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特開2023-77435緩衝部材の組立治具及び当該治具を用いた緩衝部材の組立方法
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  • 特開-緩衝部材の組立治具及び当該治具を用いた緩衝部材の組立方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077435
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】緩衝部材の組立治具及び当該治具を用いた緩衝部材の組立方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20230530BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E06B7/23 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190657
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高井 直人
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036AA02
2E036AA09
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EA02
2E036EB07
2E036EB09
2E036EC03
2E036EC05
2E036GA02
2E036HB14
(57)【要約】
【課題】ドア枠に設けられる緩衝部材の組立作業の作業性を向上させる。
【解決手段】
第1直線部位90、第2直線部位91、第1直線部位90と第2直線部位91の角部94を備えており、第1凹溝92、第2凹溝93が形成されている治具9を用意し、第1凹溝92に第1緩衝部材7A、第2凹溝93に第2緩衝部材7B、角部94の凹溝に第3緩衝部材8を嵌め込んで、端面700、800、810同士を接着剤を介して密着させた状態で保持し、前記接着剤の硬化後、端面700、800、810同士が接着されて一体化された緩衝部材7´を治具9から取り外す。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの緩衝部材の端面を接着して組み立てるための治具であって、
少なくとも直線部位を備えており、前記直線部位は、底壁と、対向状の一対の側壁と、を備え、前記底壁と一対の側壁によって前記緩衝部材が、前記端面同士が密着した状態で嵌め込まれる凹溝が形成されている、
緩衝部材の組立治具。
【請求項2】
前記組立治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記組立治具は、第1直線部位と、第2直線部位と、前記第1直線部位と前記第2直線部位の角部と、からL形状を備えており、
前記角部の凹溝に前記第3緩衝部材が嵌め込まれ、前記第1直線部位の凹溝に、前記第1緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第1端面が密着した状態で保持され、前記第2直線部位の凹溝に、前記第2緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第2端面が密着した状態で保持されるようになっている、
請求項1に記載の緩衝部材の組立治具。
【請求項3】
前記角部の底壁には、貫通孔が形成されている、
請求項2に記載の緩衝部材の組立治具。
【請求項4】
前記一対の側壁において、前記端面同士の接続部に位置する部分は低背部分となっており、前記一対の側壁は、前記低背部分よりも高い高背部分を備えている、
請求項1~3いずれか1項に記載の緩衝部材の組立治具。
【請求項5】
前記底壁には、前記端面同士の接続部を含む領域に開口が形成されている、
請求項1~4いずれか1項に記載の緩衝部材の組立治具。
【請求項6】
少なくとも直線部位を備えており、前記直線部位は、底壁と、対向状の一対の側壁と、を備え、前記底壁と一対の側壁によって凹溝が形成されている治具を用意し、
前記凹溝に、2つの緩衝部材を嵌め込んで、端面同士を接着剤を介して密着させた状態で保持し、
前記接着剤の硬化後、端面同士が接着されて一体化された緩衝部材を前記治具から取り外す、
緩衝部材の組立方法。
【請求項7】
前記治具は、第1直線部位と、第2直線部位と、前記第1直線部位と前記第2直線部位の角部と、からL形状を備えており、
前記治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記第1直線部位の凹溝に前記第1緩衝部材が嵌め込まれ、前記角部の凹溝に前記第3緩衝部材が嵌め込まれた状態で、前記第1緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第1端面を接着剤を介して密着させた状態で保持すること、
前記第2直線部位の凹溝に前記第2緩衝部材が嵌め込まれ、前記角部の凹溝に前記第3緩衝部材が嵌め込まれた状態で、前記第2緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第2端面を接着剤を介して密着させた状態で保持すること、
前記接着剤の硬化後、端面同士が接着されて一体化された緩衝部材を前記治具から取り外すこと、
を含む、請求項6に記載の緩衝部材の組立方法。
【請求項8】
前記角部の底壁には、貫通孔が形成されており、
前記一体化された緩衝部材を前記治具から取り外す際に、前記貫通孔から軸部材を差し込む、
請求項7に記載の緩衝部材の組立方法。
【請求項9】
凹溝内で、端面同士を接着剤を介して密着させた状態で保持することに加えて、
前記端面同士の密着面の周囲に接着剤を塗布することを含む、
請求項6~8いずれか1項に記載の緩衝部材の組立方法。
【請求項10】
前記一対の側壁において、前記端面同士の接続部に位置する部分は低背部分となっており、前記一対の側壁は、前記低背部分よりも高い高背部分を備えている、
請求項6~9に記載の緩衝部材の組立方法。
【請求項11】
前記底壁には、前記端面同士の密着面を含む領域に開口が形成されており、
前記開口から前記密着面の周囲に接着剤を塗布し、および/あるいは、余分な接着剤を前記開口から逃がす、
請求項6~10いずれか1項に記載の緩衝部材の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝部材の組立治具及び当該治具を用いた緩衝部材の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防水性能や気密性能が要求されるドア装置では、ドア枠に四周状に溝部を設けて、緩衝部材(水密ゴムや気密ゴム)を当該溝部に四周状に嵌め込み、全閉姿勢にある扉体が前記緩衝部材に密着することで、防水性能や気密性能を確保するようになっている(特許文献1)。
【0003】
一般に、四周状の緩衝部材の角部は、L形状のコーナーピースから形成し、直線状の緩衝部材の端面と前記コーナーピースの端面を接着剤で接着するようにしている。ここで、通常用いられている接着剤は接着が固定されるまでの硬化時間として少なくとも5分以上を要しており、直線状の緩衝部材の端面とコーナーピースの端面を、接着剤を介して圧着させた状態を所定時間保持する必要がある。従来は、この作業は手作業で行っており、複雑な断面形状を有している緩衝部材をズレないように手で持って保持しなければならないことも相俟って、作業性が悪いものとなっていた。
【0004】
また、ドア枠の四周状の溝部に嵌め込まれる緩衝部材は、四周状に組み立てられるため、上記作業を四隅で行う必要がある。接着剤が完全に硬化して、直線状の緩衝部材の端面と前記コーナーピースの端面が一体化されるまでには、さらに時間(例えば、1時間以上)を要するため、直線状の緩衝部材の一方の端面とコーナーピースの端面を接着剤で接着した後に、引き続いて、当該緩衝部材の他方の端面の接着作業を行う際に、当該緩衝部材がねじれたような場合には、当該緩衝部材の一方の端面の接着面が剥がれたり、接着面がズレた状態で固定されてしまうおそれもある。緩衝部材の接続部位が不完全(例えば隙間が存在している)であると、例えば、防水ドアにおいては、水漏の原因となり得る。
【特許文献1】特開2020-84610
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ドア枠に設けられる緩衝部材の組立作業の作業性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
少なくとも2つの緩衝部材の端面を接着して組み立てるための治具であって、
少なくとも直線部位を備えており、前記直線部位は、底壁と、対向状の一対の側壁と、を備え、前記底壁と一対の側壁によって前記緩衝部材が、前記端面同士が密着した状態で嵌め込まれる凹溝が形成されている、
緩衝部材の組立治具、である。
本明細書において、緩衝部材には、水密部材、水密ゴム、気密部材、気密ゴム等の部材が含まれ、典型的には、緩衝部材は、ドア枠側に設けられ、開口部全閉時に当該緩衝部材に扉体が当接することで、扉体とドア枠の直接の接触を緩衝し、また、扉体とドア枠の間の隙間を密閉して、水密性能や気密性能を発揮するものである。
【0007】
1つの態様では、前記組立治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記組立治具は、第1直線部位と、第2直線部位と、前記第1直線部位と前記第2直線部位の角部と、からL形状を備えており、
前記角部の凹溝に前記第3緩衝部材が嵌め込まれ、前記第1直線部位の凹溝に、前記第1緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第1端面が密着した状態で保持され、前記第2直線部位の凹溝に、前記第2緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第2端面が密着した状態で保持されるようになっている。
1つの態様では、前記角部の底壁には、貫通孔が形成されている。
【0008】
1つの態様では、前記一対の側壁において、前記端面同士の接続部に位置する部分は低背部分となっており、前記一対の側壁は、前記低背部分よりも高い高背部分を備えている。
1つの態様では、前記組立治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記組立治具は、第1直線部位と、第2直線部位と、前記第1直線部位と前記第2直線部位の角部と、からL形状を備えており、
第1緩衝部材の端面と第3緩衝部材の第1端面の接続部に対応する前記第1直線部位の前記側壁の部分、及び、第2緩衝部材の端面と第3緩衝部材の第2端面の接続部に対応する前記第2直線部位の前記側壁の部分が低背部分であり、
前記一対の側壁において、前記低背部分の両側に位置する部位の一方あるいは両方の部位が高背部分である。
後述する実施形態では、前記第1直線部位の前記側壁の先端側部位及び前記角部の側壁、前記第2直線部位の前記側壁の先端側部位及び前記角部の側壁が高背部分となっている。
1つの態様では、前記底壁には、前記端面同士の接続部を含む領域に開口が形成されている。
【0009】
本発明が採用した緩衝部材の組立方法は、
少なくとも直線部位を備えており、前記直線部位は、底壁と、対向状の一対の側壁と、を備え、前記底壁と一対の側壁によって凹溝が形成されている治具を用意し、
前記凹溝に、2つの緩衝部材を嵌め込んで、端面同士を接着剤を介して密着させた状態で保持し、
前記接着剤の硬化後、端面同士が接着されて一体化された緩衝部材を前記治具から取り外す、ことを含むものである。
【0010】
1つの態様では、前記治具は、第1直線部位と、第2直線部位と、前記第1直線部位と前記第2直線部位の角部と、からL形状を備えており、
前記治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記第1直線部位の凹溝に前記第1緩衝部材が嵌め込まれ、前記角部の凹溝に前記第3緩衝部材が嵌め込まれた状態で、前記第1緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第1端面を接着剤を介して密着させた状態で保持すること、
前記第2直線部位の凹溝に前記第2緩衝部材が嵌め込まれ、前記角部の凹溝に前記第3緩衝部材が嵌め込まれた状態で、前記第2緩衝部材の端面と前記第3緩衝部材の第2端面を接着剤を介して密着させた状態で保持すること、
前記接着剤の硬化後、端面同士が接着されて一体化された緩衝部材を前記治具から取り外すこと、
を含む。
1つの態様では、前記角部の底壁には、貫通孔が形成されており、
前記一体化された緩衝部材を前記治具から取り外す際に、前記貫通孔から軸部材を差し込む。
【0011】
1つの態様では、凹溝内で、端面同士を接着剤を介して密着させた状態で保持することに加えて、
前記端面同士の密着面の周囲に接着剤を塗布することを含む。
1つの態様では、前記治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記第1緩衝部材と前記第3緩衝部材の第1端面の密着面の周囲に接着剤を塗布すること、
前記第2緩衝部材と前記第3緩衝部材の第2端面の密着面の周囲に接着剤を塗布すること、
を含む。
【0012】
1つの態様では、前記一対の側壁において、前記端面同士の接続部に位置する部分は低背部分となっており、前記一対の側壁は、前記低背部分よりも高い高背部分を備えている。
1つの態様では、前記治具は、長尺状に延びる第1緩衝部材の端面と、L形状の第3緩衝部材の第1端面とを接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材の端面と、前記L形状の第3緩衝部材の第2端面とを接着して組み立てるための治具であり、
前記治具は、第1直線部位と、第2直線部位と、前記第1直線部位と前記第2直線部位の角部と、からL形状を備えており、
第1緩衝部材の端面と第3緩衝部材の第1端面の接続部に対応する前記第1直線部位の前記側壁の部分、及び、第2緩衝部材の端面と第3緩衝部材の第2端面の接続部に対応する前記第2直線部位の前記側壁の部分が低背部分であり、
前記一対の側壁において、前記低背部分の両側に位置する部位の一方あるいは両方の部位が高背部分である。
後述する実施形態では、前記第1直線部位の前記側壁の先端側部位及び前記角部の側壁、前記第2直線部位の前記側壁の先端側部位及び前記角部の側壁が高背部分となっている。
1つの態様では、前記底壁には、前記端面同士の密着面を含む領域に開口が形成されており、
前記開口から前記密着面の周囲に接着剤を塗布し、および/あるいは、余分な接着剤を前記開口から逃がすようになっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、実際に緩衝部材が嵌め込まれる溝部(典型的には、ドア枠の四周状の溝部の隅部)を模した凹溝を備えた治具を用意し、2つの緩衝部材を、端面同士が接着剤を介して密着した状態で、前記凹溝に嵌め込んで保持するようにしたので、端部同士が密着された緩衝部材を、端部の密着状態を維持しつつ手で持って予定時間保持する必要が無く、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係るドア装置の正面図である。
図2】本実施形態に係るドア装置の縦断面図である。
図3】本実施形態に係るドア装置の横断面図である。
図4】本実施形態に係る緩衝部材が四周状に組み立てられた状態を示す図である。
図5】本実施形態に係る組立治具を示す図であり、(A)は正面図、(B)は第2直線部位側の側面図、(C)は第1直線部位側の側面図、(D)は(A)におけるD矢視断面図、(E)は(A)におけるE矢視断面図、(F)は(A)におけるF矢視断面図、である。
図6】第1緩衝部材、第2緩衝部材、第3緩衝部材が、端面同士が密着した状態で組立治具に保持された状態を示す図である。
図7】本実施形態に係る組立治具を用いた緩衝部材の組立方法を示す図である。
図8】本実施形態に係る組立治具を用いた緩衝部材の組立方法を示す図であり、組立治具がドア枠の角部の凹溝に位置して設置された態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]ドア装置の全体構成
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ドア装置は、四周状のドア枠1と、ドア枠1によって形成された縦長方形状の開口部を開閉する扉体2と、からなる。ドア枠1は、水平に延びる上枠3と、垂直に延びる左右の縦枠4、5と、水平に延びる下枠6と、から縦長方形状に組み立てられている。扉体2は、室外側の第1見付面20と、室内側の第2見付面21と、上面22と、下端部23と、戸先側端面24と、戸尻側端面25と、を備えている。
【0016】
ドア枠1には、室外側に向かって開口する凹状の溝部30、40、50、60が四周状に形成されている。四周状の溝部30~60には、四周状の溝部全長に亘って弾性を備えた緩衝部材7´が装着されている。扉体2によって建物開口部を閉鎖した状態で、扉体2の第2見付面21の上側部位、下側部位、戸先側部位、戸尻側部位、が緩衝部材7´に接触することで、建物開口部の四周に位置して四周状の密閉構造が形成される(図1図3参照)。図示の態様では、図では、片開ドアを示したが、本発明に係る緩衝部材の組立治具及び当該治具を用いた緩衝部材の組立方法は、両開きドアの緩衝部材7´の組み立てにも適用し得ることが当業者に理解される。
【0017】
[B]緩衝部材
本明細書において、四周状に組み立てられて一体化した緩衝部材を緩衝部材7´とし、本実施形態において、緩衝部材7´は、4本の長尺状の緩衝部材7と、4つのL形状の緩衝部材(コーナーピース)8と、から組み立てられている。図4は、四周状に組み立てられた緩衝部材7´の正面図であって、緩衝部材7´は、水平に延びる上側の緩衝部材(上枠用緩衝部材)7と、水平に延びる下側の緩衝部材(下枠用緩衝部材)7と、垂直に延びる左右の緩衝部材(縦枠用緩衝部材)7と、4つの緩衝部材(コーナーピース)8と、から組み立てられている。緩衝部材7は、直線状に延びる長尺部材であり、緩衝部材8は、第1部分80と第2部分81からL形状を備えており、第1部分80及び第2部分81は短尺である。
【0018】
緩衝部材7の長さ方向両端の端面700と緩衝部材8の第1部分80の第1端面800、第2部分81の第2端面810は接着剤を介して密着状態で接着されている。左上の緩衝部材8は、上側の緩衝部材7の一方の端部と左側の緩衝部材7の上端との間に位置して、四周状の緩衝部材7´の第1の角部を形成し、右上の緩衝部材8は、上側の緩衝部材7の他方の端部と右側の緩衝部材7の上端との間に位置して、四周状の緩衝部材7´の第2の角部を形成し、左下の緩衝部材8は、下側の緩衝部材7の一方の端部と左側の緩衝部材7の下端との間に位置して、四周状の緩衝部材7´の第3の角部を形成し、右下の緩衝部材8は、下側の緩衝部材7の他方の端部と右側の緩衝部材7の下端との間に位置して、四周状の緩衝部材7´の第4の角部を形成している。
【0019】
ドア装置が防水ドアの場合には、緩衝部材7、8は水密部材ないし水密ゴムと置き換えることができ、ドア装置が気密ドアの場合には、緩衝部材7、8は気密部材ないし気密ゴムと置き換えることができる。本実施形態に係る緩衝部材7は、溝部30~60の長さに沿って延びる長尺状の水密ゴムであり、溝部30~60に嵌め込まれる基部70と、中空状で概ね円筒状の膨出部71と、からなる。基部70は、両側の複数のフィン72と、中実の台座73(膨出部71の中空部に突成)を備えており、膨出部71は、片側のフィン74を備えている。本実施形態に係る緩衝部材(コーナーピース)8は、水密ゴムであり、緩衝部材7と同一の断面形状及び断面寸法を備えており、断面形状については、緩衝部材7の断面形状の記載を援用することができる。
【0020】
ドア枠1の四周状の溝部30~60には、四周状に組み立てられた緩衝部材7´が嵌め込まれており、膨出部71が溝部30~60の外部に突出しており、開口部全閉時に、扉体2の第2見付面21の周縁の角部が膨出部71を押圧することで、ドア枠1と扉体2との隙間を密閉して水密構造を形成するようになっている(図2図3参照)。図示の態様では、緩衝部材7´は、4本の長尺状の緩衝部材7と、4つの緩衝部材(コーナーピース)8とから組み立てられているが、長尺状の緩衝部材7を、複数のより短い緩衝部材を長さ方向に接着剤を介して密着させて接続して形成してもよい。ここで、図示の態様では、L形状の治具9を開示しているが、直線型の治具を用いて、2本の緩衝部材の端面を接着剤を介して密着して保持するようにしてもよい。
【0021】
[C]治具
本実施形態では、緩衝部材7の長さ方向の端面700と緩衝部材8の第1端面800、第2端面810とを接着剤を用いて接続する際に、固定治具ないし組立治具9を用いる。本実施形態に係る治具9は樹脂製であるが、治具9の材質は限定されない。図5に示すように、本実施形態に係る治具9は、第1の方向に延びる第1直線部位90と、第1の方向に対して直角方向の第2の方向に延びる第2直線部位91と、を備え、正面視L形状を備えている。第1直線部位90は第1凹溝92を備えており、第2直線部位91は第2凹溝93を備えており、第1凹溝92と第2凹溝93は連続状のL形状の凹溝を形成している。第1直線部位90の基端側部位と第2直線部位91の基端側部位は一体化されて角部94が形成されている。角部94は、第1直線部位90の基端側部位と第2直線部位91の基端側部位とから形成されている。角部94において、第1凹溝92と第2凹溝93は連通しており、角部94の凹溝94´を形成している。L形状の第1凹溝92と第2凹溝93(凹溝94´を含む)は、ドア枠1の四周状の溝部30~60の隅部に対応する形状、寸法を備えている。
【0022】
治具9の第1直線部位90は、底壁900と、対向する外壁901及び内壁902と、を備え、底壁900と対向状の外壁901と内壁902とによって、第1の方向に延びる第1凹溝92が形成されており、第1凹溝92の上側(底壁900から離間する側)は開放状となっている。本実施形態では、外壁901、内壁902は第1直線部位90の長さ方向に連続して形成されているが、緩衝部材7を嵌め込んで保持できる第1凹溝92が実質的に形成されていれば、外壁901、内壁902は部分的に途切れていてもよい(すなわち、その部分は、底壁900と面一となる)。
【0023】
治具9の第2直線部位91は、底壁910と、対向する外壁911及び内壁912と、を備え、底壁910と対向状の外壁911と内壁912とによって、第2の方向に延びる第2凹溝93が形成されており、第2凹溝93の上側(底壁910から離間する側)は開放状となっている。本実施形態では、外壁911、内壁912は第2直線部位91の長さ方向に連続して形成されているが、緩衝部材7を嵌め込んで保持できる第2凹溝93が実質的に形成されていれば、外壁911、内壁912は部分的に途切れていてもよい(すなわち、その部分は、底壁910と面一となる)。
【0024】
本実施形態に係る治具9の第1直線部位90の底壁900と第2直線部位91の底壁910は連続して正面視L形状の底壁を形成しており、第1直線部位90の外壁901と第2直線部位91の外壁911は正面視L形状の外壁を形成しており、第1直線部位90の内壁902と第2直線部位91の内壁912は正面視L形状の内壁を形成しており、第1直線部位90の第1凹溝92と第2直線部位91の第2凹溝93は正面視L形状の凹溝を形成しており、凹溝の両端は開放状となっている。
【0025】
治具9の第1直線部位90の第1凹溝92の基端側部位には開口920が形成されており、第2直線部位91の第2凹溝93の基端側部位には開口930が形成されており、開口920と開口930に挟まれた部位が角部94の底壁940となっている。第1直線部位90の外壁901の基端側部位と第2直線部位91の外壁911の基端側部位は一体化されており、角部94に位置してL形状の外壁941を形成しており、第1直線部位90の内壁902の基端側部位と第2直線部位91の内壁912の基端側部位は一体化されており、角部94に位置して角柱状の角部94の内壁942が形成されている。角部94の底壁940には、円形状の貫通孔943が形成されている。貫通孔943の断面形状は限定されない。
【0026】
治具9の第1直線部位90において、外壁901の先端側部位9010、内壁902の先端側部位9020は、高さ寸法が大きい高背部分となっており、第1凹溝92の先端側部位は深溝部となっている。治具9の第2直線部位91において、外壁911の先端側部位9110、内壁912の先端側部位9120は、高さ寸法が大きい高背部分となっており、第2凹溝93の端部側部位は深溝部となっている。治具9の角部94において、L形状の外壁941、柱状の内壁942は、高さ寸法が大きい高背部分となっており、治具9の角部94の凹溝は深溝部となっている。
【0027】
本実施形態に係る治具9において、第1直線部位90の外壁901、内壁902、第2直線部位91の外壁911、内壁912において、上記高背部分(外壁901の先端側部位9010、内壁902の先端側部位9020、外壁911の先端側部位9110、内壁912の先端側部位9120、角部94の外壁941、柱状の内壁942)を除く部位が低背部分9011、9021、9111、9121となっており、低背部分9011、9021、9111、9121に位置する第1凹溝92、第2凹溝93は浅溝部となっている。
【0028】
図6に示すように、緩衝部材7が第1直線部位90の第1凹溝92に嵌め込まれた状態で、緩衝部材7の基部70の底面は底壁900に接触しており、治具9の一対の側壁(外壁901、902、911、912)の低背部分9011、9021、9111、9121の高さは、浅溝部に嵌め込まれた緩衝部材7の基部70に対応しており、基部70の左右のフィン72が対向状の外壁901と内壁902の内面に接触しており、膨出部71は、低背部の上端よりも上方に位置している。高背部分の高さは、深溝部に嵌め込まれた緩衝部材7の膨出部71の下半部に対応しており、外壁901の先端側部位9010、内壁902の先端側部位9020の内面の上端部位が膨出部71の下半部(一方はフィン74)に接触もしくは近接している。
【0029】
[D]治具を用いた緩衝部材の仮固定構造
本実施形態に係るL形状の治具9は、直角方向に延びる2本の緩衝部材7の端面700と、コーナーピースである緩衝部材8の第1部分80の第1端面800、第2部分81の第2端面810との接着剤を介した接着に用いられる。以下の説明では、2本の緩衝部材7を第1緩衝部材、第2緩衝部材と称し、L形状の緩衝部材8を第3緩衝部材と称する。図6図8を参照する以下の説明において、第1緩衝部材と第2緩衝部材を識別するために、「第1緩衝部材7A」、「第2緩衝部材7B」として説明する。第3緩衝部材は「第3緩衝部材8」として説明する。治具9は、長尺状に延びる第1緩衝部材7Aの端面700と、L形状の第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800とを接着剤を用いて接着し、長尺状に延びる第2緩衝部材7Bの端面700と、第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810とを接着剤を用いて接着して組み立てるための治具である。
【0030】
図6に示すように、治具9の角部94の凹溝94´に第3緩衝部材8が嵌め込まれ、第1直線部位90の第1凹溝92に第1緩衝部材7Aが嵌め込まれ、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800が接着剤を介して密着した状態で治具9に保持されており、第2直線部位91の第2凹溝93に第2緩衝部材7Bが嵌め込まれ、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810が接着剤を介して密着した状態で治具9に保持されている。
【0031】
第1緩衝部材7Aが第1直線部位90の第1凹溝92に嵌め込まれた状態において、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800の密着部ないし密着面は、外壁901、内壁902の低背部分9011、9021に位置しており、また、底壁900の開口920に位置している。第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800の密着面の近傍部位(図示の態様では、第1緩衝部材7Aの膨出部71と緩衝部材8の膨出部の全周を含む)は、外壁901、内壁902の低背部分9011、9021の上方に露出しており、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800の密着面の周囲のより広い範囲に接着剤を塗布することが可能となっている。密着面の周囲の接着剤が塗布された領域を塗布領域11で示す。
【0032】
第1緩衝部材7Aの先端側部位は、深溝部(第1凹溝92において、外壁901の先端側部位9010と内壁902の先端側部位9020の間の部位)に嵌め込まれており、第3緩衝部材8の第1部分80は、深溝部(外壁941と内壁942の間の部位)に嵌め込まれており、第1緩衝部材7Aと第3緩衝部材8の第1部分80は、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800が密着した直線状の姿勢で治具9の第1凹溝92に保持されている。
【0033】
第2緩衝部材7Bが第2直線部位91の第2凹溝93に嵌め込まれた状態において、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810の密着部ないし密着面は、外壁911、内壁912の低背部分9111、9121に位置しており、また、底壁910の開口930に位置している。第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810の密着部の近傍部位(図示の態様では、第2緩衝部材7Bの膨出部71と緩衝部材8の膨出部の全周を含む)は、外壁911、内壁912の低背部分9111、9121に上方に露出しており、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810の密着面の周囲のより広い範囲に接着剤を塗布することが可能となっている。密着面の周囲の接着剤が塗布された領域を塗布領域11で示す。
【0034】
第2緩衝部材7Bの先端側部位は、深溝部(第2凹溝93において、外壁911の先端側部位9110と内壁912の先端側部位9120の間の部位)に嵌め込まれており、第3緩衝部材8の第2部分81は、深溝部(外壁941と内壁942の間の部位)に嵌め込まれており、第2緩衝部材7Bと第3緩衝部材8の第2部分81は、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2端面810が密着した直線状の姿勢で治具9の第2凹溝93に保持されている。
【0035】
[E]治具を用いた緩衝部材の固定方法
図7を参照しつつ、治具9を用いた緩衝部材(第1緩衝部材7A、第2緩衝部材7B、緩衝部材8)の固定方法について説明する。治具9を所定部位に設置する。治具9は、例えば、壁に立てかけたり、接着テープで着脱可能に固定する等して設置する。図示の態様では、治具9の第1直線部位90を水平状とし、第2直線部位91を垂直状とした姿勢で治具9を固定している。
【0036】
治具9の角部94の凹溝94´に第3緩衝部材8を嵌め込む。第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800、第2部分81の第2端面810と、第1緩衝部材7Aの端面700、第2緩衝部材7Aの端面700をぴったり位置合わせするため、第3緩衝部材8は基部の底面を凹溝94´の底面に当接させた状態で嵌め込む。なお、治具9を設置する前に第3緩衝部材8を角部94の凹溝94´に嵌め込んでもよい。
【0037】
第1緩衝部材7Aの端面700に接着剤を塗布し、第1緩衝部材7Aを治具9の第1直線部位の第1凹溝92に嵌め込み、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800を接着剤を介して密着させた状態で保持する。第1緩衝部材7Aは基部の底面を第1凹溝92の底面に当接させた状態で嵌め込む。第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800に接着剤を塗布して、第1緩衝部材7Aの端面700に塗布した接着剤と密着させるようにする。接着剤の塗布のタイミングは、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800を密着する前であれば、限定されない。第1緩衝部材7Aと第3緩衝部材8の第1部分80は、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800が接着剤を介して密着した直線状の姿勢で治具9の第1凹溝92に保持されている。
【0038】
次いで、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1端面800の密着面の周囲に接着剤を塗布する。治具9の第1直線部位90の底壁900の開口920から塗布を行ってもよく、また、開口920を設けたことで、余分な接着剤によって、塗布領域11が第1凹溝92の内面に接着することを可及的に防止している。
【0039】
第2緩衝部材7Bの端面700に接着剤を塗布し、第2緩衝部材7Bを治具9の第2直線部位91の第2凹溝93に嵌め込み、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810を接着剤を介して密着させた状態で保持する。第2緩衝部材7Bは基部の底面を第2凹溝93の底面に当接させた状態で嵌め込む。第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810に接着剤を塗布して、第2緩衝部材7Bの端面700に塗布した接着剤と密着させるようにする。接着剤の塗布のタイミングは、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810を密着する前であれば、限定されない。第2緩衝部材7Bと第3緩衝部材8の第2部分81は、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810が接着剤を介して密着した直線状の姿勢で治具9の第2凹溝93に保持されている。
【0040】
次いで、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2端面810の密着面の周囲に接着剤を塗布する。治具9の第2直線部位91の底壁910の開口930から塗布を行ってもよく、また、開口930を設けたことで、余分な接着剤によって、塗布領域11が第2凹溝93の内面に接着することを可及的に防止している。
【0041】
本実施形態に係る治具9を用いることによって、第1緩衝部材7Aと、第2緩衝部材7Bと、第3緩衝部材8が、端面同士が接着剤で密着され、直角のL形状を維持した姿勢で保持される。より具体的には、上記直角のL形状は、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800が接着剤を介して密着した直線状の姿勢と、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810が接着剤を介して密着した直線状の姿勢と、からなる。
【0042】
治具9によって、端面同士が接着剤で密着状態にある緩衝部材(第1緩衝部材7A、第2緩衝部材7B、第3緩衝部材8)を直線姿勢で保持することで、従来のように、緩衝部材を、密着状態がズレないように密着状態を維持して、手で持って所定時間保持する必要がなく、緩衝部材の組み立て作業の作業性が向上する。一旦、緩衝部材の接続部位(密着部位)を治具9に保持させて放置しておけば、連続して他の接続作業を行うことができる。緩衝部材は直線姿勢が嵌合状態で保持されているので、緩衝部材の接続部位の近傍部位がねじれることがなく、接着剤の硬化時において、緩衝部材同士の接着面が剥がれたり、緩衝部材がねじれて変形した状態(接着面がズレた状態)で接着剤が硬化してしまうようなことがない。
【0043】
緩衝部材同士の接着剤を介した密着面及び密着面の近傍部位は、治具9の低背部分(浅溝部)9011、9021、9111、9121に位置しており、また、浅溝部の底壁900、910には、開口920、930が形成されており、緩衝部材同士の密着面の周囲のより広い範囲に接着剤を塗布することが可能となっている。また、緩衝部材同士の密着面及び近傍部位において余分な接着剤が存在したとしても、浅溝部の内面と上記密着面及び近傍部位との接触面積が高背部に比べて小さいので、上記密着面及び近傍部位が治具9に接着されて取り出し難くなるおそれを低減している。一方、密着面の近傍部位の両側の部位は、治具9の深溝部に嵌め込まれているので、端面同士が接着剤で密着状態にある緩衝部材(第1緩衝部材7A、第2緩衝部材7B、第3緩衝部材8)が直線姿勢でしっかりと保持される。
【0044】
接着剤の硬化のために十分な所定時間経過後に、治具9から一体化された緩衝部材7´を取り外す。本実施形態では、緩衝部材7´の取り外しに際して、治具9の角部94の底面940の貫通孔943から軸状部材ないし棒等の押し出し手段10を差し入れて、角部94の凹溝94´内の緩衝部材7´の緩衝部材8を押し出すことで、接着面に負荷が集中することを防止し、緩衝部材7´の取り外しを容易にしている。
【0045】
[F]現場における治具を用いた緩衝部材の固定方法
図8において、ドア枠1の縦枠4と下枠6の角部の近傍に治具9が設置されている。治具9の角部94には、第3緩衝部材8が嵌め込まれている。治具9は例えば、接着テープによって所定位置に着脱可能に固定してもよい。第1緩衝部材7Aと第3緩衝部材8の第1部分80の接続作業及び第2緩衝部材7Bと第3緩衝部材8の第2部分81の接続作業は、ドア枠1の近傍で行われる。
【0046】
第1緩衝部材7Aは、ドア枠1の下枠6の長さ方向に延びる長尺部材であり、一端側部位を残して、下枠6の溝部60に嵌め込まれている。第1緩衝部材7Aの端面700に接着剤を塗布して、治具9の第1直線部位90の第1凹溝92に嵌め込み、第1緩衝部材7Aの端面700と第3緩衝部材8の第1部分80の第1端面800を密着させた状態で保持する。
【0047】
第1緩衝部材7Aの一端側部位の端部(一方の端部)と第3緩衝部材8の第1部分80の密着状態を治具9で保持した状態で、下枠6と縦枠5からなる他方の角部の近傍に治具9を設置し、第1緩衝部材7Aの他端側部位の端部(他方の端部)と他方の角部に嵌め込んだ第3緩衝部材8の第1部分80との接続作業を行うことができる。
【0048】
第2緩衝部材7Bは、ドア枠1の縦枠4の長さ方向に延びる長尺部材であり、一端側部位を残して、縦枠4の溝部40に嵌め込まれている。第2緩衝部材7Bの端面700に接着剤を塗布して、治具9の第2直線部位91の第2凹溝93に嵌め込み、第2緩衝部材7Bの端面700と第3緩衝部材8の第2部分81の第2端面810を密着させた状態で保持する。
【0049】
第2緩衝部材7Bの一端側部位の端部(一方の端部)と第3緩衝部材8の第2部分81の密着状態を治具9で保持した状態で、上枠3と縦枠5の角部の近傍に治具9を設置し、第2緩衝部材7Bの他端側部位の端部(他方の端部)と他方の角部に嵌め込んだ第3緩衝部材8の第2部分81との接続作業を行うことができる。
【0050】
L形状の治具9に、第1緩衝部材7A、第2緩衝部材7B、緩衝部材8が、端面同士が接着剤で密着された状態で保持された姿勢は、図6を参照することができる。この姿勢で、接着剤が完全に硬化して、第1緩衝部材7A、第2緩衝部材7B、緩衝部材8が一体化されるまで放置し、一体化された緩衝部材7´(第1緩衝部材7A、第2緩衝部材7B、緩衝部材8かなるL形状部位)を、治具9から取り外して、ドア枠の四周状の溝部の隅部に押し入れるように嵌め込む。治具9は再利用可能である。
【0051】
[F]治具の変形例
治具9において、第1直線部位90の外壁901、内壁902、第2直線部位91の外壁911、内壁912は全て低背(浅溝)でもよい。すなわち、第1直線部位90と第2直線部位91(角部94の外壁941、内壁942を含む)が全て低背(浅溝)でもよい。第1直線部位90の外壁901の先端側部位9010、内壁902の先端側部位9020、第2直線部位91の外壁911の先端側部位9110、内壁912の先端側部位9120、角部94の外壁941、内壁942のいずれか1つあるいは複数が低背であってもよい。第1直線部位90の外壁901の先端側部位9010、内壁902の先端側部位9020、第2直線部位91の外壁911の先端側部位9110、内壁912の先端側部位9120、角部94の外壁941、内壁942の高さを高くして(例えば、膨出部71のフィン74を越える高さ)、緩衝部材7がより深く嵌るようにして、緩衝部材7の保持状態を向上させるようにしてもよい。第1直線部位90の第1凹溝92の開口920、第2直線部位91の第2凹溝93の開口930が無くてもよい。角部94の底壁940の貫通孔943が無くてもよい(例えば、凹溝の上方から緩衝部材7の膨出部71を摘まんで持ち上げるようにして緩衝部材7を取り外してもよい)。
【符号の説明】
【0052】
1 ドア枠
2 扉体
7 緩衝部材
700 端面
7A 第1緩衝部材
7B 第2緩衝部材
8 緩衝部材(第3緩衝部材)
80 第1部分
800 第1端面
81 第2部分
810 第2端面
9 治具
90 第1直線部位
900 底壁
901 外壁(側壁)
9010 外壁の先端側部位(高背部分)
9011 低背部分
902 内壁(側壁)
9020 内壁の先端側部位(高背部分)
9021 低背部分
91 第2直線部位
910 底壁
911 外壁(側壁)
9110 外壁の先端側部位(高背部分)
9111 低背部分
912 内壁(側壁)
9120 内壁の先端側部位(高背部分)
9121 低背部分
92 第1凹溝
920 開口
93 第2凹溝
930 開口
94 角部
940 底壁
941 外壁(高背部分、側壁)
942 内壁(高背部分、側壁)
943 貫通孔
94´ 凹溝
10 押し出し手段(軸部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8