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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077031
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】スピードスプレーヤ用警報システム
(51)【国際特許分類】
   B62D 49/08 20060101AFI20230529BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20230529BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230529BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B62D49/08 Z
G08B21/00 U
G08B25/10 D
G08B25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190132
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000186784
【氏名又は名称】株式会社ショーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 福治
(72)【発明者】
【氏名】小川 寛司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA44
5C086AA49
5C086BA22
5C086CA21
5C086CA22
5C086DA19
5C086FA17
5C087AA07
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087BB18
5C087DD03
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG06
5C087GG08
5C087GG19
5C087GG31
5C087GG37
5C087GG51
5C087GG59
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利便性及び使い勝手を高め,既存のスピードスプレーヤに後付けにより取付可能にして汎用性及び有用性を高めたスピードスプレーヤ用警報システムを提供する。
【解決手段】スピードスプレーヤ用警報システムにおいて,スピードスプレーヤの走行中の傾きを検出する検出ユニットAuの傾斜角度検出機能部2から得る検出傾斜角度Qdの大きさを判定する判定傾斜角度Qjを設定する判定角度設定機能部3,判定傾斜角度Qjに対する検出傾斜角度Qdの大きさを判定して判定結果Jeを出力する判定処理機能部4及び判定結果Jeに対応して少なくとも視覚的な警報を出力する警報出力機能部5を備え、少なくとも傾斜角度検出機能部2を有する検出ユニットAuをスピードスプレーヤに取付可能に構成するとともに、検出ユニットAuに対して通信可能な外部通信機Atを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液タンクに収容した薬液を散布する自走式のスピードスプレーヤに搭載するスピードスプレーヤ用警報システムにおいて、スピードスプレーヤの走行中の傾きを検出する傾斜角度検出機能部,この傾斜角度検出機能部から得る検出傾斜角度の大きさを判定する判定傾斜角度を設定する判定角度設定機能部,この判定傾斜角度に対する前記検出傾斜角度の大きさを判定して判定結果を出力する判定処理機能部,及びこの判定結果に対応して少なくとも視覚的な警報を出力する警報出力機能部を備え、少なくとも前記傾斜角度検出機能部を有する検出ユニットをスピードスプレーヤに取付可能に構成するとともに、前記検出ユニットに対して通信可能に構成し、かつ少なくとも前記判定角度設定機能部を有する外部通信機を備えることを特徴とするスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項2】
前記外部通信機は、少なくとも携帯電話,スマートホンを含むモバイル通信機であることを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項3】
前記外部通信機は、付属するディスプレイを用いて視覚的な警報を出力する前記警報出力機能部を兼ねることを特徴とする請求項1又は2記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項4】
前記検出傾斜角度は、ロール角度及び/又はピッチ角度を含むことを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項5】
前記判定角度設定機能部は、異なる複数の判定傾斜角度を設定し、各判定傾斜角度に対応する異なる複数の判定結果を選択的に出力する機能を備えることを特徴とする請求項1-4のいずれかに記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項6】
前記判定角度設定機能部は、前記判定傾斜角度の大きさを変更する設定変更機能部を備えることを特徴とする請求項1又は5記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項7】
前記判定角度設定機能部は、前記検出傾斜角度に対する、サンプリング間隔,平均化回数,の一方又は双方を設定するセンシング感度設定機能部を備えることを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項8】
前記警報出力機能部は、前記判定結果に基づいて少なくともスピードスプレーヤの走行状態を変更する走行制御機能部を含むことを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項9】
前記走行制御機能部は、スピードスプレーヤの走行を停止する走行停止制御機能部を含むことを特徴とする請求項8記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【請求項10】
前記走行制御機能部は、前記薬液タンクの薬液残量を検出するタンク残量センサを備え、このタンク残量センサの検出残量と前記検出傾斜角度に基づき、前記判定傾斜角度を自動で変更する自動変更機能を備えることを特徴とする請求項8記載のスピードスプレーヤ用警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液タンクに収容した薬液を散布する自走式のスピードスプレーヤに装着するスピードスプレーヤ用警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リンゴ等を生産する果樹農家では、自走式のスピードスプレーヤを用いて農薬散布を行う場合も多い。この場合、農地をスピードスプレーヤが走行するとともに、凹凸面や傾斜面を含む地面を走行する必要があるため、慎重な運転技術が要求される。特に、走行する農地に慣れていない生産者或いは生産者が高齢であった場合、スピードスプレーヤの運転には高度の熟練度が要求される。このため、スピードスプレーヤ以外の他の農作業機では、その運転を補完又は補助するための技術も提案されている。
【0003】
従来、この種の技術としては、特許文献1で開示される農作業機及び特許文献2で開示される車載用傾斜検知装置が知られている。特許文献1の農作業機は、トラクタまたは作業機本体と、この作業機本体に取付けられ作業機の走行時における傾斜角度を検出する傾斜角度検出装置と、上記作業機本体に取付けられ作業機の走行速度を検出する走行速度検出装置と、この走行速度検出装置から入力した測定値と上記傾斜角度検出装置から入力した測定値とを演算し安全走行状態か否かを判別してその状態を出力する演算装置と、この演算装置から出力した入力信号で現在の走行状態をオペレータに対して報知する表示装置とを備えて構成したものであり、これにより、オペレータに対して走行条件に対応した適正な操作を促すことができ、農作業機の転倒事故を未然に防止することができ、安全性の高い農作業機を提供できる
【0004】
また、特許文献2の車載用傾斜検知装置は、車体の過剰な傾斜を車体の振動に影響されずに精度よく検出することにより、傾斜しすぎを警報して車体の転倒事故を未然に防ぐ車載用傾斜検知装置の提供を目的としたものであり、具体的には、底部内側が凹曲面の導体収容部に複数個の小球導体を移動自在に設け、この導体収容部の外側で且つ凹曲面の最低部の下方に臨む位置に、近接センサを導体収容部に対し一体に取り付け、これにより、小球導体が導体収容部の傾斜に伴い凹曲面の最低部より他に移動するのを近接センサにより感知して車体の傾斜を検知するとともに、導体収容部内に複数本の棒状突起を、最低部の周りを囲むように間隔を開けて配置し、小球導体を棒状突起に接触させてその移動を邪魔し、これにより、車体が激しく振動するなどしても水平のときは小球導体が最低部に残るようにして、振動に誤検出を防ぎ、精度を向上させることを企図したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59-57073号公報
【特許文献2】実用新案登録第3217988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の技術は、次のような解決すべき課題も残されていた。
【0007】
第一に、スピードスプレーヤの場合、トラクタ等の他の農作業機と大きく異なる点は、後部に、大型の薬液タンクを搭載する点にある。このため、薬液タンクに、薬液が満杯の場合と残量が少ない場合とでは、重心の位置が上下に大きく異なることになり、警報を出す傾斜条件(判定傾斜角度)は薬液の搭載量に対応した適切な判定傾斜角度が望ましいとともに、容易かつ迅速に変更可能にすることが望ましいが、従来の技術では、この点がほとんど考慮されていないのが実情である。
【0008】
第二に、スピードスプレーヤの場合、薬液を散布する騒音の大きい大型の送風機を搭載するため、警報出力として聴覚的な警報ブザーでは、確実な警報機能という観点からは十分に機能しえないとともに、単純な警報機能では、例えば、実際の傾斜角をリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて自発的に斜面を回避するなどの操作は困難となり、多様性及び発展性に劣る。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したスピードスプレーヤ用警報システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するため、薬液タンクTに収容した薬液Lを散布する自走式のスピードスプレーヤMに搭載するスピードスプレーヤ用警報システム1であって、スピードスプレーヤMの走行中の傾きを検出する傾斜角度検出機能部2,この傾斜角度検出機能部2から得る検出傾斜角度Qdの大きさを判定する判定傾斜角度Qjを設定する判定角度設定機能部3,この判定傾斜角度Qjに対する検出傾斜角度Qdの大きさを判定して判定結果Jeを出力する判定処理機能部4,及びこの判定結果Jeに対応して少なくとも視覚的な警報を出力する警報出力機能部5を備え、少なくとも傾斜角度検出機能部2を有する検出ユニットAuをスピードスプレーヤMに取付可能に構成するとともに、検出ユニットAuに対して通信可能に構成し、かつ少なくとも判定角度設定機能部3を有する外部通信機Atを備えることを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な態様により、外部通信機Atには、少なくとも携帯電話,スマートホン11hを含むモバイル通信機11を用いることができる。また、外部通信機Atは、付属するディスプレイ12を用いて視覚的な警報を出力する警報出力機能部5を兼用することができる。一方、検出傾斜角度Qdには、ロール角度Qdr及び/又はピッチ角度を含ませることができる。なお、判定角度設定機能部3には、異なる複数の判定傾斜角度Qj…を設定し、各判定傾斜角度Qj…に対応する異なる複数の判定結果Je…を選択的に出力する機能を設けることが望ましい。また、判定角度設定機能部3には、判定傾斜角度Qj…の大きさを変更する設定変更機能部13を設けることができる。さらに、判定角度設定機能部3には、検出傾斜角度Qdに対する、サンプリング間隔36a,平均化回数36b,の一方又は双方を設定するセンシング感度設定機能部13sを設けることができる。一方、警報出力機能部5には、判定結果Je…に基づいて少なくともスピードスプレーヤMの走行状態を変更する走行制御機能部14を含めて構成できるとともに、この走行制御機能部14には、スピードスプレーヤMの走行を停止する走行停止制御機能部14sを含めて構成できる。また、走行制御機能部14には、薬液タンクTの薬液残量を検出するタンク残量センサ(2e)を設け、このタンク残量センサ(2e)の検出残量と傾斜角度に基づき、判定傾斜角度Qjを自動で変更する自動変更機能を設けることもできる。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係るスピードスプレーヤ用警報システム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 少なくとも傾斜角度検出機能部2を有する検出ユニットAuをスピードスプレーヤMに取付可能に構成するとともに、検出ユニットAuに対して通信可能に構成し、かつ少なくとも判定角度設定機能部3を有する外部通信機Atを設けたため、外部通信機Atにより、スピードスプレーヤMから離れた場所で設定を行ったり、或いはスピードスプレーヤMの運転席で薬液散布の開始直前に設定を行うなど、場所や時間に左右されることなく容易かつ迅速に設定を行うことが可能となり、利便性及び使い勝手に優れた警報システム1として提供できる。
【0014】
(2) 少なくとも傾斜角度検出機能部2を有する検出ユニットAuをスピードスプレーヤMに取付可能に構成するとともに、検出ユニットAuに対して通信可能に構成し、かつ少なくとも判定角度設定機能部3を有する外部通信機Atを備えて構成するため、既存のスピードスプレーヤMにも、後付けにより取付が可能となり、汎用性及び有用性の高い警報システム1として提供できる。
【0015】
(3) 好適な態様により、外部通信機Atに、少なくとも携帯電話,スマートホン11hを含むモバイル通信機11を用いれば、現在、一般に最も普及しているスマートホン11hを利用できるため、アプリケーションソフトウェアのインストールにより一般のユーザであっても容易に利用することができる。
【0016】
(4) 好適な態様により、外部通信機Atに、付属するディスプレイ12を用いて視覚的な警報を出力する警報出力機能部5を兼用させれば、ディスプレイ12の表示画面を視覚的な警報機能として使用できるため、単純な警報表示のみならず、実際の検出傾斜角度Qdを、リアルタイムで多様的な表示が可能になり、グラフィック表示等により、走行中のスピードスプレーヤMの現在の傾き状態を、正確にモニタリングすることが可能になるため、必要に応じて自発的に斜面の回避操作が可能になるなど、多様性及び発展性に優れる。
【0017】
(5) 好適な態様により、検出傾斜角度Qdに、ロール角度Qdr及び/又はピッチ角度を含ませれば、本来、転倒回避に必要となるロール角度Qdrに加え、ピッチ角度も併せて把握可能になるため、走行する地面の、上り坂,下り坂,凹凸等の路面状態を的確に把握することができる。
【0018】
(6) 好適な態様により、判定角度設定機能部3に、異なる複数の判定傾斜角度Qj…を設定し、各判定傾斜角度Qj…に対応する異なる複数の判定結果Je…を選択的に出力する機能を設ければ、大きさが異なる検出傾斜角度Qd…に対して段階的に表示できるため、ユーザーは、傾き度合(傾きレベル)を一目で容易に確認することができる。
【0019】
(7) 好適な態様により、判定角度設定機能部3に、判定傾斜角度Qj…の大きさを変更する設定変更機能部13を設ければ、重心の位置が変動し、判定傾斜角度Qjの大きさを変更したい場合であっても、判定角度設定機能部3を有する外部通信機Atを備えるため、外部通信機Atを用いて容易かつ迅速に変更することができる。これにより、薬液の搭載量等に最適となる判定傾斜角度Qjに設定変更できるため、結果的に、スピードスプレーヤMの転倒等のアクシデントを回避し、安定した走行を確保できる。
【0020】
(8) 判定角度設定機能部3に、検出傾斜角度Qdに対する、サンプリング間隔36a,平均化回数36b,の一方又は双方を設定するセンシング感度設定機能部13sを設ければ、センシング感度を調整できるため、圃場形態やユーザーの運転操作能力等に対応してセンシング感度を鈍くしたり鋭くし、より安全性を高めることができる。
【0021】
(9) 好適な態様により、警報出力機能部5を構成する際に、判定結果Je…に基づいて少なくともスピードスプレーヤMの走行状態を変更する走行制御機能部14を含めれば、注意が必要な中レベルの検出傾斜角度Qdの場所では、例えば、検出傾斜角度Qdに対応した適切な走行速度まで低下させることが可能になるため、走行安定性をより高めることができる。
【0022】
(10) 好適な態様により、走行制御機能部14に、スピードスプレーヤMの走行を停止する走行停止制御機能部14sを含めれば、これ以上走行するのは適切でないと判定できる大レベルの検出傾斜角度Qdの場所では、検出傾斜角度Qdに対応して走行自体を停止させることができる。したがって、上述した走行速度を低下させる制御と併せ、どのような場所であっても確実に安全性を確保することができる。
【0023】
(11) 好適な態様により、走行制御機能部14に、薬液タンクTの薬液残量を検出するタンク残量センサ(2e)を設け、このタンク残量センサ(2e)の検出残量と傾斜角度に基づき、判定傾斜角度Qjを自動で変更する自動変更機能を設ければ、判定傾斜角度Qjを自動で変更できるため、より安全性を高めることができる。即ち、傾斜地では薬液残量に応じて重心が左右に変動するため、タンク残量センサ(2e)から得られる薬液残量と傾斜角度から危険性のある傾斜角度を演算により求め、判定傾斜角度Qjを自動で変更可能に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の好適実施形態に係るスピードスプレーヤ用警報システムのブロック系統図、
図2】同警報システムの作用説明図、
図3】同警報システムの主要部の機能ブロック図、
図4】同警報システムの警報方法の一例を示す警報説明図、
図5】同警報システムの外部通信機の一例を示すスマートホンのディスプレイに表示された設定画面図、
図6】同スマートホンのディスプレイに表示された警報画面図、
図7】同警報システムの機能を説明するためのフローチャート、
図8】同警報システムの機能の警報出力の選択方法の一例を示すサブルーチンに係わるフローチャート、
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
まず、本実施形態に係るスピードスプレーヤ用警報システム1の構成について、図1図6を参照して説明する。
【0027】
この警報システム1は、図1図3に示すように、大別して、スピードスプレーヤMに取付可能に構成した検出ユニットAuと、この検出ユニットAuに対して通信可能な外部通信機Atとを備える。
【0028】
検出ユニットAuは、図2に示すように、外部ケース21により覆われたユニットとして構成し、この外部ケース21は、スピードスプレーヤMに取付けて使用する。検出ユニットAuは、図1に示すように、コントローラ22を内蔵する。コントローラ22は、メモリ23及びWi-Fiモジュール(無線LAN機能)が付属するコントローラ本体22mを備える。このコントローラ22は、一体化したマイコン(マイクロコンピュータ)として構成してもよいし、各機能モジュールを接続して構成してもよい。このため、検出ユニットAuは、スピードスプレーヤMの所定位置に取付ける。取付部位は、スピードスプレーヤMの内面又は外面のいずれであってもよい。例えば、図2に示すように、外部ケース21の防水性を確保して、スピードスプレーヤMの外面に取付けることもできるし、電波を感度良く受信できる部位であれば、ボディパネルの内面に取付けることもできる。
【0029】
また、検出ユニットAuには、図1に示すように、電源コンバータ25,傾斜センサ2s,走行制御部26を内蔵する。さらに、インターフェイス27i,28iを内蔵し、外部に設けたブザー等の聴覚的なアラーム27を、コネクタ27c及びA/D変換機能を有するインターフェイス27iを介してコントローラ本体22mに接続するとともに、外部に設けたランプ等の視覚的なアラーム28を、コネクタ28c及びA/D変換機能を有するインターフェイス28iを介してコントローラ本体22mに接続する。アラーム27及び28は、後述するスマートホン11h(モバイル通信機11)に付属するディスプレイ12の視覚的な表示画面と共に、聴覚的及び視覚的な警報を出力する警報出力機能部5の第一警報機能部5uとなる。
【0030】
電源コンバータ25はワイヤハーネス25wを介してスピードスプレーヤMの電源(車載バッテリ)に接続し、コントローラ本体22mの駆動に必要な電源電圧を得る。例示の場合、DC8-40〔V〕を5〔V〕に変換する機能を備えている。
【0031】
一方、傾斜センサ2sは、スピードスプレーヤMの走行中の傾きを検出傾斜角度Qdとして検出する機能を備え、本発明の傾斜角度検出機能部2を構成する。傾斜センサ2sは、検出傾斜角度Qdとして、図2に示す左右におけるロール角度Qdrの検出機能を備えるとともに、前後におけるピッチ角度を検出機能を備える。傾斜センサ2sとしては、ロール角度Qdrの検出のみであってもよいが、ロール角度Qdr及び/又はピッチ角度を含ませれば、本来、転倒回避に必要となるロール角度Qdrに加え、ピッチ角度も併せて把握可能になるため、走行する地面の、上り坂,下り坂,凹凸等の路面状態を的確に把握することができる。
【0032】
傾斜センサ2sは、コントローラ本体22mのセンサポートに接続する。この場合、図3に示すように、コントローラ本体22mは、A/D変換部29を内蔵し、傾斜センサ2sは、このA/D変換部29を介して、コントローラ本体22mにおけるデータ処理部に付与される。
【0033】
例示の場合、傾斜センサ2sは、外部ケース21の内部に収容されるが、傾斜センサ2sとコントローラ本体22mをワイヤハーネスにより接続し、傾斜センサ2sを、検出ユニットAuとは異なる位置に取付けてもよい。これにより、傾斜センサ2sの取付位置として、検出傾斜角度Qdを的確かつ確実に検出できる最適を位置及び高さを選定することができる。
【0034】
走行制御部26は、警報出力機能部5の他の形態として機能するものであり、走行制御機能部14と走行停止制御機能部14sを備える。走行制御機能部14は、コントローラ本体22mから出力する後述の判定結果Je…に基づいてスピードスプレーヤMの走行状態を変更する機能である。また、走行停止制御機能部14sは、これ以上走行するのは適切でないと判定できる大レベルの検出傾斜角度Qdの場所において、検出傾斜角度Qdに対応して走行自体を停止させる機能である。走行制御機能部14は、基本的には、走行状態を安全側へ移行する(フェイルセーフ)の概念であり、走行速度を自動で低下させる制御や車輪懸架装置のショックアブソーバに対する傾きを修正する制御等があり、走行速度を自動で低下させる制御が実用的には望ましい。
【0035】
このように、スピードスプレーヤMの走行状態を変更する走行制御機能部14を設ければ、注意が必要な中レベルの検出傾斜角度Qdの場所では、例えば、検出傾斜角度Qdに対応した適切な走行速度まで低下させることが可能になるため、走行安定性をより高めることができる。また、スピードスプレーヤMの走行を停止する走行停止制御機能部14sを設ければ、これ以上走行するのは適切でないと判定できる大レベルの検出傾斜角度Qdの場所では、検出傾斜角度Qdに対応して走行自体を停止させることができる。
【0036】
したがって、走行制御部26に、走行制御機能部14及び走行停止制御機能部14sの双方を設ければ、どのような場所であっても確実に安全性を確保することができる。さらに、この走行制御部26には、他の各種センサ2eを用いた他の走行制御機能を含めることもできる。例えば、急ブレーキ等を検出する加速度センサや薬液残量を検出する圧力センサ(タンク残量センサ)等を適用することができる。特に、傾斜地では薬液残量に応じて重心が左右に変動するため、タンク残量センサ(2e)から得られる薬液残量と傾斜角度から危険性のある傾斜角度を演算により求め、これに基づき、判定傾斜角度Qj(ロール警報角度とピッチ警報角度)を自動で変更することもできる。このように、走行制御部26(走行制御機能部14)に、薬液タンクTの薬液残量を検出するタンク残量センサ(2e)を設け、このタンク残量センサ(2e)の検出残量と傾斜角度に基づき、判定傾斜角度Qjを自動で変更する自動変更機能を設ければ、判定傾斜角度Qj(ロール警報角度とピッチ警報角度)を自動で変更できるため、より安全性を高めることができる。なお、26wは、スピードスプレーヤMの走行駆動部の制御系に接続するためのワイヤハーネスを示す。
【0037】
他方、外部通信機Atには、実施形態の場合、図1に示すスマートホン11hを利用する。外部通信機Atは、比較的小型の機器を利用し、携帯できることが望ましい、このため、外部通信機Atには、少なくとも携帯電話,スマートホン11hを含むモバイル通信機11を用いることが望ましい。外部通信機Atに、この種のモバイル通信機11を利用すれば、現在、一般に最も普及しているスマートホン11hを利用できるため、アプリケーションソフトウェアのインストールにより一般のユーザであっても容易に利用することができる利点がある。
【0038】
スマートホン11hは、図1に示すように、ディスプレイ12が付属するため、本発明に係る警報システム1を機能させるための警報システムプログラム(アプリケーションソフトウェア)をインストールし、ホーム画面12sには、警報システムプログラムを起動するアプリアイコン31を表示させる。また、スマートホン11hは、利用に際し、予め、前述した検出ユニットAuのコントローラ22のWi-Fiモジュールに対してWi-Fi接続するための設定を終了させておく。
【0039】
これにより、ディスプレイ12には、図5に示す設定画面32又は図6に示すモニタ画面33を表示させることができる。また、警報システムプログラムには、図3に示すように、判定角度設定機能部3,判定処理機能部4,警報出力機能部5を構成する第二警報機能部5tを実現するための処理プログラムが含まれる。この場合、判定角度設定機能部3は、前述した傾斜角度検出機能部2から得る検出傾斜角度Qdの大きさを判定する判定傾斜角度Qjを設定する機能を備え、この設定処理や変更処理は、図5に示す設定画面32により行うことができる。
【0040】
さらに、判定処理機能部4は、判定角度設定機能部3により設定された判定傾斜角度Qjに対する検出傾斜角度Qdの大きさを判定して判定結果Jeを出力する機能を備えるとともに、第二警報機能部5t(警報出力機能部5)は、この判定結果Jeに対応した警報を視覚的に出力する機能を備える。この場合、外部通信機At構成するスマートホン11hには、少なくとも判定角度設定機能部3を設けることができる。なお、判定処理機能部4は、検出ユニットAuのコントローラ22側に設けることも可能である。各機能部3-5の具体的な機能(作用)については、後述する警報システム1の使用方法と共に説明する。
【0041】
次に、本実施形態に係るスピードスプレーヤ用警報システム1の使用方法及び機能について、図1図8を参照して説明する。
【0042】
まず、本実施形態に係る警報システム1は、図2に示すように、スピードスプレーヤMに取付けて使用する。したがって、既存のスピードスプレーヤMに対しても後付けにより取付けることができる。実施形態は、既存のスピードスプレーヤMに対して後付けにより取付ける場合を説明する。
【0043】
図2に示すように、例示のスピードスプレーヤMは、自走する四輪タイプであり、ボディ前部の右側に運転席51を備えるとともに、ボディ後部には薬液Lを収容した薬液タンクTを搭載する。薬液タンクTに収容された薬液Lは、図に現れない噴霧ノズルから噴霧されるとともに、薬液タンクTの後端に配設された送風機による送風により、散布される。図2は、樹木Aに対して、スピードスプレーヤMからの薬液Lが散布されている状態を示している。その他、図2中、53は操舵ハンドル,54はヘッドライト,55は前輪を示している。
【0044】
警報システム1は、検出ユニットAuと外部通信機At(スマートホン11h)により構成されるため、傾斜センサ2sを内蔵する検出ユニットAuは、図2に示すように、電波を感度良く受信する部位を選定してスピードスプレーヤMの外面、例えば、運転席51における運転に支障を生じない部位を選定して取付けることができるとともに、スマートホン11hは、例えば、運転席51のダッシュボード等であって、運転者Hdが見やすい位置を選定して取付けることができる。この場合、ダッシュボード等にスマートホンホルダ52を固定し、このスマートホンホルダ52に対してスマートホン11hを着脱できるように構成できる。そして、必要な接続を行うとともに、付属品となるブザー等を取付ける。
【0045】
これにより、必要なセッティングを行うことにより、検出ユニットAuとスマートホン11hをWi-Fi接続する。なお、図2中、101はGPS衛星をイメージ的に示したものであり、警報システム1のスマートホン11hが位置情報を取得可能であることを示し、102は、警報システム1がWi-Fiによりインターネット環境に接続されることをイメージ的に示している。したがって、走行場所と検出傾斜角度Qdを紐付けし、注意場所のデータとして残すこともできる。
【0046】
次に、警報システム1の使用方法及び機能について、各図を参照しつつ図7及び図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0047】
今、スピードスプレーヤMは、停止した状態(走行停止モード)にあり、これから、ユーザーが薬液散布を行う場合を想定する(ステップS1)。この場合、薬液散布を行う果樹園等が傾斜のない平坦な地面の場合には、必ずしも警報システム1が必要となるものではないが、図2に示すように、走行する面が傾斜している地面Gであったり、凹凸の多い地面Gである場合には、警報システム1をONにする(ステップS2,S3)。
【0048】
この場合、図1に示すスマートホン11hのホーム画面12sのアプリアイコン31をタッチし、警報システム1を立ち上げる。なお、スマートホン11hは、検出ユニットAuに対してWi-Fi接続するための必要な設定が行われている。アプリアイコン31のタッチにより、図5に示すように、スマートホン11hのディスプレイ12には設定画面32が表示される。この設定画面32には、ロール角度とピッチ角度に係わる現在の傾斜角度を表示するステータス表示部35を有する。また、ロール角度の判定傾斜角度(ロール警報角度)とピッチ角度の判定傾斜角度(ピッチ警報角度)を設定(変更)するとともに、サンプリング間隔36a,平均化回数36b,ステータス更新間隔36cをそれぞれ設定(変更)する設定部36を有する。この場合、検出傾斜角度Qdに対する、サンプリング間隔36a,平均化回数36bの設定機能はセンシング感度設定機能部13sを構成し、センシング感度を調整することができる。このように、検出傾斜角度Qdに対する、サンプリング間隔36a,平均化回数36b,の一方又は双方を設定可能なセンシング感度設定機能部13sを設ければ、センシング感度の調整により、圃場形態やユーザーの運転操作能力等に対応してセンシング感度を鈍くしたり鋭くすることができるため、より安全性を高めることができる。
【0049】
この設定画面32は、本発明における判定角度設定機能部3として機能し、特に、設定部36は、判定傾斜角度Qjの大きさを変更する設定変更機能部13として機能する。したがって、各設定値を変更する場合には、変更キー37をタッチした後、数値表示窓をタッチする。これにより、テンキーがウィンドウ表示されるため、目的の数値を入力することにより設定値を変更することができる(ステップS4,S5)。この場合、例えば、薬液タンクTに薬液が満杯に収容され、かつ地面Gが凹凸が多いような場合には、判定傾斜角度Qjの大きさを小さい値に変更することができる。
【0050】
このように、判定角度設定機能部3に、判定傾斜角度Qjの大きさを変更する設定変更機能部13を設ければ、重心の位置が変動し、判定傾斜角度Qjの大きさを変更したい場合であっても、判定角度設定機能部3を有する外部通信機Atを備えるため、外部通信機Atを用いて容易かつ迅速に変更することができる。これにより、薬液の搭載量等に最適となる判定傾斜角度Qjに設定変更できるため、結果的に、スピードスプレーヤMの転倒等のアクシデントを回避し、安定した走行を確保できる。
【0051】
なお、図5に示した判定角度設定機能部3は、判定傾斜角度Qjが単一の場合、即ち、傾斜角度が大きくなり、いわば最終判定に利用する判定傾斜角度Qjを設定する最もシンプルな設定画面32を一例として示したが、異なる複数の判定傾斜角度Qj…を設定し、各判定傾斜角度Qj…に対応する異なる複数の判定結果Je…を選択的に出力する機能を設けてもよい。この場合、図5に示す設定部36は、複数の判定傾斜角度Qj…に対応した数量の設定部36…を設ければよい。
【0052】
図4は、異なる複数の判定傾斜角度Qj…を設定した場合の警報出力機能部5における第一警報機能部5uの警報例を示す。例示は、異なる三つの判定傾斜角度Qj1,Qj2,Qj3を設定した例であり、例えば、アラーム(ブザー等)27又はアラーム(ランプ等)28を使用した場合、地面Gが平坦なときは、アラーム27,28の出力は0となるが、地面Gの傾斜が大きくなり、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj1に達したなら、アラーム27,28は比較的長い周期の間欠的出力を小レベルの第一アラームAL1を出力し、さらに地面Gの傾斜が大きくなり、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj2に達したなら、アラーム27,28は比較的短い周期の間欠的出力を中レベルの第二アラームAL2を出力し、さらに地面Gの傾斜が大きくなり、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj3に達したなら、連続した大レベルの第三アラームAL3を出力することができる。
【0053】
また、図6は、異なる複数の判定傾斜角度Qj…を設定した場合の警報出力機能部5における第二警報機能部5tの警報例を示す。例示は、図4の場合と同様の異なる三つの判定傾斜角度Qj1,Qj2,Qj3を設定した場合であり、例えば、地面Gが平坦なときは、「F」のエリアが青色表示となるが、地面Gの傾斜が大きくなり、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj1に達したなら、D1エリアが緑色表示となる第一アラームAL1を出力し、さらに地面Gの傾斜が大きくなり、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj2に達したなら、D2エリアが黄色表示(遅い間隔で点滅)となる第二アラームAL2を出力し、さらに地面Gの傾斜が大きくなり、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj3に達したなら、D3エリアが赤色表示(速い間隔で点滅)となる第三アラームAL3を出力することができる。なお、図6はモニタ画面33の一例であり、図5のモニタキー38をタッチすることにより表示させることができる。
【0054】
このように、判定角度設定機能部3に、異なる複数の判定傾斜角度Qj…を設定し、各判定傾斜角度Qj…に対応する異なる複数の判定結果Je…を選択的に出力する機能を設ければ、大きさが異なる検出傾斜角度Qd…に対して段階的に表示できるため、ユーザーは、傾き度合(傾きレベル)を一目で容易に確認することができる。
【0055】
一方、設定画面による設定変更が終了したなら、スピードスプレーヤMの走行を開始する(ステップS6)。また、散布スイッチをONにして薬液Lの散布を開始する(ステップS7)。図2がスピードスプレーヤMの散布状態をイメージ的に示している。
【0056】
走行中は、傾斜センサ2sにより、スピードスプレーヤMの左右方向(ロール角度)及び前後方向(ピッチ角度)の傾きが検出傾斜角度Qdとして検出され、コントロール本体22mに付与されるとともに、Wi-Fiを介してスマートホン11hに転送される。これにより、スマートホン11hにおける判定処理機能部4により検出傾斜角度Qdの大きさの監視が行われる(ステップS8)。なお、監視の間隔は、設定画面32で設定されたサンプリング間隔により行われる。そして、傾斜角が発生した場合には、検出された検出傾斜角度Qdと判定傾斜角度Qj(Qj1,Qj2,Qj3)を比較判定する(ステップS9,S10)。この際、検出傾斜角度Qdが判定傾斜角度Qj(Qj1,Qj2,Qj3)に達したなら、判定処理機能部4は対応する判定結果Jeを選択処理する(ステップS11)。
【0057】
図8は、図4及び図6に例示した異なる複数の判定結果Je…を設定した場合における処理フローを示す。この場合、判定傾斜角度Qj1に達したときの判定結果Jeは、検出傾斜角度Qdの大きさは小レベルとなるため、第一アラームAL1を出力する(ステップS111,S112)。一方、判定傾斜角度Qj2に達したときの判定結果Jeは、検出傾斜角度Qdの大きさは中レベルとなるため、第二アラームAL2を出力する(ステップS113,S114)。また、この際、必要により、走行制御機能部14を有効にし、スピードスプレーヤMの走行速度を低下させる制御を併せて行うことができる(ステップS115)。他方、判定傾斜角度Qj3に達したときの判定結果Jeは、検出傾斜角度Qdの大きさが大レベルとなるため、第三アラームAL3を出力する(ステップS116,S117)。さらに、この際、必要により、走行停止制御機能部14sを有効にし、スピードスプレーヤMの走行を停止する制御を併せて行うことができる(ステップS118)。なお、単一の判定結果Jeを設定する場合には、判定傾斜角度Qj3を設定することができる。
【0058】
そして、判定結果Jeは、スマートホン11hの警報出力機能部5(第二警報機能部5t)に付与されるとともに、Wi-Fiを介して検出ユニットAuに転送さ、検出ユニットAuにおける警報出力機能部5(第一警報機能部5u)に付与される。これにより、スマートホン11hにおける図6のモニタ画面33に出力表示されるとともに、検出ユニットAuのアラーム27,28が作動する(ステップS12)。警報出力機能部5の作動により、ユーザーは必要な対応処理、例えば、操舵操作又はブレーキ操作等を行うことができる(ステップS13)。このような対応処理が終了したなら、通常の状態に復帰させることができる(ステップS14,S15)。
【0059】
よって、このような本実施形態に係るスピードスプレーヤ用警報システム1によれば、基本的な構成として、スピードスプレーヤMの走行中の傾きを検出する傾斜角度検出機能部2,この傾斜角度検出機能部2から得る検出傾斜角度Qdの大きさを判定する判定傾斜角度Qjを設定する判定角度設定機能部3,この判定傾斜角度Qjに対する検出傾斜角度Qdの大きさを判定して判定結果Jeを出力する判定処理機能部4,及びこの判定結果Jeに対応して少なくとも視覚的な警報を出力する警報出力機能部5を備え、少なくとも傾斜角度検出機能部2を有する検出ユニットAuをスピードスプレーヤMに取付可能に構成するとともに、検出ユニットAuに対して通信可能に構成し、かつ少なくとも判定角度設定機能部3を有する外部通信機Atを備えるため、外部通信機Atにより、スピードスプレーヤMから離れた場所で設定を行ったり、或いはスピードスプレーヤMの運転席で薬液散布の開始直前に設定を行うなど、場所や時間に左右されることなく容易かつ迅速に設定を行うことが可能となり、利便性及び使い勝手に優れた警報システム1として提供できる。しかも、既存のスピードスプレーヤMにも、後付けにより取付が可能となり、汎用性及び有用性の高い警報システム1として提供できる。
【0060】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0061】
例えば、警報出力機能部5として、判定結果Jeに対応して、第一警報機能部5uから警報を出力する聴覚的なアラーム27及び視覚的なアラーム28、更に第二警報機能部5tから出力するディスプレイ12の警報表示の三種類の警報例を挙げたが、判定結果Jeに対応して少なくとも視覚的な警報を出力する単一の警報出力機能部5で足りる。また、検出ユニットAuには、少なくとも傾斜角度検出機能部2を設ければ足り、かつ外部通信機At(スマートホン11h)には、少なくとも判定角度設定機能部3を設ければ足りる。したがって、判定処理機能部4と警報出力機能部5は、検出ユニットAuと外部通信機At(スマートホン11h)のどちらに設けてもよいし、双方に設けることも可能である。例えば、判定処理機能部4を双方に設け、傾斜角度Qdが小さいときは、外部通信機Atでモニタ出力として使用し、傾斜角度Qdが大きいときに検出ユニットAuで警報出力として使用することも可能である。一方、モバイル通信機11には、例示の他、携帯可能な各種通信機を利用できる。したがって、無線通信方式としてWi-Fiを利用したが、機能を限定する場合には、BLuetooth(登録商標)などの各種無線通信方式も利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る警報システムは、薬液タンクに収容した薬液を散布する自走式の各種スピードスプレーヤに利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1:スピードスプレーヤ用警報システム,2:傾斜角度検出機能部,2e:各種センサー(タンク残量センサ),3:判定角度設定機能部,4:判定処理機能部,5:警報出力機能部,11:モバイル通信機,11h:スマートホン,12:ディスプレイ,13:設定変更機能部,14:走行制御機能部,14s:走行停止制御機能部,M:スピードスプレーヤ,Au:検出ユニット,At:外部通信機,Qd:検出傾斜角度,Qdr:ロール角度,Qj:判定傾斜角度,T:薬液タンク,L:薬液,Je:判定結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8