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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077012
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】収納容器及び包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20230529BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20230529BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B65D5/52 H
B65D5/44 A
B65D5/66 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190086
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清原 春香
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB02
3E060BA24
3E060CA02
3E060CA13
3E060CA22
3E060CB01
3E060CB16
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE16
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA22
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単にフックを形成することができる技術を提供する。
【解決手段】収納容器は、背板68と、背板の上端において、背板に折曲線116bを介して連結されるフック110と、を備え、背板のうちフックとの連結箇所近傍と、フックと、は、複数枚の平板が重ねて配置されており、フックは、折曲線から上下方向に垂直な方向に沿って延びる1個の第1片112と、前記第1片から下方に延びる第2片114と、を備え、折曲線は、上下方向に対して下側に向かうのに従って第1片が配置されている側に傾斜している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板と、
前記背板の上端において、前記背板に折曲線を介して連結されるフックと、を備え、
前記背板のうち前記フックとの連結箇所近傍と、前記フックと、は、複数枚の平板が重ねて配置されており、
前記フックは、前記折曲線から上下方向に垂直な方向に沿って延びる1個の第1片と、前記第1片から下方に延びる第2片と、を備え、
前記折曲線は、上下方向に対して下側に向かうのに従って前記第1片が配置されている側に傾斜している、収納容器。
【請求項2】
前記フックは、前記背板と同一平面上に配置されている状態から、前記折曲線で後方に折り曲げ可能である、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記第1片は、直線状に延びる下端縁を有する、請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記収納容器は、さらに
前記背板から前方に延びる底壁と、
前記底壁から上方に延びる側板と、を備え、
前記側板は、前記底壁から前記フックの下端よりも上方まで、前記背板と連結されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項5】
前記フックは、前記背板とともに、前記収納容器を引っ掛ける部材を挟む、請求項1から4のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項6】
前記収納容器は、1つの展開体から作製されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の収納容器と、
前記収納容器の上端を覆う蓋部と、を備える、包装容器。
【請求項8】
前記収納容器は、前記背板から前方に延びる側板を備え、
前記蓋部は、前記側板の外側で、前記側板に重複して配置されている外側板を備え、
前記側板と前記外側板とは、接着領域で互いに接着されており、
前記側板と前記外側板との一方の板は、前記一方の板の他の部分から切り離し可能な切離片であって、前記接着領域を含む前記切離片を備え、
前記側板と前記外側板との他方の板は、前記他方の板の前記接着領域以外の部分から、前記接着領域を前記切離片とともに移動可能な移動片を備える、請求項7に記載の包装容器。
【請求項9】
前記収納容器が前記蓋部によって覆われている状態で、前記フックは、蓋部に覆われている、請求項7又は8に記載の包装容器。
【請求項10】
前記収納容器が前記蓋部によって覆われている状態で、前記背板のうち、前記フックが設けられている個所は、前記背板が低くなるように折り曲げられている、請求項7から9のいずれか一項に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、引っ掛けて配置可能な収納容器に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、側面に配置されるフック部を相手方に引っ掛けることが可能な容器が開示されている。容器には、1つの側面にミシン目等の切り離し可能な線が配置されている。フック部は、ミシン目等に沿って側面から切り取り、側面との境界に配置される折曲線で折り曲げるとともに中央部付近で折り曲げる。折曲線を折り曲げる際に、先端部付近に形成された爪片部を箱の内側に挿入する。これにより、フック部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-208828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、フック部を形成するために、爪片部を箱の内側に挿入しつつ、2個の折曲線のそれぞれで折り曲げなければならず、手間がかかる。
【0005】
本明細書では、簡単にフックを形成することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、収納容器を開示する。収納容器は、背板と、前記背板の上端において、前記背板に折曲線を介して連結されるフックと、を備え、前記背板のうち前記フックとの連結箇所近傍と、前記フックと、は、複数枚の平板が重ねて配置されており、前記フックは、前記折曲線から上下方向に垂直な方向に沿って延びる1個の第1片と、前記第1片から下方に延びる第2片と、を備え、前記折曲線は、上下方向に対して下側に向かうのに従って前記第1片が配置されている側に傾斜している。
【0007】
この構成では、1個の第1片と背板との間の折曲線を折り曲げることによって、フックを形成することができる。背板とフックとの間の折曲線を、上下方向に対して下側に向かうのに従って第1片が配置されている側に傾斜させることによって、折曲線を折り曲げてフックが形成されている状態で、第2片が第1片に連結されている上端から下方に向かって、背板に近づくように傾斜させることができる。これにより、背板と第2片との間に、収納容器を引っ掛ける相手側の部材を配置して収納容器を引っ掛けている状態で、収納容器の重みでフックに負荷が掛かり、第2片が背板から離間する方向に変形されることを抑制することができる。
【0008】
前記フックは、前記背板と同一平面上に配置されている状態から、前記折曲線で後方に折り曲げ可能であってもよい。
【0009】
この構成によれば、収納容器を引っ掛けない場合に、フックを背板と同一平面上に収めることができる。収納容器を引っ掛ける際には、フックを折曲線で背板よりも後方に折り曲げることによって、フックを背板の後方に突出させればよい。
【0010】
前記第1片は、直線状に延びる下端縁を有していてもよい。
【0011】
前後方向及び上下方向に垂直な方向を左右方向と定義すると、収納容器を相手側の部材に引っ掛けている状態では、第1片は、前後方向に対して左右方向に傾斜して配置される場合がある。この場合、第1片の下端縁を直線状に形成することによって、第1片の下端縁が湾曲して配置される構成と比較して、左右方向に延びる相手側の部材と第1片との接触面積を大きくすることができる。これにより、フックに掛かる応力を分散させることができる。
【0012】
前記収納容器は、さらに、前記背板から前方に延びる底壁と、前記底壁から上方に延びる側板と、を備え、前記側板は、前記底壁から前記フックの下端よりも上方まで、前記背板と連結されていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、収納容器を引っ掛けている状態で、背板が変形することを抑制することができる。
【0014】
前記フックは、前記背板とともに、前記収納容器を引っ掛ける部材を挟んでもよい。
【0015】
上記の構成によれば、収納容器ががたつくことを抑制することができる。
【0016】
前記収納容器は、1つの展開体から作製されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、収納容器を容易に形成することができる。
【0018】
本明細書では、さらに、包装容器を開示する。包装容器は、上記のいずれかの収納容器と、前記収納容器の上端を覆う蓋部と、を備える。
【0019】
この構成によれば、蓋部で収納容器を覆うことによって、収納容器に品物を収納している状態で、包装容器を配送、保管等に利用することができる。
【0020】
前記収納容器は、前記背板から前方に延びる側板を備え、前記蓋部は、前記側板の外側で、前記側板に重複して配置されている外側板を備え、前記側板と前記外側板とは、接着領域で互いに接着されており、前記側板と前記外側板との一方の板は、前記一方の板の他の部分から切り離し可能な切離片であって、前記接着領域を含む前記切離片を備え、前記側板と前記外側板との他方の板は、前記他方の板の前記接着領域以外の部分から、前記接着領域を前記切離片とともに移動可能な移動片を備えていてもよい。
【0021】
この構成によれば、接着領域を側板と外側板との一方から切り離すことによって、側板と外側板との接着状態を解除することができる。
【0022】
前記収納容器が前記蓋部によって覆われている状態で、前記フックは、蓋部に覆われていてもよい。
【0023】
この構成では、包装容器ではフックが外側に露出していない。このため、包装容器の運搬時に、フックが破損することを抑制することができる。
【0024】
前記収納容器が前記蓋部によって覆われている状態で、前記背板のうち、前記フックが設けられている個所は、前記背板が低くなるように折り曲げられていてもよい。
【0025】
この構成では、収納容器から蓋部を取り外した後、背板を高くすることができる。これにより、フックを収納容器に配置されている対象物よりも高い位置に配置することができる。これにより、フックを相手側の部材に引掛ける際に、対象物によってフックが見え難くなることを抑制することができる。この結果、利用者がフックを引掛けるのを失敗する事態を抑制することができる。
【0026】
上記した収納容器及び包装容器の少なくとも一方を作製するための展開体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】包装容器の正面斜視図。
図2】収納容器の展開図。
図3】蓋部の展開図。
図4】包装容器の開封途中の正面斜視図。
図5】収納容器の背板が折り畳まれている状態での正面斜視図。
図6】収納容器の正面斜視図。
図7】収納容器が引掛けられている状態での正面斜視図。
図8】フックの拡大斜視図。
図9】フックの拡大斜視図。
図10】比較例のフックの拡大斜視図。
【0028】
(実施例)
図1に示される包装容器10は、商品物を包装して運搬及び保管するために用いられる。なお、包装容器10に収納される対象物は、商品以外であってもよい。図面には、本実施例を通して用いられる上下方向、前後方向、左右方向のそれぞれが示されている。こられの上下方向、前後方向、左右方向は、本実施例の説明を容易にするために用いられるものであり、包装容器10の使用方向を規定するものではない。
【0029】
包装容器10は、直方体形状を有する。変形例では、包装容器10は、立方体形状等の他の形状を有していてもよい。包装容器10は、蓋部20の上板34、38によって、閉じられる。包装容器10は、収納容器60(図6参照)と、収納容器60を覆う蓋部20と、を備える。包装容器10が閉じられている状態では、蓋部20によって、収納容器60が覆われている。
【0030】
(収納容器の展開体の構成)
図2に示すように、収納容器60は、一枚の段ボール紙製の展開体BL2を折曲線に沿って折り曲げることによって組み立てられる。図2では、接着剤が塗布される接着領域を、複数の平行斜線によって表す。折曲線は、細い破線で描画されている。折曲線には、折り曲げやすいように、凹溝、ミシン目及びスリットの少なくともいずれかが形成されている。なお、折曲線は、図面によって、スリットが記載されているものもあれば、単に破線で表さているものもある。また、収納容器60の材質は、段ボール紙に限られない。収納容器60は、内側板62、66と、内前板64と、内背板68と、底壁70と、フック部100と、を備える。
【0031】
内背板68は、収納容器60の後端に位置する。内背板68は、四角形の本体68eと、四角形の平板形状の上端に折曲線68cを介して連結される延長片68a、68bを有する。延長片68a、68bは折曲線68dを介して互いに連結されている。
【0032】
内背板68には、折曲線を介して内側板66が連結されている。内側板66は、四角形の平板形状と、四角形の平板形状の上端に折曲線66aを介して連結される延長片86と、を備える。延長片86は、延長片86の下端から上端まで、延長片68aに連結されている。
【0033】
内側板66の内背板68と反対側の端縁には、折曲線を介して内前板64が連結されている。内前板64は、四角形の平板形状を有している。内前板64は、上下方向において収納容器60の全長よりも短い。これにより、収納容器60の前方が開放される。なお、内側板66の前端部分は、内前板64に合わせた高さに作成されている。
【0034】
内前板64の内側板66と反対側の端縁には、折曲線を介して内側板62が連結されている。内側板62は、内側板66と同様の四角形の平板形状と、四角形の平板形状の上端に折曲線62aを介して連結される延長片82と、を備える。延長片82は、延長片86と同一の高さまで延びている。内側板62の前端部分は、内側板66と同様に、内前板64に合わせた高さに作成されている。
【0035】
内背板68の内側板66とは反対側の端縁には、接着片69、69aが折曲線を介して連結されている。収納容器60では、接着片69、69aは、それぞれ、内側板62の内面に接着される。接着片69aは、延長片82の内面に接着される。
【0036】
底壁70は、4個の底板72、74、76、78を有する。底板72、76のそれぞれは、内側板62、66のそれぞれの下端に折曲線を介して連結されている。底板74は、内前板64の下端に折曲線を介して連結されている。底板78は、内背板68の下端に折曲線を介して連結されている。
【0037】
(収納容器の構成)
展開体BL2から作製される収納容器60の構成を説明する。収納容器60は、展開体BL2に配置される折曲線に沿って展開体BL2を折り曲げることによって構成されている。具体的には、内側板62、66のそれぞれは、内前板64の両端縁のそれぞれの折曲線に沿って、内前板64に対して後方に折り曲げられている。内背板68は、内側板66と内背板68との間の折曲線に沿って、内側板66に対して折り曲げられている。接着片69、69aは、内側板62の内面に接着されている。底板72、74、76、78のそれぞれは、内側板62、66、内前板64及び内背板68のそれぞれに対して折曲線に沿って折り曲げられている。底板72は底板74に、底板76は底板78に、それぞれ接着されることによって、底壁70が構成されている。
【0038】
内背板68では、延長片68bを延長片68aに対して折曲線68dに沿って折り曲げることによって、延長片68bを延長片68aに重ね合わせる。互いに重ね合わされた延長片68a、68bは、互いに接着される。
【0039】
延長片68a、68bは、折曲線68cに沿って折り曲げることによって、内背板68の本体68eに対して前方に折り曲げることができる。延長片82、86のそれぞれは、折曲線82a、86aに沿って折り曲げることによって、延長片68a、68bとともに、折り曲げることができる。
【0040】
(フック部の構成)
図6に示すように、延長片68a、68bには、フック部100が配置されている。フック部100は、一対のフック110、110を備える。一対のフック110、110は、収納容器60の左右方向の中央で左右方向に垂直な平面に対して互いに面対称に配置されている。図2に示すように、各フック110は、延長片68aと同一平板に配置される第1部分112a及び第2部分114aと、延長片68bと同一平板に配置される第1部分112b及び第2部分114bと、を備える。フック110は、第1部分112aと第1部分112bとが重複する第1片112と、第2部分114aと第2部分114bとが重複する第2片114と、を備える。
【0041】
第1部分112aは、折曲線116aを介して延長片68aに連結されている。第1部分112aと第2部分114aとは、折曲線116aを介して連結されている部分を除いて、延長片68aとスリットによって切り離されている。第1部分112bは、折曲線116bを介して延長片68bに連結されている。第1部分112bと第2部分114bとは、折曲線116bを介して連結されている部分を除いて、延長片68bとスリットによって切り離されている。折曲線116a、116bは、互いに重複して配置されている。折曲線116a、116bは、下方、即ち、収納容器60の状態における下方に向かって第1片112側、即ち第1部分112a、112bに向かって傾斜している。
【0042】
図6に示すように、フック110は、延長片68a、68bと同一平板上に位置し、収納容器60の上端であって、内背板68の上端に配置される。フック110の第1片112は、左右方向に平行に延びている。第1片112の下端縁113は、折曲線116a、116bから第2片114に連結される先端付近まで、左右方向に平行な直線状に延びている。第2片114は、第1片112の先端から下方に向かって延びている。内背板68は、フック110の下端縁113よりも上方まで延長片82、86と連結されている。
【0043】
(収納容器の陳列方法)
図7に示すように、収納容器60は、フック部100を相手側部材2に引掛けることによって陳列可能である。相手側部材2は、例えば金属製の網目状の部材である。なお、相手側部材2は、フック部100を引っ掛ける部分が、前後方向において、少なくとも第1片112の下端縁の長さよりも短いものであればよい。
【0044】
フック部100は、各フック110を、延長片68a、68bに対して、折曲線116a、116bに沿って後方に折り曲げる。これにより、前後方向において、第2片114と内背板68との隙間を相手側部材2よりも広げて、第2片114と内背板68との間に相手側部材2を配置させることによって、収納容器60を相手側部材2に引掛けることができる。この構成によると、フック部100を容易に形成することができる。
【0045】
フック110では、折曲線116a、116bにおいて、延長片68a、68bと同一平板上に復元しようとする力が発生する。これにより、フック110と内背板68とで相手側部材2が挟まれる。この結果、収納容器60が相手側部材2に対してぐらつくことを抑制することができる。
【0046】
各フック110は、二枚の平板が重なって構成されている。また、各フック110は、内背板68のうち、2枚の延長片68a、68bが重なり合っている個所に連結されている。これにより、収納容器60の重みでフック110及びフック110の周辺の延長片68a、68bが変形することを抑制することができる。なお、フック110及びフック110が連結される延長片68a、68bの周辺箇所は、3枚以上の平板が重なっていてもよい。
【0047】
また、収納容器60では、内側板62、66の延長片82、86が、延長片68aと折曲線を介して連結されており、フック110の下端縁113よりも上方に配置されている。この構成によれば、内背板68が変形することを抑制することができる。
【0048】
図8に示すように、フック110の第1片112は、相手側部材2(即ち左右方向)に対して、傾斜して配置される。第1片112の下端縁113が直線状に形成されているために、第1片112と相手側部材2との接触面積を広く確保することができる。これにより、第1片112に掛かる応力が集中することを抑制し、分散させることができる。
【0049】
フック110と内背板68との間の折曲線116a、116bは、その上端から下方に向かって第1片112側、即ち第1部分112a、112bに向かって傾斜している。この結果、図9に示すように、第1片112が後方に向かうのに従って下方に傾斜する。これにより、第2片114は、下方に向かうのに従って前方に傾斜する。この構成によれば、第2片114が内背板68の延長片68aから離間するように後方に広がって、フック110が相手側部材2から外れることを抑制することができる。なお、例えば、図中の角度θは、70度であってもよい。
【0050】
図10に示すように、フック210と内背板68との間の折曲線206が上下方向に平行である場合、第1片202は前後方向に平行に配置され、第2片204は上下方向に平行に配置される。この結果、本実施例のフック110と比較して、第2片204が、延長片68aから離間するように後方に広がって、フック110が相手側部材2から外れやすくなる。本実施例のフック110は、内背板68から離間するように後方に広がって、フック110が相手側部材2から外れる事態を回避することができる。
【0051】
(蓋部の展開体の構成)
図3に示すように、包装容器10において収納容器60を覆う蓋部20は、一枚の段ボール紙製の展開体BL4を折曲線に沿って折り曲げることによって組み立てられる。
図3では、接着剤が塗布される接着領域を、複数の平行斜線によって表す。折曲線は、細い破線で描画されている。折曲線は、展開体BL2と同様の構成を有する。なお、蓋部20の材質は、段ボール紙に限られない。蓋部20は、外側板22、26と、外前板24と、外背板28と、上壁30と、を備える。
【0052】
一対の外側板22、26のそれぞれは、四角形の平板形状を有する。一対の外側板22、26の間には、四角形の平板形状を有する外前板24が配置されている。外前板24は、一対の外側板22、26のそれぞれに対して折曲線を介して連結されている。外側板26の外前板24と反対側の端縁には、折曲線を介して、外背板28が連結されている。外側板22の外前板24と反対側の端縁には、外背板28の内面に接着される接着片21が折曲線を介して連結されている。
【0053】
外前板24と一対の外側板22、26のそれぞれとの間には、切欠き50、52が配置されている。切欠き50は、外前板24と外側板22とに跨って配置されている。切欠き52は、外前板24と外側板26とに跨って配置されている。
【0054】
上壁30は、4枚の上板32、34、36、38を備える。上板32、36のそれぞれは、外側板22、26のそれぞれの上端に折曲線を介して連結されている。上板34は、外前板24の上端に折曲線を介して連結されている。上板38は、外背板28の上端に折曲線を介して連結されている。
【0055】
(蓋部の構成)
展開体BL4から作製される蓋部20の構成を説明する。蓋部20は、展開体BL4に配置される折曲線に沿って展開体BL2を折り曲げることによって構成されている。具体的には、外側板22、26のそれぞれは、外前板24の両端縁のそれぞれの折曲線に沿って外前板24に対して後方に折り曲げられている。外背板28は、外側板26と外背板28との間の折曲線に沿って、外側板26に対して折り曲げられている。接着片21は、外背板28の内面に接着されている。上板32、34、36、38のそれぞれは、外側板22、26、外前板24及び外背板28のそれぞれに対して折り曲げられることによって、上壁30が構成されている。
【0056】
(包装容器の組立及び開封方法)
包装容器10は、蓋部20を、収納容器60に被せることによって構成されている。蓋部20と収納容器60と接着されている。具体的には、内側板62には、切離部90が配置されている。切離部90は、内側板62の他の部分に対してミシン目及びスリット96によって連結される切離片94を備える。切離片94には、上下方向の中間位置において、前後方向に延びる折曲線98が配置されている。切離片94には、接着領域92が配置されている。接着領域92は、折曲線98を跨いで上下方向に延びている。内側板66には、内側板62と同様の切離部90が配置されている。
【0057】
外側板22には、移動部40が配置されている。移動部40は、外側板22の他の部分に対してミシン目及びスリット46によって連結される移動片44を備える。移動片44は、移動片44の下端に配置される折曲線45を介して、外側板22の他の部分に対して折り曲げ可能に配置されている。移動片44には、上下方向の中間位置において、前後方向に延びる折曲線48が配置されている。折曲線48は、折曲線98と重ねて配置される。外側板26には、外側板22と同様の移動部40が配置されている。2個の移動片44のそれぞれは、2個の切離片94のそれぞれの接着領域92に接着される。
【0058】
包装容器10は、展開体BL2と展開体BL4との状態で、2個の移動片44のそれぞれが2個の切離片94のそれぞれに接着される。その後、展開体BL2と展開体BL4との折曲線を折り曲げて、包装容器10を作製する。最後に、蓋部20の上板32、34、36、38を閉じる前に対象物を収納して、上板32、34、36、38を閉じることによって、包装容器10が完成する。
【0059】
図1に示すように、移動部40の上端部には、開口42が配置されている。ユーザは、指を、開口42から挿入して切離片94の内面に引掛ける。ユーザは、切離片94を外側に向けて引っ張ることによって、切離片94を収納容器60から切り離すとともに、移動片44を折曲線45に沿って折り曲げる。これにより、包装容器10が図4に示される開封途中の状態に移行される。移動片44は折曲線48で折り曲げられ、切離片94は折曲線98で折り曲げられることによって、移動片44及び切離片94に折曲線48、98が配置されていない構成と比較して、移動片44及び切離片94を外側に引っ張りやすくすることができる。
【0060】
この構成によると、蓋部20と収納容器60との接着部分である切離片94を、収納容器60から容易に切り離すことができる。
【0061】
次いで、ユーザは、蓋部20を収納容器60に対して上方に移動させることによって、蓋部20を収納容器60から取り外して、包装容器10を開封することができる。
【0062】
図5に示すように、蓋部20が取り外された状態では、収納容器60は、延長片68a、68bが本体68eに対して折り曲げられた状態である。ユーザは、延長片68a、68bを折曲線68cに沿って本体68eに対して移動させることによって、延長片68aを本体68eと同一平板上に並べる。延長片82、86は、延長片68aとともに上方に延ばされる。これにより、図6に示すように、相手側部材2に引掛けることができる形状に移行させることができる。
【0063】
この構成では、収納容器60から蓋部20を取り外した後、内背板68を高くすることができる。これにより、フック110を収納容器60に配置されている対象物よりも高い位置に配置することができる。これにより、フック110を相手側部材2に引掛ける際に、対象物によってフック110が見え難くなることを抑制することができる。この結果、利用者がフック110を引掛けるのを失敗する事態を抑制することができる。
【0064】
包装容器10では、フック110は、蓋部20に覆われており、包装容器10の外部に露出していない。このため、搬送中にフック110が外部と接触することによってフック110が損傷することを抑制することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0066】
例えば、上記した実施例では、内側板62、66のそれぞれに切離片94が配置され、外側板22、26のそれぞれに移動片44が配置されている。しかしながら、内側板62、66の少なくとも一方に移動片44が配置され、外側板22、26の少なくとも一方に切離片94が配置されていてもよい。この場合、移動片44は、折曲線を介して内側板62、66の少なくとも一方と連結されていてもよい。切離片94は、外側板22、26と切離し可能に配置されていてもよい。この場合、ユーザは、例えば、切離片94を内側に押し込んで移動片44とともに包装容器10の内側に移動させて、切離片94を外側板22、26から切り離してもよい。
【0067】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0068】
2:相手側部材、10:包装容器、20:蓋部、22、26:外側板、24:外前板、28:外背板、40:移動部、42:開口、44:移動片、45:折曲線、46:ミシン目及びスリット、48:折曲線、50、52:切欠き、60:収納容器、62、66:内側板、64:内前板、68:内背板、68a、68b:延長片、68c、68d:折曲線、70:底壁、82、86:延長片、90:切離部、92:接着領域、94:切離片、100:フック部、110:フック、112:第1片、113:下端縁、114:第2片、116a:折曲線、116b:折曲線、BL2、BL4:展開体
図1
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図10