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特開2023-77417歯科用プリフォーム、1つのこうしたプリフォームを製造する方法、および1つのこうしたプリフォームから歯科プロステーシスを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077417
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】歯科用プリフォーム、1つのこうしたプリフォームを製造する方法、および1つのこうしたプリフォームから歯科プロステーシスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/70 20170101AFI20230529BHJP
【FI】
A61C5/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186845
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】2112475
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】518362144
【氏名又は名称】ブリュノ、クルネ-コスト
【氏名又は名称原語表記】BRUNO CLUNET-COSTE
(71)【出願人】
【識別番号】518362155
【氏名又は名称】ベルナール、マヌフ
【氏名又は名称原語表記】BERNARD MANEUF
(71)【出願人】
【識別番号】518362166
【氏名又は名称】アンドレ、コロンバン
【氏名又は名称原語表記】ANDRE, COLLOMBIN
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ、クルネ-コスト
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、マヌフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ、コロンバン
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159RR02
4C159RR15
4C159SS04
4C159TT03
(57)【要約】
【課題】天然の歯の機械的特性をより良く再現するためにその中心部分とその辺縁部分との間に弾性率勾配を有する歯科用プリフォームを提供すること。
【解決手段】歯科用プリフォームは、主に第1の方向に延在する複数本の第1のワイヤ状要素と、第1の樹脂とによって形成された中心部分を備える。環状の辺縁部分は、第1の方向に対して垂直に中心部分の周りを通る。辺縁部分は、第2のワイヤ状要素および第2の樹脂を備える。辺縁部分は、第1の方向に対して垂直に互いの上に配置された複数の層を備える。それぞれの層は、第2のワイヤ状要素のうちの少なくとも1本によって形成された少なくとも1回の巻きを有し、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素は、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成される角度だけ第1の方向に対してオフセットした長手方向を示す。連続した2つの層の第2のワイヤ状要素は逆の配向を示す。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用プリフォーム(1)であって、
- 複数本の第1のワイヤ状要素(4)および第1の樹脂(5)によって形成された中心部分(2)であって、前記第1のワイヤ状要素(4)が主に第1の方向(AA)に延在し、前記第1の樹脂(5)が前記第1のワイヤ状要素(4)を互いに機械的に結合する、中心部分(2)と、
- 前記第1の方向(AA)に対して垂直に前記中心部分(2)の周りのリングの形をとる辺縁部分(3)であって、前記辺縁部分(3)が、第2のワイヤ状要素(6)および第2の樹脂(7)を備え、前記第2の樹脂(7)が、前記第2のワイヤ状要素(6)を互いに機械的に結合し、前記第1のワイヤ状要素(4)と前記第2のワイヤ状要素(6)とが、少なくとも前記第1の樹脂(5)および前記第2の樹脂(7)によって互いに機械的に結合されている、辺縁部分(3)と
を備え、
前記辺縁部分(3)が、前記第1の方向(AA)に対して垂直に互いの上に配置された複数の層を備え、前記層が前記中心部分(2)の周りを通り、
それぞれの層が、前記第2のワイヤ状要素(6)のうちの少なくとも1本によって形成された少なくとも1回の巻きを有し、前記少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)が、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成された角度だけ前記第1の方向(AA)に対してオフセットした長手方向を示し、
連続した2つの層の前記第2のワイヤ状要素(6)が逆の配向を示し、
それぞれの層の前記第2のワイヤ状要素(6)が布または織られた要素に属さず、
前記複数の層のうちの少なくともいくつかの層が、布、織られた要素、ストリップ、または組紐から選択されたシート(8)をさらに有し、前記シート(8)が、前記いくつかの層の前記第2のワイヤ状要素(6)の下または上に位置しており、
前記シート(8)が、前記歯科用プリフォーム(1)の一方の端部から他方の端部まで前記第1の方向(AA)に延在し、すべての前記層にわたって延在し、前記シート(8)が、前記第1の方向(AA)に対して垂直な切断平面ではらせんの形をとり、前記第1の方向(AA)に対して垂直な観察方向ではシート(8)の厚みと第2のワイヤ状要素(6)の厚みとが交互になり、前記中心部分(2)から前記辺縁部分(3)の一方の端部まで方向付けられている、歯科用プリフォーム(1)。
【請求項2】
前記中心部分(2)が、体積の点で大部分が前記第1のワイヤ状要素(4)であるワイヤ状要素を有する、請求項1に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項3】
前記中心部分(2)が前記第1のワイヤ状要素(4)および前記第1の樹脂(5)のみを備える、請求項2に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項4】
前記辺縁部分(3)が、前記第1の方向(AA)に対して垂直に前記中心部分(2)から離れるときに増加する弾性率勾配を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項5】
前記辺縁部分(3)が、前記弾性率勾配を形成するために、前記第1の方向(AA)に対して垂直に前記中心部分(2)から離れるときに一本調子に増加する第2のワイヤ状要素(6)の含有量を示す、請求項4に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項6】
前記第2の樹脂(7)には粒子が添加され、前記辺縁部分(3)が、前記弾性率勾配を形成するために、前記第1の方向(AA)に対して垂直に前記中心部分から離れるときに前記半径方向において増加する、前記粒子含有量に対する前記第2のワイヤ状要素含有量の比を示す、請求項4および5のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項7】
前記粒子含有量に対する前記第2のワイヤ状要素含有量の前記比が、前記弾性率勾配を形成するために、前記中心部分(2)からの距離に反比例する方式で増加する、請求項6に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項8】
複数の同軸の管が、前記中心部分(2)との界面から前記辺縁部分(3)の外壁部まで、前記複数の層の前記シート(8)によって形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項9】
それぞれの層が、前記中心部分(2)の周りに巻き付けられたいくつかの第2のワイヤ状要素(6)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)。
【請求項10】
歯科用プリフォーム(1)を製造する方法であって、
- 第1の方向(AA)に延在するマンドレル(10)を準備するステップと、
- 前記第1の方向(AA)に対して垂直に前記マンドレル(10)の周りのリングの形をとる辺縁部分(3)を形成するステップであって、前記辺縁部分(3)が、前記マンドレル(10)の周りを通る複数の層を有し、前記層が、前記第1の方向(AA)に対して垂直に互いの周りに配置され、それぞれの層が、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)および第2の樹脂(7)を備え、前記第2の樹脂(7)が、前記辺縁部分(3)において前記第2のワイヤ状要素(6)を互いに機械的に結合する、ステップと
を備え、
それぞれの層の前記少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)が、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成された角度だけ前記第1の方向(AA)に対してオフセットした長手方向を示し、
連続した2つの層の前記少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)が逆の配向を示し、
それぞれの層の前記少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)が布または織られた要素に属さず、
前記マンドレル(10)が、複数本の第1のワイヤ状要素(4)および第1の樹脂(5)によって形成された中心部分(2)であり、前記第1のワイヤ状要素(4)が主に前記第1の方向(AA)に延在し、前記第1の樹脂(5)が前記第1のワイヤ状要素(4)を互いに機械的に結合し、前記第1のワイヤ状要素(4)と前記第2のワイヤ状要素(6)とが少なくとも前記第1の樹脂(5)および前記第2の樹脂(7)によって互いに結合されているか、または前記マンドレル(10)が取り外されて前記辺縁部分(3)の中に空の領域を画定し、前記空の領域が複数本の第1のワイヤ状要素(4)および第1の樹脂(5)によって充填され、前記第1のワイヤ状要素(4)が主に前記第1の方向(AA)に延在し、前記第1のワイヤ状要素(4)と前記第2のワイヤ状要素(6)とが少なくとも前記第1の樹脂(5)および前記第2の樹脂(7)によって互いに結合されている、方法。
【請求項11】
連続する2つの層が、前記少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)を共有し、前記巻きがハニカム巻きによって形成される、請求項10に記載の歯科用プリフォーム(1)を製造する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1本の第2のワイヤ状要素(6)が前記辺縁部分(3)のすべての前記層にわたって連続的に延在する、請求項11に記載の歯科用プリフォーム(1)を製造する方法。
【請求項13】
それぞれの層(6)が、布または織られた要素によって形成されたシート(8)をさらに備え、その横糸または準横糸が前記第1の方向(AA)に延在し、前記シート(8)が、前記複数の層にわたって連続的に延在し、前記第1の方向(AA)に対して垂直な切断平面ではらせんの形をとる、請求項10から12のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)を製造する方法。
【請求項14】
少なくとも、前記中心部分および前記辺縁部分によって形成される組立体を前記第1の方向(AA)に対して垂直に切断して、前記第1の方向(AA)における前記歯科用プリフォーム(1)の寸法を定めるステップを備える、請求項10から13のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)を製造する方法。
【請求項15】
歯科プロステーシス(1)を製造する方法であって、
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の歯科用プリフォーム(1)を準備するステップと、
- 前記歯科用プリフォーム(1)を切削するステップであって、前記辺縁部分(3)の一部が、根管アンカレッジを形成するように設計された前記中心部分(2)に到達するために完全に除去され、前記辺縁部分(3)の別の部分が、既定の形状に従って前記歯科プロステーシス(1)の歯冠部分を形成するように部分的に除去される、ステップと
を備える、方法。
【請求項16】
切削が実施される前に、前記第1の方向(AA)に対して垂直に前記歯科用プリフォームを切断して、前記第1の方向(AA)における前記歯科用プリフォームの寸法を定めるステップを含む、請求項15に記載の歯科プロステーシス(1)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用プリフォーム、1つのこうした歯科用プリフォームを製造する方法、および1つのこうした歯科用プリフォームから歯科プロステーシス(prosthesis)を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切削された歯科用プリフォームから歯科プロステーシスの少なくとも一部を形成することが知られている。歯科用プリフォームは、任意の適した手段により、また優先的にはCAD-CAM技術で切削される。プリフォームの一方の端部から他方の端部までの機械的特性が実質的に均一な様々なタイプの歯科用プリフォームが市販されている。
【0003】
しかし、こうしたプリフォームの機械的性能は天然の歯の機械的性能とはかけ離れており、これにより、歯科プロステーシスが組み込まれたときに適合の問題が生じることに留意されたい。現在の複合材料、具体的には粒子をベースとした複合材は、天然の歯の機能を再現するのに不適当であることが観察される場合がある。セラミックのプリフォーム、たとえばニケイ酸リチウムまたはジルコンから作成されたプリフォームの場合も同様である。この課題は、メイン・ラチスおよび2次ラチスを有する複合材料であるハイブリッド・セラミックにおいても存在する。セラミックから作成されたメイン・ラチスに、ポリマーから作成された2次ラチスが浸透させられる。2つのラチスは互いに完全に瓦状に重ねられる。セラミック・ポリマー二重ラチス構造は、理想的にはセラミックと複合材料の良い特性を結合するように設計された。しかし、セラミックのメイン・ラチスは依然として剛性であり脆い。また、これはほとんど変形可能でなく、したがって天然の歯の機械的性能を再現することを可能にしない。このハイブリッド材料の靱性は低いと考えられており、したがってその関心を限定的なものにしている。
【0004】
交換すべき歯の寸法的制約に適合するように構成された機械的性能を有するテーラ・メイドの歯科用プリフォームを形成することもさらに可能である。しかし、この作業には長時間かかり、比較的厄介である。
【0005】
したがって、歯の機械的特性により良く対応し、同時に実現が容易な歯科用プリフォームを形成する要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、これらの欠点を除去すること、より詳細には、天然の歯の機械的特性をより良く再現するためにその中心部分とその辺縁部分との間に弾性率勾配を有する歯科用プリフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの欠点は、
- 複数本の第1のワイヤ状要素および第1の樹脂によって形成された中心部分であって、第1のワイヤ状要素が主に第1の方向に延在し、第1の樹脂が第1のワイヤ状要素を互いに機械的に結合する、中心部分と、
- 第1の方向に対して垂直に中心部分の周りのリングの形をとる辺縁部分であって、辺縁部分が、第2のワイヤ状要素および第2の樹脂を備え、第2の樹脂が、第2のワイヤ状要素を互いに機械的に結合し、第1のワイヤ状要素と第2のワイヤ状要素とが、少なくとも第1の樹脂および第2の樹脂によって互いに機械的に結合されている、辺縁部分と
を備え、
辺縁部分が、第1の方向に対して垂直に互いの上に配置された複数の層を備え、層が中心部分の周りを通り、
それぞれの層が、第2のワイヤ状要素のうちの少なくとも1本によって形成された少なくとも1巻きのコイルを有し、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素が、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成された角度だけ第1の方向に対してオフセットした長手方向を示し、
連続した2つの層の第2のワイヤ状要素が逆の配向を示し、
それぞれの層の第2のワイヤ状要素が布または織られた要素(woven element)に属しない、歯科用プリフォームによって克服される傾向がある。
【0008】
本発明の一特徴によれば、中心部分は、体積の点で大部分が第1のワイヤ状要素であるワイヤ状要素を有する。
【0009】
優先的な方式では、中心部分は第1のワイヤ状要素および第1の樹脂のみを備える。
【0010】
特定の実施形態では、辺縁部分は、第1の方向に対して垂直に中心部分から離れるときに増加する弾性率勾配を有する。
【0011】
有利には、辺縁部分は、弾性率勾配を形成するために、第1の方向に対して垂直に中心部分から離れるときに一本調子に増加する第2のワイヤ状要素の含有量を示す。
【0012】
特定の実施形態では、第2の樹脂には粒子が添加される。辺縁部分は、弾性率勾配を形成するために、第1の方向に対して垂直に中心部分から離れる半径方向において増加する、粒子含有量に対する第2のワイヤ状要素の含有量の比を示す。
【0013】
優先的には、粒子含有量に対する第2のワイヤ状要素含有量の比は、弾性率勾配を形成するために、中心部分までの距離に反比例する方式で増加する。
【0014】
別の発展形態では、複数の層のうちの少なくともいくつかの層は、布、織られた要素、ストリップ、または組紐から選択されたシートをさらに保有し、シートは、前記いくつかの層の第2のワイヤ状要素の下または上に位置する。
【0015】
有利には、シートは歯科用プリフォームの一方の端部から他方の端部まで第1の方向に延在し、すべての層にわたって延在し、シートは、第1の方向に対して垂直な切断平面ではらせんの形をとり、第1の方向に対して垂直な観察方向ではシートの厚みと第2のワイヤ状要素の厚みとが交互になり、中心部分から辺縁部分の一方の端部まで方向付けられる。
【0016】
優先的な方式では、複数の同軸の管が、中心部分との界面から辺縁部分の外壁部まで、複数の層のシートによって形成される。
【0017】
好ましい一実施形態では、それぞれの層は、中心部分の周りに巻き付けられたいくつかの第2のワイヤ状要素を備える。
【0018】
本発明の別の目的は、より良く操作(master)される機械的性能を示すプリフォームを容易に形成することを可能にする製造方法を提供することである。この課題は、
- 第1の方向に延在するマンドレルを準備するステップと、
- 第1の方向に対して垂直にマンドレルの周りのリングの形をとる辺縁部分を形成するステップであって、辺縁部分が、マンドレルの周りを通る複数の層を有し、層が、第1の方向に対して垂直に互いの周りに配置され、それぞれの層が、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素および第2の樹脂を備え、第2の樹脂が、辺縁部分において第2のワイヤ状要素を互いに機械的に結合する、ステップと
を備え、
それぞれの層の少なくとも1本の第2のワイヤ状要素が、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成された角度だけ第1の方向に対してオフセットした長手方向を示し、
連続した2つの層の少なくとも1本の第2のワイヤ状要素が逆の配向を示し、
それぞれの層の少なくとも1本の第2のワイヤ状要素が布または織られた要素に属さず、
マンドレルが、複数本の第1のワイヤ状要素および第1の樹脂によって形成された中心部分であり、第1のワイヤ状要素が主に第1の方向に延在し、第1の樹脂が第1のワイヤ状要素を互いに機械的に結合し、第1のワイヤ状要素と第2のワイヤ状要素とが少なくとも第1の樹脂および第2の樹脂によって互いに結合されているか、またはマンドレルが取り外されて辺縁部分の中に空の領域を画定し、空の領域が複数本の第1のワイヤ状要素および第1の樹脂によって充填され、第1のワイヤ状要素が主に第1の方向に延在し、第1のワイヤ状要素と第2のワイヤ状要素とが少なくとも第1の樹脂および第2の樹脂によって互いに結合されている、歯科用プリフォームを製造する方法によって解決される傾向がある。
【0019】
有利には、連続する2つの層は、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素を共有する。巻きはハニカム・コイルによって形成され、優先的には、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素は辺縁部分のすべての層にわたって連続的に延在する。
【0020】
優先的な方式では、それぞれの層は、布または織られた要素によって形成されたシートをさらに備え、その横糸または準横糸(quasi-weft thread)は第1の方向に延在し、シートは、複数の層にわたって連続的に延在し、シートは、第1の方向に対して垂直な切断平面ではらせんの形をとる。
【0021】
好ましい一実施形態では、方法は、少なくとも、中心部分および辺縁部分によって形成される組立体を第1の方向に対して垂直に切断して、第1の方向における歯科用プリフォームの寸法を定めるステップを含む。
【0022】
本発明の別の目的は、その機械的性能がより良く操作される歯科プロステーシスを製造する方法を提供することである。この課題は、
- 前述の構成のうちの任意の1つに従って歯科用プリフォームを準備するステップと、
- 歯科用プリフォームを切削するステップであって、辺縁部分の一部が、根管アンカレッジを形成するように設計された中心部分に到達するために完全に除去され、辺縁部分の別の部分が、既定の形状に従って歯科プロステーシスの歯冠部を形成するように部分的に除去される、ステップと
を備える、歯科プロステーシスを製造する方法によって解決される傾向がある。
【0023】
優先的には、方法は、切削が実施される前に、第1の方向に対して垂直に歯科用プリフォームを切断して、第1の方向における歯科用プリフォームの寸法を定めるステップを含む。
【0024】
他の利点および特徴は、比限定的な例を示す目的のみで与えられ、添付の図面に示された、本発明の特定の実施形態および実装モードに関する以下の説明からより明確に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】歯科用プリフォームの斜視図を概略的に示す図である。
図2】グリッパに嵌合された歯科用プリフォームの斜視図を概略的に示す図である。
図3】別の実施形態による、グリッパに嵌合された歯科用プリフォームの別の斜視図を概略的に示す図である。
図4】歯科用プリフォームの中心部分のより詳細な図を概略的に示す図である。
図5】歯科用プリフォームの辺縁部分を形成するために第2のワイヤ状要素を巻き付けるステップを概略的に示す図である。
図6】歯科用プリフォームの断面図を概略的に示す図である。
図7】歯科用プリフォームを製造するための装置の図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図2、および図3は、歯科用プリフォーム1を示す。歯科用プリフォーム1は、中心部分2および辺縁部分3を有する。歯科用プリフォーム1は、切削すべき歯科用プリフォームでもよく、切断されて切削すべき歯科用プリフォームを形成することになる汎用プリフォームでもよい。プリフォームは、少なくとも1つの樹脂および少なくとも1つのワイヤ状要素を備えた複合材料から作成される。
【0027】
図4は、歯科用プリフォーム1、具体的には中心部分2のより詳細な図を示す。中心部分2は、複数本の第1のワイヤ状要素4と、第1の樹脂5とを有する。第1のワイヤ状要素4は、主に第1の方向AAに延在する。第1の樹脂5は、第1のワイヤ状要素4を互いに機械的に結合する。
【0028】
第1のワイヤ状要素4は、主として第1の方向AAに、優先的には互いに平行に配向された第1のワイヤ状要素4を有する。優先的には、第1のワイヤ状要素4は、プリフォームの一方の端部から他方の端部へと第1の方向AAに連続的に延在して、中心部分2の高さにわたって力が伝達されるのを容易にする。第1のワイヤ状要素4は、一方向性の糸、織られた要素、布、ストリップ、または組紐を備えてもよい。これらの要素のうちのいくつか、たとえば糸と組紐とを組み合わせることも可能である。織られた要素、布、ストリップ、または組紐は、いくつかの糸または繊維によって形成されてもよい。
【0029】
糸は、シリカまたは有機材料から作成された糸でもよい。好ましくは、糸は、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトンPEEKおよびカーボンから選択された材料から作成される。同じことが繊維にも当てはまり得る。優先的な方式では、第1のワイヤ状要素4は歯科用プリフォーム1の高さ全体にわたって、すなわち第1の方向AAに連続的に延在する。
【0030】
優先的な方式では、第1の樹脂5は、有利には粒子、好ましくはマイクロ粒子および/またはナノ粒子が装填されたポリマー樹脂である。第1のワイヤ状要素4を形成する糸、繊維、布、ストリップ、組紐および他の要素は、含浸樹脂によって覆われてもよい。含浸樹脂は、第1の樹脂5と同一でもよく、異なっていてもよい。含浸樹脂と第1の樹脂5とは化学的適合性があって、第1のワイヤ状要素4同士の間の機械的結合を確実にする。樹脂は、優先的には熱硬化性樹脂である。
【0031】
中心部分2は、第1の方向AAに対して垂直なその切断平面では任意の形状のものでもよい。好ましくは、中心部分2は円形の断面を示す。
【0032】
中心部分2は、第1の方向AAにおいて第1の樹脂5の弾性率よりも高い弾性率を示すいくつかの第1のワイヤ状要素4を有する。中心部分2は、優先的なエッチング領域を画定し、それによって感染した根尖(apex)までの介入を容易にするために、第1のワイヤ状要素4および第1の樹脂5の硬度よりも低い硬度を有する追加のワイヤ状要素も提示することができる。
【0033】
中心部分2は、力をより良く伝えるために、任意の他のワイヤ状要素と比較して体積の点で大部分である第1のワイヤ状要素4を備えることが有利である。
【0034】
中心部分2は、第1のワイヤ状要素4および第1の樹脂5のみを備えることが有利である。中心部分2に印加される力がより良く伝えられる。
【0035】
辺縁部分3は、第1の方向AAに対して垂直に、中心部分2を完全に囲繞する。辺縁部分3はリングを形成し、その内側部に中心部分2が充填される。
【0036】
辺縁部分3は、第2のワイヤ状要素6および第2の樹脂7を備える。第2の樹脂7は、第2のワイヤ状要素6を互いに機械的に結合する。第1の樹脂5および第2の樹脂7は、第1のワイヤ状要素4を第2のワイヤ状要素6に機械的に結合する。
【0037】
辺縁部分3は、中心部分2から第1の方向AAに対して垂直に、また好ましくは歯科用プリフォーム1の外壁部まで互いの上に配置された複数の層を備える。層は、中心部分2のすぐ周りを通る。優先的な方式では、層は、中心部分2の周りに、少なくとも1本の第2のワイヤ状要素6および第2の樹脂7の1回または複数回の巻きを備える。少なくとも1本の第2のワイヤ状要素6は、第1の方向AAで観察した際に、中心部分2の周りを少なくとも360°巻く。好ましい一実施形態では、第2のワイヤ状要素6は、中心部分2の周りで数回360°巻くらせんの形をとって、第1の方向AAにおいて歯科用プリフォーム1の一方の端部から他方の端部へと連続的に延在する。有利には、第2のワイヤ状要素6は、中心部分2の周りを少なくとも2回360°巻く。優先的には、第2のワイヤ状要素1は、歯科用プリフォーム1の高さに全体わたって、すなわち第1の方向AAにおいて、一定または実質的に一定の巻きピッチを示す。
【0038】
それぞれの層の1本または複数本の第2のワイヤ状要素6は、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成された角度だけ第1の方向AAに対してオフセットした長手方向を示す。第2のワイヤ状要素6が中心部分2の周りを360°巻くとき、第2のワイヤ状要素6は第1の方向AAにおいてある方向に、または別の方向に偏移する。図5に示された実施形態では、巻いている間の第2のワイヤ状要素6の長手方向(線BB)と第1の方向AAとの間に作られる角度は10°から80°の間で構成される。この構成では、中心部分2の周りを巻くごとに、第2のワイヤ状要素6は右へ偏移する。次の層および前の層では、巻いている間の第2のワイヤ状要素6の長手方向と第1の方向AAとの間に作られる角度は100°から170°の間で構成され、これは、その長手方向軸が前の層の長手方向軸とは逆の方向を示す第2のワイヤ状要素6に対応する。中心部分2を巻くごとに、第2のワイヤ状要素6は左へ偏移する。巻き付ける方向は、2つの連続した層の間で逆になる。連続した2つの層の、配向が逆になった第2のワイヤ状要素6の使用は、第1の方向AAに対して垂直に観察したときに連続した2つの層の第2のワイヤ状要素6がメッシュを画定することを可能にする。
【0039】
それぞれの層には、辺縁部分において歯科用プリフォーム1の一方の端部から他方の端部まで第1の方向AAに延在する少なくとも1本の第2のワイヤ状要素6、たとえば糸、繊維、ストリップ、または組紐が存在する。少なくとも1本の第2のワイヤ状要素6は、中心部分2の周りを複数回巻く。層に応じて、コイルは第1の方向AAの周りを逆方向に巻く。優先的な方式では、それぞれの層において、第2のワイヤ状要素6は、歯科用プリフォーム1の一方の端部から他方の端部まで第1の方向AAに連続的に延在して、中心部分2の周りに巻きを形成する。
【0040】
第2のワイヤ状要素6は、中心部分2の周りを少なくとも5回巻くことが有利である。
【0041】
それぞれの層の1本または複数本の第2のワイヤ状要素6は、布または織られた要素に属しない。それぞれの層の1本または複数本の第2のワイヤ状要素6は、中心部分2の周りにらせんを画定するのみである。優先的な方式では、第2のワイヤ状要素6は、第1の方向AAにおいて樹脂によってのみ接合される。織られた要素の場合のように、それらを互いに接合するための横糸または準横糸は存在しない。
【0042】
第2のワイヤ状要素6は、中心部分2の周りに複数回の巻きを形成するように巻き付けられる。複数回の巻きは、中心部分2の周りのコイル状の巻きの積層体の形になる。コイル状の巻きの積層体は、第1の方向AAに対して垂直な半径方向において互いの上に配置された、巻きのいくつかの層を備える。
【0043】
第2のワイヤ状要素6は、第1の方向AAに対して垂直な方向において中心部分2まで延在する複数の穴を画定する。穴は第2の樹脂7で充填される。穴は、第1の方向AAに対して垂直に観察したときに優先的にはダイアモンド形状である、重ねられたコイル状の巻きの複数の層によって画定される。
【0044】
第2のワイヤ状要素6は、一方向性の糸、織られた要素、布、ストリップ、または組紐を備えることができる。糸はシリカ糸、有機材料から作成された糸でもよい。好ましくは、糸はポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびカーボンから選択された材料から作成される。第2のワイヤ状要素6は、第1のワイヤ状要素4の化学的組成と同一の化学的組成を有してもよく、第1のワイヤ状要素4の化学的組成とは異なる化学的組成を有してもよい。
【0045】
優先的な方式では、第2の樹脂7は、粒子7a、好ましくはマイクロ粒子および/またはナノ粒子が装填されたポリマー樹脂である。第2のワイヤ状要素を形成する糸、繊維、布、ストリップ、組紐および他の要素は、第2の含浸樹脂で覆われてもよい。第2の含浸樹脂は、第2の樹脂7と同一でもよく、異なっていてもよい。第2の含浸樹脂と第2の樹脂7とは化学的適合性があって、第2のワイヤ状要素6同士の間の機械的結合を確実にする。樹脂は、優先的には熱硬化性樹脂である。
【0046】
互いの周りに配置され、第2の樹脂7によって互いに機械的に連結されたいくつかの環状の層の形成は、第1の方向AAに対して垂直な、半径方向または実質的に半径方向の方式で、機械的性能を効率的に調節することを可能にする。第2のワイヤ状要素の厚みは小さいので、治療すべき歯の横方向の寸法内にとどまりながら、中心部分2の周りに多数の巻きを作成して辺縁部分3を形成することが可能である。したがって、その機械的性能が半径方向に、すなわち中心部分2を基準にしてそれが位置付けられている距離に従って操作される歯科用プリフォーム1を容易に製作することが可能である。
【0047】
中心部分2との界面から辺縁部分3の外壁部までのそれぞれの層における巻付け特性の調整は、半径方向または実質的に半径方向の方式で機械的特性を調整する大きな自由を与える。
【0048】
それぞれの層は、少なくとも、中心部分2の周りに、また適用できる場合は下部層に巻き付けられた1本または複数本の第2のワイヤ状要素6によって形成される。それぞれの層に存在するコイル状の巻きは、少なくとも以下の技術的特性によって定義される。
【0049】
- ある層に巻き付けられた第2のワイヤ状要素6の本数
- たとえば弾性率、断面、化学的組成、および表面の状態と共に使用される、1本または複数本の第2のワイヤ状要素6の固有の技術的特性
- 巻き付けられたそれぞれのワイヤ状要素の巻付け張力
- 第1の方向AAと第2のワイヤ状要素の長手方向軸との間に存在する角度に相当する、360°巻かれたときの巻きピッチ、すなわち第1の方向AAにおけるオフセット
- それぞれのワイヤ状要素における含浸樹脂の使用または不使用、および含浸樹脂が存在する場合は含浸樹脂の組成。
【0050】
層の機械的特性は、上記層における巻付け特性および第2の樹脂7の組成に依存する。
【0051】
天然の歯の機械的特性に近い機械的特性を示す歯科用プリフォーム1を形成するために、第1の方向AAに対して垂直な方向に弾性率勾配を有する辺縁部分3を形成することが有利である。弾性率は、辺縁部分3において、中心部分2との界面から始まり、中心部分2から離れるように増加する。有利には、弾性率は第1の方向AA、および/または第1の方向AAに対して垂直な方向における弾性率である。
【0052】
優先的な方式では、辺縁部分3の弾性率勾配は、中心部分2との界面から、辺縁部分3の厚みの少なくとも50%まで、より一層優先的には厚みの少なくとも75%を超えて、またはさらには辺縁部分3の厚み全体にわたって一本調子に増加している。より一層優先的な方式では、辺縁部分3の弾性率勾配は、中心部分2との界面から辺縁部分の厚みの少なくとも50%まで、より一層優先的には厚みの少なくとも75%を超えて、またはさらには辺縁部分3の厚み全体にわたって直線的に増加している。
【0053】
有利な一実施形態では、辺縁部分3の外端部では弾性率は80GPaを超え、中心部分2のすぐ近傍または中心部分2においては20Gpa未満である。優先的な方式では、弾性率勾配は少なくとも40GPaを超えて延在する。
【0054】
歯科用プリフォーム1の外表面から中心部分2の方向に微小亀裂が伝搬するのを軽減するために、好ましくは少なくとも40GPaを超えて、より一層優先的には直線的に減少する方式で、中心部分2の方向において弾性率の値を連続的に低くすることが有利である。
【0055】
いくつかの層にわたる弾性率勾配を得るために、巻付け特性はある層から他の層へと、またはある組の層から他の組の層へと修正される。
【0056】
弾性率勾配は、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを修正することによって得ることができる。
【0057】
- 層内の第2のワイヤ状要素の本数
- 巻きピッチの値
- 第2の樹脂7の化学的組成
- 第2のワイヤ状要素6の巻付け張力
- 第2のワイヤ状要素6を形成する1本または複数本のワイヤ状要素の断面および/または化学的組成
- 第2のワイヤ状要素6の表面の状態。
【0058】
第2の樹脂7または第2の含浸樹脂の化学的組成の修正は、装填物含有量、たとえばマイクロ粒子含有量、ナノ粒子含有量、またはウィスカ含有量の修正でもよい。化学的組成の修正は、装填物の化学的組成の修正でもよい。第2の樹脂7に加えられる修正は、第1の方向AAに対して垂直な方向および第1の方向においてその機械的特性を修正する効果を有する。たとえば、中心部分2から離れたときに弾性率の値を増加させるために、中心部分2から離れるときに層内の装填物含有量を(他のパラメータは変更せずに)連続的に増加させることが可能である。2つの連続する層の間でいくつかのパラメータ、たとえば巻きピッチおよび装填物含有量を修正することも可能である。
【0059】
一実施形態では、層は、中心部分2の周りに巻かれた同じ糸から作り出される数回の巻きによって形成される。代替の一実施形態では、いくつかの互いに異なる糸が中心部分2の周りに巻かれる。同じ1つの層の糸は、断面および組成が同一でもよい。異なる機械的性能を有する糸を使用するために、組成が同じで断面が異なる糸を提供することも可能である。同一の断面または異なる断面を備えた、異なる組成を有する糸を使用して、異なる機械的性能を有する糸を備えた層を形成することもさらに可能である。層が異なる機械的性能を有する糸によって形成されるとき、2つの層の間での糸の割合の修正は、2つの層の間で弾性率の値を修正することを可能にし、他のパラメータは元のままである。当然、このパラメータ、ならびに巻きピッチおよび第2の樹脂7の組成から選択された少なくとも別のパラメータを修正することが可能である。
【0060】
特定の実施形態では、少なくとも1つの層は、1本または複数本の第2のワイヤ状要素6および第2の樹脂7に加えて、中心部分2の周りを通るシート8を有する。シート8は布または織られた要素、ストリップ、または組紐でもよい。布は横糸8bおよび縦糸8aを有する。織られた要素は、いかなる横糸も有しないという点で布とは異なる。布の横糸のように配向された準横糸は存在するが、それらは機械的に異なる。準横糸は接合(join up)しない。
【0061】
シート8、具体的には第1の方向AAに平行な方式で配向された糸またはワイヤ状要素を有するシート8を使用することが特に有利である。インレー・コア・タイプの補綴(prosthetic)要素を形成するためにプリフォーム1が使用されるとき、第1の方向AAに配向された糸またはワイヤ状要素が、補綴要素の高さに従った、すなわち根尖を歯冠部分の先端へと連結する方向に従った力の伝達を強化する。糸またはワイヤ状要素は、咀嚼力の存在下での機械的強度および靱性特徴を向上させる。こうした利益は、第1の方向AAの力、または45°に等しい角度オフセットを有する力において観察される。
【0062】
この特定の場合には、第1の方向AAに対して垂直なその最大寸法、たとえば直径が、40mm未満であるプリフォームを形成することが有利である。中心部分2および辺縁部分3のワイヤ状要素の構成、ことによるとプリフォームの直径は、交換すべき歯、たとえばその寸法、口内でのその位置、および隣接する歯の特徴に従って選択され得る。
【0063】
第1の方向AAに対して垂直な方向において、またより一層優先的には第1の方向AAにおいてより大きいサイズの歯科用プリフォームを形成することも可能である。プリフォームは、5cmを超える、有利には10cmを超える、より一層有利には20cmを超える直径を有してもよい。第1の方向AAにおける厚みは、有利には1cmより大きく、より有利には2cmより大きく、より一層有利には3cmより大きい。次いで、結びつけられもしくは連合した歯を支持するプロステーシス、またはさらにはインプラントのインフラストラクチャを形成するために、歯科用プリフォームが使用され得る。
【0064】
優先的な方式では、シート8は布または織られた要素であり、その横糸または準横糸は主として第1の方向に平行な方向に配向され、その縦糸は第1の方向AAに対して垂直に配置される。
【0065】
シート8は、第1の方向AAにおいて第2のワイヤ状要素6よりも幅広であり、好ましくは第2のワイヤ状要素6よりもわずかに幅広であって、巻きピッチに完全に適合したままになる。優先的には、いくつかの第2のワイヤ状要素が同じ層で使用されるとき、シート8は第2のワイヤ状要素6によって占有される幅をわずかに越えて延在する。シート8の使用は、巻付け特性を修正しない。
【0066】
優先的な方式では、シート8の巻付けは、第1の方向AAに、巻き付けた巻きの端部が重なるように実施される。次いで、シート8は、歯科用プリフォーム1の高さ全体にわたって中心部分2のすぐ周りに管を形成する。
【0067】
1本または複数本の第2のワイヤ状要素6は、連続した2枚のシート8の間に配置される。連続した2つの層の2つの巻きは、シート8によって隔てられる。
【0068】
シート8は、いくつかの連続する層にわたって連続的に延在することが有利である。言い換えれば、シート8は、中心部分2の周りにいくつかの同軸の管を形成する。管の間の連結は、上端部と下端部、または右側と左側で交互になる方式で、第1の方向AAにおけるプリフォームの2つの両端部でなされる。特定の実施形態では、シート8は辺縁部分3のすべての層にわたって連続的に延在する。
【0069】
シート8は、中心部分2の周りを数回360°巻くこと、たとえば2回360°巻くこと、5回360°巻くこと、または10回を越えて360°巻くことができる。360°巻く回数は、歯科用プリフォームに必要とされる最終的な直径によって規定されてもよい。
【0070】
実施形態に応じて、巻付けが実施されるとき、シート8は、層の少なくとも1本の第2のワイヤ状要素6の下または上に整然と堆積される。
【0071】
図6に示されているように、第1の方向AAに対して垂直な切断平面で観察すると、シート8は、いくつかの層にわたって連続的に延在し、らせんの形に見える。いくつかの層にわたって、優先的にはすべての層にわたって延在するらせんの形をとるシートの使用は、プリフォームの外側部分とその中心部分との間で力を良好に伝達することを可能にする。こうした構成は、プリフォームが天然の歯の機械的機能に近づくことを可能にする。
【0072】
シートおよび第2のワイヤ状要素6の巻き付けられた構成はクランプ効果を導入し、非常に強力なワイヤ状要素を形成することを可能にする。らせん構成は歯科用プリフォームの靱性も強化し、それによって微小亀裂の防止を容易にする。
【0073】
らせん構成は、小さいサイズのプリフォームに長いワイヤ状要素が組み込まれることを可能にする。ワイヤ状要素、たとえば縦糸または第2のワイヤ状要素の長さは、プリフォームの高さの少なくとも5倍でもよく、好ましくは高さの少なくとも10倍でもよく、高さの少なくとも20倍でもよい。ワイヤ状要素、たとえば縦糸または第2のワイヤ状要素の長さは、プリフォームの直径の少なくとも5倍でもよく、好ましくは直径の少なくとも10倍でもよく、直径の少なくとも20倍でもよい。非常に長いワイヤ状要素の使用は、プリフォームにより良い機械的強度を与える。
【0074】
形成された歯科用プリフォームは、切削すべきプリフォームでもよく、切断すべきプリフォームでもよい。
【0075】
切削すべきプリフォーム、すなわち第1の方向に対して垂直に切断する先行するステップを経ることなしに切削すべきプリフォームが製作されたとき、プリフォームは小さいサイズのものであること、たとえば50mm未満の直径を有することが有利である。プリフォームは、歯の体積と同じ程度の体積を示す。グリッパ9がプリフォームに固定されて、図1に示されているような切削を容易にする。優先的には、プリフォームの切削は、有利にはCAD-CAM切削と呼ばれる切削技法によってインレー・コアを画定する。歯科用プリフォームは、歯冠および歯根の復元物も形成することができる。プリフォームは、次いでセラミックまたは複合材料、優先的にはジルコンから作成することができる歯冠によって覆われる。さらに、歯科用プリフォームを使用してインプラント・アバットメントを形成することが可能である。プリフォームの機械的構成は、多方向の咀嚼力に耐えることが特に有利である。より幅広のプリフォームを形成することも可能であるが、これは、製作上の課題、および層を互いの上にとどめるという課題を生じさせる。より幅広のプリフォームは、たとえば天然の歯またはインプラントの歯の上のブリッジ・インフラストラクチャを形成することができる。
【0076】
切削すべきプリフォームが形成されると、切削すべきプリフォームを形成することになる複数の基本となるプリフォームを画定するために、プリフォームは、第1の方向AAに対して垂直に、1回または数回切断されなければならない。切削すべきいくつかのプリフォームを形成することができるように、第1の方向AAにより高いプリフォームを形成することが有利である。インレー・コアの形成以外の他の使用法、たとえば天然の歯またはインプラントの歯の上のブリッジ・インフラストラクチャにプリフォームを適合させるために、より幅広のプリフォームを形成することも有利である。切断ステップは、要求条件に従ってプリフォームの高さを調節することを可能にする。大きい幅のプリフォームを容易に形成するために、高さの高いプリフォームを形成することが好ましく、これは、第2のワイヤ状要素およびシートを複数層上で互いに固着することを容易にする。
【0077】
プリフォームは、金属から作成された同等品およびたとえば形状記憶金属から作成される支持体よりも変形可能である。プリフォームの変形性は、様々な層の機械的性能によって定義される。寸法および弾性率勾配が大きいプリフォームは、プリフォームの性能が歯列弓の応力により良く適合することを可能にする。プリフォームは、歯列弓の形状により良く一致するように円形もしくは楕円形の断面、または後者に近い形状を有し、それによって機械的特性の一致を促進することができる。
【0078】
直接切削すべき歯科用プリフォームは、根管領域および歯冠領域を備えたインレー・コア・タイプの歯科プロステーシスを形成するために切削される。根管領域は、たとえば研究室モデルの歯の根管に挿入されるように設計される。歯冠領域は、虫歯によって破壊された歯の歯冠部分を形成して、たとえば辺縁補綴キャップを支持するように設計される。歯科用プリフォームは、中心部分が歯の根管へと沈み、歯冠部分へと延在するように切削される。辺縁部分3の一部は、根管部分を形成するために完全に除去される。辺縁部分は天然の歯の象牙質をシミュレートすることになる歯冠部分を形成するように切削され、部分的に残される。辺縁部分は、交換すべき象牙質の形状に近い形状を画定するように切削される。
【0079】
歯科用プリフォーム1は、任意の適した切削機械、好ましくはたとえば3軸から5軸を有するコンピュータ支援切削機械を用いて切削される。歯科用プリフォーム1は、少なくとも治療すべき歯のインプリントから計算される既定の形状を再現するために切削される。
【0080】
図2および図3は、歯科用プリフォーム1がグリッパ9を有する2つの実施形態を示す。図2の実施形態では、グリッパ9は辺縁部分3の外側壁部に固定される。図2の実施形態では、グリッパ9は端部表面、すなわち第1のワイヤ状要素4が広がる表面に固定される。
【0081】
優先的には巻き、有利にはハニカム巻きによって得られる巻きを備えたいくつかの同軸の層の形成は、層ごとの辺縁部分3の機械的性能をより精密に規定し、したがって中心部分2からの距離に従って特徴を修正することを可能にする。
【0082】
この実施形態は、半径の値に応じて中心部分の周り全体で実質的に同一の機械的特性を有する歯科用プリフォームを形成することを可能にする。次いで、層に使用される樹脂の組成を含む層の巻付け特性に従って、期待される技術的特性を規定することが可能である。
【0083】
歯科用プリフォーム1は様々なやり方で形成されてもよい。辺縁部分3は、マンドレル10上に形成される。一実施形態では、マンドレル10は中心部分2、すなわち第1のワイヤ状要素4および第1の樹脂5によって形成された組立体によって形成される。
【0084】
別の実施形態では、マンドレル10は別の要素、すなわち歯科用プリフォーム1の一部を形成しない要素、たとえば金属マンドレルである。辺縁部分3はマンドレル10の周りに形成される。マンドレル10は次いで除去されて、辺縁部分3の中に穴を形成する。次いで、穴は第1の樹脂5および第1のワイヤ状要素4によって充填されて、これまでに定義した中心部分2を形成する。この実施形態は、切断すべきプリフォームを形成するのに特によく適している。
【0085】
マンドレル10は第1の方向AAに延在する。一実施形態では、マンドレル10はマンドレル10を通過する第1の方向AAの周りを回転する。別の実施形態では、第2のワイヤ状要素6がマンドレル10の周りを回転する。
【0086】
辺縁部分3がマンドレル10の周りに形成されて、互いの上に複数の層を形成する。辺縁部分3は、第1の方向AAに対して垂直な切断平面では、中心部分2の周りのリングの形をとる。辺縁部分3は、マンドレル10を囲繞する1本または複数本の第2のワイヤ状要素6を堆積させ、第2の樹脂7を堆積させることによって形成される。第2の樹脂7は、第2のワイヤ状要素6を互いに機械的に結合する。
【0087】
1本または複数本の第2のワイヤ状要素6は、第1の方向AAに対して垂直に互いの上に配置された複数の層を画定する。層はマンドレル10の周りを通る。
【0088】
第2のワイヤ状要素6は、巻き付けられて辺縁部分3の互いに異なる層を画定する。それぞれの層の第2のワイヤ状要素6は、10°から80°の間、または100°から170°の間で構成された角度だけ第1の方向に対してオフセットした長手方向を示す。巻付けは、第1の方向AAに対して、また第1の方向AAに対して垂直な方向に対して一定の角度オフセットで実施される。第2のワイヤ状要素6は、優先的にはマンドレル10の一方の端部から他方の端部まで巻かれる。
【0089】
辺縁部分3の形成は、連続した2つの層が、逆の配向を有する第2のワイヤ状要素6を示すように実施される。連続した2つの層の第2のワイヤ状要素6は、第1の方向AAに対して垂直に観察されるとメッシュを画定する。このように、第1の層において第2のワイヤ状要素の巻きが「上昇性」または「右旋性」で実施される場合、連続したすぐ下の層およびすぐ上の層の巻きは「下降性」または「左旋性」で実施され、逆の場合も同様である。
【0090】
辺縁部分3の形成が行われるとき、それぞれの層の第2のワイヤ状要素3は布または織られた要素に属しない。
【0091】
辺縁部分3を効率的に形成するために、1本または複数本の第2のワイヤ状要素6をマンドレル10にハニカム巻きすることが特に有利である。ハニカム巻きでは、1本または複数本の第2のワイヤ状要素6が、連続的な方式でマンドレル10の周りに巻かれる。1本または複数本のワイヤ状要素6は、第1の止め具から第2の止め具に到達するまで一方の方向に動くアーム11によって提供される。第2の止め具に到達すると、アーム11は他方の方向に動く。アーム11の運動は、それ自体の上でのマンドレル10の回転またはマンドレル10の周りでのアームの回転にリンクされているが、この第2の実施形態は実装がより困難であるので、有利さは劣る。ハニカム巻きの実施はそれ自体知られており、電気インダクタンスを形成するために使用されてきた。
【0092】
ハニカム巻きは、それぞれの層の巻き、またより具体的には連続した2つの層における逆方向の巻きを、迅速に、かつ制御された方式で形成することを可能にするので特に有利である。第2のワイヤ状要素の位置は可動アーム11の位置によって規定され、したがって、巻きピッチが同じ方向において2つの層の間で一定であるとき、ワイヤ状要素を再現可能な方式で互いの上に配置することを可能にする。
【0093】
こうした巻きモードは、巻付けを実施するときに第2のワイヤ状要素6の張力を容易に修正することを可能にする。こうした実施形態は、アーム11の運動とマンドレル10の回転との関係を容易に修正することも可能にする。
【0094】
第2のワイヤ状要素7の厚みが知られているならば、層の厚みを知ることが可能である。関連する場合、シート8の厚みも知られている。マンドレル10の回転軸またはマンドレルの外表面を基準としたその距離に従って辺縁部分3の機械的特性を修正するために、作成される巻きの数を計数し、対応する厚みを推定することが可能である。
【0095】
巻きの条件は歯科用プリフォーム1の巻きごとに規定され、歯科用プリフォーム1は、巻きの条件に従って第2のワイヤ状要素6を巻くことによって、すなわち巻きの特性、第2のワイヤ状要素6の組成、第2の樹脂7の組成、および適用できる場合は含浸樹脂の組成を課すことによって形成される。
【0096】
図5は、第1の方向AAの周りに回転式にマウントされたマンドレル10を備える、上述の構成の特定の実施形態を示す。いくつかの第2のワイヤ状要素6が提供され、可動アーム11にマウントされたスピナレット12を通過する。マンドレル10が回転すると、アーム11およびスピナレット12が第1の方向AAに平行な方向に前後運動で運動する。マンドレル10が1回転するときのアーム11の運動の値は、方向AAと第2のワイヤ状要素6の長手方向軸との間に存在する角度の値を規定する。
【0097】
第2のワイヤ状要素6は、含浸樹脂または第2の樹脂5を収容する含浸タンク13を通過する。含浸タンク13の樹脂の組成を修正することにより、樹脂の組成は堆積される層の数、すなわちマンドレル10との界面からのマンドレル10の巻きの数に従って修正され得る。この修正は、弾性率勾配を規定することを可能にする。優先的な方式では、含浸タンクは第2の樹脂7を提供する。少なくとも第2のワイヤ状要素の含浸速度を調節することが可能であり、これは、層の厚みを少なくとも部分的に規定することを可能にする。
【0098】
図5に示された実施形態では、基本となる3本の第2のワイヤ状要素が提供され、接合されて単一の第2のワイヤ状要素6を形成する。含浸タンク13を通過する基本となるワイヤ状要素の数を調整することにより、堆積させられる第2の樹脂7の量を調節することが可能である。
【0099】
代替の一実施形態では、アーム11は、第2のワイヤ状要素6を動かして巻きを形成するために、第2のワイヤ状要素6または含浸タンク13のみを動かす。
【0100】
図7に示された代替の一実施形態では、それぞれの糸は特定の含浸タンク13に関連付けられている。
【0101】
図7は、4本のワイヤ状要素6がマンドレル10の周りに巻き付けられた、図5の実施形態に類似した実施形態を示す。図を見えやすくするために、2本のワイヤ状要素6のみが可動アーム11にマウントされたスピナレット12を通過する。前後運動でのアーム11の運動は、上述のようにマンドレル10の回転にリンクされる。
【0102】
2本のワイヤ状要素6は2つの異なる含浸タンク13を通過し、それにより、行われるマンドレル10の巻きの数に従ってワイヤ状要素6のそれぞれに関連付けられた樹脂を個別に修正することが可能になる。
【0103】
図7は、マンドレル10の周りでのシート8の巻付けも示す。シート8および第2のワイヤ状要素6は同じ方向に巻かれる。シート8は、歯科用プリフォーム1の高さ全体にわたって、または形成すべき歯科用プリフォーム1の高さを越えて、たとえば第1の方向AAにマンドレル10の有効長全体にわたって延在する。
【0104】
シート8は、第1の方向AAにおける巻きピッチなしで、またはそれぞれの巻きにおいて歯科用プリフォーム1の高さの全体的な重なりと適合する巻きピッチで巻かれる。この実施形態では、シート8の幅にわたって分散された、好ましくはシート8の幅にわたって均一に分散されたいくつかの第2のワイヤ状要素6を使用することが有利である。第2のワイヤ状要素6のそれぞれは、中心部分2の周りに巻きを形成し、巻きのそれぞれは、将来的な歯科用プリフォーム1の一方の端部から他方の端部まで第1の方向AAに延在する。巻きは、第1の方向AAにおいて互いからオフセットしており、プリフォーム1の高さを越えて延在することができる。
【0105】
ある層においていくつかの第2のワイヤ状要素6が使用されるとき、特定の含浸タンクをそれぞれの第2のワイヤ状要素に関連付けて、関連付けられた第2の樹脂の組成を分離することを可能にし、それによって半径方向における機械的特性の変化をより良く制御することが有利である。
【0106】
ある層においていくつかの第2のワイヤ状要素6が使用されるとき、第2のワイヤ状要素6ごとに独立したアーム11を使用して、巻きピッチを分離することを可能にし、それによって半径方向における機械的特性の変化をより良く制御することが有利である。
【0107】
歯科用プリフォーム1が完全に巻かれた後、適用できる場合、第2の樹脂7と第2の含浸樹脂との重合を実施することが有利である。
【0108】
優先的な方式では、巻き付けられ、重合された歯科用プリフォーム1は円形の断面を示す。辺縁部分3の機械的特徴は、第1の方向AAに対して垂直な、歯科用プリフォーム1の中心に対する距離に応じて修正される。
【0109】
特定の実施形態では、歯科用プリフォーム1が提供され、次いで、初期プリフォームから複数の基本となるプリフォームを画定するために、切断するステップが実施される。切断平面ZZは、優先的には第1の方向AAに対して垂直である。次いで、要求条件に従って選択された高さ(第1の方向AAにおける寸法)を有する基本となるプリフォームを形成することが可能である。
【0110】
歯科用プリフォーム1または基本となる歯科用プリフォームは切削されて歯科プロステーシス要素を形成するように設計されているので、第1の方向AAにおける寸法は、優先的には形成すべき補綴要素に従って10mmから60mmの間で構成される。
【0111】
歯科用プリフォーム1は、第1の方向AAに対して主として垂直に、または垂直に延在し、中心部分2および辺縁部分3に共通であるいかなるワイヤ状要素も有しないことが有利である。歯科用プリフォーム4には、第1のワイヤ状要素4を通過し、第2のワイヤ状要素6の巻きの間にあるいかなるワイヤ状要素もない。
【0112】
歯科用プリフォーム1は、第1の方向AAに対して垂直に、かつ辺縁部分3において半径方向の方式で延在するいかなるワイヤ状要素も有しないことが有利である。
【0113】
プリフォームは、第1の方向AAに対して垂直に、かつ中心部分2において半径方向の方式で延在するいかなるワイヤ状要素も有しないことが有利である。
【0114】
第1の方向AAに対して垂直な切断作業、または切削作業が実施されるとき、歯科用プリフォーム1の端部領域は除去される。ある層を外側または内側へと向かう連続した層に連結する末端の巻きは除去される。巻きの間のこれらの機械的連結領域は、ハニカム巻きから生じる。末端の巻きの除去は、巻きが第2の樹脂7によってのみ機械的に連結されていることを意味する。この第2の樹脂7がなければ、巻きは互いから機械的に分離する。
【0115】
優先的な方式では、歯科用プリフォーム1は、プリフォームの一方の端部から他方の端部まで第1の方向において一定の円形の断面を備えたディスクの形をとってそれ自体存在する。代替手段として、断面は平坦な箇所を備えた円でもよい。歯科用プリフォーム1の一方の端部から他方の端部まで第1の方向AAにおいて一定の断面を備えた他の形状が考えられる。歯科用プリフォームは、好ましくは研究室モデルに組み込むための歯科プロステーシスを形成するように設計される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】