(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077238
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01F 12/46 20060101AFI20230529BHJP
A01D 41/127 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A01F12/46
A01D41/127 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190462
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】伊木 雄一
【テーマコード(参考)】
2B396
【Fターム(参考)】
2B396JA04
2B396JC07
2B396KC07
2B396KC13
2B396LA14
2B396LA24
2B396LC20
2B396LE16
2B396LJ10
2B396LR02
2B396LR12
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
2B396ML10
(57)【要約】
【課題】離れた場所でも穀粒タンク内の穀粒を入手可能とするコンバインを提供する。
【解決手段】収穫した穀粒を貯留する穀粒タンク4を備えるコンバイン1であって、穀粒タンク4の上部に設けられ、無人飛行体120が発着可能な発着部20と、穀粒タンク4内の穀粒を無人飛行体120に移載可能な穀粒移載部40と、を備え、穀粒移載部40は、例えば、穀粒タンク4の上部に設けられ、穀粒タンク4内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部41と、発着部20に着陸した無人飛行体120が一時貯留部41内の穀粒を吸上げ可能とする吸上口42と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫した穀粒を貯留する穀粒タンクを備えるコンバインであって、
前記穀粒タンクの上部に設けられ、無人飛行体が発着可能な発着部と、
前記穀粒タンク内の穀粒を前記無人飛行体に移載可能な穀粒移載部と、を備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記穀粒移載部は、
前記穀粒タンクの上部に設けられ、前記穀粒タンク内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部と、
前記発着部に着陸した前記無人飛行体が前記一時貯留部内の穀粒を吸上げ可能とする吸上口と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記穀粒移載部は、
前記穀粒タンクの上部に着脱可能に設けられ、前記穀粒タンク内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部と、
前記発着部に着陸した前記無人飛行体と前記一時貯留部とを連結させる連結部と、を備え、
前記一時貯留部が連結された状態で前記無人飛行体の離陸を許容することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記一時貯留部は、穀粒取入口を備え、前記穀粒タンク内に供給される穀粒の一部が前記穀粒取入口を介して前記一時貯留部内に貯留されることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記穀粒移載部は、前記穀粒タンク内に堆積する穀粒の一部を前記一時貯留部まで移送する移送部を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記無人飛行体は、穀粒を貯留可能な容器を備え、
前記穀粒移載部は、前記無人飛行体が前記発着部に着陸したとき、前記容器を前記穀粒タンク内に入り込ませる容器入口を備え、
前記穀粒タンク内に供給される穀粒の一部が前記容器に貯留されることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記穀粒移載部は、
前記穀粒タンク内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部と、
前記一時貯留部を前記穀粒タンクの下部から上部まで移動させる移動部と、
前記発着部に着陸した前記無人飛行体と前記一時貯留部とを連結させる連結部と、を備え、
前記一時貯留部が連結された状態で前記無人飛行体の離陸を許容することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離れた場所でも穀粒タンク内の穀粒を入手可能とするコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
収穫した穀粒の品質を確認するための手段を備えたコンバインが知られている。例えば、特許文献1に記載のコンバインは、穀粒タンクの側壁にメンテナンス用の点検口(内開き扉)を備えており、点検口を介して穀粒タンク内の穀粒を取り出すことができる。また、特許文献2に記載のコンバインは、穀粒タンクの下部に穀粒取出口を備えており、穀粒取出口を介して穀粒タンク内の穀粒を取り出すことができる。また、特許文献3に記載のコンバインは、穀粒タンク内に穀粒サンプリング装置及び品質測定装置を備えており、穀粒タンクから穀粒を取り出すことなく、穀粒の品質を確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6861107号公報
【特許文献2】特開平01-105434号公報
【特許文献3】特開2019-195297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載のコンバインでは、点検口や穀粒取出口の下方近傍まで穀粒が堆積しないと穀粒の取り出しが困難であるだけでなく、穀粒の堆積高さが点検口や穀粒取出口まで到達している場合は、点検口や穀粒取出口を開いたときに穀粒がこぼれ落ちる虞がある。また、特許文献3に記載のコンバインでは、品質測定装置の特性に起因し、藁屑の混入によって測定精度が低下する虞がある。また、収穫した穀粒を直接触ったり見たりすることができないため、触った感触、見た目、大きさ、硬さなどの確認が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、収穫した穀粒を貯留する穀粒タンクを備えるコンバインであって、前記穀粒タンクの上部に設けられ、無人飛行体が発着可能な発着部と、前記穀粒タンク内の穀粒を前記無人飛行体に移載可能な穀粒移載部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のコンバインであって、前記穀粒移載部は、前記穀粒タンクの上部に設けられ、前記穀粒タンク内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部と、前記発着部に着陸した前記無人飛行体が前記一時貯留部内の穀粒を吸上げ可能とする吸上口と、を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のコンバインであって、前記穀粒移載部は、前記穀粒タンクの上部に着脱可能に設けられ、前記穀粒タンク内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部と、前記発着部に着陸した前記無人飛行体と前記一時貯留部とを連結させる連結部と、を備え、前記一時貯留部が連結された状態で前記無人飛行体の離陸を許容することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3に記載のコンバインであって、前記一時貯留部は、穀粒取入口を備え、前記穀粒タンク内に供給される穀粒の一部が前記穀粒取入口を介して前記一時貯留部内に貯留されることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項2又は3に記載のコンバインであって、前記穀粒移載部は、前記穀粒タンク内に堆積する穀粒の一部を前記一時貯留部まで移送する移送部を備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1に記載のコンバインであって、前記無人飛行体は、穀粒を貯留可能な容器を備え、前記穀粒移載部は、前記無人飛行体が前記発着部に着陸したとき、前記容器を前記穀粒タンク内に入り込ませる容器入口を備え、前記穀粒タンク内に供給される穀粒の一部が前記容器に貯留されることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1に記載のコンバインであって、前記穀粒移載部は、前記穀粒タンク内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部と、前記一時貯留部を前記穀粒タンクの下部から上部まで移動させる移動部と、前記発着部に着陸した前記無人飛行体と前記一時貯留部とを連結させる連結部と、を備え、前記一時貯留部が連結された状態で前記無人飛行体の離陸を許容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、無人飛行体を使い、離れた場所でも穀粒タンク内の穀粒を入手することが可能になる。
また、請求項2の発明によれば、穀粒タンクの上部に穀粒を一時貯留する一時貯留部を設け、該一時貯留部内の穀粒を吸上口を介して無人飛行体が吸上げ可能としたので、穀粒タンクから無人飛行体への穀粒の移載が容易になる。
また、請求項3の発明によれば、一時貯留部を着脱可能とし、一時貯留部が連結された状態で無人飛行体の離陸を許容するので、無人飛行体側に吸上手段を設けることなく、穀粒タンクから無人飛行体へ穀粒を移載することができる。
また、請求項4の発明によれば、一時貯留部は、穀粒取入口を備え、穀粒タンク内に供給される穀粒の一部が穀粒取入口を介して一時貯留部内に貯留されるので、一時貯留部に穀粒を貯留するための構成を簡略化できる。
また、請求項5の発明によれば、穀粒タンク内に堆積する穀粒の一部を一時貯留部まで移送する移送部を備えるので、一時貯留部に穀粒を確実に貯留できる。
また、請求項6の発明によれば、無人飛行体が発着部に着陸したとき、無人飛行体が備える容器を穀粒タンク内に入り込ませる容器入口を備え、穀粒タンク内に供給される穀粒の一部を容器に貯留するので、穀粒タンク側に一時貯留部や移送部を設けたり、無人飛行体側に吸上手段を設けることが不要になる。
また、請求項7の発明によれば、一時貯留部を穀粒タンクの下部から上部まで移動させた後、無人飛行体と一時貯留部とを連結させるので、穀粒タンクから無人飛行体への穀粒の移載を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】第1実施形態を示すコンバインの要部及び無人飛行体の図であり、(a)は無人飛行体が着陸する前の状態を示す図、(b)は無人飛行体が着陸した状態を示す図である。
【
図6】穀粒空輸システムの制御構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態を示すコンバインの要部及び無人飛行体の図であり、(a)は無人飛行体が着陸する前の状態を示す図、(b)は無人飛行体が着陸した状態を示す図、(c)は無人飛行体が離陸した後を示す図である。
【
図8】第3実施形態を示すコンバインの要部及び無人飛行体の図であり、(a)は無人飛行体が着陸する前の状態を示す図、(b)は無人飛行体が着陸した状態を示す図である。
【
図9】第4実施形態を示すコンバインの要部及び無人飛行体の図であり、(a)は一時貯留部に穀粒を吸い上げている状態を示す図、(b)は無人飛行体が着陸する前の状態を示す図、(c)は無人飛行体が着陸した状態を示す図、(d)は無人飛行体が離陸した後を示す図である。
【
図10】第5実施形態を示すコンバインの要部及び無人飛行体の図であり、(a)は一時貯留部をタンク上部まで移動させている状態を示す図、(b)は無人飛行体が着陸する前の状態を示す図、(c)は無人飛行体が着陸した状態を示す図、(d)は無人飛行体が離陸した後を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1~
図3において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る刈取部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別された穀粒を貯留する穀粒タンク4と、穀粒タンク4内の穀粒を機外に搬出するオーガ5と、脱穀済の排稈を後処理する後処理部6と、オペレータが乗車する運転部7と、クローラ式の走行部1aと、を備える。
【0009】
脱穀部3は、刈取部2で刈り取った茎稈を脱穀部3に供給する脱穀フィードチェーン8と、脱穀済の排稈を脱穀フィードチェーン8から受け取って後処理部6に供給する排藁チェーン9と、脱穀フィードチェーン8で搬送される茎稈から穀粒を脱穀する扱室(図示せず)と、扱室から漏下する処理物を一番物と二番物に選別しつつ藁屑等の塵埃を機外に排出する選別室(図示せず)と、一番物を揚上搬送して穀粒タンク4内に投入する揚穀搬送装置10と、二番物を選別室の上流側又は扱室に還元する二番還元装置(図示せず)と、を備える。
【0010】
本実施形態のコンバイン1は、自動走行機能を有しており、オペレータが乗車しない無人走行による収穫作業が可能である。このような無人走行による収穫作業においては、作業始めに収穫した穀粒の品質を確認する場合、従来では、収穫作業を中断して作業管理者がコンバイン1まで行き、穀粒タンク4から穀粒を取り出す必要があるが、本実施形態では、
図4に示すような穀粒空輸システム100を構成することにより、ドローンなどの無人飛行体120を使い、コンバイン1から離れた場所でも穀粒タンク4内の穀粒を容易に入手可能となる。
【0011】
図4に示す穀粒空輸システム100は、コンバイン1及び無人飛行体120と、作業管理者が使用するスマートフォンなどの携帯端末140とを備える。例えば、後述する第1実施形態の場合は、携帯端末140から無人飛行体120に移動司令を送信すると、無人飛行体120が自動操縦によって基地(図示せず)からコンバイン1まで自動的に飛行し、コンバイン1の穀粒タンク4上に着陸する。また、この状態で携帯端末140から無人飛行体120に抽出司令を送信すると、無人飛行体120が穀粒タンク4内の穀粒を吸い上げる。その後、携帯端末140から無人飛行体120に帰還司令を送信すると、無人飛行体120が自動操縦によってコンバイン1の穀粒タンク4上から離陸して基地まで自動的に飛行し、基地に着陸する。
【0012】
これにより、コンバイン1から離れた場所でも穀粒タンク4内の穀粒を容易に入手することが可能となる。以下、このような穀粒空輸システム100を実現するコンバイン1、無人飛行体120及び携帯端末140の構成について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0013】
図5に示すように、コンバイン1は、穀粒タンク4の上部に設けられ、無人飛行体120が発着可能な発着部20と、穀粒タンク4内の穀粒を無人飛行体120に移載可能な穀粒移載部40とを備える。第1実施形態の穀粒移載部40は、穀粒タンク4の上部に設けられており、揚穀搬送装置10から穀粒タンク4内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部41と、発着部20に着陸した無人飛行体120が吸上管121を介して一時貯留部41内の穀粒を吸上げ可能とする吸上口42とを備える。
【0014】
具体的に説明すると、本実施形態の一時貯留部41は、
図5に示すように、穀粒タンク4の天井部に吊り下げ状に設けられた箱形状を有し、揚穀搬送装置10の穀粒投入口10aと対向する一側面に穀粒取入口43が形成され、上面部に吸上口42が開口されている。このような一時貯留部41によれば、揚穀搬送装置10から穀粒タンク4内に供給される穀粒の一部が穀粒取入口43を介して一時貯留部41内に貯留されるので、一時貯留部41に穀粒を貯留するための構成を簡略化できる。
【0015】
また、本実施形態の一時貯留部41は、天井部から垂下し、吸上口42と穀粒取入口43との間を仕切る仕切板44を備える。このような仕切板44によれば、揚穀搬送装置10から一時貯留部41内に投入される穀粒が無人飛行体120の吸上管121に直接当たることを防止できる。
【0016】
また、本実施形態の一時貯留部41は、底面部を開閉可能なシャッタ45と、シャッタ45を開閉動作させるモータ46とを備える。このようなシャッタ45によれば、一時貯留部41に一時貯留された穀粒を任意のタイミングで穀粒タンク4内に戻すことができる。また、無人飛行体120への穀粒の移載が不要なときは、シャッタ45を開放状態に維持することで、一時貯留部41への穀粒の一時貯留を中止できる。
【0017】
図6に示すように、コンバイン1は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどで構成される制御部11を備える。制御部11は、通信部12を介して無人飛行体120及び携帯端末140と相互に無線通信を行うことができる。また、制御部11の入力側には、コンバイン1の位置を検出するGPS13と、コンバイン1の機体姿勢を検出するIMU14と、収穫状況を検出する収量センサ15と、無人飛行体120の着陸を検出する着陸検出センサ16と、が接続される一方、出力側には、前述したモータ46の他に、無人飛行体120の接近などを報知可能な表示部17が接続されている。
【0018】
制御部11は、携帯端末140の移動司令を受信すると、コンバイン1の位置情報を無人飛行体120に随時送信するとともに、無人飛行体120の位置情報を随時受信する。また、制御部11は、シャッタ45を閉じて一時貯留部41に穀粒を一時貯留させる。
【0019】
制御部11は、着陸検出センサ16が無人飛行体120の着陸を検出したら、着陸確認信号を送信する。また、制御部11は、着陸検出センサ16が無人飛行体120の離陸を検出したら、離陸確認信号を送信するとともに、シャッタ45を開いて一時貯留部41内の穀粒を穀粒タンク4に戻す。
【0020】
無人飛行体120は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどで構成される制御部122を備える。制御部122は、通信部123を介してコンバイン1及び携帯端末140と相互に無線通信を行うことができる。また、制御部122の入力側には、無人飛行体120の位置を検出するGPS124と、無人飛行体120の機体姿勢を検出するIMU125と、無人飛行体120の高度を検出する高度計126と、穀粒タンク4から移載した穀粒の量を検出する穀粒センサSと、が接続される一方、出力側には、プロペラ127を回転駆動させるモータ128と、吸上管121を介して一時貯留部41内の穀粒を吸上げるポンプ129と、が接続されている。
【0021】
制御部122は、携帯端末140の移動司令を受信すると、コンバイン1の位置情報を無人飛行体120に随時受信しつつ、無人飛行体120の位置情報を随時送信するとともに、無人飛行体120を基地からコンバイン1まで飛行させ、コンバイン1の穀粒タンク4上(発着部20)に着陸させる。
【0022】
制御部122は、携帯端末140の抽出司令を受信すると、ポンプ129の駆動に基づいて一時貯留部41内の穀粒を無人飛行体120に吸い上げさせ、吸い上げた穀粒量が所定量に達したら、ポンプ129の駆動を停止させるとともに、吸上完了確認信号を送信する。その後、制御部122は、携帯端末140の帰還司令を受信すると、無人飛行体120をコンバイン1の穀粒タンク4上から離陸させた後、基地まで飛行させ、さらに基地に着陸させる。
【0023】
携帯端末140は、コンバイン1及び無人飛行体120と相互に無線通信可能な通信部141を備える。また、携帯端末140は、ハードウェアとソフトウェア(専用アプリ)との協働により実現される機能的な構成として。移動指令手段142、抽出司令手段143、帰還司令手段144及び状況表示手段145を備える。
【0024】
移動指令手段142は、ユーザによる移動司令操作に応じて、コンバイン1及び無人飛行体120に向けて移動指令を送信する。抽出司令手段143は、ユーザによる抽出司令操作に応じて、無人飛行体120に抽出司令を送信する。ただし、コンバイン1から着陸確認信号を受信していない場合は、ユーザによる抽出司令操作を規制する。帰還司令手段144は、ユーザによる帰還司令操作に応じて、無人飛行体120に帰還司令を送信する。状況表示手段145は、ユーザによる状況表示操作に応じて、無人飛行体120の状況(移動飛行中、着陸状態、穀粒抽出中、抽出完了、帰還飛行中、現在の飛行位置など)やコンバイン1の状況(現在の走行位置、収量情報など)を携帯端末140に表示させる。
【0025】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、収穫した穀粒を貯留する穀粒タンク4を備えるコンバイン1であって、穀粒タンク4の上部に設けられ、無人飛行体120が発着可能な発着部20と、穀粒タンク4内の穀粒を無人飛行体120に移載可能な穀粒移載部40と、を備えるので、無人飛行体120を使い、離れた場所でも穀粒タンク4内の穀粒を入手することが可能になる。
【0026】
また、穀粒移載部40は、穀粒タンク4の上部に設けられ、穀粒タンク4内に供給される穀粒を一時的に貯留する一時貯留部41と、発着部20に着陸した無人飛行体120が一時貯留部41内の穀粒を吸上げ可能とする吸上口42と、を備えるので、穀粒タンク4から無人飛行体120への穀粒の移載が容易になる。
【0027】
また、一時貯留部41は、穀粒取入口43を備え、穀粒タンク4内に供給される穀粒の一部が穀粒取入口43を介して一時貯留部41内に貯留されるので、一時貯留部41に穀粒を貯留するための構成を簡略化できる。
【0028】
つぎに、本発明の他の実施形態について、
図7~
図10を参照して説明する。ただし、前記第1実施形態との相違部分について説明し、前記第1実施形態と共通の構成については、前記第1実施形態と同じ符号を用いることで、前記第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0029】
図7に示すように、第2実施形態は、穀粒移載部40Bの一時貯留部41Bが穀粒タンク4Bに対して着脱自在である点と、発着部20Bに着陸した無人飛行体120Bと一時貯留部41Bとを連結させる連結部47を備える点が前記第1実施形態と相違している。そして、第2実施形態では、一時貯留部41Bが連結された状態で無人飛行体120Bの離陸を許容することで、無人飛行体120B側の穀粒吸上手段が不要となる。
【0030】
具体的に説明すると、第2実施形態の穀粒タンク4Bは、天井部に一時貯留部41Bを出し入れするための開口48を有し、該開口48はシャッタ49によって開閉可能となっている。
【0031】
一時貯留部41Bは、第1実施形態と同等の穀粒取入口43を備え、上方から開口48を介して穀粒タンク4内に挿入可能な貯留部本体50と、貯留部本体49の上端部から外方に延在し、穀粒タンク4Bの上面に当接して貯留部本体49の落下を規制するフランジ部50aと、を備える。
【0032】
連結部47は、例えば、一時貯留部41B側及び無人飛行体120B側に設けられ、互いに係脱可能なフック47a、47bで構成されるが、電磁石で構成してもよい。
【0033】
このような第2実施形態によれば、一時貯留部41Bに穀粒を一時貯留した後(
図7の(a)参照)、発着部20Bに着陸した無人飛行体120Bと一時貯留部41Bを連結させるだけで(
図7の(b)参照)、穀粒タンク4Bから無人飛行体120Bへの穀粒の移載が完了し、無人飛行体120Bを速やかに離陸させることが可能になる(
図7の(c)参照)。
【0034】
図8に示すように、第3実施形態は、無人飛行体120Cが穀粒を貯留可能な容器130を備える点と、穀粒移載部4Cが容器130を穀粒タンク4C内に入り込ませる容器入口51を備える点と、穀粒タンク4C内に供給される穀粒の一部が容器130に貯留される点が前記第1実施形態と相違している。このような第3実施形態によれば、穀粒タンク4C側に一時貯留部41、41Bを設けたり、無人飛行体120C側に穀粒吸上手段を設けることが不要になる。
【0035】
具体的に説明すると、第3実施形態の穀粒タンク4Cは、天井部に容器130を入り込ませるための容器入口51を有し、該容器入口51はシャッタ52によって開閉可能となっている。
【0036】
容器130は、容器入口51を介して穀粒タンク4C内に入り込んだとき、揚穀搬送装置10の穀粒投入口10aと対向する一側面に穀粒取入口130aを有する。これにより、容器130は、揚穀搬送装置10から穀粒タンク4C内に供給される穀粒の一部を穀粒取入口130aを介して容器130内に貯留することが可能になる。
【0037】
このような第3実施形態によれば、無人飛行体120Cが穀粒タンク4C上の発着部20Cに着陸する際、シャッタ52の開放動作により容器入口51を開口させ(
図8の(a)参照)、無人飛行体120Cの容器130を容器入口51を介して穀粒タンク4C内に入り込ませる(
図8の(b))。この状態で収穫作業を継続すると、揚穀搬送装置10から穀粒タンク4C内に供給される穀粒の一部が穀粒取入口130aを介して容器130内に貯留される。容器130内に十分な穀粒が貯留されたら(着陸後、所定時間経過したら)、無人飛行体120Cを離陸させ、基地に帰還させる。
【0038】
図9に示すように、第4実施形態は、穀粒移載部40Dの一時貯留部41Dが穀粒タンク4Dに対して着脱自在である点と、発着部20Dに着陸した無人飛行体120Dと一時貯留部41Dとを連結させる連結部47を備える点は、前記第2実施形態と同様であるが、穀粒タンク4D内に堆積する穀粒の一部を一時貯留部41Dまで移送する移送部を備える点が前記第2実施形態と相違している。このような第4実施形態によれば、一時貯留部41Dに穀粒を確実に貯留できる。
【0039】
移送部は、例えば、一時貯留部41Dに組み込まれる吸引装置53であり、穀粒タンク4D内に堆積する穀粒の一部を吸引チューブ53aを介して一時貯留部41Dまで吸い上げる。また、吸引装置53は、吸引チューブ53aを巻き上げや繰り出しを行う機能を備える。
【0040】
このような第4実施形態によれば、穀粒タンク4D内に堆積する穀粒の一部を吸引チューブ53aを介して一時貯留部41Dまで吸い上げた後(
図9の(a)参照)、吸引チューブ53aを巻き上げておく(
図9の(b)参照)。その後、発着部20Dに着陸した無人飛行体120Dと一時貯留部41Dを連結させるだけで(
図9の(c)参照)、穀粒タンク4Dから無人飛行体120Dへの穀粒の移載が完了し、無人飛行体120Dを速やかに離陸させることが可能になる(
図9の(d)参照)。
【0041】
図10に示すように、第5実施形態は、穀粒移載部40Eの一時貯留部41Eが穀粒タンク4Eに対して着脱自在である点と、発着部20Eに着陸した無人飛行体120Eと一時貯留部41Eとを連結させる連結部47を備える点は、前記第2及び第4実施形態と同様であるが、一時貯留部41Eが穀粒タンク4E内の下部で穀粒を一時貯留する点と、一時貯留部41Eを穀粒タンク4Eの下部から上部まで移動させる移動部を備える点が前記第2及び第4実施形態と相違している。このような第5実施形態であっても、一時貯留部41Eに穀粒を確実に貯留できる。
【0042】
移動部は、例えば、ワイヤ54aを介して一時貯留部41Eを吊持する巻上装置54であり、そのワイヤ巻上動作によって一時貯留部41Eを穀粒タンク4Eの下部から上部まで引き上げると、巻上装置54と一時貯留部41Eが一体化される。
【0043】
このような第5実施形態によれば、一時貯留部41Eを穀粒タンク4Eの下部に位置させて、穀粒タンク4E内に供給される穀粒の一部を一時貯留部41Eに貯留した後(
図10の(a)参照)、巻上装置54で一時貯留部41Eを引き上げて巻上装置54と一体化させる(
図10の(b)参照)。その後、発着部20Eに着陸した無人飛行体120Eと一時貯留部41Eを連結させるだけで(
図10の(c)参照)、穀粒タンク4Eから無人飛行体120Eへの穀粒の移載が完了し、無人飛行体120Eを速やかに離陸させることが可能になる(
図10の(d)参照)。
【符号の説明】
【0044】
1 コンバイン
4、4B~4E 穀粒タンク
10 揚穀搬送装置
11 制御部
12 通信部
13 GPS
14 IMU
15 収量センサ
16 着陸検出センサ
17 表示部
20、20B~20E 発着部
40、40B~40E 穀粒移載部
41、41B~41E 一時貯留部
42 吸上口
43 穀粒取入口
47 連結部
51 容器入口
53 吸引装置
54 巻上装置
120、120B~120E 無人飛行体
122 制御部
123 通信部
124 GPS
125 IMU
126 高度計
127 プロペラ
128 モータ
129 ポンプ
130 容器
130a 穀粒取入口
140 携帯端末
141 通信部
142 移動指令手段
143 抽出司令手段
144 帰還司令手段
145 状況表示手段