(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077218
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】リールシートグリップ部材、リールシートグリップ構造及び釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/08 20060101AFI20230529BHJP
A01K 87/06 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A01K87/08 B
A01K87/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190437
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】川村 拓司
(72)【発明者】
【氏名】中川 敬介
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA07
2B019AC00
2B019CB03
2B019CB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軽量かつフードのコンパクト化、デザインの自由度が高い、リールシートグリップ部材、リールシートグリップ構造及び釣竿を提供する。
【解決手段】フェアリング部40とフェアリング部に接続された尻部50とを備え、フェアリング部は、一方の端部が竿体2に設けられたリール脚6aを固定するための一対のフード13の内少なくとも一方のフードに取付けられ、尻部は一方の端部が竿体に設けられた取付部材を介して該竿体に取付けられるリールシートグリップ構造。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェアリング部と、該フェアリング部に接続された尻部と、を備えるリールシートグリップ部材であって、
該フェアリング部は、その一方の端部が竿体に設けられたリール脚を固定するための一対のフードの内少なくとも一方のフードに取付けられ、該尻部は、その一方の端部が該竿体に設けられた取付部材を介して該竿体に取付けられることを特徴とするリールシートグリップ部材。
【請求項2】
前記フェアリング部は、接着、嵌合又は機械的締結により前記少なくとも一方のフードに取付けられる、請求項1に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項3】
前記尻部は、接着、嵌合又は機械的締結により前記取付部材に取付けられる、請求項1又は2に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項4】
前記フェアリング部と前記尻部とは、前記竿体に対して固定若しくは移動可能に固定される、請求項1から3までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項5】
前記フェアリング部と前記尻部とが前記竿体に対して固定される場合、前記少なくとも一方のフードと前記取付部材とは、接着、嵌合又は機械的締結により前記竿体に固定される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項6】
前記フェアリング部と前記尻部とが前記竿体に対して移動可能に固定される場合、前記少なくとも一方のフードと前記取付部材とは、前記竿体に対して該竿体の軸方向に移動可能にされる、請求項1から4までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項7】
前記少なくとも一方のフードと前記取付部材とは、その内周面が前記竿体の外周面に螺合するようにして該竿体に対して該竿体の軸方向に移動可能にされる、請求項6に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項8】
前記フェアリング部と前記尻部とは一体にかつ炭素繊維強化プラスチックにより形成される、請求項1から7までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項9】
前記リールシートグリップ部材の一部に1又は複数の切欠きが形成されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項10】
前記リールシートグリップ部材の一部に1又は複数のハニカム構造が形成されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材と、竿体に設けられたリール脚を固定するための一対のフードと、該リールシートグリップ部材を該竿体に取付けるための取付部材と、を備えるリールシートグリップ構造。
【請求項12】
竿体と、請求項1から10までのいずれか1項に記載のリールシートグリップ部材と、竿体に設けられたリール脚を固定するための一対のフードと、該リールシートグリップ部材を該竿体に取付けるための取付部材と、を備える釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールシートグリップ部材、リールシートグリップ構造、及びこれらのいずれかを備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣竿用リールシート及びグリップを備えた様々な釣竿が知られている。
【0003】
このような釣竿では、通常、竿体の上に釣竿用リールシートと釣竿用グリップが載置され、該釣竿用リールシートには、本体の上側又は下側にリール脚を載置するためのリール脚載置部が形成される。
【0004】
このような釣竿として、例えば、特許文献1には、竿体と、該竿体の周面に設けられ外周に凹凸面が形成された筒状の補強樹脂層と、該補強樹脂層の外周面上に射出成形されたリールシートとを備えた釣竿が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、リールの脚部が載置されるリール脚載置部を有する筒状のリールシート本体を備えたリールシートの後側に、リアグリップ部を備えた釣竿であって、竿本体と、プリプレグから中空竿体を形成する際にその後部を竿本体の径の変化率よりも大きい径の変化率で大径化することによりリアグリップ部が一体的に形成されたリアグリップ竿体とを備え、竿本体の後部とリアグリップ竿体の前部とが所定長さの重ね合わせ部を形成するようにして内外に重ね合わせられて接合一体化され、該重ね合わせ部の少なくとも一部がリールシート本体の内側に位置している釣竿が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-137132号公報
【特許文献2】特開2013-21923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の釣竿では、竿体に筒状の補強樹脂層に該補強樹脂層の外周面上に射出成形された中実のリールシートを設けるため、重量が増大しサイズが巨大化してしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示の釣竿でも、竿本体にリアグリップ竿体とリールシート本体を接合するため、接着のための重量増加が不可避となってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量かつフードのコンパクト化のみならず、デザインの自由度が高い、リールシートグリップ部材、リールシートグリップ構造及び釣竿を提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材は、フェアリング部と、該フェアリング部に接続された尻部と、を備え、該フェアリング部は、その一方の端部が竿体に設けられたリール脚を固定するための一対のフードの内少なくとも一方のフードに取付けられ、該尻部は、その一方の端部が該竿体に設けられた取付部材を介して該竿体に取付けられるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記フェアリング部は、接着、嵌合又は機械的締結により前記少なくとも一方のフードに取付けられる。
【0012】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記尻部は、接着、嵌合又は機械的締結により前記取付部材に取付けられる。
【0013】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記フェアリング部と前記尻部とは、前記竿体に対して固定若しくは移動可能に固定される。
【0014】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記フェアリング部と前記尻部とが前記竿体に対して固定される場合、前記少なくとも一方のフードと前記取付部材とは、接着、嵌合又は機械的締結により前記竿体に固定される。
【0015】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記フェアリング部と前記尻部とが前記竿体に対して移動可能に固定される場合、前記少なくとも一方のフードと前記取付部材とは、前記竿体に対して該竿体の軸方向に移動可能にされる。
【0016】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記少なくとも一方のフードと前記取付部材とは、その内周面が前記竿体の外周面に螺合するようにして該竿体に対して該竿体の軸方向に移動可能にされる。
【0017】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材において、前記フェアリング部と前記尻部とは一体にかつ炭素繊維強化プラスチックにより形成される。
【0018】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材は、前記リールシートグリップ部材の一部に1又は複数の切欠きが形成されている。また、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材は、前記リールシートグリップ部材の一部に1又は複数のハニカム構造が形成されている。
【0019】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ構造は、上記いずれかのリールシートグリップ部材と、竿体に設けられたリール脚を固定するための一対のフードと、該リールシートグリップ部材を該竿体に取付けるための取付部材と、を備えるように構成される。
【0020】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、竿体と、上記いずれかのリールシートグリップ部材と、竿体に設けられたリール脚を固定するための一対のフードと、該リールシートグリップ部材を該竿体に取付けるための取付部材と、を備えるように構成される。
【発明の効果】
【0021】
上記実施形態によれば、軽量かつフードのコンパクト化のみならず、デザインの自由度が高い、リールシートグリップ部材、リールシートグリップ構造及び釣竿を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る釣竿を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る釣竿用リールシートを説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材の断面図を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の上面図を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材を説明する図である。
【
図7】(a)本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の側面図を示す図である。(b)本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の上面図を示す図である。
【
図8】(a)本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の側面図を示す図である。(b)本発明の一実施形態に係る釣竿用ハンドル部材の上面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0024】
図1は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図である。図示のように、本発明の一実施形態による釣竿1は、竿体2と、竿体2にリールシート9を介して取り付けられたリールRと、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10と、を備える。図示の実施形態においては、リールシート9及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0025】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていても良い。
【0026】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0027】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、リールシート9に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられているが、詳細は省略する。
【0028】
次に、
図2を参照して、リールシート本体12及びリールシート9の例について説明する。リールシート本体12は、魚釣用リール6のリール脚6aが載置されるリール脚載置面12aをその軸方向に沿って有するリールシート本体12を備えている。図示の例では、リールシート本体12は、リール脚支持するため後述する一対の移動フード(竿先側の第1の移動フード14と竿尻側の第2の移動フード22)との間に隙間なく、釣竿2の所定の部分に設けられているが、リール脚の一部を支持するよう、第1の移動フード14と第2の移動フード22との間に所定の長さをもって形成してもよい。なお、一対の移動フードの内の少なくともいずれかを固定フードとしてもよいが、本明細書では一対の移動フード(遊動フードともいう)として説明する。
【0029】
また、図示しないが、リールシート本体12は、竿体2を包囲するように形成してもよい。リールシート本体12は、例えば、60-160mmの長さを有するよう構成できるが、これに限られない。リールシート本体12は、これら以外にも様々な形態、寸法、形状が考えられ、特定の態様に限定されるものではない。
【0030】
リールシート本体12のリール脚載置面12aは、平坦または略平坦に形成することができ、かつ、
図2に示すリールシート本体12は、竿体2の軸方向に延びた状態で形成されている。図示の例では、前述の通り、リールシート本体12には、一端(竿先側)に第1の移動フード14が配設されている。リールシート本体12のリール脚載置面12aの少なくとも一端は、第1の移動フード14又は第2の移動フード22の内部に配設されるようにしてもよい。
【0031】
リールシート本体12には、他端側(竿元側)に第2の移動フード(遊動フードともいう)22が軸方向に移動自在に装着される。第2の移動フード22を移動させるため、第2のナット部23が設けられる。同様に、前述の第1の移動フード14を移動させるため、第1のナット部15が設けられる。該リールシート本体12と、第1の移動フード14と、第2の移動フード22、第1のナット部15と、第2のナット部23とを含めてリールシート9と呼ぶことがあるが、詳細は省略する。後述するように、該リールシート本体12がない構成も考えられる。
【0032】
ここで、リールシート本体12は、第1の移動フード14及び第2の移動フード22により両端を支持されるようにして、リールシート本体の載置面においてリール脚6aを支持するように形成することができる。他方、リールシート本体12がなく、リール脚6aは、固定フード14と移動フード22によりリール脚6aの両端部が保持されるようにしてもよい。
【0033】
また、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20を有する釣竿1において、リール脚6aが載置されるリールシート本体12が竿体2に形成されてもよい。また、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20を有する釣竿1において、リール脚6aが載置されるリールシート本体12が該フード13の固定フード14と移動フード22との間に設けられてもよく、リールシート本体12とフード13とを一体として形成してもよい。
【0034】
次に、
図3、4、5を参照して、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20について説明する。ここで、リールシートグリップ部材20とは、釣竿1のフェアリング部40と、尻部50とで構成され、
図3に示すA及びBをそれぞれの範囲として構成され、釣竿の握持性の付与を目的とする部材である。なお、リールシートグリップ部材20は、釣竿用ハンドル部材20のフェアリング部40のみに相当、すなわち
図3に示すAの範囲に相当するもののみで構成することも可能である。また、後述するリールシートグリップ構造30は、リールを取り付ける機構を有し、且つ釣竿を握り易くすることを目的とする部材である。なお、フェアリング部40(Aの部分)は、釣竿ハンドルの前方(フォアグリップ)を意味し、また尻部50(Bの部分)は、釣竿ハンドルの中間のグリップ(ミドルグリップ)を意味する。
【0035】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20は、フェアリング部40と、該フェアリング部40に接続された尻部50と、を備え、該フェアリング部40は、その一方の端部(
図3の紙面の左側の端部)が竿体2に設けられたリール脚6aを固定するための一対のフード13の内少なくとも一方のフード(第1の移動フード14)に取付けられ、該尻部50は、その一方の端部(
図3の紙面の右側の端部)が該竿体2に設けられた取付部材25を介して該竿体2に取付けられるように構成される。
【0036】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20によれば、軽量かつフードのコンパクト化のみならず、デザインの自由度が高い、リールシートグリップ部材を提供することが可能となる。より具体的には、フェアリング部とリアグリップ(釣竿の後端部のグリップを指し、本明細書を通じて同様とする)で異なる部材を使用する事や、フェアリング部とリアグリップ部間の竿管部分に加飾をすることが可能となる。
【0037】
また、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該フェアリング部40は、接着、嵌合(例えば、圧入による嵌合)又は機械的締結(例えば、螺子による締結や嵌め込み(可動リブ等を使用して機械的に着脱自在に固定する方法)による機械的締結)により当該少なくとも一方のフード(第1の移動フード14)に取付けられる。このようにして、フードとフェアリング部を一体のものとして移動させることが可能となる。
【0038】
また、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該尻部50は、接着、嵌合(例えば、圧入による嵌合)又は機械的締結(例えば、螺子による締結や嵌め込み(可動リブ等を使用して機械的に着脱自在に固定する方法)による機械的締結)により当該取付部材25に取付けられる。このようにして、フェアリング部前方のフードを介して、竿体と摺動する箇所とを合わせて、2箇所の摺動及び取付部を設けることで、リールシート全体が安定して竿体に固定することが可能となる。
【0039】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該フェアリング部40と当該尻部50とは、当該竿体2に対して固定若しくは移動可能に固定される。このようにして、ユーザーの好みに応じ、種々のグリップ長のリールシートグリップ部材を使用することが可能となる。
【0040】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該フェアリング部40と当該尻部50とが当該竿体2に対して(移動可能とされずに)固定される場合、当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25とは、接着、嵌合(例えば、圧入による嵌合)又は機械的締結(例えば、螺子による締結や嵌め込み(可動リブ等を使用して機械的に着脱自在に固定する方法)による機械的締結)により前記竿体に固定される。この場合、少なくとも一方のフード13である第1の移動フード14は、固定フードとなり、当該固定フードは竿体2に対して移動可能とされずに固定されることとなる。このようにして、竿体2に対して(移動可能とされずに)固定された少なくとも一方のフード13と取付部材25に、当該フェアリング部40と当該尻部50とが(移動可能とされずに)それぞれ固定されることで、当該フェアリング部40と当該尻部50とは当該竿体2に対して(移動可能とされずに)固定することができる。なお、少なくとも一方のフード13である第1の移動フード14を固定フードとしても、第2の移動フード22は竿体2の軸方向の前後に移動可能であるから、リール脚の固定・解放を行うことができる。
【0041】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該フェアリング部40と当該尻部50とが当該竿体2に対して移動可能に固定される場合(両者が相対移動可能に固定されている場合)、当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25とは、当該竿体2に対して該竿体2の軸方向に移動可能にされる。このようにして、当該フェアリング部40と当該尻部50の竿体2への固定位置を自由に設定しかつ変更することができ、リールシートグリップ部材20の操作性を向上させることができる。また、様々な位置に固定できるため、リールシートグリップ部材20のデザインの自由度を高めることが可能となる。
【0042】
図2、3、4に示すように、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25(図示されていない)とは、その内周面が前記竿体2の外周面に螺合するようにして該竿体2に対して該竿体の軸方向に移動可能にされる。
図2、3、4に示す例では、竿体の外周面に雄ネジ部26が形成され、第1の移動フード14と第2の移動フード22の内周面に雌ネジ部27(
図2にのみ図示されている)が形成されている。このようにして、ユーザーの好みに応じ、リールシート位置を変える際、ネジ機構を利用してリールシート位置を固定することが可能となる。
【0043】
また、
図6に示すように、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25(図示されていない)とは、その内周面が前記竿体2の外周面に接するようにして円筒状又は略円筒状に形成され、当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25は、リング状部材28を用いて竿体2の外周面に固定される。当該リング状部材28を取り外すことで、当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25は、該竿体2に対して該竿体の軸方向に移動可能にされ、所望の位置に移動した後再度リング状部材28を取付けることで当該少なくとも一方のフード13と当該取付部材25を竿体2の外周面に固定することができる。このようにして、リールシートの位置が強固に固定され、安定的に使用ことが可能となる。
【0044】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該フェアリング部40と当該尻部50とは一体にかつ炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成される。また、リールシートグリップ部材20の材料として、CFRTP(連続繊維)、CFRTP(不連続繊維)又はハイブリッドで形成するようにしてもよい。このような材料で形成することで、釣竿に用いるリールシートグリップ部材20として、十分な剛性や強度を確保しつつ重量の増大を抑制することができる。
【0045】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20の長さ(長手方向長さ)は、100-400mmである。
【0046】
また、
図7に示すように、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、該リールシートグリップ部材20の一部に1又は複数の切欠き(図示の例は、1つの切欠き21)が形成されている。このようにして、大幅な軽量化が可能となる。
【0047】
また、
図8に示すように、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、該リールシートグリップ部材20の一部に1又は複数のハニカム構造(図示の例は、1つのハニカム構造24)が形成されている。このようにして、必要な強度を保ちながらも、軽量化を行うことが可能となる。
【0048】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ構造30は、上述した本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20と、竿体2に設けられたリール脚6aを固定するための一対のフード13と、該リールシートグリップ部材20を該竿体2に取付けるための取付部材25と、を備えるように構成される。このようなリールシートグリップ構造30は、竿体2から脱着可能なように構成すれば、様々な竿体2に取付けることができ、また様々なリールシートグリップ構造を選択して竿体2に取付けるようにすることができ、デザインの自由度を大幅に向上させることが可能となる。
【0049】
本発明の一実施形態に係る釣竿1は、竿体2と、上述した本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20と、竿体2に設けられたリール脚6aを固定するための一対のフード13と、該リールシートグリップ部材20を該竿体2に取付けるための取付部材25と、を備えるように構成される。
【0050】
本発明の一実施形態に係る釣竿によれば、軽量かつフードのコンパクト化のみならず、デザインの自由度が高いリールシートグリップ部材を備える釣竿を提供することが可能となる。より具体的には、フェアリング部とリアグリップで異なる部材を使用する事や、フェアリング部とリアグリップ部間の竿管部分に加飾をすることが可能となる。
【0051】
本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20において、当該フェアリング部40が、第2の移動フード22のナット部23の周方向の50%から80%の範囲で該ナット部23を包囲するように構成される。このようにして、リールシートグリップ部材が、釣竿の操作の際、移動フードのナット部に釣り人の手が接触することを低減してナット部が緩みにくくすることが可能となる。グリップ部の把持し易さの点だけでなく、グリップ部を把持した際に、リール脚部を締め付ける(固定)ための移動フードのナット部に手や指が触れないようにカバーするためには、このような数値範囲である必要があることが判明している。特に、手で握りこむ際に、グリップ部に周方向の50%以上カバーされていれば、グリップ部が移動フードのナット部に握りこむ指が触れることを防止できる効果が高いことが判っている。
【0052】
また、本発明の一実施形態に係るリールシートグリップ部材20は、当該フェアリング部40に亘って周方向の20%から80%の範囲で前記竿体を包囲するようにして延伸するように構成される。このようなリールシートグリップ部材により、軽量かつフードのコンパクト化のみならず、デザインの自由度が高く、また従来に比して大幅な軽量化が可能となる。
【0053】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 釣竿
2 竿体
3 元竿
4 グリップ
5 中竿
6 リール
6a リール脚
7 穂先竿
9 リールシート
10 釣糸ガイド
12 リールシート本体
12a リール脚載置面
13 フード
14 第1の移動フード
15 第1のナット部
20 釣竿用ハンドル部材
21 切欠き
22 第2の移動フード
23 第2のナット部
24 ハニカム構造
25 取付部材
26 雄ネジ部
27 雌ネジ部
28 リング状部材
30 リールシートグリップ構造
40 フェアリング部
50 尻部