(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007739
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20230112BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L29/06 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110777
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】霜野 大保
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐一
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AV06
5F038BH18
5F038CA09
(57)【要約】
【課題】分離領域に生じる寄生トランジスタによるリーク電流を低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明は、P型半導体基板10に配置されたハイサイド回路領域18と、第1のN型ウェル11と、レベルシフトリサーフMOS19に配置された第2のN型ウェル12と、ハイサイド回路領域18とレベルシフトリサーフMOS19との間に位置し、かつ、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間をP半導体基板で分離する分離領域13と、分離領域13上に位置する絶縁層14と、絶縁層14上に配置され、第2のN型ウェル12に電気的に接続された配線15と、配線15の下に位置し、かつ、分離領域13のP半導体基板の表面側に配置されたP型領域16を有する半導体装置である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
平面視において前記半導体基板に配置されたハイサイド回路領域と、
前記半導体基板の表面側に配置され、前記ハイサイド回路領域に位置する第1の第2導電型ウェルと、
平面視において前記ハイサイド回路領域の外周に配置された高耐圧ターミネーション領域と、
平面視において前記高耐圧ターミネーション領域に位置するレベルシフトリサーフMOSと、
前記半導体基板の表面側に配置され、前記レベルシフトリサーフMOSに配置された第2の第2導電型ウェルと、
前記ハイサイド回路領域と前記レベルシフトリサーフMOSとの間に位置し、かつ、前記第1の第2導電型ウェルと前記第2の第2導電型ウェルとの間を前記第1導電型の半導体基板で分離する分離領域と、
前記第1の第2導電型ウェル、前記分離領域及び前記第2の第2導電型ウェルの上に位置する絶縁層と、
前記絶縁層上に配置され、前記第2の第2導電型ウェルに電気的に接続された配線と、
前記配線の下に位置し、かつ、前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板の表面側に配置された第1導電型領域と、を有し、
前記第1導電型領域は、前記第1の第2導電型ウェル及び前記第2の第2導電型ウェルそれぞれに対して前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板によって分離されており、
前記第1導電型領域の不純物濃度が、前記第1導電型の半導体基板の不純物濃度より高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1導電型領域の幅は、0.5μm以上4μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の第2導電型ウェルと第2の第2導電型ウェルとの間の距離は、17μm以上27μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、
前記第1導電型領域の深さは、0.5μm以上2.5μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、
前記絶縁層の厚さは、0.6μm以上2μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
第1導電型の半導体基板に、ハイサイド回路領域に位置する第1の第2導電型ウェル、及び、平面視において前記ハイサイド回路領域の外側に配置されるレベルシフトリサーフMOSに位置する第2の第2導電型ウェルを形成するとともに、平面視において前記ハイサイド回路領域と前記レベルシフトリサーフMOSとの間に位置し、かつ、前記第1の第2導電型ウェルと前記第2の第2導電型ウェルとの間を前記第1導電型の半導体基板で分離する分離領域を形成する工程(a)と、
前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板の表面側に、前記半導体基板より高い不純物濃度を有する第1の第1導電型領域を形成する工程(b)と、
前記第1の第2導電型ウェル、前記第1の第1導電型領域、前記分離領域及び前記第2の第2導電型ウェルの上に絶縁層を形成する工程(c)と、
前記絶縁層上に位置し、前記第2の第2導電型ウェルに電気的に接続された配線を形成する工程(d)と、を有し、
前記配線は、前記第1導電型領域の上に位置し、
前記第1導電型領域は、前記第1の第2導電型ウェル及び前記第2の第2導電型ウェルそれぞれに対して前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板によって分離されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記工程(b)は、前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板の表面側に前記第1導電型領域を形成すると同時に、前記第2の第2導電型ウェルに第1導電型不純物拡散層を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置では、レベルシフトリサーフMOSとハイサイド分離島(ハイサイド回路領域)を効率よくレイアウトする一例として、平面視においてハイサイド分離島の周囲に配置された高耐圧ターミネーション領域にレベルシフトリサーフMOSを配置し、ハイサイド分離島の一区域を分割してP型半導体基板の細い領域を介在させた分離領域によってハイサイド分離島からレベルシフトリサーフMOSを分離するレイアウト方法がある。そして、分離領域、ハイサイド分離島及びレベルシフトリサーフMOSの上には絶縁層が配置され、その絶縁層上には配線が配置されている。なお、これに関連する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
上記のようなレイアウト方法では、チップ面積を小さくしようとすると、ハイサイド分離島とレベルシフトリサーフMOSとの間の分離領域(P型半導体基板の細い領域)を狭くすること(高電圧動作時に完全空乏化すること)が必要となる。
【0004】
しかし、分離領域を狭くすると、レベルシフトリサーフMOSのドレイン領域(N型ウェル)とハイサイド分離島のN型領域との間に介在するP型半導体基板の領域(分離領域)に、その領域上に絶縁層を介して存在する配線に高電圧が印加されることで、反転層が形成されてリーク電流が流れる可能性がある。特にハイサイド分離島の電圧が低く、分離領域の空乏化が不完全な場合に、レベルシフトリサーフMOSとハイサイド分離島を分離する分離領域において寄生トランジスタによるリーク電流が発生する可能性がある。
【0005】
そこで、寄生トランジスタによるリーク電流を低減するためには、その分離領域の濃度を濃くする必要があるが、そうするとハイサイド分離島およびレベルシフトリサーフMOSの耐圧が低下してしまい、その結果、所望の電圧で使用できなくなるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-170733号公報
【特許文献2】特開平9-283716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の種々の態様は、レベルシフトリサーフMOSとハイサイド分離島の耐圧を低下させることなく、また分離距離を広げることなく、分離領域に生じる寄生トランジスタによるリーク電流を低減できる半導体装置を提供することを目的とする。
また、本発明の種々の態様は、製造工程を増やすことなく、分離領域に生じる寄生トランジスタによるリーク電流を低減できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0009】
[1]第1導電型の半導体基板と、
平面視において前記半導体基板に配置されたハイサイド回路領域と、
前記半導体基板の表面側に配置され、前記ハイサイド回路領域に位置する第1の第2導電型ウェルと、
平面視において前記ハイサイド回路領域の外周に配置された高耐圧ターミネーション領域と、
平面視において前記高耐圧ターミネーション領域に位置するレベルシフトリサーフMOSと、
前記半導体基板の表面側に配置され、前記レベルシフトリサーフMOSに配置された第2の第2導電型ウェルと、
前記ハイサイド回路領域と前記レベルシフトリサーフMOSとの間に位置し、かつ、前記第1の第2導電型ウェルと前記第2の第2導電型ウェルとの間を前記第1導電型の半導体基板で分離する分離領域と、
前記第1の第2導電型ウェル、前記分離領域及び前記第2の第2導電型ウェルの上に位置する絶縁層と、
前記絶縁層上に配置され、前記第2の第2導電型ウェルに電気的に接続された配線と、
前記配線の下に位置し、かつ、前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板の表面側に配置された第1導電型領域と、を有し、
前記第1導電型領域は、前記第1の第2導電型ウェル及び前記第2の第2導電型ウェルそれぞれに対して前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板によって分離されており、
前記第1導電型領域の不純物濃度が、前記第1導電型の半導体基板の不純物濃度より高いことを特徴とする半導体装置。
【0010】
[2]上記[1]において、
前記第1導電型領域の幅は、0.5μm以上4μm以下(好ましくは1.5μm以上4μm以下)であることを特徴とする半導体装置。
【0011】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記第1の第2導電型ウェルと第2の第2導電型ウェルとの間の距離は、17μm以上27μm以下(好ましくは20μm以上27μm以下)であることを特徴とする半導体装置。
【0012】
[4]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記第1導電型領域の深さは、0.5μm以上2.5μm以下であることを特徴とする半導体装置。
【0013】
[5]上記[1]から[4]のいずれか一項において、
前記絶縁層の厚さは、0.6μm以上2μm以下(好ましくは0.85μm以上2μm以下)であることを特徴とする半導体装置。
【0014】
[6]第1導電型の半導体基板に、ハイサイド回路領域に位置する第1の第2導電型ウェル、及び、平面視において前記ハイサイド回路領域の外側に配置されるレベルシフトリサーフMOSに位置する第2の第2導電型ウェルを形成するとともに、平面視において前記ハイサイド回路領域と前記レベルシフトリサーフMOSとの間に位置し、かつ、前記第1の第2導電型ウェルと前記第2の第2導電型ウェルとの間を前記第1導電型の半導体基板で分離する分離領域を形成する工程(a)と、
前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板の表面側に、前記半導体基板より高い不純物濃度を有する第1の第1導電型領域を形成する工程(b)と、
前記第1の第2導電型ウェル、前記第1の第1導電型領域、前記分離領域及び前記第2の第2導電型ウェルの上に絶縁層を形成する工程(c)と、
前記絶縁層上に位置し、前記第2の第2導電型ウェルに電気的に接続された配線を形成する工程(d)と、を有し、
前記配線は、前記第1導電型領域の上に位置し、
前記第1導電型領域は、前記第1の第2導電型ウェル及び前記第2の第2導電型ウェルそれぞれに対して前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板によって分離されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0015】
[7]上記[6]において、
前記工程(b)は、前記分離領域の前記第1導電型の半導体基板の表面側に前記第1導電型領域を形成すると同時に、前記第2の第2導電型ウェルに第1導電型不純物拡散層を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の種々の態様によれば、レベルシフトリサーフMOSとハイサイド分離島の耐圧を低下させることなく、また分離距離を広げることなく、分離領域に生じる寄生トランジスタによるリーク電流を低減できる半導体装置を提供することができる。
また、本発明の種々の態様によれば、製造工程を増やすことなく、分離領域に生じる寄生トランジスタによるリーク電流を低減できる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図2】
図1に示すA-A'を切断した断面図である。
【
図3】
図2に示す半導体装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図である。
図2は、
図1に示すA-A'を切断した断面図である。
【0020】
図2に示すように、この半導体装置は第1導電型の半導体基板(Psub)10を有している。第1導電型は例えばP型であり、この半導体基板はP型半導体基板10である。
【0021】
図1に示すように、平面視においてP型半導体基板(
図2に示すP型半導体基板10に相当)にはハイサイド回路領域(ハイサイド分離島)18が形成されている。
また、
図1に示すように、平面視においてハイサイド回路領域(ハイサイド分離島)18の外周には高耐圧ターミネーション領域20が配置されている。この高耐圧ターミネーション領域20の外側には図示せぬローサイド回路領域(ローサイド回路エリア)が配置されている。また、平面視において高耐圧ターミネーション領域20にはレベルシフトリサーフMOS19が配置されている。
【0022】
図1に示すように、レベルシフトリサーフMOS19は、分離領域13によってハイサイド分離島18から分離されている。この分離領域13は、ハイサイド分離島18の一区域を分割したP型半導体基板10の細い領域を有している(
図2参照)。
【0023】
図2に示すように、P型半導体基板10の表面側にはハイサイド回路領域18に位置する第1の第2導電型ウェル11が配置されている。第2導電型は例えばN型であり、このウェルは第1のN型ウェル11である。第1のN型ウェル11の表面側にはN型コンタクト層31が形成されている。
【0024】
レベルシフトリサーフMOS19には、
図2に示すようにP型半導体基板10の表面側に位置する第2の第2導電型ウェル12が配置されている。この第2導電型ウェルは第2のN型ウェル12である。
【0025】
図1に示すように、ハイサイド回路領域18とレベルシフトリサーフMOS19との間には分離領域13が形成されている。この分離領域13は、
図2に示すように、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間に位置し、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12をP型半導体基板10で分離するための領域である。
【0026】
図2に示すように、第2のN型ウェル12の表面側にはP型不純物拡散層(「第1導電型不純物拡散層」ともいう)17及びP型ウェル35が形成されている。P型ウェル35の表面側には第1のP型不純物拡散層22が形成されており、この第1のP型不純物拡散層22上にはゲート絶縁膜25が形成されている。このゲート絶縁膜25上にはゲート電極26が形成されている。
【0027】
また、第1のP型不純物拡散層22の表面側にはN型ソース拡散層23及び第2のP型不純物拡散層27が形成されており、第2のP型不純物拡散層27はN型ソース拡散層23と隣接して配置されている。N型ソース拡散層23及び第2のP型不純物拡散層27の上にはバックゲート電極24が形成されている。
【0028】
また、第2のN型ウェル12の表面側にはN型ドレインコンタクト層28が形成されており、N型ドレインコンタクト層28とP型ウェル35との間にはP型不純物拡散層17が位置している。N型ドレインコンタクト層28上にはドレイン配線30が形成されており、ドレイン配線30はN型ドレインコンタクト層28および配線15と電気的に接続されている。
【0029】
また、P型不純物拡散層17、第2のN型ウェル12及び第1のN型ウェル11の上にはN型不純物拡散層29が形成されており、N型不純物拡散層29はN型ドレインコンタクト層28と隣接して配置されている。またN型不純物拡散層29は第1のN型ウェル11の上にも形成されている。またN型不純物拡散層29は分離領域13のP型半導体基板10まで突き出している。
【0030】
このN型不純物拡散層29は、ドリフト部分の表面電界を均一化させるための所謂(トリプル)リサーフ構造を構成する層である。
【0031】
図2に示すように、第1のN型ウェル11、分離領域13及び第2のN型ウェル12の上には絶縁層14が形成されている。
【0032】
絶縁層14上には配線15が形成されており、この配線15は第2のN型ウェル12に電気的に接続されている。
【0033】
配線15は分離領域13の表面の安定化を目的とする。つまり、絶縁層14上に配線15を形成することで、不純物濃度の小さい分離領域13に影響を及ぼす、外部電界や荷電粒子の影響を防止し、特性を安定化し、経時変化を抑制することができる。
【0034】
絶縁層14上には配線21が形成されており、この配線21はN型ドレインコンタクト層28を介して第2のN型ウェル12に電気的に接続されている。この配線21は、
図2の紙面に対して垂直な方向に延び、リングを形成しており、ドリフト部の電界を均一にさせることを目的とする。つまり、絶縁層14上に配線21を形成することで、リサーフMOSの耐圧を安定化させることができる。
【0035】
分離領域13のP型半導体基板(Psub)10の表面側には第1導電型領域16が形成されており、この第1導電型領域はP型領域16である。このP型領域16は配線15の下に位置している。
【0036】
P型領域16は、第1のN型ウェル11及び第2のN型ウェル12それぞれに対して分離領域13のP型半導体基板(Psub)10によって分離されている。別言すれば、P型領域16と第1のN型ウェル11との間にはP型半導体基板10が存在し、P型領域16と第2のN型ウェル12との間にはP型半導体基板10が存在する。そのため、P型領域16は第1のN型ウェル11及び第2のN型ウェル12それぞれから分離されている。
【0037】
P型領域16の不純物濃度は、P型半導体基板10の不純物濃度より高い(
図2参照)。これにより、チップ面積を大きくすることなく、寄生トランジスタによるリーク電流を減らすことができる。
【0038】
本実施形態によれば、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間をP型半導体基板10で分離する分離領域13を形成し、この分離領域13のP型半導体基板10の表面側にP型領域16を形成している。これにより、絶縁層14上に位置し、かつ第2のN型ウェル12に電気的に接続された配線15に高電圧がかかっても、P型領域16が反転防止層として機能するため、
図2に示す分離領域13における寄生トランジスタによるリーク電流を低減することができる。別言すれば、レベルシフトリサーフMOS19とハイサイド分離島18との分離距離を狭くしてチップ面積を小さくしても上記寄生トランジスタによるリーク電流を抑制できる。従って、チップ面積を大きくすることなく、寄生トランジスタによるリーク電流を減らすことができる。
【0039】
換言すれば、P型領域16が無い分離領域13の場合、レベルシフトリサーフMOS19とハイサイド分離島18との分離距離を狭くすると、絶縁層14上の配線15に高電圧がかかった時に、分離領域13における寄生トランジスタによるリーク電流が増大するのに対し、レベルシフトリサーフMOS19とハイサイド分離島18との間の分離領域13にP型領域16を形成することにより、その分離距離を狭くしても、絶縁層14上の配線15に高電圧がかかった時に、分離領域13における寄生トランジスタによるリーク電流を低減することができる。従って、チップ面積を大きくすることなく、寄生トランジスタによるリーク電流を減らすことができる。
【0040】
また、P型領域16の幅Cは、0.5μm以上4μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以上4μm以下である。これにより、電源電圧Vccが20V~26Vで、ハイサイド駆動電圧600V~1200V程度の耐圧が得られ、チップ面積を大きくすることなく、分離領域において寄生トランジスタによるリーク電流を低減しやすくなる。つまり、レベルシフトリサーフの耐圧を保ちつつ、リーク発生電位差を大きく改善することができる。
【0041】
第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間の距離Bは、17μm以上27μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以上27μm以下である。これにより、チップ面積を大きくすることなく、分離領域において寄生トランジスタによるリーク電流を低減しやすくなる。つまり、レベルシフトリサーフの耐圧を保ちつつ、リーク発生電位差を大きく改善することができる。
【0042】
また、P型領域16の深さは、0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。これにより、チップ面積を大きくすることなく、分離領域において寄生トランジスタによるリーク電流を低減しやすくなる。
【0043】
絶縁層14の厚さは、0.6μm以上2μm以下であるとよく、好ましくは0.85μm以上2μm以下である。
【0044】
以下に、上記の半導体装置の製造方法について説明する。この半導体装置の製造方法は、工程(a)から工程(d)を有する。
【0045】
まず、工程(a)について説明する。
図1及び
図2に示すように、第1導電型の半導体基板(Psub)であるP型半導体基板10に、第1のN型ウェル11及び第2のN型ウェル12を形成する。これにより、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間に分離領域13が形成される。この分離領域13は、その分離領域に位置するP型半導体基板10によってハイサイド分離島18とレベルシフトリサーフMOS19とを分離する領域である。即ち、分離領域13は、ハイサイド分離島18とレベルシフトリサーフMOS19との間に位置し、かつ、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間をP型半導体基板10により分離する領域である。
【0046】
なお、第1のN型ウェル11は、ハイサイド回路領域(ハイサイド分離島)18に位置する第1の第2導電型ウェルである。また、第2のN型ウェル12は、第2の第2導電型ウェルであって、ハイサイド分離島18の外側に配置されるレベルシフトリサーフMOS19に位置している。
【0047】
また、P型半導体基板10に第1のN型ウェル11及び第2のN型ウェル12を形成する前に、P型半導体基板10に第3のN型ウェル33を形成する。第3のN型ウェル33は第1のN型ウェル11の下に位置する。
【0048】
また、P型半導体基板10に第1のN型ウェル11及び第2のN型ウェル12と同時に、P型半導体基板10に第3のN型ウェル33を形成する。第3のN型ウェル33は第1のN型ウェル11と重複させて形成する。つまり、第1及び第2のN型ウェル11、12が同じ工程で不純物イオンが導入され、その後の工程で第3のN型ウェル33に不純物イオンが導入され、その後、熱拡散により第1から第3のN型ウェルが形成される。
【0049】
次に、工程(b)について説明する。
分離領域13のP型半導体基板10の表面側に、P型半導体基板10より高い不純物濃度を有する第1の第1導電型領域(「P型領域」ともいう)16を形成する。なお、P型半導体基板10の不純物濃度は、1×1014/cm3以上2×1014/cm3以下であるとよく、P型領域16の不純物濃度は、2.3×1016/cm3以上2.8×1016/cm3以下であるとよい。
【0050】
次に、工程(c)について説明する。
第1のN型ウェル11、P型領域16、分離領域13及び第2のN型ウェル12の上に絶縁層14を形成する。なお、第1のN型ウェル11の不純物濃度は、7.5×1016/cm3以上8.5×1016/cm3以下であるとよく、第2のN型ウェル12の不純物濃度は、9.5×1015/cm3以上1.05×1016/cm3以下であるとよい。
【0051】
工程(b)と工程(c)との間には次の工程を有するとよい。
P型ウェル35の表面側に第1のP型不純物拡散層22を形成する。次いで、P型不純物拡散層17、第2のN型ウェル12及び第1のN型ウェル11の上にN型不純物拡散層29を形成する。
【0052】
次に、第1のP型不純物拡散層22の表面側にN型ソース拡散層23を形成する。また、第1のP型不純物拡散層22の表面側に第2のP型不純物拡散層27を形成する。また、第2のN型ウェル12の表面側にN型ドレインコンタクト層28を形成する。また、第1のN型ウェル11の表面側にN型コンタクト層31を形成する。
【0053】
次に、第1のP型不純物拡散層22上にゲート絶縁膜25を形成する。
【0054】
次に、工程(d)について説明する。
絶縁層14上に配線15を形成する。この配線15は、第2のN型ウェル12に電気的に接続される。この配線15は、P型領域16の上に位置している。
【0055】
詳細には、工程(d)は、ゲート絶縁膜25上にゲート電極26を形成するとともに、絶縁層14上に配線15及び配線21を形成するとよい。
【0056】
次に、配線15、配線21、ゲート電極26及び絶縁層14の上に絶縁層50を形成する。
【0057】
次いで、この絶縁層50上にドレイン配線30を形成するとともに、N型ソース拡散層23及び第2のP型不純物拡散層27の上にバックゲート電極24を形成する。
【0058】
上記の製造方法によって製造された半導体装置は、P型領域16が、第1のN型ウェル11及び第2のN型ウェル12それぞれに対して分離領域13のP型半導体基板10によって分離されている。
【0059】
本実施形態によれば、第1のN型ウェル11と第2のN型ウェル12との間をP型半導体基板10で分離する分離領域13を形成し、この分離領域13のP型半導体基板10の表面側にP型領域16を形成している。これにより、絶縁層14上に位置し、かつ第2のN型ウェル12に電気的に接続された配線15に高電圧がかかっても、
図2に示す分離領域13における寄生トランジスタによるリーク電流を低減することができる。別言すれば、レベルシフトリサーフMOS19とハイサイド分離島18との分離距離を狭くしてチップ面積を小さくしても上記寄生トランジスタによるリーク電流を抑制できる。従って、チップ面積を大きくすることなく、寄生トランジスタによるリーク電流を減らすことができる。
【0060】
また、前記工程(b)は、
図2に示すように、分離領域13のP型半導体基板10の表面側にP型領域16を形成すると同時に、第2のN型ウェル12に第1導電型不純物拡散層(「P型不純物拡散層」ともいう)17を形成する工程であるとよい。このようにすることで、レジストマスクを増やすことなく、P型領域(P型不純物拡散層)16を形成することができ、製造コストの増大を抑制できる。
【0061】
つまり、P型不純物拡散層17は従来の半導体装置においても形成している不純物拡散層であるため、そのP型不純物拡散層17を形成するためのレジストマスクを用いてP型不純物拡散層16を形成すれば、新たにレジストマスクを追加する必要がなくなり、レジストマスクを増やすことなく、P型不純物拡散層16を形成することが可能となる。その結果、コストの増加を抑制できる。なお、P型不純物拡散層17の不純物濃度は、1.4×1016/cm3以上1.6×1016/cm3以下であるとよい。
【0062】
また、上記の工程(b)は、
図2に示すように、分離領域13のP型半導体基板10の表面側にP型領域16を形成すると同時に、第2のN型ウェル12にP型不純物拡散層17及びP型ウェル35を形成する工程であってもよい。
【0063】
図3は、
図2に示す半導体装置の変形例であり、
図2と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図3に示す半導体装置は、
図2に示す半導体装置からN型不純物拡散層29を削除したものである。また、P型不純物拡散層17は、所謂ダブルリサーフ構造を構成する層である。
【0065】
図3に示す変形例においても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 第1導電型の半導体基板(P型半導体基板,Psub)
11 第1の第2導電型ウェル(第1のN型ウェル)
12 第2の第2導電型ウェル(第2のN型ウェル)
13 分離領域
14 絶縁層
15 配線
16 第1導電型領域(P型領域)
17 第1導電型不純物拡散層(P型不純物拡散層)
18 ハイサイド回路領域(ハイサイド分離島)
19 レベルシフトリサーフMOS
20 高耐圧ターミネーション領域
B 第1の第2導電型ウェルと第2の第2導電型ウェルとの間の距離(第1のN型ウェルと第2のN型ウェルとの間の距離)
C 第1導電型領域の幅(P型領域の幅)