IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗浄システム 図1
  • 特開-洗浄システム 図2
  • 特開-洗浄システム 図3
  • 特開-洗浄システム 図4
  • 特開-洗浄システム 図5
  • 特開-洗浄システム 図6
  • 特開-洗浄システム 図7
  • 特開-洗浄システム 図8
  • 特開-洗浄システム 図9
  • 特開-洗浄システム 図10
  • 特開-洗浄システム 図11
  • 特開-洗浄システム 図12
  • 特開-洗浄システム 図13
  • 特開-洗浄システム 図14
  • 特開-洗浄システム 図15
  • 特開-洗浄システム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077137
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/24 20060101AFI20230529BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A47L15/24
A47L15/46 Z
A47L15/46 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190307
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 園生
(72)【発明者】
【氏名】木全 祐也
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA03
3B082AA04
3B082AA05
3B082AA08
3B082DA00
3B082DB00
3B082DC00
3B082DC04
(57)【要約】
【課題】リフト装置から収納棚への被洗浄物の受け渡しをより確実に行うことができる、洗浄システムを提供する。
【解決手段】洗浄システム1は、搬送ベルト43Aの回転軌道よりも収納棚6側に突出すると共に収納棚側に向かって下方に傾斜する傾斜部41Cであって、搬送ベルトから収納棚側に送り出された食器ラックRの後端部が滑り落ちるように設けられた傾斜部を有するリフト装置5を備える。メインコントローラ12は、ベルトから収納棚へ食器ラックの後端部を送り出すときに、食器ラックを搬入しようとする棚部53よりも高い位置にリフト41が上昇するようにリフト駆動部42Cを駆動させた後に、食器ラックを搬送ベルトから送り出し、搬送ベルトの回転軌道に対する傾斜部の収納棚側への突出量H2と、突起部43Aaの搬送ベルトからの突出量H1と、が互いに一致するように形成されている。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、前記洗浄機によって洗浄された被洗浄物を収容可能な複数の棚部が鉛直方向に配列された収納棚と、前記洗浄機から搬出される前記被洗浄物を鉛直方向かつ水平方向に移動させることによって前記被洗浄物を前記収納棚に搬入するリフト装置と、前記リフト装置を制御して、前記複数の棚部の何れかに前記被洗浄物を搬入させる制御部と、を備える洗浄システムであって、
前記リフト装置は、
前記被洗浄物を鉛直方向に移動させるリフト駆動部と、
ベルトを回転させることによって、前記ベルトに設けられた突起部を被洗浄物に引っ掛けて、前記ベルトに載置される前記被洗浄物を水平方向に移動させるベルト駆動部と、
前記ベルトの回転軌道よりも前記収納棚側に突出すると共に前記収納棚側に向かって下方に傾斜する傾斜部であって、前記ベルトから前記収納棚側に送り出された前記被洗浄物の後端部が滑り落ちるように設けられた前記傾斜部と、を有しており、
前記制御部は、前記ベルトから前記収納棚へ前記被洗浄物の後端部を送り出すときに、前記被洗浄物を搬入しようとする前記棚部よりも高い位置に前記リフトが上昇するように前記リフト駆動部を駆動させた後に、前記被洗浄物を前記ベルトから送り出し、
前記ベルトの回転軌道に対する前記傾斜部の前記収納棚側への突出量と、前記突起部の前記ベルトからの突出量と、が互いに一致するように形成されている、洗浄システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ベルトから前記収納棚へ前記被洗浄物の後端部を送り出すときに、前記被洗浄物を搬入しようとする前記棚部よりも高い位置に前記ベルトの回転軸が上昇するように前記リフト駆動部を駆動させる、請求項1記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記突起部は、前記ベルトの延在方向に所定間隔で配列されており、
前記制御部は、前記被洗浄物を搬入しようとする前記棚部よりも高い位置に上昇した後、前記ベルトが前記所定間隔に相当する距離を少なくとも回転するように前記ベルト駆動部を駆動させる、請求項1記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記収納棚における前記棚部は、前記被洗浄物を下方から支持すると共に、搬入方向に沿って複数配列された支持ローラによって形成されており、一の前記棚部は、二個以上の前記被洗浄物を収容可能に構成されている、請求項1~3の何れか一項記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記収納棚には、それぞれの前記棚部に収容される前記複数の被洗浄物のそれぞれを検知する被洗浄物検知部が設けられている、請求項4記載の洗浄システム。
【請求項6】
前記棚部は、前記棚部の前記リフト側端部に配置されると共に前記支持ローラにおける前記被洗浄物の載置面よりも高くなるように形成されたストッパを更に有する、請求項4又は5記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄機に食器(被洗浄物)が収容されたラックを搬入する搬入装置と、食器を洗浄する洗浄機と、上下方向に配列されると共にラックを収容可能な棚部を有する収納棚(ワゴン)と、洗浄機によって洗浄された食器を収納棚における棚部に搬入するリフト装置と、洗浄機から押し出してリフト装置に搬出させる搬出装置と、を備えた洗浄システムが知られている。このような洗浄システムでは、洗浄機へのラックの搬入、洗浄機における食器の洗浄、洗浄機からリフトへラックの搬出、及びリフトから収納棚へのラックの積み込みの一連の作業を、全自動で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-41922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような洗浄システムでは、リフト装置から収納棚へ被洗浄物を受け渡す際に、棚部よりも上方にリフト装置を上昇させ、ラックの自重によってリフト装置から滑り落とすようにして受け渡している。ところが、棚部におけるラックの接触面とラックとの間の摩擦抵抗が大きくなったり、棚部に複数のラックを載置したりする場合には、ラックの自重による滑り落としだけでは、リフト装置から収納棚へ被洗浄物を受け渡すことができない場合があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、リフト装置から収納棚への被洗浄物の受け渡しをより確実に行うことができる、洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄システムは、洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、洗浄機によって洗浄された被洗浄物を収容可能な複数の棚部が鉛直方向に配列された収納棚と、洗浄機から搬出される被洗浄物を鉛直方向かつ水平方向に移動させることによって被洗浄物を収納棚に搬入するリフト装置と、リフト装置を制御して、複数の棚部の何れかに被洗浄物を搬入させる制御部と、を備える洗浄システムであって、リフト装置は、被洗浄物を鉛直方向に移動させるリフト駆動部と、ベルトを回転させることによって、ベルトに設けられた突起部を被洗浄物に引っ掛けて、ベルトに載置される被洗浄物を水平方向に移動させるベルト駆動部と、ベルトの回転軌道よりも収納棚側に突出すると共に収納棚側に向かって下方に傾斜する傾斜部であって、ベルトから収納棚側に送り出された被洗浄物の後端部が滑り落ちるように設けられた傾斜部と、を有しており、制御部は、ベルトから収納棚へ被洗浄物の後端部を送り出すときに、被洗浄物を搬入しようとする棚部よりも高い位置にリフトが上昇するようにリフト駆動部を駆動させた後に、被洗浄物をベルトから送り出し、ベルトの回転軌道に対する傾斜部の収納棚側への突出量と、突起部のベルトからの突出量と、が互いに一致するように形成されている。
【0007】
この構成の洗浄システムでは、ベルトの回転軌道に対する傾斜部の収納棚側への突出量と、突起部のベルトからの突出量と、が互いに一致するように形成されているので、ベルトが被洗浄物を送り出した後に、仮に被洗浄物の後端部が傾斜部に引っ掛かっていたとしても、突起部が被洗浄物の後端部を押し出すようになる。これにより、リフト装置から収納棚への被洗浄物の受け渡しをより確実に行うことができる。
【0008】
本発明の洗浄システムでは、制御部は、ベルトから収納棚へ被洗浄物の後端部を送り出すときに、被洗浄物を搬入しようとする棚部よりも高い位置にベルトの回転軸が上昇するようにリフト駆動部を駆動させてもよい。この構成では、被洗浄物をより確実に収納棚に受け渡すことが可能となる。
【0009】
本発明の洗浄システムでは、突起部は、ベルトの延在方向に所定間隔で配列されており、制御部は、被洗浄物を搬入しようとする棚部よりも高い位置に上昇した後、ベルトが所定間隔に相当する距離を少なくとも回転するようにベルト駆動部を駆動させてもよい。この構成では、ベルトから収納棚へ被洗浄物の後端部を送り出すときには、突起部がラックの後端部を必ず押し出すようになるので、被洗浄物の後端部が傾斜部に引っ掛かったままの状態となることを防止できる。これにより、被洗浄物をより確実に収納棚に受け渡すことが可能となる。
【0010】
本発明の洗浄システムでは、収納棚における棚部は、被洗浄物を下方から支持すると共に、搬入方向に沿って複数配列された支持ローラによって形成されており、一の棚部は、二個以上の被洗浄物を収容可能に構成されていてもよい。この構成では、収納棚における食器ラックの収容数を増やすことができると共に、一の棚部に複数の食器ラックを収容する場合であっても、リフト装置から遠い位置までスムーズに食器ラックを移動させることができる。
【0011】
本発明の洗浄システムでは、収納棚には、それぞれの棚部に収容される複数の被洗浄物のそれぞれを検知する被洗浄物検知部が設けられていてもよい。この構成では、棚部が複数の被洗浄物を収容可能な場合であっても、各棚部の空き状態を正確に把握することができる。
【0012】
本発明の洗浄システムでは、棚部は、棚部のリフト側端部に配置されると共に支持ローラにおける被洗浄物の載置面よりも高くなるように形成されたストッパを更に有してもよい。この構成では、棚部に搬入された被洗浄物がリフト装置に逆流することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リフト装置から収納棚への被洗浄物の受け渡しをより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態に係る洗浄システムの全体を示した斜視図である。
図2図2(A)は、キャリーテーブルの正面図であり、図2(B)は、キャリーテーブルの平面図である。
図3図3は、食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図4図4(A)は、リフト装置を収納棚側から見た側面図であり、図4(B)は、リフト装置を食器洗浄機側から見た側面図である。
図5図5は、パネルを外した状態のリフト装置を示す斜視図である。
図6図6(A)は、搬送ベルトを拡大して示した斜視図である。図6(B)は、搬送ベルトの搬送方向前端部分を上方から見た上面図である。
図7図7(A)~図7(D)は、リフト装置から収納棚への食器ラックの受け渡しを示す側面図である。
図8図8は、収納棚を示す斜視図である。
図9図9は、収納棚の支持ローラの一部を拡大して示した斜視図である。
図10図10(A)は、棚部ユニットの取付方法を示す断面図である。図10(B)は、ストッパの構成を示す断面図である。
図11図11(A)及び図11(B)は、リフト装置及び収納棚における各段センサの配置状態を示す平面図である。
図12図12(A)及び図12(B)は、リフト装置及び収納棚における各段センサの配置状態を示す平面図である。
図13図13(A)~図13(C)は、リフト装置及び収納棚における各段センサの配置状態を示す平面図である。
図14図14は、洗浄システムの機能構成を示した機能ブロック図である。
図15図15(A)及び図15(B)は、手はさみセンサの配置状態を示す斜視図である。
図16図16は、変形例に係る収納棚の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)を説明に用いる。
【0016】
図1に示されるように、洗浄システム1は、キャリーテーブル3と、食器洗浄機(洗浄機)4と、リフト装置5と、収納棚6と、搬出装置90と、を備えている。洗浄システム1では、キャリーテーブル3及び食器洗浄機4が前後方向に並べて配置され、食器洗浄機4、リフト装置5及び収納棚6が、左右方向に並べて配置されている。すなわち、本実施形態の洗浄システム1では、食器(被洗浄物)が収容される食器ラックRが前側から後側に向かって移動した後、右側から左側に向かって移動するように、平面視においてキャリーテーブル3、食器洗浄機4、リフト装置5及び収納棚6がL字状に配置されている。
【0017】
キャリーテーブル3は、食器ラックRを食器洗浄機4に搬送する。図1図2(A)及び図2(B)に示されるように、キャリーテーブル3は、基台10と、基台10を支持する四つの脚部19と、搬送機構11と、テーブルラック検知センサ14と、メインコントローラ(制御部)12と、アーム検知センサ13と、を有している。
【0018】
基台10は、食器ラックRが載置されるテーブルである。基台10は、食器ラックRが載置される載置面10aを有している。基台10には、載置面10aから突出すると共に食器ラックRの搬送方向に沿って延在する、食器ラックRを摺動させる摺動部16が設けられている。摺動部16は、載置面10aにねじ等によって固定された、例えば、ポリアセタール樹脂により形成されたプレート状の部材によって構成されている。摺動部16は、食器ラックRに対する摺動性を良好にする部材であれば材料を問わず、ポリアセタール樹脂以外の材料によっても形成が可能である。
【0019】
搬送機構11は、食器ラックRを基台10上で移動させる。搬送機構11は、アーム部材11Aと、支持部11Bと、チェーン11Cと、スプロケット11D,11Dと、テーブル駆動部11Eと、を有している。搬送機構11は、ハウジング17に収容されている。ハウジング17は、キャリーテーブル3を正面から見たとき基台10の後方に配置されており、基台10の載置面10aよりも上方に突出して設けられている。
【0020】
アーム部材11Aは、食器ラックRを押し出す部材であって、載置面10a上を回動可能となるように、支持部11Bに支持されている。支持部11Bは、チェーン11Cに平行に配置されたガイドレール(図示せず)に沿って前後方向に移動可能に設けられると共に、チェーン11Cの一部に固定的に連結されている。チェーン11C,11Cは、二つのスプロケット11D,11Dに巻き掛けられている。テーブル駆動部11Eは、例えばギアモータである。テーブル駆動部11Eの回転軸には、一方のスプロケット11Dが軸支されている。
【0021】
アーム部材11Aは、アーム部材11Aの先端が食器洗浄機4側(後側)に向く状態とキャリーテーブル3の手前側(左側)に向く状態との間で回動可能となるように、ねじりバネ(図示せず)を介して支持部11Bに固定されている。ねじりバネは、平面視において半時計回り(左回り)に回動する方向にアーム部材11Aを付勢している。すなわち、ねじりバネは、ハウジング17から進出する方向にアーム部材11Aを付勢している。アーム部材11Aは、ねじりバネの作用によってシャッタ(図示せず)等の規制部材に接触しない限り、ハウジング17の外側である載置面10a上の進出領域に進出するようになっている。アーム部材11Aは、平面視において載置面10aに重複する進出領域と、載置面10aから退避した退避領域との間で移動可能に設けられており、食器ラックRの押し出しをしないときには、退避領域に退避されている。
【0022】
アーム部材11Aは、テーブル駆動部11Eによって駆動されるスプロケット11D及びチェーン11Cに連動することによって、キャリーテーブル3を正面から見たときの左右方向に回動する。アーム部材11Aは、食器ラックRを搬送するときに、ハウジング17内から載置面10a上に進出し、待機状態においてはハウジング17内に退避する。より詳細には、アーム部材11Aは、載置面10a上の食器ラックRの食器洗浄機4側への移動がテーブルラック検知センサ14によって検知されたタイミング、又は、操作部18においてスタートボタンB1が押下されたタイミングで載置面10a上に進出する。
【0023】
アーム部材11Aは、食器洗浄機4に向けて食器ラックRを押し出す。アーム部材11Aの先端、すなわち、食器ラックRに当接する部分には、ベアリング(図示せず)が設けられもよい。アーム部材11Aは、食器ラックRを食器洗浄機4にまで搬送すると(すなわち、食器ラックRを押し出す押出位置に到達すると)、ハウジング17の内部の退避領域の一部である待機位置に戻る。
【0024】
アーム部材11Aは、左右方向において右側を基点として左側に延在している。本実施形態では、アーム部材11Aの左側端部は、載置面10aの左右方向における中心位置CLよりも右側に位置している。なお、アーム部材11Aの左端は、右側を基点として上記中心位置CLよりも左側にまで延びていてもよい。この場合、アーム部材11Aは、載置面10aに載置される食器ラックRの左右方向における中心位置よりも左側の部分まで接触して、食器洗浄機4側に押し出すことができる。
【0025】
メインコントローラ12は、キャリーテーブル3を含む、洗浄システム1の動作全般を制御する。メインコントローラ12は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、各種処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。メインコントローラ12は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。メインコントローラ12は、例えば、キャリーテーブル3の動作、食器洗浄機4におけるドア23の開閉動作、搬出装置90の動作、リフト装置5の動作等を制御する。メインコントローラ12は、例えば、ハウジング17内に収容されている。
【0026】
図14に示されるように、メインコントローラ12は、テーブル駆動部11Eと、アーム検知センサ13と、テーブルラック検知センサ14と、操作部18と、洗浄機コントローラ35と、ドア駆動部70と、搬出装置90と、リフト駆動部42Cと、ベルト駆動部43Cと、リフト入口センサ44Aと、リフト出口センサ44Bと、収納棚ラック検知センサ44Cと、第一各段センサ45A,45B,45Cと、通信可能に接続されている。
【0027】
図2に示されるように、操作部18は、ハウジング17を形成するパネルの一部に配置されている。操作部18は、搬送機構11の動作を開始させるスタートボタンB1と、搬送機構11の動作を緊急停止させる異常停止ボタンB2と、を有している。
【0028】
図2に戻り、アーム検知センサ13は、所定の位置にアーム部材11Aが移動してきたことを検知する。本実施形態のアーム検知センサ13は、アーム部材11Aが食器洗浄機4の洗浄室21に食器ラックRの搬入を完了するときのアーム部材11Aの位置を検知するように配置されている、すなわち、アーム検知センサ13は、食器洗浄機4の洗浄室21に食器ラックRの搬入が完了したことを検知する。アーム検知センサ13の検知結果(ラック搬入完了通知)は、メインコントローラ12によって取得される。
【0029】
図1に示されるように、食器洗浄機4は、キャリーテーブル3の後側に、キャリーテーブル3に隣接して配置されている。食器洗浄機4は、食器ラックRに収容されている食器を洗浄する。図1及び図3に示されるように、食器洗浄機4は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体20を有している。洗浄機本体20は、洗浄室21が形成された上側部分20Aと、機械室22が形成された下側部分20Bとに仕切られている。
【0030】
洗浄機本体20の上側部分20Aには、洗浄室21の開閉を行うための箱型のドア23が設けられている。ドア23は、後段にて詳述する連結部材74(図4(A)及び図4(B)参照)に連結されている。連結部材74は、メインコントローラ12によって制御されるドア駆動部70(図4(B)参照)によって駆動される。ドア23は、ドア駆動部70による駆動によって、上下方向において最下高さ位置に位置して、洗浄室21を閉じる閉位置(図4に示す位置)と、上下方向において最高高さ位置に位置して、洗浄室21を開く開位置(図1に示す位置)と、の間で移動する。なお、本実施形態のドア23には設けられていないが、ドア23には手動でドア23を開閉するハンドルが設けられてもよい。
【0031】
洗浄室21内には、食器ラックRが載置されるラックレール24が着脱自在に配置されている。キャリーテーブル3から食器洗浄機4に搬出される食器ラックRは、ラックレール24上に押し出される。洗浄室21の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル26Aと、2本のアームからなる上側濯ぎノズル27Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室21の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル26Bと、2本のアームからなる下側濯ぎノズル27Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックRに並べられた食器は、上側洗浄ノズル26A及び下側洗浄ノズル26Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側濯ぎノズル27A及び下側濯ぎノズル27Bによって上下から濯ぎ水が噴射される。
【0032】
洗浄水タンク28には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ29が接続されている。洗浄ポンプ29の吐出口には、洗浄水吐出管30が接続されている。洗浄水吐出管30は、第一洗浄水吐出管30Aと第二洗浄水吐出管30Bとに分岐して、第一洗浄水吐出管30Aは上側洗浄ノズル26Aに接続され、第二洗浄水吐出管30Bは下側洗浄ノズル26Bに接続されている。
【0033】
機械室22内には、外部から給水管(図示せず)を介して濯ぎ水が供給される濯ぎ水タンク31が配置されている。濯ぎ水タンク31には、濯ぎ水吸込管32を介して濯ぎポンプ33が接続されている。濯ぎポンプ33の吐出口には、濯ぎ水吐出管34が接続されている。濯ぎ水吐出管34は、第一濯ぎ水吐出管34Aと第二濯ぎ水吐出管34Bとに分岐して、第一濯ぎ水吐出管34Aは上側濯ぎノズル27Aに接続され、第二濯ぎ水吐出管34Bは下側濯ぎノズル27Bに接続されている。第一濯ぎ水吐出管34Aは、第一洗浄水吐出管30A内に配置されている。すなわち、第一洗浄水吐出管30A及び第一濯ぎ水吐出管34Aは、二重管構造を成している。
【0034】
機械室22内には、食器洗浄機4の動作全般を制御する洗浄機コントローラ35が内蔵された電装ボックス(図示せず)等が収容されている。洗浄機コントローラ35は、洗浄が終了したことを示す洗浄終了信号を、キャリーテーブル3のメインコントローラ12に出力する。
【0035】
食器洗浄機4は、熱交換ユニット36を備えている。熱交換ユニット36は、洗浄機本体20の洗浄室21から排出された水蒸気を凝縮して、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する。食器洗浄機4は、洗浄機本体20を支持する四つの脚部37を備えている。
【0036】
図1に示されるように、リフト装置5は、食器洗浄機4の左隣りに、食器洗浄機4に隣接して配置されている。リフト装置5は、食器洗浄機4から搬出された食器ラックRを、収納棚6の所定位置に移載する。図4図6に示されるように、リフト装置5は、本体40と、リフト41と、リフト駆動機構42と、リフト入口センサ44Aと、リフト出口センサ44Bと、収納棚ラック検知センサ44Cと、第一各段センサ45A,45B,45Cと、収納棚検知センサ46と、ドア駆動機構7と、を備えている。
【0037】
本体40は、フレーム40Aと、前後方向において互いに対向して配置されている一対の前側部40B及び後側部40Cと、右側部40Dと、左側部40Eと、天井部40Fと、底部40Gと、脚部40Hと、を有している。一対の前側部40B及び後側部40Cは、ステンレス鋼等から形成されるパネル状の部材である。本体40は、一対の前側部40B及び後側部40Cの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。右側部40Dは、食器洗浄機4側(右側)の開口の上側の一部を覆うパネル状の部材である。左側部40Eは、収納棚6側(左側)の開口の上側の一部を覆うパネル状の部材である。天井部40Fは、本体40の上方を覆うパネル状の部材である。脚部40Hは、底部40Gの四隅に設けられている。
【0038】
リフト41は、食器洗浄機4から搬出された食器ラックRを鉛直方向における搬入位置(図4に示されるリフト41の高さ位置)にて受け取り、収納棚6において食器ラックRが収容されていない棚部53に対する搬出位置に高さ方向に移動し、受け取った食器ラックRを食器洗浄機4側から収納棚6側に水平方向に搬送し、棚部53に食器ラックRを搬入(移載)する。
【0039】
リフト41は、リフト支持部41Aによって支持されている。リフト支持部41Aは、リフト駆動機構42によって上下方向(鉛直方向)に移動する。これにより、リフト41は、上下方向に移動する。リフト駆動機構42は、ベルト42Aと、一対のスプロケット42B,42Bと、リフト駆動部42Cと、を主に含んで構成されている。リフト駆動部42Cは、例えば、ギアモータである。リフト駆動部42Cは、例えば、リフト装置5の上部に配置されている。リフト駆動部42Cの動作は、キャリーテーブル3のメインコントローラ12によって制御される。一方のスプロケット42Bには、リフト駆動部42Cの出力軸が接続されている。リフト41は、スプロケット42Bの回転に応じて、ベルト42Aを介して従動して回転する。ベルト42Aは、一対のスプロケット42B,42Bに掛け渡されている。
【0040】
リフト41は、ベルト駆動機構43を作動させて、食器ラックRをリフト装置5の内側に引き込むと共に、食器ラックRを収納棚6に搬出する。ベルト駆動機構43は、一対の搬送ベルト43A,43Aと、一対の搬送ベルト43A,43Aのそれぞれが巻き掛けられる二組の一対のスプロケット43B,43Bと、ベルト駆動部43Cと、を主に含んで構成されている。一対の搬送ベルト43A,43Aのそれぞれは、無端ベルトであって、一対のスプロケット43B,43Bに架け渡されている。一対の搬送ベルト43A,43Aは、互いに、食器ラックRの搬送方向(左右方向)D1に直交する幅方向(前後方向)に対向するように配置されている。一対の搬送ベルト43A,43Aのそれぞれは、食器ラックRの幅方向における両端部近傍を下方から支持可能に設けられている。
【0041】
搬送ベルト43Aには、突起部43Aaが設けられている。突起部43Aaは、食器ラックRに形成されている被係止部に引っ掛ける部材である。食器ラックRの被係止部は、食器ラックRの縁部(通常状態で搬送ベルト43Aに載置されたとき搬送ベルト43Aにおいて接触する枠状部分)及び食器ラックRの底面に形成される凹部等、突起部43Aaに係止される部分である。突起部43Aaは、搬送ベルト43Aの長手方向(左右方向)に沿って所定の設置間隔B(例えば、100mm)で設けられている。
【0042】
当該設置間隔Bが適切な間隔よりも短いと、突起部43Aaが食器ラックRを持ち上げたとしても隣の突起部43Aaが食器ラックRを持ち上げてしまう。こうなると、前の突起部43Aaの引っ掛かりが外れしまうおそれがあり、適切に食器ラックRを搬送できない。また、当該設置間隔Bが適切な間隔よりも長いと、突起部43Aaが食器ラックRを引っ掛ける機会が減少する。こうなると、食器ラックRの搬送が開始されるまでに時間がかかるおそれがあり、搬送サイクルが安定しなくなる。突起部43Aaの設置間隔Bは、このような事情を考慮して適切に設定される。
【0043】
一対のスプロケット43B,43Bは、食器ラックRの搬送方向D1における両端部に設けられており、搬送ベルト43Aに巻き掛けられている。一方のスプロケット43Bには回動軸が設けられており、チェーンやベルト等を介してベルト駆動部43Cの動力が伝達可能に構成されている。他方のスプロケット43Bは、搬送ベルト43Aを介して従動して回転する。ベルト駆動部43Cは、例えば、ギアモータである。ベルト駆動部43Cの動作は、キャリーテーブル3のメインコントローラ12によって制御される。
【0044】
リフト41は、下方支持部41Bと傾斜部41Cとを有している。下方支持部41Bは、一対の搬送ベルト43A,43Aの間に配置されている板状部材である。傾斜部41Cは、搬送ベルト43Aの回転軌道よりも収納棚6側に突出すると共に収納棚6側に向かって下方に傾斜する。傾斜部41Cは、搬送ベルト43Aから収納棚6側に送り出された食器ラックRの後端部が滑り落ちるように設けられている。図6(B)及び図7(C)に示されるように、搬送ベルト43Aの回転軌道に対する傾斜部41Cの収納棚6側への突出量H2と、突起部43Aaの搬送ベルト43Aからの突出量H1と、が互いに一致するように形成されている。言い換えれば、図6(B)に示されるように、搬送ベルト43Aに設けられた突起部43Aaが搬送方向D1(左右方向)における先端に位置するときに、突起部43Aaの先端と傾斜部41Cの先端部41Caとの位置が搬送方向D1(左右方向)において一致するように形成されている。
【0045】
リフト入口センサ44Aは、食器洗浄機4からリフト装置5(リフト41)へ食器ラックRが進入したことを検知する。リフト入口センサ44Aにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。リフト入口センサ44Aは、例えば、リフト41の食器洗浄機4側の端部に設けられている。リフト入口センサ44Aは、例えば反射型の光電センサである。
【0046】
リフト出口センサ44Bは、搬送ベルト43A,43Aの搬送方向D1においてリフト入口センサ44Aの検知位置よりも搬送方向D1下流側の所定位置に食器ラックRが搬送されてきたことを検知する。リフト出口センサ44Bにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。リフト出口センサ44Bは、例えば、リフト41の収納棚6側の端部に近い位置に設けられ、例えばフレーム40A等にブラケット等を介して取り付けられている。
【0047】
収納棚ラック検知センサ44Cは、例えば反射型の光電センサである。収納棚ラック検知センサ44Cは、リフト41の左側に位置する収納棚6の棚部53における食器ラックRの有無を検知する。言い換えれば、リフト41が移載しようとしている収納棚6における棚部53における食器ラックRの有無を検知する。収納棚ラック検知センサ44Cにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。収納棚ラック検知センサ44Cは、例えば反射型の光電センサである。
【0048】
第一各段センサ45A,45B,45Cは、収納棚6の三つ(複数)の棚部53のそれぞれにおける食器ラックRの有無(空き状況)を検知する。第一各段センサ45A,45B,45Cにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。第一各段センサ45A,45B,45Cは、収納棚6の三つの棚部53のそれぞれに対応して設けられる。第一各段センサ45A,45B,45Cは、三つの棚部53のそれぞれに隣接するフレーム40Aに設けられている。第一各段センサ45A,45B,45Cは、例えば反射型の光電センサである。第一各段センサ45A,45B,45Cは、柔軟性かつ断熱性を有する材料により形成されたカバー40Iによって覆われていてもよい。第一各段センサ45A,45B,45Cの検知範囲は、食器ラックR以外の物体を検知しないように適宜設定又は性能が選択される。
【0049】
第一各段センサ45A,45B,45Cは、図11(A)に示されるように、棚部53においてリフト装置5側(右側)に位置する食器ラックRを検知できるように光の出射方向が調整されている。例えば、左側に向かって下るように僅かな傾斜を設けた棚部53であれば、第一各段センサ45A,45B,45Cのみを備える洗浄システム1であっても、メインコントローラ12は、収納棚6における各棚部53の収容状況(棚部53に収容可能な最大数の食器ラックRが収容されているか否か)を把握することができる。すなわち、安価に収納棚6における各棚部53の収容状況を把握することができる。なお、左側に向かって下るように僅かな傾斜を設けた棚部53に代えて、支持ローラ56の一部に動力を有する送り出しローラを設けてもよい。この場合、棚部53に搬入される食器ラックRを左側に寄せて収容できる。しかしながら、安価に食器ラックRを左側に寄せることができる点で、前者の方が好ましい。
【0050】
一方、このような棚部53の構成を有さない場合、リフト装置5側(右側)に食器ラックRがあるときは、図12(A)に示されるように、第一各段センサ45A,45B,45Cは、食器ラックRを検知することができるが、図12(B)に示されるように、左側に食器ラックRがあるときは、第一各段センサ45A,45B,45Cは、食器ラックRを検知することができない。すなわち、メインコントローラ12は、棚部53における収容状況を正確に把握することができない。
【0051】
そこで、図11(B)に示されるように、棚部53の左側に位置する食器ラックRを検知可能な第二各段センサ(被洗浄物検知部)61A,61B,61Cを設けてもよい。第二各段センサ61A,61B,61Cは、例えば、本体50に専用の支持フレーム50Iを設け、当該支持フレーム50Iに固定されてもよい。第二各段センサ61A,61B,61Cも、第一各段センサ45A,45B,45Cと同様の反射型の光電センサである。このような第二各段センサ61A,61B,61Cを設ければ、図13(A)~図13(C)に示されるように、棚部53の両方に食器ラックRがある場合であっても、左側にある場合であっても、右側にある場合であっても、食器ラックRの有無を検知することができる。
【0052】
第一各段センサ45A,45B,45Cは、フレーム40Aの内部に設けられ、フレーム40Aに形成された角穴等から検出光が出射されてもよい。当該角穴には、透明の樹脂板等が取り付けられてもよい。また、第一各段センサ45A,45B,45Cは、本体40の上方又は下方に設けられ、各棚部53のそれぞれに向けて検出光が出射されるように配置されていてもよい。
【0053】
収納棚検知センサ46は、リフト装置5に収納棚6が固定されていることを検知する。収納棚検知センサ46は、例えば反射型の光電センサである。収納棚検知センサ46における検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。
【0054】
図4(A)、図4(B)及び図5に示されるように、ドア駆動機構7は、食器洗浄機4のドア23を閉位置及び開位置に駆動させる。ドア駆動機構7は、ドア駆動部70と、一対のスプロケットと、チェーン72と、スライダ73と、連結部材74と、を有している。ドア駆動機構7は、リフト装置5の背面側に設けられている。より詳細には、ドア駆動機構7は、後側部40Cに固定されている。
【0055】
ドア駆動部70は、例えば、ギアモータである。ドア駆動部70は、例えば、リフト装置5の上部に配置されている。ドア駆動部70の動作は、キャリーテーブル3のメインコントローラ12によって制御される。ドア駆動部70には、制動機構(ブレーキ)が設けられていない。すなわち、ドア駆動部70は、外部から出力軸に力が作用されると、出力軸が回転する。一対のスプロケットは、上下方向において所定の間隔をあけて配置されている。一方のスプロケットには、ドア駆動部70の出力軸が接続されている。他方のスプロケットは、一方のスプロケットの回転に応じて、チェーン72を介して従動して回転する。チェーン72は、一対のスプロケットに掛け渡されている。
【0056】
スライダ73は、チェーン72に接続されている。スライダ73は、チェーン72の移動に応じて上下方向に移動する。スライダ73は、上下方向に沿って延在しているガイドレール75に接続されており、ガイドレール75に沿って移動する。スライダ73の移動範囲には、上部センサ(図示せず)及び下部センサ(図示せず)が設けられている。上部センサは、下部センサよりも上方に配置されている。上部センサは、食器洗浄機4のドア23が開位置に到達したときに、スライダ73を検出する位置に配置されている。上部センサは、検出結果をキャリーテーブル3のメインコントローラ12に出力する。下部センサは、上部センサよりも下方に配置されている。下部センサは、食器洗浄機4のドア23が閉位置に到達したときに、スライダ73を検出する位置に配置されている。下部センサは、検出結果をキャリーテーブル3のメインコントローラ12に出力する。連結部材74は、洗浄室21の開閉を行うための箱型のドア23(図3参照)に連結されている。
【0057】
図1に示されるように、収納棚6は、リフト装置5の左隣りに、リフト装置5に隣接して配置されている。図1及び図8に示されるように、収納棚6は、複数(本実施形態では六個)の食器ラックRを収納可能である。収納棚6は、リフト装置5によって食器ラックRが収容される。収納棚6は、リフト装置5に着脱可能に設けられている。図8に示されるように、収納棚6は、本体50を有している。
【0058】
本体50は、フレーム50Aと、前後方向における後側に配置されている後側部50Bと、左右方向における左側に配置されている左側部50Cと、天井部50Fと、底部50Gと、脚部50Hと、を有している。後側部50Bは、ステンレス鋼等から形成されるパネル状の部材である。本体50は、水平方向の右側(リフト装置5側)が開口している。脚部50Hは、底部50Gの四隅に設けられている。
【0059】
本実施形態の収納棚6は、三つ(複数)の棚部53が設けられている。一の棚部53は、二個以上(例えば二個)の食器ラックRを収容可能に構成されている。複数の棚部53のそれぞれは、棚ユニット54によって形成されている。図8及び図9に示されるように、棚ユニット54は、フレーム55と、複数の支持ローラ56と、を有している。
【0060】
フレーム55は、複数の支持ローラ56の両端において、支持ローラ56を回転可能に支持する。フレーム55は、棚ユニット54が本体50に固定された状態において、左右方向に延在し、収納棚6の前後に配置される。フレーム55は、二つのコ字状部材(チャンネル部材)55A,55Bを組み合わせることによって構成されている。支持ローラ56の載置面とフレーム55との高低差H3は、自然には乗り越えないが、作業者が食器ラックRに力を加えることで乗り越える程度の寸法であり、例えば1mm~5mmである。
【0061】
複数の支持ローラ56は、食器ラックRを下方から支持すると共に、搬入方向(左右方向)に沿って複数配列されている。複数の支持ローラ56の両端は、一対のフレーム55,55に回転可能に支持されている。一対のフレーム55,55のそれぞれは、二つのコ字状部材55A,55Bを組み合わせて形成されている。一方のコ字状部材55Aの内側面55Aaの上端にはU字状の切り欠き55Abが形成されており、当該切り欠き55Abに連続するように支持ローラ56を嵌挿可能な穴が形成された樹脂製の軸受55Acが配置されている。樹脂製の軸受55Acは、一方のコ字状部材55Aと他方のコ字状部材55Bとによって固定される。支持ローラ56の端部は、このように構成された軸受55Acに切り欠きAbを介して回転可能に支持されている。
【0062】
棚ユニット54は、フレーム50Aに対して着脱可能に構成されている。図10(A)に示されるように、棚ユニット54のフレーム55には、フレーム50Aに対してネジ57Aを介して取り付けられるピン57が形成されている。フレーム50Aには、ネジ57Aを挿通するための挿通孔50Aaが鉛直方向に複数配列されている。このような棚ユニット54及びフレーム50Aの構成によって、使用状況に合わせて棚部53の高さ(ピッチ)を自由に調整することが可能となる。また、使用状況に合わせて棚部53の数を自由に調整することが可能となる。上記実施形態では、フレーム50Aにネジ57Aを挿通するための挿通孔50Aaが形成されている例を挙げて説明したが、例えば、図11(B)に示されるように、棚部53における食器ラックRの有無を検知する第二各段センサ61A,61B,61Cと取り付けるフレーム等に挿通孔50Aaを形成してもよい。
【0063】
図10(B)に示されるように、棚ユニット54には、棚部53のリフト側端部に配置されると共に、高さ方向における最高位点59aが支持ローラ56における食器ラックRの載置面よりも高くなるように形成されたストッパ59が設けられている。ストッパ59は、一対のフレーム55,55に接続されるコ字状部材58を介して取り付けられている。支持ローラ56における食器ラックRの載置面から突出するストッパ59の高さH4は、例えば1mm~3mmである。当該高さH4は、食器ラックRのサイズ等に応じて適宜調整される。このような洗浄システム1では、リフト装置5から収納棚6へ食器ラックRを搬入させるが、一つの棚部53に二つの食器ラックRを収容可能な構成においては、例えば、左側に収容された食器ラックRを取り出す際に、右側に収容された食器ラックRをリフト装置5側に押してしまい、リフト41に食器ラックRが挟まれるようなことがあった。この場合、食器ラックRに収容された食器が破損するおそれがある。本実施形態では、棚部53のリフト側端部にストッパ59が設けられているので、収納棚6の棚部53からリフト装置5のリフト41に食器ラックRが逆流することを防止できる。
【0064】
収納棚6には、図15(A)に示されるような、各段のそれぞれの前方側に開口する部分に物体が有ることを検知する手はさみセンサ63A,63B,63Cが設けられてもよい。手はさみセンサ63A,63B,63Cの例は、反射型の光電センサである。反射型の光電センサの例には、検出物体からの反射光を受光して検出するタイプや、反射板から戻ってくる光を検出物体が遮ることで検出するタイプが含まれる。手はさみセンサ63A,63B,63Cの検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。これにより、メインコントローラ12は、どの棚部53に例えば、作業者の手が入れられているか等の状況を把握することができる。
【0065】
メインコントローラ12は、手はさみセンサ63A,63B,63Cによって検知された棚部53への食器ラックRの搬入を禁止することができる。例えば、メインコントローラ12は、手はさみセンサ63A,63B,63Cによって検知された棚部53へリフト41が上昇又は下降することを禁止する。これにより、作業者の手が食器ラックR等に挟まれることを未然に防止することができる。また、このような制御によって、洗浄システム1において必要以上の動作を停止することが免れるので、手はさみセンサ63A,63B,63Cの検知によって一律に洗浄システム1の動作を停止する制御に比べ、洗浄システム1の稼働率を高めることができる。
【0066】
また、上述した反射型の光電センサのような手はさみセンサ63A,63B,63Cに代えて、図15(B)に示されるような、検知された物体までの距離を取得することができる反射型のレーザセンサ等を手はさみセンサ63D,63Eとして設けてもよい。手はさみセンサ63D,63Eは、天井部50Fに設けられており、各段のそれぞれの前方側に開口する部分に物体が有ることを検知すると共に、手はさみセンサ63D,63Eの設置位置から当該物体までの距離を取得する。手はさみセンサ63D,63Eの検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。なお、手はさみセンサ63D,63Eは二つ配置される例を挙げて説明したが、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0067】
メインコントローラ12は、手はさみセンサ63D,63Eが取得する距離に基づいて、どの棚部53に作業者が手を入れているか等の状況を把握することができる。これにより、メインコントローラ12によって把握された棚部53への食器ラックRの搬入を禁止することができる。手はさみセンサ63D,63Eを設ける構成では、各段にセンサを設けなくても済むので、コストを抑えることができる。特に棚部53の数が多い収納棚6には、その効果が大きい。
【0068】
また、作業者が食器ラックR等に挟まれることを防止する構成としては、例えば、上述した手はさみセンサ63A,63B,63C,63D,63Eの設置に代えて又は加えて、図16に示されるように、収納棚6の前面の開口部に扉6Aを設けてもよい。このような扉6Aを設けることによって物理的に作業者の手が棚部53に入らなくなるので、作業者の手が食器ラックR等に挟まれることを未然に防止することができる。扉6Aは、左右の一方側のみを覆うように一枚の扉が設けられてもよいし、完全に覆うように二枚の扉が設けられてもよい。また、リードスイッチ等を配置して、扉6Aが開けられたことが検知された場合、リフト装置5の動作を停止するようにしてもよい。この場合、作業者の手がリフト41によって挟まれることを未然に防止できる。
【0069】
搬出装置90は、食器洗浄機4からリフト装置5に食器ラックRを搬出する。図1に示されるように、搬出装置90は、食器洗浄機4に右側側面の前方に設けられている。搬出装置90は、アーム91を有している。アーム91は、一方向に延在する回動軸を回動中心に回動することで洗浄室21内のラックレール24(図3参照)に載置された食器ラックRをリフト装置5に押し出す。アーム91によって押し出された食器ラックRはラックレール24を摺動し、食器洗浄機4からリフト装置5に搬出される。
【0070】
次に、リフト装置5の動作について説明する。リフト41は、食器洗浄機4による洗浄が完了した際、食器洗浄機4のラックレール24(図3参照)と同じ高さ位置(原点位置)で待機している。リフト41は、食器洗浄機4から搬出装置90によって食器ラックRが搬出されて、食器ラックRの一部がリフト41上に位置したことがリフト入口センサ44Aで検知されると、搬送ベルト43A,43Aの作動を開始する。すなわち、メインコントローラ12は、ベルト駆動部43Cを制御する。これにより、食器ラックRは、搬送ベルト43A,43Aの突起部43Aaが引っ掛けられた状態で、リフト41の所定位置(リフト出口センサ44Bの検出位置)まで引き込まれる。メインコントローラ12は、リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが検知されると、ベルト駆動部43Cを制御して、搬送ベルト43A,43Aの作動を停止する。
【0071】
同時に、リフト41は、食器ラックRを上記所定位置まで引き込むと(リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが検知されると)、収納棚6において食器ラックRが収容されていない棚部53(空き状態の棚部53)と同じ高さとなるように上昇又は下降を開始する。すなわち、メインコントローラ12は、リフト駆動部42Cを制御する。なお、メインコントローラ12は、第一各段センサ45A,45B,45Cにおける検知結果に基づいて、各棚部53の空き状態を判定している。本実施形態では、棚部53において複数の空き状態が検知されると、上方の棚部53から順番(優先的)に食器ラックRを搬入するように、リフト41が上昇又は下降する。
【0072】
リフト41は、空き状態の棚部53と同じ高さとなるまで上昇又は下降をすると、上昇又は下降を停止する。次に、搬送ベルト43A,43Aの回転を開始させて、空き状態の棚部53へ食器ラックRの搬入を開始する。次に、メインコントローラ12は、リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが検知されなくなると、ベルト駆動部43Cを制御して、リフト41の上昇を開始させる。リフト出口センサ44Bは、食器ラックRをリフト41から完全に送り出すタイミングの少し前の状態の食器ラックRを検出するように設けられている。これにより、図7(A)に示されるように、リフト41は、食器ラックRの後端部を送り出すタイミングの少し前に上昇を開始する。リフト41は、搬送ベルト43A,43Aの回転軸(言い換えれば、スプロケット43B,43Bの回転中心)が棚部53よりも高くなる位置まで上昇する。これにより、図7(B)に示されるように、食器ラックRは左側に搬送されると共に食器ラックRの後端部が傾斜部41Cを滑り落ち、図7(D)に示されるように、棚部53に送り出される。
【0073】
そして、仮に図7(C)に示されるように、食器ラックRの後端部が傾斜部41Cに引っ掛かった場合であっても、搬送ベルト43A,43Aの回転軌道に対する傾斜部41Cの収納棚6側への突出量H2と、突起部43Aaの搬送ベルト43Aからの突出量H1と、が互いに一致するように形成されているので、突起部43Aaが収納棚6側に送り出す。このとき、リフト41は、図7(A)に示されるように、食器ラックRを搬入しようとする棚部53よりも高い位置に上昇した後、搬送ベルト43A,43Aを、突起部43Aaの設置間隔Bに相当する距離を(搬送ベルト43A,43Aの長手方向に沿って)移動できるように少なくとも回転させる。
【0074】
上記実施形態の洗浄システム1における作用効果について説明する。上記実施形態の洗浄システム1では、図7(C)に示されるように、搬送ベルト43A,43Aの回転軌道に対する傾斜部41Cの収納棚6側への突出量H2と、突起部43Aaの搬送ベルト43Aからの突出量と、が互いに一致するように形成されているので、搬送ベルト43Aが食器ラックRを送り出した後に、仮に食器ラックRの後端部が傾斜部41Cに引っ掛かっていたとしても、突起部43Aaが食器ラックRの後端部を押し出すようになる。これにより、リフト装置5から収納棚6への食器ラックRの受け渡しをより確実に行うことができる。
【0075】
上記実施形態の洗浄システム1のメインコントローラ12は、搬送ベルト43Aから収納棚6へ食器ラックRの後端部を送り出すときに、図7(A)に示されるように、食器ラックRを搬入しようとする棚部53よりも高い位置に搬送ベルト43Aの回転軸(すなわち、スプロケット43Bの回転中心)が上昇するようにリフト駆動部42Cを駆動させている。これにより、食器ラックRをより確実に収納棚6に受け渡すことが可能となる。
【0076】
上記実施形態の洗浄システム1のメインコントローラ12は、食器ラックRを搬入しようとする棚部53よりも高い位置に上昇させた後、搬送ベルト43Aが設置間隔Bに相当する距離を少なくとも回転するようにベルト駆動部43Cを駆動させている。これにより、搬送ベルト43Aから収納棚6へ食器ラックRの後端部を送り出すときには、突起部43Aaが食器ラックRの後端部を必ず押し出すようになるので、食器ラックRの後端部が傾斜部41Cに引っ掛かったままの状態となることを防止できる。これにより、食器ラックRをより確実に収納棚6に受け渡すことが可能となる。
【0077】
上記実施形態の洗浄システム1では、棚部53のリフト側端部に配置されると共に支持ローラ56における食器ラックRの載置面よりも高くなるように形成されたストッパ59が設けられているので、棚部53に搬入された食器ラックRがリフト装置5に逆流することを抑制することができる。
【0078】
上記実施形態の洗浄システム1では、収納棚6における棚部53は、食器ラックRを下方から支持すると共に、搬入方向に沿って複数配列された支持ローラ56によって形成されている。これにより、食器ラックRの底面と棚部53との間の摩擦抵抗を小さくすることができるので、収納棚6の左側まで容易に移動させることができる。また、上記実施形態の洗浄システム1では、一の棚部53は、二個の食器ラックRを収容可能に構成されている。この構成では、収納棚6における食器ラックRの収容数を増やすことができると共に、一の棚部53に二個の食器ラックRを収容する場合であっても、リフト装置5から遠い位置までスムーズに食器ラックRを移動させることができる。
【0079】
また、棚部53の底面を支持ローラ56によって構成することで、リフト装置5から前後方向において偏った状態で食器ラックRが受け渡された場合であっても、左右方向に曲がらずに移動させることができる。このため、図9に示されるように、支持ローラ56の載置面とフレーム55との高低差H3を小さくしたとしても、食器ラックRをフレーム55を乗り越えさせることなく左側に移動させることができる。
【0080】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0081】
上記実施形態の洗浄システム1では、収納棚6における棚部53の底部は支持ローラ56から形成されている例を挙げて説明したが、摩擦性に優れた平面部材によって形成されてもよい。
【0082】
上記実施形態の洗浄システム1では、本体50に脚部50Hが設けられた構成の収納棚6が設けられている例を挙げて説明したが、脚部50Hに代えて、収納棚6がリフト装置5から取り外されたときに収納棚6を移動自在とする、例えば四個のローラ(キャスター)と、収納棚6がリフト装置5に取り付けられたときに収納棚6を設置(固定)する設置機構と、が設けられる構成の収納棚6としてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…洗浄システム、4…食器洗浄機(洗浄機)、5…リフト装置、6…収納棚、6A…扉、12…メインコントローラ(制御部)、41…リフト、41B…下方支持部、41C…傾斜部、41Ca…先端部、43…ベルト駆動機構、43A…搬送ベルト(ベルト)、43Aa…突起部、45A,45B,45C…第一各段センサ、53…棚部、54…棚ユニット、55…フレーム、56…支持ローラ、59…ストッパ、61A,61B,61C…第二各段センサ(被洗浄物検知部)、63A,63B,63C,63D,63E…手はさみセンサ、R…食器ラック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16