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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077125
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】マットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 23/22 20060101AFI20230529BHJP
   D06M 11/44 20060101ALI20230529BHJP
   D06M 11/76 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A47L23/22 E
D06M11/44
D06M11/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190289
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116253
【氏名又は名称】ワタナベ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】草地 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝之
(72)【発明者】
【氏名】虫明 琢海
(72)【発明者】
【氏名】前田 円
(72)【発明者】
【氏名】樋口 貴祐
【テーマコード(参考)】
4L031
【Fターム(参考)】
4L031AA18
4L031AB34
4L031BA11
4L031BA14
4L031DA12
(57)【要約】
【課題】防炎性を保持しつつ、十分な強度を有し、抗ウィルス性を発揮することができるマットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル繊維を含む不織布ウェブに漆喰成分が付着してなるマットであって、前記ポリエステル繊維のニードルパンチ密度が80kg/m以上120kg/m以下、前記漆喰成分に由来する水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の前記不織布ウェブ1m当たりの目付量が50g/m以上400g/m以下である、マット。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル繊維を含む不織布ウェブに漆喰成分が付着してなるマットであって、
前記ポリエステル繊維のニードルパンチ密度が80kg/m以上120kg/m以下、
前記漆喰成分に由来する水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の前記不織布ウェブ1m当たりの目付量が50g/m以上400g/m以下である、マット。
【請求項2】
前記不織布ウェブに接合する基布を有し、
前記基布は、繊維製織布から構成される、請求項1に記載のマット。
【請求項3】
前記不織布ウェブと前記基布との間に難燃剤含有樹脂層を有する、請求項2に記載のマット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のマットの製造方法であって、
不織布ウェブに漆喰成分を含む塗料を塗工する工程と、前記塗料を塗工した不織布ウェブを乾燥する工程と、を有するマットの製造方法。
【請求項5】
前記塗料は、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方、カルボキシ基含有分散樹脂、アルカリ金属化合物、アミノ基と酸基とを有する化合物、並びに水を含有する水性塗料である、請求項4に記載のマットの製造方法。
【請求項6】
前記塗料は、増粘剤およびバインダー樹脂の少なくとも一方を含有する、請求項4または5に記載のマットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の入り口や病室の入り口等に設置されるマットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布等の繊維材料に消臭性や抗菌性を付与する技術について、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、有機繊維を含む布帛に、金属水酸化物とアミン化合物とを含む消臭剤Aを、酸価5mgKOH/固形分g~600mgKOH/固形分gの合成樹脂バインダーBを介して付着させる消臭性布帛の製造方法が開示されている。この製造方法で得られた消臭性布帛は、タバコ臭の主成分である酢酸およびアセトアルデヒド類に対して優れた消臭性を発揮する。また、特許文献2には、水酸化カルシウムを主体とし、増粘剤、繊維物質および分散剤を含有する漆喰用組成物に、ポリホウ酸ナトリウム塩を添加混合してなる漆喰が塗工されてなるポリエステル系繊維布帛が開示されている。このポリエステル系繊維布帛は、抗菌性や消臭性に加え、難燃性や不燃性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-180515号公報
【特許文献2】特開2012-158841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、布帛の消臭性について検討されているものの、布帛の強度、防炎性および抗ウィルス性については検討されていなかった。また、特許文献2では、ポリエステル系繊維布帛の消臭性、難燃性および不燃性について検討されているものの、ポリエステル系繊維布帛の強度および抗ウィルス性については検討されていなかった。
【0005】
上記のような布帛には、設置後に安定して防炎性を発揮するためや、長期間の使用に耐えられるようにするために、十分な強度が求められていた。また、上記のような布帛には、ウィルスを媒介しないようにするために、抗ウィルス性が求められていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、防炎性を保持しつつ、十分な強度を有し、抗ウィルス性を発揮することができるマットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]ポリエステル繊維を含む不織布ウェブに漆喰成分が付着してなるマットであって、
前記ポリエステル繊維のニードルパンチ密度が80kg/m以上120kg/m以下、
前記漆喰成分に由来する水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の前記不織布ウェブ1m当たりの目付量が50g/m以上400g/m以下である、マット。
[2]前記不織布ウェブに接合する基布を有し、
前記基布は、繊維製織布から構成される、[1]に記載のマット。
[3]前記不織布ウェブと前記基布との間に難燃剤含有樹脂層を有する、[2]に記載のマット。
[4][1]~[3]のいずれかに記載のマットの製造方法であって、
不織布ウェブに漆喰成分を含む塗料を塗工する工程と、前記塗料を塗工した不織布ウェブを乾燥する工程と、を有するマットの製造方法。
[5]前記塗料は、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方、カルボキシ基含有分散樹脂、アルカリ金属化合物、アミノ基と酸基とを有する化合物、並びに水を含有する水性塗料である、[4]に記載のマットの製造方法。
[6]前記塗料は、増粘剤およびバインダー樹脂の少なくとも一方を含有する、請求項[4]または[5]に記載のマットの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、防炎性を保持しつつ、十分な強度を有し、抗ウィルス性を発揮することができるマットおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のマットの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0010】
[マット]
本実施形態のマットは、不織布ウェブに漆喰成分が付着してなるマットである。不織布ウェブは、ポリエステル繊維を含む。
【0011】
本実施形態のマットの形状は特に限定されないが、例えば、平面視にて、正方形状、長方形状等が挙げられる。
なお、本実施形態のマットにおいて、タテ方向とはウェブの流れ方向のことであり、ヨコ方向とはウェブの流れに対し垂直方向のことである。また、本実施形態のマットに含まれる不織布ウェブのタテ方向はマットのタテ方向と同じであり、不織布ウェブのヨコ方向はマットのヨコ方向と同じである。
【0012】
本実施形態のマットにおいて、不織布ウェブに漆喰成分が付着した形態としては、不織布ウェブに含まれるポリエステル繊維同士の間に漆喰成分が含浸した形態や、不織布ウェブに含まれるポリエステル繊維の表面に漆喰成分が付着した形態等が挙げられる。
【0013】
本実施形態のマットは、目付量が600g/m以上720g/m以下であることが好ましく、630g/m以上690g/m以下であることがより好ましい。前記目付量が前記下限値以上であると、クッション性、不動性など下敷き用途としての品質が安定する。前記目付量が前記上限値以下であると、設置や持ち運びに適した重量とすることができる。
【0014】
本実施形態のマットは、厚さが3.0mm以上3.6mm以下であることが好ましく、3.2mm以上3.4mm以下であることがより好ましい。前記厚さが前記下限値以上であると、漆喰塗料の漏れ出しを防止できる。前記厚さが前記上限値以下であると、漆喰塗料を均一に含侵できる。
【0015】
「不織布ウェブ」
不織布ウェブは、複数種類のポリエステル繊維綿を混合し、カードにかけて、ウェブを形成し、さらに、そのウェブをクロスレイヤー装置にて8枚以上10枚以下積層し、ニードルパンチにより絡合させて得られたフェルト状にした布生地である。
重ねたウェブを圧縮して、不織布ウェブを作製する際の荷重(圧力)は、ニードルパンチ密度(kg/m)で表される。
【0016】
不織布ウェブに含まれるポリエステル繊維のニードルパンチ密度が80kg/m以上120kg/m以下であり、90kg/m以上120kg/m以下であることが好ましく、90kg/m以上110kg/m以下であることがより好ましい。前記ニードルパンチ密度が前記下限値未満では、漆喰塗料がマット下部に漏れ出す可能性が生じる。前記ニードルパンチ密度が前記上限値を超えると、漆喰塗料が均一に含侵されない可能性が生じる。
【0017】
不織布ウェブに含まれるポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態のマットの形状保持性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
【0018】
ポリエステル繊維は、モノフィラメント糸であっても、マルチフィラメント糸であってもよい。
ポリエステル繊維の太さは特に限定されないが、例えば、3.3デシテックス以上20デシテックス以下であることが好ましく、4.4デシテックス以上17デシテックス以下であることがより好ましい。ポリエステル繊維の太さが前記下限値以上であれば、繊維間の結合を強め、強度を安定させることができる。ポリエステル繊維の太さが前記下限値以下であれば、繊維間の隙間が疎にならないため漆喰塗料の漏れ出しを防止できる。
ポリエステル繊維の太さが上記の範囲内であれば、本実施形態のマットの形状保持性がより向上する。
【0019】
不織布ウェブに含まれるポリエステル繊維は、生糸または加工糸のいずれであってもよい。本実施形態のマットの形状保持性の観点から、ポリエステル繊維は、生糸または着色加工等が施された加工糸であることが好ましい。
【0020】
「漆喰成分」
漆喰成分は、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方を主成分とする。漆喰成分は、後述する塗料を不織布ウェブに塗工することにより、不織布ウェブに付着する。
漆喰成分に由来する水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の不織布ウェブ1m当たりの目付量が50g/m以上400g/m以下であり、特に防炎性向上の観点から、前記目付量が200g/m以上400g/m以下であることが好ましく、250g/m以上350g/m以下であることがより好ましい。前記目付量が前記下限値未満では、マットのpHが10以下となり、マットがアルカリ性を呈さなくなり、マットが抗ウィルス性を発揮することができない。前記目付量が前記上限値を超えると、仕上がり性が悪くなる。
【0021】
本実施形態のマットは、漆喰成分以外に、着色顔料、体質顔料、難燃剤、ホルマリンキャッチャー剤等を含んでいてもよい。
【0022】
「基布」
本実施形態のマットは、上記不織布ウェブに接合する基布を有することが好ましい。基布は、ニードルパンチ製法により、不織布ウェブの中間に機械的に接合されている。基布は、例えば、不織布ウェブの中間に存在するため、基布に含まれる繊維にも漆喰成分が付着している。
【0023】
基布としては、繊維製織布から構成されるものが用いられる。繊維製織布を構成する繊維としては、例えば、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維等が挙げられる。
合成繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維等が挙げられる。
天然繊維としては、例えば、木綿、麻等が挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、アセテート等が挙げられる。
無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維等が挙げられる。
これらの繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本実施形態のマットは、上記不織布ウェブに接合する基布を有することにより、強度がより向上する。
【0025】
本実施形態のマットは、上記不織布ウェブと上記基布との間に難燃剤含有樹脂層を有することが好ましい。
基布が、不織布ウェブの中間に存在する場合、不織布ウェブと基布は難燃剤含有樹脂層を介して接合している。
【0026】
難燃剤含有樹脂層は、主成分としての樹脂と、前記樹脂内に分散した難燃剤とを含む。
難燃剤含有樹脂層に含まれる樹脂としては、例えば、難燃性ウレタンゴム等が挙げられる。これらの中でも、難燃性に優れる観点から、SBR(変成スチレン・ブタジエン共重合体)が好ましい。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系化合物が挙げられる。これらの中でも、難燃性に優れる観点から、TBBPA(テトラブロモビスフェノールA)が好ましい。
【0027】
難燃剤含有樹脂層の総量を100質量%とした場合、難燃剤含有樹脂層における難燃剤の含有量は10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。難燃剤の含有量が前記下限値以上であれば難燃剤含有樹脂層は十分な難燃性を発現する。難燃剤の含有量が前記上限値以下であれば、難燃剤含有樹脂層が脆くなり、強度が低下することを抑制することができる。
【0028】
本実施形態のマットは、撥水性、防水性、抗菌消臭性、制菌性、抗ウィルス性、花粉付着防止性、抗アレルギー性、吸水性、紫外線遮蔽性、防汚性、制電性等を付与する加工が施されていてもよい。
【0029】
本実施形態のマットは、マットの耐久性保持の観点から、タテ方向の引張伸び率が60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。タテ方向の引張伸び率が前記上限値以下であれば、使用時に形状を保持できる。
また、本実施形態のマットは、加工時の安定性の観点から、タテ方向の引張伸び率が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。タテ方向の引張伸び率が前記下限値以上であれば、加工時にシワが生じても自動的に復元するため、加工性に優れる。
【0030】
本実施形態のマットは、マットの耐久性保持の観点から、ヨコ方向の引張伸び率が85%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。ヨコ方向の引張伸び率が前記上限値以下であれば、使用時に形状を保持できる。
また、本実施形態のマットは、加工時の安定性の観点から、ヨコ方向の引張伸び率が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。ヨコ方向の引張伸び率が前記下限値以上であれば、加工時にシワが生じても自動的に復元する為、加工性に優れる。
【0031】
本実施形態のマットは、マットの耐久性保持の観点から、タテ方向の引張強さが330N以上であることが好ましく、360N以上であることがより好ましい。タテ方向の引張強さが前記下限値以上であれば、使用時に形状を保持できる。
また、本実施形態のマットは、硬度の観点から、タテ方向の引張強さが600N以下であることが好ましく、500N以下であることがより好ましい。タテ方向の引張強さが前記上限値以下であれば、硬度過大を防止できる。
【0032】
本実施形態のマットは、マットの耐久性保持の観点から、ヨコ方向の引張強さが430N以上であることが好ましく、440N以上であることがより好ましい。ヨコ方向の引張強さが前記下限値以上であれば、使用時に形状を保持できる。
また、本実施形態のマットは、硬度の観点から、ヨコ方向の引張強さが700N以下であることが好ましく、600N以下であることがより好ましい。ヨコ方向の引張強さが前記上限値以下であれば、硬度過大を防止できる。
【0033】
マットの引張伸び率、マットの引張強さは、JIS L 1913:1998に準じて、定速伸長型引張試験機を用いて、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、幅40mm、長さ300mmのピース(試料)を3枚ずつ用意し、クランプ間隔200mm、引張速度100mm/分の条件で測定した際に、最大引張荷重を測定し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した値である。
【0034】
本実施形態のマットは、マットの耐久性保持の観点から、タテ方向の引裂強さが200N以上であることが好ましく、220N以上であることがより好ましい。タテ方向の引裂強さが前記下限値以上であれば、マットに裂け目が生じた際に破断を抑制できる。
【0035】
本実施形態のマットは、マットの耐久性保持の観点から、ヨコ方向の引裂強さが240N以上であることが好ましく、250N以上であることがより好ましい。ヨコ方向の引裂強さが前記下限値以上であれば、マットに裂け目が生じた際に破断を抑制できる。
【0036】
マットの引裂強さは、JIS L 1913:1998に準じて、シングルタング法にて定速伸長型引張試験機を用いて、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、幅40mm、長さ300mmのピース(試料)を3枚ずつ用意し、中央からヨコ方向に切込み深さ10mmを入れて、引張速度100mm/分の条件で測定した際に、最大引裂荷重を測定し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した値である。
【0037】
本実施形態のマットは、撥水性、防水性、抗菌消臭性、制菌性、抗ウィルス性、花粉付着防止性、抗アレルギー性、吸水性、紫外線遮蔽性、防汚性、制電性等を付与する加工が施されていてもよい。
【0038】
本実施形態のマットによれば、不織布ウェブに含まれるポリエステル繊維のニードルパンチ密度が80kg/m以上120kg/m以下、不織布ウェブに付着した漆喰成分に由来する水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の不織布ウェブ1m当たりの目付量が50g/m以上400g/m以下であるため、防炎性を低下させることなく、十分な強度を有し、抗ウィルス性を発揮することができる。
【0039】
[マットの製造方法]
本実施形態のマットの製造方法は、不織布ウェブを作製する工程(以下、「不織布ウェブ作製工程」と言う。)と、不織布ウェブに漆喰成分を含む塗料を塗工する工程(以下、「塗工工程」と言う。)と、塗料を塗工した不織布ウェブを乾燥する工程(以下、「乾燥工程」と言う。)と、を有する。
【0040】
「不織布ウェブ作製工程」
複数種類のポリエステル繊維綿を混合し、カードにかけて、ウェブを形成し、さらに、そのウェブをクロスレイヤー装置にて8枚以上10枚以下積層し、ニードルパンチにより絡合させて、不織布ウェブを作製する。
【0041】
不織布ウェブ作製工程において、8枚以上10枚以下積層したウェブをニードルパンチにより互いにからませる際、ニードルパンチ密度は、80kg/m以上120kg/m以下であることが好ましく、90kg/m以上120kg/m以下であることが好ましく、90kg/m以上110kg/m以下であることがより好ましい。前記ニードルパンチ密度が前記下限値未満では、漆喰塗料がマット下部に漏れ出す可能性が生じる。前記ニードルパンチ密度が前記上限値を超えると、漆喰塗料が均一に含侵されない可能性が生じる。
【0042】
「塗工工程」
不織布ウェブに塗料を塗工する方法は、特に限定されず、公知の方法が用いられる。不織布ウェブに塗料を塗工する方法としては、通常、不織布ウェブに塗料を含浸させる手法が用いられる。
【0043】
(塗料)
塗料は、漆喰成分を主成分とし、樹脂成分、添加剤成分、および水を含有する水性塗料である。漆喰成分は、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方を主成分とする。塗料は、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方、カルボキシ基含有分散樹脂、アルカリ金属化合物、アミノ基と酸基とを有する化合物、並びに水を含有する水性塗料であることが好ましい。
【0044】
塗料の総量を100質量%とした場合、塗料における水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の含有量は20質量%以上30質量%以下であることが好ましく、22質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、23質量%以上24質量%以下であることがさらに好ましい。水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の含有量が前記下限値以上であれば、アルカリ性が高まり、ウイルスや菌に対して高い抗菌・滅菌効果を発揮する。水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の含有量が前記上限値以下であれば、十分な抗菌・滅菌効果が付与されない。
【0045】
カルボキシ基含有分散樹脂としては、特に限定されず、従来公知の樹脂が使用可能であるが、例えば、酸価が4mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、好ましくは8mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であるアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0046】
酸価が4mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂としては、例えば、カルボキシ含有重合性不飽和モノマーおよび該カルボキシ基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法で重合して得られるアクリル樹脂等が挙げられる。
【0047】
酸価が4mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、公知の方法で製造されたポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性したポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0048】
酸価が4mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート、ポリオール及びカルボキシル基含有ジオールを反応させてなるウレタンプレポリマーを水中に分散することにより得られるポリウレタン樹脂や、鎖伸長剤として使用して、ウレタンプレポリマーをさらに反応させて鎖伸長反応することにより得られるポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0049】
上記カルボキシ基含有分散樹脂の中でも、分散性、貯蔵安定性等の観点から、アクリル樹脂が好ましい。
【0050】
塗料の総量を100質量%とした場合、塗料におけるカルボキシ基含有分散樹脂の含有量は0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。カルボキシ基含有分散樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、分散性を確保することができる。カルボキシ基含有分散樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、適正粘度を有する塗料とすることができる。
【0051】
アルカリ金属化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルコキシ化物、酸化物、ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中でも、貯蔵安定性の観点から、上記金属の水酸化物が好ましい。
【0052】
塗料の総量を100質量%とした場合、塗料におけるアルカリ金属化合物の含有量は0.1質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.5質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。アルカリ金属化合物の含有量が前記下限値以上であれば、塗料の貯蔵安定性を確保できる。アルカリ金属化合物の含有量が前記上限値以下であれば、付着性、耐水性に悪影響を及ぼすことがない。
【0053】
アミノ基と酸基とを有する化合物としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基などの酸基を有する化合物等が挙げられる。これらの中でも、塗料の貯蔵安定性の観点から、酸基としてカルボキシ基を有する化合物が好ましい。
【0054】
塗料の総量を100質量%とした場合、塗料におけるアミノ基と酸基とを有する化合物の含有量は0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。アミノ基と酸基とを有する化合物の含有量が前記下限値以上であれば、塗料の貯蔵安定性を確保できる。アミノ基と酸基とを有する化合物の含有量が前記上限値以下であれば、耐水性に悪影響を及ぼすことがない。
【0055】
塗料の総量を100質量%とした場合、塗料における水の含有量は25質量%以上60質量%以下であることが好ましく、27質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、29質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。水の含有量が前記下限値以上であれば、粘度を低く保てるためマット内部まで均一に塗料を含侵できる。水の含有量が前記上限値以下であれば、抗菌・抗ウイルス機能を損なうことなく発揮できる。
【0056】
塗料は、増粘剤およびバインダー樹脂の少なくとも一方を含有することが好ましい。
【0057】
塗料は、必要に応じて、着色顔料や体質顔料、キレート剤、有機溶剤、可塑剤、乳化剤、消泡剤、難燃剤、ホルマリンキャッチャー剤等の塗料用添加剤を適宜含有することができる。
【0058】
不織布ウェブに塗料を含浸させる場合、塗料に発泡剤を添加することが好ましい。発泡剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
【0059】
塗料の発泡倍率は、1.5倍以上5倍以下であることが好ましく、2倍以上4倍以下であることがより好ましい。塗料の発泡倍率が上記範囲内であれば、本実施形態のマットにおける水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の目付量を上記範囲内とすることができる。塗料の発泡倍率が前記下限値以上であれば、塗布目付量を上限値以下とすることができる。塗料の発泡倍率が前記上限値以下であれば、塗布目付量を下限値以上とすることができる。
【0060】
塗料の発泡倍率は、カップ方式で測定することができる。
【0061】
発泡時の塗料の泡粘度は、1000mPa・s以上6000mPa・s以下であることが好ましく、2500mPa・s以上4000mPa・s以下であることがより好ましい。発泡時の塗料の泡粘度が上記範囲内であれば、本実施形態のマットにおける水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の目付量を上記範囲内とすることができる。塗料の泡粘度が前記下限値以上であれば、塗布目付量を下限値以上とすることができる。塗料の泡粘度が前記上限値以下であれば、塗布目付量を上限値以下とすることができる。
【0062】
塗料の発泡時の泡粘度は、BM型粘度計のローターN04(30rpm、25℃)の条件で測定することができる。
【0063】
「乾燥工程」
塗料を塗工した不織布ウェブを乾燥する温度は、140℃以上160℃以下であることが好ましく、150℃以上155℃以下であることがより好ましい。不織布ウェブを乾燥する温度が前記範囲内であれば、不織布ウェブが熱により劣化することを抑制できる。
塗料を塗工した不織布ウェブを乾燥することにより、溶媒である水が蒸発し、不織布ウェブには、漆喰成分、樹脂成分および添加剤成分が付着して残り、本実施形態のマットが得られる。
【0064】
なお、本実施形態のマットが、上述のように不織布ウェブと基布との間に難燃剤含有樹脂層を有する場合、不織布ウェブおよび基布の少なくとも一方に、難燃剤を含有する樹脂液を塗布し、加熱乾燥させることにより、難燃剤含有樹脂層を形成することができる。
【0065】
本実施形態のマットの製造方法によれば、不織布ウェブに漆喰成分を含む塗料を塗工し、塗料を塗工した不織布ウェブを乾燥することにより、防炎性を低下させることなく、十分な強度を有し、抗ウィルス性を発揮するマットを得ることができる。
【実施例0066】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ここで、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。なお、以下の製造例、実施例および比較例における原材料の質量部は、原材料の固形分(または有効成分と記すことがある。)の質量部を表す。
【0067】
「漆喰成分を含む水性塗料の製造」
漆喰成分を含む水性塗料を、下記の通り製造した。
水酸化カルシウム100部、カルボキシ基含有樹脂5.0部、水酸化カリウム1.13部、グリシン1.50部、固形分30%のバインダー樹脂水分散体116.7部、チタン白100部、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(商品名:ニューコール707、日本乳化剤社製)1部、消泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)2部、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、商品名:HEC AL-15F、住友精化社製)1部、および水を、攪拌装置を備えた容器内で分散混合して、固形分52%の水性塗料Aを得た。
【0068】
「カルボキシ基含有分散樹脂の製造」
カルボキシ基含有分散樹脂を、下記の通り製造した。
加熱装置を備えた容量1000mLの加圧式反応容器に、大気圧下でプロピレングリコールモノメチルエーテル100部を仕込んだ後、加圧式反応容器を密閉し、200rpmで攪拌しながら内部の液相温度を200℃に保持した。この状態で、スチレン30部、2-エチルヘキシルアクリレート44部、アクリル酸26部、およびジ-t-アミルパーオキシド1部を含むモノマー混合物を、加圧式反応容器内に5時間かけて供給した。モノマー混合物の供給を終了してから1時間の間、内部の液相温度を200℃に保持した後、室温まで冷却した。内容物を別の加圧式反応容器に移し、攪拌しながら約120℃~170℃の温度で減圧しながら、加圧式反応容器の内部の揮発性物質を留去し、カルボキシ基含有分散樹脂を得た。得られたカルボキシ基含有分散樹脂の重量平均分子量(以下、「Mw」と記す。)は7000、酸価は200mgKOH/gであった。
【0069】
「固形分30%のバインダー樹脂水分散体の製造」
固形分30%のバインダー樹脂水分散体を、下記の通り製造した。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管および滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水128部、および乳化剤(有効成分25%、商品名:アデカリアソープSR-1025、ADEKA社製)2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温させた。次いで、下記コア部用モノマー乳化物(脱イオン水40部、「アデカリアソープSR-1025」2.8部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部およびn-ブチルアクリレート21部)の全量のうちの1%量および6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、コア部用モノマー乳化物の残部を3時間かけて、80℃に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。次に、下記シェル部用モノマー乳化物(脱イオン水17部、「アデカリアソープSR-1025」1.2部、過硫酸アンモニウム0.03部、スチレン3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、メタクリル酸3.1部、メチルメタクリレート8.0部、エチルアクリレート1.8部およびn-ブチルアクリレート9.0部)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した。その後、5%の2-(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm、固形分30%のアクリル樹脂水分散体を得た。得られたアクリル樹脂水分散体は、酸価20mgKOH/g、水酸基価25mgKOH/gであった。
【0070】
[マットの作製]
(実施例1~実施例4および比較例1~比較例5)
ポリエステル繊維白綿(東レ社製セミダル、7.8デシテックス)60部、ポリエステル繊維色綿(高木化学社製ブラウン、17デシテックス)20部、ポリエステル熱融着繊維綿(遠東紡社製4.4、デシテックス)20部を混合し、カードにかけて、ウエッブを形成し、そのウエッブをクロスレイヤー装置にて9枚積層し、ニードルパンチにより絡合させて、ニードルパンチ密度が100kg/mの不織布ウェブを得た。
上記水性塗料Aに、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを主成分とする発泡剤を添加し、水性塗料Aの発泡倍率を1.5倍~5倍、発泡時の泡粘度を1000mPa・s~6000mPa・sに調整した。
水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方の目付量が表1に示す量となるように、不織布ウェブに発泡倍率および泡粘度を調整した水性塗料Aを含浸させた。
その後、水性塗料Aを含浸させた不織布ウェブを150℃で加熱乾燥して、実施例1~実施例4および比較例1~比較例5のマットを得た。
得られた各マットのタテ方向の引張伸び率、ヨコ方向の引張伸び率、タテ方向の引張強さ、ヨコ方向の引張強さ、タテ方向の引裂強さ、およびヨコ方向の引裂強さを表1に示す。
【0071】
「耐久性の評価」
(引張伸び率および引張強さの測定)
マットの引張伸び率および引張強さの測定では、マットのタテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて、幅40mm、長さ300mmのピース(試料)を3枚ずつ用意した。それぞれのピースについて、定速伸長型引張試験機を用いて、クランプ間隔200mm、引張速度100mm/分の条件で引張強さを測定した際に、最大引張荷重を測定し、タテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて、引張強さの平均値を算出した。また、最大引張荷重時の引張伸び率を測定し、タテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて、引張伸び率の平均値を算出した。
【0072】
(引裂強さの測定)
マットの引裂強さの測定では、マットのタテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて、幅40mm、長さ300mmのピース(試料)を3枚ずつ用意した。それぞれのピースについて、中央からヨコ方向に切込み深さ10mmを入れて、定速伸長型引張試験機を用いて、引張速度100mm/分の条件で引裂強さを測定した際に、最大引裂荷重を測定し、タテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて、引裂強さの平均値を算出した。
【0073】
耐久性の評価基準を下記の通りとした。
◎:下記条件を全て満たしている。
・引張伸び率 タテ方向55%以下、ヨコ方向80%以下
・引張強さ タテ方向335N以上、ヨコ方向435N以上
・引裂強さ タテ方向205N以上、ヨコ方向245N以上
【0074】
〇:下記条件を満たしている。
・引張伸び率 タテ方向55%以上60%以下、ヨコ方向80%以上85%以下
・引張強さ タテ方向330N以上335N以下、ヨコ方向430N以上435N以下
・引裂強さ タテ方向200N以上205N以下、ヨコ方向240N以上245N以下
【0075】
×:下記条件を一つでも満たしていない。
・引張伸び率 タテ方向60%以下、ヨコ方向85%以下
・引張強さ タテ方向330N以上、ヨコ方向430N以上
・引裂強さ タテ方向200N以上、ヨコ方向240N以上
【0076】
「防炎性の評価」
防炎性能の評価では、45°エアーミックスバーナー法を用いた。防炎性能の評価では、マットのタテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて、幅22cm、長さ40cmのピース(試料)を3枚ずつ用意した。それぞれのピースについて、45°の角度で燃焼試験箱に取り付け、試験片の表面から1mm離して30秒間バーナーで加熱した際の残炎時間(試験片から炎が発生し続ける時間)および、炭化長を測定した。
防炎性の評価基準を下記の通りとした。
◎:残炎時間20秒以下、かつ炭化長10cm以下
×:残炎時間20秒以上、または炭化長10cm以上
【0077】
「抗ウィルス性(強アルカリ発現性)の評価」
マットの表面にpH試験紙を押し当てて、水を滴下し、その呈色度合いにより、pH10以上となるまでの時間を評価した。強アルカリ発現性が高い程、抗ウィルス性を有する。
抗ウィルス性(強アルカリ発現性)の評価基準を下記の通りとした。
◎:1分以内
〇:1分を超えて5分以内
△:5分を超えて15分以内
×:15分を超える
【0078】
「仕上り性の評価」
マットの表面の仕上り性を目視で評価した。
仕上り性の評価基準を下記の通りとした。
◎:塗工ムラは認められない
〇:極わずかに塗工ムラが認められる
△:少し塗工ムラが認められる
×:塗工ムラが目立つ
【0079】
【表1】
【0080】
表1の結果から、実施例1~実施例4のマットは、耐久性(強度)、防炎性および抗ウィルス性に優れていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のマットは、防炎性を保持しつつ、十分な強度を有し、抗ウィルス性を発揮することができるため、建物の入り口や病室の入り口等に設置して、抗ウィルス性や防炎性を発揮することができる。