止して洗浄水漏れの発生を未然に阻止することができる。
【0115】
また、案内リブ71fは、排水孔押え80が待機状態の位置に移動するとき、排水孔押え80のシール部81を貯水部排水孔73が形成された位置へ案内する案内面71f1を有した。これにより、排水孔押え80上方から待機状態へ移動するとき、排水孔押え80の下端が案内リブ71fの上端に引っかかり、排水孔押え80が待機状態の位置まで到達しない事態を未然に阻止することができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0117】
例えば、本発明に係る空気調和機は、除湿機1以外にも空調機、加湿機、乾燥機などの、吸い込んだ空気に含まれる埃の洗浄が必要な熱交換器を有する他の機器にも適用することができる。
【0118】
貯水部排水孔73は、左右方向に延びるスリット状である例を説明したが、洗浄水を熱交換器46の上方から排水できれば、二以上に分割されたスリットや、複数の円や楕円、多角形の小穴でもよい。
【0119】
排水孔押え80と洗浄レバー100で実現される貯水部排水孔73の開閉機構は一例であって、これに限らない。
【符号の説明】
【0120】
1 除湿機
10 筐体
46 熱交換器
70 洗浄水受け
71 貯水部
71f 案内リブ(案内手段)
71f1 案内面
73 貯水部排水孔
80 排水孔押え
81 シール部
87 レバー接続部
100 洗浄レバー(指示入力部)
101 薄板部(基部)
103 伝達部
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