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特開2023-77368情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077368
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230529BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023899
(22)【出願日】2022-02-18
(62)【分割の表示】P 2021189775の分割
【原出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】516377348
【氏名又は名称】株式会社Arblet
(72)【発明者】
【氏名】清水 滉允
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成し、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する情報処理システム等を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る情報処理システムは、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理システムであって、前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する通知生成部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理システムであって、
前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する通知生成部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記ユーザのユーザ端末装置へ、前記血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を送信するデータ出力部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ユーザに関連付けられた者のユーザ端末装置へ、前記血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を送信するデータ出力部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記血糖値スパイク条件情報は、食事後の行動条件を含み、
前記通知生成部は、食事を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、前記ユーザが食事していた期間を示す食事期間情報を生成し、その後の期間において何らかの運動状態を示す行動情報が所定期間以内に開始されるかを判定し、当該判定の結果に基づき、運動を促す通知を生成する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記血糖値スパイク条件情報は、睡眠条件を含み、
前記通知生成部は、睡眠を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、前記ユーザが睡眠していた期間を示す睡眠期間情報を生成し、睡眠期間情報が所定の条件に合致するか判定し、当該判定の結果に基づき、睡眠を促す通知を生成する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記血糖値スパイク条件情報は、朝食条件を含み、
前記通知生成部は、食事を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、前記ユーザが食事していた期間を示す食事期間情報を生成し、当該食事期間情報が朝方を示す所定の時間帯に確認されるかを判定し、当該判定の結果に基づき、朝食をとるように促す通知を生成する、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記血糖値スパイク条件情報は、朝食条件を含み、
前記通知生成部は、食事を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、前記ユーザが食事していた期間を示す食事期間情報を生成し、当該食事期間情報と基準食事期間とを比較して食事期間の傾向を示す食事期間傾向情報を判定し、当該判定の結果に基づき、食事期間の傾向を変更するように促す通知を生成する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行うサーバであって、
前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する通知生成部と、を備える、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項9】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理方法であって、
生体データ生成部により、前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成するステップと、
通知生成部により、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成するステップと、を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理方法をコンピュータで実行するためのプログラムであって、
前記情報処理方法は、
生体データ生成部により、前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成するステップと、
通知生成部により、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成するステップと、を含む、
ことを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置から取得した血糖値情報に基づき、測定対象ユーザの血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血糖値の測定は、ユーザから血液を採取する侵襲測定方法によって行われていたが、血液採取を伴うために日常的に血糖値を測定して健康状態を把握するにはユーザの負担が大きかった。
【0003】
そこで、血糖値の測定を非侵襲で測定する方法が検討されている。例えば、特許文献1及び特許文献2においては、ユーザから測定した脈波情報に基づき血糖値を算出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6851664号公報
【特許文献2】特許第6544751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単に血糖値が測定されるだけではユーザが得られる利益は十分ではなく、特に日常的に装着する測定装置(例えば、いわゆるウェアラブル装置)で取得した膨大な経時的な血糖値情報の有効な利用方法については、さらなる検討が求められている。
【0006】
そこで、本開示では、測定装置から取得した測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成し、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する情報処理システム、サーバ、情報処理方法及びプログラムについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における情報処理システムは、ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理システムであって、前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する通知生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成することが可能になる。これにより、ユーザは、自分の行動について適切に把握することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システムを示すブロック構成図である。
図2図1の管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。
図3図2の記憶部120および制御部130の機能を例示したブロック図である。
図4図3の測定データに関連付けされるタグ情報の例を示す模式図である。
図5】本実施形態に係る心電波形及び脈波の例について説明するための図である。
図6図1の情報処理システム1の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態によるシステムは、以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理システムであって、
前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する通知生成部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
前記ユーザのユーザ端末装置へ、前記血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を送信するデータ出力部をさらに備える、
ことを特徴とする項目1に記載の情報処理システム。
[項目3]
前記ユーザに関連付けられた者のユーザ端末装置へ、前記血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を送信するデータ出力部をさらに備える、
ことを特徴とする項目1または2のいずれかに記載の情報処理システム。
[項目4]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行うサーバであって、
前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成する生体データ生成部と、
前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する通知生成部と、を備える、
ことを特徴とするサーバ。
[項目5]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理方法であって、
生体データ生成部により、前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成するステップと、
通知生成部により、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成するステップと、を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目6]
ネットワークを介してユーザが装着する測定装置から測定データを所定の周期で受信し、前記測定データから生体データ及び所定の通知の生成を行う情報処理方法をコンピュータで実行するためのプログラムであって、
前記情報処理方法は、
生体データ生成部により、前記測定データに基づき、少なくとも行動情報を含む前記生体データを生成するステップと、
通知生成部により、前記行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成するステップと、を含む、
ことを特徴とするプログラム。
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
<構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る情報処理システム1を示すブロック構成図である。この情報処理システム1は、例えば、ネットワークNWを介して測定装置300からユーザの測定データを管理サーバ100にて所定の周期的なタイミングで受信し、当該測定データに対して所定の演算を行うことで生体データを生成し、当該生体データに基づき所定の通知を生成するシステムである。
【0014】
情報処理システム1は、管理サーバ100と、ユーザ端末装置200と、測定装置300と、ネットワークNWと、を有している。管理サーバ100と、ユーザ端末装置200とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、ブロックチェーンネットワーク、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、BLE(Bluetooth Low Energy)等により構成される。
【0015】
管理サーバ100は、例えば、ネットワークを介して測定装置300からユーザの測定データを、ユーザ端末装置200を経由して所定の周期的なタイミングで受信して測定データから生体データへ演算を行う装置であり、例えば各種Webサービスを提供するサーバ装置により構成されている。
【0016】
ユーザ端末装置200は、所定のユーザが所持する、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ、携帯電話、PHS、PDA等の情報処理装置であり、例えば、管理サーバ100で演算を行った生体データを波形グラフ等により表示させたり、生体データに基づき生成された所定の通知(詳細は後述)を表示させたりなどをするために利用される。ユーザ端末装置200には、予めユーザの識別番号、生年月日、性別、身長、体重、歩幅等のユーザ情報が登録されており、生年月日から算出した年齢等も含めたユーザ情報を測定データに関連付けてネットワークNWを介して管理サーバ100へ送信する。
【0017】
また、ユーザ端末装置200は、ユーザが測定装置300によりデータを取得する状態を、タッチパネル等を用いて入力するようにしてもよい。ユーザ端末装置200は、「データを取得する状態」を、例えば、走っている場合には「ランニング中」、食事中である場合には「食事中」など、タグ情報として入力することができる。この場合、ユーザ端末装置200は、測定装置300から所定の周期的なタイミングで受信した測定データを、タグ情報と関連付けてネットワークNWを介して管理サーバ100へ送信する。
【0018】
測定装置300は、ユーザの生体データを測定する装置であり、ユーザが自己の手首や腕等の身体に装着して利用される、いわゆるウェアラブル装置である。この測定装置300は、既知の手法により、例えばユーザの心電、脈波、皮膚温度(体温)、加速度、角速度のデータを所定の周期的なタイミングで測定するための装置である。当該所定の周期は、予め設定されているものであってもよいし、ユーザが任意に設定可能であってもよい。より具体的には、例えば秒単位の時間的周期が設定されていてもよいし、周波数により同様に設定されていてもよい。
【0019】
測定装置300の具体的な構成の例としては、2つの電極を皮膚に接触させ、検出電位の差の時間変化より心電を心電波形のデータとして取得する装置で構成しても良く、心電波形は、ガルバニック皮膚反応により取得されたデータでも良い。また、緑、赤、赤外の発光を行うLEDから各光を皮膚に照射し、フォトダイオードで受光した光の強度の時間変化により、ユーザの心臓の心拍により生ずる血管の容積変化により脈波を脈波形のデータとして取得する装置で構成しても良く、この方式で検出を行うことができる脈波形は光電式容積脈波形である。また、ユーザの皮膚に接触させる温度センサによりユーザの皮膚温度をデータとして取得する装置で構成しても良い。また、直交するXYZ軸それぞれの変異状態を検出する3軸加速度センサにより構成しても良く、ユーザの動作を加速度データとして取得し、例えば測定装置300がユーザの手首や腕等に装着されている場合、測定装置300は、手首や腕等の振りと、全身の動きが合成された加速度として加速度データの取得をする。さらに、直行するXYZ軸それぞれにおける回転角速度を検出するジャイロセンサ(角速度センサ)により構成しても良く、ユーザの動作を角速度データとして取得し、例えば測定装置300がユーザの手首や腕等に装着されている場合、測定装置300は、手首や腕等の回転と、全身の動きが合成された角速度として角速度データの取得をする。
【0020】
ユーザ端末装置200と測定装置300との間は、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(Near Field radio Communication=NFC)、Afero(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)、又は無線LAN等を用いて接続されている。なお、このような無線接続の代わりに有線で接続を行っても良い。また、ユーザ端末装置200と測定装置300とは一体の機器であっても良く、例えば測定装置300にSIMを搭載するなどして通信機能を持たせたり、BLE(Bluetooth Low Energy)などにより管理サーバ100と直接通信可能に構成しても良い。
【0021】
ユーザ端末装置200は、1または複数台あり、測定装置300を利用するユーザ数分ネットワークNWに接続されている。測定装置300は、1または複数台あり、1人のユーザが利用する台数分のユーザ端末装置200に接続されている。1人のユーザが複数の測定装置300を利用している場合は、1つのユーザ端末装置200に複数の測定装置300が接続されている。
【0022】
<管理サーバ100>
図2は、管理サーバ100のハードウェア構成を示す図である。図3は、記憶部120および制御部130の機能を例示したブロック図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0023】
管理サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、入出力部140とを備える。これらの機能部は、管理サーバ100用の所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0024】
通信部110は、ユーザ端末装置200と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、図3に示されるように、記憶部120は、測定装置300による測定データをユーザ情報と関連付けて記憶する測定データDB121と、測定データから演算されて生成される生体データをユーザ情報と関連付けて記憶する生体データDB122と、ユーザ端末装置200へ送信される各種通知を記憶する通知情報DB123と、ユーザ識別番号を含むユーザ情報を記憶するユーザ情報DB124と、を記憶する。また、ユーザ情報は、データ管理部131により生成されたアカウント情報を含み、ユーザ情報DB124は、アカウント情報が他のユーザ情報と関連付けられて記憶するようにしてもよい。さらに、記憶部120は、ユーザ端末装置200と通信を行ったデータを一時的に記憶する。なお、DBのデータ構造は、これに限られるものではなく、上述のDBの一部をユーザ端末装置200または測定装置300に記憶するようにしてもよい。
【0026】
制御部130は、管理サーバ100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。また、図3に示されるように、制御部130は、データ管理部131、生体データ生成部132、通知生成部133、データ出力部134といった機能部を含む。
【0027】
データ管理部131は、測定装置300を利用するユーザごとに、アカウント情報を生成する。このアカウント情報生成は、測定装置300を利用するユーザがユーザ端末装置200でアカウント情報を登録すると行われる。そのため、データ管理部131は、ユーザのユーザ端末装置200や他の端末装置に対してアカウントごとに記憶部120内の各種DBへのアクセスの可否の制御を行う。データ管理部131は、測定データや生体データ等の各種データを対応するDBにユーザ情報に関連付けて記憶する。また、このとき、データ管理部131は、測定データに所定のタグ情報の関連付けを行って記憶させることが可能である。
【0028】
図4は、図3の測定データに関連付けされるタグ情報の例を示す模式図である。図4に示すデータD1は、測定装置300の測定データである。タグT1は、データD1に関連付けされたタグ情報であり、例えば、測定装置300がデータD1を測定した時刻情報、またはデータD1が測定装置300からユーザ端末装置200へ送信された時刻情報が時系列データとして記憶される。もしくは、測定した時刻情報と送信された時刻情報との両方について関連付けを行っても良い。例えば、図4に示すタグT1の1行目では、「20180620120746144」が格納されているが、2018年06月20日12時07分46秒144ミリ秒を示している。このような時刻情報は通信ログより取得可能である。これにより、測定データがどの時間帯のものか把握することが可能である。
【0029】
なお、このようなタグ情報による測定データ及び生体データの関連付けは、時刻情報に限られず、ユーザの体調状態や行動状態を示す身体情報や行動情報を自由記載で記入させてタグ情報として記憶しても良く、所定の選択肢から選択させ(例えば、「現在の体調は如何ですか?」という質問に対して、「1:良い、2:普通、3:悪い」のいずれかを選択させる、等)、その選択した回答を記憶するようにしても良い。または、ユーザが所定行動(例えば、坐位、立位、歩行、走行、睡眠、食事、運転、安静時など)をとった場合に、ユーザにより計測データや生体データのタグ情報として記録する(例えば、選択肢形式であったり、自由記載であったりする)ようにしてもよい。さらには、上述のユーザによる記録に代えて、または、併用して、例えば計測データや生体データ(例えば歩行速度情報や歩幅情報、装着部位の動作情報、姿勢情報、重心の位置情報、心拍情報など)に基づき、所定行動(例えば、坐位、立位、臥位、歩行、走行、睡眠、起床、就寝、食事、運転、安静時など)を既知の方法により推定するようにして生体データ等にタグ情報(行動情報)として関連付けてもよい。この時、例えば、教師用計測データに基づき学習された学習モデルにより推定してもよいし、さらに、上述のユーザによる記録の結果により追加学習を行うことで、学習モデルをパーソナライズしてもよい。これにより、制御部150にて生体データを生成する際に、当該タグ情報と生体データとを対応付けすることで、より精度の高い生体データを生成可能となると共に、それ自体も行動情報として用いることが可能となる。
【0030】
また、例えばデータ管理部131は、データD1をタグT1の時刻順に並べ替え(ソート)を行ったり、所定の身体情報や行動情報だけを抜き出したりなど、タグ情報に基づくデータ管理が可能である。
【0031】
生体データ生成部132は、測定データDB121に記憶された測定データに対して所定の演算を行い、生体データを生成する。この生体データは、測定データから算出可能なものであればどのような情報であってもよく、例えばユーザの血糖値情報、血圧情報、心拍情報、血中酸素量情報、最大酸素摂取量情報、心電情報、呼吸数、体温情報、歩数情報、歩幅情報、重心の位置情報、姿勢情報、ストレス情報、運動量情報、運動負荷情報、移動距離情報、移動速度情報、活動量情報、手または脚等の装着部位の動作情報などのデータであり、既知の手法により測定データから算出されるものである。演算により生成された生体データは、生体データDB122に記憶される。
【0032】
また、既知の学習器などにより、例えば測定データと、当該測定データに基づき生成された生体データ(例えば心拍情報や血圧情報など)と正の生体データ(例えば、既知の医療機器等に基づく心拍情報や血圧情報など)との対応関係(例えば、誤差の程度や範囲を示す情報などが含まれていてもよい)により対応付けた教師データを基に学習モデルを予め作成し、生体データ生成部132は、当該学習モデルを用いた判定を上述の所定の演算(解析)として生体データを生成してもよい。
【0033】
ここで、血圧情報の生成について詳述する。生体データ生成部132は、脈波伝搬時間演算部1321を含んで構成される。生体データ生成部132は、光電式容積脈波形データ(例えば、図5の脈波形データ等)から2階微分データの演算を行う。脈波伝搬時間演算部1321は、後述する心電情報中の波形プロファイルからR波とT波を検出し、又、光電式容積脈波形データ中の波形プロファイルからP波とD波を検出し、それらの情報に基づいて、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの演算を行う。また、生体データ生成部132は、演算される後述する2階微分データの基づく加速度脈波特性情報と、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAから、血圧情報の演算を行う。脈波伝搬時間演算部1321は、R波とT波を検出に当たって、光電式容積脈波形データの1階微分データや、2階微分データを用いてもよい。
【0034】
また、生体データ生成部132は、例えば、被測定者が装着している測定装置300に備えられた2つの電極を皮膚に接触させ、検出電位の差の時間変化より測定される心電波形データ(例えば、図5の心電波形データ等)におけるQRS波の間隔などから、心拍情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。
【0035】
図5は、測定装置300が測定した非測定者の心電波形及び光電式容積脈波形と、管理サーバ100が演算を行った速度脈波形及び加速度脈波形を示している。図5の上から順に、心電波形、光電式容積脈波形、速度脈波形及び加速度脈波形となる。縦軸は、各波形の強度を示しており、心電波形及び光電式容積脈波形は電位を示すmVで表される。横軸は時間経過を示し、左から右へ時間経過を示している。
【0036】
心電波形は、人の心臓の拍動を引き起こす電気的信号の周期的変化を示す波形である。心電波形は、その形状の変曲点にそれぞれP波,Q波,R波,S波,T波の名称が割り当てられ、心拍の1サイクルを示している。P波は心房収縮を表し、Q波R波S波は心室収縮の状態を表し、T波は心室拡張の開始を表す。
【0037】
光電式容積脈波形は、人の心臓の拍動に伴う末梢血管系内の血圧・体積の変化を示す波形である。光電式容積脈波形は、その形状の変曲点にそれぞれA波、P波、V波、D波の名称が割り当てられ、心拍の1サイクルを示している。A波を動脈脈波が生じた時点の基準点として、P波が左心室駆出によって生じるPercussion波(衝撃波)、V波が大動脈弁の閉鎖時に生じるValley波(重複隆起による波)、D波が反射振動波であるDicrotic波(重複波)を示している。
【0038】
速度脈波形は、光電式容積脈波形を時間で1階微分をしたものである。加速度脈波形は、速度脈波形を時間で1階微分したもの、すなわち光電式容積脈波形を2階微分したものである。加速度脈波形は、図5で示すように、その波形の各ピークにa波(収縮初期陽性波)、b波(収縮初期陰性波)、c波(収縮中期再上昇波)、d波(収縮後期再下降波)、e波(拡張初期陽性波)、f波(拡張初期陰性波)の名称が割り当てられている。b波の強度とa波の強度の比、及びf波の強度とe波の強度の比はそれぞれ血管の伸縮性すなわち弾性を示すパラメータである。主な血管の成分は、血管内皮(Endothelium)、弾性線維(Elastin)、タンパク質(Collagen)、平滑筋(Smooth Muscle)である。これら成分それぞれ異なった性質があり、最大血圧、最小血圧時の血管の弾性はそれぞれCollagen、Elastinが強い影響力を担っている。そのため、血圧値によって異なる弾性をb波の強度とa波の強度の比である(b/a),f波の強度とe波の強度の比である(f/e)のパラメータで示すことができ、年齢・性別・環境変数(気温など)の影響によってもこれらの値は変動する。そのため、(b/a),(f/e)の値は、加速度脈波形の特性情報として算出することができる。
【0039】
図5で示すようにR波の生じた時間TrとP波の生じた時間Tpの差分の時間が心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSとなる。T波の生じた時間TtとD波の生じた時間Tdの差分の時間が心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAとなる。すなわち、心電波形のR波の時間Tr及びT波の時間Ttと、光電式容積脈波形のT波の時間TpとD波の時間Tdから、(1)式及び(2)式で示すように、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAを算出することができる。
【0040】
PTT_SYS=Tp-Tr ・・・(1)
【0041】
PTT_DIA=Td-Tt ・・・(2)
【0042】
心電波形を測定する第1電極及び第2電極と、光電式容積脈波形の測定する光学センサモジュールを、手首を介して対向させ、配置距離を離すことにより、心電波形の検出部位と光電式容積脈波形の測定部位を離すことになる。そのため、それぞれの特徴波形が生じるタイムラグを生じさせることにより、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの絶対的な算出時間を長くとることができる。そのため、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化情報を得る場合に、変化情報の精度を高めることができる。
【0043】
ここで、血圧の算出式について説明する。
【0044】
以下に示す(3)式の脈波伝搬速度の式(Moens―Korteweg の式)より、脈波伝播速度と動脈壁の縦弾性係数との関係が示されている。
【0045】
L/T_PTT=√(E・h/(2・r・ρ)) ・・・(3)
【0046】
(3)式の各パラメータは、L:測定間距離、T_PTT:脈波伝搬時間、r:血管内径、E:血管の縦弾性係数、h:血管の厚さ、ρ:血液密度である。
【0047】
縦弾性係数と血圧値は相関関係にあることが知られており、
【0048】
E=E・exp(α・P) ・・・(4)
【0049】
で示すことができる。ここで、P:血圧値、α:定数、E:初期値である。
【0050】
(3)式と(4)式より
【0051】
P=(-2・ln(T_PTT)+ln(2・r・ρ・L/(E・h)))/α ・・・(5)
【0052】
を導き出すことができる。lnは自然対数を示している。このとき、”r・ρ”は測定部位の血液量に比例するため、光電式容積脈波形で示される高値(Vp、Vd)で示すことができる。又、”E・h”は血管の弾性に比例する値であるため、弾性を示すパラメータである(b/a)と(f/e)を用いて置き換えることができる。
【0053】
よって、最高血圧BP_SYS(Blood Pressure_Systolic)及び最低血圧BP_DIA(Blood Pressure_Diastolic)は、以下で示す(6)式及び(7)式で示すことができる。
【0054】
BP_SYS=A1・ln(PTT_SYS)+A2・ln(Vp)+A3・ln(b/a)+A4 ・・・(6)
【0055】
BP_DIA=A5・ln(PTT_DIA)+A6・ln(Vd)+A7・ln(f/e)+A8 ・・・(7)
【0056】
A1からA8は条件により定まる定数である。(6)式で算出することができる最高血圧BP_SYSは、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSの自然対数に定数A1を掛けたものと、P波の強度Vpの自然対数に定数A2を掛けたものと、(b/a)の自然対数に定数A3を掛けたものと、定数A4の和で求めることができる。(7)式で算出することができる最低血圧BP_SYSは、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_DIAの自然対数に定数A5を掛けたものと、D波の強度Vdの自然対数に定数A6を掛けたものと、(f/e)の自然対数に定数A7を掛けたものと、定数A8の和で求めることができる。装置の特性や、測定対象者等により各定数を求めることにより、最高血圧BP_SYSと最低血圧BP_DIAを求めることが可能である。しかし、最高血圧BP_SYSと最低血圧BP_DIAの変化状態を確認する場合には、すべての定数を確定する必要はなく、暫定の数値で代用しながら、最高血圧BP_SYSに関する情報と最低血圧BP_DIAに関する情報としての値を得ることが可能である。P波の強度Vpの自然対数及びD波の強度Vdの自然対数は、血液密度の影響を考慮した項である。また、(b/a)の自然対数及び(f/e)の自然対数は、動脈壁の縦弾性係数の影響を考慮した項である。そのため、測定条件によっては、いずれかの項を選択し他の項を定数化することで最高血圧BP_SYSに関する情報と最低血圧BP_DIAに関する情報の演算を行ってもよい。
【0057】
また、生体データ生成部132は、例えば被測定者が装着している測定装置300の温度センサ(サーミスタ等)により測定される被測定者の皮膚温度情報から温度情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。
【0058】
また、生体データ生成部132は、例えば被測定者が手首に装着している測定装置300により測定される加速度データの波形データから既知の算出方法等を単体で用いる、または、組み合わせて用いる(例えば平均化したり、重みづけしたりなど)ことにより歩行速度情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができ、例えば加速度データを所定時間ごとに積分することで歩行速度情報生体情報(生体生成情報)として得ることができる。
【0059】
また、生体データ生成部132は、例えば被測定者が手首に装着している測定装置300により測定される加速度データの波形データから既知の算出方法等を単体で用いる、または、組み合わせて用いる(例えば平均化したり、重みづけしたりなど)ことにより歩幅情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができ、例えば、歩く時には振り子のように手を振るため、上述の加速度センサの情報(例えば、進行方向の加速度成分が一番小さいタイミングまたは逆方向に切り替わるタイミングや、進行方向に対して垂直な方向の加速度成分が一番小さいタイミングまたは上下が切り替わるタイミングなど)を基に1歩の間隔が判別できるため、さらに時間情報を用いれば歩幅情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。他には、例えば、地面を蹴り出した際には、蹴り出た方向の加速度成分が合成されるので、当該方向の加速度成分の発生タイミングで1歩の間隔を判別することでも可能である。
【0060】
また、生体データ生成部132は、例えば被測定者が装着している測定装置300により測定される加速度データおよび角速度データから、測定装置300を装着している部位(例えば、手首や足首など)がどれくらいの速度でどのような角度で動いているのかという動作情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。
【0061】
また、生体データ生成部132は、例えば日常的に装着している測定装置300により測定される加速度データを周波数解析し、例えば周波数の高低が活動頻度の高低に対応付けられ、所定頻度以上の活動が1日の何割を占めているか、などの所定条件により算出することで活動量情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。
【0062】
また、生体データ生成部132は、例えば日常的に装着している測定装置300により測定される加速度データから既知の算出方法等により歩行を含む運動をしている際の加速度データを特定できるので、例えば周波数解析などを用いて所定の条件により算出することで運動量情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。また、角速度情報などの付加情報をさらに用いると、より正確な運動量情報を得ることが可能である。
【0063】
また、生体データ生成部132は、例えば日常的に装着している測定装置300により測定される加速度データから導出した上記活動量情報や上記運動量情報に対して、例えば運動負荷と共に大きくなる心拍情報により重みづけをすることで運動負荷量情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。また、例えば加速度データのベクトル情報を加味すれば、歩行環境(坂や階段など)や姿勢(立位、座位など)などの状態情報も特定できるので、当該状態情報をさらに用いてもよい。また、角速度情報などの付加情報をさらに用いると、より正確な運動負荷量情報を得ることが可能である。
【0064】
また、生体データ生成部132は、例えば心拍数情報を用いて、VOmax=15×(220-年齢)÷心拍数(特に安静時心拍数)という公知の数式などにより最大酸素摂取量情報を生体情報(生体生成情報)として得ることができる。
【0065】
また、既知の学習器などにより、例えば生体測定情報と、当該生体測定情報に基づき生成された生体生成情報(例えば心拍情報や血圧情報など)と正の生体情報(例えば、既知の医療機器に基づく心拍情報や血圧情報など)との対応関係(例えば、誤差の程度や範囲を示す情報などが含まれていてもよい)により対応付けた教師データを基に機械学習モデルを予め作成し、生体データ生成部132は、当該機械学習モデルを用いた判定を上述の所定の演算(解析)として生体情報を生成してもよい。
【0066】
ここで、食後に血糖値が急上昇、急低下を起こす状態である血糖値スパイクは、普段は正常な血糖値であるものの、頻発すると動脈硬化のリスクが高まるといわれている。しかしながら、ユーザが無意識に血糖値スパイクにつながる行動をとってしまっている可能性があり、これらの行動が早期にユーザに知らされることが望ましい。
【0067】
そこで、本実施の形態において、通知生成部133は、ユーザが日常的に装着している測定装置300により所定の周期的なタイミングで受信した測定データに基づき生成された行動情報を血糖値スパイク条件情報と比較し、当該比較の結果に応じて条件に該当する血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知(行動自体を抑制する旨を通知する注意通知やどのような行動をとるべきかを通知するアドバイス通知など)を生成する。ここでいう通知の生成は、何れの通知を出力データとするかを決定することを含み、例えば後述する条件に従ってどのような内容の通知を出力データとするかを通知情報DB123の各種通知の中から決定することを含む。以下、詳述する。
【0068】
血糖値スパイク条件情報は、例えば、食後に椅子から立ち上がらずに所定時間座っているかどうか(食後の行動条件)、所定時間以下(例えば6時間以下)の睡眠が所定の頻度(例えば週に3回など)であるかどうか(睡眠条件)、最大血圧及び最小血圧の少なくともいずれかが所定値以上の高血圧であるか(血圧条件)、朝食をとっているかどうか(朝食条件)、早食いせずにゆっくり食べているか(食事期間条件)、低GI食品を食べているか(GI条件)、といった条件を示す情報であり、各条件に対して基準値が、対応する行動情報や生体データとの比較対象として設定される。行動情報は、上述のとおり、例えば計測データや生体データ(例えば歩行速度情報や歩幅情報、装着部位の動作情報、姿勢情報、重心の位置情報、心拍情報などであって、特に手または脚等の装着部位の動作情報から得られるデータ)に基づき、所定行動(例えば、坐位、立位、臥位、歩行、走行、睡眠、起床、就寝、食事、運転、安静時など)を既知の方法により推定すればよく、より具体的には、教師用計測データや生体データに基づき学習された学習モデルにより推定してもよい。
【0069】
例えば、食事後の行動条件においては、通知生成部133は、「食事」を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、ユーザが食事していた期間を示す食事期間情報を生成し、その後の期間において何らかの運動状態を示す行動情報(例えば、立位、歩行、走行、活動情報、)が所定期間以内に開始されるかを判定してもよい。そして、判定結果にもとづき、運動を促す通知情報を血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知として生成してもよい。
【0070】
例えば、睡眠条件においては、通知生成部133は、「睡眠」を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、ユーザが睡眠していた期間を示す睡眠期間情報を生成し、睡眠期間情報が所定の条件(6時間以下の睡眠が週3回あるか)に合致するか判定してもよい。そして、判定結果にもとづき、条件を満たす程度に睡眠を促す通知情報を血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知として生成してもよい。
【0071】
例えば、朝食条件においては、通知生成部133は、「食事」を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、ユーザが食事していた期間を示す食事期間情報を生成し、当該食事期間情報が朝方を示す所定の時間帯に確認されるかを判定してもよい。そして、判定結果にもとづき、朝食をとるように促す通知情報を血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知として生成してもよい。
【0072】
例えば、食事期間条件においては、通知生成部133は、「食事」を示す行動情報が判定された期間情報に基づき、ユーザが食事していた期間を示す食事期間情報を生成してもよい。そして、例えば一以上の食事期間情報をアプリケーション上でユーザに示す構成とすることで自分の食事時間に関する傾向を客観的に把握することが可能となり、さらに通知生成部133により各食事期間情報と基準食事期間とを比較して、食事期間傾向情報(例えば、第1の基準食事期間より食事期間が短い場合には「早食い」、第1の基準食事期間より食事期間が長い場合には「ちょうどよい」、第1の基準食事期間よりも長い第2の基準食事期間より食事期間が長い場合には「遅食い」など)を生成してもよく、すなわち食事期間傾向情報を生成することで食事期間条件に合致しているかどうかを判定している。そして、判定結果にもとづき、食事期間傾向情報に対応する食事期間の変更に関する通知情報(例えば「早く食べないように気を付けましょう」といったアラート情報や「よく噛むように心がけましょう」といったアドバイス情報など)を血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知として生成してもよい。
【0073】
例えば、GI条件においては、血糖値の上昇傾向に対して、GI(glycemic index)値が高いほど上昇量が大きい傾向が知られていることを踏まえ、事前にGI値と血糖値上昇率(上昇量)との対応関係を記憶しておくことで、通知生成部133は、「食事」を示す行動情報に紐づく血糖値情報において、どれくらいのGI値が摂取されている可能性があるかを推定することでGI値条件に合致しているかどうかを判定してもよい。
【0074】
通知生成部133は、血糖値情報から所定のスパイク条件にしたがって血糖値スパイク情報を生成する。スパイク条件は、例えば、血糖値スパイクが、普段は正常な血糖値であるが、食事後に血糖値が大きく上昇し、上昇から下降に折り返すピーク値が食事後の所定時間後(例えば約1~2時間後)に現れ、さらに所定時間経過後(例えば、さらに約1~2時間後)に大きく下降することに着目し、例えば、スパイク条件は、血糖値情報が所定の基準値(例えば、140~160mg/dlの範囲のいずれかの数値など)を超えることであって、血糖値スパイク情報は、当該条件に合致したことが検出された回数の情報を含んでいてもよく、さらに基準値を超えた際の時間情報も含んでいてもよい。この条件に加えて、ノイズを排除するために、血糖値情報が所定の基準値を超えて所定期間経過後に再度基準値を下回ることであってもよい。また、糖尿病患者などの血糖値が高い人の場合には基準値のみでは誤判定する恐れがあるため、所定期間(例えば、1日や数日、1週間など)の平均値や、血糖値情報及び行動情報に基づき算出される睡眠期間の平均値や食事前の所定期間の平均値などの平均値情報に対する相対的な差分値の大きさが所定の基準値(50mg/dlなど)を超えることを条件としてもよいし、または、所定期間の血糖値情報の最小値から最大値までの傾き(各値の時間情報も考慮)が所定の基準値を超えることを条件としてもよい。そして、血糖値スパイク情報が示す血糖値スパイクの回数を、上述の通知と併せて通知してもよい。
【0075】
このように、血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を通知することが可能となる。
【0076】
なお、通知生成部133は、ユーザに代えて、または、加えて、ユーザに関連付けられた者にも通知を送信するようにしてもよい。ユーザに関連付けられた者は、例えばユーザ情報に関連付けられてユーザ情報DB124等にアカウント情報などの識別情報が記憶されており、他のユーザであれば特に限定はされないが、例えば親、子、親戚などの親族であったり、パートナー、介護者、補助者、医師などであってもよい。
【0077】
データ出力部134は、測定データや生体データ、所定の通知情報をユーザ端末装置200へ出力する。ユーザ端末装置200においては、出力データを例えば専用のアプリケーションを介して画面に表示するなどしてユーザが容易に確認可能としてもよい。
【0078】
入出力部140は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0079】
<処理の流れ>
図6を参照しながら、情報処理システム1が実行する情報処理方法の処理の流れについて説明する。図6は、図1の情報処理システム1の処理の例を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS101の処理として、データ管理部131では、測定装置300を利用するユーザごとにアカウント情報が生成され、ユーザ端末装置200等から所定のユーザ情報を取得する。登録されたユーザ情報は、データ管理部131により、ユーザ情報DB124に記憶される。ステップS101の処理は、ユーザが測定装置300を利用するための前処理として行われてもよいし、ユーザが測定装置300を初めて利用する際に行われてもよい。
【0081】
ステップS102の処理として、ユーザが測定装置300を利用すると、測定データが所定の周期で測定装置300からユーザ端末装置200を介して管理サーバ100へ送信され、通信部110を介して受信される。データ管理部131により、記憶部120の測定データDB121内においてユーザ情報に関連付けられて測定データが記憶される。
【0082】
ステップS103の処理として、生体データ生成部132により測定データが読み取られ、所定の演算等により生体データの生成が行われる。生成された生体データは、データ管理部131により、生体データDB122に記憶される。
【0083】
ステップS104の処理として、通知生成部133により生体データが読み取られ、所定の演算等により所定の通知(特に血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知)の生成が行われる。
【0084】
ステップS105の処理として、データ出力部134により生体データおよび/または所定の通知が読み取られ、ユーザ端末装置200へ出力される。
【0085】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理システムは、血糖値スパイクにつながる行動を減らさせる通知を生成する。これにより、ユーザは、自分の行動について適切に把握することが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0086】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 情報処理システム
100 管理サーバ
200 ユーザ端末装置
300 測定装置
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6