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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077083
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】水槽用上部カバー
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20230529BHJP
【FI】
A01K63/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190223
(22)【出願日】2021-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】522119271
【氏名又は名称】田中 愛子
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村山 太
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA03
2B104CB42
(57)【要約】
【課題】水槽内からの水の飛散や育成生物の飛び出しを確実に防止可能な水槽用上部カバーを提供する。
【解決手段】水槽5の上部開口5Hを被蓋する水槽用上部カバー1であって、下方に開口する略箱状のカバー本体2と、上方に開口する略箱状の副容器4とを備え、カバー本体2は、上部開口5Hに上方から対向する上壁11と、上壁11の外周縁から下方に延設され、下縁部13が水槽5の上縁部6に当接支持される側壁12とを有し、上壁11の略中央部に、副容器4を埋設可能な窓孔13が設けられ、副容器4は、窓孔13に埋設された状態において、下面部35から上方の所定範囲が側壁12の下縁部17よりも下方位置まで没入される容器本体31と、容器本体31から外向きに延設され、窓孔13の外周面部に掛合保持可能な周枠32とを有し、容器本体31における少なくとも上記没入する範囲内に、水槽5内の水が流通可能な通水孔36が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽の上部開口を被蓋する水槽用上部カバーであって、
下方に開口する略箱状のカバー本体と、
上方に開口する略箱状の副容器と、を備え、
前記カバー本体は、
前記上部開口に上方から対向する上壁と、
前記上壁の外周縁から下方に向かって延設され、下縁部が水槽の上縁部に当接支持される側壁と、を有し、
前記上壁の略中央部に、前記副容器を埋設可能な窓孔が設けられ、
前記副容器は、
前記窓孔に埋設された状態において、下面部から上方の所定範囲が前記側壁の下縁部よりも下方位置まで没入される容器本体と、
容器本体から外向きに延設され、前記窓孔の外周面部に掛合保持可能な周枠と、を有し、
前記容器本体における少なくとも前記没入する範囲内に、水槽内の水が流通可能な通水孔が設けられた、水槽用上部カバー。
【請求項2】
透明な窓板を備え、
前記副容器に代えて、前記窓孔の周縁部に前記窓板を装着可能に構成された、請求項1に記載の水槽用上部カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、
後面側の前記側壁に、電源コードやパイプ類を挿通可能な補助孔が設けられた、請求項1または2に記載の水槽用上部カバー。
【請求項4】
前記カバー本体は、
前記側壁の下縁部に、水槽の上縁部の内側に嵌挿される嵌合枠部が設けられ、
前記嵌合枠部の外側面に、水槽と前記カバー本体との間からの水の漏出を防止可能なパッキンが設けられた、請求項1~3のいずれか1項に記載の水槽用上部カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観賞魚や水草育成用の水槽の上部開口を被蓋する水槽用上部カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガーデニング人口の増加を受けて、観賞魚の飼育や水草の育成に用いられる水槽と、観葉植物を栽培可能なプランター容器とを組み合わせたものが提案されている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
上記水槽は、上方に開口する箱状のプランター容器を有している。また、プランター容器は、周面部にフランジ(突条)が設けられており、上記フランジを水槽の上縁部に掛合させることによって、水槽内に落とし込み状態で設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-98976号
【特許文献2】実全昭62-64275号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、観賞魚や水草育成用の水槽では、水槽内をできる限り鮮明に鑑賞できるよう、水槽内に上方から光を導入するのが望ましい。そのため、上記のようなプランター容器を備えた水槽においても、水槽の上縁部とプランター容器との間に、所定の間隙が画成されており、上記間隙から水槽内に光を導入することができる。
【0006】
しかしながら、水槽とプランター容器との間に間隙が設けられていると、水槽の外部へ水が飛散したり、育成生物が飛び出したりする虞があった。
【0007】
また、従来の観賞魚や水草育成用の水槽では、一般に、水槽外部への水の飛散や育成生物の飛び出し等を防止するため、水槽の上部にガラス板やアクリル板などの蓋板を載置して使用されるが、上記プランター容器を備えた水槽の場合は、既存の蓋板を用いることができない。しかも、上記のような蓋板は位置ずれし易く、上記間隙を確実に被蓋できない虞もある。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、観賞魚や水草育成用の水槽において、プランター機能を併用する場合であっても、水槽外部への水の飛散や育成生物の飛び出し等を確実に防止可能な水槽用上部カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の水槽用上部カバーは、以下の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の水槽用上部カバーは、水槽の上部開口を被蓋する水槽用上部カバーであって、下方に開口する略箱状のカバー本体と、上方に開口する略箱状の副容器と、を備え、前記カバー本体は、前記上部開口に上方から対向する上壁と、前記上壁の外周縁から下方に向かって延設され、下縁部が水槽の上縁部に当接支持される側壁と、を有し、前記上壁の略中央部に、前記副容器を埋設可能な窓孔が設けられ、前記副容器は、前記窓孔に埋設され
た状態において、下面部から上方の所定範囲が前記側壁の下縁部よりも下方位置まで没入される容器本体と、容器本体から外向きに延設され、前記窓孔の外周面部に掛合保持可能な周枠と、を有し、前記容器本体における少なくとも前記没入する範囲内に、水槽内の水が流通可能な通水孔が設けられたことを特徴としている。
【0011】
好ましくは、透明な窓板を備え、前記副容器に代えて、前記窓孔の周縁部に前記窓板を装着可能に構成される。
【0012】
好ましくは、前記カバー本体は、後面側の前記側壁に、電源コードやパイプ類を挿通可能な補助孔が設けられる。
【0013】
好ましくは、前記カバー本体は、前記側壁の下縁部に、水槽の上縁部の内側に嵌挿される嵌合枠部が設けられ、前記嵌合枠部の外側面に、水槽と前記カバー本体との間からの水の漏出を防止可能なパッキンが設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水槽用上部カバーによれば、既存の水槽を用いて観葉植物を栽培することができる。しかも、その場合であっても、水槽外部への水の飛散や育成生物の飛び出しを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の水槽用上部カバーの設置状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の水槽用上部カバーの斜視図である。
図3】第1実施形態の水槽用上部カバーの上方視図である。
図4】第1実施形態の水槽用上部カバーの後方視図である。
図5】第1実施形態の水槽用上部カバーの側方視縦断面概略図である。
図6】第2実施形態の水槽用上部カバーの斜視図である。
図7】第2実施形態の水槽用上部カバーの上方視図である。
図8】第2実施形態の水槽用上部カバーの側方視縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る水槽用上部カバーを、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1図5に示すように、第1実施形態の水槽用上部カバー(以下、「上部カバー」という)1は、カバー本体2と、窓板3と、副容器4とを備えており、カバー本体2を水槽5の上縁部(以下、「水槽上縁部」という)6に載置して使用される。また、上部カバー1は、必要に応じて、カバー本体2に照明器具7を設置して使用することもできる。尚、本実施形態の上部カバー1は、幅寸法が略60cm、奥行寸法が略30cm、高さ寸法が略36cmに形成された所謂60cm水槽に適用するカバーである。
【0018】
カバー本体2は、下方に開口する上方視横長略長方形の箱状に形成されており、上壁(以下、「カバー上壁」という)11と、前後左右4つの側壁(以下、「カバー側壁」という)12とを有している。尚、カバー本体2は、ステンレスやアルミなどの板金の曲げ加工により形成されている。また、本実施形態では、カバー本体2の幅方向を上部カバー1の前後方向、カバー本体2の奥行方向を上部カバー1の左右方向、カバー本体2の高さ方向を上部カバー1の上下方向とする。
【0019】
カバー上壁11は、略平板状に形成されており、カバー本体2が水槽5の上部に適切に設置された状態において、水槽5の上部開口5Hに上方から対向して配置される。また、カバー上壁11は、窓孔13と、餌投入口14とを備えている。さらに、餌投入口14には、餌投入口14を開閉可能なスライド扉15が設けられている。
【0020】
窓孔13は、カバー上壁11の略中央部に開設されている。また、窓孔13は、カバー上壁11の外周縁よりもやや中央寄りの領域を囲う大きさに形成されており、水槽5内を上方から観察したり、水槽5内の清掃を行ったり、副容器4を取り付けたりするための開口となる。
【0021】
窓孔13の前縁における左右間の略中央位置には、後方に向かって突出する突片16が形成されている。また、カバー上壁11における窓孔13の周縁部、即ち、窓孔13の内周縁とカバー上壁11の外周縁との間には、複数のネジ留め孔(図示せず)が設けられている。
【0022】
餌投入口14は、カバー上壁11の左右間の略中央前縁寄りの位置、即ち、突片16の基端部に開設されている。また、餌投入口14は、左右に長い略長方形状の貫通孔であり、水槽5内に観賞魚の餌を投入したり、薬剤を投入したりするための開口となる。
【0023】
スライド扉15は、前端縁部15Aが上向きに折曲された断面略L字状の板体であり、上記前端縁部15Aを餌投入口14からその上方へ突出させた状態で、突片16の下面部にて前後方向へスライド移動可能に保持されている。尚、スライド扉15は、カバー本体2と同様、ステンレスやアルミなどの板金により形成されている。
【0024】
突片16は、餌投入口14より広幅の平板状に形成されている。突片16の後端縁は、後方へ凸の上方視略V字状に形成されている。ネジ留め孔(図示せず)は、突片16における餌投入口14の左右位置にも設けられている。
【0025】
カバー側壁12は、カバー上壁11の外周縁から下方に向かって延設されている。また、カバー側壁12の下縁部(以下、「側壁下縁部」という)17は、水槽上縁部6と略同一の前後および左右寸法に形成されている。従って、カバー本体2は、水槽5に載置させたとき、側壁下縁部17の全周が水槽上縁部6の全周に亘って当接支持される。即ち、カバー側壁12は、カバー本体2が水槽5の上部に適切に設置された状態において、上部開口部5Hの外周を囲うように立設され、さらにその上端部に、カバー上壁11が設けられている。これにより、上部開口5Hから水槽5外部へ水が飛散したり育成生物が飛び出したりするのを防止できる。また、上部開口5Hから水槽5内へ不用意に物を落下させるのも防止できる。
【0026】
カバー側壁12の内側面は、研磨や塗装、銀蒸着などの鏡面加工が施されている。従って、カバー本体2の外部から窓孔13を通過した光は、カバー側壁12の内側面にて反射され、水槽5内へ下向きに導入される。これにより、水槽5内の観賞魚や水草がより鮮やかに照明される。
【0027】
側壁下縁部17にはそれぞれ、嵌合枠部18が設けられている(図4および図5参照)。嵌合枠部18は、側壁下縁部17に沿って略矩形環状に連設されている。詳しくは、側壁下縁部17には、その略全周に亘って内向き(カバー本体2の内側)に突出する内フランジ19が形成されており、嵌合枠部18は、内フランジ19の内側端縁から下向きに折曲形成されている。
【0028】
内フランジ19の下面および嵌合枠部18の外側面にはそれぞれ、パッキン21,22
が設けられている。内フランジ19の下面のパッキン(以下、「下面パッキン」という)21は、帯状の弾性部材であり、内フランジ19の下面に沿って略矩形環状に延設されている。一方、嵌合枠部18のパッキン(以下、「内枠パッキン」という)22は、断面略U字状の弾性部材であり、嵌合枠部18を下方から挟持するように、嵌合枠部18に沿って略矩形環状に延設されている。従って、カバー本体2が水槽5の上部に適切に設置された状態において、内フランジ19は、下面パッキン21を介して水槽上縁部6の上端面に支持される。一方、嵌合枠部18は、内枠パッキン22を介して水槽上縁部6の内側に上方から嵌挿される。これにより、水槽5に対するカバー本体2の前後左右方向へのずれが防止される。また、水槽5とカバー本体2との間から水が漏出したり、塩分、カルシウム成分などが析出したりするのも防止される。
【0029】
カバー本体2の前面側のカバー側壁(以下、「カバー前壁」という)12Aは、カバー本体2の前上方へ凸の断面略円弧状に形成されており、カバー上壁11の前端縁から前方下向きに延設されている。換言すると、カバー前壁12Aの内側面は、カバー本体2の前上方に向かって凹曲面状に形成されている。
【0030】
カバー本体2の後面側のカバー側壁(以下、「カバー後壁」という)12Bは、略平板状に形成されており、カバー上壁11の後端縁から下向きに延設されている。また、カバー後壁12Bは、補助孔23と、連結用孔24とを備えている。
【0031】
補助孔23は、カバー後壁12Bの左右の側縁寄りの位置にそれぞれ設けられている。また、補助孔23は、略円形状の貫通孔であり、水槽5内に設置されるヒータや揚水ポンプなどの電源コードを挿通させたり、エアレーション用のエアチューブを挿通させたり、外部フィルターの入水パイプや出水パイプなどのパイプ類を挿通させたりするための開口となる。補助孔23の内周縁には、全周に亘って端面保護枠23Aが環設されている(図4参照)。また、カバー本体2は、補助孔23を被蓋可能な蓋体(図示せず)を有している。従って、補助孔23は、使用しない場合に、上記蓋体によって閉じておくことができる。
【0032】
連結用孔24は、カバー後壁12Bにおける左右間の略中央位置に開設されている。また、連結用孔24は、ネジ孔24Aと、掛合孔24Bとを有しており(図4参照)、これらネジ孔24Aおよび掛合孔24Bに照明器具7を連結固定させることができる。ネジ孔24Aは、小円形状の貫通孔であり、カバー後壁12Bにおける左右間の略中央位置に開設されている。掛合孔24Bは、縦長略長方形状の貫通孔であり、ネジ孔24Aを挟んでその左右位置にそれぞれ開設されている。尚、本実施形態の上部カバー1に設置される照明器具7は、支柱7Aの上端部にライト本体7Bが連設された所謂スタンド型のLED照明灯であり(図1参照)、支柱7Aの下端部を上記2つの掛合孔24Bに掛合させると共に、ネジ孔24Aにてネジ留め固定することによって、カバー本体2に起立状態で支持される。
【0033】
カバー本体2の左側面側のカバー側壁(以下、「カバー左壁」という)12C、および右側面側のカバー側壁(以下、「カバー右壁」という)12Dは何れも、略平板状に形成されており、カバー上壁11の左右の端縁からそれぞれ下方に向かって延設されている。また、カバー左壁12Cおよびカバー右壁12Dはそれぞれ、手掛部25を備えている。
【0034】
手掛部25は、カバー左壁12Cおよびカバー右壁12Dにおける前後間の略中央位置に設けられている。また、手掛部25は、前後に長い略長方形状に凹没形成されている。従って、使用者は、左右の手掛部25に両手の親指以外の4指をそれぞれ掛けることで、上部カバー1を水槽上縁部6に容易に載置したり、水槽上縁部6から容易に取り外したりすることができる。
【0035】
窓板3は、透明な略平板状の板体であり、副容器4を使用しない場合に、カバー上壁11の上面部または下面部(窓孔13の周縁部)に装着固定される。また、窓板3は、窓孔13よりも大きい前後および左右寸法に形成されている。尚、本実施形態では、窓板3は、カバー上壁11の下面部に装着されており、窓孔13を下方から被蓋している。また、窓板3は、ポリカーボネートやアクリルなどの透明な合成樹脂素材により形成されている。
【0036】
窓板3の外周部には、カバー上壁11に設けられたネジ留め孔に対応する位置に、複数のネジ留め孔(図示せず)が設けられている。窓板3は、窓孔13の全体を覆うようにしてカバー上壁11の上面部または下面部に重ね合わせ、上記各ネジ留め孔にて複数の固定ネジ26により上下からネジ留め固定される。これにより、使用者は、上部カバー1を水槽5から外すことなく、窓板3を通して水槽5内を上方から観察することができる。また、照明器具7や室内照明など水槽5の上方から照射される光を、窓孔13の全面を通して水槽5の内部に導入することもできる。これにより、水槽5内の観賞魚や水草が一層鮮やかに照明される。
【0037】
本実施形態では、固定ネジ26は、カバー本体2に対して使用者が手の指で容易に着脱可能なつまみネジが用いられる。これにより、窓板3を副容器4に、或いは副容器4を窓板3に容易に付け替えることができる。
【0038】
副容器4は、上方に開口する上方視横長略長方形状の箱体であり、窓板3に代えて、カバー上壁11の上面部に埋設可能に構成されている。詳しくは、副容器4は、容器本体31と、周枠32と、グリップ33とを有しており、容器本体31を窓孔13に落とし込んだ状態で、カバー上壁11の上面部に装着固定可能に構成されている(図1および図5参照)。また、副容器4は、窓板3と同様、ポリカーボネートやアクリルなどの透明な合成樹脂素材により形成されている。
【0039】
容器本体31は、前後左右4つの側面部(以下、「容器側面部」という)34と、下面部(以下、「容器下面部」という)35とを有している(図1および図5参照)。また、容器本体31は、窓孔13よりも小さい前後および左右寸法に形成されている。詳しくは、容器本体31の前後寸法は、窓孔13の後端縁と突片16の先端との間の寸法よりも小さく形成されている。一方、窓孔13の左右寸法は、窓孔13の左右端縁間の寸法より小さく形成されている。従って、副容器4がカバー本体2に取り付けられた状態のとき、容器本体31と窓孔13の内周縁との間には、所定の間隙S1が画成される。特に、容器本体31の前方における突片16の左右位置には、広幅の間隙S2が画成される(図3および図5参照)。従って、照明器具7や室内照明など水槽5の上方から照射される光は、上記間隙S1,S2を通して水槽5の内部に導入される。また、上記間隙S1,S2を通った光の一部は、カバー本体2の側壁12の内側面にて反射され、水槽5の内部に導入される。さらに、副容器4の前方の間隙S2を通った光は、カバー前壁12Aの内側面にて反射され、水槽5内の後下方に向かって導入される。これにより、水槽5内の観賞魚や水草がより一層鮮やかに照明される。
【0040】
また、容器本体31は、窓孔13に埋設された状態において、容器下面部35からその上方の所定範囲が側壁下縁部17よりも下方位置まで没入されるように構成されている。詳しくは、容器本体31は、副容器4がカバー本体2に取り付けられた状態のとき、容器下面部35を含む容器側面部34の下縁部から上方略1/3の範囲が側壁下縁部17よりも下方位置まで没入される(図5参照)。
【0041】
容器本体31には、通水孔36が設けられている。通水孔36は、小円形状の貫通孔で
あり、容器本体31における少なくとも上記没入する範囲内、即ち、容器下面部35を含む容器側面部34の下縁部から上方略1/3の範囲内に複数設けられている。従って、水槽5内に水が水槽上縁部6付近まで貯留された状態で、副容器4をカバー上壁11の上面部に埋設させれば、通水孔36の一部または全部が水没し、容器本体31内に水槽5内の水が流通可能となる。これにより、副容器4にて観葉植物Pを育成することができる。
【0042】
具体的には、副容器4にて観葉植物Pを育成する場合は、容器本体31内に培養材を充填し、観葉植物Pを植える。この場合、水槽5内の水位が容器下面部35より上方位置で維持されている間は、培養材の下層が水槽5内の水に浸されるから、水やりの必要がない。また、容器本体31が水槽5内の十分な深さ位置まで没入可能な大きさ(上下高さ)を有していれば、副容器4は、観葉植物Pの育成に代えて、観賞魚を水槽5内と隔離して飼育したり、稚魚を飼育したり、観賞魚以外の水生生物を飼育したり、生餌を保管したりするのに用いることもできる。尚、副容器4にて観賞魚の隔離飼育や稚魚の飼育をする場合は、水槽5内の底部における容器下面部35の下方位置にてエアレーションを行うのが好ましい。詳しくは、容器下面部35の下方位置にエアストーンを配し、外部のエアポンプからエアチューブを通じて上記エアストーンに空気を送り込み、気泡を放出させる。これにより、容器下面部35の通水孔36を通じて容器本体31内へ適切に空気および水を供給することができる。
【0043】
周枠32は、透明な略平板状の板体であり、容器側面部34の上端縁から外向きに延設されている。また、周枠32は、窓孔13よりも大きい前後および左右寸法に形成されている。
【0044】
周枠32の外周部には、窓板3と同様、カバー上壁11に設けられたネジ留め孔に対応する位置に、複数のネジ留め孔(図示せず)が設けられている。副容器4は、容器本体31を窓孔13に落とし込んだ状態で、周枠32を窓孔13の外周面部に掛合させ、上記各ネジ留め孔にて複数の固定ネジ26により上下からネジ留め固定される。これにより、副容器4は、カバー上壁11の上面部に埋設された状態で固定される。
【0045】
グリップ33は、略円柱状の棒材を略逆U字状に折曲して形成された枠体であり、上向きにループ状となる姿勢で、周枠32の左右位置で且つ前後間の略中央位置にそれぞれ連結固定されている(図1参照)。従って、使用者は、左右のグリップ33を両手で把持することで、副容器4を容器本体31内の収容物と共に容易に持ち上げたり降ろしたりすることができる。
【0046】
このように、本実施形態の上部カバー1によれば、副容器4を用いることで、水槽5にて観賞魚の飼育や水草を育成するだけでなく、観葉植物Pを栽培することもできる。しかも、その場合であっても、水槽5の上部開口5Hの全面がカバー本体2および副容器4の周枠32によって上方から被蓋されるから、水槽5外部への水の飛散や育成生物の飛び出しを確実に防止できる。
【0047】
さらに、このものでは、副容器4に代えて、窓孔13の周縁部に窓板3を装着すれば、水槽5の上部開口5Hの全面がカバー本体2および窓板3によって上方から被蓋されるから、窓孔13の全面から水槽5内に上方から光を導入しつつ、水槽5外部への水の飛散や育成生物の飛び出しを確実に防止することが可能となる。
【0048】
また、このものでは、水槽5の上部開口5Hの全面がカバー本体2で覆われていても、カバー後壁12Bに設けられた補助孔23から電源コードやエアチューブ、パイプ類を水槽5内に挿通することができるから、利便性も向上する。また、上記のように補助孔23に電源コードやエアチューブ、パイプ類を挿通させることで、それらが水槽5の上部や側
部に露出しないから、水槽5周辺の美観も格段に向上する。
【0049】
また、このものでは、カバー本体2の側壁下縁部17に設けられた嵌合枠部18が水槽上縁部6の内側に上方から嵌挿されることで、水槽5に対するカバー本体2の前後左右方向へのずれが防止されるから、水槽5の上部開口5Hからの水の飛散や育成生物の飛び出しをより確実に防止できる。しかも、このものでは、内フランジ19の下面に設けられた下面パッキン21、および嵌合枠部18の外側面に設けられた内枠パッキン22によって、水槽5内の水が水槽5とカバー本体2との間から漏出するのも確実に防止できる。
【0050】
〔第2実施形態〕
上記実施形態では、スライド扉15を前後にスライド移動させることで、餌投入口14を開閉させるように構成されたものを説明したが、図6図8に示すように、第2実施形態の上部カバー1は、スライド扉15に代えて、餌投入口44を被蓋可能な口蓋45を有しており、口蓋45を餌投入口44に載置したり、餌投入口44から取り外したりすることで、餌投入口44を開閉させるように構成されている。
【0051】
詳述すると、第2実施形態の上部カバー1は、窓孔13の前縁における左右間の略中央位置に、後方に向かって膨出する略半円弧状の突片46が形成されている。餌投入口44は、突片46の基端部に開設されている。また、餌投入口44は、円形状の貫通孔である。
【0052】
口蓋45は、中空または中実の球体であり、餌投入口44に載置された状態では、下側の球面の一部を餌投入口44に落とし込んだ状態で、餌投入口44の内周縁に当接支持される。これにより、餌投入口44は、口蓋45によって水密状態で封止される。
【0053】
その他の構成は、第1実施形態の上部カバー1と同様に構成されている。従って、第1実施形態の上部カバー1と同様の作用効果を奏する。
【0054】
また、餌投入口44の周縁部や口蓋45は、水槽5内に餌や薬剤を投入する際に汚れ易いため、定期的に清掃する必要がある。しかしながら、上記第2実施形態の上部カバー1によれば、餌投入口44が円形状に形成され、且つ口蓋45も球状に形成されているから、餌投入口44の周縁部や口蓋45に汚れが付着しても、容易に拭き取ることが可能である。よって、メンテナンス性も格段に向上する。
【0055】
尚、口蓋45は、メンテナンス性を考慮して、第1実施形態の上部カバー1のスライド扉15と同様、ステンレスやアルミなどの金属素材により形成されたものであってもよいし、餌投入口44の密閉性を考慮して、天然ゴムや合成樹脂等の弾性素材により形成されたものであってもよい。また、餌投入口44を適切に封止可能であれば、口蓋45は、球体に限らず、円筒状や円錐状、略半球状に形成されたものであってもよい。また、餌投入口44が略矩形状に形成されている一方、口蓋45は、その餌投入口44の形状に合わせて略矩形状に形成されたものであってもよい。
【0056】
上記実施形態では、通水孔36は、容器下面部35を含む容器側面部34の下縁部から上方略1/3の範囲内に設けられたものを説明したが、容器本体31内に水槽5内の水が適切に流通可能であれば、通水孔36は、容器下面部35にのみ設けられたものとしてもよいし、容器側面部34にのみ設けられたものとしてもよい。また、通水孔36は、容器側面部34の下縁部から上方略1/3の範囲内だけでなく、容器側面部34の略全面に設けられたものとしてもよいし、容器側面部34の特定の側面部にのみ設けられたものとしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、通水孔36は、小円形状に形成されたものを説明したが、副容器4の容器本体31内へ水槽5内の水が適切に流通可能であれば、通水孔36は、楕円形状に形成されたものとしてもよいし、小正方形状に形成されたものとしてもよい。また、上下に長い細幅直線状(縦スリット状)に形成されたものとしてもよいし、左右に長い細幅直線状(横スリット状)に形成されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 水槽
2 上部カバー(水槽用上部カバー)
3 窓板
4 副容器
5 水槽
5H 上部開口
6 水槽上縁部(上縁部)
11 カバー上壁(上壁)
12 カバー側壁(側壁)
13 窓孔
17 側壁下縁部(下縁部)
31 容器本体
32 周枠
35 容器下面部(下面部)
36 通水孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
水槽の上部開口を被蓋する水槽用上部カバーであって、
下方に開口する略箱状のカバー本体と、
上方に開口する略箱状の副容器と、を備え、
前記カバー本体は、
前記上部開口に上方から対向する上壁と、
前記上壁の外周縁から下方に向かって延設され、下縁部が水槽の上縁部の全周に亘って当接支持される側壁と、を有し、
前記上壁の略中央部に、前記副容器を埋設可能な窓孔が設けられ、
前記側壁の下縁部に、前記カバー本体の内側に向かって突出する内フランジが設けられ、
前記内フランジの内側端縁に、前記カバー本体の下方に向かって突出する嵌合枠部が設けられ、
前記副容器は、
前記窓孔に埋設された状態において、下面部から上方の所定範囲が前記側壁の下縁部よりも下方位置まで没入される容器本体と、
容器本体から外向きに延設され、前記窓孔の外周面部に掛合保持可能な周枠と、を有し、
前記容器本体における少なくとも前記没入する範囲内に、水槽内の水が流通可能な通水孔が設けられた、水槽用上部カバー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の水槽用上部カバーは、水槽の上部開口を被蓋する水槽用上部カバーであって、下方に開口する略箱状のカバー本体と、上方に開口する略箱状の副容器と、を備え、前記カバー本体は、前記上部開口に上方から対向する上壁と、前記上壁の外周縁から下方に向かって延設され、下縁部が水槽の上縁部の全周に亘って当接支持される側壁と、を有し、前記上壁の略中央部に、前記副容器を埋設可能な窓孔が設けられ、前記側壁の下縁部に、前記カバー本体の内側に向かって突出する内フランジが設けられ、前記内フランジの内側端縁に、前記カバー本体の下方に向かって突出する嵌合枠部が設けられ、前記副容器は、前記窓孔に埋設された状態において、下面部から上方の所定範囲が前記側壁の下縁部よりも下方位置まで没入される容器本体と、容器本体から外向きに延設され、前記窓孔の外周面部に掛合保持可能な周枠と、を有し、前記容器本体における少なくとも前記没入する範囲内に、水槽内の水が流通可能な通水孔が設けられたことを特徴としている。