(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077019
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/54 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
C07D307/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190103
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】508359158
【氏名又は名称】ILS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】竹原 潤
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 悌二
【テーマコード(参考)】
4C037
【Fターム(参考)】
4C037HA29
(57)【要約】
【課題】医薬中間体であるZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を効率的に単離精製する。
【解決手段】不純物としてE異性体を含むZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を、完全溶解せずに溶媒で洗浄してE異性体を除去するZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩と、不純物である下記一般式(2)で表されるE異性体と、の混合物を、完全溶解せずに溶媒で洗浄することにより、前記E異性体を除去すること、
を特徴とするZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法。
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記混合物が固体であること、
を特徴とする請求項1に記載のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法。
【請求項3】
前記溶媒が、メタノ-ル、エタノ-ル、1-プロパノ-ル、2-プロパノ-ル、1-ブタノ-ル、2-ブタノ-ル及びイソブタノ-ルのうちの少なくとも1種のアルコ-ル、又は、前記アルコ-ルと水との混合溶媒であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法。
【請求項4】
前記混合物が、下記一般式(3)で表されるα-オキソ-2-フラン酢酸とメトキシアミンとを反応させて得た、下記の一般式(4)で表されるα-メトキシイミノ-2-フラン酢酸の異性体混合物を、アンモニウム塩としたものであること、
を特徴とする請求項1~3のうちのいずれかに記載のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法。
【化3】
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬中間体として有用な化合物であるZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩は、工業的にはα-オキソ-2-フラン酢酸を原料としてオキシムエ-テル化を経て製造されるが、不可避不純物として異性体等を含み、その純度は通常80~98%である。
【0003】
上記のようなZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を精製する方法としては、粗結晶化では、(1)酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジクロロメタン、メタノ-ル、エタノ-ルやその混合溶媒に溶解したα-メトキシイミノ-2-フラン酢酸に、乾燥アンモニアを添加して晶析する方法(例えば特許文献1~11)が知られている。
【0004】
また、粗Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の再結晶では、(2)メタノ-ル単独溶媒を使用する方法(特許文献6及び7)や、(3)含水メタノ-ルに溶解した後に溶媒を脱水留去しつつメタノ-ルを添加する方法(特許文献12)等が知られている。
【0005】
上記(1)の方法の場合、得られる目的物の回収量や純度は必ずしも十分なものではない。また、上記(2)の方法の場合、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の溶解度が低いために溶解に大量の溶媒を使用しなければならず、目的物の回収量や純度は必ずしも十分なものではない。更に上記(3)の方法の場合、煩雑な操作を必要としてしまう。
【0006】
以上のように、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩に関して、より高純度な単離品を簡便な操作で得る手段が望まれているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国公開特許105503792号公報
【特許文献2】中国公開特許101357911号公報
【特許文献3】中国公開特許105330627号公報
【特許文献4】中国公開特許110003151号公報
【特許文献5】中国公開特許106187960号公報
【特許文献6】インド国公開特許2015MU02097号公報
【特許文献7】中国公開特許108864002号公報
【特許文献8】イタリア国公開特許IT98MI1541号公報
【特許文献9】中国公開特許107903226号公報
【特許文献10】中国公開特許112876436号公報
【特許文献11】中国公開特許107892678号公報
【特許文献12】中国公開特許112521354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩に関して、より高純度な単離品を簡便な操作で得る手段が望まれている実情に鑑み、本発明者らは、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を工業的に製造する方法として、α-オキソ-2-フラン酢酸を原料とする一般的製法に着目した。
【0009】
しかしながら、かかる一般的製法においては、副生物としてE異性体が生成してしまうことから、この粗Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を効率的に単離精製するには、従来知られている方法では不十分であることが判明した。
【0010】
そこで、本発明の目的は、特にα-オキソ-2-フラン酢酸を原料とするZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の製造方法において、より高純度な単離品をより簡便に得る手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記のような課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、粗Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を完全溶解せずに(即ち、溶解していない状態又は一部が溶解している状態で溶媒に懸濁させることにより)、溶媒で洗浄してE異性体(E-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩)を除去する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩と、不純物である下記一般式(2)で表されるE異性体と、の混合物を、完全溶解せずに溶媒で洗浄することにより、前記E異性体を除去すること、
を特徴とするZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法を提供するものである。
【化1】
【化2】
【0013】
上記本発明のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法においては、前記混合物(即ち、不純物として前記E異性体を含む前記Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩)が、固体として一旦取り出されたものであること、が好ましい。
【0014】
上記本発明のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法においては、前記溶媒が、メタノ-ル、エタノ-ル、1-プロパノ-ル、2-プロパノ-ル、1-ブタノ-ル、2-ブタノ-ル及びイソブタノ-ルのうちの少なくとも1種のアルコ-ル、又は、前記アルコ-ルと水との混合溶媒であること、が好ましい。
【0015】
上記本発明のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法においては、前記混合物が、下記一般式(3)で表されるα-オキソ-2-フラン酢酸とメトキシアミンとを反応させて得た、下記の一般式(4)で表されるα-メトキシイミノ-2-フラン酢酸の異性体混合物を、アンモニウム塩としたものであること、が好ましい。
【化3】
【化4】
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、医薬中間体であるZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を効率的に単離精製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法の代表的な実施形態について詳細に説明する。なお、重複する説明は省略することがある。
【0018】
(精製処理される混合物)
本実施形態のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法において、精製(即ち懸濁洗浄又はアンモニアを含む溶媒による再結晶処理)の対象となるのは、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩と、不純物であるそのE異性体(E-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩)と、の混合物である。
【0019】
この混合物は、あらかじめ製造反応液から公知の方法により単離された粗生成物であっても、製造反応液を濃縮したままの粗固体であってもよい。さらには、この混合物は、製造反応液を後述する処理に供することのできる溶媒組成に調製したものでも構わない。溶媒組成は、メタノ-ル、エタノ-ル、1-プロパノ-ル、2-プロパノ-ル、1-ブタノ-ル、2-ブタノ-ル及びイソブタノ-ルのうちの少なくとも1種のアルコ-ル、又は、前記アルコ-ルと水との混合溶媒である。
【0020】
(処理方法)
本実施形態のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法は、前記混合物を、当該混合物に含まれる固体を完全溶解させずに懸濁させて(即ち、溶解していない状態又は一部が溶解している状態で溶媒に懸濁させて)、洗浄(懸濁洗浄)する方法である。
【0021】
精製処理に使用する溶媒としては、処理する混合物が少しでも溶解することのできるものであればよい(即ち、前記混合物が少しでも溶解性を示す溶媒であればよい)。具体的には、メタノ-ル、エタノ-ル、1-プロパノ-ル、2-プロパノ-ル、1-ブタノ-ル、2-ブタノ-ル、iso-ブタノ-ル、tert-ブタノ-ル、エチレングリコ-ル等のアルコ-ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、エチレングリコ-ルジメチルエ-テル、ジオキサン等のエ-テル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等の二トリル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機酸エステル類、ジメチルスルホキシド、及び水が挙げられる。
【0022】
これらの溶媒は、互いに混合可能であれば、2種以上を混合して使用することができる。これらの溶媒は、好ましくはアルコ-ル類であり、より好ましくはメタノ-ル、エタノ-ル、エタノ-ルと水、プロパノ-ル類と水、ブタノ-ル類と水との混合溶媒である。
【0023】
精製処理に使用する溶媒の使用量は、本発明の効果が得られる範囲で適宜調整可能であって特に制限はないが、大まかな目安として、前記混合物(粗体Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩)の1~50質量倍、好ましくは1~10質量倍であればよい。
【0024】
精製処理を行う温度としては、本発明の効果が得られる範囲で適宜調整可能であって特に制限はないが、0℃~100℃が好ましく、さらに好ましくは5℃~70℃の範囲内であることが望ましい。
【0025】
また、懸濁洗浄の場合の精製処理時間については、本発明の効果が得られる範囲で適宜調整可能であって特に制限はないが、好ましくは1~24時間、さらに好ましくは、2~12時間である。なお、前記混合物を分離精製に供する場合は、上述した溶媒に懸濁して精製処理を行えばよく、洗浄後に固体を常法により濾取すればよい。
【0026】
(前処理)
前記混合物を精製に供する前には、前処理を行うことができる。前処理の例としては、混合物完溶溶液の不溶物の濾別処理、活性炭・活性白土等の吸着脱色処理等が例示される。
【実施例0027】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例により限定されない。
【0028】
<実施例1>
2-アセチルフラン(東京化成工業(株)、品番A0091)から化学反応によりα-オキソ-2-フラン酢酸を調製した後、4℃以下に冷却した粗α-オキソ-2-フラン酢酸(含有量653.9mmol)の水溶液にpH3にてメトキシアミン塩酸塩65.53g(784.6mmol)を添加し、4℃以下で23時間以上攪拌した。ついでこの反応液を塩酸でpH0.4とし、酢酸イソブチル458mlで3回抽出し、粗α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸の酢酸イソブチル溶液(混合物1)を得た。高速液体クロマトグラフィ-((株)島津製作所製の「Prominenc LC-20ABシステム」)を用い、カラム(Water社製の「X Brige C18、3.5μ、φ4.6×250mm」)と、0.1%TFA-水溶液と0.1%TFA-アセトニトリル溶液の2種の移動相による勾配法での分析(以下、「HPLC分析」という。)を行ったところ、Z/E異性体比率は83.65/6.96であった。
【0029】
次に、この粗α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸の酢酸イソブチル溶液に、無水硫酸ナトリウムと活性炭を投入し、脱水・脱色して濾過した。得られた濾液にメタノ-ル586ml及び種結晶を添加した後、7mol/Lアンモニアメタノ-ル溶液を187ml(1308mmol)添加し、析出した結晶を濾取し、酢酸イソブチルで洗浄及び減圧乾燥して、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩95.1gを得た。収率は78.1%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.20/0.39であった。
【0030】
次に、得られたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)73.7gを室温にてメタノ-ルとエタノ-ルの混合溶媒(1:1)147mlに懸濁し、懸濁状態のまま45℃で4時間攪拌後、室温にて13時間懸濁した。その後、10℃以下に冷却して2時間撹拌し、固体を濾取し、減圧乾燥して67.6gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は91.7%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.64/0.15であった。
【0031】
<実施例2>
4℃に冷却した粗α-オキソ-2-フラン酢酸含有量91.60g(654mmol)の水溶液にpH3にてメトキシアミン塩酸塩65.53g(784.6mmol)を添加し、4℃以下で17時間以上攪拌した。ついでこの反応液を塩酸でpH0.3以上0.6以下とし、酢酸エチル916mlで2回抽出し、粗α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸の酢酸エチル溶液を得た。HPLC分析で、Z/E異性体比率は79.6/7.6であった。
【0032】
次に、この粗α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸の酢酸エチル溶液に、メタノ-ル485ml及び種結晶を添加した後、7mol/Lアンモニアメタノ-ル溶液を187ml(1308mmol)添加し、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄及び減圧乾燥して、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は78%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は95.51/1.31であった。
【0033】
次に、得られたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)0.504gにメタノ-ル1mlを添加し、懸濁状態のまま45℃で5時間攪拌後、氷冷して個体を濾過し、減圧乾燥して、0.300gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は59%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.79/0.12であった。
【0034】
<実施例3>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)0.506g(Z/E異性体比率95.51/1.31)をノルマルブタノ-ル1mlに、懸濁状態のまま45℃で5時間攪拌後、5℃以下に冷却して個体を濾過し、減圧乾燥して、0.441gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は87%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.29/0.49であった。
【0035】
<実施例4>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)0.505g(Z/E異性体比率95.51/1.31)を室温にて10%含水メタノ-ル1mlに懸濁状態のまま40℃で2.5時間攪拌後、室温に冷却して個体を濾過し、減圧乾燥して、0.251gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は49%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.89/0.06であった。
【0036】
<実施例5>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)0.503g(Z/E異性体比率95.51/1.31)を10%含25%アンモニア水メタノ-ル1mlに懸濁状態のまま40℃で2.5時間攪拌後、室温に冷却して個体を濾過し、減圧乾燥して、0.292gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は58%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.88/0.07であった。
【0037】
<実施例6>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)0.503g(Z/E異性体比率95.51/1.31)を室温に水飽和ノルマルブタノ-ル1mlに、懸濁状態のまま40℃で2.5時間攪拌後、室温に冷却して個体を濾過し、減圧乾燥して、0.332gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は66%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.81/0.11であった。
【0038】
<実施例7>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)0.507g(Z/E異性体比率95.51/1.31)を室温に25%アンモニア水飽和ノルマルブタノ-ル1mlに、懸濁状態のまま40℃で2.5時間攪拌後、室温に冷却して個体を濾過し、減圧乾燥して、0.349gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は68%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.86/0.08であった。
【0039】
<比較例1>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)9.5g(Z/E異性体比率95.51/1.31)を室温にてメタノ-ル95mlに溶かし、活性炭を添加し1時間撹拌した後活性炭を濾過した。ろ液に、酢酸エチルを添加し、室温にて終夜撹拌し、固体を濾過し、メタノ-ル-酢酸エチル混液で洗浄、減圧乾燥して、7.0gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は73.4%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.54/0.19であった。
【0040】
<比較例2>
実施例2で得たZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の粗結晶固体(精製処理される混合物)70.0g(Z/E異性体比率95.51/1.31)を室温にてメタノ-ル700mlに溶かし、活性炭を添加し1時間撹拌した後活性炭を濾過した。ろ液に、酢酸エチルを添加し、室温にて終夜撹拌し、固体を濾過し、メタノ-ル-酢酸エチル混液で洗浄、減圧乾燥して、53.3gの精製されたZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩を得た。収率は76.2%であった。HPLC分析で、Z/E異性体比率は99.86/0.11であった。
【0041】
上記の実施例1~7及び比較例1~2の結果から、本発明に係るZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩の精製方法によれば、約6~7%含有している不純物のZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩のE異性体を、0.2%含有以下程度まで有効かつ確実に除去することができる。
本発明の精製対象化合物であるZ-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩は、医薬中間体に利用でき、Z-α-メトキシイミノ-2-フラン酢酸アンモニウム塩から誘導したセフロキシムは抗生物質医薬品として利用できる。