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  • 特開-車両用電池ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077194
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】車両用電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60L 50/64 20190101AFI20230529BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230529BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230529BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230529BHJP
【FI】
B60L50/64
B60L3/00 S
H01M10/48 P
H01M10/48 301
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190386
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 理
(72)【発明者】
【氏名】坂口 正人
【テーマコード(参考)】
3D235
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
3D235BB20
3D235CC15
3D235CC42
3D235DD16
3D235DD35
3D235EE64
3D235FF12
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH52
3D235HH61
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC18
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE25
5H125FF04
(57)【要約】
【課題】車両のメンテナンスにおける作業工数を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する車両用電池ユニットは、車両に搭載される電池と、電池を監視する監視回路と、電池を収容する第1のケースと、監視回路の少なくとも一部を収容する第2のケースと、第1のケースと第2のケースとの間を接続するハーネスと、を備える。第1のケース及び第2のケースは、互いに独立して車両に着脱可能に取り付けられる。ハーネスは、第1のケース及び第2のケースのうち、少なくとも一方と着脱可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電池と、
前記電池を監視する監視回路と、
前記電池を収容する第1のケースと、
前記監視回路の少なくとも一部を収容する第2のケースと、
前記第1のケースと前記第2のケースとの間を接続するハーネスと、
を備え、
前記第1のケース及び前記第2のケースは、互いに独立して前記車両に着脱可能に取り付けられ、
前記ハーネスは、前記第1のケース及び前記第2のケースのうち、少なくとも一方と着脱可能に構成される、車両用電池ユニット。
【請求項2】
前記監視回路は、前記第2のケースに収容された演算ユニットを含み、
前記演算ユニットは、前記電池の状態を示す指標を監視するためのプログラムを実行可能に構成されている、請求項1に記載の車両用電池ユニット。
【請求項3】
前記監視回路は、前記第2のケースに収容されているとともに、前記電池の状態を示す前記指標を取得するセンサを含む、請求項2に記載の車両用電池ユニット。
【請求項4】
前記指標は、温度、電流、電圧の少なくとも一つ、を含む、請求項2または3に記載の車両用電池ユニット。
【請求項5】
前記監視回路は、前記第1のケースに収容されているとともに、前記電池の電圧を検出するための電圧検出回路を含み、
前記電圧検出回路は、前記ハーネスを通じて前記演算ユニットと電気的に接続されている、請求項2から4のいずれか一項に記載の車両用電池ユニット。
【請求項6】
前記監視回路は、前記第1のケースに収容されているとともに、前記電池の温度を検出するための温度検出回路を含み、
前記温度検出回路は、前記ハーネスを通じて前記演算ユニットと電気的に接続されている、請求項2から5のいずれか一項に記載の車両用電池ユニット。
【請求項7】
前記監視回路は、前記第2のケースに収容されているとともに、前記電池の電流を検出するための電流検出回路を含み、
前記電流検出回路は、前記第2のケース内において前記演算ユニットと電気的に接続されている、請求項2から6のいずれか一項に記載の車両用電池ユニット。
【請求項8】
前記ハーネスは、前記電池の充放電電流が流れる高圧電力線を含み、
前記監視回路は、前記第2のケースに収容されているとともに、前記ハーネスの高圧電力線と前記車両の回路との間に設けられたリレーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用電池ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、車両用電池ユニットに関する。特に、電池と、電池を監視する監視回路と、それらを電気的に接続するハーネスと、を備える車両用電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に上述した車両用電池ユニットが開示されている。車両用電池ユニットでは、電池、監視回路、及びハーネスが、一つのケースに収容された状態で、車両に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-050093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用電池ユニットにおいて、電池、監視回路、及びハーネスのいずれかに異常が発生した場合、メンテナンスの作業者は、電池等を収容したケースを車両から取り外し、その後、ケースを開けて内部の状況を確認する。車両から電池等を収容したケースを取り外す作業は、多大な工数を必要とする。特許文献1の車両用電池ユニットでは、電池、監視回路及びハーネスのいずれかに異常が発生した場合に、車両からケースを取外す必要がある。本明細書では、電池を収容したケースを取り外す頻度を低減することによって、車両のメンテナンスにおける作業工数を低減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する車両用電池ユニットは、車両に搭載される電池と、前記電池を監視する監視回路と、前記電池を収容する第1のケースと、前記監視回路の少なくとも一部を収容する第2のケースと、前記第1のケースと前記第2のケースとの間を接続するハーネスと、を備える。前記第1のケース及び前記第2のケースは、互いに独立して前記車両に着脱可能に取り付けられる。前記ハーネスは、前記第1のケース及び前記第2のケースのうち、少なくとも一方と着脱可能に構成される。
【0006】
上述した構成によると、例えば、電池、監視回路及びハーネスのうち、監視回路に異常が発生した場合、第1のケースまたは第2のケースからハーネスを取外し、さらに監視回路を収容する第2のケースを車両から取り外すことで、当該異常を解消することができる。このため、メンテナンスの作業者は、監視回路にのみ異常が発生した場合には、電池を収容する第1のケースを車両から取り外さなくてすむ。このように、本明細書が開示する車両用電池ユニットによれば、電池を収容した第1のケースを取り外す頻度を低減することができるため、車両のメンテナンスにおける作業工数を低減することができる。
【0007】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の車両用電池ユニット10の下面図を示す。
図2】車両用電池ユニット10の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の一実施形態では、前記監視回路は、前記第2のケースに収容された演算ユニットを含んでもよい。その場合、前記演算ユニットは、前記電池の状態を示す指標を監視するためのプログラムを実行可能に構成されていてもよい。このような構成によると、演算ユニットにのみ異常が発生した場合に、第2のケースを車両から取り外すことによって、演算ユニットのメンテナンスを実行することができる。これにより、電池を収容する第1のケースを車両から取り外す頻度を低減することができる。
【0010】
本技術の一実施形態では、前記監視回路は、前記第2のケースに収容されているとともに、前記電池の状態を示す前記指標を取得するセンサを含んでもよい。但し、別の実施形態では、センサは、第1のケースに収容されていてもよい。
【0011】
本技術の一実施形態では、前記指標は、温度、電流、電圧の少なくとも一つ、を含んでもよい。但し、別の実施形態では、例えば、温度、電圧を取得するセンサは、第1のケースに収容されており、電流を取得するセンサは、第2のケースに収容されていてもよい。
【0012】
本技術の一実施形態では、前記監視回路は、前記第1のケースに収容されているとともに、前記電池の電圧を検出するための電圧検出回路を含んでもよい。その場合、前記電圧検出回路は、前記ハーネスを通じて前記演算ユニットと電気的に接続されていてもよい。このような構成によると、第1のケースに収容された電池の電圧を、第2のケースに収容された演算ユニットによって監視することができる。電池の電圧を監視するための他の演算ユニットを、第1のケースに設ける必要がないので、第1のケースにおいて故障が発生する頻度を低減することができる。すなわち、電池を収容した第1のケースを取り外す頻度を低減することができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記監視回路は、前記第1のケースに収容されているとともに、前記電池の温度を検出するための温度検出回路を含んでもよい。その場合、前記温度検出回路は、前記ハーネスを通じて前記演算ユニットと電気的に接続されていてもよい。このような構成によると、電池の近傍で電池の温度を検出するため、精度よく電池の温度を検出することができる。
【0014】
本技術の一実施形態では、前記監視回路は、前記第2のケースに収容されているとともに、前記電池の電流を検出するための電流検出回路を含んでもよい。その場合、前記電流検出回路は、前記第2のケース内において前記演算ユニットと電気的に接続されていてもよい。このような構成によると、電流検出回路に異常が発生した場合に、第2のケースを車両から取り外すことによって、電流検出回路のメンテナンスを実行することができる。これにより、電池を収容する第1のケースを車両から取り外す頻度を低減することができる。
【0015】
本技術の一実施形態では、前記ハーネスは、前記電池の充放電電流が流れる高圧電力線を含んでもよい。前記監視回路は、前記第2のケースに収容されているとともに、前記ハーネスの高圧電力線と前記車両の回路との間に設けられたリレーを含んでもよい。このような構成によると、リレーに異常が発生した場合に、第2のケースを車両から取り外すことによって、リレーのメンテナンスを実行することができる。これにより、電池を収容する第1のケースを車両から取り外す頻度を低減することができる。
【0016】
(実施形態)
図面を参照して実施形態の車両用電池ユニットについて説明する。図1は、実施形態の車両用電池ユニット10が搭載される電動車両100のフロア(図示省略)を下方から見た図を示す。このため、図1の左下の座標軸に示されるように、電動車両100の前方が矢印FRで示される場合、電動車両100の左方を示す矢印LHが、図1の紙面右側に示される。
【0017】
電動車両100は、車両用電池ユニット10と、インバータ50と、走行用モータ52と、を備える。電動車両100は、車両用電池ユニット10の電力を、インバータ50を介して走行用モータ52に供給することで走行する車両である。
【0018】
車両用電池ユニット10は、電動車両100のフロアに対して、下方(即ち、図1の紙面手前側)から取り付けられる。車両用電池ユニット10は、電池ユニット11と、監視ユニット20と、高圧ハーネス30と、低圧ハーネス40と、を備える。
【0019】
電池ユニット11は、電池16と、第1のケース12と、を備える。電池16は、直列に接続された複数のスタックを備える二次電池であり、充電可能に構成される。
【0020】
第1のケース12は、第1の上側ケース12uと、第1の下側ケース12dと、8個のブラケット2と、を備える。電池ユニット11を電動車両100に搭載する際、電池16は、まず、第1の下側ケース12dに固定される。その後、電池16は、第1の上側ケース12uによって上方(すなわち、図1の紙面奥側)から覆われる。第1の上側ケース12u及び第1の下側ケース12dは、12本のボルト14によって上方から固定される。その結果、電池16は、第1のケース12に収容される。
【0021】
図1に示されるように、4個のブラケット2は、第1のケース12の前方に配置され、4個のブラケット2は、第1のケース12の後方に配置される。各ブラケット2は、ボルト4によって、下方から、電動車両100のフロアに固定される。このように、電池16を収容した第1のケース12が、電動車両100に取付けられる。
【0022】
監視ユニット20は、集約回路26と、制御回路27と、リレー回路28と、を備える。監視ユニット20は、電池16の状態を監視する回路26~28を含む。上述した電池16と同様に、監視ユニット20は、第2のケース22に収容される。各回路26~28を第2の下側ケース22dに固定した状態で、第2の上側ケース22uを12本のボルト24によって第2の下側ケース22dに固定する。各回路26~28を収容した第2のケース22は、4個のブラケット2及び4本のボルト4によって電動車両100のフロア(図示省略)に下方から固定される。このように、各回路26~28を収容した第2のケース22が、電動車両100に取付けられる。
【0023】
電池16を収容する第1のケース12の後方(すなわち、図1の紙面下方)には、第1の高圧側ソケット32と、第1の低圧側ソケット42と、が設けられる。各回路26~28を収容する第2のケースの前方(すなわち、図1の紙面上方)には、第2の高圧側ソケット34と、第2の低圧側ソケット44と、が設けられる。図1に示されるように、各高圧側ソケット32,34は、互いに対向し、各低圧側ソケット42,44は、互いに対向する。さらに、第2のケース22の後方には、第3の高圧側ソケット36と、第3の低圧側ソケット46と、が設けられる。各ソケット32,42は、電池16と電気的に接続される。同様に、各ソケット34,36,44,46は、各回路26~28と電気的に接続される。
【0024】
高圧ハーネス30は、その前端に電池側コネクタ3bを備え、その後端に回路側コネクタ3cを備える。電池側コネクタ3bと第1の高圧側ソケット32とが嵌合することで、高圧ハーネス30と電池16とが電気的に接続される。同様に、回路側コネクタ3cと第2の高圧側ソケット34とが嵌合することで、高圧ハーネス30と各回路26~28とが電気的に接続される。各コネクタ3b、3cは、各ソケット32,34から、取外しが可能である。すなわち、高圧ハーネス30は、各ケース12,22に対して着脱可能である。
【0025】
低圧ハーネス40は、その前端に電池側コネクタ4bを備え、その後端に回路側コネクタ4cを備える。電池側コネクタ4bと第1の低圧側ソケット42とが嵌合することで、低圧ハーネス40と電池16とが電気的に接続される。同様に、回路側コネクタ4cと第2の低圧側ソケット44とが嵌合することで、低圧ハーネス40と各回路26~28とが電気的に接続される。各コネクタ4b、4cは、各ソケット42,44から、取外しが可能である。すなわち、低圧ハーネス40は、各ケース12,22に対して着脱可能である。
【0026】
第3の高圧側ソケット36には、出力側コネクタ3mを介して、充放電ハーネス39が接続される。充放電ハーネス39は、インバータ50を介して、走行用モータ52に接続される。これにより、電動車両100の走行時には、充放電ハーネス39を介して、電池16の電力が走行用モータ52に供給される。電動車両100の制動時には、充放電ハーネス39を介して、走行用モータ52が発電した回生電力が、電池16に供給される。
【0027】
第3の低圧側ソケット46には、出力側コネクタ4mを介して、低圧出力ハーネス49が接続される。図示は省略したが、低圧出力ハーネス49は、車両制御装置(図示省略)に接続される。車両制御装置は、電動車両の走行に関する情報(例えば、アクセル開度、ブレーキ踏込力、走行速度等)に基づいて、監視ユニット20への指示内容を決定し、低圧出力ハーネス49を介して、監視ユニット20へ送信する。
【0028】
図2を参照して、電池ユニット11、監視ユニット20の詳細回路について説明する。電池ユニット11は、電池16に加え、さらに、電圧検出回路18と、温度検出回路19とを備える。図2に示さるように、各回路18,19は、第1のケース12に収容される。電圧検出回路18は、電池16の複数のスタックの間の電圧を検出する。温度検出回路19は、電池16の複数のスタックの間の温度を検出する。図2に示されるように、各回路18,19は、第1の低圧側ソケット42に接続される。なお、図2では、理解を助けるため、制御に用いられる低圧電力が流れる低圧電力線を細い破線で示し、動力に用いられる高圧電力が流れる高圧電力線を太い実線で示す。また、図2では、図を理解しやすくするため、複数の電力線を1本にまとめて記載することがある。
【0029】
先に述べたように、電池ユニット11の第1の低圧側ソケット42と、監視ユニット20の第2の低圧側ソケット44と、は、低圧ハーネス40によって接続される。これにより、低圧ハーネス40に含まれる低圧線41によって、電池ユニット11の各回路18,19と監視ユニット20の集約回路26とが電気的に接続する。これにより、集約回路26は、電圧検出回路18から電池16の電圧値を取得し、温度検出回路19から電池16の温度を取得する。
【0030】
集約回路26は、電圧検出回路18から取得した電池16の電圧値を集約し、制御回路27に送信する。さらに、集約回路26は、温度検出回路19から取得した電池16の温度を集約し、制御回路27に送信する。
【0031】
制御回路27は、CPU70と、メモリ72と、を備える。制御回路27は、メモリ72に保存されるプログラム(図示省略)を、CPU70によって実行する演算ユニットである。制御回路27は、集約回路26から受信した電池16の電圧値、温度に基づいて、電池16を安全な状態に保持する。
【0032】
リレー回路28は、正極側リレー82pと、負極側リレー82nと、バイパスリレー83と、抵抗84と、電流センサ80と、ヒューズ86と、を備える。電池ユニット11の第1の高圧側ソケット32と、監視ユニット20の第2の高圧側ソケット34と、は、高圧ハーネス30によって接続される。これにより、高圧ハーネス30に含まれる高圧線31によって、電池ユニット11の電池16と、監視ユニット20のリレー回路28とが電気的に接続する。この結果、電池16は、高圧ハーネス30及びリレー回路28を介してインバータ50、走行用モータ52(すなわち電動車両100の回路)と電気的に接続される。その結果、高圧ハーネス30の高圧線31には、電池16を充電する電流と、電池16から放電される電流とが、流れる。さらに、リレー回路28は、制御線38によって、制御回路27と電気的に接続される。
【0033】
各リレー82p、82n、83は、リアクトルと、スイッチと、を備える。制御回路27は、各リレー82p、82n、83のリアクトルに電流を流すことによって、リアクトルに磁力を発生させる。その結果、リアクトルに発生した磁力が各リレー82p、82n、83のスイッチのバーを稼働させることによって、スイッチがオンされる。これにより、電池16が、インバータ50、走行用モータ52と電気的に接続される。また、制御回路27は、各リレー82p、82n、83のリアクトルに電流を流さないことによって、各リレー82p、82n、83のスイッチをオフする。これにより、電池16が、インバータ50、走行用モータ52と電気的に切断される。
【0034】
バイパスリレー83は、負極側リレー82nに対して並列に接続される。バイパスリレー83は、抵抗84と直列に接続される。制御回路27は、負極側リレー82nに代えて、バイパスリレー83に電流を流すことによって、突発的な大電流の発生を防止する。これにより、突発的な大電流による周辺機器の故障を防止することができる。
【0035】
電流センサ80は、電池16から出力される電流値を検出し、制御線38を介して、検出した電流値を、制御回路27へ送信する。制御回路27は、電流センサ80から受信した電流値が閾値を超えている場合に、例えば、各リレー82p、82nへの電流の供給を停止することによって、各リレー82p、82nをオフする。これにより、閾値を超える電力がインバータ50、走行用モータ52に流れることを防止することができる。また、制御回路27は、集約回路26から受信した電池16の電圧値が閾値を超えた場合には、各リレー82p、82nへの電流の供給を停止することによって、各リレー82p、82nをオフする。さらに、制御回路27は、集約回路26から受信した電池16の温度が閾値を超えた場合には、各リレー82p、82nへの電流の供給を停止することによって、各リレー82p、82nをオフする。このように、監視ユニット20は、電池16の状態を監視するとともに、電池16の状態を安全に保持する。
【0036】
ここで、車両用電池ユニット10のメンテナンスについて説明する。メンテナンスの作業者は、電動車両100の車両制御装置(図示省略)に、故障診断システム(図示省略)を接続する。故障診断システムは、車両制御装置を介して車両用電池ユニット10に信号を送信し、車両用電池ユニット10から信号を受信する。車両用電池ユニット10に異常が発生している場合、故障診断システムは、当該信号により、車両用電池ユニット10のうち、電池16に異常が発生しているか否かを判断する。
【0037】
電池16に異常が発生していると判断された場合、作業者は、電動車両100をリフトアップし、第1の高圧側ソケット32から、電池側コネクタ3bを取外し、第1の低圧側ソケット42から、電池側コネクタ4bを取外す。さらに、作業者は、電動車両100をリフトアップした状態で、電動車両100の下方から8本のボルト4を取外す。その後、作業者は、電池16を収容する第1のケース12を電動車両100から取り外す。さらに、作業者は、12本のボルト14を取り外すことによって、第1の上側ケース12uを取外し、電池16の状態を確認する。
【0038】
上述したように、電池16を収容する第1のケース12を電動車両100から取り外す作業は、多大な工数を要する。本明細書が開示する車両用電池ユニット10では、上述したように、電池16と、監視ユニット20と、がそれぞれ、別個のケースに収容された状態で、互いに独立して電動車両100に着脱可能に取付けられる。さらに、高圧ハーネス30の電池側コネクタ3bを第1の高圧側ソケット32から取り外すことで、高圧ハーネス30は、第1のケース12から取り外される。同様に、低圧ハーネス40も、第1のケース12から取り外される。このため、故障診断システムが、例えば、電池16に異常が発生していないと判断した場合、監視ユニット20を収容する第2のケース22を電動車両100から取り外すことによって、監視ユニット20に異常が発生している場合には、当該異常を解消することができる。すなわち、電池16を収容する第1のケース12を電動車両100から取り外す頻度を低減することができる。また、電池16及び監視ユニット20の双方が1個のケースに収容されている構成に比べ、電池16を収容する第1のケース12の質量を低減することができる。そのため、第1のケース12を取り外す際に、作業者への負担を低減することができる。
【0039】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
【0040】
(変形例1)上述した実施形態では、監視ユニット20の各回路26~28が、第2のケース22に収容される。変形例では、例えば、集約回路26が第2のケース22に収容され、制御回路27が第3のケースに収容され、リレー回路28が第4のケースに収容されてもよい。
【0041】
(変形例2)監視ユニット20の各回路26~28のうち、例えば、集約回路26は、電池16とともに第1のケース12に収容されてもよい。
【0042】
(変形例3)上述した実施形態では、高圧ハーネス30は、各ケース12,22に対して着脱可能に構成される。変形例では、高圧ハーネス30は、例えば、第1のケース12に対して着脱可能に構成され、第2のケース22に対して常に固定されるように構成されてもよい。その場合、低圧ハーネス40も、第1のケース12に対して着脱可能に構成され、第2のケース22に対して常に固定されるように構成されてもよい。別の変形例では、各ハーネス30,40は、第1のケース12に対して常に固定されるように構成され、第2のケース22に対して着脱可能に構成されてもよい。さらに別の変形例では、各ハーネス30,40は、一本のハーネスとして構成されてもよい。
【0043】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0044】
2 :ブラケット
3b、4b :電池側コネクタ
3c、4c :回路側コネクタ
3m、4m :出力側コネクタ
4 :ボルト
10 :車両用電池ユニット
11 :電池ユニット
12 :第1のケース
12d :第1の下側ケース
12u :第1の上側ケース
14、24 :ボルト
16 :電池
18 :電圧検出回路
19 :温度検出回路
20 :監視ユニット
22 :第2のケース
22d :第2の下側ケース
22u :第2の上側ケース
26 :集約回路
27 :制御回路
28 :リレー回路
30 :高圧ハーネス
31 :高圧線
32 :第1の高圧側ソケット
34 :第2の高圧側ソケット
36 :第3の高圧側ソケット
38 :制御線
39 :充放電ハーネス
40 :低圧ハーネス
41 :低圧線
42 :第1の低圧側ソケット
44 :第2の低圧側ソケット
46 :第3の低圧側ソケット
49 :低圧出力ハーネス
50 :インバータ
52 :走行用モータ
70 :CPU
72 :メモリ
80 :電流センサ
82n :負極側リレー
82p :正極側リレー
83 :バイパスリレー
84 :抵抗
86 :ヒューズ
100 :電動車両
図1
図2