(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077052
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】変換装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230529BHJP
G08G 1/017 20060101ALI20230529BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
G08G1/017
G08G1/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190170
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】石田 州裕
(72)【発明者】
【氏名】山上 辰典
(72)【発明者】
【氏名】外村 彰英
(72)【発明者】
【氏名】栗田 泰智
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC04
5H181DD10
5H181EE07
5L096BA04
5L096DA02
5L096EA13
5L096EA14
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA09
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】画像データに基づいて車種を照合することが難しいことがある。
【解決手段】変換装置400は、車両の画像データに基づいて、車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出する抽出部421と、抽出部421が抽出した基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する算出部422と、算出部422が算出した変換パラメータを用いて車両の画像データを変換する変換部423と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する変換部と、
を有する変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変換装置であって、
前記抽出部は、前記基準箇所として、ナンバープレートまたは後輪のうちの少なくとも一方を抽出する
変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の変換装置であって、
前記算出部は、前記抽出部が抽出した前記基準箇所の形状を予め定められた形状に変換する際に必要となるホモグラフィ変換行列を前記変換パラメータとして算出する
変換装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載の変換装置であって、
前記算出部は、前記抽出部が抽出したナンバープレートの形状を予め定められた矩形に変換する際に必要となる前記変換パラメータを算出する
変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の変換装置であって、
前記変換部は、前記算出部がナンバープレートの形状に基づいて算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換することで、前記車両を正面方向から見た形状である正面に変換した正面画像を生成する
変換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのうちのいずれか1項に記載の変換装置であって、
前記算出部は、前記抽出部が抽出した後輪の形状である楕円を予め定められた円形に変換する際に必要となる前記変換パラメータを算出する
変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の変換装置であって、
前記変換部は、前記算出部が後輪の形状に基づいて算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換することで、前記車両を側面方向から見た形状である側面形状に変換した側面画像を生成する
変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのうちのいずれか1項に記載の変換装置であって、
前記変換部による変換の結果を用いて車種照合を行う照合部を有する
変換装置。
【請求項9】
情報処理装置が、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、
抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、
算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する
変換方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、
抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、
算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する
処理を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換装置、変換方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像データなどを用いて車種を照合する際に用いられる技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、道路を走行する車両を撮影する撮影手段と、車両検知手段と、車幅算出手段と、あらかじめ車高、車長及び車幅で車種を分類した車高・車長算出手段と、車種分類データベースと、車種照合手段と、を有する車種判別装置が記載されている。特許文献1によると、車両検知手段は、車線を横断するラインであって、車両の進行方向に間隔を置いて少なくとも2つ設定される車両検知ラインを画素データとしてあらかじめ保持し、該保持された車両検知ラインデータと、前記撮像手段の画像データのうち車両検知ラインに対応する画素データとにより、車両検知ライン毎に車両を検知して車両検知信号を出力する。また、車幅算出手段は、車両検知手段により車両が検知されると、撮像手段の画像データのうち車両検知ラインに対応する画素データと車両検知ラインデータとに基づいて車幅を求める。同様に、車高・車長算出手段は、車両検知信号に基づいて、車両の高さ及び長さを算出する。そして、車種照合手段は、車高・車長算出手段で算出された車両の高さ及び長さと、車幅算出手段で算出された車幅と、車両分類データベースとを照合して、車種の判別を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術の場合、車高、車長、車幅のみに基づいて車種の照合を行っている。そのため、車高、車長、車幅などが近い車種を誤って照合してしまうおそれがある。このおそれは、例えば、車線内で車線方向に対して車両が傾いている際などにより顕著となる。
【0006】
また、より詳細な照合を行うためには、特徴量を用いたマッチングを行ったりディープラーニングなどを用いて車種を特定したりすることも考えられる。しかしながら、走行中の車両は、車線内において車線方向に対して傾いていることがある。そのため、例えばディープラーニングを用いて車種を特定するためには精巧な3Dモデルなどを用意することが必要となり、非常に手間がかかっていた。例えば、以上のように、画像データに基づいて車種を照合することが難しいことがある、という課題が生じていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、画像データに基づいて車種を照合することが難しいことがある、という課題を解決するための変換装置、変換方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である変換装置は、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する変換部と、
を有する
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態である変換方法は、
情報処理装置が、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、
抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、
算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する
という構成をとる。
【0010】
また、本開示の他の形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、
抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、
算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する
処理を実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
上述したような各構成によると、検画像データに基づいて車種を的確に照合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1の実施形態における車種照合システムの一例を示す図である。
【
図6】照合装置による変換の他の一例を示す図である。
【
図7】照合装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の第2の実施形態における変換装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、
図1から
図7までを参照して説明する。
図1は、車種照合システム100の一例を示す図である。
図2は、照合装置200の構成例を示すブロック図である。
図3は、基準情報241の一例を示す図である。
図4は、照合用情報242の一例を示す図である。
図5、
図6は、照合装置200による変換の一例を示す図である。
図7は、照合装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0014】
本開示の第1の実施形態においては、
図1で示すように、車両の画像データを取得して、取得した画像データを用いて撮像対象となった車両の車種を照合する車種照合システム100について説明する。後述するように、車種照合システム100は、画像データを取得すると、変換の基準となる基準箇所を画像データ中から抽出して、抽出した基準箇所を所定の形状に変換する際に必要となるホモグラフィ変換行列などの変換パラメータを算出する。また、車種照合システム100は、算出した変換パラメータを用いて、画像データを変換する。例えば、車種照合システム100は、変換パラメータで画像データ全体を行列計算することなどにより、画像データ内における車両の形状を正面から見た形状である正面形状に変換した正面画像や側面から見た形状である側面形状に変換した側面画像などを生成する。その後、車種照合システム100は、生成した正面画像や側面画像を用いて、車種照合を行う。このように、車種照合システム100は、基準箇所を用いた正規化処理を前処理として行ったうえで車種照合を行うよう構成されている。
【0015】
なお、後述するように、本実施形態における基準箇所とは、車種によらず形状が一定であると想定可能な車両中の一部の箇所のことを指す。例えば、基準箇所は、ナンバープレートや車輪などである。なお、車輪のうち前輪はハンドルの切り具合で向きが変わる。そのため、基準箇所としては、前輪よりも後輪の方が適している。
【0016】
図1は、車種照合システム100全体の構成例を示している。
図1を参照すると、車種照合システム100は、例えば、画像データに基づく車種照合を行う照合装置200と、走行中などの車両を撮像する撮像装置300と、を含んでいる。
図1で示すように、照合装置200と撮像装置300とは、例えば、ネットワークなどを介して互いに通信可能なよう接続されている。
【0017】
照合装置200は、撮像装置300が取得した画像データに基づいて、画像データ中の車両の種類である車種を照合する情報処理装置である。
図2は、照合装置200の構成例を示している。
図2を参照すると、照合装置200は、主な構成要素として、例えば、画面表示部210と、操作入力部220と、通信I/F部230と、記憶部240と、演算処理部250と、を有している。
【0018】
なお、
図2では、1台の情報処理装置を用いて照合装置200としての機能を実現する場合について例示している。しかしながら、照合装置200は、例えば、クラウド上に実現されるなど、複数台の情報処理装置を用いて実現されてもよい。例えば、照合装置200は、基準箇所を用いた車両形状の変換を行う変換装置として機能する情報処理装置と、変換装置が変換した結果を用いた照合を行う照合装置として機能する情報処理装置と、から構成されてもよい。また、照合装置200は、操作入力部220を有さないなど上記例示した構成の一部を有さなくてもよいし、上記例示した以外の構成を有してもよい。
【0019】
画面表示部210は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)などの画面表示装置からなる。画面表示部210は、演算処理部250からの指示に応じて、記憶部240に格納された各種情報などを画面表示することが出来る。
【0020】
操作入力部220は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部220は、照合装置200を操作するオペレータの操作を検出して演算処理部250に出力する。
【0021】
通信I/F部230は、データ通信回路からなる。通信I/F部230は、通信回線を介して接続された外部装置などとの間でデータ通信を行う。
【0022】
記憶部240は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部240は、演算処理部250における各種処理に必要な処理情報やプログラム245を記憶する。プログラム245は、演算処理部250に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム245は、通信I/F部230などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部240に保存されている。記憶部240で記憶される主な情報としては、例えば、基準情報241、照合用情報242、画像情報243、変換後情報244などがある。
【0023】
基準情報241は、基準箇所の形状を示す情報など、変換の基準となる基準箇所についての情報を含んでいる。例えば、基準情報241は、通信I/F部230などを介して外部装置などから予め取得され、または、操作入力部220などを用いて予め入力され、記憶部240に格納されている。
【0024】
図3は、基準情報241の一例を示している。
図3を参照すると、基準情報241には、基準箇所であるナンバープレートの形状を示す情報などが含まれている。具体的には、例えば、基準情報241には、大板や中板などのナンバープレートの種類を示す種類情報、大板や中板の条件を示す条件情報、矩形である旨や「44cm×22cm」など矩形の大きさを含む形状を示す形状情報、などが含まれている。なお、基準情報241には、上記例示した情報のうちの一部のみが含まれてもよいし、上記例示した情報以外の情報が含まれてもよい。例えば、基準情報241には、真円などの円の形状、タイヤの大きさを示す情報など、後輪の形状などナンバープレート以外の基準箇所についての情報が含まれてもよい。
【0025】
照合用情報242は、照合処理を行う際に活用可能な情報を含んでいる。例えば、照合用情報242は、通信I/F部230などを介して予め取得され、または、操作入力部220などを用いて予め入力され、記憶部240に格納されている。
【0026】
図4は、照合用情報242の一例を示している。
図4を参照すると、照合用情報242には、例えば、車種ごとの特徴量を示す情報が含まれている。例えば、特徴量には、車両を正面から見た際の特徴量である正面特徴量や車両を側面から見た際の特徴量である側面特徴量などのうちの少なくとも一方が含まれる。
【0027】
なお、照合用情報242に含まれる情報は、後述する車種照合部255が行う照合方法に応じたものであってよい。例えば、車種照合部255が特徴量マッチングの代わりにテンプレートマッチングを行う場合、照合用情報242には特徴量の代わりに、または、特徴量と共に、車種ごとのテンプレート画像などを含むことが出来る。また、車種照合部255がディープラーニングなどを用いて予め学習したモデルを用いた照合を行う場合、照合用情報242は、車種名をラベル付けした特徴量などを入力として予め教師あり学習を行うことで生成したモデルなどであってよい。照合用情報242は、上記例示した以外の照合用の情報などであってもよい。
【0028】
画像情報243には、撮像装置300が取得した車両の画像データが含まれている。例えば、画像情報243は、画像データ受信部251が撮像装置300から画像データを受信するごとに更新される。
【0029】
変換後情報244は、後述する変換部254による変換後の画像データが含まれている。例えば、変換後情報244には、車両の正面画像、または、側面画像のうちの少なくとも一方が含まれる。例えば、変換後情報244は、変換部254による変換が行われるごとに更新される。
【0030】
演算処理部250は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部250は、記憶部240からプログラム245を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム245とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部250で実現される主な処理部としては、例えば、画像データ受信部251、基準箇所抽出部252、パラメータ算出部253、変換部254、車種照合部255、出力部256などがある。
【0031】
画像データ受信部251は、撮像装置300から画像データを受信する。また、画像データ受信部251は、受信した画像データを画像情報243として記憶部240に格納する。
【0032】
基準箇所抽出部252は、画像情報243に含まれる画像データ内から基準箇所を抽出する。基準箇所抽出部252は、既知の手段を用いて、画像データからナンバープレートや後輪などの基準箇所を抽出してよい。
【0033】
例えば、基準箇所抽出部252は、YOLO(You Only Look Once)などの物体検出アルゴリズムを用いて、基準箇所であるナンバープレートを抽出する。基準箇所抽出部252は、OpenCV(Open Source Computer Vision Library)などを用いて作成した物体検出器を用いてナンバープレートを抽出するなど、そのほか既知の手法を用いて基準箇所であるナンバープレートを抽出してもよい。
【0034】
また、基準箇所抽出部252は、ナンバープレートの場合と同様に、YOLOやOpenCVなどを利用して基準箇所である後輪を抽出することが出来る。
【0035】
なお、基準箇所抽出部252は、画像情報243に含まれる画像データ内からナンバープレートと後輪の両方を抽出するよう構成してもよいし、ナンバープレートと後輪のうちのいずれか一方のみを抽出するよう構成してもよい。例えば、基準箇所抽出部252は、画像データ内からナンバープレートを抽出できない場合に後輪を抽出する、または、後輪を抽出できない場合にナンバープレートを抽出するように構成してもよい。
【0036】
パラメータ算出部253は、基準箇所抽出部252が抽出した基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する。例えば、パラメータ算出部253は、基準箇所抽出部252が抽出したナンバープレートや後輪などの形状を基準情報241が示す予め定められた形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する。換言すると、パラメータ算出部253は、基準箇所抽出部252が抽出した画像データ内における基準箇所の形状を、基準箇所ごとに予め定められている所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する。
【0037】
例えば、パラメータ算出部253は、画像データ中のナンバープレートの形状を基準情報241が示す矩形に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する。この際、パラメータ算出部253は、大板の形状と中板の形状のうちのいずれを用いるかを任意の手段により決定してよい。また、パラメータ算出部253は、画像データ中の後輪の形状である楕円などを基準情報241が示す円形(例えば、真円)に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する。
【0038】
一例として、パラメータ算出部253は、変換パラメータとしてホモグラフィ変換行列を算出する。パラメータ算出部253は、既知の手段を用いてホモグラフィ変換行列を算出してよい。例えば、パラメータ算出部253は、抽出したナンバープレートなどの基準箇所の座標と、基準情報241が示す形状に応じた座標と、を用いた連立方程式を解くことなどにより、ホモグラフィ変換行列を算出することが出来る。
【0039】
なお、基準箇所抽出部252がナンバープレートと後輪の両方を抽出していた場合、パラメータ算出部253は、それぞれについてホモグラフィ変換行列などの変換パラメータを算出してよい。基準箇所抽出部252は、予め定められた条件などに従っていずれか一方のみの変換パラメータを算出してもよい。
【0040】
変換部254は、パラメータ算出部253が算出した変換パラメータを用いた計算を行うことで、画像データ中の車両の形状を変換する。
【0041】
例えば、変換部254は、ナンバープレートの形状に基づいてパラメータ算出部253が算出した変換パラメータで画像全体に対して行列計算することで、画像データ中の車両の形状を正面から見た形状である正面形状に変換した正面画像を生成する。そして、変換部254は、生成した正面画像を変換後情報244として記憶部240に格納する。
【0042】
また、例えば、変換部254は、後輪の形状に基づいてパラメータ算出部253が算出した変換パラメータで画像全体に対して行列計算することで、画像データ中の車両の形状を側面から見た形状である側面形状に変換した側面画像を生成する。そして、変換部254は、生成した側面画像を変換後情報244として記憶部240に格納する。
【0043】
なお、変換部254は、画像データ全体に対して行列計算を行ってもよいし、車両全体や車両の前方部分、側面部分など車両全体のうち条件を満たす一部分などを画像データから抽出して抽出した部分について行列計算を行ってもよい。なお、抽出方法は、基準箇所の場合と同様にYOLOなどの物体検出アルゴリズムを用いるなど、既知の手段を用いてよい。
【0044】
車種照合部255は、変換部254による変換の結果を用いて車種照合を行う。車種照合部255は、既知の手段を用いて照合を行ってよい。
【0045】
例えば、車種照合部255は、照合用情報242として格納された車種ごとの特徴量を用いて特徴量マッチングを行うことで、車種を照合することが出来る。例えば、車種照合部255は、変換部254が変換した後の正面画像や側面画像を用いて車両の特徴量を算出する。そして、車種照合部255は、算出した特徴量と、照合用情報242として格納された車種ごとの特徴量との比較を行うことで、車種を照合する。一例として、車種照合部255は、照合用情報242として格納された車種ごとの特徴量のうち、画像データに基づいて算出した特徴量と最も類似度が高くなる特徴量を有する車種を画像データ中の車両の種類であるとして特定することが出来る。なお、車種照合部255は、照合用情報242として格納された車種ごとのテンプレート画像を用いてテンプレートマッチングを行うことで、車種を照合してもよい。また、車種照合部255は、事前に学習されたモデルを用いて車種照合を行ってもよい。
【0046】
なお、特徴量マッチングやテンプレートマッチングなどで類似する車種を特定できなかった場合、車種照合部255は、新車情報の登録を要求する情報を画面表示部210に表示したり通信I/F部230を介して外部装置へと送信したりすることが出来る。車種照合部255は、上記要求に応じて取得した情報などを用いて再度特徴量マッチングやテンプレートマッチングなどの照合処理を行ってもよい。
【0047】
また、変換部254が正面画像と側面画像をともに生成している場合、車種照合部255は、正面画像に基づく照合と側面画像に基づく照合とを共に行うことが出来る。車種照合部255は、正面画像と側面画像とがある場合、それぞれについて照合を行ってもよいし、いずれか一方についてのみ照合を行ってもよい。また、正面画像と側面画像のそれぞれについて照合を行う場合、車種照合部255は、任意の手段で最終的に特定する車種を決定してよい。例えば、車種照合部255は、正面画像に基づく照合と側面画像に基づく照合とのうちより類似度が高いと判断された照合の結果を採用してもよいし、そのほか任意の手段で最終的な車種を決定してもよい。
【0048】
また、車種照合部255は、例えば、輝度などに基づいて画像データ内の車両のエッジを検出するエッジ検出を行うなど画像データ内におけるノイズ除去を行ったうえで照合処理を行ってもよい。車種照合部255は、そのほか任意の前処理を行ったうえで照合処理を行ってもよい。
【0049】
出力部256は、車種照合部255による照合の結果などを出力する。例えば、出力部256は、車種照合部255が特定した車種を示す情報などを画面表示部210上に表示させたり、通信I/F部230を介して外部装置に対して送信したりする。出力部256は、車種照合部255による照合の結果とともに、画像情報243や変換後情報244に含まれる画像データなどを表示・出力してもよい。
【0050】
以上が、照合装置200の構成例である。例えば、以上説明したように、照合装置200は、画像データを取得すると、
図5で示すように、基準箇所であるナンバープレートを画像データ中から抽出して、抽出したナンバープレートを予め定められた形状に変換する際に必要となるホモグラフィ変換行列を算出する。また、照合装置200は、算出した変換パラメータを用いて、画像データを変換する。これにより、画像データ中の車両の形状(姿勢)を、正面から見た際の形状に変換する。照合装置200は、上記例示したような前処理を行ったうえで、照合処理を行うことになる。または、
図6で示すように、照合装置200は、基準箇所である後輪を画像データ中から抽出して、抽出した後輪を予め定められた形状に変換する際に必要となるホモグラフィ変換行列を算出する。また、照合装置200は、算出した変換パラメータを用いて、画像データを変換する。これにより、画像データ中の車両の形状(姿勢)を、側面から見た際の形状に変換する。照合装置200は、上記例示したような前処理を行ったうえで、照合処理を行ってもよい。例えば、以上のように、照合装置200は、
図5で例示した処理と
図6で例示した処理のうちの少なくとも一方を行うことが出来る。
【0051】
撮像装置300は、車の画像データを取得する装置である。撮像装置300は、例えば、監視カメラなどの画像データを取得する装置であり、道路脇などの所定箇所に予め設置されている。撮像装置300は、取得した画像データを、ネットワークなどを介して照合装置200に対して送信することが出来る。
【0052】
以上が、車種照合システム100の構成例である。なお、撮像装置300が照合装置200としての機能を有していてもよい。続いて、
図7を参照して、照合装置200の動作例について説明する。
【0053】
図7は、照合装置200の動作例を示すフローチャートである。
図7を参照すると、画像データ受信部251は、撮像装置300から画像データを受信する(ステップS101)。
【0054】
基準箇所抽出部252は、画像データ内から基準箇所を抽出する(ステップS102)。基準箇所抽出部252は、既知の手段を用いて、画像データからナンバープレートや後輪などの基準箇所を抽出してよい。
【0055】
パラメータ算出部253は、基準箇所抽出部252が抽出した基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する(ステップS103)。換言すると、パラメータ算出部253は、基準箇所抽出部252が抽出したナンバープレートや後輪などの形状を基準情報241が示す予め定められた形状に変換する際に必要となるホモグラフィ変換行列などの変換パラメータを算出する。
【0056】
変換部254は、パラメータ算出部253が算出した変換パラメータを用いた計算を行うことで、画像データ中の車両の形状を変換する(ステップS104)。変換部254は、画像全体に対して行列計算を行ってもよいし、車両全体、または、車両の前方または側方などの変換後の形状に応じた全体を抽出して行列計算を行ってもよい。
【0057】
車種照合部255は、変換部254による変換の結果を用いて車種照合を行う(ステップS105)。車種照合部255は、特徴量マッチングやテンプレートマッチングなど既知の手段を用いて照合を行ってよい。
【0058】
以上が、照合装置200の動作例である。なお、出力部256は、ステップS105の処理の後、車種照合部255による照合の結果などを出力することが出来る。
【0059】
このように、照合装置200は、基準箇所抽出部252とパラメータ算出部253と変換部254と車種照合部255とを有している。このような構成によると、変換部254は、基準箇所抽出部252が抽出した基準箇所の形状に基づいてパラメータ算出部253が用いた変換パラメータを用いて画像データを変換することが出来る。その結果、車種照合部255は、変換後の画像データに基づいて照合処理を行うことが出来る。これにより、正規化された状態で照合処理を行うことが可能となるため、画像データ中の車両が傾いている状態などであったとしても、当該状態を補完したうえで照合処理を行うことが出来る。その結果、より的確に画像データに基づいて車種を照合することが出来る。つまり、上記構成によると、特徴量マッチングの弱点である3D垂直回転やテンプレートマッチングの弱点である回転・変形などをある程度補完したうえで車種を照合することが出来るため、より的確な照合を行うことが出来る。
【0060】
[第2の実施形態]
次に、
図8、
図9を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。本開示の第2の実施形態では、情報処理装置である変換装置400の構成の概要について説明する。
【0061】
図8は、変換装置400のハードウェア構成例を示している。
図8を参照すると、変換装置400は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)401(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)402(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)403(記憶装置)
・RAM403にロードされるプログラム群404
・プログラム群404を格納する記憶装置405
・情報処理装置外部の記録媒体410の読み書きを行うドライブ装置406
・情報処理装置外部の通信ネットワーク411と接続する通信インタフェース407
・データの入出力を行う入出力インタフェース408
・各構成要素を接続するバス409
【0062】
また、変換装置400は、プログラム群404をCPU401が取得して当該CPU401が実行することで、
図9に示す抽出部421、算出部422、変換部423としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群404は、例えば、予め記憶装置405やROM402に格納されており、必要に応じてCPU401がRAM403などにロードして実行する。また、プログラム群404は、通信ネットワーク411を介してCPU401に供給されてもよいし、予め記録媒体410に格納されており、ドライブ装置406が該プログラムを読み出してCPU401に供給してもよい。
【0063】
なお、
図8は、変換装置400のハードウェア構成例を示している。変換装置400のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、変換装置400は、ドライブ装置406を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0064】
抽出部421は、車両の画像データに基づいて、車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出する。
【0065】
算出部422は、抽出部421が抽出した基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する。例えば、算出部422は、変換パラメータとしてホモグラフィ変換行列を算出する。
【0066】
変換部423は、算出部422が算出した変換パラメータを用いて車両の画像データを変換する。例えば、変換部423は、変換パラメータを用いた行列計算を行うことで、車両を正面形状に変換した正面画像や車両を側面形状に変換した側面画像を生成する。
【0067】
このように、変換装置400は、抽出部421と算出部422と変換部423とを有している。このような構成によると、変換部423は、抽出部421が抽出した基準箇所の形状に基づいて算出部422が算出した変換パラメータを用いて車両の画像データを変換することが出来る。その結果、変換後の画像データに基づいて照合処理を行うことが可能となる。これにより、より適切に照合を行うことが可能となる。
【0068】
なお、上述した変換装置400などの情報処理装置は、当該情報処理装置に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、情報処理装置に、車両の画像データに基づいて、車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、抽出した基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、算出した変換パラメータを用いて車両の画像データを変換する、処理を実現するためのプログラムである。
【0069】
また、上述した情報処理装置により実行される変換方法は、情報処理装置が、車両の画像データに基づいて、車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、抽出した基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、算出した変換パラメータを用いて車両の画像データを変換する、というものである。
【0070】
上述した構成を有する、プログラム(又は記録媒体)、又は、変換方法などの発明であっても、上述した変換装置400と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0071】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における変換装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0072】
(付記1)
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する変換部と、
を有する変換装置。
(付記2)
付記1に記載の変換装置であって、
前記抽出部は、前記基準箇所として、ナンバープレートまたは後輪のうちの少なくとも一方を抽出する
変換装置。
(付記3)
付記1または付記2に記載の変換装置であって、
前記算出部は、前記抽出部が抽出した前記基準箇所の形状を予め定められた形状に変換する際に必要となるホモグラフィ変換行列を前記変換パラメータとして算出する
変換装置。
(付記4)
付記1から付記3までのうちのいずれか1項に記載の変換装置であって、
前記算出部は、前記抽出部が抽出したナンバープレートの形状を予め定められた矩形に変換する際に必要となる前記変換パラメータを算出する
変換装置。
(付記5)
付記4に記載の変換装置であって、
前記変換部は、前記算出部がナンバープレートの形状に基づいて算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換することで、前記車両を正面方向から見た形状である正面形状に変換した正面画像を生成する
変換装置。
(付記6)
付記1から付記5までのうちのいずれか1項に記載の変換装置であって、
前記算出部は、前記抽出部が抽出した後輪の形状である楕円を予め定められた円形に変換する際に必要となる前記変換パラメータを算出する
変換装置。
(付記7)
付記6に記載の変換装置であって、
前記変換部は、前記算出部が後輪の形状に基づいて算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換することで、前記車両を側面方向から見た形状である側面形状に変換した側面画像を生成する
変換装置。
(付記8)
付記1から付記7までのうちのいずれか1項に記載の変換装置であって、
前記変換部による変換の結果を用いて車種照合を行う照合部を有する
変換装置。
(付記9)
情報処理装置が、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、
抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、
算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する
変換方法。
(付記10)
情報処理装置に、
車両の画像データに基づいて、前記車両の種類によらず形状が特定可能な箇所である基準箇所を抽出し、
抽出した前記基準箇所の形状を所定の形状に変換する際に必要となる変換パラメータを算出し、
算出した前記変換パラメータを用いて前記車両の画像データを変換する
処理を実現するためのプログラム。
【0073】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0074】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0075】
100 車種照合システム
200 照合装置
210 画面表示部
220 操作入力部
230 通信I/F部
240 記憶部
241 基準情報
242 照合用情報
243 画像情報
244 変換後情報
245 プログラム
250 演算処理部
251 画像データ受信部
252 基準箇所抽出部
253 パラメータ算出部
254 変換部
255 車種照合部
256 出力部
300 撮像装置
400 変換装置
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 プログラム群
405 記憶装置
406 ドライブ装置
407 通信インタフェース
408 入出力インタフェース
409 バス
410 記録媒体
411 通信ネットワーク
421 抽出部
422 算出部
423 変換部