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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007708
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】採血管収容箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20230112BHJP
   B65D 5/60 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B65D5/54 A
B65D5/54 B
B65D5/54 E
B65D5/60 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110723
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591039469
【氏名又は名称】株式会社和気
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 竜夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悠太
(72)【発明者】
【氏名】松永 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 一晴
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BA08
3E060CE04
3E060CE05
3E060CE12
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA14
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】ラベル貼付装置への採血管の移し替え作業をスムーズに行うことが可能な採血管収容箱を提供する。
【解決手段】実施形態の一例である採血管収容箱は、底面部と、側面部と、開口部を開閉する蓋である天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される収容箱である。採血管収容箱は、所定の配列状態を維持したまま複数の採血管の取り出しが可能な第二の開口部を形成するための開口形成手段をさらに備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、側面部と、開口部を開閉する蓋である天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、
前記所定の配列状態を維持したまま前記複数の採血管の取り出しが可能な第二の開口部を形成するための開口形成手段をさらに備えることを特徴とする、採血管収容箱。
【請求項2】
底面部と、側面部と、天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、
前記所定の配列状態を維持したまま前記複数の採血管の取り出しが可能な開口部を形成するための開口形成手段をさらに備え、
前記開口部は、前記天面部の一部のみ、前記底面部、及び前記側面部の少なくともいずれかに形成されることを特徴とする、採血管収容箱。
【請求項3】
底面部と、側面部と、天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、
前記所定の配列状態を維持したまま前記複数の採血管の取り出しが可能な開口部を形成するための開口形成手段をさらに備え、
前記開口形成手段は、切断補助線である、採血管収容箱。
【請求項4】
前記開口形成手段は、切断補助線であり、
前記側面部には、第一側面部と、前記第一側面部に対向する第二側面部と、前記第一側面部及び前記第二側面部をつなぐ第三側面部とが含まれ、
前記切断補助線は、前記側面部において、前記第一側面部及び前記第二側面部から前記第三側面部の下端に亘って形成されている、請求項2に記載の採血管収容箱。
【請求項5】
底面部と、側面部と、天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、
前記底面部、前記側面部、又は前記天面部は、開口部を開閉する開閉構造を有し、
前記開閉構造を展開して前記開口部を形成するための開口形成手段をさらに備え、
前記開口形成手段は、箱内部に折り畳まれて配置され前記開閉構造の内面に当接する当接部と、前記当接部に接続され、前記箱内部から外部に延出した摘み部とを有し、前記摘み部を引っ張ることにより前記当接部が前記開閉構造を前記箱内部から押し出すように構成されていることを特徴とする、採血管収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血管を収容する採血管収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者から血液検体を採取するための容器として採血管が広く使用されている。採血管は、有底円筒状の容器本体と、容器本体の開口部を塞ぐ栓体とを備える(例えば、特許文献1参照)。一般的に、採血管は検査装置に供給され、検査装置において採血管に入った血液検体の検査が行われる。このため、採血管には、血液検体の識別情報などを表示するためのラベルが貼付される。
【0003】
ラベルは、ラベル貼付装置を用いて採血管の容器本体に貼付される。このため、ユーザーは採血管をラベル貼付装置のラックにセットする必要がある。なお、採血管は、複数本まとめて箱に収容された状態でユーザーに提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-282942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ラベル貼付装置のラックには、採血管の軸方向が同じ方向を向くように採血管の向きを揃えた状態でセットする必要がある。したがって、ユーザーは、採血管を1本ずつ又は数本ずつつかんで箱から取り出し、ラックに移し替える必要があるが、このような移し替え作業は、面倒でありユーザーの負担が大きい。
【0006】
本発明の目的は、ラベル貼付装置への採血管の移し替え作業をスムーズに行うことが可能な採血管収容箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様である採血管収容箱は、底面部と、側面部と、開口部を開閉する蓋である天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、所定の配列状態を維持したまま複数の採血管の取り出しが可能な第二の開口部を形成するための開口形成手段をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、開口形成手段により、採血管の所定の配列状態を維持したまま採血管の取り出しが可能な第二の開口部を形成することができる。例えば、ラベル貼付装置のラック上で、収容箱を傾けて第二の開口部を下方に向けることにより、収容箱における採血管の配列状態を維持したまま採血管を一気にラックへ移し替えることができる。また、従来通り、蓋を開いて採血管を取り出すことも可能である。
【0009】
本発明の第二の態様である採血管収容箱は、底面部と、側面部と、天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、所定の配列状態を維持したまま複数の採血管の取り出しが可能な開口部を形成するための開口形成手段をさらに備え、開口部は、天面部の一部のみ、底面部、及び側面部の少なくともいずれかに形成されることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、開口形成手段により、天面部の一部のみ、底面部、及び側面部の少なくともいずれかに、採血管の所定の配列状態を維持したまま採血管の取り出しが可能な開口部を形成することができる。例えば、ラベル貼付装置のラック上で、収容箱を傾けて開口部を下方に向けることにより、収容箱における採血管の配列状態を維持したまま採血管を一気にラックへ移し替えることができる。
【0011】
本発明の第二の態様である採血管収容箱において、開口形成手段は切断補助線であり、側面部には、第一側面部と、第一側面部に対向する第二側面部と、第一側面部及び第二側面部をつなぐ第三側面部とが含まれ、切断補助線は、側面部において、第一側面部及び第二側面部から第三側面部の下端部に亘って形成されていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、開口部が側面部に形成されるため、開口部が天面部に形成される場合と比べて、収容箱を傾ける角度を小さくしても、採血管を容易にラベル貼付装置のラックに移し替えることができる。このため、採血管がラック内に落下する勢いが弱くなるので、採血管の配列状態が崩れにくくなる。また、第一側面部及び第二側面部の切断補助線が形成された部分又はその近傍を箱の内側に押すことにより、切断補助線に沿って第一側面部及び第二側面部が容易に切断される。即ち、開口部を形成する際の切断起点が容易に形成されるので、開口部を形成しやすい。
【0013】
本発明の第三の態様である採血管収容箱は、底面部と、側面部と、天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、所定の配列状態を維持したまま複数の採血管の取り出しが可能な開口部を形成するための開口形成手段をさらに備え、開口形成手段が切断補助線であることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、開口形成手段である切断補助線に沿って底面部、側面部、又は天面部を切断することにより、採血管の所定の配列状態を維持したまま採血管の取り出しが可能な開口部を容易に形成することができる。
【0015】
本発明の第四の態様である採血管収容箱において、底面部と、側面部と、天面部とを備え、複数の採血管が所定の配列状態で収容される採血管収容箱であって、底面部、側面部、又は天面部は、開口部を開閉する開閉構造を有し、開閉構造を展開して開口部を形成するための開口形成手段をさらに備え、開口形成手段は、箱内部に折り畳まれて配置されて開閉構造の内面に当接する当接部と、当接部に接続され、箱内部から外部に延出した摘み部とを有し、摘み部を引っ張ることにより当接部が開閉構造を箱内部から押し出すように構成されていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、ラベル貼付装置のラック上に、開閉構造を下方に向けて収容箱を配置した状態で摘み部を引っ張ることにより、開閉構造を展開して開口部を形成でき、採血管を一気にラックへ移し替えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る採血管収容箱によれば、ラベル貼付装置への採血管の移し替え作業をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一実施形態の採血管収容箱の斜視図である。
図2図1の採血管収容箱の蓋を開けた状態を示す図である。
図3図1の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図4図1の採血管週報箱から採血管をラベル貼付装置のラックに移し替える様子を示す図である。
図5】第一実施形態の採血管収容箱の第一の変形例を示す図である。
図6図5の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図7】第一実施形態の採血管収容箱の第二の変形例を示す図である。
図8図7の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図9】第一実施形態の採血管収容箱の第三の変形例を示す図である。
図10図9の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図11】第一実施形態の採血管収容箱の第四の変形例を示す図である。
図12図11の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図13】第一実施形態の採血管収容箱の第五の変形例を示す図である。
図14図13の採血管収容箱の蓋を開いた状態を示す図である。
図15】第二実施形態の採血管収容箱の斜視図である。
図16図15の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図17】第二実施形態の採血管収容箱の第一の変形例を示す図である。
図18図17の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図19】第二実施形態の採血管収容箱の第二の変形例を示す図である。
図20図19の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図21】第三実施形態の採血管収容箱の斜視図である。
図22図21の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図23】第三実施形態の採血管収容箱の第一の変形例を示す図である。
図24図23の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
図25】第四実施形態の採血管収容箱の斜視図である。
図26図25の採血管収容箱の開封状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る採血管収容箱の実施形態の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態、変形例の各構成要素を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0020】
<第一実施形態>
以下、図1図14を参照しながら、第一実施形態である採血管収容箱1A~1F(以下、単に「収容箱1A~1F」とする)について詳細に説明する。
【0021】
[収容箱1A]
図1は収容箱1Aの斜視図、図2は収容箱1Aの蓋11を開けた状態を示す図である。図1及び図2に示すように、収容箱1Aは、複数の採血管100を収容する箱本体10と、箱本体10の開口部を開閉する蓋11とを備える。収容箱1Aは、全体として直方体形状を有する角形の箱であって、前後方向及び上下方向よりも左右方向に長い。箱本体10は、底面部12と、側面部とを含み、箱本体10の上端に開口部を有する。収容箱1Aでは、底面部12と対向する天面部の全体が蓋11となっている。蓋11は、箱本体10につながっていて、前から後に回転して開くように構成されている。
【0022】
本明細書では、説明の便宜上、収容箱の天面部側(蓋側)を上側、底面部側を下側とし、天面部と底面部が並ぶ方向を「上下方向」とする。上下方向に直交する方向のうち、蓋の回転軸に直交する方向を「前後方向」、蓋の回転軸に沿った方向を「左右方向」とする。第一、第二、及び第三実施形態では、側面部のうち、蓋がつながった部分を背面部とする。
【0023】
収容箱1Aは、例えば、箱本体10と蓋11が一体化された紙製の箱であって、一般的な紙箱と同様に、所定の形状にカットされた1枚の厚紙を組み立てて構成されている。収容箱1Aには側面部の一箇所に糊代が設けられ、この糊代で隣り合う側面部同士が接合され、側面部は角筒状に形成されている。側面部には、正面部13、背面部14、左側面部15、及び右側面部16が含まれ、正面部13と背面部14(第一及び第二側面部)が前後方向に対向し、左側面部15と右側面部16(第三側面部)が左右方向に対向している。収容箱1Aでは、正面部13に糊代が形成され、この糊代を介して正面部13と左側面部15が接合されている。
【0024】
箱本体10は、有底角筒形状を有する。側面部は、底面部12に対して垂直に立設している。底面部12は、例えば、正面部13及び背面部14の各々につながった2つのフラップ状部分を係合して形成されている。なお、底面部12の構造は特に限定されない。左側面部15及び右側面部16は、収容箱1Aの内側に折り曲げられて蓋11を収容箱1Aの内側から支持するフラップ15a,16aを有する。
【0025】
箱本体10には、複数の採血管100が所定の配列状態で収容されている。採血管100は、有底円筒状の容器本体101と、容器本体101の開口部を塞ぐ栓体102とを備える。採血管100は、径方向よりも軸方向に長く延び、全体として円筒状に形成されている。箱本体10には、採血管100の軸方向が収容箱1Aの前後方向に沿うようにして、各採血管100が積み重ねられた状態で収容されている。本実施形態では、近接する採血管100同士で栓体102の向きが互いに反対方向を向くように、各採血管100が積み重ねられている。収容箱1Aの前後方向長さは、採血管100の軸方向長さよりもやや長くなっている。
【0026】
蓋11は、背面部14につながり、背面部14との境界部を回転軸として収容箱1Aの前から後に回転して開くように構成されている。蓋11の前端部には、正面部13の内面に沿って収容箱1Aの内部に挿し込まれるタック11aが設けられている。また、正面部13の上端部には、タック11aの一部を露出させる半円状の切欠き13aが形成されている。例えば、切欠き13aから露出したタック11aの一部を押し上げることにより、蓋11を開くことができる。
【0027】
採血管100は、使用される前に容器本体101にラベルが貼付される。ラベルはラベル貼付装置により貼付されるため、採血管100は、収容箱1Aからラベル貼付装置のラック110(図4参照)に移し替えられる。詳しくは後述するが、収容箱1Aは、所定の配列状態を維持したまま複数の採血管100の取り出しが可能な第二の開口部を形成するための開口形成手段を備える。収容箱1Aには、開口形成手段により、蓋11を閉じた状態で第二の開口部が形成される。即ち、蓋11により閉じられた第一の開口部とは別の場所に第二の開口部が形成される。
【0028】
収容箱1Aは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、ミシン目線17を備える。ミシン目線17は、収容箱1Aの切断を容易にするための切断補助線である。ミシン目線17に沿って収容箱1Aを切断すれば、収容箱1Aが開封されて第二の開口部が形成される。本実施形態では、箱本体10の側面部にミシン目線17が形成されている。他方、蓋11及び底面部12には、ミシン目線17は形成されていない。なお、切断補助線はミシン目線17に限定されず、例えば、ハーフカット線、又はミシン目線17とハーフカット線が組み合わされたものであってもよい。
【0029】
ミシン目線17は、側面部を厚み方向に貫通した切断部が所定の間隔で線状に配置されてなる切断補助線である。言い換えると、切断部と非切断部が交互に繰り返されてミシン目線17が形成されている。ミシン目線17を構成する切断部と非切断部(切断部同士の間隔)の長さを変更することによって側面部の切断性と耐久性を調整できる。一般的に、切断部の長さを長くし、切断部同士の間隔を短くすることで、ミシン目線17に沿った側面部の切断が容易になる。ミシン目線17を構成する切断部の形状は、例えば細線状であるが、真円形状や楕円形状であってもよい。
【0030】
ミシン目線17は、側面部において、正面部13及び背面部14の各々から右側面部16の下端に亘って形成されている。正面部13から形成されたミシン目線17と、背面部14から形成されたミシン目線17は互いにつながっておらず独立している。即ち、収容箱1Aには、2本のミシン目線17が形成されている。収容箱1Aには、後述の図3に示すように、ミシン目線17に沿って側面部を切断することで、右側面部16の広範囲に第二の開口部が形成される。
【0031】
本実施形態では、採血管100の軸方向に沿った右側面部16(第三側面部)に大きな第二の開口部が形成される。このため、例えば、採血管100の径方向に沿った正面部13に第二の開口部を形成する場合と比べて、採血管100の取り出し速度を緩やかにすることができ、採血管100の配列状態が崩れにくくなる。また、採血管100は収容箱1Aから取り出される際に転がりやすく、採血管100の取り出しがよりスムーズになる。
【0032】
第一のミシン目線17は、正面部13において、右側面部16との境界部となる箱本体10の角Aに近接する部分に形成されている。ミシン目線17は、正面部13の上端から下に延び、正面部13の下部で角Aを超えて右側面部16の下端まで延びている。第二のミシン目線17も同様に、背面部14において、右側面部16との境界部となる箱本体10の角Bに近接する部分に形成されている。第二のミシン目線17は、背面部14の上端から下に延び、背面部14の下部で角Bを超えて右側面部16の下端まで延びている。
【0033】
第一のミシン目線17は、正面部13の左右方向中央側に凸となるように湾曲し、正面視略半円状に形成されている。ミシン目線17は、角Aの上端から正面部13の左右方向中央側に膨らむように形成され、正面部13の下部で再び角Aに交わる。ミシン目線17は、例えば、正面部13の下端から、正面部13の上下方向長さの10%~20%の長さ範囲において角Aに交わっている。正面部13の左右方向中央側へのミシン目線17の膨らみは、角Aとミシン目線17との間を指で押すことができる程度の長さに設定される。ミシン目線17の最も角Aから離れた部分は、例えば、角Aから10mm~30mmの位置にある。
【0034】
第一のミシン目線17は、角Aの下部から右側面部16の下端まで直線状に形成され、右側面部16の下部において角Aの近傍のみに短く形成されている。背面部14から形成される第二のミシン目線17も同様に、右側面部16の下部において角Bの近傍のみに短く形成されている。この場合、右側面部16の広範囲に第二の開口部を形成することができる。ミシン目線17は、角Aの上端から右側面部16の下端まで連続的した1本の切断補助線として形成されている。ミシン目線17は、例えば、角Aから右側面部16の前後方向長さの10%~30%の長さ範囲において、右側面部16の下端と交わっている。
【0035】
右側面部16には、その下端と、角Aと、第一のミシン目線17とに囲まれた側面視三角形状の第一の角隅部16dが形成されている。また、右側面部16の背面部14側には、第二のミシン目線17により第二の角隅部16dが形成されている。第一の角隅部16dは、第二の開口部が形成された右側面部16において、正面部13と底面部12とを連結する部分であり、開封状態の収容箱1Aの形態を保持する。同様に、第二の角隅部16dは、背面部14と底面部12とを連結し、第一の角隅部16dと共に開封状態の収容箱1Aの形態を保持する。
【0036】
ミシン目線17は、角隅部16dが開封状態の収容箱1Aの形態を保持でき、採血管100の取り出しを妨げることのない大きさとなるように、またミシン目線17に沿って収容箱1Aをスムーズに開封できるように、右側面部16の下端に対して所定の角度で傾斜している。右側面部16の下端に対するミシン目線17の好適な傾斜角度は、例えば20°~45°である。なお、ミシン目線17を正面部13及び背面部14のみに形成し、角隅部16dを設けない形態とすることも可能である。但し、この場合、角隅部16dが存在する場合と比べて、正面部13及び背面部14が底面部12に対して前後方向に揺動しやすくなり、また底面部12が撓みやすくなる。
【0037】
右側面部16の前後方向長さは、採血管100の軸方向長さよりも5%~20%程度長く、また片手で正面部13から背面部14まで指が届くような長さに設定される。右側面部16の前後方向長さの一例は、100mm~130mmである。収容箱1Aでは、正面部13と背面部14が対向し、左側面部15と右側面部16が対向しているが、対向面同士の距離が近い正面部13と背面部14から、この二面をつなぐ右側面部16に亘ってミシン目線17が形成されている。詳しくは後述するが、この場合、第二の開口部を片手で容易に形成することができる。
【0038】
第二のミシン目線17は、背面部14において、正面部13に形成された第一のミシン目線17と同様の形状で形成されている。収容箱1Aでは、2本のミシン目線17が前後方向に重なっている。また、第二のミシン目線17は、右側面部16において、第一のミシン目線17と左右対称に形成されている。
【0039】
図3は、収容箱1Aをミシン目線17に沿って切断し、第二の開口部を形成した開封状態を示す図である。図4は、第二の開口部から採血管100をラベル貼付装置のラック110に移し替える様子を示す図である。図3に示すように、ミシン目線17に沿って側面部を切断すると、右側面部16の大部分に大きな第二の開口部が形成される。そして、図4に示すように、ラック110内で第二の開口部が下を向くように収容箱1Aを傾けることにより、収容箱1Aにおける採血管100の配列状態が大きく崩れることなく、採血管100を一気に移し替えることができる。
【0040】
収容箱1Aによれば、ミシン目線17に沿って側面部を切断すると、図3に示すように、右側面部16が右側に回転して開き、蓋11を閉じた状態で第二の開口部が形成される。右側面部16の下端は箱本体10につながっているため、右側面部16の下端を回転軸として右側面部16が回転する。収容箱1Aでは、正面部13及び背面部14において、角A,Bとミシン目線17との間の半円状の部分を箱の内側に押すことにより、ミシン目線17に沿って正面部13及び背面部14が切断される。
【0041】
収容箱1Aにおいて、正面部13と背面部14の距離は、片手でつかむことができる距離であるから、例えば、片手で箱本体10の右側部分をつかんで、親指で正面部13を、中指で背面部14をそれぞれ押圧することができる。これにより、正面部13及び背面部14がミシン目線17に沿って切断されるため、そのまま箱本体10のつかんだ部分を右側に引っ張ることにより第二の開口部が容易に形成される。
【0042】
図4に示すように、採血管100をラック110に移し替える際には、第二の開口部を形成した収容箱1Aをラック110に挿入して、第二の開口部が下を向くように収容箱1Aを傾ける。そして、収容箱1Aをラック110の長手方向に沿って移動させながら徐々に引き上げることで、各採血管100が収容箱1Aにおける配列状態を概ね維持したまま第二の開口部からラック110に流れ込む。これにより、ラック110に採血管100を一気に移し替えることができる。このとき、ミシン目線17に沿って切断した側面部(右側面部16)を手で押さえつつ収容箱1Aをラック110に挿入し、ラック110内において右側面部16から手を離して第二の開口部を形成する。
【0043】
収容箱1Aによれば、第二の開口部が側面部に形成されるため、収容箱1Aを傾ける角度を小さくしても、容易に採血管100をラック110に移し替えることができる。この場合、ラック110内に採血管100が緩やかに移動するため、採血管100の配列状態が崩れにくくなる。さらに、第二の開口部が形成される右側面部16は、例えば、正面部13と比較して小さいので、採血管100が取り出される速度が抑えることができ、採血管100の配列状態が崩れにくくなる。なお、第二の開口部は右側面部16の略全体に形成されるため、右側面部16が干渉して採血管100の取り出しを妨げることがなく、採血管100のスムーズな移し替えが可能である。
【0044】
[収容箱1B]
図5は収容箱1Bの斜視図、図6は収容箱1Bの開封状態を示す図である。図5及び図6に示すように、収容箱1Bは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、側面部に形成されたミシン目線17を備える点で、収容箱1Aと共通する。また、ミシン目線17は、正面部13及び背面部14の上端から左側面部15の下端に亘って形成されている。正面部13に形成された第一のミシン目線17と、背面部14に形成された第二のミシン目線17とは、収容箱1Bの前後方向に重なると共に、互いに交わることなく独立している。収容箱1Bには、収容箱1Aの場合と同様に、第二の開口部が形成された左側面部15において、正面部13と底面部12とを連結する第一の角隅部15dと、背面部14と底面部12とを連結する第二の角隅部15dとが設けられている。
【0045】
他方、収容箱1Bのミシン目線17は、正面部13及び背面部14において、直線状に形成されている点で、湾曲した収容箱1Aのミシン目線17と異なる。第一のミシン目線17は、正面部13の上端において、左側面部15との境界部となる箱本体10の角Cから離れた位置より、角Cの下部に向かって真っ直ぐに形成されている。左側面部15において、第一のミシン目線17は、収容箱1Aの場合と同様に、角Cの下部から左側面部15の下端まで直線状に短く形成されている。第二のミシン目線17も同様に、背面部14と左側面部15の境界部となる箱本体10の角Dの下部から左側面部15の下端まで直線状に短く形成されている。
【0046】
収容箱1Bには、フラップ15aの一部を露出させる切欠き11bが形成されている。切欠き11bは、蓋11の左端部の前後方向中央部において、半円状に形成されている。収容箱1Bでは、例えば、切欠き11bから露出したフラップ15aの一部を押し下げることにより、図6に示すように、ミシン目線17に沿って側面部が切断され、左側面部15の大部分に第二の開口部が形成される。左側面部15の下端は箱本体10につながっているため、フラップ15aを押し下げると、左側面部15の下端を回転軸として左側面部15が回転し、第二の開口部が容易に形成される。
【0047】
[収容箱1C]
図7は収容箱1Cの斜視図、図8は収容箱1Cの開封状態を示す図である。図7及び図8に示すように、収容箱1Cでは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、左側面部15のみにミシン目線17が形成されている。また、ミシン目線17は、側面視略T字状に形成されている。ミシン目線17は、左側面部15の前後方向に延びた第一のミシン目線17と、左側面部15の左右方向中央部において上下方向に延びた第二のミシン目線17とを含み、第二のミシン目線17が第一のミシン目線17の長さ方向中央部に直交している。
【0048】
第一のミシン目線17は、左側面部15の下部において前後方向全長に亘って直線状に形成されている。第一のミシン目線17は、例えば、左側面部15の下端から左側面部15の上下方向長さの10%~30%の範囲に形成される。第二のミシン目線17は、左側面部15の上端から第一のミシン目線17との交点まで延びると共に、中間部が角Cの方向に凸となるように湾曲している。収容箱1Cには、第二のミシン目線17の湾曲部分の両端を接続するように折り目線が形成されている。この折り目線と第二のミシン目線17とに囲まれて半円状に形成された部分は、第二の開口部を形成する際に箱の内側に押圧され開封の起点部となる。
【0049】
収容箱1Cは、上記半円状に形成された部分を箱の内側に押し込み、左側面部15を引っ張ることにより、左側面部15がミシン目線17に沿って切断されて第二の開口部が形成される。左側面部15は、角C,Dにおいて正面部13及び背面部14にそれぞれつながっているので、角C,Dを回転軸として前後に回転して開き、左側面部15の広範囲に第二の開口部が形成される。収容箱1Cでは、図7に示すように、第一のミシン目線17の下に左側面部15の一部が残るので、例えば、蓋11を下に向けた状態として採血管100を取り出す。
【0050】
[収容箱1D]
図9は収容箱1Dの斜視図、図10は収容箱1Dの開封状態を示す図である。図9及び図10に示すように、収容箱1Dは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、左側面部15のみにミシン目線17が形成されている点で、収容箱1Cと共通する。他方、収容箱1Dでは、ミシン目線17が側面視略コ字状ないし略U字状に形成されている。ミシン目線17は、左側面部15の下端から角Cに沿って延び、角Cの上部から角Dの上部まで前後方向に沿って延びる。そして、角Dの上部から角Dに沿って左側面部15の下端まで延びている。なお、角Cにおいてミシン目線17の下部は、角Cから離れ、左側面部15の内側に傾斜している。
【0051】
ミシン目線17は、例えば、左側面部15の上端と上下方向中央との間において前後方向に延びている。ミシン目線17は、前後方向に延びる部分の中間部が下方に凸となるように湾曲し、この湾曲部分の両端を接続するように折り目線が形成されている。この折り目線とミシン目線17とに囲まれて半円状に形成された部分は、収容箱1Cの場合と同様に、第二の開口部を形成する際に箱の内側に押圧され開封の起点部となる。
【0052】
収容箱1Dは、収容箱1Cの場合と同様に、上記半円状に形成された部分を箱の内側に押し込み、左側面部15を引っ張ることにより、左側面部15がミシン目線17に沿って切断されて第二の開口部が形成される。左側面部15は、その下端を回転軸として回転し、左側面部15の広範囲に第二の開口部が形成される。収容箱1Dでは、図10に示すように、左側面部15の下端まで第二の開口部が形成される一方、上部には左側面部15の一部が残る。このため、収容箱1A,1Bと同様に、例えば、底面部12を下に向けた状態として採血管100を取り出す。第二の開口部の上に残る左側面部15の一部は、採血管100の取り出し速度を調整する役割を果たし、収容箱1Dを傾けたときに採血管100が一気に流れ出ないようにする。
【0053】
[収容箱1E]
図11は収容箱1Eの斜視図、図12は収容箱1Eの開封状態を示す図である。図11及び図12に示すように、収容箱1Eは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、ミシン目線17が左側面部15のみに形成されている点で、収容箱1C,1Dと共通する。他方、収容箱1Eでは、左側面部15の上部及び下端において、前後方向に沿って2本のミシン目線17が形成されている。2本のミシン目線17は、互いに略平行に、左側面部15の前後方向全長に亘って延びる。また、2本のミシン目線17を接続するように、角Cに沿ってカット線18が形成されている。
【0054】
カット線18は、ミシン目線17のように非切断部を有さず、切断部のみで構成されている。収容箱1Eでは、カット線18が形成された部分を開封の起点部として、左側面部15を前から後に引っ張ることにより左側面部15がミシン目線17に沿って切断され、左側面部15の広範囲に第二の開口部が形成される。収容箱1Eでは、収容箱1Dの場合と同様に、左側面部15の下端まで第二の開口部が形成される一方、上部には左側面部15の一部が残る。なお、カット線18の代わりに角Cに沿ってミシン目線17が形成されていてもよい。
【0055】
収容箱1Eでは、ミシン目線17が角Dに沿って形成されていないため、左側面部15をミシン目線17に沿って切断すると、図12に示すように、左側面部15は角Dを回転軸として後方に向かって回転する。なお、左側面部15の下端に沿って形成された第一のミシン目線17は、左側面部15の前後方向両端部において、角C,Dに近づくほど次第に左側面部15の下端から離れるように傾斜している。左側面部15の上部に形成された第二のミシン目線17は、全長に亘って直線状に延びている。
【0056】
[収容箱1F]
図13は収容箱1Fの斜視図、図14は収容箱1Fの開封状態を示す図である。図13及び図14に示すように、収容箱1Fは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、ミシン目線17が左側面部15のみに形成されている点で、収容箱1C~1Eと共通する。他方、収容箱1Fは、正面部13及び背面部14につながった2つのフラップ状部分を重ね合わせて蓋11が形成されている点で、収容箱1C~1Eと異なる。収容箱1Fの蓋11は、前後方向に開く観音開き式の開閉構造を有する。また、ミシン目線17は、左側面部15の前後方向中央部において、上端から下端まで延びている。
【0057】
収容箱1Fにおいて、左側面部15は、下部のフラップ15bを有し、またミシン目線17によって区分された後側部分のみに上部のフラップ(図示せず)を有する。そして、ミシン目線17は、左側面部15の上端からフラップ15bの先端に亘って形成されている。ミシン目線17は、角D側に向かって凸となるように緩やかに湾曲している。左側面部15をミシン目線17に沿って切断すると、図14に示すように、フラップ15bを含む左側面部15の全体が前側部分と後側部分に分割される。
【0058】
収容箱1Fでは、左側面部15の前側部分を、角Cを回転軸として前側に回転させることで第二の開口部が形成される。さらに、角Bを回転軸として、正面部13、右側面部16、及びこれらにつながる左側面部15の前側部分、下部のフラップ15bを箱の右側に回転させる。そして、蓋11を形成する正面部13及び背面部14の各々につながった2つのフラップ状部分の重なりを解除し、底面部12の正面部13及び背面部14の各々につながった2つのフラップ状部分の係合を解除することにより、蓋11及び底面部12が前後に略二分割される。
【0059】
<第二実施形態>
図15図20を参照しながら、第二実施形態である採血管収容箱2A~2C(以下、単に「収容箱2A~2C」とする)について詳細に説明する。以下では、第一実施形態と同じ又は同様の構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。
【0060】
図15図20に示すように、第二実施形態である収容箱2A~2Cは、第二の開口部を形成するための開口形成手段であるミシン目線17が側面部に形成されている点で、第一実施形態と共通する。他方、収容箱2A,2Bは、ミシン目線17が正面部13と左側面部15及び右側面部16との境界部である角A,Cに沿って形成され、正面部13に第二の開口部が形成される点で、第一実施形態と異なる。また、収容箱2Cは、ミシン目線17が角Cに沿って形成され、正面部13が右側に回転して第二の開口部が形成される。
【0061】
収容箱2A~2Cは、さらに、箱本体10の内部に配置された内装部材を有する。収容箱2A~2Cでは、内装部材が側面部の一部及び底面部12と重なり、箱本体10の一部が二重に形成されている。そして、内装部材の上に採血管100が配置されている。詳しくは後述するが、収容箱2A~2Cでは、ミシン目線17に沿って側面部が切断され第二の開口部が形成されたときに、第二の開口部から内装部材が引き出されて採血管100が取り出される。
【0062】
[収容箱2A]
図15は収容箱2Aの斜視図、図16は収容箱2Aの開封状態を示す図である。図15及び図16に示すように、収容箱2Aにおいて、ミシン目線17は、角A,Cのそれぞれに略沿って、正面部13の上端から角A,Cの下端に亘って形成されている。なお、2本のミシン目線17は、正面部13の上端部において、角A,Cから正面部13の左右方向中央側に傾斜している。収容箱2Aでは、正面部13の下端を回転軸として正面部13を前方に回転させるように、正面部13の上端部を前方に引っ張ることにより、箱本体10がミシン目線17に沿って切断され、図16に示すように、正面部13に第二の開口部が形成される。
【0063】
収容箱2Aは、箱本体10の内部に配置された内装部材20を有する。内装部材20は、例えば底面部12、正面部13、左側面部15、及び右側面部16の内面に沿うように配置されている。内装部材20は、収容箱2Aが開封されたときに第二の開口部から前方に引き出すことが可能である。収容箱2Aにおいて、採血管100は内装部材20上に配置されているため、内装部材20と共に前方に移動し、第二の開口部から取り出される。なお、収容箱2Aは、内装部材20を有さない形態とすることも可能である。
【0064】
[収容箱2B]
図17は収容箱2Bの斜視図、図18は収容箱2Bの開封状態を示す図である。図17及び図18に示すように、収容箱2Bは、角A,Cのそれぞれに略沿って正面部13の上端から角A,Cの下端に亘って形成されたミシン目線17を有する点で、収容箱2Aと共通する。また、収容箱2Bは、箱本体10の内部に配置された内装部材21を有する。内装部材21は、正面部13の上端につながって形成されており、正面部13の上端で収容箱2Bの内側に折り返されて、正面部13、底面部12、及び背面部14の内面に沿って配置されている。
【0065】
収容箱2Bでは、収容箱2Aと同様に、正面部13の上端部を前方に引っ張ることにより、箱本体10がミシン目線17に沿って切断され、図18に示すように、正面部13に第二の開口部が形成される。内装部材21は、正面部13の上端で折り返されて、その先端部は背面部14の上端部近傍に位置している。収容箱2Bによれば、第二の開口部を形成した後、内装部材21の先端部を第二の開口部側に引っ張ることにより、内装部材21が展開して内装部材21上に配置された採血管100が第二の開口部から取り出される。
【0066】
[収容箱2C]
図19は収容箱2Cの斜視図、図20は収容箱2Cの開封状態を示す図である。図19及び図20に示すように、収容箱2Cは、角Cに沿って、角Cの上端から下端まで形成されたミシン目線17を有する。角Aには、ミシン目線17は形成されていない。収容箱2Cは、ミシン目線17に沿って側面部を切断することにより、背面部14と右側面部16との境界部となる箱本体10の角Bを回転軸として、正面部13、右側面部16、及びこれらにつながった内装部材22が箱の右側に回転するように構成されている。
【0067】
内装部材22は、正面部13に対向する壁部、及び蓋11に対向する底部を含み、底部が正面部13及び右側面部16の下端につながって、正面部13及び右側面部16と共に、箱本体10と同様の箱形に形成されている。内装部材22の底部は、箱本体10の底面部12の一部を形成しており、その上に採血管100が配置されている。正面部13、右側面部16、及び内装部材22により形成された箱は、収容箱2Cの開封状態において右側面部16の対向面が開口しているため、当該開口部から採血管100を一気に取り出すことができる。
【0068】
<第三実施形態>
図21図24を参照しながら、第三実施形態である採血管収容箱3A,3B(以下、単に「収容箱3A,3B」とする)について詳細に説明する。以下では、上述の実施形態と同じ又は同様の構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。
【0069】
図21図24に示すように、第三実施形態である収容箱3A,3Bは、第二の開口部を形成するための開口形成手段として、切断補助線であるミシン目線17を有する点で、上述の実施形態と共通する。他方、収容箱3A,3Bは、ミシン目線17が蓋11に形成されている点で、上述の実施形態と異なる。収容箱3A,3Bによれば、ミシン目線17に沿って蓋11の一部を切断することにより、蓋11により閉じられた第一の開口部の一部に第二の開口部が形成される。
【0070】
[収容箱3A]
図21は収容箱3Aの斜視図、図22は収容箱3Bの開封状態を示す図である。図21及び図22に示すように、収容箱3Aは、蓋11に形成された2本のミシン目線17を有する。ミシン目線17は、蓋11の前端及び後端に沿って、蓋11の左端からそれぞれ形成されている。また、蓋11には、前後方向に延びて2本のミシン目線17を連結する折り目線19が形成されている。収容箱3Aでは、ミシン目線17の長さを変更することにより、第二の開口部の大きさを調整することができる。
【0071】
収容箱3Aでは、ミシン目線17に沿って蓋11を切断すると、図22に示すように、蓋11の左側部分が折り目線19を回転軸として回転し、蓋11の一部に第二の開口部が形成される。収容箱3Aによれば、ラック110上において第二の開口部を下に向けることで採血管100が取り出される。なお、第二の開口部が形成される範囲には、左側面部15のフラップ15aが存在するため、フラップ15aを箱の外側に折り返すことで、第二の開口部を大きく開くことができる。
【0072】
[収容箱3B]
図23は収容箱3Bの斜視図、図24は収容箱3Bの開封状態を示す図である。図23及び図24に示すように、収容箱3Bは、蓋11に形成された2本のミシン目線17を有する点で、収容箱3Aと共通する。第一のミシン目線17は、蓋11の前端及び後端に沿って延びる第一の部分と、前後方向に延びて第一の部分同士を連結する第二の部分とを含み、蓋11の左端から平面視略コ字状ないし略U字状に形成されている。第二のミシン目線17は、第一のミシン目線17よりも蓋11の内側において、第一のミシン目線17と平行に同様の平面視形状で形成されている。
【0073】
収容箱3Bの蓋11には、2本のミシン目線17に挟まれた部分に、平面視略コ字状ないし略U字状の帯状部30が形成されている。この帯状部30を引っ張ることにより、蓋11は2本のミシン目線17に沿って切断され、図24に示すように、第一のミシン目線17に囲まれた蓋11の一部が切除されて第二の開口部が形成される。この場合、ラック110内で第二の開口部が下を向くように収容箱3Bを傾けることにより、第二の開口部から採血管100を一気に取り出すことができる。
【0074】
<第四実施形態>
図25及び図26を参照しながら、第四実施形態である採血管収容箱4(以下、単に「収容箱4」とする)について詳細に説明する。以下では、上述の実施形態と同じ又は同様の構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。
【0075】
図25は収容箱4の斜視図、図26は収容箱4の開封状態を示す図である。図25及び図26に示すように、収容箱4は、天面部である蓋11を展開して開口部を形成するための開口形成手段40を備える。開口形成手段40は、第二の開口部を形成するものではなく、蓋11により閉じられた第一の開口部を形成する手段である点で、上述の実施形態の開口形成手段と異なる。また、収容箱4の蓋11は、正面部13につながった第一フラップ11cと、背面部14につながった第二フラップ11dとを有する観音開き式の蓋である。つまり、収容箱4は、天面部に開閉構造が設けられ、当該開閉構造を展開して開口部を形成するための開口形成手段40を備える。
【0076】
第一フラップ11cには、第二フラップ11dに形成された凸部11fが挿し込まれる切込み11eが形成されている。収容箱4の蓋11は、第一フラップ11cの上に第二フラップ11dを重ねて、凸部11fを切込み11eに挿し込むことにより、箱本体10の開口部を閉じている。
【0077】
開口形成手段40は、箱内部に折り畳まれて配置され、開閉構造を有する蓋11の内面に当接する当接部41と、当接部41に接続され、箱内部から外部に延出した摘み部42とを有し、摘み部42を引っ張ることにより当接部41が蓋11を箱内部から押し出すように構成されている。開口形成手段40は、収容箱4の左右両側に1つずつ形成されている。第一の開口形成手段40の当接部41は、例えば、正面部13、背面部14、及び左側面部15のフラップ状部分を接合して形成されている。同様に、第二の開口形成手段40の当接部41は、正面部13、背面部14、及び右側面部16のフラップ状部分を接合して形成されている。
【0078】
摘み部42は、当接部41につながった舌片状の部分であって、蓋11が閉じられた状態で収容箱4の左右両側に延出している。左側面部15には切込み15cが形成されており、摘み部42の先端部は左側面部15の外面に沿って配置され、切込み15cに挿し込まれている。右側面部16にも同様に、摘み部42の先端部が挿し込まれる切込みが形成されている。
【0079】
収容箱4では、箱の外部に延出した一対の摘み部42を左右両側に引っ張ることにより、図26に示すように、当接部41が蓋11を箱内部から押し上げて展開させる。収容箱4によれば、ラック110上に、蓋11を下方に向けて収容箱4を配置した状態で摘み部42を引っ張ることにより、蓋11が展開して開口部が形成され、採血管100を一気にラック110へ移し替えることができる。
【0080】
以上のように、上述の実施形態に係る各収容箱によれば、開口形成手段により、収容箱における採血管100の所定の配列状態を維持したまま、ラベル貼付装置のラック110に採血管100を一気に移し替えることができる。このため、ユーザーは、例えば、採血管100を1本ずつ又は数本ずつつかんでラック110に移し替える必要がなく、ラック110への採血管100の移し替え作業をスムーズに行うことが可能である。
【0081】
なお、上述の各実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上述の実施形態では、直方体形状を有する収容箱を例示したが、収容箱は前後、左右、上下の長さが同じである立方体形状を有していてもよい。また、上述の実施形態では、側面部及び天面部に切断補助線が形成された形態を例示したが、切断補助線は底面部に形成されてもよい。
【0082】
第一、第二、第三実施形態の収容箱は、開口形成手段を使用せずに開くことができる蓋を有していなくてもよい。そして、開口形成手段により形成される開口部は、天面部の一部のみ、底面部、及び側面部の少なくともいずれかに形成されてもよい。また、開口形成手段には、上述の通り、切断補助線を適用できる。収容箱は、天面部を囲むように2本の切断補助線により形成される帯状の切り取り部を設けて、天面部の全体が箱本体から分離されるように構成されていてもよい。或いは、天面部が蓋となった収容箱において、蓋がつながる背面部の上端部分に帯状の切り取り部を設けて、天面部の全体が箱本体から分離されるように構成されていてもよい。
【0083】
また、本発明に係る収容箱は、箱本体の側面部に、互いに重ね合わせて接合される2枚のフラップ状部分を設け、接合部分を剥離することで開口部が形成されるように構成されていてもよい。開口形成手段は、例えば、側面部に形成され、接合部分の剥離を容易にする。開口形成手段の一例は、側面視略U字状に形成された切断補助線である。切断補助線は、2枚のフラップ状部分のうち、重なり部分が箱の内側に位置する第一のフラップ状部分に形成される。この場合、切断補助線に囲まれた部分を箱の内側に押し込むことにより、側面部に指を挿入可能な孔が形成される。その孔から指を入れて第二のフラップ状部分を箱内部から引っ張ることにより接合部分が剥離され、側面部に開口部が形成される。
【0084】
第四実施形態において、開閉構造は、底面部又は側面部に設けられていてもよい。この場合、開口形成手段により開閉構造が展開されると、底面部又は側面部に開口部が形成される。開口部は、例えば、第一実施形態の収容箱1Aのように側面部に形成されてもよい。開口形成手段の当接部は、蛇腹状に形成されていてもよく、側面部の一部が開いたときに延びて、当該側面部と箱本体を連結していてもよい。また、第四実施形態の収容箱は、開口形成手段を使用せずに開くことができる蓋を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,2A,2B,2C,3A,3B,4 採血管収容箱、10 箱本体、11 蓋、11a タック、11b,13a 切欠き、11c 第一フラップ、11d 第二フラップ、11e,15c 切込み、11f 凸部、12 底面部、13 正面部、14 背面部、15 左側面部、15a,16a,15b フラップ、15d,16d 角隅部、16 右側面部、17 ミシン目線、18 カット線、19 折り目線、20,21,22 内装部材、30 帯状部、40 開口形成手段、41 当接部、42 摘み部、100 採血管、101 容器本体、102 栓体、110 ラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図12
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