(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077394
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165991
(22)【出願日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0163372
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨー ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュン イェオル
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、クワン エウン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウー キュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】曲げ強度特性と耐湿信頼性が向上した積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品において、外部電極130、140は、導電性物質を含む一次電極層131、141、一次電極層131、141上に配置され、Niを含む二次電極層132、142、二次電極層131、142上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層133、143及び三次電極層133、143上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層134、144を含み、一次電極層の標準還元電位をE1、二次電極層の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たす。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面に連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の前記第3面上に配置される第1外部電極と、
前記第4面上に配置される第2外部電極と、を含み、
前記第1外部電極及び第2外部電極は、
前記第3面及び第4面上に配置され、導電性物質を含む一次電極層、
前記一次電極層上に配置され、Niを含む二次電極層、
前記二次電極層上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層、及び
前記三次電極層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含み、
前記一次電極層の標準還元電位をE1、前記二次電極層の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記一次電極層に含まれる導電性物質は、Cu及びCu-Ni合金のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記一次電極層に含まれる導電性物質は、Ag及びAg-Ni合金のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記一次電極層はガラスをさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記Ni-Sn合金は、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4またはこれらの混合物である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記導電性樹脂層は、前記本体の第1面及び第2面上の一部まで延長して配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記導電性金属はSnを含み、前記樹脂はエポキシ樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記導電性金属は、Sn以外にもAg、Cu及びNiのうち少なくともいずれか1つを含む、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面に連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の前記第3面上に配置される第1外部電極と、
前記第4面上に配置される第2外部電極と、を含み、
前記第1外部電極及び第2外部電極は、
前記第3面及び第4面上に配置され、且つ前記第1方向に離隔して配置され、前記第1内部電極または第2内部電極と接触し、導電性物質を含む複数の一次電極層と、
前記複数の一次電極層上に配置され、Niを含む二次電極層と、
前記二次電極層上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層と、
前記三次電極層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、
前記複数の一次電極層の標準還元電位をE1、前記二次電極層の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たす、積層型電子部品。
【請求項10】
前記複数の一次電極層に含まれる前記導電性物質は、Cu及びCu-Ni合金のうち1つ以上を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記複数の一次電極層に含まれる前記導電性物質は、Ag及びAg-Ni合金のうち1つ以上を含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記複数の一次電極層はガラスをさらに含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記Ni-Sn合金は、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4またはこれらの混合物である、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記導電性樹脂層は、前記本体の第1面及び第2面上の一部まで延長して配置される、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記導電性金属はSnを含み、前記樹脂はエポキシ樹脂を含む、請求項9から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記導電性金属は、Sn以外にもAg、Cu及びNiのうち少なくともいずれか1つを含む、請求項15に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器が小型化、高出力化されるにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
また、最近、自動車用電装部品に対する業界の関心が高まっており、積層セラミックキャパシタも自動車あるいはインフォテインメントシステムに使用されるために高信頼性及び高強度特性が求められている。
【0005】
一方、基板に実装される積層セラミックキャパシタの場合、曲げ応力に対する耐性を向上させるために、外部電極を導電性金属を含む樹脂を用いて形成することがある。これにより、熱的及び機械的ストレスを樹脂の延性を利用して減少させることができ、基板の曲げなどによるクラックを予防することができる。
【0006】
しかし、外部電極が樹脂を含む場合、樹脂の高い水分透過度により耐湿信頼性が弱くなる可能性がある。これを防止するために、従来は、Niを含む内部電極とNiを含む外部電極とが本体の表面で接し、Niを含む外部電極上にNi-Sn合金層とSn導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層とが順に存在する構造を導入した。
【0007】
しかし、従来のような構造では、外部衝撃によるクラックが発生する場合、外部電極の最も内側に位置するNi外部電極がSnの代わりに腐食して内部電極の露出不良が発生する可能性がある。したがって、曲げ応力に対する耐性を向上させながらも、クラックが発生した場合、内部電極の露出不良を防止することができる積層セラミックキャパシタが必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、曲げ強度特性が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、耐湿信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0010】
本発明のいくつかの目的の一つは、内部電極と外部電極が接する部分の腐食の危険性を改善することである。
【0011】
ただし、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面に連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の上記第3面上に配置される第1外部電極と、上記第4面上に配置される第2外部電極と、を含み、上記第1外部電極及び第2外部電極は、上記第3面及び第4面上に配置され、導電性物質を含む一次電極層、上記一次電極層上に配置され、Niを含む二次電極層、上記二次電極層上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層、及び上記三次電極層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含み、上記一次電極層の標準還元電位をE1、上記二次電極層の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たすことができる。
【0013】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面に連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の上記第3面上に配置される第1外部電極と、上記第4面上に配置される第2外部電極と、を含み、上記第1外部電極及び第2外部電極は、上記第3面及び第4面上に配置され、且つ上記第1方向に離隔して配置され、上記第1内部電極または上記第2内部電極と接触し、導電性物質を含む複数の一次電極層と、上記複数の一次電極層上に配置され、Niを含む二次電極層と、上記二次電極層上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層と、上記三次電極層上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層とを含み、上記複数の一次電極層の標準還元電位をE1、上記二次電極層の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のいくつかの効果の一つは、外部から積層型電子部品の内部への水分浸透を抑制して耐湿信頼性を向上させることである。
【0015】
本発明のいくつかの効果の一つは、導電性樹脂層の延性を利用して曲げ応力に対する耐性を向上させることである。
【0016】
本発明のいくつかの効果の一つは、曲げ応力によるクラックが発生した場合でも、内部電極と外部電極が接する部分の腐食危険性を改善することである。
【0017】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図5】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図6】
図5のIII-III'線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0020】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、複数層及び領域を明確に説明するために厚さを拡大して示しているが、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
図面において、第1方向はT方向、積層方向または厚さ方向、第2方向はL方向または長さ方向、第3方向はW方向または幅方向と定義することができる。
【0022】
積層型電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図3は
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図4は本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0023】
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層111を間に挟んで交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2に連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110を含むことができる。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体形状またはこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0026】
本体110は、厚さ方向(第1方向)に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、長さ方向(第2方向)に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、幅方向(第3方向)に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0027】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3等が挙げられる。
【0029】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO 3)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0030】
本体110は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Ac、上記容量形成部Acの第1方向の一面及び他面に形成された上部及び下部カバー部112、113を含むことができる。
【0031】
上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極122を反復的に積層して形成することができる。
【0032】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0033】
上記容量形成部Acの第3方向の一面及び他面には、マージン部114、115が配置されることができる。マージン部114、115は、本体110の第6面6に配置されたマージン部114と第5面5に配置されたマージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両側面に配置されることができる。
【0034】
マージン部114、115は、
図3に示すように、上記本体110を第1方向及び第3方向(幅-厚さ)方向に切断した断面において、第1内部電極121及び第2内部電極122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってよい。
【0035】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に幅方向に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0036】
図2及び
図3を参照すると、複数の内部電極121、122は誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。内部電極121、122は、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。
【0037】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3で第1外部電極130と連結されることができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4で第2外部電極140と連結されることができる。
【0038】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極140とは連結されず、第1外部電極130と連結され、第2内部電極122は第1外部電極130とは連結されず、第2外部電極140と連結されることができる。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定の距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定の距離離隔して形成されることができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0039】
図4を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを厚さ方向(第1方向)に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0040】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。
【0041】
上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを使用することができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、本体110の第3面3上に配置される第1外部電極130及び第4面4上に配置される第2外部電極140を含むことができる。また、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の第1外部電極130及び第2外部電極140は、本体110の第3面3及び第4面4上に配置され、導電性物質を含む一次電極層131、141、一次電極層131、141上に配置され、Niを含む二次電極層132、142、二次電極層132、142上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層133、143及び三次電極層上に配置され、導電性金属134a、144a及び樹脂134b、144bを含む導電性樹脂層134、144を含むことができる。
【0043】
一次電極層131、141は、本体110の第3面3及び第4面4上に配置され、且つ内部電極121、122と直接的に接触して内部電極121、122と第1外部電極130及び第2外部電極140とを連結することができる。具体的に、第1外部電極130に含まれる一次電極層131は、本体110の第3面3で第1内部電極121と直接的に接触することができ、第2外部電極140に含まれる一次電極層141は、本体110の第4面4で第2内部電極122と直接的に接触することができる。これにより、第1外部電極130は第1内部電極121と、第2外部電極140は第2内部電極122と電気的に連結されることができる。
【0044】
一次電極層131、141に含まれる導電性物質の種類は特に限定されないが、標準還元電位がNiの標準還元電位(-0.26V)より大きい金属を含むことが好ましい。例えば、上記導電性物質は、Cu、Ag、Cu-Ni合金、Ag-Ni合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0045】
一実施形態において、一次電極層131、141は導電性物質以外にもガラスをさらに含むことができる。これにより、一次電極層131、141と本体110との結合力が向上することができる。
【0046】
一次電極層131、141を形成する方法は特に限定されないが、例えば、一次電極層131、141は本体110の第3面3及び第4面4をサンドブラスト、イオンミリング、ケミカルエッチング等で前処理した後、電解めっき法、無電解めっき法、合金めっき法等により形成しためっき層であってよく、導電性物質を含むか、導電性物質以外にもガラスをさらに含んで形成した焼結電極層であってよい。
【0047】
二次電極層132、142は、一次電極層131、141上に配置されることができ、Cu、Ni、Pdのような導電性物質を含むことができる。二次電極層132、142に含まれる導電性物質の種類は特に限定されるものではないが、本発明の一実施形態による二次電極層132、142はNiを含むことができる。二次電極層132、142を形成する方法は特に限定されない。例えば、二次電極層132、142は、電解めっき法、無電解めっき法等により形成されためっき層であってよく、導電性物質を含むか、導電性物質以外にもガラスをさらに含んで形成した焼結電極層であってよい。
【0048】
三次電極層133、143は、二次電極層132、142上に配置されることができ、金属間化合物(IMC、Intermetallic Compound)を含むことができる。三次電極層133、134に含まれる金属間化合物は、後述する導電性樹脂層134、144に含まれる導電性金属134a、144aと二次電極層132、142に含まれる導電性物質とが反応して形成された金属間化合物であってよい。例えば、二次電極層132、142がNiを含み、導電性樹脂層134、144に含まれる導電性金属134a、144aがSnを含む場合、三次電極層133、143に含まれる金属間化合物はNi-Sn合金であってよく、さらに具体的には、Ni3Snであってよいが、これに限定されるものではない。したがって、一実施形態によると、三次電極層に含まれるNi-Sn合金は、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4またはこれらの混合物であってよい。
【0049】
三次電極層133、143を形成する方法は特に限定されない。例えば、二次電極層132、142に含まれる導電性物質と後述する導電性樹脂層134、144に含まれる導電性金属134a、144aが焼成過程で反応して形成されることができる。
【0050】
一方、外部電極130、140が導電性樹脂層134、144を含む場合、樹脂134b、144bの高い水分透過度により積層型電子部品100の耐湿信頼性が弱くなる可能性がある。
【0051】
本発明の一実施形態によると、三次電極層133、143がNi-Sn合金を含むようにすることにより、導電性樹脂層134、144を透過した湿気が本体110または内部電極121、122まで到達しないようにすることで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0052】
導電性樹脂層134、144は、三次電極層133、134上に配置されることができ、導電性金属134a、144a及び樹脂134b、144bを含むことができる。
【0053】
一実施形態によると、上記導電性樹脂層134、144は、三次電極層133、143上に配置され、本体110の第1面1及び第2面2上の一部まで延長して配置されてよい。これにより、基板の曲げ等により積層型電子部品100にクラックが発生することを抑制することができる。
【0054】
上記導電性金属134a、144aの成分は、電気伝導性を有する金属を含むものであれば、特に限定されないが、好ましくは、二次電極層132、142に含まれる導電性物質と金属間化合物を形成可能な金属を含むことができる。これにより、三次電極層133、143は金属間化合物を含むことができる。
【0055】
一実施形態において、上記導電性金属134a、144aはSnを含むことができる。これにより、二次電極層132、142に含まれるNiと上記Snとが反応して三次電極層にNi-Sn合金が形成されることができる。
【0056】
一実施形態において、上記導電性金属134a、144aは、Sn以外にもAg、Cu及びNiのうち少なくともいずれか1つを含むことができる。これにより、導電性樹脂層の電気伝導性をさらに向上させることができる。
【0057】
上記樹脂134b、144bの種類は特に限定されず、積層型電子部品100を曲げ応力から保護できるように延性を有し、熱耐性の強い樹脂が挙げられる。例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられるが、これに限定されるものではない。樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調節剤等をさらに添加して使用することができる。
【0058】
一実施形態において、導電性樹脂層134、144は、本体110の第1面1及び第2面2上の一部まで延長して配置されることができる。これにより、積層型電子部品100の曲げ強度がさらに向上することができる。
【0059】
一方、外部衝撃により外部電極130、140にクラックが発生する場合、内部電極と直接的に接触する一次電極層131、141が二次電極層132、142よりも先に腐食すると内部電極の露出不良が発生し、積層型電子部品100の信頼性が確保できない。
【0060】
具体的に、互いに接触している一次電極層131、141及び二次電極層132、142がクラックの発生等で湿気に露出する場合、電位差が発生し、金属間に電流が流れるようになる。このとき、標準還元電位の低い金属が先に酸化して腐食する。このとき、一次電極層131、141の標準還元電位が二次電極層132、142の標準還元電位より低いと、内部電極121、122と直接的に接触する一次電極層131、141が先に腐食するため、内部電極の露出不良が発生する可能性がある。
【0061】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100によると、一次電極層131、141の標準還元電位をE1、二次電極層132、142の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たすことができる。これにより、外部電極130、140にクラックが発生して外部湿気に露出しても一次電極層131、141の腐食を防止し、内部電極の露出不良を抑制することができる。
【0062】
上記E1及びE2がE1>E2を満たすようにする方法は様々であってよい。例えば、二次電極層132、142がNiからなる場合、Niの標準還元電位は-0.26Vであるため、一次電極層131、141の導電性物質が-0.26より大きい標準還元電位を有する金属を含むようにし、その含量を調節する方法であってよいが、これに限定されるものではない。
【0063】
一次電極層131、141及び二次電極層132、142の標準還元電位E1、E2を測定してその大小を比較する方法は次の通りである。本発明の一実施形態による積層型電子部品100のサンプルを準備して、二次電極層132、142が露出するように外部電極のW-T面を研磨する。その後、二次電極層132、142の標準還元電位E2を測定し、一次電極層131、141が露出するように外部電極のW-T面を研磨した後、一次電極層131、141の標準還元電位E1を測定して大小を比較することができる。上記E1、E2は、特定の基準電極の電位に対して酸化還元電位(oxidation reduction potential)を測定して決定することができる。
【0064】
上記Niの標準還元電位より大きい標準還元電位を有する金属の種類は特に限定されない。ただし、Cuの標準還元電位は0.34Vであるため、一次電極層131、141にCuが含まれる場合、一次電極層131、141の標準還元電位E1をNiを含む二次電極層132、142の標準還元電位E2よりも正(Positive、+)方向に大きくすることができる。また、標準還元電位がNiの標準還元電位より高い他の金属に比べて、低コストで外部電極130、140を形成することができる。また、CuはNiと接合性の良い特性があり、Cuが含まれた一次電極層はNiを含む内部電極との結合力を強化させることができる。
【0065】
一実施形態によると、一次電極層131、141に含まれる導電性物質は、Cu及びCu-Ni合金のうち1つ以上を含むようにすることにより、一次電極層131、141が二次電極層132、142より先に腐食することを防止し、内部電極121、122の露出不良を抑制することができる。
【0066】
一方、Agの標準還元電位は0.80Vである。したがって、一次電極層131、141にAgが含まれる場合、一次電極層131、141の標準還元電位E1をNiを含む二次電極層132、142の標準還元電位E2よりも正(Positive、+)方向に大きくすることができる。Agの標準還元電位が外部電極に使用可能な他の金属より相対的に大きい値を有するため、少ない含量でも一次電極層131、141の標準還元電位E1を高くすることができる。
【0067】
一実施形態によると、一次電極層131、141に含まれる導電性物質は、Ag及びAg-Ni合金のうち1つ以上を含むようにすることにより、一次電極層131、141が二次電極層132、142より先に腐食することを防止し、内部電極121、122の露出不良を抑制することができる。
【0068】
以下では、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101について説明するが、本発明の一実施形態による積層型電子部品100と重複する部分は省略する。
【0069】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101は、誘電体層111及び上記誘電体層111を間に挟んで交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極、122を含み、第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2に連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、上記第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記本体110の上記第3面3上に配置される第1外部電極130'と、上記第4面4上に配置される第2外部電極140'を含み、上記第1外部電極130'及び第2外部電極140'は、上記第3面及び第4面3、4上に配置され、且つ上記第1方向に離隔して配置され、上記第1内部電極121または第2内部電極122と接触し、導電性物質を含む複数の一次電極層131'、141'と、上記複数の一次電極層131'、141'上に配置され、Niを含む二次電極層132'、142'と、上記二次電極層132'、142'上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層133'、143'と、上記三次電極層133'、143'上に配置され、導電性金属134a'、144a'及び樹脂134b'、144b'を含む導電性樹脂層134'、144'とを含み、上記複数の一次電極層131'、141'の標準還元電位をE1、上記二次電極層132'、142'の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たすことができる。
【0070】
図5は、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101を概略的に示した斜視図であり、
図6は、
図5のIII-III'線に沿った断面図である。
【0071】
以下、
図5及び
図6を参照して、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101について説明する。
【0072】
図5を参照すると、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101は、本体の第3面3上に配置される第1外部電極130'及び第4面4上に配置される第2外部電極140'を含むことができる。
【0073】
図6を参照すると、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101の第1外部電極130'及び第2外部電極140'は、第3面3及び第4面4上に配置され、且つ上記第1方向に離隔して配置され、上記第1内部電極121または上記第2内部電極122と接触し、導電性物質を含む複数の一次電極層131'、141'、複数の一次電極層131'、141'上に配置され、Niを含む二次電極層132'、142'、二次電極層132'、142'上に配置され、Ni-Sn合金を含む三次電極層133'、143'及び三次電極層上に配置され、導電性金属134a'、144a'及び樹脂134b'、144b'を含む導電性樹脂層134'、144'を含むことができる。
【0074】
複数の一次電極層131'、141'は、本体110の第3面3及び第4面4上に配置され、且つ内部電極121、122と直接的に接触して内部電極121、122と第1外部電極130'及び第2外部電極140'とを連結することができる。具体的に、第1外部電極130'に含まれる複数の一次電極層131'は、本体110の第3面3で第1内部電極121と直接的に接触することができ、第2外部電極140'に含まれる複数の一次電極層141'は、本体110の第4面4で第2内部電極122と直接的に接触することができる。これにより、第1外部電極130'は第1内部電極121と、第2外部電極140'は第2内部電極122と電気的に連結されることができる。
【0075】
上記複数の一次電極層131'、141'は、第3面3及び第4面4上に配置され、且つ上記第1方向に離隔して配置され、上記第1内部電極121または上記第2内部電極122と接触することができる。これにより、複数の一次電極層131'、141'が外部電極130'、140'で占める比重を最小化することができ、外部電極130'、140'を薄層化することができる。
【0076】
上記複数の一次電極層131'、141'は導電性物質を含むことができる。上記導電性物質の種類は特に限定されないが、標準還元電位がNiの標準還元電位(-0.26V)より大きい金属を含むことが好ましい。例えば、上記導電性物質は、Cu、Ag、Cu-Ni合金、Ag-Ni合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0077】
一実施形態において、複数の一次電極層131'、141'は、導電性物質以外にもガラスをさらに含むことができる。これにより、複数の一次電極層131'、141'と本体110との結合力が向上することができる。
【0078】
複数の一次電極層131'、141'を形成する方法は特に限定されないが、例えば、複数の一次電極層131'、141'は本体110の第3面3及び第4面4をサンドブラスト、イオンミリング、ケミカルエッチング等で前処理した後、電解めっき法、無電解めっき法、合金めっき法等により形成しためっき層であってよい。
【0079】
二次電極層132'、142'は、複数の一次電極層131'、141'上に配置されることができ、Cu、Ni、Pdのような導電性物質を含むことができる。二次電極層132'、142'に含まれる導電性物質の種類は特に限定されるものではないが、本発明の他の一実施形態による二次電極層132'、142'はNiを含むことができる。
【0080】
二次電極層132'、142'を形成する方法は特に限定されない。例えば、二次電極層132'、142'は、電解めっき法、無電解めっき法等により形成しためっき層であってもよく、導電性物質を含むか、導電性物質以外にもガラスをさらに含んで形成した焼結電極層であってよい。
【0081】
一方、複数の一次電極層131'、141'は、第1方向に離隔して配置され、且つ第1内部電極121または第2内部電極122と接触するため、本体110の第3面3及び第4面4は、複数の一次電極層131'、141'で覆われない領域がある可能性がある。したがって、本体110の第3面3及び第4面4のうち複数の一次電極層131'、141'で覆われない領域を二次電極層132'、142'が覆うことができる。
【0082】
三次電極層133'、134'は、二次電極層132'、142'上に配置されることができ、金属間化合物(IMC、Intermetallic Compound)を含むことができる。三次電極層133'、134'に含まれる金属間化合物は、後述する導電性樹脂層134'、144'に含まれる導電性金属134a'、144a'と二次電極層132'、142に含まれる導電性物質とが反応して形成された金属間化合物であってよい。例えば、二次電極層132'、142'がNiを含み、導電性樹脂層133'、144'に含まれる導電性金属134a'、144a'がSnを含む場合、三次電極層133'、143'に含まれる金属間化合物はNi-Sn合金であってよく、さらに具体的にはNi3Snであってよいが、これに限定されるものではない。したがって、一実施形態によると、三次電極層に含まれるNi-Sn合金は、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4またはこれらの混合物であってよい。
【0083】
三次電極層133'、143'を形成する方法は特に限定されない。例えば、二次電極層132'、142'に含まれる導電性物質と後述する導電性樹脂層134'、144'に含まれる導電性金属134a'、144a'とが焼成過程で反応して形成されることができる。
【0084】
一方、外部電極130'、140'が導電性樹脂層134'、144'を含む場合、樹脂134b'、144b'の高い水分透過度により積層型電子部品101の耐湿信頼性が弱くなる可能性がある。
【0085】
本発明の一実施形態によると、三次電極層133'、143'がNi-Sn合金を含むようにすることにより、導電性樹脂層134'、144'を透過した湿気が本体110または内部電極121'、122'まで到達しないようにして積層型電子部品101'の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0086】
導電性樹脂層134'、144'は、三次電極層133'、143'上に配置されることができ、導電性金属134a'、144a'及び樹脂134b'、144b'を含むことができる。
【0087】
一実施形態によると、上記導電性樹脂層134'、144'は、三次電極層133'、143'上に配置され、本体110の第1面1及び第2面2上の一部まで延長して配置されることができる。これにより、基板の曲げ等により積層型電子部品101にクラックが発生することを抑制することができる。
【0088】
上記導電性金属134a'、144a'の成分は、電気伝導性を有する金属を含むものであれば、特に限定されないが、好ましくは、二次電極層132'、142'に含まれる導電性物質と金属間化合物を形成可能な金属を含むことができる。これにより、三次電極層133'、143'は金属間化合物を含むことができる。
【0089】
一実施形態において、上記導電性金属134a'、144a'はSnを含むことができる。これにより、二次電極層132'、142'に含まれるNiと上記Snとが反応して三次電極層にNi-Sn合金が形成されることができる。
【0090】
一実施形態において、上記導電性金属134a'、144a'は、Sn以外にも、Ag、Cu及びNiのうち少なくともいずれか1つを含むことができる。これにより、導電性樹脂層の電気伝導性をさらに向上させることができる。
【0091】
上記樹脂134b'、144b'の種類は特に限定されず、積層型電子部品101を曲げ応力から保護できるように延性を有し、熱耐性の強い樹脂が挙げられる。例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられるが、これに限定されるものではない。樹脂を用いる場合、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調節剤等をさらに添加して使用することができる。
【0092】
一実施形態において、導電性樹脂層134'、144'は、本体110の第1面1及び第2面2上の一部まで延長して配置されることができる。これにより、積層型電子部品101の曲げ強度がさらに向上することができる。
【0093】
一方、外部衝撃により外部電極130'、140'にクラックが発生する場合、内部電極と接触する複数の一次電極層131'、141'が二次電極層132'、142'より先に腐食すると、内部電極の露出不良が発生して積層型電子部品101の信頼性が確保できない。
【0094】
具体的に、互いに接触している複数の一次電極層131'、141'及び二次電極層132'、142'がクラックの発生等で湿気に露出する場合、電位差が発生し、金属間に電流が流れるようになる。このとき、標準還元電位の低い金属が先に酸化して腐食する。
【0095】
このとき、複数の一次電極層131'、141'の標準還元電位が二次電極層132'、142'の標準還元電位より低いと、内部電極121、122と接触する複数の一次電極層131、141が先に腐食するため、内部電極の露出不良が発生する可能性がある。
【0096】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品101によると、複数の一次電極層131'、141'の標準還元電位をE1、二次電極層132'、142'の標準還元電位をE2とするとき、E1>E2を満たすことができる。これにより、外部電極130'、140'にクラックが発生して外部湿気に露出しても複数の一次電極層131'、141'の腐食を防止し、内部電極の露出不良を抑制することができる。
【0097】
上記E1及びE2がE1>E2を満たすようにする方法は様々であってよい。例えば、二次電極層132'、142'がNiからなる場合、Niの標準還元電位は-0.26Vであるため、複数の一次電極層131'、141'の導電性物質が-0.26より大きい標準還元電位を有する金属を含むようにし、その含量を調節する方法であってよいが、これに限定されるものではない。
【0098】
複数の一次電極層131'、141'及び二次電極層132'、142'の標準還元電位E1、E2は、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の一次電極層131、141及び二次電極層132、142の標準還元電位を測定する方法と同様の方法で測定することができる。
【0099】
上記Niの標準還元電位より大きい標準還元電位を有する金属の種類は特に限定されない。ただし、Cuの標準還元電位は0.34Vであるため、複数の一次電極層131'、141'にCuが含まれる場合、複数の一次電極層131'、141'の標準還元電位E1をNiを含む二次電極層132'、142'の標準還元電位E2よりも正(Positive、+)方向に大きくすることができる。また、標準還元電位がNiの標準還元電位より高い他の金属に比べて、低コストで外部電極130'、140'を形成することができる。
【0100】
一実施形態によると、複数の一次電極層131'、141'に含まれる導電性物質は、Cu及びCu-Ni合金のうち1つ以上を含むようにすることにより、複数の一次電極層131'、141'が二次電極層132'、142'より先に腐食することを防止し、内部電極121、122の露出不良を抑制することができる。
【0101】
一方、Agの標準還元電位は0.80Vである。したがって、複数の一次電極層131'、141'にAgが含まれる場合、複数の一次電極層131'、141'の標準還元電位E1をNiを含む二次電極層132'、142'の標準還元電位E2よりも正(Positive、+)方向に大きくすることができる。Agの標準還元電位が他の金属より大きい値を有するため、少ない含量でも複数の一次電極層131'、141'の標準還元電位E1を向上させることができる。
【0102】
一実施形態によると、複数の一次電極層131'、141'に含まれる導電性物質は、Ag及びAg-Ni合金のうち1つ以上を含むようにすることにより、複数の一次電極層131'、141'が二次電極層132'、142'より先に腐食することを防止し、内部電極121、122の露出不良を抑制することができる。
【0103】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0104】
100、101:積層型電子部品
110:本体
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121:第1内部電極
122:第2内部電極
130、140:外部電極
131、141:一次電極層
132、142:二次電極層
133、143:三次電極層
134、144:導電性樹脂層
134a、144a:導電性金属
134b、144b:樹脂