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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077234
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20230529BHJP
   G01N 21/15 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G01N21/59 C
G01N21/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190457
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】星野 ▲吉▼孝
(72)【発明者】
【氏名】井上 祥三郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尋紀
【テーマコード(参考)】
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G057AA01
2G057AA10
2G057AB03
2G057AB06
2G057AC01
2G057BA01
2G057BB01
2G057DB05
2G057JA01
2G059AA01
2G059BB05
2G059BB06
2G059EE01
2G059FF07
2G059GG02
2G059HH03
2G059KK02
2G059NN07
(57)【要約】
【課題】浸漬型の検出器を備える測定装置において接液する可動部材のシール部材の交換作業を容易にする。
【解決手段】本発明に係る測定装置1,1Aは、試料水Wに浸漬されて水質を検知する検出器100,100Aを有する。検出器は、発光部21と出射窓22と入射窓32と受光部31と移動部材63,63Aと駆動部40,40Aと筐体10,10Aと駆動部からの動力を移動部材に伝達する伝達ユニット50,50Aとを備える。筐体は、ユニット取付孔112h2,113Ahを備える。伝達ユニットは、動力に基づいて運動する軸部508,508Aと軸部の一部を軸部が運動可能に収容する収容筒部501,501Aと収容筒部に収容され軸部と収容筒部との間を液密に封止する内部シール部材504,506,509と収容筒部とユニット取付孔との間を液密に封止する外部シール部材503とを備える。伝達ユニットはユニット取付孔に着脱可能に取り付けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を用いて試料水の水質を測定する測定装置であって、
少なくとも一部が前記試料水に浸漬されて、前記水質を検知する検出器、
を有してなり、
前記検出器は、
前記光を発する発光部と、
前記発光部からの前記光を出射する出射窓と、
前記出射窓から出射された前記光が入射する入射窓と、
前記入射窓に入射した前記光を受光する受光部と、
前記出射窓と前記入射窓との間のセル空間を満たす前記試料水内を移動する移動部材と、
前記移動部材を移動させるための動力を供給する駆動部と、
前記発光部と前記受光部と前記駆動部とを収容する筐体と、
前記駆動部からの前記動力を前記移動部材に伝達する伝達ユニットと、
を備え、
前記筐体は、
前記セル空間に臨むように配置されるユニット取付孔、
を備え、
前記伝達ユニットは、
前記動力に基づいて運動する軸部と、
前記軸部の一部を、前記軸部が運動可能に収容する収容筒部と、
前記収容筒部に収容され、前記軸部と前記収容筒部との間を液密に封止する内部シール部材と、
前記収容筒部と前記ユニット取付孔との間を液密に封止する外部シール部材と、
を備え、
前記ユニット取付孔に、着脱可能に取り付けられる、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記軸部は、
前記収容筒部から前記セル空間側に突出し、前記移動部材が着脱可能に取り付けられる第1端部と、
前記収容筒部から前記駆動部側に突出する第2端部と、
を備え、
前記伝達ユニットは、
前記駆動部に対する前記移動部材の位置を合せる位置合せ部材、
を備え、
前記第2端部は、前記駆動部に着脱可能に取り付けられ、
前記位置合せ部材は、前記第2端部に取り付けられる、
請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記伝達ユニットは、分解および組立可能に構成され、
前記伝達ユニットの着脱時において、前記収容筒部に対する前記軸部の脱落を防止する脱落防止部材、
を備える、
請求項1または2記載の測定装置。
【請求項4】
前記軸部は、前記収容筒部に対して、前記軸部の中心軸線を中心に往復回転運動するように構成され、
前記伝達ユニットは、
前記収容筒部に収容され、前記内部シール部材を押圧する押圧部材と、
前記収容筒部に収容され、前記軸部の往復回転運動を補助するベアリングと、
前記収容筒部に収容され、前記収容筒部に対する前記押圧部材と前記ベアリングとの脱落を防止する第2脱落防止部材と、
前記収容筒部と前記押圧部材との間を液密に封止する第2内部シール部材と、
を備え、
前記押圧部材は、前記内部シール部材と前記第2脱落防止部材との間に配置される、
請求項1乃至3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、
前記軸部との間に円筒状空間を形成する拡径部、
を備え、
前記伝達ユニットは、
前記円筒状空間に充填される潤滑剤、
を備える、
請求項4記載の測定装置。
【請求項6】
前記軸部は、前記収容筒部に対して、前記軸部の軸方向に往復運動するように構成され、
前記伝達ユニットは、
前記軸部が挿通され、前記軸部の往復運動に基づいて伸縮する蛇腹部材と、
前記蛇腹部材の一端部を前記軸部に取り付ける第1取付部材と、
前記蛇腹部材の他端部を前記収容筒部内に取り付ける第2取付部材と、
を備え、
前記蛇腹部材の外周面は、前記試料水に接するように構成され、
前記蛇腹部材の前記一端部の内周面は、前記軸部の外周面に当接し、
前記蛇腹部材の前記他端部の外周面は、前記収容筒部の内周面に当接する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
前記移動部材は、前記出射窓と前記入射窓とに接触するように構成されるワイパーである、
請求項1乃至6のいずれかに記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を用いて水質(例えば、有機汚濁物質、濁度、浮遊物質量(SS)など)を測定する測定装置は、湖沼、河川、または海水などの環境水、または工場の排水の水質の測定に用いられている。このような測定装置は、測定対象の水(以下「試料水」という。)を透過した光または試料水により散乱した光を検出する検出器を備え、検出器の検出結果に基づいて、水質を測定する。一般的に、水質を常時測定する場合、試料水の水面下に検出器が設置される浸漬型検出器を備える測定装置が使用される(例えば、特許文献1と非特許文献1とを参照)。
【0003】
特許文献1と非特許文献1とに開示された測定装置は、光を発する発光部と、発光部からの光を出射する出射窓と、出射窓から出射された光が入射する入射窓と、入射窓に入射した光を受光する受光部と、を備える。出射窓と入射窓との間には、試料水が満たされるセル空間が形成されている。同測定装置は、セル空間内の試料水に光を出射し、試料水を透過した光または試料水により散乱した光を検出することにより、試料水の水質(濁度)を測定する。同測定装置が連続して使用されると、試料水に含まれる汚濁物質が、出射窓および/または入射窓に付着・堆積する。その結果、同測定装置の光の検出能力が低下し、水質の測定精度が低下する。そこで、同測定装置は、出射窓と入射窓とに付着した汚濁物質を除去する除去機構を備える。
【0004】
特許文献1の除去機構は、駆動部と回転軸とゴムワイパーとを備える。駆動部は、検出器の筐体に収容され、ゴムワイパーを移動させるための動力を供給する。回転軸は、駆動部に連結され、駆動部からの動力をゴムワイパーに伝達する。回転軸の下端部は、セル空間に突出している。ゴムワイパーは、セル空間に配置され、回転軸の下端部に取り付けられている。ゴムワイパーは、回転軸の周方向に往復移動(往復回転運動)することにより、出射窓と入射窓とに接触しながら出射窓と入射窓との間の空間(セル空間の一部)を横切るように構成されている。このように構成される同除去機構では、ゴムワイパーの往復移動に伴い、出射窓と入射窓それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【0005】
非特許文献2の除去機構は、駆動部と上下動軸とゴムワイパーとを備える。駆動部は、検出器の筐体に収容され、ゴムワイパーを移動させるための動力を供給する。上下動軸は、駆動部に連結され、駆動部からの動力をゴムワイパーに伝達する。上下動軸の下端部は、セル空間に突出している。ゴムワイパーは、セル空間に配置され、上下動軸の下端部に取り付けられている。ゴムワイパーが上下動軸と共に上下方向に往復移動(往復上下運動)することにより、特許文献1のゴムワイパーと同様に、出射窓と入射窓それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【0006】
前述のとおり、検出器は水面下に設置されており、可動部材である回転軸(上下動軸)の一部はセル空間に突出している。そのため、可動部材である回転軸(上下動軸)近傍は、試料水が筐体内に浸入しないように、複数のシール部材により液密に封止されている。測定装置が連続して使用されると、特に、可動部材のシール部材は、劣化し易い。そのため、同シール部材の定期的な交換が必要となる。
【0007】
シール部材が交換される場合、回転軸と回転軸に接する複数のシール部材とは、検出器から取り外されなければならない。また、これらの部材を取り外すためには、可動部材である回転軸と駆動部との連結の解除と、回転軸(上下動軸)を保持している部材の取外しとが、必要となる。すなわち、検出器のシール部材の交換に必要な部品点数は多く、同交換には手間と時間とを要する。また、シール部材には、取り付けられる向きが決まっているシール部材も多い。そして、取り付けられる向きが異なると、シール部材の再交換作業が必要となるだけでなく、筐体内へ試料水が浸入して検出器の故障が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-222187号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】SPECIFICATION SHEET「有機汚濁モニターUV計 OPM-1610型」、東亜ディーケーケー株式会社、2019年11月29日、p1-p12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、浸漬型の検出器を備える測定装置において、接液する可動部材のシール部材の交換作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る測定装置は、光を用いて試料水の水質を測定する測定装置であって、少なくとも一部が試料水に浸漬されて、水質を検知する検出器、を有してなり、検出器は、光を発する発光部と、発光部からの光を出射する出射窓と、出射窓から出射された光が入射する入射窓と、入射窓に入射した光を受光する受光部と、出射窓と入射窓との間のセル空間を満たす試料水内を移動する移動部材と、移動部材を移動させるための動力を供給する駆動部と、光源と受光部と駆動部とを収容する筐体と、駆動部からの動力を移動部材に伝達する伝達ユニットと、を備え、筐体は、セル空間に臨むように配置されるユニット取付孔、を備え、伝達ユニットは、動力に基づいて運動する軸部と、軸部の一部を、軸部が運動可能に収容する収容筒部と、収容筒部に収容され、軸部と収容筒部との間を液密に封止する内部シール部材と、収容筒部とユニット取付孔との間を液密に封止する外部シール部材と、を備え、ユニット取付孔に、着脱可能に取り付けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浸漬型の検出器を備える測定装置において、接液する可動部材のシール部材の交換作業を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る測定装置の実施の形態を示す模式図である。
図2図1の測定装置が備える検出器の側面図である。
図3図2の検出器のAA線における拡大断面図である。
図4図2の検出器が備える伝達ユニットの拡大断面図である。
図5図4の伝達ユニットの拡大分解断面図である。
図6図2の検出器のBB線における拡大断面図である。
図7図4の伝達ユニットの取外しの例を時系列で示す断面図であり、(a)は図2の検出器が備える第2カバーが取り外された状態を示し、(b)は同検出器が備える駆動ユニットが取り外された状態を示し、(c)は同検出器が備える伝達ユニットとワイパーユニットとが取り外された状態を示す。
図8】本発明に係る測定装置の別の実施の形態を示す模式図である。
図9図8の測定装置が備える検出器の側面図である。
図10図9の検出器のCC線における断面図である。
図11図9の検出器のCC線における拡大断面図である。
図12図9の検出器が備える伝達ユニットの拡大断面図である。
図13図12の伝達ユニットの拡大分解断面図である。
図14図9の検出器の図11のDD線における拡大断面図である。
図15図12の伝達ユニットの取外しの例を時系列で示す断面図であり、(a)は図9の検出器が備える第3カバーと駆動ユニットと伝達ユニットとワイパーユニットとが取り外された状態を示し、(b)は同検出器が備える伝達ユニットとワイパーユニットとが取り外された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る測定装置(以下「本装置」という。)の実施の形態について説明する。
【0015】
●測定装置(1)●
●測定装置(1)の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す模式図である。
【0016】
本装置1は、光を用いて試料水Wの水質を測定する。本装置1は、例えば、UV(ultraviolet)光を用いて試料水Wの濁度を測定する吸光度測定装置である。本装置1は、検出器100と変換器200とを備える。
【0017】
「試料水W」は、本装置1による水質の測定対象である水である。試料水Wは、例えば工場の排水である。
【0018】
なお、本発明における試料水は、工場の排水に限定されない。すなわち、例えば、試料水は、湖沼、河川、または海水などの環境水でもよい。
【0019】
検出器100は、試料水Wに光を出射し、試料水Wを透過した光を受光することにより、試料水Wの水質(吸光度)を検出する。検出器100は、試料水Wの水面下に設置されている。すなわち、検出器100は、使用時に試料水Wに浸漬されている。検出器100の構成は、後述する。検出器100は、ケーブルCを介して、変換器200と電気的に接続されている。
【0020】
以下の説明において、「検出器100の上方」は、試料水Wに浸漬された状態の検出器100に対して水面が位置する方向(図1の紙面上方)である。「検出器100の下方」は、上方の反対方向(図1の紙面下方)である。
【0021】
変換器200は、検出器100が検出した吸光度に基づいて、試料水Wの水質(有機汚濁物質、濁度、SS濃度など)を算出・変換する。変換器200は、水面より高い位置であって、例えば、検出器100の上方に設置されている。
【0022】
●検出器(1)の構成
図2は、検出器100の側面図である。
図3は、検出器100の図2のAA線における拡大断面図である。
図3は、説明の便宜上、一部の断面の図示を省略している。
【0023】
検出器100は、筐体10と、発光ユニット20と、受光ユニット30と、駆動ユニット40と、伝達ユニット50と、ワイパーユニット60と、を備える。
【0024】
筐体10は、発光ユニット20と、受光ユニット30と、駆動ユニット40と、伝達ユニット50と、を収容する。筐体10は、上下方向に沿う略円柱体である。筐体10は、ユニット保持部11と、円筒状の第1カバー12および第2カバー13と、取付孔シール部材14と、を備える。
【0025】
ユニット保持部11は、発光ユニット20と、受光ユニット30と、伝達ユニット50と、を保持する。ユニット保持部11は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの柱状部113,114と、を備える。
【0026】
第1保持部111は、発光ユニット20を保持する。第1保持部111は、有底円筒状である。第1保持部111は、窓取付孔111h1と支持穴111h2とを備える。窓取付孔111h1は、天井壁111aに配置され、天井壁111aを貫通している。支持穴111h2は、天井壁111aの上面に配置されている。窓取付孔111h1と支持穴111h2とは、後述するセル空間CSに臨むように配置されている。
【0027】
第2保持部112は、受光ユニット30と伝達ユニット50とを保持する。第2保持部112は、有底円筒状である。第2保持部112は、窓取付孔112h1とユニット取付孔112h2とを備える。窓取付孔112h1とユニット取付孔112h2とは、底壁112aに配置され、底壁112aを貫通している。窓取付孔112h1とユニット取付孔112h2とは、後述するセル空間CSに臨むように配置されている。
【0028】
2つの柱状部113,114は、天井壁111aの上面と底壁112aの下面とが相互に対向するように、第1保持部111と第2保持部112とを連結している。天井壁111aと底壁112aとの間には、試料水W(図1参照。以下同じ。)に満たされるセル空間CSが形成されている。
【0029】
2つの窓取付孔111h1,112h1は、上下方向に沿い、同一仮想軸線上に配置されている。すなわち、2つの窓取付孔111h1,112h1は、セル空間CSを挟んで、相互に対向するように配置されている。
【0030】
第1カバー12は、第1保持部111に液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第1保持部111と第1カバー12とは、後述する光源21が収容されている第1収容空間S1を形成している。
【0031】
第2カバー13は、第2保持部112に液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第2保持部112と第2カバー13とは、後述する受光部31と、駆動ユニット40と、伝達ユニット50と、が収容されている第2収容空間S2を形成している。
【0032】
取付孔シール部材14は、例えば、シリコンゴム製のO-リングである。取付孔シール部材14は、ユニット取付孔112h2に収容されている。取付孔シール部材14の外径は、ユニット取付孔112h2の内径よりも僅かに大きい。
【0033】
発光ユニット20は、光を生成し、生成された光をセル空間CS内の試料水Wに出射する。発光ユニット20は、光源21と、出射窓22とを備える。光源21は、例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)などの半導体発光素子である。光源21は、本発明における発光部の例である。光源21は、第1収容空間S1に収容され、第1保持部111に保持されている。出射窓22は、例えば、サファイアガラス製であり、窓取付孔111h1に液密に取り付けられている。出射窓22の上面は、天井壁111aの上面よりも僅かにセル空間CS側に突出するように配置されている。
【0034】
受光ユニット30は、セル空間CS内の試料水Wを透過した光を受光する。受光ユニット30は、受光部31と入射窓32とを備える。受光部31は、例えば、フォトダイオードなどの半導体受光素子である。受光部31は、第2収容空間S2に収容され、第2保持部112に保持されている。入射窓32は、例えば、サファイアガラス製であり、窓取付孔112h1に取り付けられている。入射窓32の下面は、底壁112aの下面よりも僅かにセル空間CS側に突出するように配置されている。入射窓32は、出射窓22に対して平行かつ対向して配置されている。
【0035】
駆動ユニット40は、ワイパーユニット60を移動させる動力を供給する。駆動ユニット40は、本発明における駆動部の例である。駆動ユニット40は、モータ41と伝達軸42とを備える。モータ41は回転軸を下方に向けた状態で、第2収容空間S2に収容されている。伝達軸42は、モータ41と伝達ユニット50との間に連結され、モータ41からの動力(本実施の形態では、往復回転動力)を伝達ユニット50に伝達する。伝達軸42は、上下方向に沿う棒状である。伝達軸42の下端部42aは、U字状に切り欠かれている。
【0036】
図4は、伝達ユニット50の拡大断面図である。
図5は、伝達ユニット50の拡大分解断面図である。
【0037】
伝達ユニット50は、駆動ユニット40からの動力をワイパーユニット60(後述するワイパー63:図3参照)に伝達する。伝達ユニット50は、収容筒部501と、カバーリング502と、筒部シール部材503と、第1軸部シール部材504と、第1カラー505と、第2軸部シール部材506と、第2カラー507と、軸部508と、第3軸部シール部材509と、プッシュカラー510と、カラーシール部材511と、第1止め輪512と、第2止め輪513と、第3止め輪514と、第4止め輪515と、ベアリング516と、第3カラー517と、位置合せ部材518と、潤滑剤519と、を備える。
【0038】
収容筒部501は、第1、第2軸部シール部材504,506と、第1、第2カラー505,507と、軸部508の一部と、第3軸部シール部材509と、プッシュカラー510と、カラーシール部材511と、第1、第2、第4止め輪512,513,515と、ベアリング516と、を収容する。収容筒部501は、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、略円筒状である。収容筒部501は、小径部501aと、中径部501bと、大径部501cと、内フランジ部501dと、内溝501eと、外溝501fと、外フランジ部501gと、を備える。
【0039】
収容筒部501の内径は、下部から上部に向けて段階的に大きくなり、小径部501a、中径部501b、および大径部501cを構成している。すなわち、中径部501bの内径は、小径部501aの内径よりも大きく、大径部501cの内径よりも小さい。
【0040】
小径部501aの下端部は、内方にリング状に突出していて、内フランジ部501dを構成している。内フランジ部501dの内径は、軸部508の外径よりも僅かに大きい。中径部501bは、小径部501aの上方に隣接して配置されている。大径部501cは、中径部501bの上方に隣接して配置されている。内溝501eは、リング状で、大径部501cの上部に配置されている。
【0041】
外溝501fは、リング状で、収容筒部501の外周面の下部に配置されている。収容筒部501の外周面の一部は、外方に突出していて、外フランジ部501gを構成している。すなわち、外溝501fと外フランジ部501gとは、収容筒部501の外周面の一部を構成している。外フランジ部501gは、上下方向において、外溝501fの上方であって、小径部501aの上端部と略同じ位置に配置されている。
【0042】
カバーリング502は、収容筒部501の下面を保護する。カバーリング502は、例えば、PVC(polyvinyl chloride)などの合成樹脂製で、リング板状である。カバーリング502は、収容筒部501の下面に取り付けられている。
【0043】
筒部シール部材503は、例えば、シリコンゴム製のO-リングである。筒部シール部材503の内径は収容筒部501の外溝501fの外径よりも僅かに小さく、筒部シール部材503の外径はユニット取付孔112h2の内径よりも僅かに大きい。筒部シール部材503は、外溝501fに取り付けられている。筒部シール部材503は、本発明における外部シール部材の例である。
【0044】
第1、第2軸部シール部材504,506は、例えば、シリコンゴム製のYパッキンである。第1、第2軸部シール部材504,506の内径は軸部508の外径よりも僅かに小さく、第1、第2軸部シール部材504,506の外径は収容筒部501の小径部501aの内径よりも僅かに大きい。第1、第2軸部シール部材504,506は、リップ部(Y字の股部)を下方に向けて、小径部501aに収容されている。第1、第2軸部シール部材504,506は、本発明における内部シール部材の例である。
【0045】
第1、第2カラー505,507は、例えば、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)などの合成樹脂製で、円筒状である。第1、第2カラー505,507の内径は軸部508の外径よりも僅かに大きく、第1、第2カラー505,507の外径は収容筒部501の小径部501aの内径よりも僅かに小さい。第1、第2カラー505,507は、小径部501aに収容されている。
【0046】
小径部501aにおいて、第1軸部シール部材504のリップ部は、内フランジ部501dに当接している。第1カラー505は、第1軸部シール部材504の上端に当接している。第2軸部シール部材506のリップ部は、第1カラー505の上端に当接している。第2カラー507の下端は、第2軸部シール部材506の上端に当接している。
【0047】
軸部508は、駆動ユニット40からの動力に基づいて、軸部508の中心軸線を中心に往復回転運動する。軸部508は、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、円柱状である。軸部508は、ワイパー取付部508aと、第1溝508bと、第2溝508cと、第3溝508dと、雌ねじ孔508hと、を備える。
【0048】
軸部508の下端から約1/4の領域は、相互に平行な2つの面を有する平板状に形成されていて、ワイパー取付部508aを構成している。ワイパー取付部508aは、本発明における第1端部の例である。
【0049】
なお、本発明におけるワイパー取付部の長さは、例えば、セル空間の大きさに基づいて定められ、軸部の下端から約1/4の領域に限定されない。
【0050】
第1~第3溝508b~508dそれぞれは、リング状である。第1~第3溝508b~508dそれぞれは、下方から上方に向けて、第1溝508b、第2溝508c、第3溝508dの順に、相互に離隔して、軸部508の上半部に配置されている。
【0051】
雌ねじ孔508hは、ワイパー取付部508aの面に垂直な方向に沿って、軸部508の上端部508eを貫通している。上端部508eは、本発明における第2端部の例である。
【0052】
軸部508は、収容筒部501に挿通されている。収容筒部501において、軸部508は、第1軸部シール部材504と、第1カラー505と、第2軸部シール部材506と、第2カラー507と、第3軸部シール部材509と、プッシュカラー510と、ベアリング516と、第3カラー517と、に挿通されている。上下方向において、第1、第2溝508b、508cは、中径部501b内に配置されている。軸部508のワイパー取付部508aは、収容筒部501の下方に突出し、収容筒部501の下方に配置されている。軸部508の上端部508eは、収容筒部501の上方に突出している。第3溝508dと雌ねじ孔508hとは、収容筒部501の上方に配置されている。
【0053】
第3軸部シール部材509は、例えば、シリコンゴム製のO-リングである。第3軸部シール部材509の内径は軸部508の外径よりも僅かに小さく、第3軸部シール部材509の外径は小径部501aの内径よりも小さい。第3軸部シール部材509は、中径部501bに収容され、第2カラー507の上端に当接している。第3軸部シール部材509は、本発明における内部シール部材の例となり得る。
【0054】
プッシュカラー510は、第1~第3軸部シール部材504,506,509を内フランジ部501dに向けて押圧すると共に、収容筒部501に対する軸部508の往復回転運動を補助する。プッシュカラー510は、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、略円筒状である。プッシュカラー510は、本発明における押圧部材の例である。プッシュカラー510は、小径部510aと、大径部510bと、段部510cと、外溝510dと、を備える。プッシュカラー510の内周面の下半部は小径部510aを構成し、上半部は大径部510bを構成している。小径部510aの内径は、大径部510bの内径よりも小さく、軸部508の外径よりも僅かに大きい。小径部510aと大径部510bとの間には、段部510cが形成されている。外溝510dは、リング状で、プッシュカラー510の外周面の下半部に配置されている。すなわち、外溝510dは、プッシュカラー510の外周面の一部を構成している。
【0055】
プッシュカラー510は、収容筒部501の中径部501bに収容されている。プッシュカラー510の大径部510b内には、軸部508の第1、第2溝508b,508cが配置(収容)されている。
【0056】
プッシュカラー510の大径部510bと軸部508との間には、円筒状(リング状)の空間(以下「円筒状空間」という。)RSが形成されている。大径部510bは、本発明における拡径部の例である。
【0057】
カラーシール部材511は、例えば、シリコンゴム製のO-リングである。カラーシール部材511は、プッシュカラー510の外溝510dに取り付けられている。カラーシール部材511は、外溝510dと、中径部501bの内周面と、に密接している。カラーシール部材511は、本発明における第2内部シール部材の例である。
【0058】
第1~第3止め輪512~514は、例えば、ステンレス鋼などの金属製のE型止め輪である。第1止め輪512は軸部508の第1溝508bに取り付けられ、第2止め輪513は軸部508の第2溝508cに取り付けられ、第3止め輪514は軸部508の第3溝508dに取り付けられている。すなわち、第1、第2止め輪512,513は、プッシュカラー510の大径部510bに収容されている。第3止め輪514は、収容筒部501の上方に配置されている。第1~第3止め輪512~514は、本発明における脱落防止部材の例である。
【0059】
第4止め輪515は、例えば、ステンレス鋼などの金属製のC型止め輪である。第4止め輪515は、収容筒部501の内溝501eに取り付けられている。第4止め輪515は、本発明における第2脱落防止部材の例である。
【0060】
ベアリング516は、収容筒部501に対する軸部508の往復回転運動を補助する。ベアリング516の外径は収容筒部501の大径部501cの内径と略同じであり、ベアリング516の内径は軸部508の外径と略同じである。ベアリング516は、プッシュカラー510の上端と、第4止め輪515と、第3カラー517と、に当接している。
【0061】
第3カラー517は、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、円筒状である。第3カラー517の内径は軸部508の外径よりも僅かに大きく、第3カラー517の外径は第4止め輪515の内径よりも小さい。第3カラー517は、ベアリング516と第3止め輪514との間に配置され、ベアリング516と第3止め輪514とに当接している。
【0062】
位置合せ部材518は、例えば、ステンレス鋼などの金属製の雄ねじである。位置合せ部材518は、軸部508の雌ねじ孔508hにねじ込まれている(取り付けられている)。位置合せ部材518の両端部(頭部および先端部)は、軸部508から軸部508の側方(ワイパー取付部508aの両面それぞれが面する方向)に突出している。
【0063】
潤滑剤519は、例えば、耐水性のグリスである。潤滑剤519は、プッシュカラー510の大径部510b(円筒状空間RS)に充填されている。
【0064】
図3図5に戻る。
伝達ユニット50は、第2収容空間S2に収容され、ユニット取付孔112h2に液密かつ着脱可能に取り付けられている。軸部508のワイパー取付部508aは、セル空間CSに配置されている。すなわち、ワイパー取付部508aは、収容筒部501から収容筒部501のセル空間CS側に突出している。したがって、軸部508の一部(ワイパー取付部508a)は、検出器100が試料水Wに浸漬されているとき、試料水Wに接液している。ワイパー取付部508aの下端部は、第1保持部111の支持穴111h2に挿入されている。軸部508の上端部508eには、伝達軸42の下端部42aが被せられている。位置合せ部材518の両端部は、同下端部42aの逆U字状の切り欠き内に突出している(配置されている)。その結果、モータ41の回転に応じて伝達軸42が回転すると、下端部42aと位置合せ部材518とを介して、軸部508が回転する。
【0065】
図6は、検出器100の図2のBB線における拡大断面図である。
同図は、説明の便宜上、実線で示される位置から移動後のワイパーユニット60を二点鎖線で示す。
【0066】
ワイパーユニット60は、出射窓22と入射窓32(図3参照。以下同じ。)とを洗浄する。ワイパーユニット60は、ワイパー支持部材61と、ユニット取付ねじ62と、ワイパー63と、一対のワイパー押え板64,65と、2つのワイパー取付ねじ66,67と、を備える。ワイパー支持部材61は、軸部508のワイパー取付部508aが挿通される挿通孔61hを備える。ワイパー63は、ワイパー押え板64,65に挟まれた状態で、ワイパー取付ねじ66,67によりワイパー支持部材61に取り付けられている。ワイパー支持部材61は、ユニット取付ねじ62により軸部508のワイパー取付部508aに取り付けられている。ワイパー63は、例えば、シリコンゴム製のゴムワイパーである。ワイパー63は、本発明における移動部材の例である。
【0067】
ワイパーユニット60は、セル空間CSに配置されていて、軸部508の往復回転運動に伴い、軸部508の周方向に往復移動(往復回転運動)するように構成されている。このとき、ワイパー63は、出射窓22と入射窓32とに接触しながら、出射窓22と入射窓32との間の空間(セル空間CSの一部)を横切るように構成されている。すなわち、ワイパー63は、セル空間CSを満たしている試料水W内を往復移動するように構成されている。ワイパー63の往復移動に伴い、出射窓22と入射窓32それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【0068】
●伝達ユニット(1)の組立および分解
伝達ユニット50は、組立および分解可能に構成されている。以下、図4図5とを参照しながら、伝達ユニット50の組立および分解について、伝達ユニット50の組立を例に説明する。
【0069】
先ず、カバーリング502と筒部シール部材503とが、収容筒部501に取り付けられる。具体的には、カバーリング502は、例えば、接着剤により収容筒部501の下面に取り付けられる。筒部シール部材503は、外溝501fに取り付けられる。
【0070】
次いで、第1軸部シール部材504と、第1カラー505と、第2軸部シール部材506と、第2カラー507とが、順に収容筒部501の小径部501aに収容される。このとき、第1、第2軸部シール部材504,506のリップ部(Y字の股部)は、下方に向けられている。
【0071】
次いで、第1、第2止め輪512,513が、軸部508に取り付けられる。具体的には、第1止め輪512は第1溝508bに取り付けられ、第2止め輪513は第2溝508cに取り付けられる。
【0072】
次いで、カラーシール部材511が、プッシュカラー510の外溝510dに取り付けられる。
【0073】
次いで、第3軸部シール部材509とプッシュカラー510とが、軸部508に取り付けられる。具体的には、軸部508は、上方からプッシュカラー510に挿通される。第3軸部シール部材509は、軸部508のうち、プッシュカラー510の下方に突出している部分に取り付けられる。このとき、第1、第2止め輪512,513は、プッシュカラー510の大径部510bに収容される。このとき、軸部508の外周面と、プッシュカラー510の大径部510bの内周面と、の間には、円筒状(リング状)の円筒状空間RSが形成されている。
【0074】
ここで、軸部508は、プッシュカラー510に固定されていない。そのため、軸部508の下端が下方に向けられたとき、軸部508は、プッシュカラー510から脱落(抜け落ち)し得る。しかしながら、前述のとおり、軸部508には第1止め輪512が取り付けられている。そのため、第1止め輪512がプッシュカラー510の段部510cに当接することにより、プッシュカラー510に対する軸部508の下方への脱落は、防止される。その結果、伝達ユニット50の組立の作業効率は、向上する。
【0075】
次いで、軸部508が、上方から収容筒部501に挿通される。このとき、軸部508の一部と、第3軸部シール部材509と、プッシュカラー510と、カラーシール部材511とは、中径部501bに収容される。第3軸部シール部材509は、第2カラー507とプッシュカラー510との間に配置される。このとき、例えば、大径部510bの下端と第1止め輪512との間の長さと、大径部510bの上端と第2止め輪513との間の長さとが略同じになるように、上下方向において、収容筒部501に対する軸部508の位置が合せられる。
【0076】
次いで、潤滑剤519が円筒状空間RS内に充填され、軸部508の上部が挿通されたベアリング516が大径部501cに収容される。
【0077】
次いで、第4止め輪515が、収容筒部501の大径部501cに収容され、内溝501eに取り付けられる。このとき、プッシュカラー510とベアリング516とは、第4止め輪515により、上方から収容筒部501内に押し込められる。そのため、第1軸部シール部材504と、第1カラー505と、第2軸部シール部材506と、第2カラー507と、第3軸部シール部材509と、プッシュカラー510と、ベアリング516とは、第4止め輪515により、上方から収容筒部501内に押し込められる。その結果、第1軸部シール部材504と、第1カラー505と、第2軸部シール部材506と、第2カラー507と、第3軸部シール部材509と、プッシュカラー510と、ベアリング516と、の上方への移動は、規制される。すなわち、これらの部材(第1~第3軸部シール部材504,506,509、第1、第2カラー505,507、プッシュカラー510、ベアリング516)の収容筒部501の上方への脱落は、第4止め輪515により防止される。また、第1~第3軸部シール部材504,506,509は、プッシュカラー510により内フランジ部501dに向けて押圧される。第1,第2軸部シール部材504,506のリップ部は押し開かれて、軸部508の外周面と、小径部501aの内周面と、に密接する。さらに、第3軸部シール部材509は、第2カラー507と軸部508とプッシュカラー510とに密接する。すなわち、第1~第3軸部シール部材504,506,509のシール性は、向上する。
【0078】
また、第4止め輪515が内溝501eに取り付けられた状態において、軸部508に対して下方向への応力が加えられても、第1止め輪512が段部510cに当接することにより、軸部508の下方向への移動は規制される。すなわち、軸部508の収容筒部501の下方への脱落は、第1止め輪512により防止される。一方、軸部508に対して上方向への応力が加えられても、第2止め輪513がベアリング516に当接することにより、軸部508の上方向への移動は規制される。すなわち、軸部508の収容筒部501の上方への脱落は、第2止め輪513により防止される。
【0079】
次いで、第3カラー517と第3止め輪514とが軸部508に取り付けられる。具体的には、第3カラー517がベアリング516の上端に当接するように、軸部508の上部が、第3カラー517に挿通される。第3止め輪514は、第3カラー517の上端に当接した状態で、軸部508の第3溝508dに取り付けられる。その結果、上下方向において、収容筒部501に対する軸部508の位置が合せられる。すなわち、軸部508の略下半部は収容筒部501よりも下方に配置され、軸部508の第3溝508dを含む上端部508eは収容筒部501よりも上方に配置されている。また、プッシュカラー510の大径部510b内において、第1止め輪512は段部510cから離隔して配置され、第2止め輪513はベアリング516から離隔して配置されている。すなわち、大径部510bの下端と第1止め輪512との間の長さと、大径部510bの上端と第2止め輪513との間の長さとが略同じになっている。
【0080】
次いで、位置合せ部材518が、軸部508の雌ねじ孔508hに取り付けられる。このように、各部材(収容筒部501~潤滑剤519)は1の伝達ユニット50として組み立てられる。一方、伝達ユニット50は、(カバーリング502を除き)前述した組立と逆の手順により、容易に分解可能である。したがって、各シール部材(筒部シール部材503、第1~第3軸部シール部材504,506,509、カラーシール部材511)は、例えば、後述する伝達ユニット50の交換後に、別途、個別に交換可能である。
【0081】
伝達ユニット50では、軸部508の一部は、収容筒部501に、軸部508の周方向に往復回転運動可能に収容されている。すなわち、軸部508は、収容筒部501に、軸部508の周方向に往復回転運動可能に支持されている。また、小径部501aにおいて、第1、第2軸部シール部材504,506は、軸部508の外周面と、小径部501aの内周面と、に密接している。さらに、中径部501bにおいて、第3軸部シール部材509が軸部508の外周面に密接し、カラーシール部材511が外溝510dと中径部501bの内周面とに密接し、潤滑剤519は円筒状空間RSに充填されている。換言すれば、潤滑剤519は、軸部508の外周面と、プッシュカラー510の大径部510bの内周面と、に密着している。その結果、軸部508の外周面を伝わる試料水Wは、第1~第3軸部シール部材504,506,509と潤滑剤519とにより堰き止められ、収容筒部501の上方(第2収容空間S2)へ浸入しない。一方、収容筒部501の内周面を伝わる試料水Wは、第1、第2軸部シール部材504,506とカラーシール部材511とにより堰き止められ、収容筒部501の上方(第2収容空間S2)へ浸入しない。
【0082】
また、伝達ユニット50では、軸部508に対して下方への応力が加えられても、第3止め輪514が第3カラー517に当接することにより、軸部508の下方への移動は規制される。すなわち、軸部508は、収容筒部501の下方へ脱落しない。一方、軸部508に対して上方への応力が加えられても、第2止め輪513がベアリング516に当接することにより、軸部508の上方への移動は規制される。すなわち、軸部508は、収容筒部501の上方へ脱落しない。
【0083】
このように、伝達ユニット50では、ワイパー63の往復回転運動の回転軸として機能する軸部508と、軸部508を液密かつ往復回転運動可能に支持する第1~第3軸部シール部材504,506,509とが、1つのユニットとして組み立てられている。前述のとおり、軸部508のワイパー取付部508aは、本装置1の使用時において接液している。すなわち、本装置1において、接液する可動部材として機能する軸部508と、可動部材のシール部材として機能する第1~第3軸部シール部材504,506,509(および潤滑剤519)とが、1の伝達ユニット50としてユニット化されている。
【0084】
●伝達ユニット(1)の着脱
次に、検出器100における伝達ユニット50の着脱について、伝達ユニット50を交換する場合を例に説明する。以下の説明において、図3も併せて参照される。
【0085】
図7は、伝達ユニット50の取外しの例を時系列で示す断面図であり、(a)は第2カバー13が取り外された状態を示し、(b)は駆動ユニット40が取り外された状態を示し、(c)は伝達ユニット50とワイパーユニット60とが取り外された状態を示す。
【0086】
先ず、第2カバー13が、第2保持部112から取り外される。次いで、駆動ユニット40が、ユニット保持部11(第2保持部112)から取り外される。このとき、伝達軸42の下端部42aは、位置合せ部材518の両端部から取り外される。
【0087】
なお、本発明における駆動ユニットではなく、伝達軸のみがモータから取り外されてもよく、あるいは、駆動ユニットが上方へ移動されてもよい。
【0088】
次いで、ワイパーユニット60が、軸部508のワイパー取付部508aから取り外される。次いで、伝達ユニット50が、ユニット取付孔112h2から取り外される。
【0089】
次いで、新しい伝達ユニット50が、ユニット取付孔112h2に取り付けられる。このとき、セル空間CSにおいて、軸部508の下端部は、ワイパー支持部材61の挿通孔61hに挿通され、第1保持部111の支持穴111h2に挿入されている。軸部508のうち、ワイパー取付部508aは、セル空間CSに配置されている。すなわち、ワイパー取付部508aは、収容筒部501からセル空間CS側に突出している。カバーリング502は、ユニット取付孔112h2に収容されている取付孔シール部材14に当接し、取付孔シール部材14を下方へ押圧している。このとき、取付孔シール部材14は、ユニット取付孔112h2と伝達ユニット50との間の隙間を下方から塞いでいる。また、筒部シール部材503は、ユニット取付孔112h2の内周面と、外溝501fと、に密接している。その結果、検出器100が試料水Wに浸漬されたとき、ユニット取付孔112h2の内周面を伝わる試料水Wと、収容筒部501の外周面を伝わる試料水Wとは、取付孔シール部材14と筒部シール部材503とにより堰き止められ、第2収容空間S2へ浸入しない。
【0090】
次いで、駆動ユニット40が、ユニット保持部11(第2保持部112)と伝達ユニット50とに取り付けられる。このとき、軸部508の上端部508eは、収容筒部501から駆動ユニット40側に突出している。伝達軸42の下端部42aは、上端部508eに被せられる。このとき、位置合せ部材518の両端部は、下端部42aの逆U字状の切り欠き内に配置されている。その結果、軸部508の周方向において、駆動ユニット40に対する軸部508の位置が合せられる。すなわち、軸部508の周方向において、駆動ユニット40に対するワイパー取付部508aの両面の位置が合せられる。つまり、軸部508の周方向において、駆動ユニット40に対するワイパー63の位置が合せられる。
【0091】
次いで、ワイパー63が取り付けられているワイパー支持部材61が、ユニット取付ねじ62により軸部508のワイパー取付部508aに取り付けられる。
【0092】
次いで、第2カバー13が、第2保持部112に取り付けられる。
【0093】
このように、本装置1では、検出器100の伝達ユニット50が交換されるだけで、試料水Wに接液する可動部材(軸部508)と、そのシール部材(第1~第3軸部シール部材504,506,509)とが、まとめて交換される。すなわち、伝達ユニット50は、検出器100の接液する可動部材とそのシール部材との交換用カートリッジとして機能する。
【0094】
●まとめ(1)
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、試料水Wに浸漬されて、試料水Wの水質を検知する検出器100を有してなる。検出器100は、駆動ユニット40からの動力をワイパーユニット60に伝達する伝達ユニット50を備える。伝達ユニット50は、軸部508と、収容筒部501と、第1~第3軸部シール部材504,506,509(内部シール部材)と、筒部シール部材503(外部シール部材)と、を備える。軸部508は、駆動ユニット40からの動力に基づいて、軸部508の中心軸線を中心に往復回転運動する。収容筒部501は、軸部508の一部を軸部508が往復回転運動可能に収容する。第1~第3軸部シール部材504,506,509は、収容筒部501に収容され、軸部508と収容筒部501との間を液密に封止する。筒部シール部材503は、収容筒部501の外周面(外溝501f)とユニット取付孔112h2の内周面との間を液密に封止する。伝達ユニット50は、ユニット取付孔112h2に着脱可能に取り付けられている。この構成によれば、伝達ユニット50の交換のみで、接液する可動部材(軸部508)と、そのシール部材(第1~第3軸部シール部材504,506,509、筒部シール部材503)の交換が可能となる。また、伝達ユニット50は、交換前に組み立てられている。そのため、伝達ユニット50の交換者(例えば、本装置1の使用者、保守点検者など)は、交換時に伝達ユニット50を組み立てることなく、可動部材とそのシール部材とを一括して交換可能である。その結果、可動部材のシール部材の交換時間が短縮されると共に、シール部材の向きの誤りなどの問題も生じない。したがって、浸漬型の検出器100を備える本装置1において、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0095】
また、以上説明した実施の形態によれば、軸部508は、ワイパー取付部508aと、上端部508eと、を備える。ワイパー取付部508aは、収容筒部501のセル空間CS側(下側)に突出し、ワイパーユニット60(ワイパー63)が着脱可能に取り付けられている。上端部508eは、収容筒部501の駆動ユニット40側(上側)に突出している。伝達ユニット50は、駆動ユニット40に対するワイパーユニット60(ワイパー63)の位置を合せる位置合せ部材518を備える。上端部508eは、駆動ユニット40の伝達軸42に着脱可能に取り付けられている。位置合せ部材518は、上端部508eに取り付けられている。この構成によれば、可動部材のシール部材の交換作業において、着脱されたワイパー63の位置決め作業は、不要となる。その結果、浸漬型の検出器100を備える本装置1において、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0096】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、伝達ユニット50は、分解および組立可能に構成されている。伝達ユニット50は、伝達ユニット50の着脱時において、収容筒部501に対する軸部508の脱落(抜け落ち)を防止する脱落防止部材(第2、第3止め輪513,514)を備える。この構成によれば、伝達ユニット50の交換時に、交換者が収容筒部501または軸部508を把持しても、軸部508は収容筒部501から脱落しない。すなわち、伝達ユニット50の交換時に、伝達ユニット50の取り回しが容易になる。その結果、浸漬型の検出器100を備える本装置1において、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0097】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、軸部508は、収容筒部501に対して、軸部508の中心軸線を中心に往復回転運動するように構成されている。伝達ユニット50は、プッシュカラー510と、ベアリング516と、第4止め輪515と、カラーシール部材511と、を備える。プッシュカラー510は、収容筒部501に収容され、第1~第3軸部シール部材504,506,509を押圧している。軸部508は、プッシュカラー510とベアリング516とに挿通されている。第4止め輪515は、収容筒部501に収容され、収容筒部501に対するプッシュカラー510とベアリング516との脱落を防止している。カラーシール部材511は、収容筒部501とプッシュカラー510との間を液密に封止している。プッシュカラー510は、第1~第3軸部シール部材504,506,509と、第4止め輪515との間に配置されている。この構成によれば、プッシュカラー510が第1~第3軸部シール部材504,506,509を内フランジ部501dへと押圧しているため、第1~第3軸部シール部材504,506,509のシール性は、向上する。また、軸部508は、プッシュカラー510とベアリング516とに支持されることにより、往復回転運動し易くなる。さらにまた、プッシュカラー510とベアリング516とは、第4止め輪515により収容筒部501から脱落しない。さらにまた、筒部シール部材503により、収容筒部501の内周面を伝わる試料水Wは堰き止められる。したがって、伝達ユニット50がプッシュカラー510とベアリング516とを備える構成であっても、伝達ユニット50の取り回しは容易であり、かつ、試料水Wの浸入も防止されている。その結果、浸漬型の検出器100を備える本装置1において、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0098】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、プッシュカラー510は、軸部508との間に円筒状空間RSを形成している大径部510bを備える。伝達ユニット50は、円筒状空間RSに充填される潤滑剤519を備える。この構成によれば、円筒状空間RSにおいて、プッシュカラー510の内周面と、軸部508の外周面と、を伝わる試料水Wは、潤滑剤519により堰き止められる。また、潤滑剤519の一部は、プッシュカラー510と軸部508との間の隙間と、ベアリング516に供給される。その結果、軸部508は、往復回転運動し易くなる。さらに、シール部材の交換時に潤滑剤519の充填および除去が不要となる。したがって、浸漬型の検出器100を備える本装置1において、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0099】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、検出器100は、出射窓22と入射窓32との間のセル空間CSを満たしている試料水W内を移動するワイパー63を備える。この構成によれば、ワイパー63の往復移動に伴い、出射窓22と入射窓32それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【0100】
●測定装置(2)●
次に、本発明に係る測定装置の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)について、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)とは異なる部分を中心に説明する。第2実施形態では、ワイパーの移動方向が、第1実施形態と異なる。以下の説明において、第1実施形態と共通する要素、および第1実施形態と姿勢(位置および向き)または大きさのみが異なる要素については、同一の符号が付され、その説明の一部または全ては省略される。
【0101】
●測定装置(2)の構成
図8は、本装置の第2実施形態を示す模式図である。
【0102】
本装置1Aは、検出器100Aと変換器200とを備える。
【0103】
検出器100Aは、試料水Wに光を出射し、試料水Wを透過した光を受光することにより、試料水Wの吸光度を検出する。検出器100Aは、試料水Wの水面下に設置されている(試料水Wに浸漬されている)。検出器100Aの構成は、後述する。検出器100Aは、ケーブルCを介して、変換器200と電気的に接続されている。
【0104】
●検出器(2)の構成
図9は、検出器100Aの側面図である。
図10は、検出器100Aの図9のCC線における断面図である。
図11は、検出器100Aの図9のCC線における拡大断面図である。
図10図11とは、説明の便宜上、一部の断面の図示を省略している。
【0105】
検出器100Aは、筐体10Aと、発光ユニット20Aと、受光ユニット30Aと、駆動ユニット40Aと、伝達ユニット50Aと、ワイパーユニット60Aと、仮固定ねじ70(図13参照)と、を備える。
【0106】
筐体10Aは、発光ユニット20Aと受光ユニット30Aと駆動ユニット40Aと伝達ユニット50Aとを収容する。筐体10Aは、円柱体の下端部が2方向に突出している、所謂ハンマー形状である。筐体10Aは、ユニット保持部11Aと、有底円筒状の第1カバー12Aおよび第2カバー13Aと、円筒状の第3カバー14Aと、を備える。
【0107】
ユニット保持部11Aは、発光ユニット20Aと受光ユニット30Aと伝達ユニット50Aとを保持する。ユニット保持部11Aは、第1保持部111Aと、第2保持部112Aと、第3保持部113Aと、フレーム体114Aと、を備える。
【0108】
第1保持部111Aは、発光ユニット20Aを保持する。第1保持部111Aは、扁平な有底円筒状である。第1保持部111Aは、窓取付孔111Ahを備える。窓取付孔111Ahは、底壁111Aaに配置され、底壁111Aaを貫通している。窓取付孔111Ahは、後述するセル空間CSAに臨むように配置されている。
【0109】
第2保持部112Aは、受光ユニット30Aを保持する。第2保持部112Aは、扁平な有底円筒状である。第2保持部112Aは、窓取付孔112Ahを備える。窓取付孔112Ahは、底壁112Aaに配置され、底壁112Aaを貫通している。窓取付孔112Ahは、後述するセル空間CSAに臨むように配置されている。
【0110】
第3保持部113Aは、駆動ユニット40Aと伝達ユニット50Aとを保持する。第3保持部113Aは、有底円筒状である。第3保持部113Aは、ユニット取付孔113Ahを備える。ユニット取付孔113Ahは、底壁113Aaに配置され、底壁113Aaを貫通している。ユニット取付孔113Ahは、後述するセル空間CSAに臨むように配置されている。
【0111】
第1保持部111Aと第2保持部112Aそれぞれは、第3保持部113Aの下部から下方へ延出している。第1保持部111Aの底壁111Aaと第2保持部112Aの底壁112Aaとは、鉛直方向に沿い、相互に対向するように配置されている。両底壁111Aa,112Aaの間には、試料水W(図8参照。以下同じ。)に満たされるセル空間CSAが形成されている。
【0112】
2つの窓取付孔111Ah,112Ahは、水平方向に沿い、同一仮想軸線上に配置されている。すなわち、2つの窓取付孔111Ah,112Ahは、セル空間CSAを挟んで相互に対向するように配置されている。
【0113】
フレーム体114Aは、駆動ユニット40Aを保持すると共に、伝達ユニット50Aを第3保持部113Aに固定する。フレーム体114Aは、複数の形状の骨組みにより構成される枠体である。
【0114】
第1カバー12Aは、第1保持部111Aに液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第1保持部111Aと第1カバー12Aとは、後述する光源21が収容されている第1収容空間SA1を形成している。
【0115】
第2カバー13Aは、第2保持部112Aに液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第2保持部112Aと第2カバー13Aとは、後述する受光部31が収容されている第2収容空間SA2を形成している。
【0116】
第3カバー14Aは、第3保持部113Aに液密かつ着脱可能に取り付けられている。その結果、第3保持部113Aと第3カバー14Aとは、駆動ユニット40Aと伝達ユニット50Aとが収容されている第3収容空間SA3を形成している。
【0117】
発光ユニット20Aは、光源21と、出射窓22と、窓取付部材23Aと、を備える。窓取付部材23Aは、円筒状で、セル空間CSAに突出するように、窓取付孔111Ahに取り付けられている。出射窓22は、窓取付部材23Aのセル空間CSA側の端部に液密に取り付けられている。
【0118】
受光ユニット30Aは、受光部31と、入射窓32と、窓取付部材33Aと、を備える。窓取付部材33Aは、円筒状で、セル空間CSAに突出するように、窓取付孔112Ahに取り付けられている。入射窓32は、窓取付部材33Aのセル空間CSA側の端部に液密に取り付けられている。入射窓32は、出射窓22に対して平行かつ対向して配置されている。
【0119】
駆動ユニット40Aは、モータ41と、伝達軸42Aと、円筒カム部材43Aと、連結部44Aと、を備える。駆動ユニット40Aは、本発明における駆動部の例である。伝達軸42Aは、円筒カム部材43Aと伝達ユニット50Aとの間に連結され、円筒カム部材43Aからの動力(本実施の形態では、往復上下動力)を伝達ユニット50Aに伝達する。伝達軸42Aは、上下方向に沿う棒状である。円筒カム部材43Aは、モータ41からの往復回転動力を、往復上下動力に変換する。連結部44Aは、雌ねじ面44Aaと内フランジ部44Abとを有するユニオンナットである。連結部44Aの内周面の上端部は、リング状に突出していて、内フランジ部44Abを構成している。連結部44Aは、伝達軸42Aの下端部42Aaに、回転可能に取り付けられている。
【0120】
図12は、伝達ユニット50Aの拡大断面図である。
図13は、伝達ユニット50Aの拡大分解断面図である。
【0121】
伝達ユニット50Aは、駆動ユニット40Aからの動力をワイパーユニット60A(後述するワイパー63A)に伝達する。伝達ユニット50Aは、収容筒部501Aと、筒部シール部材503と、第1軸部シール部材504と、第2軸部シール部材506と、軸部508Aと、第3軸部シール部材509と、位置合せ部材518Aと、蛇腹部材520Aと、第1取付部材521Aと、第2取付部材522Aと、ワッシャ523Aと、を備える。
【0122】
収容筒部501Aは、第1~第3軸部シール部材504,506,509と、軸部508Aの一部と、蛇腹部材520Aと、第1取付部材521Aと、第2取付部材522Aと、を収容する。収容筒部501Aは、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、略円筒状である。収容筒部501Aは、小径部501Aaと、中径部501Abと、大径部501Acと、雌ねじ面501Adと、外溝501Afと、外フランジ部501Agと、挿通孔501Ahと、を備える。
【0123】
収容筒部501Aの内周面のうち、下部側の領域は大径部501Acを構成し、上端部は中径部501Abを構成し、大径部501Acと中径部501Abとの間の領域は小径部501Aaを構成している。中径部501Abの内径は、小径部501Aaの内径よりも大きく、大径部501Acの内径よりも小さい。
【0124】
大径部501Acの下部の内周面は、雌ねじ面501Adを構成している。
【0125】
外溝501Afは、リング状で、収容筒部501Aの外周面の下部に配置されている。収容筒部501Aの外周面の一部は、外方に突出していて、外フランジ部501Agを構成している。すなわち、外溝501Afと外フランジ部501Agとは、収容筒部501Aの外周面の一部を構成している。外フランジ部501Agは、上下方向において、外溝501Afの上方であって、大径部501Acの上端部と略同じ位置に配置されている。
【0126】
挿通孔501Ahは、中径部501Abを貫通している。
【0127】
筒部シール部材503は、外溝501Afに取り付けられている。筒部シール部材503の内径は収容筒部501Aの外溝501Afの外径よりも僅かに小さく、筒部シール部材503の外径はユニット取付孔113Ahの内径よりも僅かに大きい。筒部シール部材503は、本発明における外部シール部材の例である。
【0128】
第1軸部シール部材504は、リップ部を下方に向けて、後述する第1溝508Adに取り付けられている。第2軸部シール部材506は、リップ部を下方に向けて、後述する第2溝508Aeに取り付けられている。第1、第2軸部シール部材504,506の内径は対応する第1、第2溝508Ad,508Aeの外径よりも僅かに小さく、第1、第2軸部シール部材504,506の外径は収容筒部501Aの小径部501Aaの内径よりも僅かに大きい。第1、第2軸部シール部材504,506は、本発明における内部シール部材の例である。
【0129】
軸部508Aは、駆動ユニット40Aからの動力に基づいて、軸部508Aの軸方向(上下方向)に往復運動(往復上下運動)する。軸部508Aは、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、円柱状である。軸部508Aは、小径部508Aaと、中径部508Abと、大径部508Acと、第1溝508Adと、第2溝508Aeと、第3溝508Afと、外フランジ部508Agと、雌ねじ穴508Ah1と、取付穴508Ah2と、第1雄ねじ面508Aiと、第2雄ねじ面508Ajと、を備える。
【0130】
軸部508Aの外径は、下部から上部に向けて段階的に大きくなり、小径部508Aaと、中径部508Abと、大径部508Acと、を構成している。すなわち、中径部508Abの外径は、小径部508Aaの外径よりも大きく、大径部508Acの外径よりも小さい。中径部508Abの外径は、後述する蛇腹部520Acの内径よりも小さい。大径部508Acの外径は、収容筒部501Aの小径部501Aaの内径よりも僅かに小さい。小径部508Aaは、本発明における第1端部の例である。
【0131】
第1~第3溝508Ad~508Afそれぞれは、リング状である。第1~第3溝508Ad~508Afそれぞれは、下方から上方に向けて、第1溝508Ad、第2溝508Ae、第3溝508Afの順に、相互に離隔して、中径部508Abの下半部に配置されている。第1~第3溝508Ad~508Afそれぞれは、軸部508Aの外周面の一部を構成している。
【0132】
大径部508Acの外周面の上部は、外方にリング状に突出していて、外フランジ部508Agを構成している。外フランジ部508Agの外径は、収容筒部501Aの中径部501Abの内径よりも僅かに小さく、同小径部501Aaの内径よりも大きい。
【0133】
雌ねじ穴508Ah1は、外フランジ部508Agに、軸部508Aの径方向に沿って配置されている。雌ねじ穴508Ah1は、後述する仮固定ねじ70に対応する。
【0134】
取付穴508Ah2は、軸部508A(大径部508Ac)の上端面に、上下方向に沿って配置されている。すなわち、取付穴508Ah2は、軸部508Aの上端部508Akに配置されている。上端部508Akは、本発明における第2端部の例である。
【0135】
第1雄ねじ面508Aiは、小径部508Aaの外周面の上半部に配置されている。第1雄ねじ面508Aiは、後述する第1取付部材521Aの雌ねじ面521Aaに対応する。
【0136】
第2雄ねじ面508Ajは、大径部508Acの外周面の上端部508Akに配置されている。上下方向において、第2雄ねじ面508Ajは、外フランジ部508Agよりも上方に配置されている。第2雄ねじ面508Ajは、連結部44Aの雌ねじ面44Aaに対応する。
【0137】
軸部508Aは、収容筒部501Aに挿通されている。収容筒部501Aにおいて、軸部508Aは、第1~第3軸部シール部材504,506,509と、蛇腹部材520Aと、第1取付部材521Aと、第2取付部材522Aと、に挿通されている。上下方向において、第1~第3溝508Ad~508Afは、小径部501Aa内に配置されている。
【0138】
第3軸部シール部材509は、第3溝508Afに取り付けられている。第3軸部シール部材509の内径は第3溝508Afの外径よりも僅かに小さく、第3軸部シール部材509の外径は収容筒部501Aの小径部501Aaの内径よりも僅かに大きい。第3軸部シール部材509は、本発明における内部シール部材の例である。
【0139】
位置合せ部材518Aは、例えば、ステンレス鋼などの金属製で、円柱状である。位置合せ部材518Aの下半部は、軸部508Aの取付穴508Ah2(すなわち、軸部508Aの上端部508Ak)に取り付けられている。位置合せ部材518Aの上半部は、軸部508Aの上端面から上方に突出している。
【0140】
蛇腹部材520Aは、軸部508Aの往復上下運動に基づいて、伸縮する。蛇腹部材520Aは、例えば、シリコンゴム製で、凹凸を有する概略円筒状である。蛇腹部材520Aは、収容筒部501Aの大径部501Acに収容されている。蛇腹部材520Aは、外フランジ部520Aaと、内フランジ部520Abと、蛇腹部520Acと、を備える。
【0141】
蛇腹部材520Aの外周面の上端部は、外方にリング状に突出していて、外フランジ部520Aaを構成している。外フランジ部520Aaの外径は、収容筒部501Aの大径部501Acの内径よりも僅かに大きい。外フランジ部520Aaは、第2取付部材522Aにより、大径部501Acの上端部に取り付けられている。外フランジ部520Aaは、本発明における他端部の例である。
【0142】
蛇腹部材520Aの内周面の下端部は、内方にリング状に突出していて、内フランジ部520Abを構成している。内フランジ部520Abの内径は、軸部508Aの小径部508Aaの外径よりも僅かに小さく、同中径部508Abの外径よりも小さい。内フランジ部520Abは、第1取付部材521Aにより、軸部508Aの小径部508Aaの上端部に取り付けられている。内フランジ部520Abは、本発明における一端部の例である。
【0143】
蛇腹部520Acは、円筒状の蛇腹であり、外フランジ部520Aaと内フランジ部520Abとの間に配置され、外フランジ部520Aaと内フランジ部520Abとに連結している。蛇腹部520Acの内径は、軸部508の中径部508Abの外径よりも大きい。
【0144】
第1取付部材521Aは、蛇腹部材520Aの下端部(内フランジ部520Ab)を軸部508Aに取り付ける。第1取付部材521Aは、例えば、雌ねじ面521Aaと、内フランジ部521Abと、を有するナットである。雌ねじ面521Aaは、内フランジ部521Abの内周面に配置されている。第1取付部材521Aの内周面の下半部は、内方にリング状に突出していて内フランジ部521Abを構成している。第1取付部材521Aは、軸部508Aの小径部508Aaに取り付けられている。
【0145】
第2取付部材522Aは、蛇腹部材520Aの上端部(外フランジ部520Aa)を収容筒部501Aに取り付ける。第2取付部材522Aは、円筒状で、雄ねじ面522Aaと、内フランジ部522Abと、を備える。雄ねじ面522Aaは、第2取付部材522Aの外周面の下半部に配置されている。第2取付部材522Aの内周面の上端部は、内方にリング状に突出していて内フランジ部522Abを構成している。第2取付部材522Aは、収容筒部501Aの大径部501Acに取り付けられている。
【0146】
ワッシャ523Aは、第1取付部材521A内に収容されて、蛇腹部材520Aの下端部(内フランジ部520Ab)を上方へ押圧する。
【0147】
図11図13に戻る。
伝達ユニット50Aは、第3収容空間SA3に収容され、ユニット取付孔113Ahに液密かつ着脱可能に取り付けられている。軸部508Aの小径部508Aaは、セル空間CSAに配置されている。すなわち、小径部508Aaは、収容筒部501Aから収容筒部501Aのセル空間CSA側に突出している。したがって、軸部508Aの一部(小径部508Aa)は、検出器100Aが試料水Wに浸漬されているとき、試料水Wに接液している。また、蛇腹部材520Aの外周面も、試料水Wに接液している。軸部508Aの上端部508Akには、駆動ユニット40Aの連結部44Aが取り付けられている。その結果、モータ41の回転に応じて伝達軸42Aが往復上下運動すると、軸部508Aが往復上下運動する。
【0148】
図14は、検出器100Aの図11のDD線における拡大断面図である。
同図は、説明の便宜上、実線で示される位置から移動後のワイパーユニット60Aを二点鎖線で示す。
【0149】
ワイパーユニット60Aは、出射窓22と入射窓32(図10参照。以下同じ。)とを洗浄する。ワイパーユニット60は、ワイパー支持部材61Aと、ユニット取付ねじ62Aと、ワイパー63Aと、一対のワイパー押え板64A,65Aと、2つのワイパー取付ねじ66A,67Aと、を備える。ワイパー支持部材61Aは、軸部508Aの下端部(小径部508Aaの下端部)が挿入される挿入孔61Ahを備える。ワイパー63Aは、ワイパー押え板64A,65Aに挟まれた状態で、ワイパー取付ねじ66A,67Aによりワイパー支持部材61Aに取り付けられている。ワイパー支持部材61Aは、ユニット取付ねじ62Aにより軸部508Aの小径部508Aaの下端部に取り付けられている。ワイパー63Aは、本発明における移動部材の例である。
【0150】
ワイパーユニット60Aは、セル空間CSAに配置されていて、軸部508Aの往復上下運動に伴い、軸部508Aの軸方向に往復移動(往復上下運動)するように構成されている。このとき、ワイパー63Aは、出射窓22と入射窓32とに接触しながら、出射窓22と入射窓32との間の空間(セル空間CSAの一部)を横切るように構成されている。すなわち、ワイパー63Aは、セル空間CSAを満たしている試料水W内を往復移動するように構成されている。ワイパー63Aの往復移動に伴い、出射窓22と入射窓32それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【0151】
仮固定ねじ70は、伝達ユニット50Aの着脱時や搬送時において、軸部508Aを収容筒部501Aに一時的に固定するねじである。すなわち、仮固定ねじ70は、本装置1Aの動作中は、伝達ユニット50Aに取り付けられていない部品である。
【0152】
●伝達ユニット(2)の組立および分解
伝達ユニット50Aは、組立および分解可能に構成されている。以下、図12図13とを参照しながら、伝達ユニット50Aの組立および分解について、伝達ユニット50Aの組立を例に説明する。
【0153】
先ず、筒部シール部材503が、収容筒部501の外溝501Afに取り付けられる。
【0154】
次いで、第1~第3軸部シール部材504,506,509と、位置合せ部材518Aとが、軸部508Aに取り付けられる。具体的には、第1軸部シール部材504は、リップ部が下方に向けられた状態で、第1溝508Adに取り付けられる。第2軸部シール部材506は、リップ部が下方に向けられた状態で、第2溝508Aeに取り付けられる。第3軸部シール部材509は、第3溝508Afに取り付けられる。位置合せ部材518Aは、軸部508Aの取付穴508Ah2に嵌め込まれる。このとき、位置合せ部材518Aの上半部は、軸部508Aの上方に突出している。
【0155】
なお、本発明における第1、第2軸部シール部材のリップ部の向きは、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における第1、第2軸部シール部材のリップ部の向きは、上向きでもよい。また、例えば、いずれか一方のリップ部の向きが上向きで、他方のリップ部の向きが下向きでもよい。
【0156】
次いで、蛇腹部材520Aが、第2取付部材522Aにより、収容筒部501Aに取り付けられる。具体的には、蛇腹部材520Aが、収容筒部501Aの大径部501Acに収容される。次いで、第2取付部材522Aが、大径部501Acに挿入される。このとき、雄ねじ面522Aaが雌ねじ面501Adにねじ込まれることにより、第2取付部材522Aは収容筒部501Aに取り付けられ、蛇腹部材520Aの上端部(外フランジ部520Aa)は収容筒部501Aの大径部501Acに取り付けられる。
【0157】
次いで、軸部508Aが、上方から収容筒部501Aと蛇腹部材520Aとに挿通される。このとき、軸部508Aの小径部508Aaは、蛇腹部材520Aの下端部(内フランジ部520Ab)より下方へ突出している。また、第1~第3軸部シール部材504,506,509それぞれは、収容筒部501Aの小径部501Aaの内周面に密接している。
【0158】
ここで、軸部508Aは、収容筒部501Aに固定されていない。そのため、軸部508Aの下端が下方に向けられたとき、軸部508Aは収容筒部501Aに対して、下方へと移動する。しかしながら、軸部508Aの外フランジ部508Agの外径は、収容筒部501Aの小径部501Aaの内径よりも大きい。そのため、外フランジ部508Agが小径部501Aaの上端面に当接することにより、軸部508Aの下方への移動は、規制される。また、蛇腹部材520Aの内フランジ部520Abの内径は、軸部508Aの中径部508Abの外径よりも小さい。そのため、中径部508Abの下端面が内フランジ部520Abに当接することにより、軸部508Aの下方への移動は、(蛇腹部520Acの最大延伸長さまでに)規制される。したがって、収容筒部501Aに対する軸部508Aの下方への脱落(抜け落ち)は、防止される。すなわち、軸部508Aの外フランジ部508Agと蛇腹部材520Aとは、本発明における脱落防止部材として機能する。
【0159】
次いで、蛇腹部材520Aの内フランジ部520Abが、第1取付部材521Aにより、軸部508Aの小径部508Aaに取り付けられる。具体的には、軸部508Aの小径部508Aaが第2取付部材522Aの下方に突出するように、軸部508Aが下方へ押し込まれる。このとき、蛇腹部材520Aの内フランジ部520Abが軸部508Aの中径部508Abの下端面により下方へ押され、蛇腹部520Acは、下方へ延伸される。次いで、軸部508Aの小径部508Aaが、ワッシャ523Aに挿通される。次いで、軸部508Aの第1雄ねじ面508Aiが第1取付部材521Aの雌ねじ面521Aaにねじ込まれることにより、内フランジ部520Abは、小径部508Aaに液密に取り付けられる。その結果、蛇腹部材520Aは、軸部508Aの往復上下運動に基づいて、伸縮する。
【0160】
次いで、軸部508Aの外フランジ部508Agが収容筒部501Aの中径部501Abに挿入されている状態で、仮固定ねじ70が、挿通孔501Ahに挿通され、雌ねじ穴508Ah1にねじ込まれる。その結果、軸部508Aは、小径部508Aaが第1取付部材521Aよりも下方へ突出している状態で、収容筒部501Aに固定される。このとき、収容筒部501Aに対しする軸部508Aの上下方向への脱落は、防止される。すなわち、仮固定ねじ70は、本発明における脱落防止部材として機能し得る。
【0161】
このように、各部材(収容筒部501A~ワッシャ523A)は一体の伝達ユニット50Aとして組み立てられる。一方、伝達ユニット50Aは、前述した組立と逆の手順により、容易に分解可能である。したがって、各シール部材(筒部シール部材503、第1~第3軸部シール部材504,506,509)は、例えば、後述する伝達ユニット50Aの交換後に、別途、個別に交換可能である。
【0162】
伝達ユニット50Aでは、軸部508Aの一部は、収容筒部501Aに、軸部508Aの軸方向(上下方向)に往復運動可能に収容されている。すなわち、軸部508Aは、収容筒部501Aに、軸部508Aの軸方向に往復運動可能に支持されている。また、小径部501Aaにおいて、第1~第3軸部シール部材504,506,509それぞれは、対応する第1~第3溝508Ad~508Afと、小径部501Aaの内周面と、に密接している。さらに、大径部501Acにおいて、蛇腹部材520Aの外フランジ部520Aaが大径部501Acの内周面に密接し、内フランジ部520Abが軸部508Aの小径部508Aaに液密に取り付けられている。その結果、セル空間CSAの試料水Wは、蛇腹部材520Aにより堰き止められ、蛇腹部材520Aの上方へは浸入しない。また、軸部508Aの外周面を伝わる試料水Wは、内フランジ部520Abと、第1~第3軸部シール部材504,506,509と、により堰き止められ、収容筒部501Aの上方(第3収容空間SA3)へ浸入しない。一方、収容筒部501Aの内周面を伝わる試料水Wは、外フランジ部520Aaと、第1~第3軸部シール部材504,506,509と、により堰き止められ、収容筒部501Aの上方(第3収容空間SA3)へ浸入しない。
【0163】
また、伝達ユニット50Aでは、軸部508Aに対して下方への応力が加えられても、外フランジ部508Agが小径部501Aaの上端面に当接することにより、軸部508Aの下方への移動は規制される。すなわち、軸部508Aは、収容筒部501Aの下方へ脱落しない。一方、軸部508Aに対して上方への応力が加えられても、蛇腹部材520Aが収容筒部501Aと軸部508Aとに取り付けられているため、軸部508Aの上方への移動は規制される。すなわち、軸部508Aは、収容筒部501Aの上方へ脱落しない。
【0164】
このように、伝達ユニット50Aでは、ワイパー63Aの往復上下運動の移動軸として機能する軸部508Aと、軸部508Aを液密かつ往復上下運動可能に支持する第1~第3軸部シール部材504,506,509とが、1つのユニットとして組み立てられている。前述のとおり、軸部508の小径部508Aaは、本装置1Aの使用時において接液している。また、蛇腹部材520Aの外周面も同様に接液している。すなわち、本装置1Aにおいて、接液する可動部材として機能する軸部508Aと、可動部材のシール部材として機能する第1~第3軸部シール部材504,506,509、蛇腹部材520Aとが、1の伝達ユニット50Aとしてユニット化されている。
【0165】
●伝達ユニット(2)の着脱
次に、検出器100Aにおける伝達ユニット50Aの着脱について、伝達ユニット50Aを交換する場合を例に説明する。以下の説明において、図11も併せて参照される。
【0166】
図15は、伝達ユニット50Aの取外しの例を時系列で示す断面図であり、(a)は第3カバー14Aと駆動ユニット40Aと伝達ユニット50Aとワイパーユニット60Aとが取り外された状態を示し、(b)は伝達ユニット50Aとワイパーユニット60Aとが取り外された状態を示す。
【0167】
先ず、ワイパーユニット60Aが、軸部508Aから取り外される。
【0168】
次いで、第3カバー14Aが、第3保持部113Aから取り外される。次いで、駆動ユニット40Aと伝達ユニット50Aが、ユニット保持部11A(第3保持部113A)から取り外される。このとき、伝達ユニット50Aは、ユニット取付孔113Ahから取り外される。
【0169】
次いで、伝達ユニット50Aが、駆動ユニット40Aとフレーム体114Aとから取り外される。このとき、軸部508Aは、連結部44Aから取り外される。また、軸部508Aは、収容筒部501Aに対して下方へ押し下げられて、仮固定ねじ70により収容筒部501Aに固定される。
【0170】
次いで、新しい伝達ユニット50Aが、駆動ユニット40Aに取り付けられる。具体的には、軸部508Aの第1雄ねじ面508Aiは、駆動ユニット40Aの連結部44Aの雌ねじ面44Aaにねじ込まれる。このとき、位置合せ部材518Aが連結部44A(例えば、位置合せ部材518Aに対応する凹部など)に当接することにより、駆動ユニット40Aに対する伝達ユニット50Aの位置(軸部508Aの周方向における、ワイパー63Aの位置(向き))が合せられる。また、フレーム体114Aの一部が、収容筒部501Aの外フランジ部501Agの上端面に当接している。さらに、仮固定ねじ70が、伝達ユニット50Aから取り外される。
【0171】
次いで、新しい伝達ユニット50Aが、ユニット取付孔113Ahに取り付けられる。このとき、伝達ユニット50Aは、ユニット取付孔113Ahと、フレーム体114Aとに挟持されている。そのため、軸部508Aが往復上下運動しても、収容筒部501Aは、軸部508Aと共に往復上下運動しない。また、筒部シール部材503は、ユニット取付孔113Ahの内周面と、外溝501Afと、に密接している。その結果、検出器100Aが試料水Wに浸漬されたとき、ユニット取付孔113Ahの内周面を伝わる試料水Wと、収容筒部501Aの外周面を伝わる試料水Wとは、筒部シール部材503により堰き止められ、第3収容空間SA3へ浸入しない。さらに、ワイパーユニット60Aと軸部508Aの小径部508Aaとは、セル空間CSAに配置されている。下方視において、ワイパー63Aの長辺は、出射窓22と入射窓32とに平行に配置されている。
【0172】
次いで、第3カバー14Aが、第3保持部113Aに取り付けられる。
【0173】
次いで、ワイパーユニット60Aが、新しい伝達ユニット50Aの軸部508Aに取り付けられる。
【0174】
このように、本装置1Aでは、検出器100Aの伝達ユニット50Aが交換されるだけで、試料水Wに接液する可動部材(軸部508A)と、そのシール部材(第1~第3軸部シール部材504,506,509、蛇腹部材520A)とが、まとめて交換される。すなわち、伝達ユニット50Aは、検出器100Aの接液する可動部材とそのシール部材との交換用カートリッジとして機能する。
【0175】
●まとめ(2)
以上説明した実施の形態によれば、本装置1Aは、試料水Wに浸漬されて、試料水Wの水質を検知する検出器100Aを有してなる。検出器100Aは、駆動ユニット40Aからの動力をワイパーユニット60Aに伝達する伝達ユニット50Aを備える。伝達ユニット50Aは、軸部508Aと、収容筒部501Aと、第1~第3軸部シール部材504,506,509(内部シール部材)と、筒部シール部材503(外部シール部材)と、を備える。軸部508Aは、駆動ユニット40Aからの動力に基づいて往復上下運動する。収容筒部501Aは、軸部508Aの一部を軸部508Aが往復上下運動可能に収容する。第1~第3軸部シール部材504,506,509は、収容筒部501Aに収容され、軸部508Aと収容筒部501Aとの間を液密に封止する。筒部シール部材503は、収容筒部501Aの外周面(外溝501Af)とユニット取付孔113Ahの内周面との間を液密に封止する。伝達ユニット50Aは、ユニット取付孔113Ahに着脱可能に取り付けられている。この構成によれば、伝達ユニット50Aの交換のみで、接液する可動部材(軸部508A)と、そのシール部材(第1~第3軸部シール部材504,506,509、筒部シール部材503)の交換が可能となる。また、伝達ユニット50Aは、交換前に組み立てられている。そのため、伝達ユニット50Aの交換者は、交換時に伝達ユニット50Aを組み立てることなく、可動部材とそのシール部材とを一括して交換可能である。その結果、可動部材のシール部材の交換時間が短縮されると共に、シール部材の向きの誤りなどの問題も生じない。したがって、浸漬型の検出器100Aを備える本装置1Aにおいて、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0176】
また、以上説明した実施の形態によれば、軸部508Aは、小径部508Aaと、上端部508Akと、を備える。小径部508Aaは、収容筒部501Aのセル空間CSA側(下側)に突出し、ワイパーユニット60Aが着脱可能に取り付けられている。上端部508Akは、収容筒部501Aの駆動ユニット40A側(上側)に突出している。伝達ユニット50Aは、駆動ユニット40Aに対するワイパーユニット60Aの位置を合せる位置合せ部材518Aを備える。上端部508Akは、駆動ユニット40Aの連結部44Aに着脱可能に取り付けられている。位置合せ部材518Aは、上端部508Akに取り付けられている。この構成によれば、可動部材のシール部材の交換作業において、着脱されたワイパー63Aの位置決め作業は、不要となる。その結果、浸漬型の検出器100Aを備える本装置1Aにおいて、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0177】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、伝達ユニット50Aは、分解および組立可能に構成されている。伝達ユニット50Aは、伝達ユニット50Aの着脱時において、収容筒部501Aに対する軸部508Aの脱落(抜け落ち)を防止する脱落防止部材(中径部501Ab、外フランジ部508Ag、蛇腹部材520A)を備える。この構成によれば、伝達ユニット50Aの交換時に、交換者が収容筒部501Aまたは軸部508Aを把持しても、軸部508Aは収容筒部501Aから脱落しない。すなわち、伝達ユニット50Aの交換時に、伝達ユニット50Aの取り回しが容易になる。その結果、浸漬型の検出器100Aを備える本装置1Aにおいて、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0178】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、軸部508Aは、収容筒部501Aに対して、軸部508Aの軸方向に往復上下運動するように構成されている。伝達ユニット50Aは、蛇腹部材520Aと、第1取付部材521Aと、第2取付部材522Aと、を備える。蛇腹部材520Aには軸部508Aが挿通され、蛇腹部材520Aは軸部508Aの往復上下運動に基づいて伸縮するように構成されている。第1取付部材521Aは、蛇腹部材520Aの上端部(外フランジ部520Aa)を収容筒部501A内に取り付けている。第2取付部材522Aは、蛇腹部材520Aの下端部(内フランジ部520Ab)を軸部508Aに取り付けている。蛇腹部材520Aの外周面は、試料水Wに接するように構成されている。蛇腹部材520Aの上端部の外周面は収容筒部501Aの内周面に密接(当接)し、蛇腹部材520Aの下端部の内周面は軸部508の外周面に密接(当接)している。この構成によれば、軸部508Aが往復上下運動しても、試料水Wの収容筒部501A内への浸入は、蛇腹部材520Aにより防止される。また、蛇腹部材520Aは、収容筒部501Aと軸部508Aとに取り付けられている。すなわち、軸部508Aは、蛇腹部材520Aを介して、収容筒部501Aに連結されている。つまり、蛇腹部材520Aは、本発明における脱落防止部材としても機能している。そのため、伝達ユニット50Aの交換時に、伝達ユニット50Aの取り回しが容易になる。その結果、浸漬型の検出器100Aを備える本装置1Aにおいて、接液する可動部材のシール部材の交換作業は、容易になる。
【0179】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、検出器100Aは、出射窓22と入射窓32との間のセル空間CSAを満たしている試料水W内を移動するワイパー63Aを備える。この構成によれば、ワイパー63Aの往復移動に伴い、出射窓22と入射窓32それぞれに付着した汚濁物質は、除去される。
【0180】
●他の実施形態●
なお、本発明における伝達ユニットの分解および組立の順序は、本発明における伝達ユニットが分解され、および、組み立てられていればよく、各実施形態の順序に限定されない。
【0181】
また、以上説明した第1実施形態において、本発明における伝達ユニットは、第1止め輪または第2止め輪のいずれか一方を備えなくていてもよい。この場合、上下方向において、本発明における収容筒部の大径部の長さは、第1実施形態における大径部の長さよりも短くてもよい。
【0182】
さらに、以上説明した各実施形態において、本発明における伝達ユニットは、第1~第3軸部シール部材のいずれかを備えなくていなくてもよく、あるいは、第1~第3軸部シール部材に加えて、軸部に密接する他のシール部材を備えていてもよい。この場合、本発明における伝達ユニットは、他のシール部材に対応する溝を備えていてもよい。
【0183】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、本発明における各シール部材(取付孔シール部材、筒部シール部材、第1~第3軸部シール部材、カラーシール部材、蛇腹部材)の材質は、シリコンゴムに限定されない。すなわち、例えば、各シール部材の材質は、フッ素(系)ゴムでもよい。
【0184】
さらにまた、本発明における位置合せ部材の構成は、以上説明した各実施形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における軸部と伝達軸とは、互いに係合する凹凸を備えていてもよい。また、例えば、本発明における軸部は、ねじなどの締結部材により、伝達軸に取り付けられていてもよい。
【0185】
さらにまた、以上説明した第2実施形態において、本発明における連結部は、位置合せ部材に対応する孔や凸部などを備えていてもよい。
【0186】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、本発明における伝達ユニットは、位置合せ部材を備えていなくてもよい。この場合、駆動ユニットに対するワイパーの位置は、例えば、交換者の目視により調整されてもよい。
【0187】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、本発明における移動部材(ワイパー)は、軸部の回転運動に基づいて回転するプロペラでもよい。この場合、プロペラがセル空間内の試料水を攪拌することにより、出射窓と入射窓それぞれの表面に接する試料水が常時入れ替わる。その結果、出射窓と入射窓それぞれへの異物の付着は、抑制される。
【0188】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、本発明における移動部材(ワイパー)は、ゴムワイパーに限定されず、出射窓と入射窓とに接触するブラシワイパーでもよい。また、本発明におけるワイパーの材質は、シリコンゴムに限定されない。
【0189】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、本発明における伝達ユニットは、潤滑剤を備えなくてもよい。この場合、本発明における押圧部材は、拡径部を備えない円筒状のカラーでもよい。
【0190】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、本発明における伝達ユニットは、ベアリングを備えなくてもよい。この場合、本発明における伝達ユニットは、例えば、ベアリングに代えて、ワッシャやカラーなどのリング状の部材を備えていてもよい。
【0191】
さらにまた、本発明における押圧部材(プッシュカラー)の形状は、第1~第3軸部シール部材を下方へ押圧可能な形状であればよく、第1実施形態の形状に限定されない。
【0192】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、本発明における伝達ユニットは、本発明における脱落防止部材(第2、第3止め輪、蛇腹部材)を備えていなくてもよい。この場合であっても、伝達ユニットの交換時において、収容筒部に対する軸部の位置は、本発明における内部シール部材により、ある程度維持される。
【0193】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、本発明における脱落防止部材は、止め輪に限定されない。すなわち、例えば、本発明における脱落防止部材は、軸部に嵌め込まれるノックピンなどの突起物でもよい。
【0194】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、本発明における第1~第4止め輪は、C型やE型に限定されない。すなわち、例えば、本発明における第1~第4止め輪は、丸形止め輪でもよい。
【0195】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、本発明における検出器は、取付孔シール部材を備えていなくてもよい。
【0196】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、第1軸部シール部材と第2軸部シール部材のみが、本発明における内部シール部材として機能してもよい。すなわち、第3軸部シール部材は、本発明における内部シール部材として機能しなくてもよい。
【0197】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、検出器のセル空間が試料水に浸漬されていればよく、検出器全体が試料水に浸漬されていなくてもよい。
【0198】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、本装置は、浸漬型の検出器を備え、光を用いて試料水の水質を測定する装置であればよく、吸光度測定装置に限定されない。
【符号の説明】
【0199】
1 測定装置
100 検出器
10 筐体
112h2 ユニット取付孔
21 光源(発光部)
22 出射窓
31 受光部
32 入射窓
40 駆動ユニット(駆動部)
50 伝達ユニット
501 収容筒部
503 筒部シール部材(外部シール部材)
504 第1軸部シール部材(内部シール部材)
506 第2軸部シール部材(内部シール部材)
508 軸部
508a ワイパー取付部(第1端部)
508e 上端部(第2端部)
509 第3軸部シール部材(内部シール部材)
510 プッシュカラー(押圧部材)
510b 大径部(拡径部)
511 カラーシール部材(第2内部シール部材)
512 第1止め輪(脱落防止部材)
513 第2止め輪(脱落防止部材)
514 第3止め輪(脱落防止部材)
515 第4止め輪(第2脱落防止部材)
516 ベアリング
518 位置合せ部材
519 潤滑剤
63 ワイパー(移動部材)
1A 測定装置
100A 検出器
10A 筐体
113Ah ユニット取付孔
40A 駆動ユニット(駆動部)
50A 伝達ユニット
501A 収容筒部
501Aa 小径部(脱落防止部材)
508A 軸部
508Aa 小径部(第1端部)
508Ag 外フランジ部(脱落防止部材)
508Ak 上端部(第2端部)
518A 位置合せ部材
520A 蛇腹部材(内部シール部材、脱落防止部材)
520Aa 外フランジ部(他端部)
520Ab 内フランジ部(一端部)
521A 第1取付部材
522A 第2取付部材
63A ワイパー(移動部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15