(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077501
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】グリッパ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190786
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】山納 幸高
(72)【発明者】
【氏名】坂井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 貴明
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES02
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU01
3C707EU11
3C707EV02
3C707EW11
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】シンプルな構成を実現しながら、把持する物体に合わせて爪部間の距離の調整を容易にすることができるグリッパを提供する。
【解決手段】グリッパ11aは、物体を把持するグリッパであって、支持部12と、モーター21と、物体と対向する第1爪部34aを含み、支持部12上に配置される第1把持部31aと、物体と対向する第2爪部54aを含み、支持部12上に配置される第2把持部51aと、を備える。第1爪部34aは、第1の方向に沿って移動可能である。第2爪部54aは、第1の方向において第1爪部34aと対向して配置される。第2爪部54aは、モーター21の駆動により第1の方向に移動可能である。第1把持部31aは、第1の方向に沿って移動させた第1爪部34aの位置を固定する位置決め機構32aを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を把持するグリッパであって、
支持部と、
モーターと、
前記物体と対向する第1爪部を含み、前記支持部上に配置される第1把持部と、
前記物体と対向する第2爪部を含み、前記支持部上に配置される第2把持部と、を備え、
前記第1爪部は、第1の方向に沿って移動可能であり、
前記第2爪部は、前記第1の方向において前記第1爪部と対向して配置され、
前記第2爪部は、前記モーターの駆動により前記第1の方向に移動可能であり、
前記第1把持部は、
前記第1の方向に沿って移動させた前記第1爪部の位置を固定する位置決め機構を含む、グリッパ。
【請求項2】
前記位置決め機構は、
前記支持部上に固定され、アリ溝を構成するガイド部品と、
前記第1爪部に固定され、アリ型を構成する張出部品と、を含む、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記位置決め機構は、
前記第1の方向に直交する第2の方向にそれぞれ間隔をあけて配置される第1ガイド部品および第2ガイド部品を含み、
前記第1ガイド部品および前記第2ガイド部品はそれぞれ、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれに対して直交する第3の方向に開口が狭くなるように傾斜する第1ガイド側面および第2ガイド側面を含み、
前記張出部品は、前記第1ガイド側面および前記第2ガイド側面にそれぞれ対向して配置され、それぞれ傾斜する第1張出側面および第2張出側面を含む、請求項2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記位置決め機構は、
前記支持部上に固定されるガイド部品と、
前記第1爪部に固定される張出部品と、
回転により前記ガイド部品を押圧するクランプノブと、を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記位置決め機構は、
前記支持部に固定され、前記第1の方向に長い長孔が形成された位置決め板と、
前記長孔を通過する胴部を含み、前記第1爪部を前記位置決め板に固定する位置決めボルトと、を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のグリッパ。
【請求項6】
前記第2把持部は、
ボールねじと、
リニアガイド機構と、を含み、
前記第2爪部は、前記ボールねじおよび前記リニアガイド機構を介して前記モーターの駆動により前記第1の方向に移動する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のグリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グリッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
定置指と、可動指と、を有する産業ロボット用把手装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1によると、特許文献1に開示の産業ロボット用把手装置は、横断面略L字状をなし基体の一側に固定されて下方に延出され上記横断面の引退溝部が上記基体の他側方向に開口して配置され、下端が把持される物品の側方隅部の高さ方向の中間に対向する定置指と、上記基体の他側に配置されて下方に延出され、横断面に引退溝部が形成されて上記定置指に対向して配置され、上記基体に設けられた駆動機構によって上記定置指に対して進退可能に装備された可動指と、この可動指の引退溝部の下端に設けられて把持される上記物品の上記側方隅部に対向する他の側方隅部の底面に対面する支持片と、を具備することを特徴とすると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、固定されている定置指の位置を変更することができない。そうすると、把持する物体のサイズや形状に応じて定置指と可動指との間の距離の調整が困難となる。また、グリッパにおいては、物体を把持する機構をできるだけシンプルにすることが望ましい。
【0005】
そこで、シンプルな構成を実現しながら、把持する物体に合わせて爪部間の距離の調整を容易にすることができるグリッパを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従ったグリッパは、物体を把持するグリッパであって、支持部と、モーターと、物体と対向する第1爪部を含み、支持部上に配置される第1把持部と、物体と対向する第2爪部を含み、支持部上に配置される第2把持部と、を備える。第1爪部は、第1の方向に沿って移動可能である。第2爪部は、第1の方向において第1爪部と対向して配置される。第2爪部は、モーターの駆動により第1の方向に移動可能である。第1把持部は、第1の方向に沿って移動させた第1爪部の位置を固定する位置決め機構を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記グリッパによれば、シンプルな構成を実現しながら、把持する物体に合わせて爪部間の距離の調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1におけるグリッパの概略斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1におけるグリッパの概略斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるグリッパの正面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるグリッパの背面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1におけるグリッパの平面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1におけるグリッパの左側面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1におけるグリッパの右側面図である。
【
図8】
図8は、
図5中においてVIII-VIIIで示す線分で切断した場合の断面図である。
【
図9】
図9は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの正面図である。
【
図10】
図10は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの背面図である。
【
図11】
図11は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの左側面図である。
【
図12】
図12は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの右側面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2におけるグリッパの概略斜視図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2におけるグリッパの背面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2におけるグリッパの平面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2におけるグリッパの右側面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態3におけるグリッパの概略斜視図である。
【
図18】
図18は、実施の形態3におけるグリッパの背面図である。
【
図19】
図19は、実施の形態3におけるグリッパの平面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態3におけるグリッパの右側面図である。
【
図21】
図21は、
図21は、双方の把持部を移動させて物体を把持するグリッパの一部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示のグリッパは、物体を把持するグリッパであって、支持部と、モーターと、物体と対向する第1爪部を含み、支持部上に配置される第1把持部と、物体と対向する第2爪部を含み、支持部上に配置される第2把持部と、を備える。第1爪部は、第1の方向に沿って移動可能である。第2爪部は、第1の方向において第1爪部と対向して配置される。第2爪部は、モーターの駆動により第1の方向に移動可能である。第1把持部は、第1の方向に沿って移動させた第1爪部の位置を固定する位置決め機構を含む。
【0010】
本開示のグリッパは、第1把持部に含まれる第1爪部を第1の方向に沿って移動させてその位置を調整し、移動させた第1爪部の位置を固定して位置決めした後、第2把持部に含まれる第2爪部をモーターの駆動により移動させて物体を第1爪部と第2爪部との間に挟み込んで把持する構成である。このような構成によると、把持する物体に合わせて第1爪部の位置を第1の方向に沿って移動させて、予め任意な位置に調整することができる。また、第1の方向において第1把持部の第1爪部が位置決めされているため、位置決めされた第1爪部側を基準として移動する第2把持部における第2爪部のモーターの駆動による移動を適切に行うことができる。すなわち、第1把持部および第2把持部により物体を把持する際に、第1爪部の位置を調整した後に固定し、第2爪部をモーターの駆動により移動させて把持させる構成を採用することにより、より適切な物体の把持が可能となる。固定側となる第1把持部については、モーターの駆動による移動機構を設ける必要がないため、剛性を向上させることが容易となる。よって、本開示のグリッパによれば、シンプルな構成を実現しながら、把持する物体に合わせて第1爪部と第2爪部と間の距離の調整を容易にすることができる。なお、本明細書において位置決めとは、第1の方向に沿って第1爪部を移動させ、移動させた後の第1爪部の位置を固定して動かなくするようにすることをいう。
【0011】
上記グリッパにおいて、位置決め機構は、支持部上に固定され、アリ溝を構成するガイド部品と、第1爪部に固定され、アリ型を構成する張出部品と、を含んでもよい。このようにすることにより、アリ溝構造およびアリ型構造を利用して、より適切に第1爪部の位置決めを行うことができる。
【0012】
上記グリッパにおいて、位置決め機構は、第1の方向に直交する第2の方向にそれぞれ間隔をあけて配置される第1ガイド部品および第2ガイド部品を含んでもよい。第1ガイド部品および第2ガイド部品はそれぞれ、第1の方向および第2の方向のそれぞれに対して直交する第3の方向に開口が狭くなるように傾斜する第1ガイド側面および第2ガイド側面を含んでもよい。張出部品は、第1ガイド側面および第2ガイド側面にそれぞれ対向して配置され、それぞれ傾斜する第1張出側面および第2張出側面を含んでもよい。このようにすることにより、第1ガイド部品および第2ガイド部品による第1の方向の移動を円滑にしながら、強固に第1爪部の位置決めを行うことができる。
【0013】
上記グリッパにおいて、位置決め機構は、支持部上に固定されるガイド部品と、第1爪部に固定される張出部品と、回転により張出部品とガイド部品に押圧するクランプノブと、を含んでもよい。このようにすることにより、クランプノブを手で回転させて、第1爪部の位置決めを行うことができる。したがって、より容易に第1爪部の位置決めを行うことができる。
【0014】
上記グリッパにおいて、位置決め機構は、支持部に固定され、第1の方向に長い長孔が形成された位置決め板と、長孔を通過する胴部を含み、第1爪部を位置決め板に固定する位置決めボルトと、を含んでもよい。このようにすることにより、支持部に固定された位置決め板を介して、第1爪部の位置決めを行うことができる。したがって、位置決めボルトによる締結により第1爪部の容易な位置決めを行うことができる。
【0015】
上記グリッパにおいて、第2把持部は、ボールねじと、リニアガイド機構と、を含んでもよい。第2爪部は、ボールねじおよびリニアガイド機構を介してモーターの駆動により第1の方向に移動することにしてもよい。このようにすることにより、第2爪部の第1の方向の移動をより円滑に行うことができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示のグリッパの実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1におけるグリッパの構成について説明する。
図1および
図2は、実施の形態1におけるグリッパの概略斜視図である。
図1および
図2は、それぞれ異なる角度から見た図である。
図3は、実施の形態1におけるグリッパの正面図である。
図4は、実施の形態1におけるグリッパの背面図である。
図5は、実施の形態1におけるグリッパの平面図である。
図6は、実施の形態1におけるグリッパの左側面図である。
図7は、実施の形態1におけるグリッパの右側面図である。
図8は、
図5中においてVIII-VIIIで示す線分で切断した場合の断面図である。なお、理解を容易にする観点から、
図1~
図7においては、後述するカバー板を取り外した状態を示している。実施の形態1におけるカバー板を取り付けた状態のグリッパを、
図9、
図10、
図11および
図12に示す。
図9は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの正面図である。
図10は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの背面図である。
図11は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの左側面図である。
図12は、カバー板を取り付けた状態の実施の形態1におけるグリッパの右側面図である。また、
図1~
図12に示す場合において、後述するボールねじが配置されている位置からモーターが配置されている位置に向く向きを正面としている。なお、後述する動力伝達ベルトについては、
図6においてのみ図示しており、他の図においては、図示を省略している。
【0018】
図1~
図12を参照して、実施の形態1におけるグリッパ11aは、把持する対象物となる物体を把持するために用いられる。実施の形態1のグリッパ11aは、土台となる支持部12と、駆動源としてのモーター21と、第1把持部31aと、第2把持部51aと、を備える。グリッパ11aは、後述する第1把持部31aに含まれる第1爪部34aと、後述する第2把持部51aに含まれる第2爪部54aとの間に物体を挟み込んで把持することにより、グリッパとして機能する。
【0019】
支持部12は、第1支持板13と、第2支持板14と、側板15と、カバー板16と、仕切り部17と、調整板18と、を含む。実施の形態1におけるグリッパ11aは、第1支持板13に、グリッパ11aを構成する各部材を搭載して構成される。第1支持板13の外形形状は、厚さ方向に見て一対の長辺と一対の短辺を含む矩形状であって、4つの角部が面取りされた形状である。
図1以下に示す図面においては、第1支持板13の長手方向をX方向とし、第1支持板13の短手方向をY方向とし、第1支持板13の厚さ方向をZ方向とする。また、本実施形態においては、X方向を、第1爪部34aおよび第2爪部54aが移動する第1の方向とする。X方向に直交するY方向を、第2の方向とする。Z方向は、X方向(第1の方向)およびY方向(第2の方向)のそれぞれに対して直交する第3の方向である。すなわち、Z方向は、X-Y平面に垂直な方向である。
【0020】
側板15およびカバー板16はそれぞれ、第1支持板13上に立ち上がるようにして取り付けられる。側板15のY方向の長さは、第1支持板13のY方向の長さと同等である。側板15は、ボルトを用いた締結により、第1支持板13に固定される。側板15は、矩形状の第1支持板13の一方の短辺に相当する位置に配置される。側板15には、後述するボールねじ軸24を支持するための貫通孔19が形成されている。
【0021】
カバー板16は、本実施形態においては、一枚の帯状の部材を長手方向に二か所折り曲げて形成される部材である。カバー板16は、X方向に延びる領域を2つ有し、Y方向に延びる領域を1つ有するよう形成されている。なお、本実施形態においては、カバー板16の厚さは、側板15の厚さよりも薄い。カバー板16は、ボルトを用いた締結により側板15に取り付けられる。カバー板16は、第1支持板13の四つの辺のうちの3つの辺に沿って配置される。具体的には、カバー板16は、第1支持板13の一対の長辺および側板15が配置される一方の短辺と異なる他方の短辺に相当する位置に配置される。側板およびカバー板16により、第1支持板13上の空間が取り囲まれている。
【0022】
仕切り部17は、第1支持板13上に配置される。仕切り部17は、側板15およびカバー板16によって取り囲まれた第1支持板13上の空間を2つの領域29a,29bに仕切るように取り付けられる。領域29aには、モーター21および後述するボールねじ22が配置される。領域29bには、共に後述する第1プーリ23aおよび第2プーリ23bが配置される。仕切り部17についても、ボルトを用いた締結により第1支持板13に固定される。なお、仕切り部17には、ボールねじ軸24を通す貫通孔および後述するモーター21の回転軸を通す貫通孔がそれぞれX方向に貫通するように形成されている。
【0023】
第2支持板14は、側板15、カバー板16および仕切り部17上に配置される。第2支持板14は、ボルトを用いた締結により側板15および仕切り部17に固定される。第2支持板14は、板状の部材から構成されている。厚さ方向(Z方向)に見た第2支持板14の外形形状は、一部に形成された切り欠きを除き、第1支持板13と同様の矩形状である。切り欠きは、矩形状の第2支持板14の一方の長辺側に形成されており、この切り欠きにより、後述する第2支持板14上の領域に突出する連結板26のX方向の移動が可能となる。第2支持板14のY方向の中央領域の厚さは、第2支持板14のY方向の両端領域の厚さよりも厚い。調整板18は、X方向に長い矩形状であって、平板状である。調整板18は、ボルトを用いた締結により第2支持板14に固定される。調整板18は、第2支持板14上であって、第2支持板14のY方向の一方の端部側の厚さの薄い領域に配置される。本実施形態においては、調整板18が配置されている領域の厚さと、第2支持板14の中央領域の厚さとは同じである。すなわち、調整板18は、その上に配置される後述する第1ガイド部品36aのZ方向の高さを調整するために用いられる。
【0024】
第1支持板13には、モーター21と、ボールねじ22とが搭載されている。上記したようにモーター21およびボールねじ22は、第1支持板13、第2支持板14、側板15およびカバー板16によって取り囲まれ、仕切り部17によって仕切られた空間のうちの一方の領域29aに配置される。モーター21は、直方体形状である。モーター21は、外部からの電力の供給により回転する回転軸を有する。モーター21は、外部から供給される電力の極性の変更等に応じて、順方向または逆方向に回転軸を回転させることが可能である。モーター21は、回転軸がX方向(長手方向)となるように配置されている。モーター21とボールねじ22とは、短手方向(Y方向)に並んで配置される。
【0025】
モーター21の回転軸には、第1プーリ23aが取り付けられている。モーター21の回転軸の回転と共に、第1プーリ23aも回転する。第1プーリ23aは、仕切り部17によって仕切られた空間の他方の領域29bに配置される。
【0026】
ボールねじ22は、ボールねじ軸24と、ボールねじナット25と、を含む。ボールねじ22は、ボールねじ軸24の軸方向がX方向となるように配置されている。ボールねじ軸24の一方の端部は、側板15に設けられた貫通孔19に取り付けられた軸受部27に嵌め込まれ、回転可能に支持されている。
【0027】
ボールねじ軸24には、ボールねじナット25が取り付けられている。ボールねじナット25は、胴部30aと、フランジ部30bと、を含む。胴部30aとフランジ部30bとは、軸方向(X方向)に連なって配置されている。胴部30aは、中空円筒状である。フランジ部30bの外形形状は、Y方向に見て矩形状である。ボールねじナット25には、Y方向に貫通するねじ孔が形成されている。ボールねじ軸24は、ボールねじナット25に形成されたねじ孔内に配置される。ボールねじ軸24とボールねじナット25とは、螺合している。フランジ部30bのうちの第1支持板13に対向する一つの側面と第1支持板13との間には、1mm程度の隙間がある。
【0028】
ボールねじナット25には、連結板26が取り付けられる。連結板26は、一部を切り欠いた第2支持板14上の領域にその一部が突出するように配置される。連結板26には、厚さ方向に貫通する貫通孔28が形成されている。連結板26は、貫通孔28内に胴部30aが配置され、Y方向においてフランジ部30bと連結されて、ボールねじナット25に固定される。本実施形態においては、連結板26は、ボルトを用いた締結によってボールねじナット25のフランジ部30bに取り付けられる。なお、連結板26とボールねじナット25とは、一体の部材で構成されていてもよい。連結板26のうちの第1支持板13に対向する一つの側面と第1支持板13との間には、1mm程度の隙間がある。
【0029】
ボールねじ軸24の他方の端部には、第2プーリ23bが取り付けられている。第2プーリ23bは、仕切り部17によって仕切られた空間の他方の領域29bに配置される。第1プーリ23aと第2プーリ23bとは、Y方向に間隔をあけて配置される。第1プーリ23aと第2プーリ23bには、輪状の動力伝達ベルト20が取り付けられている。動力伝達ベルト20を介して、第1プーリ23aの回転を第2プーリ23bの回転に伝達することができる。
【0030】
次に、第1把持部31aの構成について説明する。第1把持部31aは、グリッパ11aにより物体を把持する際に、固定させて用いられる。第1把持部31aは、位置決め機構32aと、第1アーム部33aと、第1爪部34aと、を含む。第1アーム部33aおよび第1爪部34aは、モーター21の駆動といった電動ではなく、手動によりX方向の位置が移動可能に構成されている。なお、第1爪部34aには、Z方向に間隔をあけてX方向に貫通する貫通孔が二つ形成されている。この貫通孔は例えば、物体を把持する際に用いられる先端爪を第1爪部34aに取り付ける際に利用される。
【0031】
位置決め機構32aにより、X方向に第1アーム部33aおよび第1爪部34aを手動により移動させ、X方向の位置を調整し、その位置を固定することができる。位置決め機構32aは、第1ガイド部品36aと、第2ガイド部品37aと、張出部品38aと、第1ベース部39aと、を含む。第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aはそれぞれレール状であって、第2支持板14上に取り付けられている。第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aはそれぞれ、X方向に延びるように形成されている。第1ガイド部品36aと第2ガイド部品37aとは、Y方向に間隔をあけて平行になるように配置される。本実施形態においては、第1ガイド部品36aが、第2支持板14の一方の長辺に沿うように配置される。第1ガイド部品36aは、調整板18上に配置される。第2ガイド部品37aは、第2支持板14上の中央領域上に配置される。第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aはそれぞれ、ボルトを用いた締結により第2支持板14に固定される。Y方向において間隔をあけて配置される第1ガイド部品36aと第2ガイド部品37aとの間には、Z方向の第1アーム部33a側に開口を有する隙間が形成される。この隙間内に張出部品38aが配置される。
【0032】
張出部品38aは、X方向に延びるように形成されている。張出部品38aのX方向の長さは、第1ベース部39aのX方向の長さよりも短く構成されている。第1ベース部39aは、ブロック状である。第1ベース部39aは、第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37a上に跨って配置される。張出部品38aは、ボルト35a,35bにより第1ベース部39aに連結されている。位置決め機構32aのさらに詳細な構成については、後に詳述する。
【0033】
第1アーム部33aは、第1ベース部39a上に配置される。第1アーム部33aは、ボルトを用いた締結により第1ベース部39aに固定される。第1アーム部33aは、Z方向に延びる第1領域41aと、X-Y平面に沿って延びる第2領域42aと、を含む。第2領域42aには、Z方向に貫通する貫通孔43aが形成されている。貫通孔43aは、Z方向において矢印Zと逆の向きに見て、ボルト35aの頭が視認できる位置に形成される。この貫通孔43aを利用することにより、第1ベース部39aと張出部品38aとを連結するボルト35aを回転させることが容易となる。具体的には、例えばドライバーや六角レンチといった作業工具を貫通孔43aに差し込んで、ボルト35aの頭部に作業工具の先端を接触させ、作業工具を回転させることによりボルト35aを締め付けたり、緩めたりすることができる。なお、第1アーム部33aは、ボルト35b上には配置されていない。すなわち、第1アーム部33aは、ボルト35bを避けた位置に配置されており、ボルト35bの頭部は矢印Zと逆の向きに見て外部に露出している。したがって、作業工具によってボルト35bを回転させることができる。
【0034】
第1爪部34aは、Z方向に延びる四角柱状であって、第2領域42aと連なって形成される。四角柱状の第1爪部34aを構成する4つの側面のうち、後述する第2爪部54aの第2把持面64aと対向する一つの側面が、グリッパ11aにより物体を把持する際に物体と対向する第1把持面44aとなる。なお、第1把持面44aと第2把持面64aは、
図3および
図4中の一点鎖線で示すそれぞれのZ方向の中央の位置が揃うように配置される。また、第1把持面44aと第2把持面64aは、
図5中の二点鎖線で示すそれぞれのY方向の中央の位置が揃うように配置される。なお、第1把持面44aおよび第2把持面64aについては、把持する物体に直接接触する場合もあれば、例えば、第1把持面44aおよび第2把持面64aの少なくともいずれか一方と把持する物体の間に他の物体が介在し、直接接触しない場合もある。
【0035】
次に、位置決め機構32aの詳細な構成について説明する。第1ガイド部品36aは、第2ガイド部品37a側に位置する第1ガイド側面46aを含む。第1ガイド側面46aは、平面であって、上記隙間の開口側が狭くなるように傾斜している。同様に、第2ガイド部品37aは、第1ガイド部品36a側に位置する第2ガイド側面47aを含む。第2ガイド側面47aは、平面であって、上記隙間の開口側が狭くなるように傾斜している。この第1ガイド部品36aの第1ガイド側面46aおよび第2ガイド部品37aの第2ガイド側面47aは、いわゆるアリ溝構造を構成する。
【0036】
張出部品38aは、第1張出側面48aと、第2張出側面49aと、を含む。第1張出側面48aと第2張出側面49aとは、Y方向に一定間隔で配置される。第1張出側面48aは、第1ガイド側面46aと対向して配置される。第2張出側面49aは、第2ガイド側面47aと対向して配置される。第1張出側面48aは、平面であって、第1ガイド側面46aの傾斜に沿って傾斜している。第2張出側面49aは、平面であって、第2ガイド側面47aの傾斜に沿って傾斜している。この張出部品38aの第1張出側面48aおよび第2張出側面49aは、いわゆるアリ型構造を構成する。張出部品38aは、Y方向において間隔をあけて設けられる第1ガイド部品36aと第2ガイド部品37aとの間の上記隙間内に配置される。
【0037】
張出部品38aは、ボルト35a,35bにより、第1ベース部39aに取り付けられる。具体的には、張出部品38aのうち、第1ベース部39aに対向する天面側が、第1ベース部39aのうちの第2支持板14に対向する底面側となるように取り付けられる。なお、張出部品38aと第1ベース部39aとを締結するボルト35a,35bは、第1ベース部39aをX方向に移動させる際には、緩められている。すなわち、張出部品38aは、第1ガイド側面46aと第1張出側面48aとの間か、第2ガイド側面47aと第2張出側面49aとの間か、またはその両方に移動可能なわずかな隙間をあけて、ボルト35a,35bにより第2支持板14側にやや垂れ下がった状態となっている。この時、張出部品38aと第2支持板14および調整板18との間には、わずかな隙間が形成されているか、または接触している。接触している状態においては、張出部品38aおよび第1ベース部39aをスライドさせた際に、張出部品38aが引きずられる状態となる。
【0038】
上記構成の位置決め機構32aは、第1張出側面48aおよび第2張出側面49aを含み、第1ベース部39aに取り付けられる張出部品38aが、第1ガイド側面46aを含む第1ガイド部品36aと第2ガイド側面47aを含む第2ガイド部品37aとの間の上記隙間内に配置される構成を採用する。このような構成を採用することにより、第1ベース部39aをX方向へ手動で移動させる際に、第1ガイド側面46aおよび第2ガイド側面47aによって適切にガイドさせて移動することができる。また、第1張出側面48aおよび第2張出側面49aがそれぞれ、第1ガイド側面46aおよび第2ガイド側面47aに引っ掛かる構成であるため、第1ベース部39aのZ方向の移動を規制して、第1ベース部39aのZ方向の離脱を防止することができる。このようにして、第1ベース部39aおよび第1ベース部39aに固定される第1アーム部33aおよび第1爪部34aのX方向の移動を円滑にすることができる。
【0039】
そして、アリ型構造を構成する張出部品38aの第1張出側面48aおよび第2張出側面49aと、アリ溝構造を構成する第1ガイド部品36aの第1ガイド側面46aおよび第2ガイド部品37aの第2ガイド側面47aと、により、第1ベース部39aの位置を固定することができる。具体的には、張出部品38aと第1ベース部39aとを連結するボルト35a,35bを締め付けることにより、第1アーム部33aが位置する上向き、すなわち、Z方向において矢印Zで示す向きに張出部品38aが持ち上げられる向きに力が働く。ボルト35a,35bを締めこむことにより、第1ベース部39aと第1ガイド部品36aとの接触面と張出部品38aの第1張出側面48aとで第1ガイド部品36aを挟み込むと共に、第1ベース部39aと第2ガイド部品37aとの接触面と張出部品38aの第2張出側面49aとで第2ガイド部品37aを挟み込んで、第1ベース部39a、引いては第1爪部34aを第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aに固定することができる。
【0040】
次に、第2把持部51aの構成について説明する。第2把持部51aは、グリッパ11aにより物体を把持する際に、モーター21の駆動によりX方向に移動させて用いられる。第2把持部51aは、上記したボールねじ22と、第1プーリ23aおよび第2プーリ23bと、連結板26と、リニアガイド機構52aと、第2アーム部53aと、第2爪部54aと、第2ベース部55aと、を含む。なお、第2爪部54aには、Z方向に間隔をあけてX方向に貫通する貫通孔が二つ形成されている。この貫通孔は例えば、物体を把持する際に用いられる先端爪を第2爪部54aに取り付ける際に利用される。
【0041】
リニアガイド機構52aは、レール部56aと、ブロック部57aと、を含む。レール部56aは、ボルトを用いた締結により第2支持板14上に固定される。レール部56aは、X方向に延びるように配置されている。レール部56aは、第2支持板14上において、Y方向の中央領域よりも厚さの薄い端部領域に配置される。
【0042】
レール部56aには、内方側に凹むレール溝58aが形成されている。レール溝58aは、レール部56aのY方向における両側面に一対形成されている。レール溝58aは、レール部56aの長手方向に沿って延びるように形成されている。本実施形態においては、レール溝58aは、レール部56aのX方向の全長にわたって形成されている。
【0043】
ブロック部57aは、レール部56a上に配置される。ブロック部57aには、内方側に凹むブロック凹部59aが形成されている。ブロック部57aの外形形状は、ブロック凹部59aが形成されている領域を除き、直方体形状である。ブロック凹部59aは、ブロック部57aにおいて、第2支持板14に対向する底面に開口を有するように形成されている。ブロック凹部59aは、ブロック部57aにおいて、X方向に位置する一方側の端面から他方側の端面に至るまで形成されている。すなわち、ブロック凹部59aは、X方向に沿ってブロック部57aの底面から凹むように形成されている。
【0044】
ブロック凹部59a内には、Y方向においてそれぞれ向かい合って突出する一対のブロック凸部63aが形成されている。すなわち、一対のブロック凸部63aは、Y方向にそれぞれ突出するように形成されている。ブロック凸部63aは、ブロック凹部59a内にレール部56aが配置された際に、レール溝58aと係合するように形成されている。ブロック部57aは、ブロック凹部59a内にレール部56aを配置されることにより取り付けられる。この時、レール溝58aとブロック凸部63aとが係合することにより、ブロック部57aのZ方向の移動を規制し、ブロック部57aのレール部56aからの離脱を防止することができる。ブロック部57aは、レール部56aのX方向のいずれかの端面側から差し込まれ、レール溝58aにブロック凸部63aが嵌め合うように取り付けられる。リニアガイド機構52aは、ブロック部57aがX方向に沿ってレール部56a上において円滑に移動可能である構成を実現する。
【0045】
第2ベース部55aは、Z方向においてブロック部57a上に配置される。第2ベース部55aは、ボルトを用いた締結により、ブロック部57aに固定される。第2ベース部55aは、ボルトを用いた締結により連結板26に固定される。
【0046】
第2アーム部53aは、ボルトを用いた締結により第2ベース部55aに固定される。第2アーム部53aは、Z方向に延びる第3領域61aと、X-Y平面に沿って延びる第4領域62aと、を含む。
【0047】
第2爪部54aは、Z方向に延びる四角柱状であって、第4領域62aと連なって形成される。四角柱状の第2爪部54aを構成する4つの側面のうち、第1爪部34aの第1把持面44aと対向する一つの側面が、グリッパ11aにより物体を把持する際に物体と対向する第2把持面64aとなる。
【0048】
上記したように第2ベース部55aは、ブロック部57aに固定される。また、第2ベース部55aは、連結板26に固定される。そして、第2アーム部53aおよび第2爪部54aは、第2ベース部55aに固定される。したがって、第2アーム部53aおよび第2爪部54aは、モーター21の駆動によりX方向の位置が移動可能に構成されている。
【0049】
上記構成のグリッパ11aは、第1把持部31aの第1把持面44aと第2把持部51aの第2把持面64aとは、X方向に間隔をあけて配置される。グリッパ11aは、第1把持面44aと第2把持面64aとの間に配置される物体を把持する。
【0050】
次に、グリッパ11aによる物体の把持時の動作について説明する。まず、第1把持部31aによる第1爪部34aの位置決めを行う。具体的には、以下のようにして行う。まず、例えば作業工具等を利用して、ボルト35a,35bを緩めて締結状態を解除し、第1ベース部39a、第1アーム部33aおよび第1爪部34aを、手動によりX方向に移動可能な状態とする。その後、把持する物体のサイズや形状、さらには物体の材質や性状等に合わせて、X方向に第1ベース部39aを移動させる。この時、第1ベース部39aに固定される第1アーム部33aおよび第1把持面44aを有する第1爪部34aも共に移動する。ここで、第1ベース部39aに取り付けられた張出部品38aのそれぞれ傾斜する第1張出側面48aおよび第2張出側面49aが、それぞれ傾斜する第1ガイド部品36aの第1ガイド側面46aおよび第2ガイド部品37aの第2ガイド側面47aに沿ってガイドされながら移動できるため、円滑に第1ベース部39aをX方向に移動させることができる。このようにして、第1把持部31aの第1爪部34aのX方向における任意な位置の調整を行う。
【0051】
次に、第1把持面44aが所望の位置となるよう第1ベース部39aを移動させた後、第1爪部34aを固定する。具体的には、以下のようにして行う。第1ベース部39aと張出部品38aとを連結するボルト35a,35bを締め付ける。そうすると、ボルト35a,35bの締め付けにより、張出部品38aがZ方向、具体的には矢印Zで示す向きに引き上げられるよう引き付けられることになる。そして、アリ型構造を構成する第1張出側面48aとアリ溝構造を構成する第1ガイド側面46aおよびアリ型構造を構成する第2張出側面49aとアリ溝構造を構成する第2ガイド側面47aとが強く押し当てられて接触することになる。位置決め機構32aは、ボルト35a,35bを締めこむことにより、第1ベース部39aと第1ガイド部品36aとの接触面と張出部品38aの第1張出側面48aとで第1ガイド部品36aを挟み込むと共に、第1ベース部39aと第2ガイド部品37aとの接触面と張出部品38aの第2張出側面49aとで第2ガイド部品37aを挟み込んで、第1ベース部39a、引いては第1爪部34aを第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aに固定する。このようにして、X方向において、位置決め機構32aによる第1把持部31aの第1爪部34aのX方向の位置決めを行う。
【0052】
次に、第2把持部51aによる物体の把持時の動作について説明する。把持させる物体を第1把持面44aと第2把持面64aとの間に配置する。その後、モーター21に電力を供給し、モーター21を駆動させる。
【0053】
モーター21の駆動により、モーター21の回転軸が回転する。モーター21の回転軸の回転により第1プーリ23aが同じ向きに回転する。そうすると、第1プーリ23aの回転が、動力伝達ベルト20を介して第2プーリ23bに伝達され、第2プーリ23bも同じ向きに回転する。そして、第2プーリ23bの回転と共に、ボールねじ軸24も同じ向きに回転する。ボールねじ軸24が回転すると、ボールねじナット25がボールねじ軸24の軸方向(X方向)に移動する。この場合、矢印Xで示す向きである第1ベース部39aが位置する側に移動する。ボールねじナット25には、連結板26が固定されている。第2ベース部55aは、連結板26に固定されている。ブロック部57aは、第2ベース部55aに固定されている。第2アーム部53aおよび第2爪部54aは第2ベース部55aに固定されている。したがって、連結板26、ブロック部57a、第2ベース部55a、第2アーム部53aおよび第2爪部54aは、ボールねじナット25と共に矢印Xで示す向きに移動する。この場合、第1把持面44aと第2把持面64aとの間の距離が短くなるよう、すなわち、間隔が狭くなるように移動する。このようにして、第1把持面44aと第2把持面64aとの間の間隔を狭くしていき、第1把持面44aと第2把持面64aとの間に配置される物体に第1把持面44aおよび第2把持面64aをそれぞれ対向させ、適度な圧力で物体を挟み込むようにして把持する。このようにして、グリッパ11aにより物体を把持する。なお、物体の把持の解除については、駆動するモーター21の回転を逆にすることにより実施することができる。
【0054】
このようなグリッパ11aによると、第1把持部31aに含まれる第1爪部34aをX方向(第1の方向)に沿って移動させてその位置を調整し、移動させた第1爪部34aの位置を固定して位置決めした後、第2把持部51aに含まれる第2爪部54aをモーター21の駆動により移動させて物体を第1爪部34aと第2爪部54aとの間に挟み込んで把持する構成である。このような構成によると、把持する物体に合わせて第1爪部34aの位置をX方向(第1の方向)に沿って移動させて、予め任意な位置に調整することができる。また、X方向(第1の方向)において第1把持部31aの第1爪部34aが位置決めされているため、位置決めされた第1爪部34a側を基準として移動する第2把持部51aにおける第2爪部54aのモーター21の駆動による移動を適切に行うことができる。すなわち、第1把持部31aおよび第2把持部51aにより物体を把持する際に、第1爪部34aの位置を調整した後に固定し、第2爪部54aをモーター21の駆動により移動させて把持させる構成を採用することにより、より適切な物体の把持が可能となる。固定側となる第1把持部31aについては、モーター21の駆動による移動機構を設ける必要がないため、剛性を向上させることが容易となる。よって、本開示のグリッパ11aによれば、シンプルな構成を実現しながら、把持する物体に合わせて第1爪部34aと第2爪部54aと間の距離の調整を容易にすることができる。
【0055】
さらに、第1把持部31aを手動により移動させる構成とすることにより、双方の把持部をモーター21の駆動により移動させて物体を把持する構成と比較して、グリッパ11aの装置構成の簡略化を図ることができる。この場合、双方の把持部が移動する構成と比較して、把持部同士の位置合わせを容易にすることができる。
【0056】
本実施形態においては、位置決め機構32aは、支持部12上に固定され、アリ溝を構成するガイド部品(第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37a)と、第1爪部34aに固定され、アリ型を構成する張出部品38aと、を含む。よって、アリ溝構造およびアリ型構造を利用して、より適切に第1爪部34aの位置決めを行うことができる。
【0057】
本実施形態においては、位置決め機構32aは、X方向に直交するY方向にそれぞれ間隔をあけて配置される第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aを含む。第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aはそれぞれ、Z方向(X方向(第1の方向)およびY方向(第2の方向)のそれぞれの方向に対して直交する方向)に開口が狭くなるように傾斜する第1ガイド側面46aおよび第2ガイド側面47aを含む。張出部品38aは、第1ガイド側面46aおよび第2ガイド側面47aにそれぞれ対向して配置され、それぞれ傾斜する第1張出側面48aおよび第2張出側面49aを含む。よって、ボルト35a,35bの弛緩により第1ガイド部品36aおよび第2ガイド部品37aによるX方向の移動を円滑にしながら、ボルト35a,35bの締め付けにより強固に第1爪部34aの位置決めを行うことができる。
【0058】
本実施形態においては、第2把持部51aは、ボールねじ22と、リニアガイド機構52aと、を含む。第2爪部54aは、ボールねじ22およびリニアガイド機構52aを介してモーター21の駆動によりX方向に移動する。よって、第2爪部54aのX方向の移動をより円滑に行うことができる。
【0059】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図13は、実施の形態2におけるグリッパの概略斜視図である。
図14は、実施の形態2におけるグリッパの背面図である。
図15は、実施の形態2におけるグリッパの平面図である。
図16は、実施の形態2におけるグリッパの右側面図である。
図13~
図16を参照して、実施の形態2におけるグリッパ11bは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2のグリッパ11bは、位置決め機構の構造において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0060】
図13~
図16を参照して、グリッパ11bに含まれる位置決め機構32bは、2つのクランプノブ71b,72bを含む。クランプノブ71b,72bは、第1ベース部39aに取り付けられる。クランプノブ71b,72bは、矢印Yで示す向きに突出するように配置される。クランプノブ71b,72bを回転させて締め付けることにより、張出部品38aが第1ガイド部品36a側にやや移動して強く押し付けられる。すなわち、張出部品38aの第1張出側面48aが第1ガイド側面46aに強く押圧される。この時、クランプノブ71b,72bの先端と張出部品38aとの間に第1ガイド部品36aが強く挟み込まれる。このようにして、クランプノブ71b,72bは、回転により第1ガイド部品36aを押圧する。そして、X方向の位置が調整された第1爪部34aを固定して、第1爪部34aのX方向の位置決めを行う。
【0061】
このようなグリッパ11bは、クランプノブ71b,72bを手で回転させて、第1爪部34aの位置決めを行うことができる。したがって、より容易に第1爪部34aの位置決めを行うことができる。
【0062】
なお、上記の実施の形態1および実施の形態2においては、位置決め機構に含まれるガイド部品として、第1ガイド部品および第2ガイド部品を用いることとしたが、これに限らず、さらに同じ第1の方向に延びる第3ガイド部品を含むことにしてもよい。さらに、位置決め機構は、側面から見て鈎爪状の1つのガイド部品と、この鈎爪状の部分に引っ掛かる形状の張出部品とを含む構成としてもよい。また、上記の実施の形態1および実施の形態2においては、第2支持板14と調整板18とを別部材とし、第2支持板14上に調整板18を配置することとしたが、これに限らず、第2支持板14と調整板18とは一体で構成されていてもよい。すなわち、調整板18を含まず、一枚の第2支持板14から構成されていてもよい。
【0063】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図17は、実施の形態3におけるグリッパの概略斜視図である。
図18は、実施の形態3におけるグリッパの背面図である。
図19は、実施の形態3におけるグリッパの平面図である。
図20は、実施の形態3におけるグリッパの右側面図である。
図17~
図20を参照して、実施の形態3におけるグリッパ11cは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態3のグリッパ11cは、位置決め機構の構造において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0064】
図17~
図20を参照して、グリッパ11cに含まれる位置決め機構32cは、第1ガイド部品36a、第2ガイド部品37aおよび張出部品38aの代わりに、第2把持部51aに含まれるリニアガイド機構52aと同様の構成を含む。すなわち、位置決め機構32cは、レール部56cと、ブロック部57cと、を含む。また、位置決め機構32cは、位置決め板76cと、位置決めボルト77c,78cと、を含む。位置決め板76cは、X方向に長い矩形状であって、X-Z平面と平行となるように、グリッパ11cに取り付けられる。位置決め板76cは、ボルトを用いた締結により支持部12、具体的には第2支持板14に固定される。位置決め板76cは、X方向に長い長孔79cが形成されている。位置決めボルト77c,78cは、長孔79cを通過する胴部をそれぞれ含む。位置決めボルト77c,78cは、第1ベース部39aを位置決め板76cに固定することにより、第1爪部34aのX方向の位置決めを行う。すなわち、位置決め機構32cは、位置決めボルト77c,78cを緩めた状態として、第1ベース部39aをX方向に移動させ、第1爪部34aの位置を所望の位置とする。その後、位置決めボルト77c,78cを締め付けることにより、位置決め板76cと第1ベース部39aとを固定して第1爪部34aの位置決めを行う。
【0065】
このようにすることにより、支持部12に固定された位置決め板76cを介して、第1爪部34aの位置決めを行うことができる。したがって、位置決めボルト77c,78cによる締結により第1爪部34aの位置決めを容易に行うことができる。
【0066】
(他の実施の形態)
なお、双方の把持部を移動させて物体を把持するグリッパの機構としては、以下の構成が考えられる。
図21は、双方の把持部を移動させて物体を把持するグリッパの一部を示す概略断面図である。
図21は、底面側から見た図である。
【0067】
図21を参照して、グリッパ11dは、カバー板83、側板15および側板89を含む支持部80と、モーター21と、第1把持部31dと、第2把持部51dと、を含む。第1把持部31dは、アンギュラベアリング91が挿入されているベアリングハウジング87と、ボールねじ22と、図示しない第2爪部を移動させる連結板26と、を含む。ボールねじ22は、ボールねじ軸24と、ボールねじナット25と、を含む。本実施形態においては、ボールねじ22は、右ねじである。ベアリングハウジング87に挿入されているアンギュラベアリング91は、X方向において、ボールねじ軸24のうちの側板15によって支持されていない側の端部を支持する。連結板26は、ボールねじナット25に取り付けられている。第2把持部51dは、アンギュラベアリング92が挿入されているベアリングハウジング88と、ボールねじ82と、図示しない第1爪部を移動させる連結板86と、を含む。本実施形態においては、ボールねじ82は、左ねじである。ボールねじ82は、ボールねじ軸84と、ボールねじナット85と、を含む。ベアリングハウジング88に挿入されているアンギュラベアリング92は、X方向において、ボールねじ軸84のうちの側板89によって支持されていない側の端部を支持する。連結板86は、ボールねじナット85に取り付けられている。
【0068】
第1爪部は、X方向(第1の方向)に沿って移動可能である。第2爪部についても、X方向(第1の方向)に沿って移動可能である。ボールねじ22のボールねじ軸24と、ボールねじ82のボールねじ軸84とは、同軸(この場合、X方向に延びる軸)上となるように配置されている。ボールねじ22のボールねじ軸24のねじの切られる向きと、ボールねじ82のボールねじ軸84のねじの切られる向きと、は逆となるように設けられている。そして、ボールねじ22のボールねじ軸24から延びる回転軸と、ボールねじ82のボールねじ軸84から延びる回転軸とは、X方向に沿って一直線となるようカップリング81により連結されている。モーター21とボールねじ22とは、Y方向において隣り合うように配置されている。第1プーリ23aと第2プーリ23bには、図示しない輪状の動力伝達ベルトが取り付けられている。モーター21の駆動により第1プーリ23a、動力伝達ベルト、第2プーリ23bを介して、ボールねじ22のボールねじ軸24が回転する。ボールねじ82のボールねじ軸84は、カップリング81によりボールねじ22のボールねじ軸24と連結されているため、同じ向きに回転する。このようにして、それぞれのボールねじ軸24,84が第1の向きに回転すると、連結板26,86の間隔が狭くなっていき、物体を把持する。また、それぞれのボールねじ軸24,84が第1の向きと逆の向きである第2の向きに回転すると、連結板26,86の間隔が広くなっていき、把持した物体を開放する。すなわち、連結板26,86が開閉することで、物体の把持および開放が可能とする。
【0069】
このような構成のグリッパ11dは、カップリング81により各ボールねじ軸24,84が連結されているため、ボールねじ22,82を同じモーター21の駆動源を利用することができる。この場合、カップリング81に近い軸に第2プーリ23bを配置することができるため、モーター21からの動力を効率的に物体の把持時および開放時の動作において伝えることができる。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
11a,11b,11c,11d グリッパ、12,80 支持部、13 第1支持板、14 第2支持板、15,89 側板、16,83 カバー板、17 仕切り部、18 調整板、19,28,43a 貫通孔、20 動力伝達ベルト、21 モーター、22,82 ボールねじ、23a 第1プーリ、23b 第2プーリ、24,84 ボールねじ軸、25,85 ボールねじナット、26,86 連結板、27 軸受部、29a,29b 領域、30a 胴部,30b フランジ部、31a,31d 第1把持部、32a,32b,32c 位置決め機構、33a 第1アーム部、34a 第1爪部、35a,35b ボルト、36a 第1ガイド部品、37a 第2ガイド部品、38a 張出部品、39a 第1ベース部、41a 第1領域、42a 第2領域、44a 第1把持面、46a 第1ガイド側面、47a 第2ガイド側面、48a 第1張出側面、49a 第2張出側面、51a,51d 第2把持部、52a リニアガイド機構、53a 第2アーム部、54a 第2爪部、55a 第2ベース部、56a,56c レール部、57a,57c ブロック部、58a レール溝、59a ブロック凹部、61a 第3領域、62a 第2領域、63a ブロック凸部、64a 第2把持面、71b,72b クランプノブ、76c 位置決め板、77c,78c 位置決めボルト、79c 長孔,81 カップリング、87,88 ベアリングハウジング、91,92 アンギュラベアリング。