(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076947
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】間仕切り
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
E04B2/74 511L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189995
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川上 将史
(72)【発明者】
【氏名】地引 えりか
(57)【要約】
【課題】コーナー部を構成する複数の間仕切戸同士をロックすることが可能な間仕切りを提供する。
【解決手段】第1間仕切戸12と第2間仕切戸14とが突き合うことでコーナー部を構成する間仕切りであって、第1間仕切戸12は、突合面18を備えた戸先側縦框12aを備え、第2間仕切戸14は、突合面18が突き合う突合面24を備えた突合縦框14aを備え、突合面18は、ロック部材35を備えたロック機構31を備え、突合面24は、被ロック機構61を備え、突合面18が突合面24に対して突き合った場合において、ロック機構31は、ロック部材35が被ロック機構61に対して係合するように動作する場合と、動作しない場合とに切り換わることが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1間仕切戸と第2間仕切戸とが突き合うことでコーナー部を構成する間仕切りであって、
前記第1間仕切戸は、突合部を備えた戸先側縦框を備え、
前記第2間仕切戸は、前記突合部が突き合う被突合部を備えた突合縦框を備え、
前記突合部および前記被突合部の何れか一方は、ロック部材を備えたロック機構を備え、他方は、被ロック部を備え、
前記突合部が前記被突合部に対して突き合った場合において、前記ロック機構は、前記ロック部材が前記被ロック部に対して係合するように動作する場合と、動作しない場合とに切り換わることが可能である
間仕切り。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記突合部が備え、前記被ロック部は、前記被突合部が備える
請求項1に記載の間仕切り。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記被突合部の一部に押されるトリガーを備え、
前記ロック部材は、前記トリガーが前記被突合部に押されると、前記被ロック部に対して係合するように動作する
請求項1または2に記載の間仕切り。
【請求項4】
前記被突合部は、前記トリガーが進入する進入孔と、前記進入孔を閉塞する閉塞部材とを備え、
前記閉塞部材は、前記進入孔を閉塞することで、前記トリガーの前記進入孔への進入を阻止する
請求項3に記載の間仕切り。
【請求項5】
前記被突合部は、前記突合縦框の側面に構成されている
請求項1ないし4のうち何れか1項に記載の間仕切り。
【請求項6】
前記被突合部は、前記戸先側縦框の少なくとも一部を覆う納まり部の底部であり、
前記納まり部は、前記被突合部に前記戸先側縦框を覆う覆い部材が取り付けて構成される
請求項1ないし5のうち何れか1項に記載の間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構を備えた間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
室内空間を区画する引戸などの間仕切りには、例えば特許文献1に記載されているように、引戸を閉戸状態にロックする鎌錠を備えたものがある。1枚の引戸の場合、鎌錠は、戸枠の縦部分に設けられた掛止金具に掛け止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1などに記載されている鎌錠などは、戸枠の縦部分と間仕切戸とのロックであって、第1間仕切戸と第2間仕切戸とコーナ部で突き合わせる考え方は記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための間仕切りは、第1間仕切戸と第2間仕切戸とが突き合うことでコーナー部を構成する間仕切りであって、前記第1間仕切戸は、突合部を備えた戸先側縦框を備え、前記第2間仕切戸は、前記突合部が突き合う被突合部を備えた突合縦框を備え、前記突合部および前記被突合部の何れか一方は、ロック部材を備えたロック機構を備え、他方は、被ロック部を備え、前記突合部が前記被突合部に対して突き合った場合において、前記ロック機構は、前記ロック部材が前記被ロック部に対して係合するように動作する場合と、動作しない場合とに切り換わることが可能である。
【0006】
上記間仕切りにおいて、前記ロック機構は、前記突合部が備え、前記被ロック部は、前記被突合部が備える構成としてもよい。
上記間仕切りにおいて、前記ロック機構は、前記被突合部の一部に押されるトリガーを備え、前記ロック部材は、前記トリガーが前記被突合部に押されると、前記被ロック部に対して係合するように動作するように構成してもよい。
【0007】
上記間仕切りにおいて、前記被突合部は、前記トリガーが進入する進入孔と、前記進入孔を閉塞する閉塞部材とを備え、前記閉塞部材は、前記進入孔を閉塞することで、前記トリガーの前記進入孔への進入を阻止するように構成してもよい。
【0008】
上記間仕切りにおいて、前記被突合部は、前記突合縦框の側面に構成されるようにしてもよい。
上記間仕切りにおいて、前記被突合部は、前記戸先側縦框の少なくとも一部を覆う納まり部の底部であり、前記納まり部は、前記被突合部に前記戸先側縦框を覆う覆い部材が取り付けて構成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コーナー部を構成する複数の間仕切戸同士をロックすることが可能な間仕切りを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】間仕切りの一実施形態における斜視図である。
【
図2】第1間仕切戸の戸先側縦框と第2間仕切戸の突合縦框の斜視図である。
【
図5】スライダとロック部材とトリガーとの関係を示す斜視図である。
【
図7】ロック機構のアンロック状態を示す図である。
【
図8】アンロック状態におけるスライダとトリガー部材の関係を示す図である。
【
図9】ロック状態におけるスライダとトリガー部材の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、間仕切りの一実施形態について説明する。
間仕切りは、空間をL字に仕切る。間仕切りによって仕切られた空間は、寝室や会議室などのプライベート空間として利用される。
【0012】
〔間仕切りの構成〕
図1に示すように、間仕切りは、左勝手辺1と右勝手辺2と、を備えている。左勝手辺1と右勝手辺2との各々には、2枚の間仕切戸3が配置されている。左勝手辺1に配置された2枚の間仕切戸3は、左勝手を構成する。右勝手辺2に配置された2枚の間仕切戸3は、右勝手を構成する。
【0013】
間仕切戸3は、上レール4を走行する上ランナーと、下レール5を走行する下ランナーと、を備えている。左勝手を構成する間仕切戸3の移動は、左勝手辺1の延在方向に沿う往復であり、左勝手辺1の延在方向に延びる上レール4と下レール5とによって案内される。右勝手を構成する間仕切戸3の移動は、右勝手辺2の延在方向に沿う往復であり、右勝手辺2の延在方向に延びる上レール4と下レール5とによって案内される。左勝手を構成する間仕切戸3が延びる方向は、第1方向であって、右勝手を構成する間仕切戸3が延びる方向が第2方向である。
【0014】
左勝手を構成する先頭の間仕切戸3と、右勝手を構成する先頭の間仕切戸3とは、互いに突き合わされ、これによって、間仕切りのコーナー部6を構成する。なお、各間仕切戸3は、上レール4に支持される上吊り式であってもよいし、下レール5に支持される下荷重式であってもよい。
【0015】
左勝手を構成する2枚の間仕切戸3は、左壁側間仕切戸11と左先頭間仕切戸12とである。左先頭間仕切戸12は、第1間仕切戸の一例である。右勝手を構成する2枚の間仕切戸3は、右壁側間仕切戸13と右先頭間仕切戸14とである。右先頭間仕切戸14は、第2間仕切戸の一例である。
【0016】
〔左先頭間仕切戸の構成〕
左先頭間仕切戸12は、一対の縦框12a,12bと、一対の横框12c,12dと、を備える。そして、透明や半透明のパネル12eは、これらの框で周囲が支持されている。一対の縦框12a,12bの内で、右側に位置する縦框が戸先側縦框12aであり、戸先側縦框12aは、右先頭間仕切戸14の突合縦框に突き合わされる。また、横框12cが上框で、横框12dが下框である。一対の縦框12a,12bと一対の横框12c,12cで囲まれる領域は、横桟12fを備えている。一対の縦框12a,12b、一対の横框12c,12d、および、横桟12fは、透明や半透明のパネル12eに合わせた色や柄などのデザインが施されている。
【0017】
〔右先頭間仕切戸の構成〕
右先頭間仕切戸14は、一対の縦框14a,14bと、一対の横框14c,14dと、を備えている。透明や半透明のパネル14eは、これらの框で周囲が支持されている。一対の縦框14a,14bの内で、戸先側、すなわち左側に位置する縦框が突合縦框14aであり、突合縦框14aは、左先頭間仕切戸12の戸先側縦框12aが突き合わされる。また、一対の縦框14a,14bと一対の横框14c,14dで囲まれる領域に横桟14fを備えている。一対の縦框14a,14b、一対の横框14c,14dおよび横桟14fは、透明や半透明のパネル14eに合わせた色や柄などによるデザインが施されている。
【0018】
〔戸先側縦框の構成〕
図2および
図3に示すように、戸先側縦框12aは、右先頭間仕切戸14の突合縦框に突き合わされる縦框である。戸先側縦框12aは、アルミなどの金属形材であり、中空部材である。戸先側縦框12aは、パネル12eと平行な第1側面16および第2側面17と、パネル12eと交差する方向の突合面18と、を備えている。さらに、突合面18の反対側には、パネル12eの取付面18aを備えている。第1側面16および第2側面17は、凹部形状を有した段差部19を備えている。
【0019】
突合面18は、上下方向に延びる取付溝18bを備え、取付溝18bには、ゴム材などで構成されたクッション15が取り付けられる。クッション15は、内部が中空であって、突合面18から突出している。クッション15は、右先頭間仕切戸14の突合縦框14aに突き当てられるとき、弾性変形することで衝撃を緩和する。クッション15が取り付けられた突合面18は、突合縦框14aの納まり部に突き合わされる突合部である。戸先側縦框12aにおける上下方向の中ほどには、突合縦框14aの被ロック機構61と係合するロック機構31が設けられる(
図2参照)。
【0020】
〔突合縦框の構成〕
突合縦框14aは、右先頭間仕切戸14を構成する戸先を構成する縦框でである。突合縦框14aは、枠本体部21を備えている。枠本体部21は、アルミなどの金属形材であり、四角柱形状を有した中空部材である。4つの側面の内の1つの面は、パネル14eを取り付けるための取付面22であり、残りの3つの面が他の間仕切戸が突き当て可能な第1突合面23、第2突合面24および第3突合面25である。第1突合面23は、取付面22に対して垂直な面である。第2突合面24は、取付面22との対向面である。第3突合面25は、第1突合面23と平行であって取付面22に対して垂直な面である。第1突合面23、第2突合面24および第3突合面25は、他の間仕切戸が突き当てられる被突合部である。
【0021】
取付面22は、長手方向に延びる一対の長辺に取付壁22aが設けられている。一対の取付壁22aの間は、内枠22bの支持空間となる。具体的に、上述した縦框12aと同じ構成を有した内枠22bが挿入保持される。内枠22bは、縦框12aからクッション15を取り除いた構成である。一対の取付壁22aの相対する各内面は、一対の突起22cを備え、一対の突起22cが内枠22bの段差部19の両端に係止される。これにより、内枠22bは、一対の取付壁22aと一体となる。
【0022】
第1突合面23には、一対の長辺に沿うように第1取付溝23aが設けられている。第1取付溝23aは、開口端の幅を狭めるように構成されている。第1取付溝23aは、覆い部材26が取り付けられる取付部である。
【0023】
覆い部材26は、ゴムなどの弾性材料の一体成形品である。覆い部材26は、覆い部26aと、係止部26bと、を備えている。覆い部26aは、平板形状を有した弾性片であり、かつ、突き合わされる左先頭間仕切戸12の戸先側縦框12aの第1側面16および第2側面17の少なくとも一部を覆うことが可能な大きさを有している。なお、覆い部26aは、第1側面16および第2側面17の全体を覆うようにしてもよい。また、覆い部26aは、第1側面16および第2側面17の全体を覆わない構成としてよいし、第1側面16および第2側面17からパネル12eの根本部にはみ出す構成であってもよい。
【0024】
覆い部26aは、第1側面16および第2側面17、さらには横框12c,12dや横桟12dの色や柄などのデザインと同じようにすることで、突合時の一体感を高めることができる。係止部26bは、覆い部26aの基端に設けられており、T字形状を有している。覆い部材26は、係止部26bが第1取付溝23aに係止されることで取り付けられる。一対の覆い部材26と突当面とで構成される空間は、納まり部であって、戸先側縦框12aの第1側面16、第2側面17および突合面18を覆う形状を有した形状、一例として凹部によって構成される。すなわち、この凹部は、突き合わされる間仕切戸の戸先側縦框12aの少なくとも一部を納める納まり部である。覆い部26aの先端は、突起部26cを備え、突起部26cは、段差部19に係合する。
【0025】
取付溝は、第1突合面23だけでなく、第2突合面24および第3突合面25にも設けられている。すなわち、第2突合面24には、第2取付溝24aが設けられ、第3突合面25には、第3取付溝25aが設けられている。そして、覆い部材26は、第1突合面23だけでなく、第2突合面24および第3突合面25にも取り付け可能である。
【0026】
〔L字状のコーナー部〕
図3に示すように、間仕切りがL字形状のコーナー部6を形成するとき、右先頭間仕切戸14が優先間仕切戸であって、右先頭間仕切戸14の突合縦框14aがコーナー部6に配置される。次いで、突合縦框14aの一対の覆い部材26の間に構成される納まり部に、左先頭間仕切戸12の戸先側縦框12aの突合部が入り込むように、左先頭間仕切戸12と右先頭間仕切戸14とが突き合わされる。一対の覆い部材26は、縦框12aの第1側面16および第2側面17のほぼ全体を覆う。また、クッション15は、第1突合面23に縦框12aが突き当てられたときの衝撃を緩和する。
【0027】
〔ロック機構および被ロック機構〕
図2に示すように、戸先側縦框12aの上下方向の中ほどには、ロック機構31が設けられ、戸先側縦框12aが突き合わされる突合縦框14aには、ロック機構31と対応する高さ位置に被ロック機構61が設けられている。一例として、被ロック機構61は、納まり部の底部に設けられる。
【0028】
〔ロック機構〕
図4に示すように、ロック機構31は、ケース32と、ケース32内に配置されるスライダ33と、ロック部材34と、トリガー35と、を備えている。
【0029】
ケース32は、一対のケース半体32a,32bを突き合わせ結合して構成さる。ケース32の内部には、スライダ33の第1配置空間36と、ロック部材34の第2配置空間37と、トリガー35の第3配置空間38と、が構成されている。第1配置空間36は、複数の案内壁によってスライダ33の移動を案内する。第2配置空間37は、複数の案内壁によってロック部材34の移動を案内する。第3配置空間38は、複数の案内壁によってトリガー35の移動を案内する。
【0030】
一対のケース半体32a,32bの各々は、外面に、上下方向に細長い窪み部39を備えている。窪み部39には、摘み部42を外部に露出する開口部39aが設けられている。ケース32の内面には、ロック部材を回動可能に支持する凹形状を有した軸支持部39bが設けられている。
【0031】
スライダ33は、本体部41と、摘み部42と、制御軸部46と、を備えている。本体部41は、矩形板形状を有しており、各面に突出して摘み部42が設けられている。また、制御軸部46とは反対側の短辺には、凹部44が設けられている。凹部44は、ケース32の内面に設けられたストッパ39cにより移動範囲が規制される。摘み部42は、本体部41の面に対して垂直に立設した片であって、一対のケース半体32a,32bの各面に設けられた開口部39aより外部に露出される。摘み部42は、開口部39a内を上下に移動することができる。
【0032】
本体部41は、一方の長辺は、上下方向に延びるラックギヤ45が設けられている。ラックギヤ45には、ロック部材34の円弧ギヤ52が噛合される。さらに、本体部41は、ラックギヤ45が設けられた長辺を上方に延長する方向に延出するようにして柱形状の制御軸部46を備えている。制御軸部46は、台座部41aの上方に設けられている。制御軸部46は、基端部を除いて規制突部46aが設けられている。制御軸部46の基端部は、規制突部46aが存在しない分、細軸部46bを構成している。
【0033】
本体部41における制御軸部46の隣接した位置は、コイルバネなどの第1付勢部材47が配置される空間である。本体部41は、制御軸部46と隣接する位置に第1付勢部材47を位置決めするための位置決め突部47aが設けられている。第1付勢部材47は、ケース32の内面に立設された位置決め突部47aと対向する支持壁48と、位置決め突部47aとの間に配置される。これにより、第1付勢部材47は、スライダ33をトリガー35から離れる矢印D1方向に付勢する。
【0034】
ロック部材34は、鎌錠形状を有している。すなわち、ロック部材34は、L字形状を有したロック部51と、ロック部51の基端に設けられるギヤである円弧ギヤ52と、ロック部材34の回動中心となる軸部53と、を備えている。ロック部材34は、第2配置空間37に配置される。また、ロック部51は、戸先側縦框12aの突合面18から突出し、その先端は、上方を向くように配置される。
【0035】
円弧ギヤ52は、ラックギヤ45と噛合し、スライダ33の移動に合わせてロック部材34を回動させる。軸部53は、円弧ギヤ52の回動中心に設けられており、ケース32の内面に設けられた軸支持部39bに軸支される。ロック部材34は、ロック位置のとき、ロック部51が突合面18から突出する。ロック部材34は、アンロック位置のとき、ケース32内に退避する。
【0036】
図5に示すように、トリガー35は、第3配置空間38に配置される。トリガー35は、接続部56と、トリガーピン57と、を備えている。接続部56は、矩形枠部である。接続部56は、制御軸部46が挿通される貫通孔で構成された挿通部56aと、挿通部56aと連続した長孔部56bと、を備えている。挿通部56aは、制御軸部46および規制突部46aが挿通可能な大きさを有している。長孔部56bは、細軸部46bのみが挿通可能である。長孔部56bは、挿通部56aに対して幅狭で、挿通部56aからトリガーピン57とは反対方向に延びている。
【0037】
トリガーピン57は、接続部56より突出したピンである。トリガーピン57は、突合面18から突出する方向に第2付勢部材58によって付勢されている。すなわち、トリガーピン57の基端と接続部56との境界部分には、支持片58aが設けられている。また、ケース32の内面には、支持片58aと対向するように支持壁58bが立設されている。第2付勢部材58は、支持片58aと支持壁58bとの間に配置されることで、トリガー35をトリガーピン57が突合面18から突出する矢印D2方向に付勢する。
【0038】
スライダ33、ロック部材34、および、トリガー35は、それぞれ、第1配置空間36、第2配置空間37、および、第3配置空間38に配置される。第1付勢部材47および第2付勢部材58も所定位置に配置される。その後、一対のケース半体32a,32bは、突き合わされ、ねじなどの固定部材59によって固定される。
【0039】
〔被ロック機構〕
図6に示すように、L字形状のコーナー部6の場合、被ロック機構61は、突合縦框14aの側面である第1突合面23に配置されている。被ロック機構61は、第1突合面23に配置される受け金具62を備えている。受け金具62は、矩形平板であって、ロック部51が係合されるロック孔63と、トリガーピン57が進入する進入孔64と、を備えている。第1突合面23は、ロック孔63に対応する位置にも開口部が形成されることで、ロック部51が係合可能となっている。ロック部51が係合するロック孔63の位置は、被ロック部である。また、第1突合面23の進入孔64に対応する位置にも、開口部が形成されることで、トリガーピン57が進入孔64に進入可能となっている。受け金具62は、第1突合面23に対してねじなどの固定部材66によって固定される。
【0040】
進入孔64は、閉塞部材65によって閉塞可能である。閉塞部材65は、進入孔64に圧入可能なピンやゴムなどの栓部材である。進入孔64を閉塞部材65が塞いでいるとき、トリガーピン57は、進入孔64に進入不能であって、戸先側縦框12aの突合面18が突合縦框14aの第1突合面23に突き当てられたとき、閉塞部材65によって押される。すなわち、ロック機構31が有効に動作する。一方、進入孔64に閉塞部材65が取り付けられていないとき、進入孔64は、開口しており、トリガーピン57が進入可能である。進入孔64が閉塞されていないと、戸先側縦框12aの突合面18が突合縦框14aの第1突合面23に突き当てられたとき、トリガーピン57は、進入孔64に進入する。これにより、トリガーピン57は、押されることはなく、ロック部材34は、動作しない。
【0041】
〔ロック機構の動作〕
図7は、被ロック機構61が設けられた右先頭間仕切戸14の突合縦框14aとロック機構31が設けられた左先頭間仕切戸12の戸先側縦框12aとが離れている状態を示している。
図7において、ロック機構31は、アンロック状態となっている。ロック機構31は、第2付勢部材58の付勢力によって、トリガー35が矢印D2方向に移動している。したがって、トリガーピン57は、突合面18から突出している。また、
図8に示すように、スライダ33は、制御軸部46の細軸部46bが長孔部56bに進入した状態となっている。スライダ33は、第1付勢部材47の付勢力によって矢印D1方向に付勢されている。しかし、スライダ33は、規制突部46aが長孔部56bの周囲に突き当たっていることで、第1付勢部材47が収縮した状態となっている。これにより、スライダ33は、反矢印D1方向に移動した状態が維持されている。また、ロック部材34は、ロック部51がケース32内に退避している(アンロック状態)。
【0042】
戸先側縦框12aが突合縦框14aに突き当たると、進入孔64を閉塞している閉塞部材65によって、トリガーピン57が押される。すなわち、閉塞部材65は、進入孔64を閉塞することで、トリガーピン57の進入孔64への進入を阻止する。すると、
図9に示すように、トリガー35は、第2付勢部材58の付勢力に抗して反矢印D2方向に移動する。これにより、制御軸部46は、長孔部56bから挿通部56aに移動する。すると、
図10に示すように、スライダ33は、第1付勢部材47の付勢力によって矢印D1方向に移動する。この移動時、ラックギヤ45に円弧ギヤ52が噛合しているロック部材34は、矢印D3方向に回動する。これにより、ロック部材34は、突合面18から突出する。この状態において、ロック部51は、被ロック機構61のロック孔63に係合する。これにより、戸先側縦框12aと突合縦框14aとの突き合わせ納まり状態がロックされた状態となる(ロック状態)。突合面18において、ロック機構31の配置される位置には、クッション15は配置されていない。
図10において、突合面18と第1突合面23は、離間しているが、これは、クッション15が配置されている空間である。
【0043】
ロックを解除するときには、摘み部42を反矢印D1方向に移動する。すると、スライダ33は、第1付勢部材47の付勢力に抗して反矢印D1方向に移動する。これにより、ロック部材34は、反矢印D3方向に回動することで、ケース32内に退避した状態となる。突合縦框14aから戸先側縦框12aが離れると、トリガーピン57が押された状態が解除される。すると、トリガー35は、第2付勢部材58の付勢力によって矢印D2方向に移動する。これにより、制御軸部46が挿通部56aから長孔部56bに移動することで、ロック部51がケース32内に退避した状態が維持される(アンロック状態)。
【0044】
〔閉塞部材が進入孔を閉塞していない場合〕
ロック機構31を動作しないように無効化するときには、進入孔64から閉塞部材65を取り外す。これにより、進入孔64を開放する。これにより、戸先側縦框12aが突合縦框14aに突き当たったとき、トリガーピン57は、そのまま進入孔64に進入する。したがって、トリガー35は、移動することなく、スライダ33もロック部材34も回動することはない。ロック部材34は、ロック部51がケース32内に退避した状態が維持される(アンロック状態)。これにより、ロック機構31は、無効化することができる。すなわち、ロック機構31は、進入孔64が閉塞部材65によって閉塞されることで、有効化され、閉塞部材65が取り外されることで無効化される。ロック機構31は、進入孔64を閉塞する閉塞部材65の有無によって有効状態と無効状態に切り換わる。
【0045】
〔実施形態の効果〕
以上、上述した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)左先頭間仕切戸12の戸先側縦框12aの突合部と右先頭間仕切戸14の突合縦框14aの納まり部に納まると、自動的に、戸先側縦框12aと突合縦框14aとをロックすることができる。すなわち、左先頭間仕切戸12と右先頭間仕切戸14とがL字状のコーナー部6を構成した状態にロックすることができる。
【0046】
(2)床面が不陸であっても、ロック機構31があることで、左先頭間仕切戸12と右先頭間仕切戸14とがL字状のコーナー部6を構成した状態にロックすることができる。
(3)戸先側縦框12aにロック機構31が設けることができる。これにより、左先頭間仕切戸12を右先頭間仕切戸14の突合縦框14aに近接させることで、自動的に、右先頭間仕切戸14に左先頭間仕切戸12をロックさせることができる。具体的に、ロック機構31にトリガー35を設けることで、簡素な構成で、戸先側縦框12aが突合縦框14aに突き当たったときに、自動的に、戸先側縦框12aを突合縦框14aにロックする構成を実現できる。
【0047】
(4)ロック機構31は、閉塞部材65を用いて進入孔64を開閉するだけで、ロック機構31を有効化状態と無効化状態に容易に切り替えることができる。
(5)また、ロック機構31を有効化状態と無効化状態とを切り替え可能とすることで、間仕切りの使い勝手を向上させることができる。例えば、乳幼児などの子供には手の届きにくい高さにロック機構31のスライダ33を配置することで、間仕切りで仕切られた内側の空間への子供の進入を防ぐことができる。例えば、保育園、幼稚園などの乳幼児が多く居る空間に本実施形態の間仕切りを用いると、ロック機構31によって、仕切り戸が勝手に開いてしまうことを防ぐことができ、これにより安全性を高めることができる。
【0048】
(6)部品構成が簡素な被ロック機構61を突合縦框14aに設けるようにしたことで、第1突合面23だけでなく、第2突合面24や第3突合面25にも被ロック機構61を配置することができる。
【0049】
(7)覆い部材26は、突合面に取り付けられることで、被ロック機構61を保護することができる。
以上、上述した実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0050】
〔L字状のコーナー部の変形例〕
L字形状のコーナー部6を形成する場合、右先頭間仕切戸14の突合縦框14aの第3突合面25に一対の覆い部材26を取り付けて、一対の覆い部材26の間に構成される納まり部に、他の間仕切戸の戸先側縦框を突き合わせるようにしてもよい。
【0051】
〔十字状のコーナー部〕
図11に示すように、十字状のコーナー部6は、4枚の間仕切戸で構成される。本実施形態では、上述の左先頭間仕切戸12を第1先頭間仕切戸12といい、右先頭間仕切戸14を第2先頭間仕切戸14という。さらに、2枚の間仕切戸を第3先頭間仕切戸71および第4先頭間仕切戸72という。第3先頭間仕切戸71は、第1先頭間仕切戸12と同様な構成を有しており、戸先側縦框71aが第2突合面24に突き合わされるように往復動可能に配置されている。第4先頭間仕切戸72は、第1先頭間仕切戸12と同様な構成を有しており、戸先側縦框72aが第3突合面25に突き合わされるように往復動可能に配置されている。
【0052】
十字形状のコーナー部6を形成するとき、第2先頭間仕切戸14の突合縦框14aがコーナー部6に配置される。
次いで、第1突合面23の一対の覆い部材26の間に構成される納まり部に、第1先頭間仕切戸12の戸先側縦框12aが入り込むように、第1先頭間仕切戸12と第2先頭間仕切戸14とが突き合わされる。
【0053】
さらに、第2突合面24の一対の覆い部材26の間に構成される納まり部に、第3先頭間仕切戸71の戸先側縦框71aが入り込むように、第1先頭間仕切戸12と第3先頭間仕切戸71とが突き合わされる。
【0054】
さらに、第3突合面25の一対の覆い部材26の間に構成される納まり部に、第4先頭間仕切戸72の戸先側縦框72aが入り込むように、第1先頭間仕切戸12と第4先頭間仕切戸72とが突き合わされる。
【0055】
この場合、ロック機構31は、戸先側縦框12aだけでなく、戸先側縦框71aおよび戸先側縦框72aにも設けられる。そして、被ロック機構61は、第1突合面23だけでなく、第2突合面24および第3突合面25にも設けられる。被ロック機構61は、構成が簡素であるから、突合縦框14aの各突合面に設けることができる。
【0056】
〔T字状のコーナー部〕
第4先頭間仕切戸72を省略した場合には、T字状のコーナー部6を構成することができる。この場合、第3突合面25からは、被ロック機構61を省略するとよい。
【0057】
〔その他の変形例〕
・突合縦框14aは、3つの第1突合面23~第3突合面25を有しているところ、他の間仕切戸の突合に使用せず被ロック機構61が設けられていない突合面にも一対または1つの覆い部材26を取り付けるようにしてもよい。例えば、
図3の例では、第1突合面23に間仕切戸が突合されている。この際に、第2突合面24や第3突合面25における取付溝24a,25aにも一対の覆い部材26を取り付けるようにしてもよい。または、一方の取付溝にだけに覆い部材26を取り付けるようにしてもよい。さらに、覆い部26aの基端から先端までの長さの異なるものを各取付溝に取り付けるようにしてもよい。これにより、第2突合面24や第3突合面25に対して利用者の手などを触れにくくできる。
【0058】
そして、使用しない突合面に利用者の手などを触れにくくする場合、覆い部材26は、覆い部26aを省略してもよい。このような構成によれば、取付溝24a,25aだけを塞ぐことができ、取付溝24a,25aに異物を引っかかりにくくできる。そして、突合面から覆い部26aが突出しなくなり、形状を簡素化できる。また、突合面全体を覆う覆い面を設け、覆い面の裏面に一対の係止部26bを設ける構成としてもよい。このような覆い部材26は、一対の係止部26bを一対の取付溝に係合させることで取り付けることができる。これにより、突合面を覆い保護することができる。
【0059】
・突合縦框14aの各突合面は、覆い部材26を省略する構成としてもよい。
・進入孔64を省略してもよい。この場合、ロック機構31の有効化と無効化は、他の手段で行うことになる。例えば、トリガーピン57の長さを可変とすればよい。トリガーピン57が長いときは、ロック機構31は有効化され、トリガーピン57を短いピンに付け替えたときには、被突合部となる突合面に押されることが無くなって、ロック機構31は無効化される。トリガーピン57の付け替えは、例えば、接続部に雌ネジ部を設けて、トリガーピン57に雄ネジ部を設けて実現することができる。
【0060】
・ロック機構31としては、トリガー35を省略してもよい。この場合、ロック部材34は、突合縦框14aの突合面に直接的に押されることで回動するように構成すればよい。
【0061】
・被ロック部としては、ロック孔63に限定されるものではない。ロック部51と係合するものであれば、被ロック部は、例えば鉤形状を有した係合片であってもよい。
・戸先側縦框12a,71a,72aが突き合わされる突合面において、覆い部材26は、一対ではなく、何れか一方だけを取り付けるようにしてもよい。また、突合面に一対の覆い部材26を取り付ける場合であっても、覆い部26aの基端から先端への長さが異なるものを取り付けるようにしてもよい。
【0062】
・突合縦框14aを構成する枠本体部21は、四角柱形状を有した中空部材ではなく、三角柱形状を有した中空部材としてもよい。この場合、3つの面のうち1つの面は、パネルが取り付けられる取付面となり、他の2つの面が突合面となる。枠本体部21は、五角形以上の多角形形状として、その中の一面と取付面22とし、残りの面を突合面としてもよい。
【0063】
・戸先側縦框12aは、クッション15は省略してもよい。
・
図12に示すように、間仕切りは、下レール5が省略された構成であってもよい。この構成においても、上記(1)から(5)に準じた効果を得ることは可能である。
【符号の説明】
【0064】
31…ロック機構
32…ケース
33…スライダ
34…ロック部材
35…トリガー
39a…開口部
39b…軸支持部
39c…ストッパ
41…本体部
44…凹部
45…ラックギヤ
46…制御軸部
46a…規制突部
46b…細軸部
47…第1付勢部材
47a…位置決め突部
48…支持壁
51…ロック部
52…円弧ギヤ
53…軸部
56…接続部
56a…挿通部
56b…長孔部
57…トリガーピン
58…第2付勢部材
58a…支持片
58b…支持壁
59…固定部材
61…被ロック機構
62…受け金具
63…ロック孔
64…進入孔
65…閉塞部材