(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076866
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 41/675 20180101AFI20230529BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20230529BHJP
F21S 41/147 20180101ALI20230529BHJP
F21S 41/145 20180101ALI20230529BHJP
F21S 41/27 20180101ALI20230529BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20230529BHJP
F21S 41/36 20180101ALI20230529BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20230529BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20230529BHJP
F21V 13/12 20060101ALI20230529BHJP
F21V 13/04 20060101ALI20230529BHJP
F21W 102/145 20180101ALN20230529BHJP
F21W 102/165 20180101ALN20230529BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230529BHJP
【FI】
F21S41/675
F21S41/148
F21S41/147
F21S41/145
F21S41/27
F21S41/151
F21S41/36
F21V7/09 500
F21V9/40 200
F21V13/12 300
F21V13/04 100
F21W102:145
F21W102:165
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189857
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀忠
(57)【要約】
【課題】車両用前照灯の照明デザインを向上する新たな技術を提供する。
【解決手段】光学ユニットは、光源と、光源から出射した光を反射しながら回転軸を中心に回転する回転リフレクタと、回転リフレクタで反射された光を車両前方にハイビーム用配光パターンとして投影する投影レンズと、を備える。光源は、ハイビーム用配光パターンを形成する際に点灯する第1の発光部と、第1の発光部が消灯している場合に点灯している第2の発光部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射した光を反射しながら回転軸を中心に回転する回転リフレクタと、
前記回転リフレクタで反射された光を車両前方にハイビーム用配光パターンとして投影する投影レンズと、を備え、
前記光源は、
ハイビーム用配光パターンを形成する際に点灯する第1の発光部と、
前記第1の発光部が消灯している場合に点灯している第2の発光部と、
を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記第2の発光部は、前記第1の発光部が設けられている第1の基板に設けられており、
前記第1の基板は、前記第2の発光部から出射した光が前記回転リフレクタで反射されてから前記投影レンズに入射する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第2の発光部は、前記第1の発光部が設けられている第1の基板とは異なる第2の基板に設けられており、
前記第2の基板は、前記第2の発光部から出射した光が前記回転リフレクタで反射されずに前記投影レンズに入射する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第2の発光部は、点灯時にハイビーム用配光パターンよりも下部の領域を含む配光パターンを形成する光を出射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記回転リフレクタは、回転軸が車両前後方向に対して交差するように配置されており、前記第1の発光部から車幅方向へ出射した光を車両前方へ反射する反射面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記回転リフレクタは、回転軸が車両前後方向に対して交差するように配置されており、前記第1の発光部から車両後方へ斜め上に出射した光を車両前方へ反射する反射面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源から出射した光を車両前方に反射し、その反射光で車両前方の領域を走査することで所定の配光パターンを形成する装置が考案されている。例えば、光源から出射した光を反射しながら回転軸を中心に一方向に回転する回転リフレクタと、発光素子からなる光源と、を備え、回転リフレクタは、回転しながら反射した光源の光が所望の配光パターンを形成するよう反射面が設けられている光学ユニットが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の光学ユニットは、車両用前照灯における可変配光ハイビームに適したユニットであり、ロービーム用の他の光学ユニットと併せて車両用前照灯を構成する。このような車両前照灯の場合、ロービームのみを照射する状況では、可変配光ハイビーム用の光学ユニットによるハイビームの照射は停止する必要がある。そのため、ロービーム用の光学ユニットは点灯し、ハイビーム用の光学ユニットは消灯することになり、全ての光学ユニットが点灯している場合と比較して、車両用前照灯の照明デザインに改善の余地がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところの一つは、車両用前照灯の照明デザインを向上する新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光学ユニットは、光源と、光源から出射した光を反射しながら回転軸を中心に回転する回転リフレクタと、回転リフレクタで反射された光を車両前方にハイビーム用配光パターンとして投影する投影レンズと、を備える。光源は、ハイビーム用配光パターンを形成する際に点灯する第1の発光部と、第1の発光部が消灯している場合に点灯している第2の発光部と、を有する。
【0007】
この態様によると、ハイビーム用配光パターンを形成していない場合でも光学ユニットを光らせることができる。
【0008】
第2の発光部は、第1の発光部が設けられている第1の基板に設けられており、第1の基板は、第2の発光部から出射した光が回転リフレクタで反射されてから投影レンズに入射する位置に配置されていてもよい。これにより、第2の発光部から出射した光により投影レンズを光らせることができる。
【0009】
第2の発光部は、第1の発光部が設けられている第1の基板とは異なる第2の基板に設けられており、第2の基板は、第2の発光部から出射した光が回転リフレクタで反射されずに投影レンズに入射する位置に配置されていてもよい。これにより、第2の発光部から出射した光により投影レンズを光らせることができる。
【0010】
第2の発光部は、点灯時にハイビーム用配光パターンよりも下部の領域を含む配光パターンを形成する光を出射してもよい。これにより、ハイビーム用配光パターンを形成していない場合でも、例えば、水平線より下部の領域を照射することで前走車(先行車や対向車)に対するグレアを抑制しつつ光学ユニットを光らせることができる。
【0011】
回転リフレクタは、回転軸が車両前後方向に対して交差するように配置されており、第1の発光部から車幅方向へ出射した光を車両前方へ反射する反射面を有してもよい。
【0012】
回転リフレクタは、回転軸が車両前後方向に対して交差するように配置されており、第1の発光部から車両後方へ斜め上に出射した光を車両前方へ反射する反射面を有してもよい。
【0013】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両用前照灯の照明デザインを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施の形態に係る車両用灯具の水平断面概要図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る回転リフレクタの斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る回路基板の上面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1の実施の形態に係る光源の発光領域が回転リフレクタが静止した状態で反射投影された照射範囲を示す模式図、
図4(b)は、第1の実施の形態に係る光学ユニットにより形成された配光パターンの一例の模式図である。
【
図5】第2の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す上面図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す側面図である。
【
図7】第3の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す上面図である。
【
図8】第3の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す側面図である。
【
図9】第3の実施の形態に係る光学ユニットにより形成された配光パターンの一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
[第1の実施の形態]
本実施の形態に係る光学ユニットは、種々の車両用灯具に用いることができる。はじめに、実施の形態に係る後述の光学ユニットを搭載可能な車両用灯具の概略について説明する。
【0018】
(車両用灯具)
図1は、第1の実施の形態に係る車両用灯具の水平断面概要図である。
図2は、第1の実施の形態に係る回転リフレクタの斜視図である。第1の実施の形態に係る車両用灯具10は、自動車の前端部の一方の側、例えば左側に搭載される左側前照灯の一部であり、右側に搭載される前照灯と左右対称である以外は同じ構造である。そのため、以下では、左側の車両用灯具10について詳述し、右側の車両用灯具については説明を省略する。
【0019】
図1に示すように、車両用灯具10は、前方に向かって開口した凹部を有するランプボディ12を備えている。ランプボディ12は、その前面開口が透明な前面カバー14によって覆われて灯室16が形成されている。灯室16は、一つの光学ユニット18が収容される空間として機能する。光学ユニット18は、可変ハイビームを照射できるように構成されたランプユニットである。可変ハイビームとは、ハイビーム用の配光パターンの形状を変化させるように制御されているものをいい、例えば、配光パターンの一部に非照射領域(遮光部)を生じさせることができる。ここで、配光パターンとは、例えば、灯具が灯具前方25~50mに設置したスクリーン(仮想スクリーン)上に形成する照射領域である。
【0020】
本実施の形態に係る光学ユニット18は、光源20と、光源20から出射した第1の光L1をブレード22aで反射しながら回転軸Rを中心に回転する回転リフレクタ22と、回転リフレクタ22で反射された第1の光L1を光学ユニットの光照射方向(
図1右方向)にハイビーム用配光パターンとして投影する投影レンズ26としての凸レンズと、光源20を搭載したヒートシンク32と、を備える。
【0021】
光源20には、LED、EL、LDなどの半導体発光素子が用いられる。本実施の形態に係る光源20は、回路基板33上に、複数のLED20aが配置されている。各LED20aは個別に点消灯可能に構成されている。
【0022】
回転リフレクタ22は、モータ34などの駆動源により回転軸Rを中心に一方向に回転する。また、回転リフレクタ22は、形状の同じ2枚のブレード22aが筒状の回転部22bの周囲に設けられている。また、回転リフレクタ22は、回転軸Rが車両前後方向に対して交差するよう(光軸Axに対して斜め)に配置されており、LED20aから車幅方向へ出射した光を車両前方へ反射するブレード22aを有している。ブレード22aは、光源20から出射した光を回転しながら反射した光で前方を走査し、所望の配光パターンを形成するように構成された反射面として機能する。回転リフレクタ22のブレード22aの反射面22cは、回転軸Rを中心とする周方向に向かうにつれて、光軸Axと該反射面とが成す角が変化するように捩られた形状を有している。
【0023】
回転リフレクタ22の回転軸Rは、光軸Axと光源20とを含む平面内に設けられている。換言すると、回転軸Rは、回転によって左右方向に走査するLED20aの光(照射ビーム)の走査平面に略平行に設けられている。これにより、光学ユニットの薄型化が図られる。ここで、走査平面とは、例えば、走査光であるLED20aの光の軌跡を連続的につなげることで形成される扇形の平面ととらえることができる。
【0024】
投影レンズ26の形状は、要求される配光パターンや照度分布などの配光特性に応じて適宜選択すればよいが、非球面レンズや自由曲面レンズを用いることも可能である。
【0025】
(光源)
次に、光源が備える複数の半導体発光素子のレイアウトについて説明する。
図3は、第1の実施の形態に係る回路基板の上面図である。本実施の形態に係る回路基板33は、ハイビーム用配光パターンのH-H線を含む領域を照らす8個のLED20a1(20a)と、H-H線より上方の領域を照らす2個のLED20a2(20a)と、H-H線より下方の領域を照らす2個のLED20a3(20a)と、が実装されている。なお、
図3に示す上下前後の方向は、車両用灯具10の光軸Ax方向を前方向としている。
【0026】
(配光パターン)
図4(a)は、第1の実施の形態に係る光源の発光領域が回転リフレクタが静止した状態で反射投影された照射範囲を示す模式図、
図4(b)は、第1の実施の形態に係る光学ユニットにより形成された配光パターンの一例の模式図である。
【0027】
本実施の形態に係る光学ユニット18は、回転リフレクタ22の回転が停止した状態で光源20のLED20aを全て点灯させると、静止した回転リフレクタ22の表面で発光領域の像が反射され、投影レンズ26を介して前方に投影される(
図4(a)参照)。
【0028】
本実施の形態に係る光学ユニット18においては、8個のLED20a1の発光領域から出射されたそれぞれの光が、H-H線上に8個の矩形の照射領域R3を形成する。また、2個のLED20a2の発光領域から出射されたそれぞれの光が、照射領域R3の上方に2個の矩形の照射領域R4を形成する。また、2個のLED20a3の発光領域から出射されたそれぞれの光が、照射領域R3の下方に2個の矩形の照射領域R5を形成する。
【0029】
そして、回転リフレクタ22が回転すると、照射領域R3,R4,R5が左右方向に走査され、それぞれ部分配光パターンP1,P2,P3が形成される。本実施の形態では、部分配光パターンP1,P2が重畳されることでハイビーム用配光パターンPHが形成される。
【0030】
このように、本実施の形態に係る回転リフレクタ22は、各LED20aの発光領域のパターンを反射し走査することでハイビーム用配光パターンPHの一部または全部を形成する。
【0031】
上述の車両用灯具10は、いわゆるハイビーム用配光パターンの形成が主たる機能の灯具である。そのため、一般的な車両は、車両用灯具10と、別途設けられているロービーム用配光パターンの形成が主たる機能の灯具とを組み合わせて使用する。そのため、ロービーム用配光パターンのみを形成する状況で、車両用灯具10が点灯しないと、車両用前照灯の中で点灯する灯具と点灯しない灯具とが並ぶため、照明デザインとして改善の余地がある。
【0032】
そこで、本実施の形態に係る車両用灯具10では、ハイビーム用配光パターンを形成しない場合にも光源20の一部のLEDを点灯させることで、車両用前照灯が全体としてロービーム用配光パターンのみを形成する状況でも光学ユニット18を光らせることができる。
【0033】
具体的には、ハイビーム用配光パターンを形成する際に点灯する8個のLED20a1及び2個のLED20a2が消灯している場合でも、LED20a3を点灯させることで、H-H線よりも下部の部分配光パターンP3が形成される。本実施の形態では、部分配光パターンP3が一種のロービーム用配光パターンPL'となる。
【0034】
このように、第2の発光部であるLED20a3は、点灯時にハイビーム用配光パターンPHよりも下部の領域を含む配光パターンを形成する光を出射するように構成されている。これにより、第1の発光部であるLED20a1,20a2によってハイビーム用配光パターンPHを形成していない場合でも、例えば、H-H線より下部の領域を照射することで前走車に対するグレアを抑制しつつ光学ユニット18を光らせることができる。
【0035】
なお、ロービーム用配光パターンPL'をハイビーム用配光パターンPHと同時に形成してもよい。この場合、光学ユニット18が光っていることがより認識しやすくなる。一方、ハイビーム用配光パターンPHを形成する際にはロービーム用配光パターンPL'が形成されないようにすることで、車両用灯具10全体の消費電力を抑えられる。
【0036】
車両用灯具10は、車両本体に設けられているセンサやカメラ等によって検出された車両前方の状況から光源の点消灯を制御する制御部を備え、制御部によって車両前方を照射する配光パターンの形成に必要なLEDを点灯させる。ここで、制御部は、演算装置(CPU,IC)や記憶装置(ROM,RAM)が組み合わされたものである。
【0037】
本実施の形態に係る光源20は、LED20a1,20a2,20a3が同じ回路基板33に設けられており、回路基板33は、LED20a3から出射した光が回転リフレクタ22で反射されてから投影レンズ26に入射する位置に配置されている。これにより、LED20a3から出射した光だけでも投影レンズ26を光らせることができる。そこで、制御部は、ハイビーム用配光パターンを形成しながら走行している途中でカメラ等によって前走車を検出した場合、車両用灯具10におけるLED20a1,20a2を消灯しLED20a3を点灯する。これにより、ハイビーム用配光パターンの形成を中断した車両用灯具10においても、引き続き光学ユニット18を光らせることができる。
【0038】
なお、光源20がハイビーム用配光パターンPHを形成していない場合に光学ユニット18が光っているように見えるためには、第2の発光部であるLED20a3によって形成される配光パターンが前走車に対してグレアを与えにくいものであればよい。
【0039】
[第2の実施の形態]
図5は、第2の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す上面図である。
図6は、第2の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す側面図である。なお、以下の各図では、車両用灯具の構成であるランプボディ、カバー、エクステンション等の一部の部品の図示を省略している。また、車両用前照灯として別途設けられているロービーム用の灯具の図示も省略している。なお、第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0040】
車両用灯具40は、光学ユニット42を備える。光学ユニット42は、光源20と、光源20から出射された光を反射しながら回転軸Rを中心に回転する回転リフレクタ22と、回転リフレクタ22で反射された光を光学ユニット42の光照射方向(前方F)に投影する投影レンズ43と、を備える。回転リフレクタ22は、回転リフレクタの回転軸Rが水平面Hと交差するように配置されている。つまり、回転リフレクタ22は、回転軸Rが車両前後方向に対して交差するように配置されており、光源20から車両後方へ斜め上に出射した光を車両前方へ反射する反射面22cを有している。
【0041】
次に、光学ユニット42の各構成の諸元の範囲について例示する。回転リフレクタ22の回転軸Rと水平面Hとの成す角α(
図6参照)は、例えば、1~45°の範囲、好ましくは3~30°の範囲、より好ましくは5~20°の範囲である。回転リフレクタ22の直径は、例えば、30~100mmの範囲、好ましくは40~80mmの範囲、より好ましくは、50~70mmの範囲である。
【0042】
投影レンズ43の幅(車幅方向)は、例えば、50~120mmの範囲、好ましくは60~100mmの範囲、より好ましくは70~90mmの範囲である。投影レンズの高さ(車高方向)は、例えば、20~60mm、好ましくは、25~50mm、より好ましくは25~35mmである。
【0043】
光源から出射した光が回転リフレクタのブレード22aに入射する入射角β(
図6参照)は、45°未満であり、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下であるとよい。これにより、回転リフレクタで反射した光の光束の投影レンズへの入射効率が向上する。
【0044】
光源20は、第1の実施の形態と同様に、8個のLED20a1と、2個のLED20a2と、2個のLED20a3と、が車幅方向Wに沿ってそれぞれ配置されている。各LEDは、一つの回路基板33に搭載されている。また、回路基板33は、ヒートシンク44の表面に固定されている。
【0045】
上述のように構成された第2の実施の形態に係る車両用灯具40は、第1の実施の形態に係る車両用灯具10と同様に、
図4に示す配光パターンを形成できる。つまり、車両用灯具40の第2の発光部であるLED20a3は、点灯時にハイビーム用配光パターンPHよりも下部の領域を含む配光パターンを形成する光を出射するように構成されている。これにより、ハイビーム用配光パターンPHを形成していない場合でも、例えば、H-H線より下部の領域を照射することで前走車に対するグレアを抑制しつつ光学ユニット42を光らせることができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態に係る車両用灯具40は、光源20の回路基板33の上段に第2の発光部としてのLED20a3が配置されている。そのため、回路基板33が上方に延びる形で大きくなり、第1の発光部としてのLED20a1,20a2から出射して回転リフレクタ22で反射された光の一部が回路基板33やヒートシンク44で妨げられることになる。その結果、光源20が発する光が車両前方の照射に利用される効率が低下する。そこで、第3の実施の形態では、光源が備える2つの発光部を別々の離れた基板に設けることでこの問題を解決している。
【0047】
図7は、第3の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す上面図である。
図8は、第3の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を模式的に示す側面図である。
図9は、第3の実施の形態に係る光学ユニットにより形成された配光パターンの一例の模式図である。なお、前述の各実施の形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0048】
車両用灯具50は、光学ユニット52を備える。光学ユニット52は、光源54と、光源54から出射された光を反射しながら回転軸Rを中心に回転する回転リフレクタ22と、回転リフレクタ22で反射された光を光学ユニット52の光照射方向(前方F)に投影する投影レンズ43と、を備える。
【0049】
光源54は、第1の発光部であるLED20aとして、8個のLED20a1及び2個のLED20a2が車幅方向Wに沿って第1の基板56に搭載されている。また、光源54は、第2の発光部であるLED20bが第2の基板58に搭載されている。第2の基板58は、LED20bから出射した光が回転リフレクタ22で反射されずに投影レンズ43に入射する位置に配置されている。LED20bは、発光面が前方Fに向いており、集光レンズ60で集光された光が投影レンズ43を透過する際に屈折し、車両前方に投影される。
【0050】
上述のように構成された第3の実施の形態に係る車両用灯具50は、第2の実施の形態に係る車両用灯具40と同様に、
図9に示すハイビーム用配光パターンPHを形成できる。加えて、ハイビーム用配光パターンを形成するためのLED20a1,20a2を消灯した状態であっても、LED20bを点灯させることでハイビーム用配光パターンPHよりも下部の領域を含む配光パターンP4を形成できる。これにより、ハイビーム用配光パターンPHを形成していない場合でも、例えば、H-H線より下部の領域を照射することで前走車に対するグレアを抑制しつつ光学ユニット52を光らせることができる。
【0051】
なお、LED20bによって形成する配光パターンは、必ずしも前述の配光パターンP4の場所や形状に限られない。例えば、前走車にグレアを与えない範囲で、一部がH-H線よりも上の領域を照射する配光パターンであってもよい。これにより、光学ユニットが光っていることを他者がより認識しやすくなる。
【0052】
このような配光パターンとして、例えば、V-V線(車両進行方向における正面)に対して左右方向に10度以上外側の領域において、H-H線よりも上方の領域を照射する配光パターンであってもよい。
【0053】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0054】
10 車両用灯具、 18 光学ユニット、 20 光源、 22 回転リフレクタ、 22a ブレード、 26 投影レンズ、 40 車両用灯具、 42 光学ユニット、 43 投影レンズ、 50 車両用灯具、 52 光学ユニット、 54 光源、 56 第1の基板、 58 第2の基板。