(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077139
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20230529BHJP
A47L 15/24 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A47L15/46 E
A47L15/46 Z
A47L15/24
A47L15/46 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190309
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】木全 祐也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 園生
(72)【発明者】
【氏名】堀 史幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA03
3B082AA04
3B082AA05
3B082AA08
3B082DA00
3B082DB00
3B082DC00
3B082DC04
3B082DC06
(57)【要約】
【課題】各段センサ及びラック検知センサの両方がラックを検知できないことに起因する不具合が発生することを低減できる、洗浄システムを提供する。
【解決手段】洗浄システムは、複数の棚部のそれぞれにおける食器ラックの有無を検知する各段センサと、リフト装置が食器ラックを搬入しようとする棚部における食器ラックの有無を検知するワゴンラック検知センサと、リフト装置から食器ラックが搬出されたことを検知するリフト出口センサと、各段センサとワゴンラック検知センサとの検知結果に基づいてリフト装置を制御して、複数の棚部の何れかに食器ラックを搬入させるメインコントローラと、を備える。メインコントローラは、リフト出口センサによって食器ラックの搬出が検知されたときにワゴンラック検知センサが食器ラックを検知しないとき、ワゴンラック検知センサに異常が有ることをランプに報知させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、前記洗浄機によって洗浄された被洗浄物を収容可能な複数の棚部が鉛直方向に配列されたワゴンと、前記洗浄機から搬出される前記被洗浄物を鉛直方向かつ水平方向に移動させることによって前記被洗浄物を前記ワゴンに搬入するリフト装置と、を備える洗浄システムであって、
前記複数の棚部のそれぞれにおける前記被洗浄物の有無を検知する各段センサと、
前記リフト装置が前記被洗浄物を搬入しようとする前記棚部における前記被洗浄物の有無を検知する被洗浄物検知センサと、
前記リフト装置から前記被洗浄物が搬出されたことを検知するリフト出口センサと、
前記各段センサと前記被洗浄物検知センサとの検知結果に基づいて前記リフト装置を制御して、前記複数の棚部の何れかに前記被洗浄物を搬入させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記リフト出口センサによって前記被洗浄物の搬出が検知されたときに前記被洗浄物検知センサが前記被洗浄物を検知しないとき、前記被洗浄物検知センサに異常が有ることを報知部に報知させる、洗浄システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記各段センサの検知結果に基づいて前記複数の棚部の何れかに前記リフトを移動させたときに前記各段センサが前記被洗浄物を検知しないとき、前記各段センサに異常が有ると判定する、請求項1記載の洗浄システム。
【請求項3】
洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、前記洗浄機によって洗浄された被洗浄物を収容可能な複数の棚部が鉛直方向に配列されたワゴンと、前記洗浄機から搬出される前記被洗浄物を鉛直方向かつ水平方向に移動させることによって前記被洗浄物を前記ワゴンに搬入するリフト装置と、を備える洗浄システムであって、
前記複数の棚部のそれぞれにおける前記被洗浄物の有無を検知する各段センサと、
前記リフト装置が前記被洗浄物を搬入しようとする前記棚部における前記被洗浄物の有無を検知する被洗浄物検知センサと、
前記各段センサと前記被洗浄物検知センサとの検知結果に基づいて前記リフト装置を制御して、前記複数の棚部の何れかに前記被洗浄物を搬入させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記各段センサの検知結果に基づいて前記複数の棚部の何れかに前記リフトを移動させたときに前記各段センサが前記被洗浄物を検知しないとき、前記各段センサに異常が有ることを報知部に報知させる、洗浄システム。
【請求項4】
前記異常が有ることを報知する報知部と、
前記リフト装置に前記ワゴンが固定されていることを検知するワゴン検知センサと、を更に備え、
前記制御部は、前記異常が有ることを判定すると前記報知部に前記異常が有ることを示す異常報知状態にさせると共に、前記ワゴン検知センサによって前記ワゴンが前記リフト装置から取り外されたことを検知すると前記異常報知状態を解除する、請求項1~3の何れか一項記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄機に食器(被洗浄物)が収容されたラックを搬入する搬入装置と、食器を洗浄する洗浄機と、上下方向に配列されると共にラックを収容可能な棚部を有するワゴンと、洗浄機によって洗浄された食器をワゴンにおける棚部に搬入するリフト装置と、洗浄機から押し出してリフト装置に搬出させる搬出装置と、を備えた洗浄システムが知られている。このような洗浄システムでは、洗浄機へのラックの搬入、洗浄機における食器の洗浄、洗浄機からリフトへラックの搬出、及びリフトからワゴンへのラックの積み込みの一連の作業を、全自動で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような洗浄システムでは、ワゴン各段におけるラックの有無を検知する各段センサと、リフトに設けられると共にリフトが送り出そうとする段のラックの有無を検知するラック検知センサと、を設け、各段センサによってラックが無いことが検知された段にリフトを昇降させ、昇降したリフトが送り出そうとする段にラックがないことをラック検知センサが検知すると、リフトは当該段にラックを送り出す。このような制御によって、ラックが存在しない空きの段にラックを搬入させている。
【0005】
ところが、各段センサ及びラック検知センサの両方が汚れ又は断線等によってラックが検知できない状態となった場合、ラックが存在する段にラックを送り出してしまう可能性があり、ラック同士の衝突によって、食器等が破損するような不具合が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、各段センサ及びラック検知センサの両方がラックを検知できないことに起因する不具合が発生することを低減できる、洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗浄システムは、洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、浄機によって洗浄された被洗浄物を収容可能な複数の棚部が鉛直方向に配列されたワゴンと、洗浄機から搬出される被洗浄物を鉛直方向かつ水平方向に移動させることによって被洗浄物をワゴンに搬入するリフト装置と、を備える洗浄システムであって、複数の棚部のそれぞれにおける被洗浄物の有無を検知する各段センサと、リフト装置が被洗浄物を搬入しようとする棚部における被洗浄物の有無を検知する被洗浄物検知センサと、リフト装置から被洗浄物が搬出されたことを検知するリフト出口センサと、各段センサと被洗浄物検知センサとの検知結果に基づいてリフト装置を制御して、複数の棚部の何れかに被洗浄物を搬入させる制御部と、を備え、制御部は、リフト出口センサによって被洗浄物の搬出が検知されたときに被洗浄物検知センサが被洗浄物を検知しないとき、被洗浄物検知センサに異常が有ることを報知部に報知させる。
【0008】
このような構成の洗浄システムでは、リフト装置からワゴンへ被洗浄物を搬出し、リフト出口センサによって被洗浄物が搬出されたことを検知すると、通常であれば、被洗浄物検知センサと各段センサとの両方が被洗浄物を検知する。この点、本発明の洗浄システムでは、リフト装置からワゴンへ被洗浄物を搬出し、リフト出口センサによって被洗浄物が搬出されたことを検知したときに、被洗浄物検知センサによる被洗浄物の検知が無い場合には、被洗浄物検知センサに異常が有ると判定し、異常が有ることを報知部に報知させている。これにより、作業者は被洗浄物検知センサの異常に対して何らかの対応が可能となる。この結果、各段センサ及びラック検知センサの両方がラックを検知できないことに起因する不具合が発生することを低減できる。
【0009】
本発明の洗浄システムでは、制御部は、各段センサの検知結果に基づいて複数の棚部の何れかにリフトを移動させたときに各段センサが被洗浄物を検知しないとき、各段センサに異常が有ると判定してもよい。このような構成の洗浄システムでは、各段センサの検知結果に基づいて、被洗浄物が搬入されていないと判定された棚部に移動すると、当該移動先の棚部に被洗浄物を搬入する前に、被洗浄物検知センサによって当該移動先の棚部に被洗浄物が無いことを確認する。本発明の洗浄システムでは、各段センサの検知結果に基づいて複数の棚部の何れかにリフトを移動させたときに、被洗浄物検知センサによる被洗浄物の検知が有る場合には、各段センサに異常が有ると判定し、異常が有ることを報知部に報知させている。この結果、各段センサ及びラック検知センサの両方がラックを検知できないことに起因する不具合が発生することをより確実に低減できる。
【0010】
本発明の洗浄システムは、洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、洗浄機によって洗浄された被洗浄物を収容可能な複数の棚部が鉛直方向に配列されたワゴンと、洗浄機から搬出される被洗浄物を鉛直方向かつ水平方向に移動させることによって被洗浄物をワゴンに搬入するリフト装置と、を備える洗浄システムであって、複数の棚部のそれぞれにおける被洗浄物の有無を検知する各段センサと、リフト装置が被洗浄物を搬入しようとする棚部における被洗浄物の有無を検知する被洗浄物検知センサと、各段センサと被洗浄物検知センサとの検知結果に基づいてリフト装置を制御して、複数の棚部の何れかに被洗浄物を搬入させる制御部と、を備え、制御部は、各段センサの検知結果に基づいて複数の棚部の何れかにリフトを移動させたときに各段センサが被洗浄物を検知しないとき、各段センサに異常が有ることを報知部に報知させる。
【0011】
このような構成の洗浄システムでは、各段センサの検知結果に基づいて、被洗浄物が搬入されていないと判定された棚部に移動すると、当該移動先の棚部に被洗浄物を搬入する前に、被洗浄物検知センサによって当該移動先の棚部に被洗浄物が無いことを確認する。本発明の洗浄システムでは、各段センサの検知結果に基づいて複数の棚部の何れかにリフトを移動させたときに、被洗浄物検知センサによる被洗浄物の検知が有る場合には、各段センサに異常が有ると判定し、異常が有ることを報知部に報知させている。この結果、各段センサ及びラック検知センサの両方がラックを検知できないことに起因する不具合が発生することを低減できる。
【0012】
本発明の洗浄システムでは、異常が有ることを報知する報知部と、リフト装置にワゴンが固定されていることを検知するワゴン検知センサと、を更に備え、制御部は、異常が有ることを判定すると報知部に異常が有ることを示す異常報知状態にさせると共に、ワゴン検知センサによってワゴンがリフト装置から取り外されたことを検知すると異常報知状態を解除してもよい。洗浄システムのマニュアル等には、報知部によって異常が報知されたときには、リフト装置からワゴンを取り外して、各段センサや被洗浄物検知センサを清掃することが記載されている。このため、報知部によって異常が報知されたときには、作業者は、リフト装置からワゴンを取り外して各段センサや被洗浄物検知センサを清掃することになる。本発明の構成では、洗浄システムの電源を落としたり、異常解除ボタンを押下したりして、作業者が報知部における報知状態を解除しなくても、リフト装置からワゴンが取り外されることで自動的に報知部における報知状態が解除される。この結果、作業者の手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各段センサ及びラック検知センサの両方に不具合が発生することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗浄システムの全体を示した斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、キャリーテーブルの正面図であり、
図2(B)は、キャリーテーブルの平面図である。
【
図3】
図3は、食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
【
図5】
図5(A)は、リフト装置をワゴン側から見た側面図であり、
図5(B)は、リフト装置を食器洗浄機側から見た側面図である。
【
図6】
図6は、リフト装置を示す斜視図である。パネルを外した状態のリフト装置を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、食器洗浄機及びリフト装置の背面図である。
【
図8】
図8は、リフト装置のスライダ近傍を拡大して示した斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8のスライダに設けられるブラケットの斜視図である。
【
図11】
図11は、洗浄システムの機能構成を示した機能ブロック図である。
【
図12】
図12は、異常検知までの流れを説明するフローチャートである。
【
図13】
図13(A)は、操作部の一例を示す図である。
図13(B)は、センサの異常検知の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、
図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)を説明に用いる。
【0016】
図1に示されるように、洗浄システム1は、キャリーテーブル3と、食器洗浄機(洗浄機)4と、リフト装置5と、ワゴン6と、搬出装置90と、を備えている。洗浄システム1では、キャリーテーブル3及び食器洗浄機4が前後方向に並べて配置され、食器洗浄機4、リフト装置5及びワゴン6が、左右方向に並べて配置されている。すなわち、本実施形態の洗浄システム1では、食器(被洗浄物)が収容される食器ラックRが前側から後側に向かって移動した後、右側から左側に向かって移動するように、平面視においてキャリーテーブル3、食器洗浄機4、リフト装置5及びワゴン6がL字状に配置されている。
【0017】
キャリーテーブル3は、食器ラックRを食器洗浄機4に搬送する。
図1、
図2(A)及び
図2(B)に示されるように、キャリーテーブル3は、基台10と、基台10を支持する四つの脚部19と、搬送機構11と、テーブルラック検知センサ14と、メインコントローラ(制御部)12と、アーム検知センサ13と、を有している。
【0018】
基台10は、食器ラックRが載置されるテーブルである。基台10は、食器ラックRが載置される載置面10aを有している。基台10には、載置面10aから突出すると共に食器ラックRの搬送方向に沿って延在する、食器ラックRを摺動させる摺動部16が設けられている。摺動部16は、載置面10aにねじ等によって固定された、例えば、ポリアセタール樹脂により形成されたプレート状の部材によって構成されている。摺動部16は、食器ラックRに対する摺動性を良好にする部材であれば材料を問わず、ポリアセタール樹脂以外の材料によっても形成が可能である。
【0019】
搬送機構11は、食器ラックRを基台10上で移動させる。搬送機構11は、アーム部材11Aと、支持部11Bと、チェーン11Cと、スプロケット11D,11Dと、テーブル駆動部11Eと、を有している。搬送機構11は、ハウジング17に収容されている。ハウジング17は、キャリーテーブル3を正面から見たとき基台10の後方に配置されており、基台10の載置面10aよりも上方に突出して設けられている。
【0020】
アーム部材11Aは、食器ラックRを押し出す部材であって、載置面10a上を回動可能となるように、支持部11Bに支持されている。支持部11Bは、チェーン11Cに平行に配置されたガイドレール(図示せず)に沿って前後方向に移動可能に設けられると共に、チェーン11Cの一部に固定的に連結されている。チェーン11C,11Cは、二つのスプロケット11D,11Dに巻き掛けられている。テーブル駆動部11Eは、例えばギアモータである。テーブル駆動部11Eの回転軸には、一方のスプロケット11Dが軸支されている。
【0021】
アーム部材11Aは、アーム部材11Aの先端が食器洗浄機4側(後側)に向く状態とキャリーテーブル3の手前側(左側)に向く状態との間で回動可能となるように、ねじりバネ(図示せず)を介して支持部11Bに固定されている。ねじりバネは、平面視において半時計回り(左回り)に回動する方向にアーム部材11Aを付勢している。すなわち、ねじりバネは、ハウジング17から進出する方向にアーム部材11Aを付勢している。アーム部材11Aは、ねじりバネの作用によってシャッタ(図示せず)等の規制部材に接触しない限り、ハウジング17の外側である載置面10a上の進出領域に進出するようになっている。アーム部材11Aは、平面視において載置面10aに重複する進出領域と、載置面10aから退避した退避領域との間で移動可能に設けられており、食器ラックRの押し出しをしないときには、退避領域に退避されている。
【0022】
アーム部材11Aは、テーブル駆動部11Eによって駆動されるスプロケット11D及びチェーン11Cに連動することによって、キャリーテーブル3を正面から見たときの左右方向に回動する。アーム部材11Aは、食器ラックRを搬送するときに、ハウジング17内から載置面10a上に進出し、待機状態においてはハウジング17内に退避する。より詳細には、アーム部材11Aは、載置面10a上の食器ラックRの食器洗浄機4側への移動がテーブルラック検知センサ14によって検知されたタイミング、又は、操作部18においてスタートボタンB1が押下されたタイミングで載置面10a上に進出する。
【0023】
アーム部材11Aは、食器洗浄機4に向けて食器ラックRを押し出す。アーム部材11Aの先端、すなわち、食器ラックRに当接する部分には、ベアリング(図示せず)が設けられもよい。アーム部材11Aは、食器ラックRを食器洗浄機4にまで搬送すると(すなわち、食器ラックRを押し出す押出位置に到達すると)、ハウジング17の内部の退避領域の一部である待機位置に戻る。
【0024】
アーム部材11Aは、左右方向において右側を基点として左側に延在している。本実施形態では、アーム部材11Aの左側端部は、載置面10aの左右方向における中心位置CLよりも右側に位置している。なお、アーム部材11Aの左端は、右側を基点として上記中心位置CLよりも左側にまで延びていてもよい。この場合、アーム部材11Aは、載置面10aに載置される食器ラックRの左右方向における中心位置よりも左側の部分まで接触して、食器洗浄機4側に押し出すことができる。
【0025】
メインコントローラ12は、キャリーテーブル3を含む、洗浄システム1の動作全般を制御する。メインコントローラ12は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、各種処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。メインコントローラ12は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。メインコントローラ12は、例えば、キャリーテーブル3の動作、食器洗浄機4におけるドア23の開閉動作、搬出装置90の動作、リフト装置5の動作等を制御する。メインコントローラ12は、例えば、ハウジング17内に収容されている。
【0026】
図11に示されるように、メインコントローラ12は、テーブル駆動部11Eと、アーム検知センサ13と、テーブルラック検知センサ14と、操作部18と、洗浄機コントローラ35と、ドア駆動部70と、搬出装置90と、リフト駆動部42Cと、ベルト駆動部43Cと、リフト入口センサ44Aと、リフト出口センサ44Bと、ワゴンラック検知センサ(被洗浄物検知センサ)44Cと、各段センサ45A,45B,45C,45Dと、通信可能に接続されている。
【0027】
図2及び
図13(A)に示されるように、操作部18は、ハウジング17を形成するパネルの一部に配置されている。操作部18は、搬送機構11の動作を開始させるスタートボタンB1と、搬送機構11の動作を緊急停止させる異常停止ボタンB2と、洗浄システム1の電源のON/OFFを示すランプL1と、ワゴンラック検知センサ44C又は各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が発生していることを示すランプ(報知部)L2と、異常停止ボタンB2が押下されたことによって洗浄システム1が停止状態に有ることを示すランプL3と、を有している。
【0028】
図2に戻り、アーム検知センサ13は、所定の位置にアーム部材11Aが移動してきたことを検知する。本実施形態のアーム検知センサ13は、アーム部材11Aが食器洗浄機4の洗浄室21に食器ラックRの搬入を完了するときのアーム部材11Aの位置を検知するように配置されている、すなわち、アーム検知センサ13は、食器洗浄機4の洗浄室21に食器ラックRの搬入が完了したことを検知する。アーム検知センサ13の検知結果(ラック搬入完了通知)は、メインコントローラ12によって取得される。
【0029】
図1に示されるように、食器洗浄機4は、キャリーテーブル3の後側に、キャリーテーブル3に隣接して配置されている。食器洗浄機4は、食器ラックRに収容されている食器を洗浄する。
図1及び
図3に示されるように、食器洗浄機4は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体20を有している。洗浄機本体20は、洗浄室21が形成された上側部分20Aと、機械室22が形成された下側部分20Bとに仕切られている。
【0030】
洗浄機本体20の上側部分20Aには、洗浄室21の開閉を行うための箱型のドア23が設けられている。ドア23は、後段にて詳述する連結部材74(
図5(A)及び
図5(B)参照)に連結されている。連結部材74は、メインコントローラ12によって制御されるドア駆動部70(
図5(B)参照)によって駆動される。ドア23は、ドア駆動部70による駆動によって、上下方向において最下高さ位置に位置して、洗浄室21を閉じる閉位置(
図4に示す位置)と、上下方向において最高高さ位置に位置して、洗浄室21を開く開位置(
図1に示す位置)と、の間で移動する。なお、本実施形態のドア23には設けられていないが、ドア23には手動でドア23を開閉するハンドルが設けられてもよい。
【0031】
洗浄室21内には、食器ラックRが載置されるラックレール24が着脱自在に配置されている。キャリーテーブル3から食器洗浄機4に搬出される食器ラックRは、ラックレール24上に押し出される。洗浄室21の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル26Aと、2本のアームからなる上側濯ぎノズル27Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室21の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル26Bと、2本のアームからなる下側濯ぎノズル27Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックRに並べられた食器は、上側洗浄ノズル26A及び下側洗浄ノズル26Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側濯ぎノズル27A及び下側濯ぎノズル27Bによって上下から濯ぎ水が噴射される。
【0032】
洗浄水タンク28には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ29が接続されている。洗浄ポンプ29の吐出口には、洗浄水吐出管30が接続されている。洗浄水吐出管30は、第一洗浄水吐出管30Aと第二洗浄水吐出管30Bとに分岐して、第一洗浄水吐出管30Aは上側洗浄ノズル26Aに接続され、第二洗浄水吐出管30Bは下側洗浄ノズル26Bに接続されている。
【0033】
機械室22内には、外部から給水管(図示せず)を介して濯ぎ水が供給される濯ぎ水タンク31が配置されている。濯ぎ水タンク31には、濯ぎ水吸込管32を介して濯ぎポンプ33が接続されている。濯ぎポンプ33の吐出口には、濯ぎ水吐出管34が接続されている。濯ぎ水吐出管34は、第一濯ぎ水吐出管34Aと第二濯ぎ水吐出管34Bとに分岐して、第一濯ぎ水吐出管34Aは上側濯ぎノズル27Aに接続され、第二濯ぎ水吐出管34Bは下側濯ぎノズル27Bに接続されている。第一濯ぎ水吐出管34Aは、第一洗浄水吐出管30A内に配置されている。すなわち、第一洗浄水吐出管30A及び第一濯ぎ水吐出管34Aは、二重管構造を成している。
【0034】
機械室22内には、食器洗浄機4の動作全般を制御する洗浄機コントローラ35が内蔵された電装ボックス(図示せず)等が収容されている。洗浄機コントローラ35は、洗浄が終了したことを示す洗浄終了信号を、キャリーテーブル3のメインコントローラ12に出力する。
【0035】
食器洗浄機4は、熱交換ユニット36を備えている。熱交換ユニット36は、洗浄機本体20の洗浄室21から排出された水蒸気を凝縮して、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する。食器洗浄機4は、洗浄機本体20を支持する四つの脚部37を備えている。
【0036】
図1に示されるように、リフト装置5は、食器洗浄機4の左隣りに、食器洗浄機4に隣接して配置されている。リフト装置5は、食器洗浄機4から搬出された食器ラックRを、ワゴン6の所定位置に移載する。
図4~
図6に示されるように、リフト装置5は、本体40と、リフト41と、リフト駆動機構42と、リフト入口センサ44Aと、リフト出口センサ44Bと、ワゴンラック検知センサ44Cと、各段センサ45A,45B,45C,45Dと、ワゴン検知センサ46と、ドア駆動機構7と、を備えている。
【0037】
本体40は、フレーム40Aと、前後方向において互いに対向して配置されている一対の前側部40B及び後側部40Cと、右側部40Dと、左側部40Eと、天井部40Fと、底部40Gと、脚部40Hと、を有している。一対の前側部40B及び後側部40Cは、ステンレス鋼等から形成されるパネル状の部材である。本体40は、一対の前側部40B及び後側部40Cの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。右側部40Dは、食器洗浄機4側(右側)の開口の上側の一部を覆うパネル状の部材である。左側部40Eは、ワゴン6側(左側)の開口の上側の一部を覆うパネル状の部材である。
【0038】
天井部40Fは、本体40の上方を覆うパネル状の部材である。天井部40Fは、リフト装置5の上面を形成する天板部40Faと、天板部40Faから左側部40Eに折り曲げられた折曲部40Fbと、を有している。折曲部40Fbは、後側に配置されたフレーム40Aの左側かつ外側に配置されており、当該フレーム40Aを覆っている。リフト装置5において、特にワゴン6側かつ後側のフレーム40Aは、リフト装置5に対するワゴン6の脱着時にワゴン6が衝突し、この衝突によって当該フレーム40Aが変形することがあった。そして、このようなフレーム40Aの変形が大きくなると、ワゴン6を脱着できなくなる可能性がある。この点、本実施形態では、天井部40Fの折曲部40Fbがワゴン6側かつ後側のフレーム40Aを覆うため、ワゴン6の衝突によるフレーム40Aの変形の可能性を低減することができる。なお、天井部40Fは、前側部40B側、後側部40C側及び右側部40D側に折り曲げられてもよい。脚部40Hは、底部40Gの四隅に設けられている。
【0039】
リフト41は、食器洗浄機4から搬出された食器ラックRを鉛直方向における搬入位置(
図4に示されるリフト41の高さ位置)にて受け取り、ワゴン6において食器ラックRが収容されていない棚部53に対する搬出位置に高さ方向に移動し、受け取った食器ラックRを食器洗浄機4側からワゴン6側に水平方向に搬送し、棚部53に食器ラックRを搬入(移載)する。
【0040】
リフト41は、リフト支持部41Aによって支持されている。リフト支持部41Aは、リフト駆動機構42によって上下方向(鉛直方向)に移動する。これにより、リフト41は、上下方向に移動する。リフト駆動機構42は、ベルト42Aと、一対のスプロケット42B,42Bと、リフト駆動部42Cと、を主に含んで構成されている。リフト駆動部42Cは、例えば、ギアモータである。リフト駆動部42Cは、例えば、リフト装置5の上部に配置されている。リフト駆動部42Cの動作は、キャリーテーブル3のメインコントローラ12によって制御される。一方のスプロケット42Bには、リフト駆動部42Cの出力軸が接続されている。リフト41は、スプロケット42Bの回転に応じて、ベルト42Aを介して従動して回転する。ベルト42Aは、一対のスプロケット42B,42Bに掛け渡されている。
【0041】
リフト41は、ベルト駆動機構43を作動させて、食器ラックRをリフト装置5の内側に引き込むと共に、食器ラックRをワゴン6に搬出する。ベルト駆動機構43は、一対の搬送ベルト43A,43Aと、一対の搬送ベルト43A,43Aのそれぞれが巻き掛けられる二組の一対のスプロケット43B,43Bと、ベルト駆動部43Cと、を主に含んで構成されている。一対の搬送ベルト43A,43Aのそれぞれは、無端ベルトであって、一対のスプロケット43B,43Bに架け渡されている。一対の搬送ベルト43A,43Aは、互いに、食器ラックRの搬送方向(左右方向)に直交する幅方向(前後方向)に対向するように配置されている。一対の搬送ベルト43A,43Aのそれぞれは、食器ラックRの幅方向における両端部近傍を下方から支持可能に設けられている。
【0042】
搬送ベルト43Aには、突起部43Aaが設けられている。突起部43Aaは、食器ラックRに形成されている被係止部に引っ掛ける部材である。食器ラックRの被係止部は、食器ラックRの縁部(通常状態で搬送ベルト43Aに載置されたとき搬送ベルト43Aにおいて接触する枠状部分)及び食器ラックRの底面に形成される凹部等、突起部43Aaに係止される部分である。突起部43Aaは、搬送ベルト43Aの長手方向(左右方向)に沿って所定の間隔で設けられている。
【0043】
一対のスプロケット43B,43Bは、食器ラックRの搬送方向における両端部に設けられており、搬送ベルト43Aに巻き掛けられている。一方のスプロケット43Bには回動軸が設けられており、チェーンやベルト等を介してベルト駆動部43Cの動力が伝達可能に構成されている。他方のスプロケット43Bは、搬送ベルト43Aを介して従動して回転する。ベルト駆動部43Cは、例えば、ギアモータである。ベルト駆動部43Cの動作は、キャリーテーブル3のメインコントローラ12によって制御される。
【0044】
リフト入口センサ44Aは、食器洗浄機4からリフト装置5(リフト41)へ食器ラックRが進入したことを検知する。リフト入口センサ44Aにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。リフト入口センサ44Aは、例えば、リフト41の食器洗浄機4側の端部に設けられている。リフト入口センサ44Aは、例えば反射型の光電センサである。
【0045】
リフト出口センサ44Bは、搬送ベルト43A,43Aの搬送方向においてリフト入口センサ44Aの検知位置よりも搬送方向下流側の所定位置に食器ラックRが搬送されてきたことを検知する。リフト出口センサ44Bにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。リフト出口センサ44Bは、例えば、リフト41のワゴン6側の端部に近い位置に設けられ、例えばフレーム40A等にブラケット等を介して取り付けられている。
【0046】
ワゴンラック検知センサ44Cは、例えば反射型の光電センサである。ワゴンラック検知センサ44Cは、リフト41の左側に位置するワゴン6の棚部53(一対の支持レール53A,53Bによって食器ラックRが支持される位置)における食器ラックRの有無を検知する。言い換えれば、リフト41が移載しようとしているワゴン6における棚部53における食器ラックRの有無を検知する。ワゴンラック検知センサ44Cにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。ワゴンラック検知センサ44Cは、例えば反射型の光電センサである。
【0047】
各段センサ45A,45B,45C,45Dは、ワゴン6の四つ(複数)の棚部53のそれぞれにおける食器ラックRの有無(空き状況)を検知する。各段センサ45A,45B,45C,45Dにおける検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。各段センサ45A,45B,45C,45Dは、ワゴン6の四つの棚部53のそれぞれに対応して設けられる。各段センサ45A,45B,45C,45Dは、四つの棚部53のそれぞれに隣接するフレーム40Aに設けられている。各段センサ45A,45B,45C,45Dは、例えば反射型の光電センサである。各段センサ45A,45B,45C,45Dは、柔軟性かつ断熱性を有する材料により形成されたカバー40Iによって覆われていてもよい。各段センサ45A,45B,45C,45Dの検知範囲は、食器ラックR以外の物体を検知しないように適宜設定又は性能が選択される。
【0048】
また、各段センサ45A,45B,45C,45Dは、フレーム40Aの内部に設けられ、フレーム40Aに形成された角穴等から検出光が出射されてもよい。当該角穴には、透明の樹脂板等が取り付けられてもよい。また、各段センサ45A,45B,45C,45Dは、本体40の上方又は下方に設けられ、各棚部53のそれぞれに向けて検出光が出射されるように配置されていてもよい。
【0049】
ワゴン検知センサ46は、リフト装置5にワゴン6が固定されていることを検知する。ワゴン検知センサ46は、例えば反射型の光電センサである。ワゴン検知センサ46における検知結果は、メインコントローラ12によって取得される。
【0050】
図5(A)、
図5(B)及び
図7に示されるように、ドア駆動機構7は、食器洗浄機4のドア23を閉位置及び開位置に駆動させる。ドア駆動機構7は、ドア駆動部70と、一対のスプロケット71A,71Bと、チェーン72と、スライダ73と、連結部材74と、ブラケット76と、を有している。ドア駆動機構7は、リフト装置5の背面側に設けられている。より詳細には、ドア駆動機構7は、後側部40Cに固定されている。なお、
図7では、一対のスプロケット71A,71B及びチェーン72を図示しているが、カバー等で覆われてもよい。
【0051】
ドア駆動部70は、例えば、ギアモータである。ドア駆動部70は、例えば、リフト装置5の上部に配置されている。ドア駆動部70の動作は、キャリーテーブル3のメインコントローラ12によって制御される。ドア駆動部70には、制動機構(ブレーキ)が設けられていない。すなわち、ドア駆動部70は、外部から出力軸に力が作用されると、出力軸が回転する。スプロケット71Aとスプロケット71Bとは、上下方向において所定の間隔をあけて配置されている。スプロケット71Aには、ドア駆動部70の出力軸が接続されている。スプロケット71Bは、スプロケット71Aの回転に応じて、チェーン72を介して従動して回転する。チェーン72は、一対のスプロケット71A,71Bに掛け渡されている。
【0052】
スライダ73は、チェーン72に接続されている。スライダ73は、チェーン72の移動に応じて上下方向に移動する。スライダ73は、上下方向に沿って延在しているガイドレール75に接続されており、ガイドレール75に沿って移動する。スライダ73の移動範囲には、上部センサ(図示せず)及び下部センサ(図示せず)が設けられている。上部センサは、下部センサよりも上方に配置されている。上部センサは、食器洗浄機4のドア23が開位置に到達したときに、スライダ73を検出する位置に配置されている。上部センサは、検出結果をキャリーテーブル3のメインコントローラ12に出力する。下部センサは、上部センサよりも下方に配置されている。下部センサは、食器洗浄機4のドア23が閉位置に到達したときに、スライダ73を検出する位置に配置されている。下部センサは、検出結果をキャリーテーブル3のメインコントローラ12に出力する。
【0053】
連結部材74は、洗浄室21の開閉を行うための箱型のドア23(
図3参照)に連結されている。ブラケット76は、スライダ73と連結部材74とを連結している。連結部材74は、リフト装置5において、食器洗浄機4側(右側)に配置されている。ブラケット76は、前後方向に沿って延在している。ブラケット76の一端部は、スライダ73に固定されており、ブラケット76の他端部は、連結部材74に連結されている。
【0054】
図8及び
図9に示されるように、本実施形態のブラケット76では、スライダ73に固定されると共にチェーン72にも固定されている。ブラケット76は、主面部76aと、ドア固定部76bと、チェーン固定部76cと、折曲部76d,76dと、を有している。ブラケット76における主面部76a、ドア固定部76b、チェーン固定部76c及び折曲部76d,76dは、折曲加工によって形成されている。
【0055】
主面部76aは、スライダ73に固定される部分である。主面部76aとスライダ73とはボルト等によって固定されている。ドア固定部76bは、主面部76aから折り曲げられており、連結部材74に固定される部分である。ドア固定部76bと連結部材74とはボルト等によって固定されている。チェーン固定部76cは、主面部76aから折り曲げられており、チェーン72に固定される部分である。折曲部76d,76dは、チェーン固定部76cから折り曲げられており、チェーン72とスライダ73との間に介在し、一端がチェーン72に接触し、他端がスライダ73と接触する部分である。
【0056】
従来、チェーン72と連結部材74とは、二つの部材によって接続されていた。すなわち、スライダ73と連結部材74とを接続する第一部材と、チェーン72とスライダ73とを接続する第二部材と、によって接続されていた。このような構成では、チェーン72の発停を繰り返すことによって、スライダ73(又は連結部材74)と第一部材との間、チェーン72(又はスライダ73)と第二部材との間で回転方向の力が作用し、ガタツキ(振動)が生じ易く、スライダ73(又は連結部材74)と第一部材とを固定するネジ及びチェーン72(又はスライダ73)と第二部材とを固定するネジが外れるおそれがあった。
【0057】
このような従来の構成に対し、本実施形態の構成では、連結部材74とスライダ73とチェーン72とを一体的に固定するブラケット76を備えている。本実施形態では、ブラケット76又はチェーン72とスライダ73との間でガタツキがなくなると共に、スライダ73とブラケット76又は連結部材74との間でガタツキがなくなる。また、ブラケット76とスライダ73との固定を、ネジに代えてボルトにすることによってボルト間距離を長くすることができる。これにより、ブラケット76の回転方向にかかるガタツキを抑えることができる。更に、一部材のブラケット76によってチェーン固定部76cとチェーン固定部76cとを平行にすることができるので、チェーン72の発停時に生じる振動を、チェーン固定部76c及びチェーン固定部76cによって受け止めることができ、ガタツキを効果的に抑えることができる。また、折曲部76d,76dを有するブラケット76では、スライダ73の側面にブラケット76の端面を接触させることができるので、チェーン72の発停時に生じる振動を抑制することができる。
【0058】
図1に示されるように、ワゴン6は、リフト装置5の左隣りに、リフト装置5に隣接して配置されている。ワゴン6は、複数(本実施形態では四個)の食器ラックRを収納可能である。ワゴン6は、リフト装置5によって食器ラックRが収容される。ワゴン6は、リフト装置5に着脱可能に設けられている。
図10に示されるように、ワゴン6は、本体50を有している。
【0059】
本体50は、フレーム50Aと、前後方向において互いに対向して配置されている一対の前側部50B及び後側部50Cと、天井部50Fと、底部50Gと、を有している。一対の前側部50B及び後側部50Cは、ステンレス鋼等から形成されるパネル状の部材である。本体50は、一対の前側部50B及び後側部50Cの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。
【0060】
一対の前側部50B及び後側部50Cのそれぞれの内面には、互いに対向する位置に、一対の支持レール53A,53Bが設けられている。一対の支持レール53A,53Bは、食器ラックRを支持する。一対の支持レール53A,53Bは、ワゴン6において食器ラックRを収容する棚部53を構成している。支持レール53A,53Bは、上下方向において所定の間隔をあけて複数配置されている。前側部50Bの外面には、作業者によって把持可能な操作ハンドル54A,54Bが設けられている。底部50Gには、ワゴン6がリフト装置5から取り外されたときにワゴン6を移動自在とする4個のローラ55A,55B,55C,55Dと、ワゴン6がリフト装置5に取り付けられたときにワゴン6を設置(固定)する設置機構56A,56Bと、が設けられている。
【0061】
搬出装置90は、食器洗浄機4からリフト装置5に食器ラックRを搬出する。
図1に示されるように、搬出装置90は、食器洗浄機4に右側側面の前方に設けられている。搬出装置90は、アーム91を有している。アーム91は、一方向に延在する回動軸を回動中心に回動することで洗浄室21内のラックレール24(
図3参照)に載置された食器ラックRをリフト装置5に押し出す。アーム91によって押し出された食器ラックRはラックレール24を摺動し、食器洗浄機4からリフト装置5に搬出される。
【0062】
次に、
図12を参照しながらリフト装置5の動作について説明する。リフト41は、食器洗浄機4による洗浄が完了した際、食器洗浄機4のラックレール24(
図3参照)と同じ高さ位置(原点位置)で待機している。リフト41は、食器洗浄機4から搬出装置90によって食器ラックRが搬出されて、食器ラックRの一部がリフト41上に位置したことがリフト入口センサ44Aで検知されると(ステップS01)、搬送ベルト43A,43Aの作動を開始する(ステップS02)。すなわち、メインコントローラ12は、ベルト駆動部43Cを制御する。これにより、食器ラックRは、搬送ベルト43A,43Aの突起部43Aaが引っ掛けられた状態で、リフト41の所定位置(リフト出口センサ44Bの検出位置)まで引き込まれる。
【0063】
ここで、リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが検知されると(ステップS03:YES)と、リフト41は、食器ラックRを上記所定位置まで引き込み、ワゴン6において食器ラックRが収容されていない棚部53(空き状態の棚部53)と同じ高さとなるように上昇又は下降を開始する(ステップS04)。すなわち、メインコントローラ12は、リフト駆動部42Cを制御する。なお、メインコントローラ12は、各段センサ45A,45B,45C,45Dにおける検知結果に基づいて、各棚部53の空き状態を判定している。本実施形態では、棚部53において複数の空き状態が検知されると、上方の棚部53から順番(優先的)に食器ラックRを搬入するように、リフト41が上昇又は下降する。
【0064】
リフト41は、空き状態の棚部53と同じ高さとなるまで上昇又は下降をすると、上昇又は下降を停止する(ステップS05)。次に、搬送ベルト43A,43Aの回転を開始させて(ステップS06)、空き状態の棚部53に食器ラックRを搬入する。リフト41からワゴン6の棚部53へ食器ラックRを搬出し、リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが搬出されたことを検知すると、ワゴンラック検知センサ44Cと食器ラックRを搬入した各段センサ45A,45B,45C,45Dとの両方が検知状態となる。
【0065】
ここで、リフト41からワゴン6の棚部53へ食器ラックRを搬出し、リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが搬出されたことを検知したときに、ワゴンラック検知センサ44Cによる食器ラックRの検知が無い場合には、メインコントローラ12は、ワゴンラック検知センサ44Cに異常が有ると判定し、ランプL2を点灯又は点滅させる。ワゴンラック検知センサ44Cの異常には、汚れや、断線、ワゴンラック検知センサ44Cの故障が考えられる。
【0066】
また、ステップS03の後、各段センサ45A,45B,45C,45Dの検知結果に基づいて、食器ラックRが搬入されていないと判定された棚部53に上昇又は下降すると、当該移動先の棚部53に食器ラックRを搬入する前に、ワゴンラック検知センサ44Cによって当該移動先の棚部53に食器ラックRが無いことを確認する。本実施形態では、各段センサ45A,45B,45C,45Dの検知結果に基づいて複数の棚部53の何れかにリフト41を移動させたときに、ワゴンラック検知センサ44Cによる食器ラックRの検知が有る場合には、各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が有ると判定し、ランプL2を点灯又は点滅させる。各段センサ45A,45B,45C,45Dの異常には、ワゴンラック検知センサ44Cと同様に、汚れや、断線、ワゴンラック検知センサ44Cの故障が考えられる。
【0067】
ワゴンラック検知センサ44C又は各段センサ45A,45B,45C,45Dの異常が検知され、ランプL2を点灯又は点滅させた後、食器ラックRが取り除かれたとき、すなわち、ワゴン検知センサ46によるワゴン6の検知が無くなったときには、ランプL2の点滅又は点灯が解除される。
【0068】
ステップS01においてリフト入口センサ44Aが食器ラックRを検知した後、20秒を経過したことを検知すると(ステップS11:YES)、搬送ベルト43A,43Aの回転を停止させる(ステップS12)。次に、リフト入口センサ44Aによる検知を停止し(ステップS13)、メインコントローラ12は、リフト入口センサ44Aに異常が有ると判定し、ランプL2を点滅又は点灯させる。なお、メインコントローラ12がリフト入口センサ44Aの異常が有ることを判定した場合であっても、キャリーテーブル3から食器洗浄機4へ食器ラックRが自動搬入されるときには、搬送ベルト43A,43Aを回転させて洗浄運転を継続することを可能にしてもよい。また、ステップS13の後、リフト入口センサ44Aによる食器ラックRの検知が確認されれば、ランプL2の点滅又は点灯を解除してもよい。
【0069】
リフト装置5による食器ラックRの搬送は、食器ラックRに対して搬送ベルト43A,43Aに設けられた突起部43Aaの引っ掛かりが悪く、例えば、
図13(B)に示されるように、リフト入口センサ44Aの検知・非検知(ON・OFF)が繰り返す(区間E)ことがある。この場合、ステップS11における異常判定における20秒経過の開始トリガをT0ではなく、最後にONになったタイミングT2としてもよい。なお、
図13(B)では、一回の検知・非検知が発生した場合を例に挙げて説明したが、二回以上繰り返されてもよい。また、例えば、このような検知・非検知が十回繰り返された場合には、メインコントローラ12は、食器ラックRが引っ掛かっていると判定して、リフト装置5における動作を停止してもよい。
【0070】
上記実施形態の洗浄システム1における作用効果について説明する。上記実施形態の洗浄システム1では、リフト装置5からワゴン6へ食器ラックRを搬出し、リフト出口センサ44Bによって食器ラックRが搬出されたことを検知したときに、ワゴンラック検知センサ44Cによる食器ラックRの検知が無い場合には、ワゴンラック検知センサ44Cに異常が有ると判定し、異常が有ることをランプL2に報知させている。これにより、作業者はワゴンラック検知センサ44Cの異常に対して何らかの対応が可能となる。この結果、各段センサ45A,45B,45C,45D及びワゴンラック検知センサ44Cの両方が食器ラックRを検知できないことに起因する不具合が発生することを低減できる。
【0071】
上記実施形態の洗浄システム1では、各段センサ45A,45B,45C,45Dの検知結果に基づいて複数の棚部53の何れかにリフト41を移動させたときに、ワゴンラック検知センサ44Cによる食器ラックRの検知が有る場合には、各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が有ると判定し、異常が有ることをランプL2に報知させている。この結果、各段センサ45A,45B,45C,45D及びワゴンラック検知センサ44Cの両方が食器ラックRを検知できないことに起因する不具合が発生することをより確実に低減できる。
【0072】
上記実施形態の洗浄システム1では、洗浄システム1に異常が有ると判定されると、ランプL2は異常が有ることを示す異常報知状態になる(本実施形態では点灯又は点滅)。また、上記実施形態の洗浄システム1では、ワゴン6がリフト装置5から取り外されたとき、すなわちワゴン検知センサ46によってワゴン6がリフト装置5から取り外されたことを検知すると異常報知状態を解除している。洗浄システム1のマニュアル等には、ランプL2によって異常が報知されたときには、リフト装置5からワゴン6を取り外して、ワゴンラック検知センサ44Cや各段センサ45A,45B,45C,45Dを清掃することが記載されている。上記実施形態の洗浄システム1では、リフト装置5及びワゴン6から食器ラックRを取り出せば、自動的にランプL2における異常報知状態が解除される。これにより、洗浄システム1の電源を落としたり、異常停止ボタンB2を回したりして、ランプL2における異常報知状態を解除しなくても済むので、作業者の手間を省くことができる。
【0073】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
上記実施形態の洗浄システム1では、ワゴンラック検知センサ44Cに異常が有ることを判定すると共に、各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が有ることの判定も行っている例を挙げて説明したが、上述の各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が有ることのみを判定し、各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が有ることをランプL2に報知させてもよい。この場合であっても、各段センサ45A,45B,45C,45D及びワゴンラック検知センサ44Cの両方が食器ラックRを検知できないことに起因する不具合が発生することを低減できる。
【0075】
上記実施形態又は変形例の洗浄システム1では、四つの棚部53のそれぞれにおける空き状況を判定するために用いられるセンサとして、各段センサ45A,45B,45C,45Dがフレーム40Aに配置される例を挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、フレーム40Aに代えて、リフト装置5の上方又は下方の天井部40F又は底部40Gに設けられてもよい。
【0076】
上記実施形態又は変形例の洗浄システム1では、ワゴンラック検知センサ44C又は各段センサ45A,45B,45C,45Dに異常が有ると判定されたときにランプL2に報知させる例を挙げて説明したが、例えば、作業者が携帯する携帯端末に異常がある旨を報知させてもよいし、洗浄システム1を一元的に管理するサーバ等にその旨を報知させてもよい。また、異常を報知する報知部は、洗浄システム1にランプL2として設けられるだけでなく、例えば警告音を発するようなスピーカとして設けられてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…洗浄システム、3…キャリーテーブル、4…食器洗浄機(洗浄機)、5…リフト装置、6…ワゴン、7…ドア駆動機構、12…メインコントローラ(制御部)、40A…フレーム、40F…天井部、40Fa…天板部、40Fb…折曲部、41…リフト、42…リフト駆動機構、43…ベルト駆動機構、44A…リフト入口センサ、44B…リフト出口センサ、44C…ワゴンラック検知センサ(被洗浄物検知センサ)、45A,45B,45C,45D…各段センサ、46…ワゴン検知センサ、50A…フレーム、53…棚部、70…ドア駆動部、72…チェーン、73…スライダ、74…連結部材、75…ガイドレール、76…ブラケット、76a…主面部、76b…ドア固定部、76c…チェーン固定部、76d…折曲部、L2…ランプ(報知部)、R…食器ラック(ラック)。