(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077160
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】便座装置、及び、信号処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/26 20210101AFI20230529BHJP
A61B 5/277 20210101ALI20230529BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20230529BHJP
A61B 5/271 20210101ALI20230529BHJP
【FI】
A61B5/26 100
A61B5/277
A61B5/352
A61B5/271
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190340
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 秋憲
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127CC01
4C127FF02
4C127GG02
4C127GG07
4C127GG18
4C127LL15
4C127LL19
(57)【要約】
【課題】心電図信号の計測品質を向上することができる便座装置を提供する。
【解決手段】便座装置10は、便座本体21に座る人の左大腿部と容量結合する第1電極26Lに電気的に接続された第1プリアンプPA1から出力される第1信号、及び、便座本体21に座る人の右大腿部と容量結合する第2電極26Rに電気的に接続された第2プリアンプPA2から出力される第2信号に基づいて、心電図信号を計測する心電図信号計測回路33と、便座本体21に座る人に接触するボディアース電極22と、第2信号に第2信号のAC成分の極性を反転する処理を行うことによりボディアース電位を生成し、生成されたボディアース電位を、ボディアース電極22を介して人に印加するボディアース電位生成回路37とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座本体の裏面または内部に配置された第1電極であって前記便座本体に座る人の左大腿部と容量結合する第1電極と、
前記第1電極に電気的に接続された第1アンプと、
前記便座本体の裏面または内部に配置された第2電極であって前記便座本体に座る前記人の右大腿部と容量結合する第2電極と、
前記第2電極に電気的に接続された第2アンプと、
前記第1アンプから出力される第1信号、及び、前記第2アンプから出力される第2信号に基づいて、心電図信号を計測する心電図信号計測回路と、
少なくとも一部が前記便座本体の表側から外部に露出し、前記便座本体に座る前記人に接触するボディアース電極と、
前記第2信号に前記第2信号のAC(Alternating Current)成分の極性を反転する処理を行うことによりボディアース電位を生成し、生成された前記ボディアース電位を、前記ボディアース電極を介して前記人に印加するボディアース電位生成回路とを備える
便座装置。
【請求項2】
前記便座本体は、樹脂材料によって形成され、
前記便座本体の前記第1電極と前記左大腿部との間に位置する部分の厚み、及び、前記便座本体の前記第2電極と前記右大腿部との間に位置する部分の厚みのそれぞれは、2mm以下であり、
前記第1電極の面積及び前記第2電極の面積のそれぞれは、10000mm2以上であり、
前記第1電極は、100pF以上の静電容量で前記左大腿部と容量結合し、
前記第2電極は、100pF以上の静電容量で前記右大腿部と容量結合する
請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記第1アンプ及び前記第2アンプのそれぞれは、周波数10Hzにおける入力インピーダンス1GΩ以上であり、かつ、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力ノイズが2μVp-p以下である
請求項1または2に記載の便座装置。
【請求項4】
さらに、
前記第1電極及び前記第1アンプを電気的に接続する第1配線であって、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われた第1配線と、
前記第2電極及び前記第2アンプを電気的に接続する第2配線であって、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われた第2配線とを備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記第1配線は、10GΩ以上の抵抗値を有する第1抵抗素子を介してアナロググランド電位に電気的に接続され、
前記第2配線は、10GΩ以上の抵抗値を有する第2抵抗素子を介して前記アナロググランド電位に電気的に接続される
請求項4に記載の便座装置。
【請求項6】
前記第1配線は、前記第1抵抗素子よりも低い抵抗値を有する第3抵抗素子、及び、前記第3抵抗素子と直列に接続された第1スイッチ素子を介して前記アナロググランド電位に電気的に接続され、
前記第2配線は、前記第2抵抗素子よりも低い抵抗値を有する第4抵抗素子、及び、前記第4抵抗素子と直列に接続された第2スイッチ素子を介して前記アナロググランド電位に電気的に接続される
請求項5に記載の便座装置。
【請求項7】
前記便座本体の前記裏面には、弾性部材が設けられ、
平面視において、前記ボディアース電極の少なくとも一部は、前記弾性部材と重なる
請求項1~6のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項8】
前記便座本体の前記裏面には、弾性部材が設けられ、
さらに、前記弾性部材に加わる重量に基づいて、前記人が前記便座本体に着座したことを検出する着座センサを備え、
前記ボディアース電位生成回路は、前記着座センサによって前記人が前記便座本体に着座したことが検出されたことを契機に、前記ボディアース電位を生成する
請求項1~7のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の便座装置と接続される情報端末によって実行される信号処理方法であって、
前記便座装置によって計測された前記心電図信号を取得する取得ステップと、
取得された前記心電図信号に対して解析を行う解析ステップと、
前記解析の結果を表示する表示ステップとを含む
信号処理方法。
【請求項10】
前記解析ステップにおいては、取得された前記心電図信号のR波を検出し、検出したR波に基づいてRR間隔を算出し、
前記表示ステップにおいては、心拍数またはRR間隔を表示する
請求項9に記載の信号処理方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図信号の計測機能を有する便座装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
人の心電図信号を計測するための様々な技術が知られている。特許文献1には、正確な心電の計測が可能な心電計測装置が開示されている。特許文献2には、シートの着座者の心電位を高感度で検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-047135号公報
【特許文献2】特開2019-092845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、心電図信号の計測品質を向上することができる便座装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る便座装置は、便座本体の裏面または内部に配置された第1電極であって前記便座本体に座る人の左大腿部と容量結合する第1電極と、前記第1電極に電気的に接続された第1アンプと、前記便座本体の裏面または内部に配置された第2電極であって前記便座本体に座る前記人の右大腿部と容量結合する第2電極と、前記第2電極に電気的に接続された第2アンプと、前記第1アンプから出力される第1信号、及び、前記第2アンプから出力される第2信号に基づいて、心電図信号を計測する心電図信号計測回路と、少なくとも一部が前記便座本体の表側から外部に露出し、前記便座本体に座る前記人に接触するボディアース電極と、前記第2信号に前記第2信号のAC(Alternating Current)成分の極性を反転する処理を行うことによりボディアース電位を生成し、生成された前記ボディアース電位を、前記ボディアース電極を介して前記人に印加するボディアース電位生成回路とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る信号処理方法は、前記便座装置と接続される情報端末によって実行される信号処理方法であって、前記便座装置によって計測された前記心電図信号を取得する取得ステップと、取得された前記心電図信号に対して解析を行う解析ステップと、前記解析の結果を表示する表示ステップとを含む。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の便座装置などは、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る計測システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る便座装置の外観図である。
【
図3】
図3は、便座本体に座る人の左大腿部と第1電極との容量結合を説明するための図である。
【
図4】
図4は、情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る計測システムの動作例1のシーケンス図である。
【
図6】
図6は、大腿部で取得される心電図信号の波形の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、情報端末の表示部における、心電図信号及びRR間隔(心拍数)の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る便座装置の回路構成を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る便座装置の回路構成を示す図である。
【
図10】
図10は、電圧ノイズが混入した心電図信号の波形の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る計測システムの動作例2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[計測システムの構成]
以下、実施の形態に係る計測システムについて説明する。
図1は、実施の形態に係る計測システムの構成を示す図である。
図1に示されるように、計測システム100は、便座装置10と、情報端末40とを備える。計測システム100は、便座装置10に座る人の心電図信号(ECG Signal:Electrocardiogram Signal)を計測し、計測した心電図信号、及び、心電図信号の解析結果を情報端末40に表示することができるシステムである。便座装置10を利用する人は、便座20に座るだけで無意識的に心電図信号の計測を受けることができる。ここで心電図信号とは、心臓からの電気的な信号のことをいう。
【0013】
[便座装置の構成:便座]
まず、便座装置10について、
図1に加えて
図2を参照しながら説明する。
図2は、便座装置10の外観図である。
図1及び
図2に示されるように、便座装置10は、便座20と、心電計測モジュール30とを備える。便座装置10は、既存の便器に取り付けられた便座と交換されて既存の便器に取り付けられる装置であってもよいし、便器と一体的に形成される装置であってもよい。
【0014】
便座20は、便座装置10のうち人が用を足す際に着座する部分である。便座20は、便座本体21と、第1アクティブ電極22Lと、第1接続配線23Lと、第2アクティブ電極22Rと、第2接続配線23Rと、ボディアース電極22と、第3接続配線23と、着座センサ24と、複数の脚ゴム25とを備える。
【0015】
便座本体21は、白色の樹脂材料によって形成される部材であり、便座20を構成する他の構成要素を保持する保持部材としても機能する。便座本体21の裏面には、第1アクティブ電極22L、第2アクティブ電極22R、着座センサ24、及び、複数の脚ゴム25が設けられる。便座本体21の内部には、第1接続配線23L、第2接続配線23R、ボディアース電極22、及び、第3接続配線23が設けられる。
【0016】
第1アクティブ電極22Lは、第1基板(図示せず)の一方の主面に第1電極26Lが設けられ、当該第1基板の他方の主面に第1プリアンプPA1が設けられた基板モジュールである。第1アクティブ電極22Lは、より具体的には、第1電極26Lと、第1プリアンプPA1と、第1配線27Lと、第1抵抗素子R1とを備える。
【0017】
第1電極26Lは、便座本体21の裏面に設けられたプレート状(薄膜状)の電極であり、心電図信号を計測するための計測電極として機能する。第1電極26Lは、具体的には、銅箔などの抵抗率の低い金属材料によって形成される。第1電極26Lは、便座本体21に座る人の左脚の大腿部(以下、左大腿部とも記載する)と容量結合する電極である。つまり、第1電極26Lは、容量電極として機能する。
図3は、便座本体21に座る人の左大腿部と第1電極26Lとの容量結合を説明するための図である。
【0018】
図3に示されるように、第1電極26Lは、便座本体21のうち、便座本体21に座る人の左大腿部が位置する部分の裏側に設けられ、便座本体21の一部(
図3において破線で囲まれた部分)を誘電体として、当該左大腿部との間に容量を形成する。第1電極26Lは、左大腿部に直接接触せず、左大腿部と電気的に容量結合する。この容量は、例えば、100pF以上であり、第1電極26Lは、少なくとも0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域の信号を通すことができる。このような容量を維持するために、第1電極26Lは、便座本体21の裏面に、便座本体21との間に空気が入らないように密着形成される。便座本体21の、第1電極26Lと左大腿部との間に位置する部分の厚みは、例えば、2mm以下(より好ましくは、1.5mm)である。
【0019】
第1電極26Lの平面視形状は、例えば、矩形であるが、円形または楕円形であってもよい。平面視における第1電極26Lの面積は、上記の静電容量を実現するために適宜設定される。平面視における第1電極26Lの面積は、例えば、10000mm2(10cm×10cm)以上である。また、第1電極26Lを便座本体21に固定する際に、第1電極26Lの内部に穴を1か所以上開けてもよい。
【0020】
なお、第1電極26Lは、左大腿部との間に便座本体21の一部(樹脂材料)が介在するように便座本体21に取り付けられていればよく、例えば、便座本体21の内部に設けられてもよい。
【0021】
第1プリアンプPA1は、第1アンプの一例であり、第1電極26Lを通じて得られる第1生体信号が入力される増幅器である。第1プリアンプPA1としては、周波数10Hzにおける入力インピーダンスが1GΩ以上であり、かつ、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力ノイズが2μVp-p以下であるオペアンプが使用される。
【0022】
第1プリアンプPA1の正の入力端子は、第1配線27Lによって第1電極26Lに電気的に接続され、第1プリアンプPA1の負の入力端子は、第1プリアンプPA1の出力端子に電気的に接続される。第1プリアンプPA1の増幅率は1に限りなく近い値であり、第1プリアンプPA1は、電圧増幅を行わずにインピーダンス変換を行う。周波数10Hzにおける出力インピーダンスは、例えば、5kΩ程度である。
【0023】
なお、第1プリアンプPA1は、電圧増幅を行ってもよい。この場合においても、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力換算ノイズ(入力ノイズ)が2μVp-p以下であることが望ましい。なお、第1プリアンプPA1は、チョッパ増幅回路(図示せず)として構成されてもよい。
【0024】
チョッパ増幅回路(言い換えれば、チョッパ安定化回路)とは、第1プリアンプPA1の入力段において正の入力端子の電圧と負の入力端子の電圧の差分を取り増幅する(差動増幅する)過程で混入する1/fノイズ(フリッカノイズ)の影響を低減し、入力ノイズを熱ノイズ(サーマルノイズ)のレベル(例えば、2μVp-p以下)に抑えるものである。第1プリアンプPA1は、第1プリアンプPA1の入力段と出力段のそれぞれにチョッパ回路を設けることでチョッパ増幅回路として構成される。
【0025】
入力段に設けられたチョッパ回路は、正の入力端子と負の入力端子とが正規に(そのまま)接続される、または、たすき掛け(正の入力端子と負の入力端子を入れ替える)に接続される動作を、所定の周波数(例えば2kHz)で切り替えることにより、第1プリアンプPA1に入力される信号を2kHzの周波数帯域(2000.1Hz以上2030Hz以下)に変換(変調)する。変調後の信号は、第1プリアンプPA1の入力段で差動増幅される。第1プリアンプPA1の出力段に設けられているチョッパ回路により、第1プリアンプPA1から出力される信号の周波数帯域は、2kHz(2000.1Hz以上2030Hz以下)から、元の0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域に戻され(復調され)、第1接続配線23Lに伝達される。
【0026】
チョッパ増幅回路として構成される第1プリアンプPA1の入力インピーダンスは、第1プリアンプPA1の入力段と出力段のそれぞれに設けられたチョッパ回路を所定の周波数で動作させた状態で定義される。チョッパ増幅回路として構成される第1プリアンプPA1は、周波数10Hzにおける入力インピーダンスが1GΩ以上有していることが望ましい。
【0027】
なお、本明細書において、「アンプ」、「オペアンプ」、「増幅回路」または「増幅器」といった用語は、必ずしも1よりも大きな電圧増幅率を有するアンプ(増幅器)、オペアンプ(演算増幅器)、オペアンプ回路(増幅回路)だけではなく、電圧増幅率が1以下であるアンプ、オペアンプ、オペアンプ回路にも用いられる。
【0028】
第1配線27Lは、第1電極26Lと、第1プリアンプPA1の正の入力端子とを電気的に接続する。第1配線27Lは、例えば、上記第1基板に設けられたパターン配線であるが、リード線などであってもよく、長さは10mm以下が望ましい。第1配線27Lは、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われている。電磁シールドは、空気中に伝播する無線等の電界ノイズを遮蔽する役割を担う。電磁シールドの芯線は、アース電位(0V)に電気的に接続された金属配線によって形成される。
【0029】
第1配線27Lは、第1抵抗素子R1を介してアナロググランド電位(より詳細には、アナロググランド電位生成回路38の出力端子。以下同様)に電気的に接続されている。第1抵抗素子R1は、上記第1基板に設けられた抵抗素子であり、10GΩ以上の抵抗値を有する。第1抵抗素子R1は、例えば、チップ形の抵抗素子であるが、リード線を有する抵抗素子であってもよい。
【0030】
以上説明した第1アクティブ電極22Lは、第1接続配線23Lによって心電計測モジュール30と電気的に接続される。第1接続配線23Lは、例えば、便座本体21内に設けられたリード線であり、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われている。電磁シールドの芯線は、アース電位に電気的に接続された金属配線によって形成される。
【0031】
第2アクティブ電極22Rは、第2基板(図示せず)の一方の主面に第2電極26Rが設けられ、当該第2基板の他方の主面に第2プリアンプPA2が設けられた基板モジュールである。第2アクティブ電極22Rは、より具体的には、第2電極26Rと、第2プリアンプPA2と、第2配線27Rと、第2抵抗素子R2とを備える。
【0032】
第2電極26Rは、便座本体21の裏面に設けられたプレート状(薄膜状)の電極であり、心電図信号を計測するための参照電極として機能する。第2電極26Rは、具体的には、銅箔などの抵抗率の低い金属材料によって形成される。第2電極26Rは、便座本体21に座る人の右脚の大腿部(以下、右大腿部とも記載する)と容量結合する電極である。つまり、第2電極26Rは、容量電極として機能する。
【0033】
第2電極26Rは、便座本体21のうち、便座本体21に座る人の右大腿部が位置する部分の裏側に設けられ、便座本体21の一部を誘電体として、当該右大腿部との間に容量を形成する。第2電極26Rは、右大腿部に直接接触せず、右大腿部と電気的に容量結合する。この容量は、例えば、100pF以上であり、第2電極26Rは、少なくとも0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域の信号を通すことができる。このような容量を維持するために、第2電極26Rは、便座本体21の裏面に、便座本体21との間に空気が入らないように密着形成される。便座本体21の、第2電極26Rと右大腿部との間に位置する部分の厚みは、例えば、2mm以下(より好ましくは、1.5mm)である。
【0034】
第2電極26Rの平面視形状は、例えば、矩形であるが、円形または楕円形であってもよい。平面視における第2電極26Rの面積は、上記の静電容量を実現するために適宜設定される。平面視における第2電極26Rの面積は、例えば、10000mm2(10cm×10cm)以上である。また、第2電極26Rを便座本体21に固定する際に、第2電極26Rの内部に穴を1か所以上開けてもよい。
【0035】
なお、第2電極26Rは、右大腿部との間に便座本体21の一部(樹脂材料)が介在するように便座本体21に取り付けられていればよく、例えば、便座本体21の内部に設けられてもよい。
【0036】
第2プリアンプPA2は、第2アンプの一例であり、第2電極26Rを通じて得られる第2生体信号が入力される増幅器である。第2プリアンプPA2としては、周波数10Hzにおける入力インピーダンスが1GΩ以上であり、かつ、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力ノイズが2μVp-p以下であるオペアンプが使用される。
【0037】
第2プリアンプPA2の正の入力端子は、第2配線27Rによって第2電極26Rに電気的に接続され、第2プリアンプPA2の負の入力端子は、第2プリアンプPA2の出力端子に電気的に接続される。第2プリアンプPA2の増幅率は1に限りなく近い値であり、第2プリアンプPA2は、電圧増幅を行わずにインピーダンス変換を行う。周波数10Hzにおける出力インピーダンスは、例えば、5kΩ程度である。
【0038】
なお、第2プリアンプPA2は、電圧増幅を行ってもよい。この場合においても、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力換算ノイズ(入力ノイズ)が2μVp-p以下であることが望ましい。なお、第2プリアンプPA2は、チョッパ増幅回路(図示せず)として構成されてもよい。
【0039】
なお、第1プリアンプPA1と第2プリアンプPA2の増幅率の精度は高い(例えば、±0.1%)ことが望ましい。
【0040】
第2配線27Rは、第2電極26Rと、第2プリアンプPA2の正の入力端子とを電気的に接続する。第2配線27Rは、例えば、上記第2基板に設けられたパターン配線であるが、リード線などであってもよく、長さは10mm以下が望ましい。第2配線27Rは、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われている。電磁シールドは、空気中に伝播する無線等の電界ノイズを遮蔽する役割を担う。電磁シールドの芯線は、アース電位に電気的に接続された金属配線によって形成される。
【0041】
第2配線27Rは、第2抵抗素子R2を介してアナロググランド電位に電気的に接続されている。第2抵抗素子R2は、上記第2基板に設けられた抵抗素子であり、10GΩ以上の抵抗値を有する。第2抵抗素子R2は、例えば、チップ形の抵抗素子であるが、リード線を有する抵抗素子であってもよい。
【0042】
以上説明した第2アクティブ電極22Rは、第2接続配線23Rによって心電計測モジュール30と電気的に接続される。第2接続配線23Rは、例えば、便座本体21内に設けられたリード線であり、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われている。電磁シールドの芯線は、アース電位に電気的に接続された金属配線によって形成される。
【0043】
ボディアース電極22は、ボディアース電位生成回路37によって生成されるボディアース電位を便座本体21に座る人に印加するための電極である。ボディアース電極22は、少なくとも一部が便座本体21の表側から露出し、便座本体21に座る人の右大腿部に接触する。ボディアース電極22は、例えば、銅などの金属材料によって形成される。
【0044】
ボディアース電極22は、例えば、一部または全部が平面視において脚ゴム25と重なる位置に設けられる。これにより、ボディアース電極22は、脚ゴム25の弾性を利用して便座本体21に座る人の右大腿部に押し当てられる。なお、ボディアース電極22は、便座本体21に座る人の右大腿部に接触するように経験的または実験的に適宜配置されればよく、平面視においてボディアース電極22の少なくとも一部が脚ゴム25と重なるような配置は必須ではない。また、ボディアース電極22は、便座本体21に座る人の体の一部(例えば、臀部)に接触するように配置されればよく、右大腿部に接触するように配置されることは必須ではない。
【0045】
ボディアース電極22は、第3接続配線23によって心電計測モジュール30と電気的に接続される。第3接続配線23は、例えば、便座本体21内に設けられたリード線である。第3接続配線23は、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われていてもよい。電磁シールドは、アースに電気的に接続された金属材料によって形成される。
【0046】
着座センサ24は、脚ゴム25に加わる重量(圧力)に基づいて、人が便座本体21に着座したことを検出する。着座センサ24によって人が着座したことが検出されると、便座装置10はスタンバイ状態から、通常のトイレの機能を動作させる準備に入る。着座センサ24は、例えば、ボディアース電極22の少なくとも一部が重なる脚ゴム25の内部に設けられるが、他の脚ゴム25の内部に設けられてもよい。着座センサ24は、例えば、脚ゴム25に加わる重量を検出することができる圧電式センサまたは歪ゲージ式センサによって実現される。なお、図示されないが、着座センサ24の検出結果(電気信号のフラグ)は、図示されない接続配線を介して、心電計測モジュール30のMCU34によって取得される。
【0047】
複数の脚ゴム25は、便座本体21と便器との緩衝用に、便座本体21の裏面に設けられる弾性部材である。便座本体21の平面視において、ボディアース電極22が脚ゴム25(弾性部材)の一つと重なることで、便座本体21に人が座った際に、右大腿部とボディアース電極22との接触性が向上する。脚ゴム25は、例えば、ゴムによって実現されるが、エラストマーなどの他の材料によって実現されてもよい。脚ゴム25は、例えば、便座本体21の裏面に4つ設けられるが、脚ゴム25の数についても特に限定されない。
【0048】
[便座装置の構成:心電計測モジュール]
心電計測モジュール30は、第1プリアンプPA1によって出力される第1信号を第1接続配線23Lを介して取得し、第2プリアンプPA2によって出力される第2信号を第2接続配線23Rを介して取得する。また、心電計測モジュール30は、取得した第1信号、及び、取得した第2信号に基づいて、心電図信号を計測する。心電計測モジュール30は、第1ハイパスフィルタ31、第2ハイパスフィルタ32、心電図信号計測回路33、MCU(Micro Controller Unit)34、通信回路35、バッファアンプ36、ボディアース電位生成回路37、及び、アナロググランド電位生成回路38を備える。なお、図示されないが、心電計測モジュール30は、電池(例えば、電圧3.7Vのリチウムポリマー電池)を電源として電源回路に供給させて動作する。
【0049】
第1ハイパスフィルタ31は、取得された第1信号の不要な低周波成分(基線変動等)を低減するフィルタである。第1ハイパスフィルタ31は、例えば、カットオフ周波数が0.1Hzの1次のパッシブフィルタである。
【0050】
第2ハイパスフィルタ32は、取得された第2信号の不要な低周波成分(基線変動等)を低減するフィルタである。第2ハイパスフィルタ32は、例えば、カットオフ周波数が0.1Hzの1次のパッシブフィルタである。
【0051】
なお、第1ハイパスフィルタ31と第2ハイパスフィルタ32のそれぞれの抵抗値の精度は高いほうが望ましく、抵抗素子としては、例えば、±0.1%の金属皮膜チップ抵抗が用いられる。同様に、第1ハイパスフィルタ31と第2ハイパスフィルタ32のそれぞれの容量値の精度は高いほうが望ましく、容量素子としては、例えば、±10%の積層セラミックコンデンサが用いられる。
【0052】
心電図信号計測回路33は、差動アンプ33a、ローパスフィルタ33b、及び、AD変換回路33cを含む。差動アンプ33aの正の入力端子には第1信号が入力され、差動アンプ33aの負の入力端子には第2信号が入力される。差動アンプ33aは、例えば、第1信号と第2信号の差分を300倍程度に増幅する。差動アンプ33aの同相弁別比(CMRR:Common-Mode Rejection Ratio)は、100dB以上あることが望ましい。ここで、同相弁別比とは、同相信号除去比ともいい、差動増幅器など2つの入力を有する構成において2つの入力に共通する信号(同相信号)を除去する性能を表す。同相弁別比は、差動信号の利得(増幅率)と同相信号の利得の比で与えられる。なお、差動アンプ33aの増幅率は、経験的または実験的に定められればよく、特に限定されない。
【0053】
ローパスフィルタ33bは、心電図信号計測回路33から出力される信号の不要な高周波成分を低減し、心電図信号として出力する。ローパスフィルタ33bは、例えば、カットオフ周波数が75Hzの3次サレン・キーのアクティブフィルタである。
【0054】
AD変換回路33cは、ローパスフィルタ33bから出力される心電図信号(アナログ信号)をサンプリングしてデジタル信号に変換する変換器である。AD変換回路33cは、例えば、1kHzサンプリングによって心電図信号を12ビットのデジタル信号に変換する。
【0055】
MCU34は、心電図信号を情報端末40へ送信するための情報処理を行う。MCU34は、例えば、AD変換回路33cから出力される心電図信号にダウンサンプリング処理を行うことにより、心電図信号のサンプル数を通信回路35が使用する無線通信の通信規格(ビットレート)に適合させる。詳細には図示されないが、MCU34は、プロセッサ及びメモリを含み、MCU34の機能は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
【0056】
通信回路35は、便座装置10が情報端末40と通信するための通信モジュールである。通信回路35は、例えば、心電図信号を情報端末40へ送信する通信モジュールである。通信回路35は、例えば、BLE(Blutooth(登録商標) Low Energy)などの通信規格にしたがう無線通信により情報端末40と通信を行う。
【0057】
バッファアンプ36の正の入力端子には第2信号が入力され、バッファアンプ36の負の入力端子はバッファアンプ36の出力端子に電気的に接続される。バッファアンプ36の増幅率は1であり、バッファアンプ36は、電圧増幅を行わずにインピーダンス変換を行う。つまり、バッファアンプ36は、差動アンプ33aの動作がボディアース電位生成回路37の動作の影響を受けないようにするために設けられている。なお、バッファアンプ36は、電圧増幅を行ってもよい。
【0058】
ボディアース電位生成回路37は、バッファアンプ36から出力される第2信号に第2信号のAC(Alternating Current)成分の極性を反転する処理を行うことによりボディアース電位を生成し、生成されたボディアース電位を、ボディアース電極22を介して便座本体21に座る人に印加する。上記第2信号には、環境ノイズが含まれ、ボディアース電位は、環境ノイズと極性が反転している。このようなボディアース電位が便座本体21に座る人に印加されることにより、心電図信号から環境ノイズの成分が低減される。ボディアース電位がボディアース電極22を介して便座本体21に座る人に印加される構成では、人体側で環境ノイズの影響が低減される。このため、本構成は、差動アンプ33aにおいて同相の環境ノイズを十分に相殺することができないような場合に有効である。
【0059】
なお、環境ノイズとは、便座本体21に座る人(生体)に起因しないノイズであって計測環境に依存するノイズを意味する。環境ノイズは、例えば、交流電源に起因するハムノイズであり、日本においては50Hzまたは60Hzのノイズである。その他の環境ノイズとしては、風または気流による1Hz付近のノイズ、音声による300Hz以上のノイズ、及び、工事現場または工場から出る20~300Hzの低周波ノイズ等が例示される。
【0060】
ボディアース電位生成回路37は、具体的には、アンプ37aと、抵抗素子R5と、抵抗素子R6と、容量素子C1とを備える。アンプ37aの負の入力端子には、抵抗素子R5を介して第2信号が入力される。アンプ37aの正の入力端子は、アナロググランド電位に電気的に接続される。抵抗素子R6は、帰還抵抗である。容量素子C1は、抵抗素子R6に並列に接続されることにより、ボディアース電位生成回路37にローパスフィルタとしての機能を付与する。
【0061】
ローパスフィルタのカットオフ周波数は、例えば、50Hzのハムノイズの3倍高調波(心電図信号の上限周波数30Hzの5倍程度)を通過させることを想定して、例えば、150Hzであるが、心電図信号の上限周波数30Hzの3倍程度の信号を通過させることを想定して、90Hz程度であってもよい。ローパスフィルタの次数及びカットオフ周波数は、理論的、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0062】
なお、特許文献1に記載の心電計測装置の反転増幅回路のように、中間電位近辺の信号を単に反転増幅する構成では、高周波のノイズを打ち消そうとして、位相が180°以上回転してもループのゲインが1より小さくならず、反転増幅回路が意図せず発振してしまう恐れがある。これに対し、ボディアース電位生成回路37においては、ローパスフィルタによって周波数帯域が制限されているため、ボディアース電位生成回路37が意図せず発振してしまうことが抑制される。
【0063】
抵抗素子R5は、例えば、5kΩであり、抵抗素子R6は、例えば、1MΩであり、容量素子C1は、例えば、940pFである。アンプ37aの出力端子は、第3接続配線23によってボディアース電極22に電気的に接続される。
【0064】
アナロググランド電位生成回路38は、アンプ38aと、抵抗素子R7と、抵抗素子R8とを備え、抵抗素子R7及び抵抗素子R8の抵抗分圧により、1.8Vの電源電圧から0.9Vの電源電圧を生成する。アンプ38aはバッファアンプとして機能し、0.9Vの電源電圧は、アナロググランド電位として使用される。アンプ38aの消費電流は例えば、1mAであり、アナロググランド電位が0.9Vの電源電圧を保つことができる。
【0065】
[情報端末の構成]
情報端末40は、心電計測モジュール30の通信回路35によって送信された心電図信号を受信し、受信した心電図信号、及び、心電図信号の解析結果を表示する。情報端末40は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。また、情報端末40は、汎用装置に計測システム100の専用アプリケーションプログラムがインストールされることにより実現されるが、計測システム100の専用装置であってもよい。
図4は、情報端末40の機能構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、情報端末40は、通信部41と、情報処理部42と、記憶部43と、表示部44とを備える。
【0066】
通信部41は、情報端末40が、心電計測モジュール30の通信回路35によって送信される心電図信号を受信するための通信モジュール(通信回路)である。通信部41によって行われる通信は、例えば、無線通信である。
【0067】
情報処理部42は、心電図信号の表示、心電図信号の解析、及び、心電図信号の解析結果の表示などに関する情報処理を行う。情報処理部42は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部42の機能は、例えば、情報処理部42を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部43に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0068】
記憶部43は、上記情報処理に必要な情報、及び、情報処理部42が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部43は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0069】
表示部44は、心電図信号、及び、心電図信号の解析結果を表示する。表示部44は、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。
【0070】
[計測システムの動作例1]
次に、計測システム100の動作例1について説明する。
図5は、計測システム100の動作例1のシーケンス図である。
【0071】
人が便座20(便座本体21)に座ると、着座センサ24は、脚ゴム25に加わる重量に基づいて、人が便座本体21に着座したことを検出する(S11)。着座した人の左大腿部は、無意識のうちに第1電極26Lの直上に位置し、着座した人の右大腿部は、無意識のうちに第2電極26Rの直上に位置し、着座した人の右大腿部は、無意識のうちにボディアース電極22に直接接触する。MCU34は、人が便座本体21に着座したことが検出されたことを契機に、ボディアース電極22を介して人にボディアース電位(暫定の値)を印加して、第1アクティブ電極22L、第2アクティブ電極22R、及び、心電計測モジュール30を起動する。この過程で、ボディアース電位生成回路37は、第2プリアンプPA2から第2信号に第2信号のAC成分の極性を反転する処理を行うことによりボディアース電位を変化させ、生成されたボディアース電位を、ボディアース電極22を介して人に印加し、ハムノイズを低減させる(S12)。
【0072】
また、心電図信号計測回路33は、第1プリアンプPA1からの第1信号、及び、第2プリアンプPA2からの第2信号に基づいて、心電図信号を計測し、デジタルコード化された心電図信号がMCU34に送られる(S13)。
図6は、大腿部で取得される心電図信号の波形の一例を示す図である。
図6において、心電図信号の波形は10秒間表示されている。ステップS13において環境ノイズを含む第2信号のAC成分と極性が反転したボディアース電位が人の体に印加されるため、ステップS13において計測される心電図信号においては環境ノイズの影響が低減されている。通信回路35は、取得された心電図信号を情報端末40へ送信する(S14)。
【0073】
情報端末40の通信部41は、通信回路35から心電図信号を受信する。情報処理部42は、受信された心電図信号を解析する(S15)。情報処理部42は、人の基線変動を平坦化させるために追加のデジタルフィルタ(例えば、カットオフ周波数2Hzのハイパスフィルタ)を適用し、所定のピーク検出アルゴリズム(例えば、Hamiltonアルゴリズム)を用いて、心電図信号のR波を検出し、検出したR波に基づいてRR間隔を算出する。言い換えれば、情報処理部42は、心拍数を算出する。また、情報処理部42は、心電図信号そのものと、算出したRR間隔(解析結果の一例)とを表示部44に表示する(S16)。
図7は、情報端末40の表示部44における、心電図信号及びRR間隔(瞬時心拍数)の表示例を示す図である。なお、ステップS16においては、心電図信号そのもの、及び、解析結果の少なくとも一方が表示されればよい。
【0074】
なお、ピーク検出アルゴリズム適用に際し、ハムノイズ(50Hz、60Hz)の低減が不十分である場合、情報処理部42は、追加のデジタルフィルタ(例えば、中心周波数60Hz、帯域幅4Hzのノッチフィルタ)を適用してもよい。
【0075】
このように計測システム100は、便座装置10に座る人の心電図信号を計測し、計測した心電図信号、及び、心電図信号の解析結果を情報端末40に表示することができる。
【0076】
[便座装置の回路構成の変形例1]
次に、変形例1に係る便座装置の回路構成について説明する。
図8は、変形例1に係る便座装置の回路構成を示す図である。
【0077】
図1に示される便座装置10においては、第1プリアンプPA1、第2プリアンプPA2、及び、差動アンプ33aとして、ICチップセットが採用されているため、第1プリアンプPA1、第2プリアンプPA2、及び、差動アンプ33aはいずれも1.8Vの電圧の供給を受けて動作した。ここでのICチップセットとは、例えば、心電図信号計測用の2種類以上のASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されるチップセットである。
【0078】
これに対し、
図8に示される変形例1に係る便座装置10aにおいては、第1アクティブ電極22Laが備える第1プリアンプPA1a、及び、第2アクティブ電極22Raが備える第2プリアンプPA2aのそれぞれは、差動アンプ33aとは異なり、3.3Vの電圧の供給を受けて動作する。これにより、便座装置10aにおいては、第1プリアンプPA1a、及び、第2プリアンプPA2aとして汎用性の高いオペアンプを採用することができる。また、第1プリアンプPA1a、及び、第2プリアンプPA2aのそれぞれに、より振幅の大きい信号を入力することが可能となる。なお、第1プリアンプPA1aは、第1アンプの別の一例であり、第2プリアンプPA2aは、第2アンプの別の一例である。
【0079】
第1プリアンプPA1a及び第2プリアンプPA2aとしては、例えば、周波数10Hzにおける入力インピーダンスが1GΩ以上であり、かつ、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力ノイズが2μVp-p以下であるオペアンプが使用されればよい。
【0080】
[便座装置の回路構成の変形例2]
次に、変形例2に係る便座装置の回路構成について説明する。
図9は、変形例2に係る便座装置の回路構成を示す図である。
【0081】
図9に示される変形例2に係る便座装置10bは、便座装置10における第1アクティブ電極22Lが第1アクティブ電極22Lbに置き換えられ、第2アクティブ電極22Rが第2アクティブ電極22Rbに置き換えられた構成を有する。
【0082】
第1アクティブ電極22Lbは、第1アクティブ電極22Lに、第3抵抗素子R3、及び、第1スイッチ素子S1が追加された構成を有する。
【0083】
第3抵抗素子R3は、第1抵抗素子R1よりも低い抵抗値を有する。第3抵抗素子R3の抵抗値は、例えば、10MΩであり、第1抵抗素子R1の抵抗値(例えば、10GΩ)の1000分の1以下の抵抗値である。なお、第3抵抗素子R3は、例えば、チップ形の抵抗素子であるが、リード線を有する抵抗素子であってもよい。第3抵抗素子R3の一端は、第1スイッチ素子S1の他端に電気的に接続され、第3抵抗素子R3の他端は、アナロググランド電位に電気的に接続されている。
【0084】
第1スイッチ素子S1の一端は、第1配線27Lに電気的に接続され、第1スイッチ素子S1の他端は、第3抵抗素子R3の一端に電気的に接続されている、第1スイッチ素子S1は、MCU34から出力される制御信号に基づいて、第1配線27Lと、第3抵抗素子R3との電気的接続をオン及びオフする。第1スイッチ素子S1は、例えば、CMOSによるMOSFETなどの半導体スイッチング素子である。
【0085】
第2アクティブ電極22Rbは、第2アクティブ電極22Rに、第4抵抗素子R4、及び、第2スイッチ素子S2が追加された構成を有する。
【0086】
第4抵抗素子R4は、第2抵抗素子R2よりも低い抵抗値を有する。第4抵抗素子R4の抵抗値は、例えば、10MΩであり、第2抵抗素子R2の抵抗値(例えば、10GΩ)の1000分の1以下の抵抗値である。なお、第4抵抗素子R4は、例えば、チップ形の抵抗素子であるが、リード線を有する抵抗素子であってもよい。第4抵抗素子R4の一端は、第2スイッチ素子S2の他端に電気的に接続され、第4抵抗素子R4の他端は、アナロググランド電位に電気的に接続されている。
【0087】
第2スイッチ素子S2の一端は、第2配線27Rに電気的に接続され、第2スイッチ素子S2の他端は、第4抵抗素子R4の一端に電気的に接続されている、第2スイッチ素子S2は、MCU34から出力される制御信号に基づいて、第2配線27Rと、第4抵抗素子R4との電気的接続をオン及びオフする。第2スイッチ素子S2は、例えば、CMOSによるMOSFETなどの半導体スイッチング素子である。
【0088】
このように、便座装置10bにおいては、第1配線27Lは、第1抵抗素子R1よりも低い抵抗値を有する第3抵抗素子R3、及び、第3抵抗素子R3と直列に接続された第1スイッチ素子S1を介してアナロググランド電位に電気的に接続されている。また、便座装置10bにおいては、第2配線27Rは、第2抵抗素子R2よりも低い抵抗値を有する第4抵抗素子R4、及び、第4抵抗素子R4と直列に接続された第2スイッチ素子S2を介してアナロググランド電位に電気的に接続されている。
【0089】
なお、特許文献2では、本願の第1抵抗素子R1(第2抵抗素子R2)に相当する第1抵抗器、及び、本願の第3抵抗素子R3(第4抵抗素子R4)に相当する第2抵抗器のそれぞれは、アナロググランド電位(中間電位)ではなく、アース電位に電気的に接続されている。便座装置10bのように、第1抵抗素子R1(第2抵抗素子R2)、及び、第3抵抗素子R3(第4抵抗素子R4)のそれぞれがアナロググランド電位(中間電位)に電気的に接続されれば、電圧ノイズはアンプ38aのバッファ動作により吸収し、ノイズ除去中にアース電位(0V)がシフトしにくいため、電圧ノイズを低減しているときにも第1プリアンプPA1(第2プリアンプPA2)が継続して動作する。したがって、便座装置10bは、特許文献2に記載の心電センサに比べて電圧ノイズの低減を適切に行うことができる。
【0090】
[動作例2]
便座装置10においては、大腿部と便座本体21との摩擦により、第1電極26L及び第2電極26Rに微小な電圧ノイズが蓄積し、第1配線27L及び第2配線27Rが高インピーダンスであり、電圧ノイズを逃がす経路が存在しないため、心電図信号に電圧ノイズが混入してしまう場合がある。
図10は、このような電圧ノイズが混入した心電図信号の波形の一例を示す図である。便座装置10bは、このような電圧ノイズへの対策が施されている。具体的には、便座装置10bは、第1スイッチ素子S1及び第2スイッチ素子S2をオンすることで、電圧ノイズをアナロググランドへ逃がすことができる。
【0091】
以下、計測システム100の動作例2として、計測システム100が便座装置10に代えて便座装置10bを備える場合の動作例について説明する。
図11は、計測システム100の動作例2のシーケンス図である。
【0092】
ステップS21~ステップS24の処理は、ステップS11~ステップS14の処理と同様であるため、詳細な説明が省略される。
【0093】
ステップS24において、情報端末40の通信部41は、通信回路35から心電図信号を受信する。情報処理部42は、受信された心電図信号を解析する(S25)。ステップS24で受信した心電図信号に電圧ノイズが混入しており、当該心電図信号が
図10のような波形を有しているとする。このような心電図信号は、通常の心電図信号(
図6)よりも振幅が大きい。そこで、情報処理部42は、ステップS25において心電図信号の振幅が閾値以上であるか否かを判定し、心電図信号の振幅が閾値以上である場合に心電図信号が計測できていない(計測の異常)と判定する。閾値は、例えば、200μVであるが、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0094】
情報処理部42は、心電図信号が計測できていないと判定すると、心電図信号の再計測要求を便座装置10bへ送信する(S26)。再計測要求は、より具体的には、通信部41によって便座装置10bへ送信される。
【0095】
便座装置10bの通信回路35は、再計測要求を受信する。MCU34は、受信された再計測要求に基づいて、放電処理を行う(S27)。MCU34は、具体的には、オフ状態の第1スイッチ素子S1及び第2スイッチ素子S2のそれぞれを所定期間の間オンした後、オフ状態に戻す。これにより、MCU34は、電圧ノイズのアナロググランドへの放電を図る。所定期間は、例えば、5秒であるが、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0096】
放電処理の後、心電図信号計測回路33は、第1プリアンプPA1からの第1信号、及び、第2プリアンプPA2からの第2信号に基づいて、心電図信号を計測する(S28)。通信回路35は、取得された心電図信号を情報端末40へ送信する(S29)。
【0097】
情報端末40の通信部41は、通信回路35から心電図信号を受信する。情報処理部42は、受信された心電図信号を解析する(S30)。ステップS30では、ステップS27において電圧ノイズが低減されているため、心電図信号が正常であると判定される。そうすると、情報処理部42は、さらに、所定のピーク検出アルゴリズムを用いて、心電図信号のR波を検出し、検出したR波に基づいてRR間隔を算出する。言い換えれば、情報処理部42は、心拍数を算出する。
【0098】
その後、情報処理部42は、心電図信号そのものと、算出したRR間隔とを表示部44に表示する(S31)。この結果、
図7に示されるように、情報端末40の表示部44には、2秒間の心電図信号及びRR間隔(心拍数)が表示される。なお、ステップS31においては、心電図信号そのもの、及び、解析結果(心拍数、RR間隔の時間的推移など)の少なくとも一方が表示されればよい。
【0099】
このように便座装置10bを備える計測システム100は、心電図信号が計測できていないと判定されたときに、電圧ノイズを低減するための放電処理を行った上で、再度、心電図信号を計測することができる。
【0100】
[効果等]
以上説明したように、便座装置10は、便座本体21の裏面または内部に配置された第1電極26Lであって便座本体21に座る人の左大腿部と容量結合する第1電極26Lと、第1電極26Lに電気的に接続された第1プリアンプPA1と、便座本体21の裏面または内部に配置された第2電極26Rであって便座本体21に座る人の右大腿部と容量結合する第2電極26Rと、第2電極26Rに電気的に接続された第2プリアンプPA2と、第1プリアンプPA1から出力される第1信号、及び、第2プリアンプPA2から出力される第2信号に基づいて、心電図信号を計測する心電図信号計測回路33と、少なくとも一部が便座本体21の表側から外部に露出し、便座本体21に座る人に接触するボディアース電極22と、第2信号に第2信号のAC成分の極性を反転する処理を行うことによりボディアース電位を生成し、生成されたボディアース電位を、ボディアース電極22を介して人に印加するボディアース電位生成回路37とを備える。第1プリアンプPA1は、第1アンプの一例であり、第2プリアンプPA2は、第2アンプの一例である。
【0101】
このような便座装置10は、ボディアース電位を便座本体21に座る人に印加することで、人体側で心電図信号への環境ノイズの影響を低減することができる。つまり、便座装置10は、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【0102】
また、例えば、便座本体21は、樹脂材料によって形成され、便座本体21の第1電極26Lと左大腿部との間に位置する部分の厚み、及び、便座本体21の第2電極26Rと右大腿部との間に位置する部分の厚みのそれぞれは、2mm以下である。第1電極26Lの面積及び第2電極26Rの面積のそれぞれは、10000mm2以上である。第1電極26Lは、100pF以上の静電容量で左大腿部と容量結合し、第2電極26Rは、100pF以上の静電容量で前記右大腿部と容量結合する。
【0103】
このような便座装置10は、第1電極26Lと左大腿部とを適切に容量結合させ、かつ、第2電極26Rと右大腿部とを適切に容量結合させることで、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【0104】
また、例えば、第1プリアンプPA1及び第2プリアンプPA2のそれぞれは、周波数10Hzにおける入力インピーダンス1GΩ以上であり、かつ、0.1Hz以上30Hz以下の周波数帯域における入力ノイズが2μVp-p以下である。
【0105】
このような便座装置10は、第1プリアンプPA1及び第2プリアンプPA2として心電図信号の計測に適した性能を有するアンプを採用することで、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【0106】
また、例えば、便座装置10は、さらに、第1電極26L及び第1プリアンプPA1を電気的に接続する第1配線27Lであって、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われた第1配線27Lと、第2電極26R及び第2プリアンプPA2を電気的に接続する第2配線27Rであって、少なくとも一部が電磁シールドによって覆われた第2配線27Rとを備える。
【0107】
このような便座装置10は、第1電極26L及び第1プリアンプPA1を電気的に接続する第1配線27L、及び、第2電極26R及び第2プリアンプPA2を電気的に接続する第2配線27Rのそれぞれを電磁シールドで覆うことで、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【0108】
また、例えば、第1配線27Lは、10GΩ以上の抵抗値を有する第1抵抗素子R1を介してアナロググランド電位に電気的に接続される。第2配線27Rは、10GΩ以上の抵抗値を有する第2抵抗素子R2を介してアナロググランド電位に電気的に接続される。
【0109】
このような便座装置10は、第1配線27L及び第2配線27Rのそれぞれを比較的高い抵抗値を有する抵抗素子を介してアナロググランド電位に電気的に接続することで、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【0110】
また、例えば、便座装置10bにおいては、第1配線27Lは、第1抵抗素子R1よりも低い抵抗値を有する第3抵抗素子R3、及び、第3抵抗素子R3と直列に接続された第1スイッチ素子S1を介してアナロググランド電位に電気的に接続される。第2配線27Rは、第2抵抗素子R2よりも低い抵抗値を有する第4抵抗素子R4、及び、第4抵抗素子R4と直列に接続された第2スイッチ素子S2を介してアナロググランド電位に電気的に接続される。
【0111】
このような便座装置10bは、第1電極26L及び第2電極26Rに微小な電圧ノイズが蓄積した場合に、第1スイッチ素子S1及び第2スイッチ素子S2をオンすることで電圧ノイズをアナロググランドへ逃がすことができる。便座装置10bは、電圧ノイズをアナロググランドへ逃がすことで、心電図信号の計測品質を向上することができる。
【0112】
また、例えば、便座本体21の裏面には、脚ゴム25が設けられる。平面視において、ボディアース電極22の少なくとも一部は、脚ゴム25と重なる。脚ゴム25は、弾性部材の一例である。
【0113】
このような便座装置10は、脚ゴム25の弾性を利用して、ボディアース電極22を便座本体21に座る人の体に押し当てることができる。
【0114】
また、例えば、便座本体21の裏面には、脚ゴム25が設けられる。便座装置10は、さらに、脚ゴム25に加わる重量に基づいて、人が便座本体に着座したことを検出する着座センサ24を備える。ボディアース電位生成回路37は、着座センサ24によって人が便座本体21に着座したことが検出されたことを契機に、ボディアース電位を生成する。
【0115】
このような便座装置10は、人が便座本体21に着座したことを契機に、ボディアース電位を生成することができる。
【0116】
また、便座装置と接続される情報端末40によって実行される信号処理方法は、便座装置10によって計測された心電図信号を取得する取得ステップS14と、取得された心電図信号に対して解析を行う解析ステップS15と、解析の結果を表示する表示ステップS16とを含む。
【0117】
このような信号処理方法は、心電図信号の解析結果を表示することができる。
【0118】
また、例えば、解析ステップS15においては、取得された心電図信号のR波を検出し、検出したR波に基づいてRR間隔を算出する。表示ステップS16においては、心拍数またはRR間隔を表示する。
【0119】
このような信号処理方法は、RR間隔を表示することができる。
【0120】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではない。
【0121】
例えば、上記実施の形態で説明された回路構成は、一例であり、本発明は上記回路構成に限定されない。つまり、上記回路構成と同様に、本発明の特徴的な機能を実現できる回路も本発明に含まれる。例えば、上記回路構成と同様の機能を実現できる範囲で、ある素子に対して、直列又は並列に、スイッチング素子(トランジスタ)、抵抗素子、または容量素子等の素子が接続されたものも本発明に含まれる。
【0122】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0123】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0124】
例えば、本発明は、上記実施の形態に係る計測システムとして実現されてもよいし、計測システムによって実行される心電図信号の計測方法として実現されてもよい。また、本発明は、このような計測方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0125】
また、本発明は、便座装置または情報端末によって実行される信号処理方法として実現されてもよいし、このような信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0126】
また、計測システムは、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。計測システムが複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された計測システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0127】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【符号の説明】
【0128】
10、10a、10b 便座装置
21 便座本体
22 ボディアース電極
24 着座センサ
25 脚ゴム(弾性部材)
26L 第1電極
26R 第2電極
27L 第1配線
27R 第2配線
33 心電図信号計測回路
37 ボディアース電位生成回路
PA1、PA1a 第1プリアンプ(第1アンプ)
PA2、PA2a 第2プリアンプ(第2アンプ)
R1 第1抵抗素子
R2 第2抵抗素子
R3 第3抵抗素子
R4 第4抵抗素子
S1 第1スイッチ素子
S2 第2スイッチ素子