(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077030
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/20 20060101AFI20230529BHJP
H02K 3/24 20060101ALI20230529BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
H02K1/20 C
H02K3/24 C
H02K9/19 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190129
(22)【出願日】2021-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】内山 翔
【テーマコード(参考)】
5H601
5H603
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD30
5H601GA02
5H601GA22
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB32
5H601GE12
5H601GE14
5H603AA11
5H603BB01
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA05
5H603CB02
5H603CB03
5H603CC03
5H603CC17
5H609BB03
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ12
5H609RR33
(57)【要約】
【課題】コイルの冷却について改善した回転電機を提供することを目的とする。
【解決手段】回転電機であって、中心軸に沿って延びるシャフトと前記シャフトの径方向外側に固定されるロータコアとを有するロータと、前記ロータの径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータと、冷媒の流れをガイドするガイド部材と、を備え、前記ステータは、第1ステータコアと、前記第1ステータコアと軸方向に並んで配置される第2ステータコアと、前記第1ステータコア及び第2ステータコアを軸方向に貫通するコイルと、を有し、前記ガイド部材は、前記第1ステータコアと前記第2ステータコアとの間に配置され、前記コイルが軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔は、該貫通孔を貫通した前記コイルを径方向外側に露出させる形状である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びるシャフトと前記シャフトの径方向外側に固定されるロータコアとを有するロータと、
前記ロータの径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータと、
冷媒の流れをガイドするガイド部材と、
を備え、
前記ステータは、第1ステータコアと、前記第1ステータコアと軸方向に並んで配置される第2ステータコアと、前記第1ステータコア及び第2ステータコアを軸方向に貫通するコイルと、を有し、
前記ガイド部材は、前記第1ステータコアと前記第2ステータコアとの間に配置され、前記コイルが軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、該貫通孔を貫通した前記コイルを径方向外側に露出させる形状である、
回転電機。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記第1ステータコア及び前記第2ステータコアに対する周方向位置を及び径方向位置を位置決めする位置決め部を有する、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転電機は、ハイブリッド励磁式回転電機であって、
前記ガイド部材は、前記ロータコアを励磁する励磁コイルを有する励磁コイルユニットである、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
前記コイルは平角線のセグメントコイルである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のコイルは通電により発熱する。コイルの絶縁材には温度制限があることなどから、発熱したコイルは冷却するのが望ましい。特許文献1に記載の発明では、コイルの軸方向両端であるコイルエンドに向けて冷媒を吐出することでコイルを冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コイルが軸方向に長い場合には、軸方向両端のコイルエンドを冷却しても、軸方向中央付近の冷却が不十分になる可能性があった。このことから、従来、コイルの冷却について改善の余地があった。
【0005】
本発明は、コイルの冷却について改善した回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る回転電機は、中心軸に沿って延びるシャフトと前記シャフトの径方向外側に固定されるロータコアとを有するロータと、前記ロータの径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータと、冷媒の流れをガイドするガイド部材と、を備え、前記ステータは、第1ステータコアと、前記第1ステータコアと軸方向に並んで配置される第2ステータコアと、前記第1ステータコア及び第2ステータコアを軸方向に貫通するコイルと、を有し、前記ガイド部材は、前記第1ステータコアと前記第2ステータコアとの間に配置され、前記コイルが軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔は、該貫通孔を貫通した前記コイルを径方向外側に露出させる形状である。
【0007】
上記の一態様の回転電機において、前記ガイド部材は、前記第1ステータコア及び前記第2ステータコアに対する周方向位置を及び径方向位置を位置決めする位置決め部を有する。
【0008】
上記の一態様の回転電機において、前記回転電機は、ハイブリッド励磁式回転電機であって、前記ガイド部材は、前記ロータコアを励磁する励磁コイルを有する励磁コイルユニットである。
【0009】
上記の一態様の回転電機において、前記コイルは平角線のセグメントコイルである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、コイルの冷却について改善した回転電機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に係るモータの斜視図である。
【
図2】
図1に示したモータ100からロータ200を除いて示す斜視図である。
【
図3】
図1に示したモータ100から第1ステータコア310を取り除いて、軸方向一方側から見た側面図である。
【
図4】フレーム400を軸方向に切断し、内周面が見える向きで示す斜視図である。
【
図6】ガイド部材350の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】フレーム400にステータ300を組み付ける手順を説明する側断面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係るモータの斜視図である。
【
図9】
図8のモータ1100を+X側から見た右側面図である。
【
図10】
図8のモータ1100を、中心軸Jを通りX軸と直交する面で切断して示す側断面図である。
【
図11】
図8のモータ1100を、
図8のA-A断面で切断して示す平断面図である。
【
図12】
図8のモータ1100にステータコイル1340を冷却する冷媒を流す様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回転電機について説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1に係るモータの斜視図である。
図1のモータ100は、回転電機の一例である。モータ100は、中心軸Jに沿って延びるシャフト230を有するロータ200と、ステータ300と、フレーム400と、を有する。シャフト230は、中心軸Jを回転軸にして回転可能なように軸受(不図示)によって軸支される。
【0014】
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。また、中心軸Jに沿って、
図1における左側を軸方向一方側と呼び、
図1における右側を軸方向他方側と呼ぶ。
【0015】
また、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【0016】
ステータ300は、ロータ200の径方向外側にエアギャップを介して配置される。フレーム400は、ステータ300を径方向外側から覆うことで、ステータ300を収容する。
【0017】
ロータ200は、ロータコア210と、永久磁石240とを有する。ロータコア210は、シャフト230の径方向外側に固定される。永久磁石240は、ロータコア210を励磁する。
【0018】
ステータ300は、第1ステータコア310と、平角線のセグメントコイルにより構成されるステータコイル340と、を有する。ステータコイル340は、第1ステータコア310を軸方向に貫通する。
【0019】
図2は、
図1に示したモータ100からロータ200を取り除いて示す斜視図である。ステータ300は、第1ステータコア310の軸方向他方側にガイド部材350を有し、ガイド部材350の軸方向他方側に第2ステータコア320を有する。第1ステータコア310と、ガイド部材350と、第2ステータコア320とは、軸方向に並んで配置される。ステータコイル340は、第1ステータコア310、ガイド部材350及び第2ステータコア320を軸方向に貫通する。
【0020】
モータ100は、例えば軸方向が鉛直方向と直交する向きで設置されて使用に供される。ステータコイル340を冷却する冷媒は、モータ100の鉛直方向上側からフレーム400の径方向内側に供給される。冷媒としては、例えばオイルを用いることが出来るが、他の液体を用いてもかまわない。冷媒はポンプによって供給されるものであってもよい。モータ100の鉛直方向上側からフレーム400の径方向内側に供給された冷媒は、モータ100の鉛直方向下側からフレーム400の径方向外側へと排出される。図面では、冷媒の供給口及び排出口を図示していないが、例えばフレーム400に冷媒の供給口及び排出口を設けてもよく、既知の如何なる方法を用いてもよい。冷媒の供給口及び排出口は、軸方向において、ガイド部材350の軸方向位置と一致する位置に配置される。ガイド部材350は、冷媒の流れをガイドする。
【0021】
図3は、
図1に示したモータ100から第1ステータコア310を取り除いて、軸方向一方側から見た側面図である。また、
図4は、フレーム400を軸方向に切断し、内周面が見える向きで示す斜視図である。フレーム400は、その内周面に、内周面401、内周面402及びステータ座面403が形成されている。ステータ座面403は、内周面401及び内周面402よりも径方向内側に位置する。ステータ座面403と内周面401との間には段差が形成されており、ステータ座面403と内周面402との間には段差が形成されている。第1ステータコア310は、内周面401に嵌まる。第2ステータコア320は、内周面402に嵌まる。ガイド部材350は、第1ステータコア310と第2ステータコア320とによって挟持される。
【0022】
図5は、ガイド部材350の斜視図である。
図6は、ガイド部材350の一部を拡大して示す斜視図である。ガイド部材350は、例えば樹脂製の円環状部材である。ガイド部材350は、円環形状の外径をなす外径部350aと、外径部350aを軸方向に貫通する貫通孔350bと、外径部350aの径方向内側端で軸方向一方側に突出する凸部350cと、外径部350aの径方向内側端で軸方向他方側に突出する凸部350dと、を有する。
【0023】
貫通孔350bは、第1ステータコア310及び第2ステータコア320のスロット位置に対応して設けられる。ステータコイル340は、貫通孔350bを軸方向に貫通する。貫通孔350bは、径方向外側が開放している。貫通孔350bの径方向内側端から径方向外側端までの長さは、ステータコイル340の径方向長さよりも短く、ステータコイル340の径方向外側端は、ガイド部材350の径方向外側端よりも径方向外側に突出する。すなわち、貫通孔350bは、貫通孔350bを貫通したステータコイル340を径方向外側に露出させる形状である。
【0024】
凸部350cは、第1ステータコア310のスロットすなわちステータコイル340が挿入される貫通孔に挿入される。これにより、ガイド部材350と第1ステータコア310との位置決めがされる。凸部350dは、第2ステータコア320のスロットすなわちステータコイル340が挿入される貫通孔に挿入される。これにより、ガイド部材350と第2ステータコア320との位置決めがされる。
【0025】
図7は、フレーム400にステータ300を組み付ける手順を説明する側断面図である。まず、
図7(A)に示すように、フレーム400を用意する。フレーム400に第1ステータコア310及び第2ステータコア320を焼き嵌めする場合には、フレーム400を温めておく。
【0026】
続いて、
図7(B)に示すように、フレーム400に対して軸方向一方側から第1ステータコア310をステータ座面403まで挿入する。続いて、
図7(C)に示すように、フレーム400に対して軸方向他方側からガイド部材350を挿入する。このとき、第1ステータコア310のスロットにガイド部材350の凸部350cを挿入し、第1ステータコア310とガイド部材350との位置決めを行う。
【0027】
続いて、
図7(D)に示すように、フレーム400に対して軸方向他方側から第2ステータコア320をステータ座面403まで挿入する。このとき、第2ステータコア320のスロットにガイド部材350の凸部350dを挿入し、第2ステータコア320とガイド部材350との位置決めを行う。これにより、ガイド部材350は、第1ステータコア310と第2ステータコア320とにより挟持され、第1ステータコア310とガイド部材350との間の隙間及び第2ステータコア320とガイド部材350との間の隙間は塞がれる。
【0028】
続いて、
図7(E)に示すように、第1ステータコア310、ガイド部材350及び第2ステータコア320を軸方向に貫通するようにステータコイル340を挿入し、溶接等で必要な結線を行う。
【0029】
ステータ座面403の径方向内側端とガイド部材350の径方向外側端との間には空間がある。この空間には、ガイド部材350の径方向外側端から径方向外側に突出するステータコイル340が露出しており、この空間に対して冷媒の供給口から冷媒を流すことで、ステータコイル340を直接冷却することが出来る。この空間に流された冷媒は、ガイド部材350の径方向外側端を周方向につたって鉛直方向下側の排出口から排出される。これにより、ステータコイル340を軸方向中間位置で冷却することが出来、コイルの冷却について改善することが出来る。
【0030】
また、第1ステータコア310とガイド部材350との間の隙間及び第2ステータコア320とガイド部材350との間の隙間は塞がれているので、ステータ座面403の径方向内側端とガイド部材350の径方向外側端との間の空間の冷媒が、ロータ200とステータ300との間のギャップへ侵入することを抑制することが出来、攪拌ロスの発生を抑止することが出来る。
【0031】
なお、ステータコイル340のコイルエンドは、既知の如何なる方法で冷却してもよい。
【0032】
本実施例によれば、ガイド部材350により、ロータ200とステータ300との間のエアギャップへの冷媒の侵入を抑制し、攪拌ロスの発生を抑止することが出来る。
【0033】
また、本実施例によれば、ガイド部材350を位置ズレなく取付け可能であり、冷媒の流路として機能しつつ、エアギャップへの冷媒漏れも防止する。
【0034】
さらに、本実施例によれば、何らかの構成がエアギャップ内に突出しない構造であるため、エアギャップ長を拡大するなどしてモータ性能を低下させることはない。
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「他方側」と呼ぶ。なお、一方側及び他方側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
モータ1100は、励磁コイルユニット1350を有する。励磁コイルユニット1350は、冷媒の流れをガイドするガイド部材の一例である。励磁コイルユニット1350は、励磁コイル1355を有する。励磁コイルユニット1350は、励磁コイル1355を樹脂部1353で覆うように樹脂成型された円板状の部材である。励磁コイルユニット1350は、中心軸Jに沿って軸方向に貫通する貫通孔1351を有する。シャフト1230は、貫通孔1351を貫通する。励磁コイルユニット1350の内周面、すなわち貫通孔1351の壁面は、シャフト1230と接しない。
ロータ1200は、励磁コイルユニット1350の軸方向一方側に配置される第1ロータコア1210と、励磁コイルユニット1350の軸方向他方側に配置される第2ロータコア1220とを有する。第1ロータコア1210及び第2ロータコア1220は、励磁コイルユニット1350と接しない。第1ロータコア1210と第2ロータコア1220とは、同一形状であってもよい。第1ロータコア1210と第2ロータコア1220とは、同一形状でなくてもよい。第1ロータコア1210と第2ロータコア1220とは、軸方向長さが異なるものであってもよい。
第1ロータコア1210は、軸方向に貫通し、第1シャフト1231が嵌まる貫通孔1212を有する。第1ロータコア1210は、第1シャフト1231の径方向外側に固定される。第1ロータコア1210は、電磁鋼板を軸方向に積層して成る。第1ロータコア1210は、軸方向に貫通する貫通孔1211を有する。ロータ1200は、永久磁石1240を有する。第1ロータコア1210は、貫通孔1211に永久磁石1240を収容する。永久磁石1240は、第1ロータコア1210を励磁する。
第2ロータコア1220は、軸方向に貫通し、第2シャフト1232が嵌まる貫通孔1222を有する。第2ロータコア1220は、第2シャフト1232の径方向外側に固定される。第2ロータコア1220は、電磁鋼板を軸方向に積層して成る。第2ロータコア1220は、軸方向に貫通する貫通孔(不図示)を有する。ロータ1200は、永久磁石(不図示)を有する。第2ロータコア1220は、貫通孔に永久磁石を収容する。この永久磁石は、第2ロータコア1220を励磁する。
励磁コイル1355は、第1ロータコア1210及び第2ロータコア1220と軸方向で対向する。励磁コイル1355は、通電されることで、第1ロータコア1210及び第2ロータコア1220を励磁する。励磁コイル1355は、エナメル線を周方向に巻き回して成る。励磁コイル1355の端部であるリード線1355aは、被覆された導線であってもよい。励磁コイル1355は、アルファ巻きで巻き回される。図面においてはリード線1355aとして1本の線を示しているが、実際にはリード線1355aは励磁コイル1355の両端の2本の線である。励磁コイル1355の巻き回しの層数は、2層以上の多層であることが望ましい。
ステータ1300は、励磁コイルユニット1350の軸方向一方側に配置される第1ステータコア1310と励磁コイルユニット1350の軸方向他方側に配置される第2ステータコア1320とを有する。第1ステータコア1310は、電磁鋼板を軸方向に積層して成る。第1ステータコア1310は、円環状部材であり、内周面にエアギャップを介して第1ロータコア1210が対向配置される。第2ステータコア1320は、電磁鋼板を軸方向に積層して成る。第2ステータコア1320は、円環状部材であり、内周面にエアギャップを介して第2ロータコア1220が対向配置される。
ステータ1300は、平角線のセグメントコイルにより構成されるステータコイル1340を有する。図面においてはステータコイル1340の軸方向他方側の端部同士の接続をする前の状態を示している。第1ステータコア1310は、軸方向に貫通するスロット1312を有する。第2ステータコア1320は、軸方向に貫通するスロット1322を有する。スロット1312及びスロット1322は、ステータコイル1340を収容する。励磁コイルユニット1350は、軸方向に貫通する貫通孔1352を有する。ステータコイル1340は、貫通孔1352を貫通する。すなわち、ステータコイル1340は、第1ステータコア1310、励磁コイルユニット1350及び第2ステータコア1320の順に貫通する。
励磁コイルユニット1350の外縁は、周方向全周に亘り、軸方向で第1ステータコア1310及び第2ステータコア1320と対向する。これにより、励磁コイルユニット1350の外縁(径方向外側の縁部)は、周方向全周に亘り、第1ステータコア1310と第2ステータコア1320とで挟持される。第1ステータコア1310と励磁コイルユニット1350と第2ステータコア1320とは接着剤で固定してもよい。第1ステータコア1310と励磁コイルユニット1350と第2ステータコア1320とを組付けた状態で外周に円筒状のケース(不図示)に嵌め込むことで、各部材を固定してもよい。円筒状のケースはステータヨークを構成してもよい。励磁コイルユニット1350は第1ステータコア1310と第2ステータコア1320とで挟持されることで励磁コイル1355の取り付け強度を確保することが出来る。
第1ステータコア1310は、外周面から径方向内側に凹む溝部1311を有する。第2ステータコア1320は、外周面から径方向内側に凹む溝部1321を有する。第1ステータコア1310と第2ステータコア1320とは同一形状である。第1ステータコア1310と第2ステータコア1320とを同一形状にすることで、製造時の工数を削減することが出来る。溝部1321は、リード線1355aを収容する。リード線1355aは、溝部1321に収容されることで、第2ステータコア1320の外周面よりも径方向内側に位置する。第1ステータコア1310と第2ステータコア1320とは同一形状でなくてもよい。第1ステータコア1310と第2ステータコア1320とは、軸方向長さが異なるものであってもよい。
ステータ1300は、第3ステータコア1330を有する。第3ステータコア1330は、励磁コイルユニット1350の径方向外側に配置される。第3ステータコア1330は、励磁コイル1355が作る磁束の磁路となる。第3ステータコア1330は、電磁鋼板を周方向に巻いて成る巻鉄心である。第3ステータコア1330は、リード線1355aが径方向外側及び軸方向他方側に露出するように切り欠いた切り欠き部1331を有する。励磁コイルユニット1350の外周面は、切り欠き部1331において径方向外側に露出する。切り欠き部1331は、軸方向で溝部1321と対向する。
励磁コイルユニット1350の貫通孔1352は、径方向外側が開放している。貫通孔1352の径方向内側端から径方向外側端までの長さは、ステータコイル1340の径方向長さよりも短く、ステータコイル1340の径方向外側端は、励磁コイルユニット1350の径方向外側端よりも径方向外側に突出する。すなわち、貫通孔1351は、貫通孔1352を貫通したステータコイル1340を径方向外側に露出させる形状である。
励磁コイルユニット1350の軸方向一方側は、第1ロータコア1210と接する面1350aと、面1350aよりも軸方向他方側に凹んだ面1350bと、第1ロータコア1210と接する面1350cと、を有する。面1350bは、鉛直方向上側及び鉛直方向下側が径方向外側に開放する形状である。励磁コイルユニット1350の軸方向他方側も同様の形状である。
第3ステータコア1330は、軸方向一方側の面に、鉛直方向上側で、軸方向他方側に凹んで径方向に貫通する溝部1330aを有する。第3ステータコア1330は、軸方向一方側の面に、鉛直方向下側で、軸方向他方側に凹んで径方向に貫通する溝部1330bを有する。第3ステータコア1330の軸方向他方側も同様の形状である。
なお、第1ロータコア1210と面1350bとの間の隙間は、第1ロータコア1210と面1350cとが接することで径方向内側において塞がれ、面1350bをつたう冷媒が径方向内側に漏れることを防ぐことが出来る。
以上説明した本発明によれば、コイルを軸方向中央付近で冷却することが出来、コイルの長さのうち冷却されない範囲の長さを短くすることが出来、コイルの温度勾配を緩和することが出来る。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。