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特開2023-77440印刷装置および印刷方法ならびに実装用基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077440
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法ならびに実装用基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/08 20060101AFI20230530BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20230530BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41M1/12
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190672
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲矢
【テーマコード(参考)】
2C035
2H113
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FA26
2C035FA31
2C035FB25
2C035FB32
2C035FD01
2C035FD42
2H113AA01
2H113AA04
2H113BA10
2H113BB22
2H113BC12
2H113CA17
5E319AA03
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD29
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】品質の高いバンプを有する実装用基板を製造することができる印刷装置および印刷方法ならびに実装用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】印刷装置は、複数の第1開口H1が形成された薄膜G1が上面に設けられ、複数の電極E1が複数の第1開口H1から露出する基板B1を保持する基板保持部30と、複数の第1開口H1の内部の気体を排気する後側排気部61Rと、気体が排気された複数の第1開口H1にペーストPstを充填する充填部60と、を有し、保持された基板B1の上を基板B1に対して相対的に移動する印刷ヘッドと、少なくとも保持された基板B1に振動を印加する振動子31と、を備える。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口が形成された薄膜が上面に設けられ、複数の電極が前記複数の開口から露出する基板を保持する基板保持部と、
前記複数の開口の内部の気体を排気する排気部と、前記気体が排気された前記複数の開口にペーストを充填する充填部と、を有し、保持された前記基板の上を前記基板に対して相対的に移動する印刷ヘッドと、
少なくとも保持された前記基板に振動を印加する振動子と、を備える、印刷装置。
【請求項2】
前記充填部は、
前記ペーストを収容する収容部と、
前記収容部の前記ペーストを前記複数の開口に向けて押し出す加圧部と、を備える、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記排気部は、印刷方向に相対的に移動する前記充填部の前方に配置される、請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷ヘッドは、
第1方向に相対的に移動する前記充填部の前方に配置された第1排気部と、
前記第1方向とは異なる第2方向に相対的に移動する前記充填部の前方に配置された第2排気部と、を有し、
前記充填部が前記第1方向に相対的に移動する際は、前記第1排気部が前記複数の開口の内部の気体を排気し、
前記充填部が前記第2方向に相対的に移動する際は、前記第2排気部が前記複数の開口の内部の気体を排気する、請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記振動子は、前記印刷ヘッドが前記ペーストを前記複数の開口に充填させている際に、前記基板に前記振動を印加する、請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記振動子は前記基板保持部に設けられており、
前記基板保持部が前記基板を保持した状態において、前記振動子は前記基板の裏面に接触している、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記振動子は前記基板保持部に接触し、
前記振動は前記基板保持部を介して前記基板に印加される、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記振動子は前記基板保持部に設けられており、
前記振動は前記基板保持部を介して前記基板に印加される、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記基板保持部を支持する支持機構と、
前記振動子が印加する前記振動の前記支持機構への伝搬を抑制する防振部をさらに備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記振動子は、周波数が1.5kHz以上、60kHz以下の前記振動を印加する、請求項1から9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記振動子は、主に前記基板の上下方向の前記振動を印加する、請求項1から10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項12】
基板の上面に設けられた薄膜に形成され、前記基板の複数の電極が露出する複数の開口にペーストを充填する印刷方法であって、
前記複数の開口の内部の気体を排気し、
前記基板に振動を印加しながら、前記気体が排気された前記複数の開口に前記ペーストを充填する、印刷方法。
【請求項13】
上面に複数の電極を有する基板に薄膜を形成し、
前記薄膜に複数の開口を形成して前記複数の電極を露出させ、
前記複数の開口の内部の気体を排気し、
前記基板に振動を印加しながら、前記気体が排気された前記複数の開口に前記ペーストを充填し、
その後、前記基板を加熱して前記複数の電極の上にバンプを形成し、
前記基板から前記薄膜を除去する、実装用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にペーストを印刷する印刷装置および印刷方法ならびに基板にバンプを形成した実装用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線が形成されたプリント基板やウェハなどの基板に高密度で電子部品を実装するために、基板の上面に形成された電極の上にはんだバンプを形成した実装用基板が採用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、電極が形成された基板上に樹脂膜を形成し、電極が露出するように樹脂膜に開口を形成し、開口にはんだを含むペーストを充填し、基板を加熱してはんだを融解させてバンプを形成し、最後に樹脂膜を除去して基板の電極の上にはんだバンプを形成する、バンプ形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-334895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1を含む従来技術では、バンプの間隔が狭い高密度基板用基板を製造する場合に樹脂膜の開口のアスペクト比が高くなり、ペーストを充填する過程で基板上の電極と充填したペーストの間に空気が取り残されてしまうという問題点があった。この状態で基板を加熱してバンプを形成すると、電極からバンプが脱落したり、バンプと電極との接合面積が過少となって接合強度が不足したりすることがあり、品質の高いバンプを有する実装用基板を製造するには更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、品質の高いバンプを有する実装用基板を製造することができる印刷装置および印刷方法ならびに実装用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、複数の開口が形成された薄膜が上面に設けられ、複数の電極が前記複数の開口から露出する基板を保持する基板保持部と、前記複数の開口の内部の気体を排気する排気部と、前記気体が排気された前記複数の開口にペーストを充填する充填部と、を有し、保持された前記基板の上を前記基板に対して相対的に移動する印刷ヘッドと、少なくとも保持された前記基板に振動を印加する振動子と、を備える。
【0007】
本発明の印刷方法は、基板の上面に設けられた薄膜に形成され、前記基板の複数の電極が露出する複数の開口にペーストを充填する印刷方法であって、前記複数の開口の内部の気体を排気し、前記基板に振動を印加しながら、前記気体が排気された前記複数の開口に前記ペーストを充填する。
【0008】
本発明の実装用基板の製造方法は、上面に複数の電極を有する基板に薄膜を形成し、前記薄膜に複数の開口を形成して前記複数の電極を露出させ、前記複数の開口の内部の気体を排気し、前記基板に振動を印加しながら、前記気体が排気された前記複数の開口に前記ペーストを充填し、その後、前記基板を加熱して前記複数の電極の上にバンプを形成し、前記基板から前記薄膜を除去する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、品質の高いバンプを有する実装用基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の実装用基板製造システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の印刷装置によりペーストが充填される基板の例の構造を示す(a)平面図(b)断面図
図3】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の印刷装置によりペーストが充填される基板の製造工程の説明図
図4】本発明の一実施の形態の印刷装置の要部の構造を示す平面図
図5】本発明の一実施の形態の印刷装置の要部の構造を示す側面図
図6】本発明の一実施の形態の印刷装置が備える基板保持部の要部の構造を示す(a)平面図(b)側面図
図7】本発明の一実施の形態の印刷装置が備える印刷ヘッドの機能説明図
図8】(a)(b)(c)従来の実装用基板製造システムによる実装用基板の製造工程の説明図
図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の実装用基板製造システムによる実装用基板の製造工程の説明図
図10】本発明の一実施の形態の印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
図11】本発明の一実施の形態の実装用基板の製造方法のフロー図
図12】本発明の一実施の形態の印刷方法のフロー図
図13】本発明の一実施の形態の印刷装置が備える基板保持部の他の実施例の要部の構造を示す(a)平面図(b)側面図
図14】本発明の一実施の形態の印刷装置が備える基板保持部の他の実施例の要部の構造を示す(a)平面図(b)側面図
図15】本発明の一実施の形態の印刷装置の他の実施例によりペーストが充填される基板の例の構造を示す(a)平面図(b)断面図
図16】本発明の一実施の形態の印刷装置の他の実施例の要部の構造を示す平面図
図17】本発明の一実施の形態の印刷装置の他の実施例が備える印刷ヘッドの要部の構造を示す(a)側面図(b)正面図
図18】本発明の一実施の形態の印刷装置の他の実施例が備える印刷ヘッドの要部の構造を示す側面断面図
図19】本発明の一実施の形態の印刷装置の他の実施例の制御系の構成を示すブロック図
図20】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の実装用基板製造システムの他の実施例による実装用基板の製造工程の説明図
図21】本発明の一実施の形態の印刷方法の他の実施例のフロー図
図22】本発明の一実施の形態の印刷方法の他の実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、実装用基板製造システム、実装用基板、印刷装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図4、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図4における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図4における上下方向)が示される。図5、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図5における上下方向)が示される。
【0012】
まず図1を参照して、実装用基板製造システム1の構成について説明する。実装用基板製造システム1は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、印刷装置M1、リフロー装置M2を直列に連結して構成されている。実装用基板製造システム1は、基板Bの表面に形成された第1開口Hにはんだ粒子を含むクリームはんだや、銀や銅などの導電体の粉末を含む導電性ペーストなどのペーストを充填し、基板Bの電極にバンプQを形成する機能を有している。各装置は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されており、また各装置は通信ネットワーク2を介して相互にデータを送受信する。管理コンピュータ3は、各装置で使用される制御プログラムなどを含む生産データなどを記憶し、各装置による製造作業を統括して制御する。
【0013】
印刷装置M1は、上流の装置(図示省略)から基板Bを受け取り(矢印a)、基板Bに形成された第1開口Hにペーストを充填(印刷)する。リフロー装置M2は、装置内に搬送された基板Bを基板加熱部によって加熱して、基板Bの第1開口Hに充填されたペーストに含まれるはんだを融解させた後に硬化させ、または、ペーストに含まれる導電体を焼成して、基板Bの電極にバンプQを形成する基板加熱作業を実行する。バンプQが形成された基板Bは、リフロー装置M2から搬出され(矢印b)、下流の装置(図示省略)に搬送される。
【0014】
ここで、図2を参照して、印刷装置M1によって第1開口Hにペーストが充填される基板Bの構成について説明する。図2(a)は、基板Bを上方から見た平面図である。図2(b)は、図2(a)におけるA-A断面における断面図である。配線が形成されたプリン基板などの基板Bの上面には、複数の電極Eが形成されている。また、電極E以外の基板Bの上面には、絶縁体であるレジストRが形成されている。さらに、レジストRの上面には、電極Eが露出する第1開口Hが形成されたドライフィルムレジストなどの薄膜Gが形成されている。すなわち、基板Bは、複数の第1開口Hが形成された薄膜Gが上面に設けられ、複数の電極Eが複数の第1開口Hから露出している。
【0015】
次に、図3を参照して、基板Bの上面に第1開口Hを有する薄膜Gを形成する工程について説明する。まず、上面に電極EとレジストRが形成された基板Bが用意される(図3(a))。次に、基板Bの上面の全面に薄膜Gが形成される(薄膜Gが貼り付けられる)(図3(b))。次に、露光、現像、エッチングなどの工程により、薄膜Gに複数の第1開口Hが形成される(図3(c))。これにより、電極Eの周りに薄膜Gによる壁(ソルダーダム)が形成される。
【0016】
次に、図4図5を参照して、印刷装置M1の構造について説明する。印刷装置M1は、基台4上にX軸に沿って延びる一対の搬送コンベア5を備えている。基台4には、制御装置Cが設けられている。搬送コンベア5は制御装置Cによって制御され、印刷装置M1の上流から受け取った基板BをX軸に沿って搬送し、印刷装置M1の下流に搬出する。
【0017】
搬送コンベア5においてX軸方向の中央付近には、制御装置Cによって制御される基板保持部30が設けられている。基板保持部30は、搬送コンベア5が搬送する基板Bを受け取って、所定のクランプ位置に保持する。基板保持部30は、基板保持部30に保持された基板Bに振動を印加する振動子31を備えている。振動子31は、制御装置Cによって制御される振動電源部32(図10参照)によって駆動される。制御装置Cは、振動電源部32を制御することにより、振動子31の振動を開始させ、振動を停止させ、また、振動子31により発生させる振動の周波数と強度(振幅)を変更させる。
【0018】
ここで、図6を参照して、基板保持部30の構造について説明する。図6(a)は、基板保持部30の要部を上方から見た平面図であり、便宜上、基板Bの表示は省略している。図6(b)は、基板保持部30の要部を側方から見た側面図である。基板保持部30は、後述する基板位置決め機構10の基板昇降機構9により昇降移動するXY平面に広がる平板形状のベース部33を備えている。ベース部33の中央付近の上部には、平板形状のプレート35を下方から支持して昇降させるプレート昇降機構34が配置されている。プレート昇降機構34は基板保持部30を支持する支持機構であり、制御装置Cによって制御されている。
【0019】
プレート35の上面には、平板形状の防振部36を介して基板保持ブロック37が配置されている。基板保持ブロック37には、上部が露出する状態で振動子31が配置されている。この例では、5つの振動子31が配置されている。基板保持ブロック37が搬送コンベア5によって搬送された基板Bの裏面を支持する状態で、振動子31は基板Bの裏面に接触する。
【0020】
図6において、ベース部33の上部には、プレート昇降機構34のY軸方向の両側方に、上方に延出するクランパ支持部38が配置されている。クランパ支持部38の上部には、X軸に沿って延びるクランパ39がそれぞれ配置されている。クランパ39は、制御装置Cによって制御されている。
【0021】
次に、図6(b)を参照して、基板保持部30が搬送コンベア5によって搬送された基板Bをクランプ位置に保持する工程について説明する。基板保持ブロック37の上面が搬送コンベア5の上面よりも低くなる位置で待機している状態で、制御装置Cは搬送コンベア5を制御して、基板Bを搬送させて基板保持ブロック37の上方で停止させる。次いで制御装置Cはプレート昇降機構34を制御して、プレート35を上昇させ(矢印d1)、基板保持ブロック37の上面に基板Bの裏面を支持させて、基板Bをクランプ位置まで上昇させる。次いで制御装置Cはクランパ39を制御して、2つのクランパ39をそれぞれ基板Bの方向に移動させ(矢印d2)、基板Bの側面をクランパ39で挟んで保持させる。
【0022】
基板保持部30が基板Bをクランプ位置に保持した状態(図6(b)の状態)で、振動子31は基板Bの裏面に接触している。制御装置Cが振動電源部32を制御して振動子31の振動を開始させると、振動子31から基板Bに振動が印加される。このように、振動子31は基板保持部30の基板保持ブロック37に設けられており、振動子31は基板Bの裏面に接触し、基板保持部30に保持された基板Bに振動を印加する。
【0023】
図6(b)において、防振部36は、平板形状の防振ゴムなどで形成されており、振動子31が基板Bに印加する振動がプレート35に伝搬することを防止する。このように、防振部36は、振動子31が印加する振動のプレート昇降機構34(支持機構)への伝搬を抑制し、基板位置決め機構10への振動の伝搬を抑制するように設置される。また、防振部36は、基板保持ブロック37とプレート35の間の他に、クランパ支持部38、ベース部33にも設置するようにしてもよい。
【0024】
図4図5において、基板保持部30の上方には、基板Bにペーストを印刷するための第2開口6aと、2つ一組のマスク側マーク6mが形成されたマスク6が設置されている。マスク6はXY平面に広がって延びた矩形平板形状を有しており、その外周は枠部材6wによって支持されている。第2開口6aは、基板Bに形成された複数の第1開口Hを包含するように形成されている。すなわち、基板保持部30に保持された基板Bがマスク6の下面に位置合わせされた状態において、第2開口6aを通じて複数の第1開口Hが露出している。
【0025】
図5において、基台4上には、XYテーブル7、θテーブル8、基板昇降機構9が下方から順に設けられている。XYテーブル7は、θテーブル8を水平面内(X軸方向、Y軸方向)で移動させる。θテーブル8は、基板昇降機構9をZ軸周りにθ回転させる。基板昇降機構9は、基板保持部30を下方から支持して昇降させる。XYテーブル7、θテーブル8、基板昇降機構9は、制御装置Cによって制御されている。
【0026】
図5において、マスク6の下方には、基板認識用のカメラとマスク認識用のカメラを内蔵するカメラユニット11が備えられている。カメラユニット11は、制御装置Cによって制御されるカメラ移動機構12(図10参照)によって水平面内を移動する(矢印c)。
【0027】
ここで、図5を参照して、基板保持部30が保持する基板Bの位置をマスク6に位置合わせする位置合わせ工程について説明する。カメラユニット11は基板Bとマスク6の間に移動して、基板Bに形成された位置合わせ用の基板側マーク(図示省略)と、マスク6に形成された位置合わせ用のマスク側マーク6mを撮像する。制御装置Cは、カメラユニット11で撮像された画像に基づいてマスク側マーク6mと基板側マークの位置を認識する。
【0028】
次いで制御装置Cは認識結果に基づいて、XYテーブル7、θテーブル8、基板昇降機構9を制御して、マスク6に形成された第2開口6aから、基板保持部30が保持する基板B上に形成された複数の第1開口Hが露出するように位置と向きを合わせる。次いで制御装置Cは基板保持部30を上昇させて、基板Bを下方からマスク6の下面に接触させる。このように、XYテーブル7、θテーブル8、基板昇降機構9は、基板保持部30を移動させて基板保持部30に保持された基板Bをマスク6の下面に位置合わせする基板位置決め機構10を構成する。
【0029】
図4図5において、マスク6の上方には、印刷ヘッド移動機構13(図10参照)によってY軸に沿って移動する印刷ヘッド20が備えられている。印刷ヘッド20は、印刷ヘッド移動機構13によって水平面内を移動する移動ベース21を備えている。移動ベース21には、2基のスキージ保持部22がY軸に沿って並んで配置されている。スキージ保持部22は、それぞれX軸に沿って延びたスキージ23を下端に保持し、移動ベース21に設けられた昇降機構24によって昇降する。印刷ヘッド移動機構13、印刷ヘッド20は、制御装置Cによって制御される。
【0030】
次に図7を参照して、印刷ヘッド20による印刷動作について説明する。印刷動作は、基板保持部30が保持する基板Bをマスク6に位置合わせした状態で実行される。制御装置Cは昇降機構24を制御して、一方のスキージ23を下降(矢印e1)させて第2開口6aが形成された領域の前側に当接させる。次いで制御装置Cは印刷ヘッド移動機構13を制御して、スキージ23をY軸に沿って後側に移動させる(矢印e2)。スキージ23が複数の第1開口Hの上を移動する際に、マスク6の上面に供給されていたペーストPstが複数の第1開口Hに所定の印圧(圧力)で押し込まれて充填される。
【0031】
スキージ23が第2開口6aが形成された領域の外側(後側)まで移動すると、制御装置Cは一方のスキージ23を上昇させる。制御装置Cは、次の基板Bに対してペーストPstを印刷(充填)する際は、一方のスキージ23と同様に、他方のスキージ23を下降させてマスク6に当接させ、Y軸に沿って前側に移動させて複数の第1開口HにペーストPstを押し込む移動動作を実行させる。このように、印刷ヘッド20は、スキージ23を用いて、マスク6上のペーストPstを、第2開口6aを通じて複数の第1開口Hに充填(印刷)する。また、制御装置Cは、印刷の際に、基板保持部30に保持された基板Bに振動子31から振動を印加させる。
【0032】
次に、図8図9を参照して、印刷装置M1によるペーストPstの充填時に、振動子31から基板Bに振動を印加する効果について説明する。ここで、ペーストPstは、フラックスFの中にはんだ粒子Sを含むクリームはんだである場合を例として説明する。図8は、充填時に基板Bに振動を印加しない従来の印刷方法(印刷作業)を示している。図9は、充填時に振動子31から基板Bに振動を印加する本発明の実施の形態の印刷方法(印刷作業)を示している。
【0033】
まず、図8を参照して、従来の印刷方法について説明する。図8(a)において、制御装置Cは、基板保持部30に保持された基板Bをマスク6の下面に接触させ(基板接触工程)、スキージ23を基板Bに当接させ、Y軸に沿って摺動させながら(矢印f)ペーストPstを基板Bの第1開口Hに押し込ませる(印刷工程)。ペーストPstに含まれるフラックスFは粘性を有する。そのため、ペーストPstが上方から第1開口Hに充填される過程で、第1開口Hの下方に押し込まれた空気を第1開口Hから外部に逃がすことができなかった場合は、第1開口HにペーストPstが充填できていない空洞Haが形成される。
【0034】
次いで制御装置Cは、基板保持部30を下降させながら、基板Bをマスク6から引き離す(離反工程)。その後、リフロー装置M2によって基板加熱作業が実行される(リフロー工程)。図6(b)は、リフロー工程後の基板Bの状態を示している。すなわち、基板Bに転写されたペーストPstのはんだ粒子Sはリフロー工程により融解されて球状となり、その後に硬化されることでバンプQが形成されている。図中の左側のバンプQは、正常に基板Bの電極Eに接合されている。中央のバンプQは、電極Eには接合されているものの、接合面積は小さくて正常には接合されていない。右側のバンプQは、電極Eに接合されていない。
【0035】
その後、バンプQが形成された基板Bから薄膜Gが除去される(薄膜除去工程)。図8(c)は、薄膜Gが除去された基板Bを示している。図中の右側の電極Eに接合されていなかったバンプQは、薄膜除去工程中に基板Bから外れている。このように、従来の印刷工程では、第1開口HにペーストPstが充填されていない空洞Haが大きかった場合、その後に形成されるバンプQが電極Eと正常に接合されなかったり、電極Eから外れたりするという品質問題があった。
【0036】
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態のスキージ23を有する印刷ヘッド20を備える印刷装置M1を使用する印刷方法について説明する。本実施の形態の印刷工程は、基板保持部30が備える振動子31から基板Bに振動を印加しながら印刷工程を実行するところが従来の印刷方法と異なる。すなわち、図9(a)において、基板接触工程により基板保持部30に保持された基板Bをマスク6の下面に接触させると、印刷を開始する前に、制御装置Cは振動子31による振動の印加を開始させる(振動開始工程)。そして、印刷工程により基板Bに振動を印加しながらスキージ23をY軸に沿って摺動させて(矢印g)ペーストPstを基板Bの第1開口Hに押し込ませる。
【0037】
振動子31は、周波数が1.5kHz以上、60kHz以下(より望ましくは、30kHz以上、50kHz以下)で、主に基板Bの上下方向の振動を印加する。振動子31が印加する振動により、ペーストPstに含まれるフラックスFの粘性が低下する。これにより、ペーストPstが上方から第1開口Hに充填される過程で、第1開口Hの下方に押し込まれた空気は粘度が低下したペーストPstの間から外部に押し出され、第1開口HにペーストPstが充填できていない空洞Haが形成されない。または、形成される空洞Haは小さい。振動子31が印加する振動の周波数と強度(振幅)は、フラックスFの粘性が低下しすぎず、かつ、第1開口HにペーストPstが充填されて空洞Haが発生しないように設定される。
【0038】
離反工程後のリフロー工程により、第1開口Hに充填されたペーストPstのはんだ粒子SがバンプQに形成される。この際、第1開口HのペーストPstには空洞Haがない、または、発生する空洞Haは小さいため、形成されたバンプQは正常に電極Eに接合される(図9(b))。また、薄膜除去工程によるバンプQの脱落もなく、品質の高いバンプQを有する実装用基板(基板B)が製造される(図9(c))。
【0039】
次に図10を参照して、印刷装置M1の制御系の構成について説明する。印刷装置M1が備える制御装置Cには、搬送コンベア5、基板位置決め機構10、カメラユニット11、カメラ移動機構12、印刷ヘッド移動機構13、タッチパネル14、印刷ヘッド20、振動電源部32の他、基板保持部30が備える振動子31、プレート昇降機構34、クランパ39が接続されている。タッチパネル14は、液晶パネルに印刷装置M1の操作画面などを表示する表示機能と、表示された操作画面を操作することによりコマンドや各種情報などを入力する入力機能を有している。
【0040】
制御装置Cは、記憶部15、印刷作業処理部16、通信部17を備えている。通信部17はネットワーク通信装置であり、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3、リフロー装置M2との間で情報の送受信を実行する。記憶部15は記憶装置であり、基板Bの種類毎に、印刷ヘッド20が基板BにはんだペーストPstを充填(印刷)する印刷条件、振動電源部32が振動子31を駆動する周波数、強度(振幅)などを含む振動条件などが記憶されている。印刷作業処理部16は、記憶部15に記憶される印刷条件、振動条件に基づいて、印刷ヘッド20、振動電源部32を含む印刷装置M1の各部を制御して印刷作業を実行させる。
【0041】
次に、図11のフローに沿って、図3図9を参照しながらバンプQを有する実装用基板を製造する実装用基板の製造方法について説明する。ここでは、ペーストPstとして、はんだ粒子Sを含むクリームはんだを例として説明する。まず、上面に複数の電極EとレジストRが形成された基板Bの上面に薄膜Gを形成する(ST1:薄膜形成工程)(図3(b))。次いで薄膜Gに複数の第1開口Hを形成して複数の電極Eを露出させる(ST2:第1開口形成工程)(図3(c))。
【0042】
次いで印刷装置M1により、基板Bに振動を印加しながら第1開口Hにはんだ粒子Sを含むペーストPstを充填させる(ST3:印刷工程)(図9(a))。次いでリフロー装置M2により、基板Bを加熱してはんだ粒子Sを融解させた後に硬化させて、複数の電極Eの上にバンプQをそれぞれ形成する(ST4:加熱工程)(図9(b))。次いで基板Bから薄膜Gを除去する(ST5:薄膜除去工程)(図9(c))。これによって、品質の高いバンプQを有する実装用基板を製造することができる。
【0043】
次に、図12のフローに沿って、図9を参照しながら印刷装置M1における印刷方法(印刷工程(ST3))について説明する。図12において、まず、印刷装置M1に基板Bが搬入される(ST11:基板搬入工程)。次いで基板保持部30が基板Bを保持してマスク6に対して位置合わせし(ST12:位置合わせ工程)、基板Bの上の薄膜Gと第2開口6aが形成されたマスク6とを接触させる(ST13:基板接触工程)。次いで振動子31による基板Bに対する振動の印加を開始させる(ST14:振動開始工程)。
【0044】
次いでマスク6の上のはんだ粒子Sを含むペーストPstを、マスク6の複数の第2開口6aを通じて複数の第1開口Hに印刷(充填)する(ST15:印刷工程)。すなわち、振動子31は、基板位置決め機構10が基板Bをマスク6の下面に接触させ、印刷ヘッド20が移動しながらマスク6の上面に当接させたスキージ23でペーストPstを複数の第1開口Hに充填している際に、基板Bに振動を印加する(図9(a))。
【0045】
図12において、次いで振動子31による基板Bに対する振動の印加を停止させる(ST16:振動停止工程)。次いで基板保持部30を下降させて、基板Bをマスク6から引き離す(ST17:離反工程)。なお、振動子31は離反工程(ST17)の前に振動の印加を停止せず、離反工程(ST17)中も振動を印加するようにしてもよい。すなわち、振動子31は、ペーストが複数の第1開口Hに充填された後に、基板位置決め機構10が薄膜Gとマスク6とを引き離す際にも、基板Bに振動を印加するようにしてもよい。次いで印刷装置M1から基板Bが搬出される(ST18:基板搬出工程)。
【0046】
上記説明したように、本実施の形態の印刷装置M1は、複数の第1開口Hが形成された薄膜Gが上面に設けられ、複数の電極Eが複数の第1開口Hから露出する基板Bを保持する基板保持部30と、第2開口6aが形成されたマスク6と、基板保持部30を移動させて基板保持部30に保持された基板Bをマスク6の下面に位置合わせする基板位置決め機構10と、マスク6上のペーストPstを、第2開口6aを通じて複数の第1開口Hに充填する印刷ヘッド20と、少なくとも基板保持部30に保持された基板Bに振動を印加する振動子31と、を備えている。これによって、品質の高いバンプQを有する実装用基板を製造することができる。
【0047】
次に、図13を参照して、振動子を備える基板保持部の他の実施例(以下、「基板保持部30A」と称する。)の構成について説明する。以下、図6に示す基板保持部30と同一の部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。基板保持部30Aは、基板Bの下面を支持する基板支持部材41の下方に振動子31Aが配置され、振動子31Aは基板支持部材41を介して基板Bに振動を印加するところが基板保持部30と異なる。
【0048】
図13において、振動子31Aは、プレート昇降機構34によって上下に移動するプレート35の中央付近の上部に配置されている。プレート35の上部において振動子31Aの側方には、防振部36Aを介して上方に延出する支持部材支持部40が配置されている。支持部材支持部40の上部には、金属やガラスエポキシなどで形成された剛性を有して振動を伝搬可能な平板状の基板支持部材41が配置されている。振動子31Aは、基板支持部材41の裏面に接触するように配置されている。
【0049】
搬送コンベア5が基板Bを基板支持部材41の上方に搬送し、プレート昇降機構34がプレート35を上昇させ、基板支持部材41の上面に基板Bの裏面を支持させてクランプ位置まで上昇させ、クランパ39で基板Bを挟むことで、基板Bが基板保持部30Aに保持される。この状態で振動子31Aから振動を発生させると、振動は基板保持部30Aの基板支持部材41を介して基板Bに印加される。
【0050】
次に、図14を参照して、振動子を備える基板保持部の他の実施例(以下、「基板保持部30B」と称する。)の構成について説明する。以下、図6に示す基板保持部30と同一の部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。基板保持部30Bは、基板Bの下面を支持する基板保持ブロック37Bの側面に振動子31Bが配置され、振動子31Bは基板保持ブロック37Bを介して基板Bに振動を印加するところが基板保持部30と異なる。
【0051】
図14において、振動子31Bは、プレート昇降機構34によって上下に移動するプレート35に防振部36を介して配置された基板保持ブロック37Bの側面に配置されている。この例では、基板保持ブロック37BのX軸方向の両側面に、それぞれ振動子31Bが配置されている。搬送コンベア5が基板Bを基板保持ブロック37Bの上方に搬送し、プレート昇降機構34がプレート35を上昇させ、基板保持ブロック37Bの上面に基板Bの裏面を支持させてクランプ位置まで上昇させ、クランパ39で基板Bを挟むことで、基板Bが基板保持部30Bに保持される。
【0052】
この状態で振動子31Bから振動を発生させると、振動は基板保持ブロック37Bを介して基板Bに印加される。このように、振動子31Bは基板保持部30Bの基板保持ブロック37Bに接触し、振動は基板保持部30Bの基板保持ブロック37Bを介して基板Bに印加される。
【0053】
なお、上記はバンプQを有する実装用基板として、フェノール樹脂やガラスエポキシなどで形成されたプリント基板などの基板BにバンプQを形成した例で説明したが、本実施の形態により製造される実装用基板はこの構成に限定されることはない。例えば、複数の電極Eが形成されたシリコンウェハに複数の第1開口Hを有する薄膜Gを形成した基板にバンプQを形成した実装用基板であってもよい。この場合、印刷装置M1によってシリコンウェハに振動を印加しながらスキージ23によりペーストPstを第1開口Hに充填させ、リフロー装置M2によってシリコンウェハを加熱してバンプQを形成する。また、印刷装置M1がスキージ23により第1開口Hに充填するペーストPstは、導電体の粉末を含む導電性ペーストであってもよい。
【0054】
次に、図15~22を参照して、実装用基板の製造方法の他の実施例について説明する。実装用基板の製造方法の他の実施例は、シリコンウェハを使用する基板B1の上面に形成された第1開口H1(開口)に、密閉型の印刷ヘッド20Aを備える印刷装置M1Aを使用して銀や銅などの導電体の粉末を含む導電性ペーストなどのペーストPstを充填してバンプQ1を形成するところが、上述の実装用基板の製造方法と異なる。以下、上述の実装用基板の製造方法、スキージ23を有する印刷ヘッド20を備える印刷装置M1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0055】
まず、図15を参照して、バンプQ1が充填される基板の他の実施例(以下、単に「基板B1」と称する。)の構成について説明する。図15(a)は、基板B1を上方から見た平面図である。図15(b)は、図15(a)におけるA1-A1断面における断面図である。配線が形成されたシリコンウェハなどの基板B1の上面には、複数の電極E1が形成されている。また、電極E1以外の基板B1の上面には、絶縁体であるレジストR1が形成されている。さらに、レジストR1の上面には、電極E1が露出する第1開口H1が形成されたドライフィルムレジストなどの薄膜G1が形成されている。すなわち、基板B1は、複数の第1開口H1(複数の開口)が形成された薄膜G1が上面に設けられ、複数の電極E1が複数の第1開口H1から露出している。
【0056】
基板B1の上面に第1開口H1を有する薄膜G1を形成する工程は図3に示す工程と同様であり、詳細な説明は省略する。基板B1は、外形が平板状の直方体の基板搬送治具Vの上部に形成された凹部Vaに載置された状態で、印刷装置M1Aの搬送コンベア5によって搬送される。基板搬送治具Vの凹部Vaの内径は基板B1の外形より多少大きく形成されている。また、基板搬送治具Vの凹部Vaの深さは、凹部Vaに載置された基板B1に形成された薄膜G1の上面G1aの高さ位置が基板搬送治具Vの上面Vbの高さ位置と略一致するように形成されている。すなわち、基板搬送治具Vに基板B1が載置された状態で、基板搬送治具Vと基板B1は、上面が略平らな形状をした板状の直方体となる。
【0057】
次に、図16を参照して、基板B1に形成された複数の第1開口H1(開口)にペーストPstを充填(印刷)する印刷装置の他の実施例(以下、単に「印刷装置M1A」と称する。)の構成について説明する。印刷装置M1Aは、密閉型の印刷ヘッド20Aを備えるところが、スキージ23を有する印刷ヘッド20を備える印刷装置M1とは異なる。また、マスク6Aに形成された第2開口6Aaの形状が基板B1に形成された複数の第1開口H1の配置に対応して円形であるところが、図4に示す印刷装置M1に設置されたマスク6とは異なる。
【0058】
基板B1が載置された基板搬送治具Vは搬送コンベア5によって搬送され、基板保持部30のクランパ39によってクランプ位置に保持される。第2開口6Aaは、クランプ位置の基板B1に形成された複数の第1開口H1を包含しつつ、基板搬送治具Vの凹部Vaと載置された基板B1の間の隙間を覆うように形成されている(図20(a)も参照)。これにより、複数の第1開口H1にペーストPstを充填する際に、凹部Vaと基板B1の間の隙間にはペーストPstが充填されない。なお、図16には、図6に示す基板保持部30を備える印刷装置M1Aを例に示しているが、基板保持部30の代わりに図13に示す基板保持部30A、または図14に示す基板保持部30Bを備える構成であってもよい。
【0059】
次に、図16図18を参照して、印刷ヘッド20Aの構成について説明する。図17(a)は、印刷ヘッド20AをX軸方向から見た側面図である。図17(b)は、印刷ヘッド20AをY軸方向(前方)から見た正面図である。図18は、図17(b)におけるB-B断面における印刷部22Aの断面図である。印刷ヘッド20Aは、印刷ヘッド移動機構13によって水平面内を移動する移動ベース21Aを備えている。移動ベース21Aには、移動ベース21Aの下方に配置された印刷部22Aを昇降させる昇降機構24Aが配置されている。印刷ヘッド移動機構13、印刷ヘッド20Aは、制御装置CA(図19参照)によって制御される。
【0060】
図17図18において、印刷部22Aは、昇降機構24Aの下部に接続されて昇降する平板状の取付部材52と、取付部材52から下方に延伸する複数の垂下部材53と、垂下部材53の下方に接続された印刷部ベース54を備えている。印刷部ベース54のY軸方向の中央付近には、X軸に沿って延びる収容部55が配置されている。
【0061】
図18において、収容部55の内部には、ペーストPstが収容される。収容部55の下部には、Y軸方向に離れて対向し、下方が狭くなるように平行に傾斜配置された前側ブレード55Fと後側ブレード55Rが配置(形成)されている。前側ブレード55Fおよび後側ブレード55Rの下端部と、収容部55のX軸方向の両端の側面(図示省略)の下端部は、収容部55の内部に収容されたペーストPstが吐出される吐出口55aを構成する。
【0062】
収容部55の上方には、垂下部材53に固定されたシリンダ保持部材56が配置されている。シリンダ保持部材56には出力軸を下方に向けたシリンダ57が配置されている。シリンダ57は、制御装置CAによって制御される。シリンダ57の出力軸の先端にはピストン58が取り付けられている。ピストン58の外周は収容部55の内壁に接しており、シリンダ57が出力軸を没突させることにより、ピストン58は収容部55の内部を上下に摺動する。収容部55にペーストPstを収容した状態でシリンダ57がピストン58を下降させることで(矢印h)、ペーストPstは収容部55の下方の吐出口55aから押し出される。
【0063】
すなわち、シリンダ57とピストン58は、収容部55のペーストPstを吐出口55aから押し出す加圧部59を構成する。印刷部22Aの下面をクランプ位置に保持された基板B1の上面に当接させて、加圧部59により吐出口55aからペーストPstを押し出すことで、基板B1の第1開口H1にペーストPstが充填される(図20(a)参照)。すなわち、加圧部59は、収容部55のペーストPstを複数の第1開口(開口)に向けて押し出す。このように、収容部55と加圧部59(シリンダ57とピストン58)は、基板B1の複数の第1開口(開口)にペーストPstを充填する充填部60を構成する。
【0064】
図17図18において、印刷部ベース54の下方には、Y軸方向の前方にX軸に沿って延びる前側排気部61Fが配置され、Y軸方向の後方にX軸に沿って延びる後側排気部61Rが配置されている。前側排気部61Fと後側排気部61Rは、X軸に対して対称な形状をしている。以下、前側排気部61Fを参照して、前側排気部61Fと後側排気部61Rの構成について説明する。
【0065】
図18において、前側排気部61Fは、印刷部ベース54に接続された排気ブロック62と、排気ブロック62の下面に配置されたシール部材63を備えている。排気ブロック62には、Y軸に沿って形成されて前面と後面に開口している複数の真空管路62aが形成されている。前側排気部61Fの排気ブロック62の後面と収容部55の前側ブレード55Fの間には、排気空間64が形成されている。前側排気部61Fの排気ブロック62の下面であって、シール部材63と前側ブレード55Fの間には、排気空間64に通じる吸引口65が形成されている。
【0066】
シール部材63は、ゴムや樹脂などで形成されており、印刷部22Aの下面をクランプ位置に保持された基板B1の上面に当接させた状態で基板B1の上面に当接して吸引口65の気密を維持する機能を有している。以下、前側排気部61Fの吸引口65を前側吸引口65Fと称し、後側排気部61Rの吸引口65を後側吸引口65Rと称する。
【0067】
図17図18において、排気ブロック62に形成された複数の真空管路62aには、真空配管66の一端がそれぞれ接続されている。前側排気部61Fに接続された真空配管66の他端は、移動ベース21Aの上部に配置された前側バルブユニット51Fに接続されている。また、後側排気部61Rに接続された真空配管66の他端は、移動ベース21Aの上部に配置された後側バルブユニット51Rに接続されている。前側バルブユニット51Fと後側バルブユニット51Rには、図示省略する排気装置に接続されている。前側バルブユニット51Fと後側バルブユニット51Rは、制御装置CAによって制御される。
【0068】
制御装置CAによって前側バルブユニット51Fが開状態となると、前側バルブユニット51F、真空配管66、前側排気部61Fの排気ブロック62の真空管路62a、排気空間64を介して、排気装置と前側吸引口65Fが連通する。印刷部22Aの下面をクランプ位置に保持された基板B1の上面に当接させた状態で前側バルブユニット51Fを開状態にすると、基板B1の第1開口H1の内部の気体が前側吸引口65Fから吸引されて排気される。同様に、印刷部22Aの下面をクランプ位置に保持された基板B1の上面に当接させた状態で後側バルブユニット51Rを開状態にすると、基板B1の第1開口H1の内部の気体が後側吸引口65Rから吸引されて排気される(図20(a)の矢印i)。
【0069】
図18において、密閉型の印刷ヘッド20Aが備える印刷部22Aの吐出口55aは、基板B1の複数の第1開口H1(開口)にペーストPstを充填する充填領域WMを構成する。また、印刷部22Aの前側吸引口65Fは、基板B1の複数の第1開口H1(開口)の内部の気体を排気する前側排気領域WFを構成する。また、印刷部22Aの後側吸引口65Rは、基板B1の複数の第1開口H1(開口)の内部の気体を排気する後側排気領域WRを構成する。
【0070】
また、充填領域WMと前側排気領域WFの間、すなわち、前側ブレード55Fの先端面は、排気もペーストPstの充填も行われない遷移領域である。同様に、充填領域WMと後側排気領域WRの間、すなわち、後側ブレード55Rの先端面も遷移領域である。内部の気体が排気されて低圧状態となった第1開口H1が遷移領域に位置する間は、第1開口H1の低圧状態が維持される。
【0071】
次に図19を参照して、印刷装置M1Aの制御系の構成について説明する。印刷装置M1Aが備える制御装置CAには、搬送コンベア5、基板位置決め機構10、カメラユニット11、カメラ移動機構12、印刷ヘッド移動機構13、タッチパネル14、印刷ヘッド20A、振動電源部32の他、基板保持部30が備える振動子31、プレート昇降機構34、クランパ39が接続されている。
【0072】
印刷ヘッド20Aは、昇降機構24A、加圧部59、前側バルブユニット51F、後側バルブユニット51Rを備えている。制御装置CAは、記憶部15、印刷作業処理部16A、通信部17を備えている。印刷作業処理部16Aは、記憶部15に記憶される印刷条件、振動条件に基づいて、印刷ヘッド20A、振動電源部32を含む印刷装置M1Aの各部を制御して印刷作業を実行させる。
【0073】
上記説明したように、本実施の形態の印刷装置M1Aは、複数の開口(第1開口H1)が形成された薄膜G1が上面に設けられ、複数の電極E1が複数の開口から露出する基板B1を保持する基板保持部30(基板保持部30A、基板保持部30B)と、複数の開口の内部の気体を排気する排気部(前側排気部61F、後側排気部61R)と、気体が排気された複数の開口にペーストPstを充填する充填部60と、を有し、保持された基板B1の上を基板B1に対して相対的に移動する印刷ヘッド20Aと、少なくとも保持された基板B1に振動を印加する振動子31(振動子31A、振動子31B)と、を備えている。
【0074】
次に、図20(a)を参照して、本発明の実施の形態の充填部60、前側排気部61F、後側排気部61Rを有する印刷ヘッド20Aを備える印刷装置M1Aを使用する印刷方法について説明する。図20(a)において、まず、基板接触工程により基板保持部30に保持された基板搬送治具Vと、基板搬送治具Vに載置された基板B1をマスク6Aの下面に接触させる。これにより、マスク6Aの第2開口6Aaを通じて基板B1の複数の第1開口H1(開口)が露出する。
【0075】
次いで制御装置CAは昇降機構24Aを制御して、複数の第1開口H1よりも前側で待機する印刷部22Aを下降させ、充填部60、前側排気部61F、後側排気部61Rの下面を、基板搬送治具Vの上面Vb、基板B1に形成された薄膜G1の上面G1a、または、マスク6Aの上面に当接させる(印刷部下降工程)。次いで制御装置CAは、振動子31による振動の印加を開始させる(振動開始工程)。
【0076】
図20(a)において、次いで制御装置CAは後側バルブユニット51Rを開状態として、後側排気部61Rの排気(矢印i)を開始させる(後側排気開始工程)。これにより、後側排気部61Rが後側吸引口65Rから気体を吸引可能な状態となる。なお、前側バルブユニット51Fは閉状態で、前側排気部61Fの前側吸引口65Fからの吸引は停止している。次いで制御装置CAは加圧部59のピストン58を制御してシリンダ57を下降させて(矢印j)、充填部60の吐出口55aからペーストPstを押し出し可能な状態とする(加圧開始工程)。
【0077】
次いで制御装置CAは印刷ヘッド移動機構13を制御して、印刷ヘッド20A(印刷部22A)のY軸方向の後側への移動(矢印k)を開始させる(移動開始工程)。これにより、振動子31が基板B1に振動を印加している状態で、前側の第1開口H1(開口)から順番に後側吸引口65Rにより内部の気体が排気され、次いで吐出口55aから押し出されたペーストPstが充填される。第1開口H1に充填されたペーストPst(導電性ペースト)は、振動子31が印加する振動により粘性が低下し、ペーストPstに含まれる比重の大きな導電体の粉末が底に沈んで残っていた気体が第1開口H1から追い出される。これによって、第1開口H1に充填されたペーストPstには空洞が形成されないか、形成される空洞は小さい。
【0078】
図20(a)において、全ての第1開口H1へのペーストPstの充填が完了し、印刷部22Aが複数の第1開口H1よりも後側まで移動すると、制御装置CAは印刷ヘッド20Aの移動を停止させる(移動停止工程)。次いで制御装置CAは、充填部60の加圧部59によるペーストPstの加圧を停止させ(加圧停止工程)、後側排気部61Rの排気を停止させる(後側排気停止工程)。次いで制御装置CAは、印刷部22Aを上昇させる(印刷部上昇工程)。なお、制御装置CAは、加圧部59のピストン58を上昇させて充填部60の吐出口55aからペーストPstが吐出しない状態にした後に、印刷部22Aを上昇させるようにしてもよい。その後、離反工程により基板B1はマスク6Aから引き離される。
【0079】
このように、印刷装置M1Aを使用して、基板B1の上面に設けられた薄膜G1に形成され、基板B1の複数の電極E1が露出する複数の開口(第1開口H1)にペーストPstを充填するする印刷方法は、複数の開口の内部の気体を排気し、基板B1に振動を印加しながら、気体が排気された複数の開口にペーストPstを充填する。これによって、基板B1の複数の開口に充填されたペーストPstには空洞を発生させることがなく、品質の高いバンプを有する実装用基板を製造することができる。
【0080】
次に、図11のフローに沿って、図15図20を参照しながらバンプQ1を有する実装用基板を製造する実装用基板の製造方法の他の実施例について説明する。ここでは、ペーストPstとして、導電体の粉末を含む導電性ペーストを例として説明する。まず、上面に複数の電極E1とレジストR1が形成された基板B1の上面に薄膜G1を形成する(ST1:薄膜形成工程)。次いで薄膜G1に複数の第1開口H1(開口)を形成して複数の電極E1を露出させる(ST2:第1開口形成工程)。
【0081】
次いで印刷装置M1Aにより、基板B1に振動を印加しながら第1開口HにペーストPstを充填させる(ST3:印刷工程)(図20(a))。印刷工程(ST3)では、複数の第1開口H1の内部の気体を排気し、基板B1に振動を印加しながら、気体が排気された複数の第1開口H1にペーストPstを充填する。次いでリフロー装置M2により、基板Bを加熱してペーストPstに含まれる導電体を焼成させて、複数の電極E1の上にバンプQ1をそれぞれ形成する(ST4:加熱工程)(図20(b))。次いで基板B1から薄膜G1を除去する(ST5:薄膜除去工程)(図20(c))。これによって、品質の高いバンプQ1を有する実装用基板を製造することができる。
【0082】
次に、図21のフローに沿って、図20を参照しながら印刷装置M1Aにおける印刷方法(印刷工程(ST3))について説明する。図21において、まず、基板搬入工程(ST11)により、印刷装置M1Aに基板搬送治具Vに載置された基板B1が搬入される。次いで位置合わせ工程(ST12)により、基板保持部30が保持した基板搬送治具Vに載置された基板B1がマスク6Aに対して位置合わせされる。次いで基板接触工程(ST13)により、基板B1の上の薄膜G1を第2開口6Aaが形成されたマスク6Aに接触させる。
【0083】
ここで、印刷部22Aの下面は、基板B1の前側でマスク6Aの上面に当接しているとする。次いで振動開始工程(ST14)により、振動子31による基板B1に対する振動の印加が開始される。次いで後側バルブユニット51Rが開状態とされて、後側排気部61Rの排気(図20(a)の矢印i)が開始される(ST21:後側排気開始工程)。次いで加圧部59がシリンダ57を下降させて(図20(a)の矢印j)、収容部55のペーストPstが充填部60の吐出口55aから押し出されるように圧力が加えられる(加圧開始工程)。
【0084】
図21において、次いで印刷ヘッド20A(印刷部22A)がY軸方向の後側に移動しながら(図20(a)の矢印k)、基板B1の複数の第1開口H1に順番にペーストPstを充填する(ST22:後側印刷工程)。すなわち、後側印刷工程(ST22)において、振動子31から基板B1に振動が印加されている状態で、順番に後側吸引口65Rによって第1開口H1の内部の気体が排気され、気体が排気された第1開口H1に吐出口55aからペーストPstが充填される。
【0085】
印刷部22Aの下面が基板B1の後側のマスク6Aの上面に到達すると、印刷ヘッド20Aの移動が停止される。次いで充填部60の加圧部59によるペーストPstの加圧が停止され(加圧停止工程)、後側排気部61Rの排気が停止される(ST23:後側排気停止工程)。次いで振動停止工程(ST16)により、振動子31による基板B1に対する振動の印加が停止される。次いで離反工程(ST17)により、基板保持部30が下降して、基板B1がマスク6Aから引き離される。次いで基板搬出工程(ST18)により、印刷装置M1Aから基板B1が搬出される。
【0086】
図21において、印刷装置M1Aでは、次の基板B1に対するペーストPstの充填(印刷)が行われる。すなわち、印刷装置M1Aに基板搬送治具Vに載置された次の基板B1が搬入され(ST11)、次の基板B1がマスク6Aに対して位置合わせされ(ST12)、次の基板B1の上の薄膜G1を第2開口6Aaが形成されたマスク6Aに接触させる(ST13)。次いで振動子31による次の基板B1に対する振動の印加が開始される(ST14)。
【0087】
次いで前側バルブユニット51Fが開状態とされて、前側排気部61Fの排気が開始される(ST24:前側排気開始工程)。次いで加圧部59により収容部55のペーストPstが充填部60の吐出口55aから押し出されるように圧力が加えられる(加圧開始工程)。次いで印刷ヘッド20A(印刷部22A)がY軸方向の前側に移動しながら、次の基板B1の複数の第1開口H1に順番にペーストPstを充填する(ST25:前側印刷工程)。すなわち、前側印刷工程(ST25)において、振動子31から次の基板B1に振動が印加されている状態で、順番に前側吸引口65Fによって第1開口H1の内部の気体が排気され、気体が排気された第1開口H1に吐出口55aからペーストPstが充填される。
【0088】
図21において、印刷部22Aの下面が次の基板B1の前側のマスク6Aの上面に到達すると、印刷ヘッド20Aの移動が停止される。次いで、充填部60の加圧部59によるペーストPstの加圧が停止され(加圧停止工程)、前側排気部61Fの排気が停止される(ST26:前側排気停止工程)。次いで振動子31による次の基板B1に対する振動の印加が停止され(ST16)、次の基板B1がマスク6Aから引き離され(ST17)、印刷装置M1Aから次の基板B1が搬出される(ST18)。以下、印刷装置M1Aに搬送された基板B1に対して、後側印刷工程(ST23)と前側印刷工程(ST25)が繰り返し実行される。
【0089】
このように、印刷装置M1Aの印刷ヘッド20Aは、第1方向(Y軸方向の後側)に相対的に移動する充填部60の前方に配置された第1排気部(後側排気部61R)と、第1方向とは異なる第2方向(Y軸方向の前側)に相対的に移動する充填部60の前方に配置された第2排気部(前側排気部61F)と、を有している。そして、充填部60が第1方向に相対的に移動する際は、第1排気部が基板B1の複数の開口(第1開口H1)の内部の気体を排気する。また、充填部60が第2方向に相対的に移動する際は、第2排気部が基板B1の複数の開口の内部の気体を排気する。これにより、複数の基板B1に対して連続して効率良くペーストPstを充填することができる。
【0090】
次に、図22のフローに沿って、図20を参照しながら印刷装置M1Aの変形例における印刷方法(印刷工程(ST3))について説明する。印刷装置M1Aの変形例は、図16図20に示す印刷装置M1Aに対して、印刷部22Aの前側排気部61Fと前側バルブユニット51Fが削除されている(図示省略)。また、以下はマスク6Aを使用しない印刷方法で説明する。
【0091】
図22において、まず、印刷装置M1Aの変形例に基板搬送治具Vに載置された基板B1が搬入される(ST11)。次いで待機位置で待機していた印刷部22Aを下降させて、充填部60と後側排気部61Rの下面を、基板B1の第1開口H1の前側で基板搬送治具Vと基板B1に当接させる(ST31:印刷部下降工程)。次いで振動開始工程(ST14)、後側排気開始工程(ST21)、後側印刷工程(ST22)、後側排気停止工程(ST23)、振動停止工程(ST16)が実行される。これにより、振動子31から基板B1に振動が印加されている状態で、順番に後側吸引口65Rによって第1開口H1の内部の気体が排気され、気体が排気された第1開口H1に吐出口55aからペーストPstが充填される。
【0092】
次いで印刷部22Aを上昇させて、印刷部22Aを基板B1から離す(ST33:印刷部上昇工程)。次いで印刷装置M1Aの変形例から基板B1が搬出される(ST18)。印刷部22Aが上昇して基板B1から離れると、印刷ヘッド20Aが前側に移動して、印刷部22Aを前側の待機位置まで移動させる(ST33:待機位置移動工程)。次いで次の基板B1に印刷(ペーストPstを充填)する場合は(ST34においてNo)、基板搬入工程(ST11)に戻って、次の基板B1が搬入される。
【0093】
このように、印刷装置M1Aの変形例では、排気部(後側排気部61R)は、印刷方向(Y軸方向の後側)に相対的に移動する充填部60の前方に配置される。
【0094】
なお、上記説明した印刷装置M1Aや印刷装置M1Aの変形例では、基板B1は基板搬送治具Vに載置された状態で搬送コンベア5が搬送する構成で説明したが、搬送コンベア5が基板B1を直接搬送するようにしてもよい。その場合、基板保持部30の基板保持ブロック37には、基板B1を保持する機構が配置される。例えば、基板保持ブロック37の上部に基板B1を真空吸着する吸着口が配置される。基板保持部30A、基板保持部30Bも、同様である。
【0095】
また、上記説明した印刷装置M1Aや印刷装置M1Aの変形例では、クランプ位置に保持された基板B1に対して印刷ヘッド20Aが移動しながら印刷する構成で説明したが、この構成に限定されることはない。例えば、印刷ヘッド20Aが固定して配置され、基板B1が移動しながら印刷する構成であってもよい。また、上記説明した印刷装置M1Aや印刷装置M1Aの変形例では、基板B1の第1開口H1に充填されるペーストPstは導電性ペーストで説明したが、第1開口H1に充填されるペーストPstははんだ粒子Sを含むクリームはんだであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の印刷装置および印刷方法ならびに実装用基板の製造方法は、品質の高いバンプを有する実装用基板を製造することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0097】
6、6A マスク
6a、6Aa 第2開口
10 基板位置決め機構
20、20A 印刷ヘッド
30、30A、30B 基板保持部
31、31A、31B 振動子
34 プレート昇降機構(支持機構)
36、36A 防振部
55 収容部
59 加圧部
60 充填部
61F 前側排気部(第2排気部)
61R 後側排気部(第1排気部)
B、B1 基板
G、G1 薄膜
H、H1 第1開口
M1、M1A 印刷装置
Pst ペースト
S はんだ粒子(はんだ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
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図22