(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077136
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】受電装置、給電装置、受電装置で実行される方法、給電装置で実行される方法、および通信システム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20230529BHJP
H04L 41/06 20220101ALI20230529BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G06F1/26 306
H04L41/06
H02J1/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190306
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】小野山 康介
(72)【発明者】
【氏名】恩田 公爾
(72)【発明者】
【氏名】宮城島 聡
【テーマコード(参考)】
5B011
5G165
【Fターム(参考)】
5B011DB27
5B011EA10
5B011FF04
5B011KK02
5B011KK12
5B011MB17
5G165CA01
5G165EA01
5G165JA07
5G165KA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】給電装置から電力供給停止の予告通知の提供を受け、給電停止までに必要な処理を実行する受電装置、給電装置、受電装置及び給電装置で夫々実行される方法及び通信システム。
【解決手段】給電装置と複数の受電装置を含む通信システムにおいて、各受電装置103は、給電装置に接続される接続部と、接続部を介して給電装置から電力の供給を受ける電源部と、接続部を介して給電装置から電力供給停止の予告通知を取得すると、給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行う制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置に接続される接続部と、
前記接続部を介して前記給電装置から電力の供給を受ける電源部と、
前記接続部を介して前記給電装置から電力供給停止の予告通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行う制御部と、
を備える、受電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記給電装置から前記電力供給停止の予告通知を複数回取得する、請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記電力供給停止の予告通知は、前記給電装置からの電力供給停止までの残り時間を示す情報を含む、請求項1又は2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力供給停止の予告通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止までの時間を測定する、請求項1又は2に記載の受電装置。
【請求項5】
前記給電装置は、PoE対応L2スイッチである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の受電装置。
【請求項6】
前記受電装置は、PoE対応機器であり、
前記接続部は、LANケーブルを介して前記給電装置に接続される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の受電装置。
【請求項7】
前記所定の処理は、システムログの保存及び設定ファイルの保存のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載の受電装置。
【請求項8】
前記所定の処理は、前記外部装置からの新規アクセスの受付停止及び前記受電装置に接続されている外部装置への接続先変更リクエストのうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載の受電装置。
【請求項9】
前記所定の処理は、前記給電装置に接続されて電力の供給を受ける他の受電装置への処理であり、
前記他の受電装置への処理は、電力供給停止の報知及び前記他の受電装置への権限移譲のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載の受電装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記電力供給停止のタイミングまでに前記所定の処理が完了しない場合、前記給電装置に前記電力供給停止のタイミングの更新をリクエストする、請求項1乃至9の何れか一項に記載の受電装置。
【請求項11】
1つ以上の受電装置が接続される1つ以上の接続部と、
前記接続部を介して前記1つ以上の受電装置に電力を供給する電力供給部と、
前記接続部を介して所定の受電装置に電力供給停止の予告通知を通知する通知部と、
前記通知部による前記電力供給停止の予告通知から所定時間経過後、前記電力供給部から前記所定の受電装置への電力供給を停止させる制御部、
を備える、給電装置。
【請求項12】
前記通知部は、前記電力供給停止の予告通知を複数回通知する、請求項11に記載の給電装置。
【請求項13】
前記通知部は、前記電力供給停止の予告通知を所定の間隔で通知する、請求項12に記載の給電装置。
【請求項14】
前記電力供給停止の予告通知は、電力供給停止までの残り時間を示す情報を含む、請求項11乃至13の何れか一項に記載の給電装置。
【請求項15】
前記給電装置は、PoE対応L2スイッチである、請求項11乃至14の何れか一項に記載の給電装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記所定の受電装置に対応する給電制御スケジュールに基づいて、前記所定の受電装置への電力供給を停止させる、請求項11乃至15の何れか一項に記載の給電装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記受電装置から電力供給停止のタイミングの更新をリクエストされた場合、前記受電装置への前記電力供給停止のタイミングを更新する、請求項11乃至16の何れか一項に記載の給電装置。
【請求項18】
1つ以上の受電装置と、
前記1つ以上の受電装置に接続された給電装置と、
を含み、
前記受電装置は、
前記給電装置に接続される第1接続部と、
前記第1接続部を介して前記給電装置から電力の供給を受ける電源部と、
前記第1接続部を介して前記給電装置から電力供給停止の通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行う制御部と、
を備え、
前記給電装置は、
前記1つ以上の受電装置が接続される1つ以上の第2接続部と、
前記第2接続部を介して前記1つ以上の受電装置に電力を供給する電力供給部と、
前記第2接続部を介して所定の受電装置に前記電力供給停止の予告通知を通知する通知部と、
前記通知部による前記電力供給停止の予告通知から所定時間経過後、前記電力供給部から前記所定の受電装置への電力供給を停止させる制御部と、
を備える、
通信システム。
【請求項19】
給電装置に接続される接続部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力の供給を受ける電源部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力供給停止の予告通知を取得する制御部とを備える受電装置において、
前記制御部が前記電力供給停止の予告通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行うこと、
を含む、前記受電装置で実行される方法。
【請求項20】
1つ以上の受電装置が接続される1つ以上の接続部と、前記接続部を介して前記1つ以上の受電装置に電力を供給する電力供給部と、を備える給電装置において、
前記接続部を介して所定の受電装置に電力供給停止の予告通知を通知し、
前記電力供給停止の予告通知から所定時間経過後、前記電力供給部から前記所定の受電装置への電力供給を停止すること、
を含む、前記給電装置で実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受電装置、給電装置、受電装置で実行される方法、給電装置で実行される方法、および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パケットデータを送受信する通信機器に電力を供給する電力供給方法として、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3af、IEEE802.3at等で標準化技術として定義されているPoE(Power over Ethernet(登録商標))技術が用いられている。例えば、特許文献1には、PoE対応機器と通信を行い、該PoE対応機器にLANケーブルを介して電力を供給するルータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ルータなどの給電装置は、予め設定された給電スケジュールに基づいて、ポートごとに給電の開始/停止を行い、PoE対応機器である受電装置の電源を制御することができる。しかしながら、給電装置がスケジュールに従って設定されたタイミングで受電装置への給電を予告なく停止した場合、受電装置で稼働中のシステムログなどのログの保存が間に合わず、未保存のログが消えてしまうという問題が発生する虞がある。
【0005】
このような課題に鑑み、本開示の目的の一つは、給電装置から電力供給停止の予告通知を受電装置に事前に提供し、給電停止までに受電装置において必要な処理が実行されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、給電装置に接続される接続部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力の供給を受ける電源部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力供給停止の予告通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行う制御部と、を備える、受電装置が提供される。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、1つ以上の受電装置が接続される1つ以上の接続部と、前記接続部を介して前記1つ以上の受電装置に電力を供給する電力供給部と、前記接続部を介して所定の受電装置に電力供給停止の予告通知を通知する通知部と、前記通知部による前記電力供給停止の予告通知から所定時間経過後、前記電力供給部から前記所定の受電装置への電力供給を停止させる制御部、を備える、給電装置が提供される。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、1つ以上の受電装置と、前記1つ以上の受電装置に接続された給電装置と、を含み、前記受電装置は、前記給電装置に接続される第1接続部と、前記第1接続部を介して前記給電装置から電力の供給を受ける電源部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力供給停止の通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行う制御部と、を備え、前記給電装置は、前記1つ以上の受電装置が接続される1つ以上の第2接続部と、前記第2接続部を介して前記1つ以上の受電装置に電力を供給する電力供給部と、前記第2接続部を介して所定の受電装置に前記電力供給停止の予告通知を通知する通知部と、前記通知部による前記電力供給停止の予告通知から所定時間経過後、前記電力供給部から前記所定の受電装置への電力供給を停止させる制御部と、を備える、通信システムが提供される。
【0009】
本開示の一実施形態によれば、給電装置に接続される接続部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力の供給を受ける電源部と、前記接続部を介して前記給電装置から電力供給停止の予告通知を取得する制御部とを備える受電装置において、前記制御部が前記電力供給停止の予告通知を取得すると、前記給電装置からの電力供給停止のタイミングまでに所定の処理を行うこと、を含む、前記受電装置で実行される方法が提供される。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、1つ以上の受電装置が接続される1つ以上の接続部と、前記接続部を介して前記1つ以上の受電装置に電力を供給する電力供給部と、を備える給電装置において、前記接続部を介して所定の受電装置に電力供給停止の予告通知を通知し、前記電力供給停止の予告通知から所定時間経過後、前記電力供給部から前記所定の受電装置への電力供給を停止すること、を含む、前記給電装置で実行される方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、給電停止までに受電装置において必要な処理が実行されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る給電装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る受電装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る給電装置で実行される給電停止処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る給電装置で実行される給電停止処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る受電装置で実行される給電停止処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図7】本開示の別の実施形態に係る通信システムの構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、以下に記載する実施形態で参照する図面において、同一の構成または同様な機能を有する類似の構成には同一の符号または類似の符号(数字XXXにA,Bまたは1,2等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0015】
[第1実施形態]
<通信システム>
本開示の第1実施形態に係る通信システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示の第1実施形態に係る通信システム10の構成例を示す概略図である。通信システム10は、給電装置101と受電装置103-1~103-n(nは自然数)を含む。以下の説明において、特に区別の必要のない場合は、受電装置は、単に「受電装置103」と記載する。
【0017】
給電装置101は、PoE対応のPSE(Power Sourcing Equipment)である。給電装置101は、例えば、給電スイッチングハブや給電アダプタなどである。本実施形態では、給電装置101がレイヤ2(L2)スイッチである例を説明する。
【0018】
受電装置103は、PoE対応のPD(Powered Device)である。受電装置103は、例えば、IPカメラ、アクセスポイント(AP)、IP電話、マイクなどである。本実施形態では、受電装置103がAPである例を説明する。受電装置103は、給電装置101とPoE対応LANケーブルを介して接続される。受電装置103は、L2スイッチである給電装置101とデータ通信を行うとともに、給電装置101から電力の供給を受ける。
【0019】
給電装置101と受電装置103とを接続するLANケーブルとしては、PoE対応のLANケーブルを用いることができる。給電方法は、オルタナティブA(Alternative A)モード、オルタナティブB(Alternative B)モード、4ペアPoEのいずれであってもよい。
【0020】
<給電装置>
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る給電装置101について説明する。
図2は、本実施形態に係る給電装置101の構成例を示すブロック図である。給電装置101は、制御部201、通信部203、記憶部205、電力供給部207及び接続部209を備えてもよい。制御部201、通信部203、記憶部205、電力供給部207は、バス211を介して互い接続される。
【0021】
制御部201は、CPUなどの演算処理回路を含む。制御部201は、記憶部205に記憶されたプログラムをCPU(コンピュータ)により実行して通信機能、受電装置103への給電を行うための給電機能を実現する。これらの機能を実現する構成の一部または全部は、プログラムの実行によってソフトウエアによって実現される場合に限られず、ハードウエアによって実現されてもよい。なお、制御部201よって実現される機能は、上述した機能以外にも、給電装置101を構成する各部を制御する機能を含む。制御部201は、後述する給電スケジュールに基づいて、給電装置101に接続された受電装置103への給電を制御する。
【0022】
制御部201は、通知部202を含む。通知部202は、給電装置101からの電力供給を受ける受電装置103に、給電停止を予告するための電力供給停止の予告通知を生成して通知する。該予告通知は、後述する給電スケジュール及び通知スケジュールに基づいて、生成して、通知される。該予告通知は、給電装置101に接続される受電装置103ごとに通知される。
【0023】
通知部202は、各受電装置103の給電停止タイミング(給電停止時刻)よりも前の所定のタイミングで電力供給停止の予告通知を各受電装置103に通知する。電力供給停止の予告通知が通知されるタイミングは、給電装置101に接続される受電装置103ごとに同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、通知部202は、受電装置103-1~103-nのそれぞれに対応する給電停止時刻の90秒前に受電装置103-1~103-nに電力供給停止の予告通知を通知してもよい。また、通知部202は、受電装置103-1には、受電装置103-1の給電停止時刻の90秒前に電力供給停止の予告通知を通知し、受電装置103-2には、受電装置103-2の給電停止時刻の60秒前に電力供給停止の予告通知を通知してもよい。
【0024】
予告通知は、電力供給停止までの残り時間を示す情報を含んでもよい。制御部201は、給電スケジュールに基づいて電力供給停止までの残り時間を算出することができる。
【0025】
通知部202は、受電装置103ごとに電力供給停止の予告通知を複数回通知してもよい。電力供給停止の予告通知が複数回通知される場合、通知部202は、該予告通知を一定の周期で、対応する受電装置103に通知してもよい。この場合、該予告通知は、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)に格納されて受電装置103に通知されてもよい。また、電力供給停止の予告通知が複数回通知され、予告通知が電力供給停止までの残り時間を示す情報を含む場合、電力供給停止までの残り時間は、該予告通知が通知されるそれぞれのタイミングから給電停止タイミング(給電停止時刻)までの残り時間である。
【0026】
制御部201は、受電装置103から給電停止時刻(給電停止タイミング)の更新リクエストを受けた場合、該受電装置103への電力供給停止のタイミングを更新してもよい。即ち、制御部201は、該受電装置103への給電停止時刻を延長してもよい。制御部201は、予め設定された所定時間だけ給電停止時刻を延長してもよい。通知部202は、給電停止時刻の更新リクエストに応じて、新たな電力供給停止の予告通知を生成して、受電装置103に通知する。
【0027】
通信部203は、制御部201の制御に基づいて、外部装置(受電装置103、ルータ(図示せず)、L3スイッチ(図示せず)など)と接続し、制御部201の制御に基づいてデータの送受信を行うためのインターフェースである。また、通信部203は、データのパケット化を含む、外部装置に送信されるデータの処理を行う。
【0028】
通信部203は、接続部209-1~209-m(mは自然数)を含む。以下の説明において、特に区別の必要がない場合は、接続部は、単に「接続部209」と記載する。接続部209は、後述する電力供給部207と受電装置103の接続部309とを接続するインターフェースである。本実施形態において、接続部209と受電装置103とはLANケーブルを介して接続される。接続部209は、電力供給部207から供給された電力を受電装置103に供給する。また、接続部209は、電力供給停止の予告通知を受電装置103に送信する。
【0029】
記憶部205は、不揮発性メモリ、ハードディスク等の記憶装置である。記憶部205には、SSD(Solid State Drive)の半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、記憶媒体である記憶可能な素子が用いられる。記憶部205は、通信機能、給電機能を実現するためのアプリケーションプログラム、各種情報などを記憶するデータベースとしての機能を有する。アプリケーションプログラムは、ネットワーク経由でダウンロードされてもよい。また、記憶部205は、外部に存在してもよい。
【0030】
記憶部205は、給電装置101に接続されて、給電装置101からの電力供給を受ける受電装置103への給電開始/給電停止時刻を予め定めた給電スケジュールを記憶してもよい。給電スケジュールは、給電装置101に接続される受電装置103ごとに設定することができる。また、給電スケジュールは、利用者により適宜変更されてもよい。給電スケジュールの一例を以下の表1に示す。
【表1】
【0031】
表1に示すように、受電装置103-1は、午後10時に給電装置101からの電力供給が停止され、午前5時に電力供給が開始(再開)されるようスケジュールされていてもよい。同様に、受電装置103-2は、午前0時に給電装置101からの電力供給が停止され、午前6時に電力供給が開始(再開)されるようスケジュールされていてもよく、受電装置103-nは、午前2時に給電装置101からの電力供給が停止され、午前8時に電力供給が開始(再開)されるようスケジュールされていてもよい。給電スケジュールは、表1に示したデータテーブルに限定されない。例えば、給電開始時刻は、給電停止時刻から所定時間経過後に設定されていてもよい。
【0032】
また、記憶部205は、各受電装置103に電力供給停止の予告通知を通知するタイミング及び通知回数を予め定めた通知スケジュールを記憶してもよい。通知スケジュールは、給電装置101に接続される受電装置103ごとに設定することができる。また、通知スケジュールは、利用者により適宜変更されてもよい。通電スケジュールの一例を以下に示す。
【表2】
【0033】
電力供給部207は、制御部201の制御に基づいて、接続部209を介して受電装置103に電力を供給する。電力供給部207は、ポートごとに受電装置103に電力を供給する。
【0034】
電力供給部207は、PoEの規格に定められたルールに従って、PoE給電のオン/オフを制御するICであってもよい。電力供給部207は、制御部201による制御に基づいて、受電装置103への給電開始/給電停止を制御する。電力供給部207に供給される電力は、外部から供給されるものである。給電装置101に供給される電力の供給元は、特に限定されず、直流電源からの入力、交流電源からの入力、他の給電装置からの入力であってもよい。制御部201は、電力供給停止の予告通知を対応する受電装置103に通知してから所定時間経過後に、電力供給部207から該受電装置103への電力供給を停止させる。
【0035】
給電スケジュールにおいて、給電停止から所定時間経過後に、給電装置101から所定の受電装置103への電力供給の再開が設定されている場合、制御部201は、給電スケジュールに基づいて、設定された時間に、所定の受電装置103に対応する電力供給部207から所定の受電装置103への電力供給を再開させてもよい。
【0036】
給電装置101は、さらに、操作部(図示せず)、表示部(図示せず)を備えていてもよい。操作部は、操作ボタンなどによりユーザが入力した操作に応じた信号を制御部201に出力する。操作ボタンは、例えば、電源スイッチ、カーソルキーなどを含み、ユーザの指示を受け付ける操作子である。表示部は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であり、制御部201による制御に基づいた画面を表示する。
【0037】
<受電装置>
図3を用いて、本実施形態に係る受電装置103について説明する。上述したように、本実施形態においては、受電装置103はアクセスポイント(AP)である。本実施形態において、受電装置103は、L2スイッチである給電装置101及び受電装置103に接続される通信端末(図示せず)と、ネットワークを介して有線または無線により接続されるネットワーク機器である。受電装置103は、通信端末(図示せず)と、L2スイッチである給電装置101とを中継する機能を有する。
【0038】
図3は、本実施形態に係る受電装置の構成例を示すブロック図である。受電装置103は、制御部301、通信部303、記憶部305、及び電源部307を備えてもよい。制御部301、通信部303、記憶部305、及び電源部307は、バス311を介して互いに接続される。
【0039】
制御部301は、CPUなどの演算処理回路を含む。制御部301は、記憶部305に記憶されたプログラムをCPU(コンピュータ)により実行して通信機能などの、受電装置103で実行される各種機能を実現する。また、制御部301は、これらの機能を実現する構成の一部または全部は、プログラムの実行によってソフトウエアによって実現される場合に限られず、ハードウエアによって実現されてもよい。なお、制御部301よって実現される機能は、上述した機能以外にも、受電装置103を構成する各部を制御する機能を含む。
【0040】
制御部301は、後述する接続部309を介して給電装置101から給電停止を予告する電力供給停止の予告通知を取得する。制御部301は、該予告通知に基づいて、給電停止タイミング(給電停止時刻)までに所定の処理を実行する。給電装置101からの給電が停止される給電停止時刻は、該予告通知に基づいて特定される。
【0041】
予告通知が電力供給停止までの残り時間を示す情報を含む場合、予告通知が通知されたタイミングと電力供給停止までの残り時間に基づいて、制御部301は、給電停止時刻を特定することができる。予告通知が電力供給停止までの残り時間を示す情報を含まない場合、制御部301は、該予告通知を通知した給電装置101のIPアドレスなどの識別情報に基づいて給電停止時刻を特定してもよい。例えば、受電装置103は、給電装置101の識別情報と該給電装置101から予告通知が通知されたタイミングから電力供給停止までの残り時間とを関連付けたデータテーブルを予め記憶部305に記憶していてもよい。受電装置103は、1つ以上の給電装置101について、識別情報と、予告通知が通知されたタイミングから電力供給停止までの残り時間とを記憶することができる。また、予告通知が電力供給停止までの残り時間を示す情報を含まない場合、制御部301は、該予告通知を通知した給電装置101に、給電停止時刻を問い合わせてもよい。
【0042】
制御部301は、給電装置101からの給電停止を予告する電力供給停止の予告通知を取得すると、給電装置101からの電力供給が停止される給電停止時刻までの残り時間を測定してもよい。換言すると、制御部301は、給電停止時刻までの残り時間をカウントダウンしてもよい。
【0043】
制御部301が、給電装置101からの給電停止時刻までに実行する所定の処理は、受電装置103内部のシステムログの保存、及び設定ファイルの保存のうちの少なくとも1つを含む。
【0044】
アクセスポイントとして機能する受電装置103が通信端末(図示せず)などの外部装置と接続されている場合、制御部301は、接続されている外部装置に接続先の変更を要求する接続先変更リクエストを、給電装置101からの給電が停止されるタイミングまでに通信部303を介して送信する。また、制御部301は、外部装置からの新規アクセスの受付を停止する。
【0045】
また、給電装置101から電力供給停止の予告通知を通知された受電装置103が、コントローラクセスポイント(コントローラAP)の場合、予告通知を通知された受電装置103は、電力供給が停止される前に、同一の給電装置101に接続する他の受電装置103に電力供給停止を報知すること、および自らのコントローラ権限を他の受電装置103に移譲すること、の少なくとも1つを実行する。ここでコントローラAPとは、同一の給電装置101に接続する他のメンバーアクセスポイント(メンバーAP)を一括して設定・管理することができるアクセスポイントを意味する。即ち、コントローラAPは、他のメンバーAPへ仮想コントローラ機能を提供する。
【0046】
例えば、
図1における受電装置103-1がコントローラAPであり、同一の給電装置101に接続する他の受電装置103-2~103-nがメンバーAPであると仮定する。受電装置103-1が、給電装置101から電力供給停止の予告通知を通知されると、受電装置103-1が、受電装置103-1の電力供給停止を他の受電装置103-2~103-nに報知してもよい。該報知を受け、受電装置103-2~103-nは、次のコントローラAPを選出してもよい。例えば、受電装置103-2が次のコントローラAPとして選出された場合、受電装置103-2は、給電装置101から受電装置103-1への電力供給が停止された後、コントローラAPとして機能する。
【0047】
また、コントローラAPである受電装置103-1が、給電装置101から電力供給停止の予告通知を通知されると、受電装置103-1は、他の受電装置103-2~103-nのうちの何れか一つにコントローラ権限を移譲してもよい。受電装置103-1からコントローラ権限を移譲された受電装置103は、給電装置101から受電装置103-1への電力供給が停止された後、コントローラAPとして機能する。このとき、コントローラ権限の移譲先となる受電装置103は、受電装置103-2~103-nの中から予め選択されていてもよい。例えば、受電装置103-2~103-nの中で次のコントローラAPとして機能する受電装置103の優先順位が定められていてもよい。
【0048】
受電装置103-1から他の受電装置103-2~103-nへの電力供給停止の報知、及びコントローラ権限の移譲は、後述する通信部303を介した受電装置103間の無線通信で行われてもよく、給電装置101を介した有線通信で行われてもよい。また、給電装置101が、給電スケジュールに基づいて、給電装置101によって、受電装置103-2~103-nに、受電装置103-1への電力供給停止の報知、又はコントローラ権限の移譲を行ってもよい。
【0049】
給電停止時刻までに所定の処理が完了しない場合、制御部301は、給電装置101に給電停止時刻の更新を1回以上リクエストすることができる。給電停止時刻の更新リクエストに基づいて、給電装置101から新たな電力供給停止の予告通知が通知されると、制御部301は、新たな予告通知に基づいて特定された給電停止時刻までに所定の処理を完了する。
【0050】
通信部303は、制御部301の制御に基づいて外部装置(給電装置101、通信端末(図示せず)など)と有線または無線で接続してデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0051】
通信部303は、接続部309を含む。接続部309は、電源部307と給電装置101の接続部209とを接続するインターフェースである。本実施形態において、接続部309と給電装置101とはLANケーブルを介して接続される。接続部309は、給電装置101から供給された電力を後述する電源部307に供給する。また、接続部309は、給電装置101から電力供給の停止を予告する予告通知を受信し、制御部301に伝達する。
【0052】
通信部303は、給電装置101、他の受電装置103または外部の通信端末(図示せず)と無線で通信してもよい。このとき、通信部303には、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等を用いた通信が可能な通信モジュールが用いられる。
【0053】
記憶部305は、不揮発性メモリ、ハードディスク等の記憶装置である。記憶部305には、SSD(Solid State Drive)の半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、記憶媒体である記憶可能な素子が用いられる。記憶部305は、通信機能などの、受電装置103で実行される各種機能を実現するためのアプリケーションプログラム、各種情報などを記憶するデータベースとしての機能を有する。アプリケーションプログラムは、ネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【0054】
電源部307は、接続部309を介して接続された給電装置101から電力の供給を受け、受電装置103の電源として機能する。接続部309は、電源部307と給電装置101とを接続するインターフェースである。
【0055】
受電装置103は、給電装置101から電力供給停止の予告通知を給電装置101から複数回取得してもよい。該電力供給停止の予告通知には、電力供給停止までの残り時間を示す情報を含まれていてもよい。電力供給停止の予告通知に電力供給停止までの残り時間を示す情報が含まれている場合、制御部301は、給電停止時刻(給電停止タイミング)までの残り時間を測定する必要はない。
【0056】
本実施形態に係る通信システム10では、給電装置101は予め設定された給電スケジュールに基づき、電力供給停止の予告通知を、給電装置101から電力供給を受ける受電装置103に通知する。受電装置103は、給電装置101から電力供給停止の予告通知を接続部309を介して取得すると、該予告通知に基づいて給電装置101からの電力供給が停止される給電停止時刻(給電停止タイミング)を特定することができる。受電装置103は、給電停止時刻までに、未保存のログやデータファイルの保存、外部装置への接続先変更のリクエスト、外部装置からの新規アクセスの受付停止などの処理を実行する。
【0057】
受電装置103は、シャットダウンまでに必要な処理を実行することができるため、給電装置101からの給電が再開されて受電装置103が再起動した際に発生し得るトラブルを防止することができる。通信端末などの外部装置が受電装置103に接続している場合は、通信端末が接続先変更のリクエストに応じて、受電装置103のシャットダウン前に他のアクセスポイントに接続先を予め変更にすることにより、通信トラブルを防止することができる。また、受電装置103がシャットダウン前に外部装置からの新規アクセスの受付停止を停止することにより、外部装置は、シャットダウン時刻(給電停止時刻)が近づいている受電装置103との接続を予め避けることができる。また、電力供給が停止される受電装置103がコントローラAPとして機能している場合、予めコントローラ権限を他の受電装置103に移譲しておくことにより、電力供給の停止後、他の受電装置103が速やかにコントローラAPとして機能することができる。
【0058】
<電力供給停止処理>
給電スケジュールに基づいた、給電装置101から受電装置103への給電停止処理について説明する。
【0059】
図4及び
図5は、本発明の一実施形態に係る給電装置101で実行される処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0060】
まず、給電装置101において、制御部201が、給電スケジュールに基づいて受電装置103への電力供給の停止が予定されているか(スケジューリングされているか)か否か判定する(S401)。予定されていない場合(S401;No)は、制御部201はS401の処理を繰り返す。
【0061】
電力供給の停止が予定されている場合(S401;Yes)は、制御部201は、通知スケジュールに基づいて、生成された予告通知の通知タイミングに達したか否か判定する(S403)。通知タイミングに達していない場合(S403;No)、制御部201はS403の処理を繰り返す。通知タイミングに達した場合(S403;Yes)、通知部202が予告通知を生成する(S405)。制御部201は、生成された予告通知を接続する接続部209を介して、受電装置103に通知(送信)する(S407)。
【0062】
制御部201は、受電装置103から給電停止時刻の更新リクエストを受信したか否か判定する(S409)。受電装置103から給電停止時刻の更新リクエストを受信した場合(S409;Yes)は、受電装置103の給電停止時刻(受電装置103に対する電力供給停止のタイミング)を更新する(S411)。給電停止時刻を更新すると、制御部201は、S405の処理に戻って、更新された給電停止時刻に基づいて、電力供給停止の予告通知を生成する。
【0063】
受電装置103から給電停止時刻の更新リクエストを受信しない場合(S409;No)は、制御部201は、通知スケジュールに基づいて、受電装置103に通知(送信)した予告通知が最後の通知か否か判定する(S413)。受電装置103に通知(送信)した予告通知が最後の通知ではない場合(S413;No)、制御部201は、S403の処理に戻る。
【0064】
受電装置103に通知(送信)した予告通知が最後の通知である場合(S413;Yes)、制御部201は、再度、受電装置103から給電停止時刻の更新リクエストを受信したか否か判定する(S415)。受電装置103から給電停止時刻の更新リクエストを受信した場合(S415;Yes)は、S411の処理に進む。受電装置103から給電停止時刻の更新リクエストを受信しない場合(S415;No)は、受電装置103の給電停止時刻に達したか否か判定する(S417)。受電装置103の給電停止時刻に達した場合(S417;Yes)、制御部201は、電力供給部207を介した受電装置103への電力供給を停止して(S419)、一連の処理を終了する。一方、受電装置103の給電停止時刻に達していない場合(S417:No)は、制御部201は、S415の処理に戻る。
【0065】
図6は、本発明の一実施形態に係る受電装置103で実行される処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0066】
受電装置103の制御部301は、接続部309を介して、給電装置101からの電力供給の停止を予告する予告通知を取得したか否か判定する(S501)。予告通知を取得していない場合(S501;No)、制御部301は、S501の処理を繰り返す。予告通知を取得した場合(S501;Yes)、制御部301は、該予告通知に基づいて、給電装置101からの電力供給が停止される給電停止時刻(給電停止タイミング)を特定し(S503)、所定の処理を実行する(S505)。ここで、所定の処理の実行(S505)の開始は、給電停止時刻の特定(S503)と同時であってもよく、給電停止時刻の特定(S503)の前であってもよい。
【0067】
制御部301は、実行中の所定の処理が、給電停止時刻までに完了するか否か判定する(S507)。所定の処理が給電停止時刻までに完了すると判定した場合(S507;Yes)、制御部301は、所定の処理の実行を継続して、所定の処理を完了させる(S511)。所定の処理の完了後、制御部301は、受電装置103のシャットダウン処理を行って(S513)、一連の処理を終了する。
【0068】
一方、所定の処理が給電停止時刻までに完了できないと判定した場合(S507;No)、制御部301は、給電装置101に給電停止時刻の更新をリクエストするための更新リクエストを生成して、給電装置101に生成した更新リクエストを送信する(S509)。更新リクエストは、接続部309を介して給電装置101に送信される。更新リクエストの送信後、制御部301は、S501の処理に戻る。
【0069】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態に係る通信システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0070】
図7は、本開示の第2実施形態に係る通信システム60の構成例を示す概略図である。通信システム60は、第1給電装置101A、第1受電装置103A-1~103A-n(nは自然数)、第2給電装置101B、及び第2受電装置103B-1~103B-m(mは自然数)を含む。
【0071】
第1給電装置101A及び第2給電装置101Bはそれぞれ、第1実施形態における給電装置101と同様に、PoE対応のPSEである。本実施形態では、第1給電装置101A及び第2給電装置101Bが共にレイヤ2(L2)スイッチである例を説明する。第1給電装置101A及び第2給電装置101Bの構成は、第1実施形態における給電装置101と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0072】
第1給電装置101A及び第2給電装置101Bは、外部装置(ルータ(図示せず)、L3スイッチ(図示せず)、サーバ(図示せず)など)を介して互いに接続している。本実施形態では、ルータ601を介して第1給電装置101A及び第2給電装置101Bは、互いに接続されている。
【0073】
第1受電装置103A-1~103A-n(nは自然数)及び第2受電装置103B-1~103B-m(mは自然数)はそれぞれ、第1実施形態における受電装置103と同様に、PoE対応のPD(Powered Device)である。本実施形態では、第1受電装置103A-1~103A-n及び第2受電装置103B-1~103B-mがそれぞれアクセスポイント(AP)である例を説明する。
【0074】
第1受電装置103A-1~103A-n(nは自然数)は、PoE対応LANケーブルを介して第1給電装置101Aと接続される。第1受電装置103A-1~103A-nは、第1給電装置101Aとデータ通信を行うとともに、第1給電装置101Aから電力の供給を受ける。第1受電装置103A-1~103A-nは、特に区別の必要のない場合は、単に「第1受電装置103A」と記載する。
【0075】
第2受電装置103B-1~103B-mは、PoE対応LANケーブルを介して第2給電装置101Bと接続される。第2受電装置103B-1~103B-mは、第2給電装置101Bとデータ通信を行うとともに、第2給電装置101Bから電力の供給を受ける。特に区別の必要のない場合は、第2受電装置103B-1~103B-mは、単に「第2受電装置103B」と記載する。
【0076】
本実施形態では、第1給電装置101Aに接続する第1受電装置103Aと、第2給電装置101Bに接続する第2受電装置103Bとが、ルータ601を介して接続されている。第1受電装置103Aと第2受電装置103Bとは、第1受電装置103Aと第2受電装置103Bとのうちの一つはコントローラAPとして機能し、その他の受電装置はメンバーAPとして、コントローラAPによって一括して設定・管理される。
【0077】
第1実施形態では、給電装置101から電力供給を受ける受電装置103のうち、コントローラAPである所定の受電装置103が電力供給の停止を予告する予告通知を受けた場合、予告通知を受けた受電装置103は、同一の給電装置101に接続する他の受電装置(メンバーAP)に、電力供給停止の報知、および自らのコントローラ権限の他の受電装置103への移譲、のうち少なくとも1つを実行することを説明した。
【0078】
しかしながら、コントローラAPである所定の受電装置が電力供給の停止を予告する予告通知を受けた場合、他の受電装置(メンバーAP)に対する電力供給停止の報知、および自らのコントローラ権限の他の受電装置(メンバーAP)への移譲は、同一の給電装置101に接続する受電装置に限られるわけではない。
【0079】
本実施形態において、第1給電装置101Aから電力供給の停止を予告する予告通知をコントローラAPである第1受電装置103Aが受けると、予告通知を受けた第1受電装置103Aは、第2給電装置101Bから電力供給を受ける第2受電装置103B-1~103B-mに対し、電力供給停止の報知、および自らのコントローラ権限のうち少なくとも1つを実行してもよい。
【0080】
該報知を受け、第2受電装置103B-1~103B-mは、次のコントローラAPを選出してもよい。例えば、第2受電装置103B-1が次のコントローラAPとして選出された場合、第2受電装置103B-1は、第1給電装置101Aから第1受電装置103A-1への電力供給が停止された後、コントローラAPとして機能する。
【0081】
また、コントローラAPである第1受電装置103A-1が、第1給電装置101Aから電力供給停止の予告通知を通知されると、第1受電装置103A-1は、第2受電装置103B-1~103B-mのうちの何れか一つにコントローラ権限を移譲してもよい。第1受電装置103A-1からコントローラ権限を移譲された第2受電装置103Bは、第1給電装置101Aから第1受電装置103A-1への電力供給が停止された後、コントローラAPとして機能する。このとき、コントローラ権限の移譲先となる第2受電装置103Bは、第2受電装置103B-1~103B-mの中から予め選択されていてもよい。
【0082】
このように、コントローラAPとして機能する受電装置103の電力供給が停止される前に、予めコントローラ権限を他の受電装置103に移譲しておくことにより、電力供給の停止後、他の受電装置103が速やかにコントローラAPとして機能することができる。
【0083】
第1受電装置103A-1から第2受電装置103B-1~103B-mへの電力供給停止の報知、及びコントローラ権限の移譲は、無線通信で行われてもよく、第1給電装置101A、ルータ601、及び第2給電装置101Bを介した通信で行われてもよい。
【0084】
[変形例]
以上に述べた各実施形態では、受電装置103がアクセスポイント(AP)である場合を例として説明したが、受電装置103はアクセスポイントに限定されるわけではない。受電装置103は、IPカメラ、IP電話、PoE対応マイク、PoE対応スピーカなどであってもよい。
【0085】
受電装置103がIPカメラである場合、給電停止時刻までに実行される所定の処理は、未保存のログの保存、未保存の画像データの保存などを含む。また、受電装置103がIP電話の場合、給電停止時刻までに実行される所定の処理は、利用者への電力供給停止の報知などを含んでもよい。
【0086】
また、以上に述べた各実施形態では、受電装置103がアクセスポイント(AP)である場合を例として説明したが、受電装置103が複数である場合、全ての受電装置103が同一の種類の装置であってもよく、それぞれ異なる種類の装置であってもよい。
【0087】
本開示の一実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、実施形態に示す構成を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本開示の要旨を備えている限り、発明の範囲に含まれる。
【0088】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本実施形態の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本開示の一実施形態によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0089】
10、60・・・通信システム、101・・・給電装置、103・・・受電装置、201・・・制御部、203・・・通信部、205・・・記憶部、207・・・電力供給部、209・・・接続部、301制御部、303・・・通信部、305・・・記憶部、307・・・電源部、309・・・接続部